EP.T Act.V「談笑」
内側のフェンスを開くとアーゴとイルデに話しかけられる。
アーゴ「おぉ!戻ったか!」
イルデ「今日も戻ってこれたねぇ!」
アッシュ「ええ、お陰さまで。」
フィラー「成果もまぁ十分だーよっと。」
フィラーがリュックを下ろす。自分も下ろす。
フィラー「燃料と少しの食料。やっぱ重いなぁこれ……。」
アッシュ「東にあるコンビニが併設されたガソリンスタンドに行ってきました。本当はその後に食料品店にも行くつもりだったんですけどね……。」
フィラー「化け物が沢山いて、それどころじゃなくなった。これ背負って戦うのも嫌だからねぇ。」
アーゴ「化け物達も食べ物が要るのかもしれないな…。とにかく、お疲れ様。」
イルデ「その成果やら遠征で見たものとか、ヴィスタ警部補に報告してきな。あたし達も気になるけどね。」
フィラー「そうすっか。行こうぜ、アッシュ。」
アッシュ「だな。」
リュックを持ってヴィスタ警部補の元へ向かう。
ヴィスタ「おぉ!戻ってきたか!二人とも!(咳払い)…おかえり、二人とも。その荷物を見るに……成功か?」
アッシュ「ええ、食料は微妙ですが。」
フィラー「食料品店に化け物が集まらなければねぇ。他はいつも通り。」
ヴィスタ「過ぎた事にどうこう言っても仕方がない。今は二人が戻ってきてくれた事が一番だ。」
アッシュ「予定通り東にある、コンビニが併設されたガソリンスタンドに行きました。ただ、既に誰かが来ていたような形跡がありました。」
ヴィスタ「外にも他の生存者がいるかもしれないということか……。」
アッシュ「恐らく。」
フィラー「で、この荷物どうしますー?」
ヴィスタ「こちらでやっておこう。デア!ちょっと来てくれ!!」
デア「うぃーーーーーー。」
奥から金髪のウザそうな男性が出てきた。デア・イスパー巡査。ヴィスタ警部補と同期らしい。
デア「おー、お前ら戻ってきたかー。で、何ですヴィスタぁー。まぁ見れば分かりますけど。」
ヴィスタ「二人が持ち帰ってきた荷物を運ぶぞ。」
デア「まぁーーーそうなりますよねぇーー。ちぇっ。」
デアが渋々荷物を持ち上げる。ヴィスタも荷物を持ち上げる。
ヴィスタ「二人は遠征で疲れただろう。休んでいてくれ。シャワー室は使える状態だぞ。タオルもいつもの場所に置いてある。」
アッシュ「分かりました。では、失礼します。」
フィラー「シャワータイムだシャワータイム!」
フィラーとシャワー室に向かう。
デア「あー俺もシャワー浴びてスッキリしてぇなぁ〜。」
ヴィスタ「シャワー室は遠征組が優先だ。私達は後だろう。」
デア「ちぇーー。」
デア巡査とヴィスタ警部補は一見相反する性格に見えるが同期故かかなり仲が良い。
今度昔の事でも聞いてみようか。今日にでも。
そうこう考えている内にシャワー室に着いた。
フィラー「シャワータイム!これの為に遠征してるようなもんだな!」
アッシュ「どうだかな。」
しかし遠征で体動かした後のシャワーが気持ちいいのは確かだ。
脱衣場で服を脱ぐ。
・・
・
フィラー「なぁ……アッシュ……。」
アッシュ「どうした?」
フィラーが俯いて黙り込む。
アッシュ「フィラー?どこか怪我でもしてたか?」
フィラー「いや……何でもない!」
フィラーはまたいつものようなへらへらした表情になる。
アッシュ「……何かあったら言えよ。」
フィラー「わーかってる、わーかってる!」
服を脱ぎ終わり、シャワータイム。
至福の一時、束の間の休息。
……避難生活が始まってからか……?
自身の愚息……チン○が日に日にほんの少しずつ大きくなっているような気がする。
まぁ、大きいに越した事はないだろう。
・・・
・・
・
シャワータイムを終え、カゴに入ってたタオルを取り、体を拭く。
アッシュ「さっぱりしたな……。フィラーは……もう出てるか。」
恐らくシャワー室の前にいるのだろう。
自分も早く服を着てシャワー室から出る。
フィラー「おっ、出たな。」
アッシュ「待たせたな。」
フィラー「へへ、……もうそろそろ飯か?」
時計を確認する。
アッシュ「もう配ってる時間だろう。食堂に行くぞ。」
フィラー「はいはーい。」
食堂へ向かう。避難生活故に一人に対する量は多くない。
時々不満を漏らす生存者がいるが、ヴィスタ警部補や他の警官がどうにかなだめている現状だ。今日の遠征で食料品店にも向かうべきだっただろうか?
食堂に着いた。既に人が並んでいる。
フィラー「まぁそうだよな。」
アッシュ「良いのが残ってるといいが。」
・・・
・・
・
自分の番になり食料を受けとる。
この生活もいつまで続くのだろうか。
フィラー「アッシュー、こっちだー。」
フィラーが席を確保していたようだ。
フィラーの横の席に座る。
フィラー「今日もパンだが昨日のとは違うな。」
アッシュ「物足りなかったらそこにある調味料で味付けでもすればいい。」
フィラー「頭いいなお前。」
アッシュ「そりゃどうも。」
パンを食べながらデア巡査とヴィスタ警部補の事が頭を過る。
アッシュ「なぁ、フィラー。」
フィラー「ンーー??」
ケチャップのかけられたパンを頬張りながら答えるフィラー。
アッシュ「デア巡査ってヴィスタ警部補と同期だったよな。」
フィラー「だったね。前に言ってたね。」
アッシュ「頬にケチャップついてんぞ……。……いや、デア巡査ならヴィスタ警部補の目の傷、何があったのか知ってるかもしれないなって。」
フィラー「あぁ!!そうだな!!!後で聞きに行こうぜ!!」
アッシュ「食い終わってからな。」
・・・
・・
・
アッシュ「よし、ごちそうさま。」
フィラー「やー食った食った。少ないけど。」
パンの袋をゴミ箱に捨て、食堂から出る。
アッシュ「ヴィスタ警部補とデア巡査を探そう。」
フィラー「衝撃の事実が知れるかもな!」
ヴィスタ警部補を探す。
・・・
・・
・
ヴィスタ警部補とデア巡査が談笑しているのを見つけた。
フィラー「おっ、ちょうど良いなぁ。」
アッシュ「ヴィスタ警部補!デア巡査!」
ヴィスタ「おっ?どうかしたか?」
デア「遠征組のチビッ子かー。どうしたー?」
アッシュ「デア巡査ってヴィスタ警部補と同期でしたよね。」
デア「おうそうだぞー。ヴィスタとは長いぞー?」
ヴィスタ「腐れ縁に近いがな。」
ヴィスタ警部補が呆れたように言う。
デア「で?それが?どうした?」
フィラー「デア巡査ならヴィスタ警部補の目の傷の事知ってるかなーと思って。」
そう聞いたデア巡査が吹き出して笑いながら腹を抱えて崩れ倒れる。
アッシュ・フィラー「!?」
ヴィスタ警部補は恥ずかしがるように両手で顔を押さえている。
デア「いやwwwwwwほんとwwwwwwお前らwwwwww賢いなwwwwwwあぁ〜〜ハッハッ!!wwwwwww」
ヴィスタ「そこは…………気付かないで欲しかったな……。」
アッシュ「えっ……と、何があったんですか……?」
デア「いやーー実はねぇwww」
ヴィスタ「待てデア!!いいか……アッシュ、フィラー…世の中にはな……知る必要の無いことだってあるんだ……。な?」
フィラー「は、はぁ。」
デア「別にいーじゃないっすかぁヴィスタぁ。俺の口から出るのが嫌なら自分から言えば良いんじゃないっすかぁ?」
ヴィスタ「(大きな溜め息)」
ヴィスタ警部補は頭を抱えている。
ヴィスタ「(溜め息)。……仕方ない……。場所を移そう。」
デア「おっ、覚悟決めたっすねぇ?」
ヴィスタ「デア。」
デア「へいへい。」
ヴィスタ警部補に付いて行き、事務室の奥の部屋に入る、恐らく会議に使われている部屋だろう。
ヴィスタ警部補が椅子に座る。
ヴィスタ「まぁ、どこでもいいから座ってくれ。」
デア「あぁ、俺はいいっすよ、こうやって壁にもたれてる方が好きなんで。」
アッシュ「は、はぁ。」
適当な席に座る。
ヴィスタ警部補が深呼吸をする。
ヴィスタ「あれは……自分とデアがここに勤めてから3年と少しが経った時だった。」
デア「懐かし〜!」
ヴィスタ警部補がデア巡査を睨む。
デア「おうっと。どーぞ続けて。」
ヴィスタ「その時自分は段ボールに入った荷物を運んでいる最中だった。……突然、背の低い同僚に話し掛けられてな。棚の上にある箱を取って欲しいと頼まれた。……もちろん、その時運んでいた荷物を一旦置いて、棚の上にある箱を取ろうとした。……重かったんだ。その時、その箱の中身はは知らなかったんだ……。……持ち上げて降ろそうとした瞬間、荷物の重心がズレたんだ。……後は……分かるだろう…?」
アッシュ「バランスを崩した……?」
ヴィスタ「……そうだ。バランスを崩し、何かに自分の顔を強く引っ掻かれた……。」
アッシュ「うわぁ……。」
ヴィスタ「あの時の衝撃は今でも覚えてるよ。」
フィラー「何に引っ掻かれたんだ?」
ヴィスタ「……。」
デア巡査が笑いを堪えている。
ヴィスタ「その前に、箱には何が入っていたと思う?」
アッシュ「……引っ掻かれたんだから……猫でも入ってたんですか?」
ヴィスタ警部補は首を横に振る。
デア巡査は笑いを必死に堪えている。
フィラー「勿体ぶらないで教えたらいいじゃないっすか。」
ヴィスタが少し黙り混む。
・
・
ヴィスタ「………鉄アレイだ。軽めのが沢山入っていた。」
アッシュ・フィラー「は?」
アッシュ「え?じゃあ引っ掻かれたっていうのは?」
ヴィスタ「あれは物の例えだ。引っ掻かれたのは事実だが。」
デア巡査が笑いを堪えすぎて凄い顔になっている。
フィラー「じゃあ引っ掻かいたのは一体?」
ヴィスタ「箱だ。」
・
・
・
ヴィスタ「箱だ。箱!鉄アレイが入ってた箱!」
デア巡査が笑い崩れる。
アッシュ・フィラー「(唖然)」
デア「ふぁwwwwあwwwwはwwwんでwwwwwその後のwwwwwwヴィスタwwwwwほんとwwwwマジでwwwwwファーーーーwww」
ヴィスタ警部補が椅子から立ち上がり、
笑い転げてるデア巡査に近づき
デア巡査を思いっきり蹴る。
デア「いでぇぇぇっっっっ!!!何すんすかヴィスタぁ!!!」
ヴィスタ「いい加減にしろ…。」
デア「ふぁふwまぁまぁ、その後の事はたぶん俺の方が知ってますよw」
アッシュ・フィラー「(呆然)」
デア巡査が立ち上がる。
デア「ふぅ……で、すげぇ物音がしたから何事かと向かったら、血を垂らしながら顔を覆って蹲っているヴィスタと周辺に転がってる軽めの鉄アレイ、そして血のついた箱。んで流石にヴィスタが心配になって近寄ってみたら、ヴィスタが顔面血塗れになってた訳よ。まーそりゃ最初は驚いたね。」
デア巡査はへらへらとしながら話す。
ヴィスタ警部補は俯いている。
デア「んで、ヴィスタを救護室に連れてくように同僚に頼んだんだ。俺はお片付けさ。ま、血の処理程度なら慣れっこだったしな。」
デア巡査がヴィスタ警部補の方を見る。
デア「そこだけは感謝してくれよぉ?ヴィスタぁ?」
ヴィスタ「お前のその態度さえ改めればな。」
デア「へへへ。」
デア「まぁこのまま長々と聞くのも飽きてきたろう。手短に話すぞー。」
フィラー「(呆然)」
アッシュ「あ、あぁ……おう……。」
デア「結局、ヴィスタは全治2週間程度の大ケガ。それでも仕事しようとする姿は凄まじかったなwww!鉄アレイと箱は……どうなったっけな……まぁ、廃棄された筈だね。」
ヴィスタ「地下倉庫にあると聞いた気がするが…?」
デア「まぁあったところでどうにでもならないっスよ。」
ヴィスタ「……それもそうだな。……見たくもないが。」
デア「へへへ。……で、ヴィスタの目は今のこんな感じで傷痕が残ったって訳だ。その傷のお陰で警部補になれたようなもんじゃないか?なぁヴィスタ?」
ヴィスタ「否定はしないでおこう。……威厳は出るからな…。」
デア「マンガとかでさ、目の傷っつったら相当な理由があったりするだろwww?でもヴィスタは……箱w!!箱だよww!!箱wwww!!!今となってはいい笑い話……っっだぁっっっ!!痛った!」
ヴィスタ警部補がデア巡査の肩をグーで殴る。
ヴィスタ「もういいだろう。真実はこれで知れたんだ。さぁ、解散解散。」
アッシュ「はぁ……。」
フィラー「箱……。」
部屋から出ようとすると二人共ヴィスタ警部補に肩を掴まれる。
ヴィスタ「この事は、他言無用……だよな?」
アッシュ・フィラー「アッハイ。」
避難生活をしている中でこれほど恐怖に思ったことはない。
ヴィスタ「もうこんな時間だが、私はまだデア巡査と話したい事があるんだ。二人は休んでいてくれ。」
デア「なんすかヴィスタ警部補ぉ。」
ヴィスタ「理由はその口がよく知ってるだろう?聞いてみたらどうだ?塞いでいた方がいいかもしれないがな。」
デア「お、お手柔らかにぃ……。」
自分達は遠征組用の寝室へ向かう。さっきの部屋から鈍い音がした気がするが何も聞こえなかった事にする。
フィラー「……黙っとこうな。」
アッシュ「……ああ。」
寝室に入り、自分とフィラーのスペースに近付くと、すぐ隣のスペースの遠征組員に話しかけられた。
遠征組員A「お、お帰り、アッシュ、フィラー。」
遠征組員B「こっちは今寝ようとしてたところだ。明日は俺達だからな。」
アッシュ「あぁ、そうか。……死ぬなよ。」
簡易ベッドに倒れ込む。
遠征組員B「任せとけって、明日の俺達の成果を楽しみにしとけよ?お前らに負けない成果だしてやるからな!」
遠征組員A「あまり調子に乗るな。外に出たらいつ死ぬことになるか分からないんだぞ。」
フィラー「程々に頑張れよー。……今日はちょっと疲れたぜ……。」
アッシュ「本当にな……。」
遠征組員A「……まぁ、今日は休め。明日の遠征は任せろ。」
アッシュ「おう……頼んだ……。おやすみ……。」
遠征組員A・遠征組員B・フィラー「おやすみー。」
また今日も生き延びる事が出来た。
……明日も生き延びるんだ。
アーゴ「おぉ!戻ったか!」
イルデ「今日も戻ってこれたねぇ!」
アッシュ「ええ、お陰さまで。」
フィラー「成果もまぁ十分だーよっと。」
フィラーがリュックを下ろす。自分も下ろす。
フィラー「燃料と少しの食料。やっぱ重いなぁこれ……。」
アッシュ「東にあるコンビニが併設されたガソリンスタンドに行ってきました。本当はその後に食料品店にも行くつもりだったんですけどね……。」
フィラー「化け物が沢山いて、それどころじゃなくなった。これ背負って戦うのも嫌だからねぇ。」
アーゴ「化け物達も食べ物が要るのかもしれないな…。とにかく、お疲れ様。」
イルデ「その成果やら遠征で見たものとか、ヴィスタ警部補に報告してきな。あたし達も気になるけどね。」
フィラー「そうすっか。行こうぜ、アッシュ。」
アッシュ「だな。」
リュックを持ってヴィスタ警部補の元へ向かう。
ヴィスタ「おぉ!戻ってきたか!二人とも!(咳払い)…おかえり、二人とも。その荷物を見るに……成功か?」
アッシュ「ええ、食料は微妙ですが。」
フィラー「食料品店に化け物が集まらなければねぇ。他はいつも通り。」
ヴィスタ「過ぎた事にどうこう言っても仕方がない。今は二人が戻ってきてくれた事が一番だ。」
アッシュ「予定通り東にある、コンビニが併設されたガソリンスタンドに行きました。ただ、既に誰かが来ていたような形跡がありました。」
ヴィスタ「外にも他の生存者がいるかもしれないということか……。」
アッシュ「恐らく。」
フィラー「で、この荷物どうしますー?」
ヴィスタ「こちらでやっておこう。デア!ちょっと来てくれ!!」
デア「うぃーーーーーー。」
奥から金髪のウザそうな男性が出てきた。デア・イスパー巡査。ヴィスタ警部補と同期らしい。
デア「おー、お前ら戻ってきたかー。で、何ですヴィスタぁー。まぁ見れば分かりますけど。」
ヴィスタ「二人が持ち帰ってきた荷物を運ぶぞ。」
デア「まぁーーーそうなりますよねぇーー。ちぇっ。」
デアが渋々荷物を持ち上げる。ヴィスタも荷物を持ち上げる。
ヴィスタ「二人は遠征で疲れただろう。休んでいてくれ。シャワー室は使える状態だぞ。タオルもいつもの場所に置いてある。」
アッシュ「分かりました。では、失礼します。」
フィラー「シャワータイムだシャワータイム!」
フィラーとシャワー室に向かう。
デア「あー俺もシャワー浴びてスッキリしてぇなぁ〜。」
ヴィスタ「シャワー室は遠征組が優先だ。私達は後だろう。」
デア「ちぇーー。」
デア巡査とヴィスタ警部補は一見相反する性格に見えるが同期故かかなり仲が良い。
今度昔の事でも聞いてみようか。今日にでも。
そうこう考えている内にシャワー室に着いた。
フィラー「シャワータイム!これの為に遠征してるようなもんだな!」
アッシュ「どうだかな。」
しかし遠征で体動かした後のシャワーが気持ちいいのは確かだ。
脱衣場で服を脱ぐ。
・・
・
フィラー「なぁ……アッシュ……。」
アッシュ「どうした?」
フィラーが俯いて黙り込む。
アッシュ「フィラー?どこか怪我でもしてたか?」
フィラー「いや……何でもない!」
フィラーはまたいつものようなへらへらした表情になる。
アッシュ「……何かあったら言えよ。」
フィラー「わーかってる、わーかってる!」
服を脱ぎ終わり、シャワータイム。
至福の一時、束の間の休息。
……避難生活が始まってからか……?
自身の愚息……チン○が日に日にほんの少しずつ大きくなっているような気がする。
まぁ、大きいに越した事はないだろう。
・・・
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シャワータイムを終え、カゴに入ってたタオルを取り、体を拭く。
アッシュ「さっぱりしたな……。フィラーは……もう出てるか。」
恐らくシャワー室の前にいるのだろう。
自分も早く服を着てシャワー室から出る。
フィラー「おっ、出たな。」
アッシュ「待たせたな。」
フィラー「へへ、……もうそろそろ飯か?」
時計を確認する。
アッシュ「もう配ってる時間だろう。食堂に行くぞ。」
フィラー「はいはーい。」
食堂へ向かう。避難生活故に一人に対する量は多くない。
時々不満を漏らす生存者がいるが、ヴィスタ警部補や他の警官がどうにかなだめている現状だ。今日の遠征で食料品店にも向かうべきだっただろうか?
食堂に着いた。既に人が並んでいる。
フィラー「まぁそうだよな。」
アッシュ「良いのが残ってるといいが。」
・・・
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自分の番になり食料を受けとる。
この生活もいつまで続くのだろうか。
フィラー「アッシュー、こっちだー。」
フィラーが席を確保していたようだ。
フィラーの横の席に座る。
フィラー「今日もパンだが昨日のとは違うな。」
アッシュ「物足りなかったらそこにある調味料で味付けでもすればいい。」
フィラー「頭いいなお前。」
アッシュ「そりゃどうも。」
パンを食べながらデア巡査とヴィスタ警部補の事が頭を過る。
アッシュ「なぁ、フィラー。」
フィラー「ンーー??」
ケチャップのかけられたパンを頬張りながら答えるフィラー。
アッシュ「デア巡査ってヴィスタ警部補と同期だったよな。」
フィラー「だったね。前に言ってたね。」
アッシュ「頬にケチャップついてんぞ……。……いや、デア巡査ならヴィスタ警部補の目の傷、何があったのか知ってるかもしれないなって。」
フィラー「あぁ!!そうだな!!!後で聞きに行こうぜ!!」
アッシュ「食い終わってからな。」
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アッシュ「よし、ごちそうさま。」
フィラー「やー食った食った。少ないけど。」
パンの袋をゴミ箱に捨て、食堂から出る。
アッシュ「ヴィスタ警部補とデア巡査を探そう。」
フィラー「衝撃の事実が知れるかもな!」
ヴィスタ警部補を探す。
・・・
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ヴィスタ警部補とデア巡査が談笑しているのを見つけた。
フィラー「おっ、ちょうど良いなぁ。」
アッシュ「ヴィスタ警部補!デア巡査!」
ヴィスタ「おっ?どうかしたか?」
デア「遠征組のチビッ子かー。どうしたー?」
アッシュ「デア巡査ってヴィスタ警部補と同期でしたよね。」
デア「おうそうだぞー。ヴィスタとは長いぞー?」
ヴィスタ「腐れ縁に近いがな。」
ヴィスタ警部補が呆れたように言う。
デア「で?それが?どうした?」
フィラー「デア巡査ならヴィスタ警部補の目の傷の事知ってるかなーと思って。」
そう聞いたデア巡査が吹き出して笑いながら腹を抱えて崩れ倒れる。
アッシュ・フィラー「!?」
ヴィスタ警部補は恥ずかしがるように両手で顔を押さえている。
デア「いやwwwwwwほんとwwwwwwお前らwwwwww賢いなwwwwwwあぁ〜〜ハッハッ!!wwwwwww」
ヴィスタ「そこは…………気付かないで欲しかったな……。」
アッシュ「えっ……と、何があったんですか……?」
デア「いやーー実はねぇwww」
ヴィスタ「待てデア!!いいか……アッシュ、フィラー…世の中にはな……知る必要の無いことだってあるんだ……。な?」
フィラー「は、はぁ。」
デア「別にいーじゃないっすかぁヴィスタぁ。俺の口から出るのが嫌なら自分から言えば良いんじゃないっすかぁ?」
ヴィスタ「(大きな溜め息)」
ヴィスタ警部補は頭を抱えている。
ヴィスタ「(溜め息)。……仕方ない……。場所を移そう。」
デア「おっ、覚悟決めたっすねぇ?」
ヴィスタ「デア。」
デア「へいへい。」
ヴィスタ警部補に付いて行き、事務室の奥の部屋に入る、恐らく会議に使われている部屋だろう。
ヴィスタ警部補が椅子に座る。
ヴィスタ「まぁ、どこでもいいから座ってくれ。」
デア「あぁ、俺はいいっすよ、こうやって壁にもたれてる方が好きなんで。」
アッシュ「は、はぁ。」
適当な席に座る。
ヴィスタ警部補が深呼吸をする。
ヴィスタ「あれは……自分とデアがここに勤めてから3年と少しが経った時だった。」
デア「懐かし〜!」
ヴィスタ警部補がデア巡査を睨む。
デア「おうっと。どーぞ続けて。」
ヴィスタ「その時自分は段ボールに入った荷物を運んでいる最中だった。……突然、背の低い同僚に話し掛けられてな。棚の上にある箱を取って欲しいと頼まれた。……もちろん、その時運んでいた荷物を一旦置いて、棚の上にある箱を取ろうとした。……重かったんだ。その時、その箱の中身はは知らなかったんだ……。……持ち上げて降ろそうとした瞬間、荷物の重心がズレたんだ。……後は……分かるだろう…?」
アッシュ「バランスを崩した……?」
ヴィスタ「……そうだ。バランスを崩し、何かに自分の顔を強く引っ掻かれた……。」
アッシュ「うわぁ……。」
ヴィスタ「あの時の衝撃は今でも覚えてるよ。」
フィラー「何に引っ掻かれたんだ?」
ヴィスタ「……。」
デア巡査が笑いを堪えている。
ヴィスタ「その前に、箱には何が入っていたと思う?」
アッシュ「……引っ掻かれたんだから……猫でも入ってたんですか?」
ヴィスタ警部補は首を横に振る。
デア巡査は笑いを必死に堪えている。
フィラー「勿体ぶらないで教えたらいいじゃないっすか。」
ヴィスタが少し黙り混む。
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ヴィスタ「………鉄アレイだ。軽めのが沢山入っていた。」
アッシュ・フィラー「は?」
アッシュ「え?じゃあ引っ掻かれたっていうのは?」
ヴィスタ「あれは物の例えだ。引っ掻かれたのは事実だが。」
デア巡査が笑いを堪えすぎて凄い顔になっている。
フィラー「じゃあ引っ掻かいたのは一体?」
ヴィスタ「箱だ。」
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ヴィスタ「箱だ。箱!鉄アレイが入ってた箱!」
デア巡査が笑い崩れる。
アッシュ・フィラー「(唖然)」
デア「ふぁwwwwあwwwwはwwwんでwwwwwその後のwwwwwwヴィスタwwwwwほんとwwwwマジでwwwwwファーーーーwww」
ヴィスタ警部補が椅子から立ち上がり、
笑い転げてるデア巡査に近づき
デア巡査を思いっきり蹴る。
デア「いでぇぇぇっっっっ!!!何すんすかヴィスタぁ!!!」
ヴィスタ「いい加減にしろ…。」
デア「ふぁふwまぁまぁ、その後の事はたぶん俺の方が知ってますよw」
アッシュ・フィラー「(呆然)」
デア巡査が立ち上がる。
デア「ふぅ……で、すげぇ物音がしたから何事かと向かったら、血を垂らしながら顔を覆って蹲っているヴィスタと周辺に転がってる軽めの鉄アレイ、そして血のついた箱。んで流石にヴィスタが心配になって近寄ってみたら、ヴィスタが顔面血塗れになってた訳よ。まーそりゃ最初は驚いたね。」
デア巡査はへらへらとしながら話す。
ヴィスタ警部補は俯いている。
デア「んで、ヴィスタを救護室に連れてくように同僚に頼んだんだ。俺はお片付けさ。ま、血の処理程度なら慣れっこだったしな。」
デア巡査がヴィスタ警部補の方を見る。
デア「そこだけは感謝してくれよぉ?ヴィスタぁ?」
ヴィスタ「お前のその態度さえ改めればな。」
デア「へへへ。」
デア「まぁこのまま長々と聞くのも飽きてきたろう。手短に話すぞー。」
フィラー「(呆然)」
アッシュ「あ、あぁ……おう……。」
デア「結局、ヴィスタは全治2週間程度の大ケガ。それでも仕事しようとする姿は凄まじかったなwww!鉄アレイと箱は……どうなったっけな……まぁ、廃棄された筈だね。」
ヴィスタ「地下倉庫にあると聞いた気がするが…?」
デア「まぁあったところでどうにでもならないっスよ。」
ヴィスタ「……それもそうだな。……見たくもないが。」
デア「へへへ。……で、ヴィスタの目は今のこんな感じで傷痕が残ったって訳だ。その傷のお陰で警部補になれたようなもんじゃないか?なぁヴィスタ?」
ヴィスタ「否定はしないでおこう。……威厳は出るからな…。」
デア「マンガとかでさ、目の傷っつったら相当な理由があったりするだろwww?でもヴィスタは……箱w!!箱だよww!!箱wwww!!!今となってはいい笑い話……っっだぁっっっ!!痛った!」
ヴィスタ警部補がデア巡査の肩をグーで殴る。
ヴィスタ「もういいだろう。真実はこれで知れたんだ。さぁ、解散解散。」
アッシュ「はぁ……。」
フィラー「箱……。」
部屋から出ようとすると二人共ヴィスタ警部補に肩を掴まれる。
ヴィスタ「この事は、他言無用……だよな?」
アッシュ・フィラー「アッハイ。」
避難生活をしている中でこれほど恐怖に思ったことはない。
ヴィスタ「もうこんな時間だが、私はまだデア巡査と話したい事があるんだ。二人は休んでいてくれ。」
デア「なんすかヴィスタ警部補ぉ。」
ヴィスタ「理由はその口がよく知ってるだろう?聞いてみたらどうだ?塞いでいた方がいいかもしれないがな。」
デア「お、お手柔らかにぃ……。」
自分達は遠征組用の寝室へ向かう。さっきの部屋から鈍い音がした気がするが何も聞こえなかった事にする。
フィラー「……黙っとこうな。」
アッシュ「……ああ。」
寝室に入り、自分とフィラーのスペースに近付くと、すぐ隣のスペースの遠征組員に話しかけられた。
遠征組員A「お、お帰り、アッシュ、フィラー。」
遠征組員B「こっちは今寝ようとしてたところだ。明日は俺達だからな。」
アッシュ「あぁ、そうか。……死ぬなよ。」
簡易ベッドに倒れ込む。
遠征組員B「任せとけって、明日の俺達の成果を楽しみにしとけよ?お前らに負けない成果だしてやるからな!」
遠征組員A「あまり調子に乗るな。外に出たらいつ死ぬことになるか分からないんだぞ。」
フィラー「程々に頑張れよー。……今日はちょっと疲れたぜ……。」
アッシュ「本当にな……。」
遠征組員A「……まぁ、今日は休め。明日の遠征は任せろ。」
アッシュ「おう……頼んだ……。おやすみ……。」
遠征組員A・遠征組員B・フィラー「おやすみー。」
また今日も生き延びる事が出来た。
……明日も生き延びるんだ。
19/04/09 22:29更新 / オニタケ
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