ケーキより好きなもの。

 


 ここは魔界の、とある街。
 夜の帳が下りて久しい、街の住民が寝静まる時刻。
 何処か遠くから、ワーウルフ種の遠吠え (性的な意味で) が聞こえてくる。


 そこは、街外れ。 
 ぽつぽつと少数の家屋が点在する、小高い丘の上。
 そこには、遠くからでもよく目立つ、一軒の大きな屋敷があった。

 だいぶ昔にに建てられた物なのか、あちこち傷んで寂れているその屋敷には、
 それでも確かに、手入れが行き届いていて………
  しかし、人の気配は、何処にも無かった。

 寝息の一つも、聞こえてはこない。


 それもそのはず。

 この屋敷の住人は今、地面の下に居るのだから。


 屋敷内の目立たない片隅、大きく頑丈な鋼鉄の扉の奥、石の階段を長々と下った先。
 これまた鋼鉄で出来た扉を開けると、粗末なベッドやボロボロの机が置いてあるだけの、狭くて殺風景な部屋がある。

 そこに居る者に圧迫感を感じさせる、石造りの堅牢な地下室。
 その壁は魔術により補強され、例え直下型地震が起きようとも、崩落する事は無い。
 また、防音対策も完璧で、どんなに大きな音を立てようとも、外には決して聞こえる事は無いだろう。


 例え、誰かがここで、悲鳴や絶叫を喚き散らそうとも。


 日の光は決して入らない、ランタンと蝋燭のみを光源とするこの部屋で。

 空気が淀み、ジメジメと湿気のこもる、カビ臭いこの部屋で。

 一人の少女が、甲高い叫び声を上げていた。


 「…はなせーッ!! ここから、出せーーッ!!!」


 その少女は、手の平より少し大きめ位の、本当に小さな女の子で………

 薄く透ける、花弁を模した衣装を身に纏う、可愛らしい格好に。
 幼い顔立ちに気の強さを窺わせる、軽く吊り上った眉と目尻。
 燃えるような真紅の瞳に、エルフを連想させる、特徴的な尖った耳をして。
 赤銅のショートヘアに、背中に紅く光る蝶々の羽を生やす、彼女は。
 とても人間には、見えなかった。


 フェアリーという名の種族である少女は…部屋中央の、小さな作業台の上に居た。

 ………ただし。


 仰向けのまま、両手両足を作業台の上に、拘束具で磔にされて。


 両手はバンザイの形に。
 両足は、股を広げたコの字を描く形に、手首、足首、太股を固定されている。
 その美しい羽は、背中と作業台の間で押さえられ、動かすことすら、儘ならない。

 彼女は、全く身動きのとれない、あられも無い姿で。
 さながら、蝶々の標本のように拘束されていた。


 「ちょっと聞いてるッ!? これを外してッ!! ボクをここから出してよぉッ!!」


 今の自分の格好に、羞恥と屈辱に頬を染める少女は、作業台の傍らに立つ人影へと声を荒げる。

 こげ茶色の髪の毛に、同じくこげ茶色の瞳。
 華奢な体格ではあるが、肉付きからして、おそらく若い男。
 至って普通のズボンに、白いワイシャツという、何処にでもいそうな出で立ち。
 
 その人影は、ただただ、黙っている。


 「…こんな恰好させてぇ! 絶対許さないんだからッ!! バカッ! 死んじゃ………」

 「うるさいッッ!!」

 「ひッ!?」


 突然、少女の言葉を遮るように、大声で恫喝する人影。
 急に響いた大声に、身を強張らせ、怯える少女。


 「……全部……全部、お前が悪いんだ。 お前が………」


 声を震わせ、怒りを露わにする男。
 その顔は凛々しく精悍な顔つきで、普通にしていれば、美男子と呼べるのだが………

 顔は激情に歪み、肩をワナワナと怒らせ。
 ギュッと握った拳の中で、爪が手の平に食い込む。
 …今の彼からは、その凛々しさや精悍さは、一片たりとも、感じられなかった。


 おもむろに男は両手を振り上げ、バンッと手の平を作業台へと叩きつける。
 ガタンッと、大きく揺れる作業台。

 目を固く瞑り、その衝撃に耐える、作業台中央の、小さな少女。


 「…お前が、あんな事するから。 俺は……こんな事を………」


 男が恨みの籠った目で、少女を睨む。
 怯える少女は、唯一動く顔を逸らして、その視線に耐えるので精一杯だ。


 「……お前が………ッ! 俺の………ッ!!」


 興奮で、一層荒くなる呼吸。
 大きく息を吸い込んだ男は、全身全霊、全力を込めたその言葉を、思いっきり、小さな少女へとぶつけて………

 
 「俺のチンポをッ!! 粗チンなんて言うからぁッッ!!!」




 ………




 …5秒ほど、空気が凍りついた。



 「な、なにさぁっ!! ホントの事でしょぉっ!!」

 「…割とッ! 割と自信あったのにッ!! それを、お前はぁッ!!」

 「…はっ! そんな粗ちんがぁ? 自信過剰じゃぁないのっ!?」

 「その粗チンに、夜な夜な喘がされてるお前が言う言葉かぁッ!?」

 「…う、うるさいなぁっ! 恋人のちんぽなんだから、気持ち良くて当たり前じゃない!」

 「じゃあなんでその恋人のチンポを、粗チンだなんて言うんだよッ!?」

 「…そ、それは………  もっと大きくなってくれたら、嬉しいかな〜〜って………

 「……うん? なんだって?」

 「……うっさいば〜かっ! ふんっ!」

 「意味分かんねぇよっ!?」


 ……どうやらこの二人、これでも恋人同士のようだ。
 しかし、幾ら自分のモノをバカにされたからと言って、ここまでするものだろうか。

 ……と、そこへ。
 奥の暗闇から、同じく少女と思われる、二人分の声が聞こえてきた。


 「…全く、相変わらず騒々しいなぁ、君らは。 なぁ、シルキー?」

 「これがこのふたりなんだから、しょうがないよ〜、ティニちゃん。」


 一人は、ティニと呼ばれた、少し大人びた、黒髪、白羽の少女。
 光を反射するでこっぱちに、後ろで結んだ長いポニーテールが印象的だ。
 
 もう一人は、シルキーと呼ばれた、ほんわかとした、水色髪、青羽の少女。
 サラサラと髪を棚引かせながら、ほにゃりと笑うその姿は、とても可憐。
 
 作業台に拘束された少女と同じ、フェアリーの少女二人が、闇の中から姿を現し。
 天井に吊るされたランタンの明かりの下、暖か味のあるオレンジに照らされた二人の方へ、フワフワ、漂うように飛んできた。


 「ティニ! シルキー! さてはお前らもグルかぁッ!!」
 
 「グルとは人聞きの悪いな、フィル。実行犯はリンのみ。
  私達は、君が連れていかれるのを隠れて見てただけ。」

 「じゃあなんで助けてくれなかったんだよぉッ!!」

 「力比べで、私達がリンに敵う筈が無いからね。 それに………」

 「たすけないほうが、おもしろそうだったしねぇ〜〜♪」

 「おまえらぁッ!?」


 フィルと呼ばれた磔のフェアリーが、現れた2人のフェアリーに向けて、睨みつける。
 それをさらりと受け流し、余裕綽々に答えてみせる、ティニとシルキー。
 
 そんな中、リンという名前らしい男…いや青年は、頭を押さえ、軽く溜息を吐き………
 憤るフィルに向けて、低い声で、言い聞かせるように話を再開する。


 「……フィル。 別に俺だって、好きでこんな事をした訳じゃないんだ。
  現に今まで、お前ら妖精達のイタズラや失態は、全部笑って許してきたし……
  お前の影でやらかしたであろう所業にも、特に追求する事も無かった………」

 「…なら、今すぐコレ外してよぉっ!!
  それにボク、そんなひどい事、したつもりは………!!」

 「…砂糖と塩の容器の中身が逆になってたり、
  作ってた船の模型の部品がひとつだけ無くなってたり、
  読もうとした本がお菓子やジュースでベタベタだったり、
  そのお菓子やジュースは、全部俺からパクった物だったり。」

 
 気付いて無いとでも思ったか? と、リン。
 
 …フィルは、内心大いに慌てて、視線をあちこちに泳がせる。
 どうやら、イタズラは全て露見済み、だったようである。

 しかし、これといって決定的な証拠がある訳では無い。
 そこに思い至ったフィルは、強気な表情と声色で、自分をジト目で睨むリンに対し、反論する。


 「……へ、へんっ! そんなの、ボクがやったって証拠は………」



 「そこの2人からケーキ詰め合わせセットで、既に取引済み。」

 「うらぎりものぉッ!?」

 「悪いな、フィル。 『ケイズ・ケイク』のケーキには、流石に勝てん。」

 「あそこのケーキ、ほっぺたとろけちゃうくらい、おいしいもんね〜♪」

 「…うぅ………っ」


 ケーキで自分を売られた事に、愕然とするフィル。
 しかし、仮に自分が2人と同じ立場だったら、間違いなくケーキの誘惑に負けているであろうフィルには、彼女達を強く責める事が出来ない。

 妖精種は、甘いものに弱いのだ。

 リンは話を続ける。


 「…しかし。 
  例え今までの所業を許したとしても………
  今回ばかりは、許されない。 ……許されないんだ。」

 「……くっ………!」

 
 納得いかないのか、フィルはしぶとく言い返す。


 「……だからって!! 何もここまでする事はないだろぉ!!?
  それにッ! その程度なら、ティニやシルキーだってやってるじゃんッ!
  なんでボクだけ………ッ!!」

 「…言っとくが、私達は、イタズラしても後でちゃんと謝ってるからな? …君と違って。」

 「…なん……だと………?」

 「そうだよ〜? わるいことしちゃったあとは、ごめんなさいってちゃんとあやまるの。 
  そしたら、こんどはベッドのなかで、リンくんと〜……… にゅふふっ♪」

 「ふざけてイタズラしても、何か間違った事をしても。 後でちゃんと謝る。
  …そして、謝った日の夜は、言葉要らず、仲直りのエッチ。 
  私達カップルの間の、暗黙の了解だと思っていたんだが………」

 「………」

 「…君の場合、素直になる事が、何よりも大切だな………」

 「エッチするときは、すっごいスナオなのにね〜〜、フィルちゃん。」

 「う、うるさいっ!」


 ……この青年、彼女ら3人のフェアリー達全員と、恋仲であるらしい。
 全国の紳士達が知ろうモノなら、嫉妬と羨望で発狂しそうな事実である。

 そんな青年に、怨嗟の篭った呪詛の念が送られたかどうかは、定かでは無い。
 

 「…この際だから言うが、俺はイタズラを許した訳じゃないんだからな?
  仕事も捗るし、出来れば平穏に………」

 「…でもリンくん、イタズラすると、いつもよりちんちんおっきくなるよね?」

 「………な」

 「しかも、普通にヤる時と比べて、仲直り"の夜の方が感度も大きさも段違いだ。
  ……身体は素直なのだから、心も素直になった方がいいと思うぞ? リン。」

 「あははっ♪  フィルちゃんといっしょだ〜〜〜っ♪」

 「……リンのば〜か……」

 「………」


 そのまま、黙り込むリア充。 いや、青年。

 今までの会話の中でも、このフェアリー達と青年が、お互いに悪い間柄では無い、
むしろ良い関係を築けている事が、ありありと伝わってくるのだが………

 しかし、ならば何故フィルは、こんな目に?

 そこの所は、ティニとシルキーも同じ事を思っていたようで………
 2人して、急に納得いかないという表情になって、リンを問い質す。


 「…でも、リンくん? フィルちゃんのいうことも、もっともだとおもうよ?」

 「それについては私も同感だ。 何も、ここまですることは無いんじゃないか? 
  自身の身体的特徴を貶されて憤りを抱く気持ちは、私達にも分かるつもりだが……… 
  薄暗い地下室で、四肢を拘束具 (セロテープ) で磔にした挙句、
  辱めようとするなどとは……… 
  いくらなんでも、やり過ぎだと思うのだが。」

 「……まぁ、最後まで話を聞いてくれ………」


 そう言ってリンは、2人の方へ顔を向ける。


 「別に俺は、フィルに粗チンと言われた事だけに、怒っている訳では無いし………
  過去の所業について怒っているわけでも、無いんだ。」
 

 粗チン発言自体は、許されざる事だが。 と、付け足すリン。


 「……どういう事だ?」

 「……明日が、俺達にとってどんな日か、覚えてるか………?」

 「………。 私達が君と初めて出会った日。 そして、私達と君が一緒に暮らし始めて、
  丁度1年となる日だ。 忘れるはずがない。」

 「そして、はじめてをリンくんにささげたひ〜〜♪ 
  あのときのリンくん、すんごくはげしかったなぁ〜〜♪ 
  しょじょまくやぶったばっかりなのに、ごっちゅんごっちゅんついてくるんだもんっ♪ 
  わすれたくても、わすれられないよ〜〜♪♪」

 「……あぁ。 まさか、たった数十分で堕とされるとは、思いもしなかった……… 
  一つ付け足すなら………
  リンと、そのペニスの虜になってしまった日とも、言えるかもしれないな………♪」

 「リンくんの、すけべ〜〜♪」


 そう言葉を続けながら、内股をもじもじと擦り合わせる2人の妖精。
 …軽くスイッチが入ってしまったのか、2人は切なげな表情で、リンを見つめる。


 「……余計な事は思い出さなくてもよろしい。 
  …あと発情すんな。 今は構ってやれない。」

 「………え? もしかして……… …え………?」


 白い肌を薄く上気させ、桃色の世界に片足を突っ込んでいるティニとシルキーには、
脂汗をドッと噴出させながら、挙動不審に陥っているフィルに、気付けない。
 唯一、その様子に気付いているリンだけは、彼女の事をチラリと見て溜息を付きつつ、話を続ける。


 「……まぁ、覚えているならいいんだ。 ……そんでな………」


 リンは、一呼吸置いて……彼女達が、自分の言葉を聞き逃さないよう、ゆっくりと話す。


 「…出会って1年、最初の記念日。 
  それも俺とお前らだけの特別な日だから、どうせなら豪華に行こうと思って……… 
  『ケイズ・ケイク』の、週12個限定スペシャル・ザッハトルテ。
  ケイン店長とのコネ使って予約してた、まるまる1ホール。 
  ……買ってきたんだよ。」



 「「………………マジで?」」

 「マジで。」


 
 「………それは本当なのかっ!? 
  あの『ケイズ・ケイク』の店長が魂を込めて、しかもたった1人で創るが故に、
  1週間に1ホール、12切れ分しか創ることが出来ないと言われる、
  幻のザッハトルテを……… まるまる1ホール、だと………!?」

 「リンくん、すごーいっ!? 
  あまりにもレアすぎて、たべるだけででんせつになれるっていわれてるのにっ! 
  あーもうっ♪ リンくんだいすきっ!♪ けっこんしてっ!!♪♪」

 「週に1回、しかも不定期に創るおかげで発売日が特定出来ず………
  どうにか買おうと店先にキャンプ張って自警団にしょっぴかれた者まで出たという、
  絶世の甘露、ケイズ・ザッハトルテ……… 
  して、その幻のスイーツは、今何処に!?」


 甘いものに目が無い彼女達が、(脂汗塗れのフィルを除き) 目を爛々と輝かせる。
 実際は、成人を迎えたばかりのリンとは、さほど歳が離れていない彼女達だが………
 じゅるりと涎を啜るその姿は、どこからどう見ても、子供にしか見えない。

 しかしリンは、何故か残念そうに、うつむいて………


 「………無い。」

 「「………………え゛っ?」」


 口から飛び出たのは、信じ難い、衝撃の事実。


 「……今、なんと………?」

 「……無い。 今日の夕食前まで冷蔵庫にあったけど、今はもう、無い。」

 「な、何故にっ!?」

 「………食われた。 フィルに。 1ホール。 全部。」



 「………………」


 目を大きく見開いて、口をパクパクと開け閉めしている、ティニとシルキー。
 …状況は決定的だが、それでもフィルは、言い訳せずにはいられなかった。


 「……い、いや〜〜……… ご飯食べ終わった後、冷蔵庫見たらさ…… 
  なんか、美味しそうなの入ってるじゃん? 
  だ、だからさ、ちょっと味見のつもりで手を出したら、
  目ん玉飛び出るほど美味しくてさ………」


 グリンと。 磔状態のフィルに、首から上だけを向ける妖精2人。
 その顔は、既に無表情である。

 その動きにビビリつつも、懲りずに言い訳し続けるフィル。


 「な、何かもう止まらなくて……… 気付いたら、全部無くなってて……… そしたらリンに見つかっちゃって、何か文句言ってくるから粗ちんって言ったらこんなとこ連れてこられて。 つーかひどくない? だって、女の子は甘い物は別腹なんだしさぁ? だからこれはしょうがないと思うんだよお前らも分かるよなーあははは〜〜っね?ね?だからそんな手をワキワキさせながら無表情で近づいて来ないでお願いホントお願いいやお願いします後生ですからつーか怖い怖いこわいコワイイィィィィィィィィィィイイイッッ!!!」


 ついには頭をブンブン振りつつ、泣きながら懇願してきたフィルに、しかし2人は、慈悲など与えない。

 
 ニコォッと口角を歪ませた、2人の妖精は………
 まるで、ブチギレた魔王様のようだったとは、後のフィルの談。
 (魔王様見たこと無いけど)


 「「ザッハトルテの恨みィィィーーーーーーーッッ!!」」

 「ヘルプッ! ヘーーールプッッ!! 誰かぁッ!! 助けてぇッ!!!」

 「…無駄だ。 この地下室の防音対策は完璧。 お前がどれだけ大声を上げようとも、
  その声が外に聞こえる事は絶対に無い。 まぁ、精々楽しめ、フィル。」

 「楽しめるかぁッ!! 大体なんでこの家に、こんな物騒な部屋があるんだよぉッ!?
  1年住んでて、今日初めて知ったんだぞぉッ!?」

 「俺だって知らんよ。 
  詳しい事はこの屋敷の前の持ち主の、ウチのじいちゃんに聞いてくれ。 
  ……まぁ、オーガと結婚したから、というのが、真理なんだろうけど。」


 確かにこの地下室なら、オーガとの激し過ぎるバトル (夜の営み) によって、近隣の住民の迷惑になる事も無いだろう。

 なお、その祖父の息子……… リンの父親は、祖父母が子宝に恵まれなかったために孤児院から引き取った、養子であり………
 この屋敷自体は、祖父母が別の土地に引っ越す際に譲り受けたものである。
 別にリン達が大富豪であるとか、そんな事は無い。
 (説明が遅れたが、リンは一介の若き商人である。)


 「この口かッ!! この口がウチのトルテちゃんを喰らうたんかぁッ!!」

 「どうおとしまえつけてくれるんじゃ〜〜〜ッ!!」

 「いぎぎぎぎぎッ! いはいいはいいはいッ!! くひがさへるぅ〜〜〜ッ!!」


 余程ショックだったのか、口調すら様変わりしているティニとシルキーが、それぞれ右と左から片方ずつ、フィルの頬を引っ張っている。


 「こらこら、止めてやれ。 別に傷付けたい訳じゃ無いんだから。」

 「でもっでもっ!」

 「少しは懲らしめないと気が済まないぃぃぃ〜〜〜ッ!!」

 「もうやめへ〜〜〜〜〜ッ!!」

 「……やめろって、全く………。 仮に、懲らしめるなら………」




 「下の口を使って、懲らしめてやらないと、な………?」

 「「「………」」」


 リンの言葉に、3人の妖精が、一様に口を閉ざす。
 …ただし、うち2人の顔は、悪魔のような笑顔で。 1人の顔は、青ざめた表情で。

 ニヤリと口角を釣り上げたリンが、磔の妖精の元へと、ゆっくり手を伸ばす。


 「…や、やめろ……… 近づくな……… 触るな………っ!」


 何をされるか分からないという、恐怖感。
 自分の肉体に迫る危機に怯え、拒絶と制止の声を上げるフィル。
 その声に、当然、手が止まるはずも無く。

 彼は両手の人差し指と親指で、彼女の着る可愛らしい意匠の衣服を。
 まるで壊れ物でも扱うかの如く、優しく摘み………


 ビリビリビリッ!!


 そのまま脱がすなんて事が、あるはずも無く。
 左右に強く引っ張り、彼女の服を、乱暴に引き裂いた。


 「イヤァッ!? ボクのお気に入りがぁっ!?」

 「うわぁ〜〜♪ リンくんげどう〜〜〜♪」

 「この強引さと鬼畜っぷりは、出会った時から変わらないな………♪」

 「服なんか、後で好きなの買ってやるよ。 ……というかお前ら人を何だと………」


 「「変態きちくロリコンスケベ♪」」

 「…うわぁぁぁん!! このロリコンッ! 腐れ外道〜〜〜ッ!!」

 「……お前ら、後でみっちりお仕置きな………」

 「「きゃーーっ!♪ 犯される〜〜〜っ!♪」」

 「腐れ外道に犯される〜〜〜〜〜ッ!!」

 「………」 


 片やからかい、片や悲鳴の妖精達に、もう何も言うまいと、黙り込むリン。
 引き裂いた衣服を、フィルの身体から丁寧に剥ぎ取り。
 一糸纏わぬ、生まれたままの姿へと変える。
 彼女達は下着類を身に付けていないから、裸に剥くのも簡単である。

 そのままリンは、全裸の少女を、舐め回すように眺める。

 強引に衣服を破られ、白い肌を晒されるという恥辱に、耳まで真っ赤な、幼い顔。
 日々の活発さが生んだ、程良く引き締まった四肢とお腹。
 ぴたりと吸いつくような、プニプニと柔らかい肌。
 小さく膨らんだ胸のてっぺん、2つの小さなピンク色。
 そして、脚が開かれてもなお、ぴったり閉じたままの貝殻と。
 そのすぐ上の、皮を被った小さな豆粒。 
 幼い外見の印象に違わず、股間の毛は一切、産毛すら生えていない。

 全身を、穴が開く程、じっくりと観察し、彼女の羞恥心を煽る。
 
 初めは顔を全力で逸らして、リンの視線をじっと耐えていたフィルだったが………


 「…やめろぉ………っ 見るなぁ………っ!」


 …程無くして、いやらしい視線に耐えられなくなった彼女は、小さく呻く。


 「……ティニ。 シルキー。」

 「了解♪」  「あいあいさ〜♪」


 その反応を待っていたと言わんばかりに、リンは2人の妖精に合図を飛ばす。
 リンの意図を正確に理解した2人は、これから行う事にウキウキしながら、定位置へ。
 フィルから見て、彼女の左横に座るティニと、右横に座るシルキーが、フィルの股間、
ぷにぷにと柔らかい左右の大陰唇に、それぞれ片方ずつ、手を掛けて………


 「ごかいちょお〜〜〜♪♪」

 「しっかり見て貰えよ、フィル………♪」

 「ちょっ!? おまえら、待っ………! ぅうんっ!?」


 くちゃぁ、という湿った音と共に秘裂が開かれ、綺麗な桜色の中身が、外気に晒される。
 嫌がっていた割には、身体を見られただけで感じてしまったのか………
 彼女の中身は、膣口から溢れ出た愛液で、しっとりと濡れていた。

 顕わになった形をもっと近くで見ようと、リンは顔を、その小さな秘所へと近づける。
 すっぱいような、甘いような、何とも言えない独特な匂いが、リンの鼻腔をくすぐる。

 今はまだ、完全に陰核包皮に隠されている、小さな小さなクリトリス。
 2人の妖精の手でむにむにと形を変えながら、左右に引っ張られる大陰唇。
 幾度となく犯してきたにも関わらず、依然小さくて薄い、桜色の小陰唇。
 絶頂する度に、何度も何度も透明な潮を噴かせるであろう尿道口。
 どこか物欲しそうにひく付き、今も奥から愛液を滾々と湧かせている膣口。
 ついでに、女性器の下、きゅっと可愛らしく口を窄める、お尻の穴。

 フィルの大事な所を、形を目に焼き付けるように見つめ、視線だけで犯す。


 (…は、恥ずかしいぃぃ………っ!!)


 いくら何度も夜を共にした相手とはいえ、ここまで余す所無く視姦されては、流石の
フィルもたまったものではない。
 自らの秘所に感じられる視線と、時折当たる鼻息が、微弱な刺激となって。 
 火が出そうなほどに顔を紅く染めるフィルの興奮を、徐々に徐々に、高めていき。
 その興奮に比例するように、彼女の膣壁からは、次々と愛液が分泌されていく。

 恥ずかしい恰好で、恥ずかしいトコロをじっくり見られているという恥辱と、
 膣内をゆっくり出口へと降り、膣口からトロリと垂れ始める粘液の感触に。 
 フィルの目尻からは、ランタンのオレンジをぬるく反射する涙が一筋、つぅっと流れる。

 …ただしその涙は、憂いや傷心によるものでは、決して無く……
 彼女の胸と下腹部の辺りには、ドロドロとした、切なさを伴う何かが。
 ゆるゆると、渦巻き始めていた。


 「…それなりに身体を重ねたはずだけど、相変わらず、綺麗なままだなぁ………」

 「…や、やめろってばぁ………っ♪」


 そんなフィルの様子を知ってか知らずか、リンは、極めて率直な感想を漏らす。

 口からは、微力ながらも拒絶の言葉を吐き、目を瞑り、眉根を寄せるフィル。
 しかし、仮にも好きな男に自分の身体を褒められて、嬉しくない事は、無いようで。
 自らの意思とは無関係に釣り上がろうとする口角を、必死になって抑えている。

 ある意味切羽詰まっているフィルを傍目に、ティニとシルキーは、リンの言うフィルの
綺麗な秘裂内をそろって覗きこみ………
 その色と形のいやらしさに若干頬を赤らめながらも、先のリンの感嘆の入った感想に、さも当然と言うかの如く答える。


 「それはそうだ。 魔物化したフェアリーの性器が、そう簡単に汚れる訳が無い。」

 「そうなのか?」

 「愛する人の理想に近づくのが、私達魔物の身体だからな♪」

 「だいすきなひとのために、みもこころも、いっしょうきれいなままなんだよ〜♪」


 そう言いながら、リンの瞳を真っ直ぐに射抜く、熱のこもった、2対の瞳。
 あまりに熱っぽく、真っ直ぐ過ぎる言葉と視線に、リンはたじろぐ。
 
 これだから、フェアリーという種族は………などと、内心思いつつ。
 不覚にもドキドキしてきた心臓を無理矢理抑え込み、あくまで平静を装うリン。


 「…そいつは嬉しい限りだけど…… 毎夜の如く、汚してるんだけどな、精液で。」

 「それはむしろ…… 私達を綺麗な白に、染めているんだよ………♪」

 「もっとザーメンいっぱいだしてくれると、うれしいな♪ …リ・ン・くんっ♪」

 「………」


 押し黙ったリンは、自分のにやけた顔を妖精達に見られないように、そっぽを向いて。
 恥ずかしそうに、作業台脇の机の上に置いてあった小さな小瓶へと手を伸ばす。
 その様子に、にへへっと笑うティニとシルキー。

 小瓶の中には、琥珀色のハチミツのような液体が、いっぱいに詰まっていた。


 「…な、何、それ………?」


 先程まで、頬が緩むを抑えるのに必死で、今ようやく我に返ったフィルは……
 透明な小瓶に入った怪しげな液体を見て、嫌な予感に襲われる。
 
 勘の良いティニには、それが何なのか、想像が付いたようだ。


 「それはもしかして…… アルラウネの蜜、か………?」
 
 「あぁ、その通り。 …しかもこれは、ちょっと特別な代物でな。 
  アルラウネの蜜を何十倍にも濃縮した、『魔女のおもちゃ屋』オリジナルの媚薬だ。 
  …少々値が張ったから、これだけしか買えなかったけど………」


 フィルに見せ付けるように軽く振られる、栄養ドリンクくらいの大きさの小瓶。
 透明な小瓶越しに、粘度の高い中の液体がタプタプと震える。
 ゴクリと、唾を飲み込むフィル。


 「媚薬としての効果は、店長のお墨付きだ。 …もう十分、濡れてるみたいだけど。」

 「ぬ、濡れてなんか無いっ!!」


 事実を認めるのが恥ずかしいらしく、大きい声で否定するフィル。
 しかし、フィルの秘裂内を覗き込む3人には、それが嘘なのはバレバレな訳で………
 

 「…嘘はいけないなぁ、フィル。」

    ちゅぷっ♪

 「ひんっ!?」

 「もうこんなにおまんこ、とろとろなのにね〜〜♪」

    くちゅくちゅくちゅっ♪

 「…ぁ、や、だ、だめ………っ!♪」

 「本当は、乱暴にされたり見られたりするのが、大好きだもんなぁ? フィルは♪」

    くちゃぁっ♪♪

 「…〜〜〜っ!!♪」


 フィルの秘裂を目一杯開いたまま、小陰唇や膣口をなぞるように指先で撫で回し、
クチュクチュと愛液を掻き混ぜる妖精2人。 
 加えてノリノリで言葉責めを行うその顔は、実に楽しそうだ。

 それに対し、自分の秘裂内をぬりゅぬりゅと動き回る幾本もの細い指に、フィルは
眉間に皺を寄せながらも、必死になって耐えている。 
 …しかし、2人の口から発せられる恥ずかしい台詞に、頭の中は掻き乱されて。
 彼女のなけなしの理性は、着実に削られつつあった。

 そんな悩ましいやり取りを聞きながらも、小瓶の口に封をしていたコルクの蓋を、
中身が零れないように、きゅぽんと抜き取り。
 リンは、フィルの開かれた秘裂の真上に、小瓶を持ち上げた。

 …彼が一体何をしようとしているのか、フィルは、理解してしまった。


 「……ッ!? …だめッだめぇ………っ! そんなことされたらぁ………っ♪」

 「ほれ、もっとマンコ開かせて。」

 「分かってるって♪ …ほ〜ら、シミ一つ無い、綺麗なマンコだ♪」
  
 「…あはっ♪ フィルちゃんまんこ、やわらか〜〜い♪ すごいのびちゃう♪」

 「くひぃっ!♪ …だめだったらぁ………っ!♪」

 「さ、垂らすぞ〜………」
 

 リンの言葉と共に、コルクの蓋が外された小瓶が、ゆっくりと傾けられ………
 トロリとした中の液体が、フィルの秘所目掛けて、垂れ落ち始める。
 カビ臭い地下室に充満し始める、アルラウネの蜜特有の甘ったるい匂いは、嗅いだだけで発情しそうな程に、濃厚だ。


 「…ぁ……あ………♪」


 粘度が高いためか、その様子はひどく緩慢で………
 蜜が小瓶の口に溜まり、垂れ落ちそうで落ちない、その様を。
 フィルは涙に濡れた瞳で、食い入るように、見つめていた。

 これから自分の身に起こる事への、不安の眼差しに、確かな期待を込めて。


 「…んーー…… 少し暖めておけば良かったかな。 なかなか出てこない………」


 …と、中身がなかなか出てこない事に焦れたリンが、小瓶を縦に振る。
 それと同時に、ドロリと大量に出てくる、琥珀色の蜜。
 誰もが、それに反応する事が出来ない内に。
 フィルの股間に大量の、ドロドロした液体が注がれた。


 「………っ!  …あ…… あぁっ!? ぁああッ!!?♪♪」


 開かれた秘裂に直に注がれた媚薬。
 本来のアルラウネの蜜の、何十倍にも凝縮された媚薬成分は、フィルの女性器を構成するありとあらゆる粘膜から、体内へと侵入し………

 途端、フィルの秘裂内が、急激に燃え上がるように熱くなり。
 次いで、じゅくじゅくとしたむずがゆい感覚が、フィルの秘所を責め立てる。
 それらは股間を中心に、じんわりと、しかし確実に、全身へと広がっていく。


 「…なにこれ…… なにこれぇ………っ!♪」


 フィルの股間と下腹部を責め立てる、焼けるような熱と、じゅくじゅくとした感覚。
 その感覚に、疼く秘所を無性に擦り上げたい衝動に駆られたフィルは、腕を必死になって動かそうとし、股間へと持っていこうとするが…… 
 その両腕は、テープでピタリと作業台に固定されているため、動かす事が出来ない。

 しかしそれでも彼女は、諦められないらしく。
 太股と足首を固定されているために殆ど動かす事の出来ない腰を、縦に横に、小刻みに、艶かしく動かして。
 刺激が欲しい、弄くり回して欲しいと、訴え掛けていた。 

 その様子を見かねたリンは、傍らの妖精達に、指示を出す。


 「…ティニ。 シルキー。」


 そう言うと同時に、2人に目配せをする。


 「…!♪ ラジャっ♪」 「…了解………!♪」


 リンの意図が分かった彼女達は、ニンマリと顔を見合わせる。
 今もパックリと広げられる、蜜塗れのフィルの股間を、刺激………せず。
 フィルのお腹にも零れた蜜を、胸全体まで塗り広げて。
 フィルのささやかな胸と、その頂上のピンクの突起を、こねくり回した。


 「ひゃふっ!? ま、待ってっ! そこじゃないっ そこじゃないのぉっ!!♪」


 困惑するような、フィルの声。
 刺激が欲しかった場所とは全然別の場所をこねくり回され、不満と抗議の声を上げる。
 もちろん、そんな声に聞く耳を持つ2人では無い。


 「何を言う。 ここなんて、既にコリコリじゃないか♪」

 「ここか〜♪ ここがええのんか〜〜♪」

 「くふうぅっ!♪ ち、違うったら……… ふぁんっ!?♪」


 可愛らしく半勃ちした乳首を、ヌルヌルコリコリと弄くり回すティニ。
 ピンとした乳首を手の平で押し潰しながら、薄い胸をリズミカルに揉みしだくシルキー。
 …しだいに、クニクニとした柔らかさを残していたフィルの乳首は、ピンピンに自己主張した、弄り応えのある乳首へと成長する。

 決して強い刺激を与えてくれない、焦らすような責めと、弄って欲しい所を弄って貰えないもどかしさに、心臓の辺りがジリジリと炙られるような感覚に、フィルは陥る。
 
 どうやら彼ら3人は、秘所を攻めてイかせるのでは無く………
 胸を攻めて、焦らしていじめて、その反応を楽しむ事にしたようだ。

 ……素晴ら……… …何とも、悪趣味である。


 (……これも気持ちいいけどぉ………♪ ボクが弄って欲しいのはぁ………♪♪)
 
 
 胸を焦がすもどかしさは、フィルの理性をも、焼き切っていく。
 小さなお尻が小刻みに動き続ける毎に、お尻の下に零れた蜜が、ニチャニチャという卑猥な旋律を、奏でていく。

 旋律が一層早まると同時に、彼女の理性も、焼き切れた。


 「…ねぇっ! ねぇったらぁっ! アソコ、弄ってぇ!♪ 胸ばっかりじゃ無くってぇ………♪ 
  ボクのアソコも、弄ってよぉおっ!!♪」


 ちっぽけなプライドも、無駄な我慢も、全て投げ捨てた必死な声。
 先程までの頑なな姿勢など、もはや何処にも無く。
 涎を口の端から垂れ流して、彼女は目の前の3人に懇願する。

 しかし、その願いは、叶わない。


 「え〜〜……… やだっ♪」

 「え、ど、どうしてぇっ!?」

 「だって………」
 
 「なぁ?」
 
 「『アソコ』が何処だか、俺らには分からないからな。」

 「………ッ!? そんな、くひゃんっ♪ そんなあぁぁぁあっ♪♪」


 自分の口から出さなければいけなくなった言葉への羞恥に、より一層、朱に染まる顔。
 しかし、だらしなく緩んだ口や、淫靡な熱の篭る瞳、胸を弄られる度に荒くなる呼吸は、
 彼女の思考が、確実に悦びに染まっている事を示していた。

 中身が半分ほど無くなった小瓶を机に戻したリンが、彼女を促す。


 「…ほら、言って。」

 「…ぁ………」

 「………」

 「…ぼ、ボクの……… …まんこっ!♪  おまんこぉっ!♪♪ 
  ……おまんこっ!♪ くちゅくちゅ擦ってぇ!♪ 
  いっぱい弄って、…いじめてっ!♪  気持ち良くしてぇ………っ!♪ 
  びくびくびくんって…… …たくさんっ!♪ イかせてぇっ!!♪♪」

 「…お願いします、は?」

 「オカシクなるくらいイかせてくださいぃぃっ♪ お願いしますぅぅぅっ!!♪」

 「……良く出来ました………ッ!」


 くちゃぁっ♪ ちゅこちゅこちゅこちゅこっ♪


 「ひいいぃぃぃぃぃぃいいいっ!!♪♪」


 恥も外聞も無くなったフィルが言い終わるのと同時に、リンは妖精2人の代わりに、左の親指と中指で彼女の小さな秘裂を開き……右の中指の腹で、桜色の中身を、アルラウネの蜜を擦り込むように、激しく擦り立てる。

 蜜の媚薬成分に侵され、通常より敏感になっているフィルの秘所。
 膣口、小陰唇に、尿道口………
 秘裂の上のクリトリス以外の性感帯を、丸ごと全部刺激され……強引に背中を仰け反らせて、頭を振り乱しながら、善がりまくるフィル。
 その瞳は快楽に濁り、焦点は既に合ってはいない。


 「あっ♪ あっ♪ あっ♪ あんっ♪ あうんっ!♪ あひぃぃぃぃいいっ!!♪♪」


 蜜で滑りの良い秘裂内を高速で擦るリンの大きな指に、媚薬成分によって蕩けに蕩けたフィルの小さな秘所が、耐えられるはずも無く。
 彼女が嬌声を一声一声上げる度に、腹筋が収縮を繰り返し、柔らかそうなお腹が、
ビクビクビクッと小さく暴れ出す。


 「こら、暴れんな。 上手く擦れんだろ。」

 「んにいぃぃぃぃぃいいいっ!♪ 無理っ!♪  むりいぃぃぃいいっ!!♪♪」

 「……つか、結構耐えるんだな。 媚薬ですぐ、イき狂うかと思ってたけど。」

 「はんっ♪ はひぃっ♪ が、我慢するのぉ……♪ いっぱい我慢して、おっきいのがぁっ♪ 
  キた時にぃぃぃいいっ!!♪  思いっきり、イくのぉっ!♪ んぁあっ♪」

 「…そうか。 じゃあ、頑張って耐えろ。 …イくとこ、見ててやるから。」

 「きゃふぅっ♪  うんっ、うんっ!♪ 我慢するのっ、頑張るからぁっ♪ ぁあっ!♪ 
  ボクがイき狂うトコっ、いっぱい見てっ、ぁっ♪  あっ!♪  あうぅぅうんっ!!♪」


 世間一般に言うお仕置きではまず有り得ない、悦楽の笑みを浮かべて、秘所に与えられる激しい快楽を、全身で享受し続けるフィル。
 涎と汗をまき散らし、大きな波が訪れるごとに、彼女は身をよじりつつも喘ぎまくる。


 「……フィルちゃんのエッチなすがた、すごくきれい………」

 「…あぁ、悔しいが……… 今のフィルには、何をしても勝てる気がしない………」


 そんなフィルの姿を見て、身体中を朱に染め、荒い息を吐きながら、彼女とリンが繰り広げる行為に釘付けになっている妖精が2人。

 身体中の穴と言う穴から、体液を周囲にまき散らす、今のフィルの姿も………
 根が淫らな魔物である彼女達には、とても美しく感じられるようだ。

 そんな風に、乱れるフィルの傍らで、ただただ呆然としているティニとシルキーを尻目に、フィルの興奮は時を経るごとに、高く高く昇り詰めていく。


 「ほれほれ、つま先がピンってなってきたぞ。 もうイくんじゃないのか?」

 「あへっ♪ はへっ♪ …んまだまだぁっ!♪ …あと、はひっ♪ …1時間は、くひっ♪ 
  …我慢、ふへっ♪ …でひるん、くふっ♪ …らからぁっ♪ はふぅっ♪」

 「……へぇ………」


 リンの目が、スッと細められる。
 …どこか冷然とした、サディスティックな色を湛えて。


 「…んらから、……あっあふっあっ!♪ …もっろ強くひても、ふひんっ!♪
  ……ッ♪ …いいん、……ッ♪ ………ひッッ♪ …らよぉっ?♪ ……あひっ♪ ひんっ♪」

 「…そうか………」


 どう見ても一時間どころか、一分も持たなそうな状態であるが………
 彼女のご所望ならば仕方ないとリンは、フィルに更なる快楽を与えるための、
準備を始める。

 一旦、フィルの秘所を擦る指の動きを、止める。


 「……ぁ……やぁっ………! やめないれよぉ…… はやふぅ………!」


 フィルの意見はさらりと聞き流し、粘着いた中指を味見をしつつ。
 リンは彼女のクリトリスへと、目を向ける。
 
 度重なる秘裂内への刺激により勃起し、陰核包皮から半分ほど顔を出したクリトリス。
 今まで、あえて触れないようにされていたソレは、まるで寂しがり屋が構って欲しそうに、物陰から顔を覗かせているようにも見える。

 リンは、フィルの秘裂を開いている左の親指と中指はそのままに、その間の人差し指を、そっと包皮に当てて……… 


 「……くひぃんっ♪」


 一息に剥いて、クリトリスを完全に露出させる。
 そのまま、蜜と溢れ出る愛液でグチョグチョな、薄く開き始めた秘裂へと、唾液で濡れた中指をニュチリと付けて。 
 準備は、完了する。

 彼がしたい事を理解したフィルは、これから我が身に訪れるであろう快楽の奔流に備えるように、身を強張らせて……… 
 バクバクと跳ね回る心臓の鼓動を、耳の奥で感じながら。
 甘く痺れる時の到来を、待ち望む。


 「…心の準備は、出来てるか?」
 
 「とっくのむかひに、れきてるからぁ………っ♪ ……はやふしてっ♪」

 「………」


 リンは何も言わず……… 
 秘裂内部とクリトリス、表面から見える性感帯全てを巻き込む、激しい愛撫を開始した。


   くちゅくちゅくちゅくちゅっ!♪♪  くにくにくにくにぃっ!♪

 「くひゅぅぅぅぅぅぅぅぅううんッッ!!♪♪」


 手首、手指、足首、つま先。
 頭部、胸部、腹部に背中、セロテープで拘束された両手足に至るまで。
 剥き出しのクリトリスが摩擦される度に、フィルの全身が面白いほど強く痙攣する。
 陰核包皮を剥くリンの指は、クリトリスの根元をクニクニとマッサージして。
 成長を続ける肉の芽に更なる膨張を促し、より敏感にさせようとしている。

 華奢な背中は、先程よりも強く反り返り。
 頭はぼんやりとモヤがかかり、眼前にはチカチカと、白い火花が弾ける。
 彼女の股間から生まれた熱と快感は、膣壁をびりびりと駆け上がり……子宮内部を、
じんじんと疼かせる。
 もはや彼女の頭は、気持ち良くなる事以外、何も考えられはしない。


 「はあっ♪ あんっ♪ あんっ♪ あうぅぅ〜〜〜っ♪ クリひゃんっ♪ クリひゃんイイよぉっ♪」

 「…そんなに腰動かして。 まるで変態だな、フィルは。」

 「ち、ちがふっ!♪  ちがうのぉっ!!♪ 
  こひがかってにっ♪  うごいちゃふのぉっ!♪
  リンがボクをっ♪  きもひよくさへるからいへないのぉっ!!♪」
 

 フィルは、新たな快楽を得ようと。 与えられる以上の快楽を、自ら生み出そうと。
 拘束によって殆ど動かないはずの腰を無理矢理にでも動かして、秘所を擦り立てる大きな指に、グリグリと股間を押し付けようとする。

 秘所を上下に一定のテンポで擦る指に、不規則な、上下左右の細かな腰の動きが加わる事により、秘裂内のあらゆる性感帯が、リンの指と擦れ合い………
 ただ単純に上下に指を往復されるだけでは得られない、無限に変化する甘い痺れが、彼女の秘所から体内へと、縦横無尽に反響する。


 「人のせいにするんじゃないっ。」

    グリグリィッ♪♪

 「あひぃぃぃぃぃぃいいいっ!!♪♪」


 もちろんリンとて、単調に指を動かしている訳ではない。
 フィルの動きや様子を鑑みながら、常に責め方を変えているのだ。
 腰の動きに合わせるように巧みに指を操り、時には円を描くように、優しく小陰唇を撫で回す。
 与える刺激に慣れてしまいそうならば、力加減や指の位置を、微妙に変えて………
 物足りなさそうな顔を少しでも見せれば、彼女の弱い所……膣口付近をくちゃくちゃに掻き混ぜたり、クリトリスを上下から挟んで押し潰してやる事で、彼女を決して飽きさせない。

 飽きる事の無い快楽は、彼女の腰を、更に激しく衝き動かす。
 時が経つにつれ増大していく快感に、彼女のお尻はカクカクと小さく跳ね、お尻の下の蜜溜りと干渉し、ぱちゅぱちゅという水音を立てる。

 もはやそれ単体が別の生き物のように、フィルの意志とは無関係に暴れまわる、
彼女の下半身。
 そのあまりの暴れっぷりに、彼女の太股を作業台へと固定していた透明なテープは、
半ば剥れてしまっていて。
 それに従い大きくなる彼女の腰の動きは、また新たな快楽を生み出していく。

 そんな無尽蔵に湧き続ける快楽に、当然ながら、1時間も持つはずが無く。

 ……30秒後。


 「くひっ♪ くひっ♪ はへっ♪  ……あっあっあっ!♪ はひゅぅぅぅっ!!♪♪
  きもちいいぃぃぃぃいいっ!♪  まんこバカになるぅぅぅぅううっ!!♪♪
  …だめっ♪ もうらめぇっ!♪  イクっ♪ イクっ!♪ イっちゃうぅぅっ!!♪」
  
 「だめだ。 1時間我慢できるんだろ? ほら、我慢我慢。」

 「そっ!?♪  そんにゃぁぁあああっ!??♪♪」

 「我慢。」

 「…ぁ……くぅう……ッ!♪  ……我慢……がま、ん………ッ♪  
  ………ひッ♪ ………………ぃいい゛ッッ!♪♪」


 結局あっさり限界を迎えたフィル。
 その事をリンに諭され、絶頂に至ろうとする心と身体を、強引に抑え込もうとする。

 クチクチという粘着質な音と共に、絶え間無く与えられる容赦の無い刺激と、身体中を走り抜ける、電流が流れるような、全身が痺れる程の快感。
 フィルは目をぎゅっと瞑り、歯を固く食い縛って、襲い来るそれに、一生懸命耐える。

 目尻から流れる悦びの涙と、ギリギリという、歯軋りの音。
 腰の動きすらも一時止めて、硬く強張らせた小さな身体で、必死に耐えようとする。

 しかし………


 「………ぷはああぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!♪♪ ぁあっ♪ あっ♪ あっ♪」
  無理無理むりっ♪ がまんっ♪ むりいいぃぃぃぃぃいいいいっ!♪♪
  イクっ♪ イくのっ♪  ボクこのままイっちゃうのおおぉぉぉぉぉおおおっ!!♪♪」


 弱い所を知り尽くした、情けを一切掛けない責めに、抗える訳が無く。
 フィルはあっさりと、我慢するのを諦めるのだった。


 「だから、ダメだって。 自分で言った事には、責任持たないと。
  ……もしこのままイったら、お仕置きだからな?」


 フィルの秘所を擦る動きを決して緩めず、むしろ益々強めながら。
 人の皮を被った腐れ外道は、口の端を歪ませて、そんな事をのたまう。
 一部正しい事を言っているように聞こえるが、その内容は悪意に満ちている。

 しかし、早く絶頂を迎えたい一心のフィルにとって、責任だのお仕置きだのの事は、
正直知った事では無い。

 今、フィルの頭に浮かぶのは、絶頂した後に訪れる、『幸せ』だけ。


 「うんっ♪  おしおきうけるぅっ!♪  おひおき、なんでもうへるからぁっ!♪
  おねがひっ♪ イかへてぇっ!!♪♪  …んぃっ♪ ふへぇっ♪
  …ボクのこと、しあわへにしてぇっ!!♪♪」

 「…そうか。 ならこの後、お前が何十回イこうとも………
  俺が満足するまで、絶対に止めないからな。 分かったか?」

 「わ、わかっはぁ♪  わかったからぁあっ♪♪  ぁんっ♪ あっあっ♪
  …イっていいっ?♪  もうイっていひっ!?♪♪
  とゆーかイくっ♪  イクイクっ♪  イクイクイクイクぅっ!!♪♪」

 「……あぁ……っ! 思う存分、イけっ!」
 

 勃起したクリトリスを、包皮を剥く指で潰すように揉み解し。
 フィルの秘所を火傷させるくらいに、執拗に秘裂内を擦り立て。
 来るべき絶頂に向けて、ラストスパートをかける。

 その瞬間が来るまで、10秒と掛からなかった。


 「あっ♪ あっ♪ あっ♪ あっ♪ あっ♪ あんっ!♪  クるっ♪ おっきいのキひゃうっ!♪
  ね、みててっ♪ みててぇっ♪  ボクがイっひゃうトコ、ちゃんとみててぇっ!!♪♪」


 背筋は完全に反り上がり、白いお腹がランタンの光を反射して、艶かしく光る。 
 子供のような足はピンと伸ばされ、彼女の絶頂の激しさを予感させる。
 フィルのお願いに、リンは愛しげな目線と激しい愛撫で応え……… 
 彼女の淫らに蠢く肢体を、興奮で血走った……けれども愛おしげな目で、余す所無く、見つめる。


 「イっく♪ イっく♪ イっ………………ッッッ♪♪」


 フィルの切羽詰った喘ぎ声が、はたと止まる。
 ほんの数秒間、迫り来る何かを抑え付けるように、その身をガチガチに硬直させたかと思うと………


 「………ッあはぁッ♪♪♪」

   ぷしゃああぁぁぁぁぁぁあああっ!!♪♪


 突然、魚のように身体を跳ね上がらせ、身体中が弾けるような、深い絶頂を迎えた。
 尿道からは、無色透明の多量の液体が、まるで噴水のように噴き出し。
 その小さな身体は、作業台の脚をカタカタと鳴らす程に、何度も何度も痙攣する。

 リンは、自分の恋人が可愛らしく震える様子を、目で、指で。
 何かを成し遂げたような表情で、感じ取っていた。
 

 「……ぁ……ぁは………っ♪  ふぅぅ………っ♪」


 ひとしきり痙攣し、辺りを潮でびしょ濡れにした後、糸が切れたように脱力するフィル。

 薄く笑みを浮かべ、陶然とした表情のその顔に、普段の快活な面影は何処にも無く。
 虚ろな目で何も無い中空を見つめ、時折思い出したようにピクピクと全身を震わせる様は、ひどく欲情を刺激させられる。
 焦らされ、我慢を重ねた末の凄まじいまでの絶頂の余韻は、甘く切なく。
 快楽に蕩けた頭で、痺れた全身で、精一杯、感じ取っているようだった。


 「…凄い………♪」

 「フィルちゃん……すごくしあわせそう………♪」


 今まで黙って、フィルの痴態を間近で眺めていたティニとシルキーは、幸せそうな顔で快楽の余韻に浸るフィルに、感嘆の声を上げる。
 顔を真っ赤にして、脚をもじもじと擦り合わせる彼女達の内股には、幾筋もの愛液が伝い……ランタンの暖かい色の光を反射して、艶めかしく光っていた。


 「……フィル………」


 目の前の少女の痴態に釘付けとなったリンは、無意識に、彼女の名を呼ぶ。

 そんな、放心したようなリンの呼び声に、フィルはピクリと反応し。
 気だるそうに頭を起こしながら、焦点の合わない目でリンの方を見やる。
 しばらくリンをぼんやりと見つめた後。 ふにゃっと、ふやけたような笑顔を見せた。


 「……リン………ボクのイっちゃうトコ……見てて、くれた………?」

 「……あぁ……すごく、可愛かった。」

 「………え、えへへ………♪ うれしぃ………♪」」

 「………」


 潤んだ目に、半開きの口。 目尻の下がった、惚けた表情。
 その尖った耳に届く褒め言葉に、心底嬉しそうな、柔らかい笑みが浮かぶ。

 普段、活発で生意気なフィルが見せる、絶頂後の陶然とした顔に、花の咲くような可憐な笑顔を足した、蟲惑的とも言える表情。
 普段の快活な姿と現在の官能的な姿とのギャップにヤられてしまったのか、リンは
急に熱くなってきた顔を、思わず逸らしてしまう。

 もはやリンの頭には、今回のフィルの所業を咎めるなどという考えは、欠片も無い。
 そこには、恋人を自分の手で満足させてやりたいと望む、一人の男がいるだけである。


 「…なぁ、いっぱい水分出したから……喉、渇いたろ?」

 「……うん……そーいえば………」

 「少し待ってろ………」 


 少し時間を置き、火照った顔をクールダウンさせたリンは、身体中、いろんな液体塗れのフィルの姿に、なにやら思いついたようだ。
 彼女に確認をとってから、フィルのお尻の下に広がる蜜と愛液と潮で出来た水溜りを、右の人差し指でぐちゃぐちゃと掻き混ぜる。
 3つの液体を適当に混ぜ合わせて出来た混合液を、指の先にねっとりと絡めて………


 「…ほら、特製のミックスジュースだ。 …美味しいぞ?」


 …涼しい顔した変態は、ジュースと呼ぶにはあまりにエロティック過ぎる液体を、涎も拭かずに半開きのままの、フィルの口元へと運んだ。


 「…わぁ………♪ おいしそう………♪」


 そして、磔の妖精も変態だった。
 はやくはやくと誘うように、顎を持ち上げ、舌を精一杯伸ばして、ミックスジュースの到来を待ち受ける。
 それに応えるように、リンはそっと、フィルの口に指を宛がった。


 「…はむ……ちゅ……ちゅぴ………♪ こくっ こくっ こくっ………♪」

 「「……ゴクリ………」」


 小さな口には大き過ぎる人差し指に、フィルは一生懸命吸い付いて。
 トロトロで少し飲み難いジュースを、つっかえながらも、こくこくと飲み込んでいく。
 待ちぼうけをくらう2人の妖精は、そんなフィルの様子を、生唾を飲み込みながら、羨ましげに眺めている。

 最後の一滴まで、舌で丁寧に舐め取り、ジュースを全て飲み干す頃には………
 蜜と自らの体液の味に発情し切った妖精が、色っぽく上気した顔で、物欲しそうな視線をリンに向け、新たな快楽の到来を今か今かと待ち望んでいた。


 「……リン……… ボク……またぁ………♪」

 「…あぁ。 今度はもっと気持ち良くしてやる。 …覚悟しとけよ?」

 「……ぁはっ♪ …やったぁ………っ♪」


 喜ぶフィルに、いやらしい笑みを浮かべつつ………
 リンは作業台脇の机の上から、今度は厚紙で出来た白い箱を手に取り、フィルをより悦ばせようと、準備を始める。

 次はどんな風に、自分を気持ち良くさせてくれるのだろうか、と………
 ドキドキと高鳴り始める心臓の鼓動を、耳の奥に響かせながら。
 フィルは、期待にその目を、潤ませた。








 


 「…もぉ〜〜っ! フィルちゃんだけずるいっ! はむっ! …れろ…ちゅぷ………っ♪」

 「むぐっ!? …くちゅ、おむぅ………っ ………ぷはぁっ!?」

 「…そうだそうだ。 私達も、リンとエッチなコト、したいのに………ぢゅるるるるっ♪」

 「んむっ!? んっんっんっ!♪ むぐぅ〜〜〜………っ♪」


 そんな、一人だけ良い思いをしているフィルに対し、傍らの2人の妖精は、ついに我慢の限界を迎えたようだ。
 可愛らしい嫉妬を剥き出しにして、フィルに襲い掛かる。
 

 「…ちゃぴ…くちゅ………っ♪ …ぷはぁっ♪ …フィルちゃんのつば、おいしっ♪
  …どうしよう、ティニちゃん………♪ わたし、オナニーしたくなってきちゃった……♪」  
  
 「ちゅるるっ♪ じゅるるるるぅっ♪ …ぷはぁっ♪ 
  …シてしまえばいいさ、シルキー………♪
  フィルのオマンコ、しょっぱくて、甘くて………っ♪
  私ももう、我慢できそうに無い………っ♪♪」

 「ひゃふぅっ♪ ティニぃっ♪ おまんこ吸っちゃ………
  きゃぅっ♪ シルキっ♪ おっぱいこねないで……… はひぃっ!?
  ひっ♪ ひっ♪ クリちゃっ♪ 舐めひゃ………っ♪ ダ…メ………
  ……いぎいぃぃぃぃぃぃいいいっ!!♪♪ 乳首つねっちゃだめぇっ!♪」


 シルキーはフィルの口から、彼女の口内に残る甘いジュースを唾液ごと吸い上げ、同時に胸をこね回し、乳首をつねり上げる。
 ティニはフィルの拡げられた脚の間に入り込み、彼女の秘所に口を寄せ……膣口や
尿道口、クリトリスにこびり付く愛液や蜜を、口で吸い上げ、舌で丁寧に舐め取る。
 
 胃の中に降る蜜の量に比例して、次第に高まっていく、2人の興奮。
 身体の芯や下腹部から甘く拡がる熱感を鎮めるために、彼女達の手は自然と、自分達の秘所へと宛がわれ………

 フィルの胸を焦らした時に付いた、蜜がたっぷりの指先で。
 既にぐちょぐちょに濡れた秘裂内やクリトリスを、ぬりゅぬりゅと擦り立てる。

 高まり続ける性的欲求は、フィルへの責めを加速させる。


 「…ぁふっ♪ くふっ♪ ふぅんっ♪  おまんこ、あつぅい♪
  フィルちゃん、こんなきもちいいの、ひとりじめしてたなんて………っ♪
  ……やんっ♪ ぁんっ♪ あんっ♪  …このっ、このっ!!♪」

    ぐりぐりぐりぃッ!!♪♪

 「んぐぅぅぅぅぅうううっ!!♪♪ ひぃ〜〜っ♪ ひぃ〜〜っ♪
  ごめんなさいぃぃ……っ 謝るから、許ひてぇ………っ♪
  じゃないと、ちくび……♪  とれちゃうぎいいぃぃぃぃぃいいいっ!!♪♪」

 「…一人占めは良くないんだぞ? フィル……… …んんっ♪
  …これはリンの代わりに、私達がお仕置きするべきかな………? ぁふっ♪
  例えば……こんな風にっ!!♪♪」

    ぎゅりッ!!♪♪

 「んに゛いぃぃぃぃぃいいいいいっ!!♪♪ あぐっ♪ あ゛ああ゛っ♪
  やだぁっ!♪ リンじゃないと、やらぁっ!♪
  お仕置きもっ♪ 乱暴しゃれるのもっ♪ リンじゃないと、やっ…… んぎぃっ!♪
  クリひゃんっ!♪ つねっちゃああ゛あ゛あ゛っ!!♪♪」

 
 隠しもしない嫉妬心を真正面からぶつけられながら、その発情した小さな肉体を、激しく責められ続けるフィル。
 そんな2人の執拗な責めに、先程イったばかりのフィルが耐えられるはずも無く。


 「らめっらめぇっ!♪ イっひゃうっ!♪ また、イっひゃうぅっ!!♪♪
  ごめんなしゃっ♪♪  ごめんなしゃいいぃぃぃいい゛い゛らめらめらめぇええ゛っ!!♪♪
  たしゅけてぇっ!♪  リンっ!♪  たしゅけ………っ」

 「「せ〜のっ!♪」」


   ぐりぃッ!!♪♪


 「―――〜〜〜〜〜ッッあ゛あ゛あ゛!!?♪♪♪」


 妖精2人が息を合わせて、思いっきり両乳首とクリトリスを抓り上げると、フィルは殆ど声にならない嬌声をあげて、背を跳ね上げながら達する。
 膣壁から大量に分泌された愛液が、膣口からドロリと溢れ出して、同時に前回の時より少なめの潮が、ぴゅぴゅっと尿道口から噴出する。

 太股と足首を拘束していたセロテープは、蜜やフィルの汗、絶頂時の強烈な下肢の暴れっぷりによってビリビリに剥れ、もはや拘束の意味を為していない。
 …まぁ、今のフィルは抵抗する意思など欠片も無い程に快楽に屈しているため、拘束があっても無くても、今更特に問題は無いのだが。


 「はぁ……っ♪ はぁ……っ♪  もう、やめ…… ひぐぅっ!?♪♪」


 フィルが再び絶頂して、2人は満足して手を止める………はずが無かった。
 彼女の両脇に戻った2人は、フィルの左右の乳首を、今度は口で責め始める。
 それぞれ、ツンと勃起したピンクの突起を、舐めしゃぶり、吸い上げ、甘噛みする。
 
 何度も弄られてピンピンになったクリトリスへの刺激も、もちろん忘れない。
 ティニは、今や完全に露出したクリトリスの根元から先端まで、シコシコと激しく扱き上げ……シルキーは、クリトリスの裏側を爪の先でコリコリと、優しく引っ掻き続ける。

 未だ絶頂冷めやらぬフィルはたまらず、絶叫する。


 「やらやらやらぁッ!!♪ やめてぇッ!!♪  …あひぃいっ!♪
  …イってるのっ!♪ あひっ♪  ボクっ!♪  まらイってりゅのぉぉぉおおッ!!♪♪
  あっ♪ またイっちゃっ♪ イってりゅのに♪ またイ………ッ♪  ………あふぅッ♪♪♪」

 「…ふふっ♪ フィルちゃんまたイっちゃった♪ 
  おマメちゃん、わたしのおやゆびのさきっちょくらい、おおきくしちゃって♪
  ……やっぱりおおきいほうが、キモチイイのかな?」

 「…ぷはぁ♪ …それは、そうだろうな………♪
  …私とリンとシルキーで、愛情と劣情と、丹精を込めて大きくしたんだから、な………♪
  気持ち良いに、決まっているさ………♪」

 「あはっ♪ そっか〜〜っ♪
  …じゃぁ、もっともっと、おおきくしてあげないとねっ!♪」

 「喜べ、フィル。 …君の好きなクリトリス……今の倍は大きくしてやるっ♪♪」

 「はひ〜〜〜っ♪ はひ〜〜〜っ♪ ……いやらぁっ!♪ 
  これ以上、おっきくしないれぇっ!!♪♪
  今よりビンカンになったら、頭バカになっひゃ………♪ ひぐっ!?
  やぁぁっ!♪ クリひゃんもうこしゅらないでぇぇええっ!!♪♪」


 今やフィルに対するケーキの恨み等すっかり忘れる程に発情して、至極楽しそうに、
フィルをいじめ抜くティニとシルキー。

 両脚の拘束は完全に解け、両腕の拘束も、少し力を入れれば簡単に剥れる程に緩まっているというのに、2人の責めに一切抵抗せず、それどころか自ら望むように、脚を大きく拡げ切ったたままのフィル。


 「リンっ!♪ たしゅ……くひぃっ!?♪♪ たしゅけぇぇぇぇえええっ!!♪♪」


 リンの名を叫び、大して望んでいない助けを求めながらも。
 2人の責めを、彼女は為すがままに受け入れるのだった。


 「………」


 そんな彼女達の百合百合しく乳繰り合う様子を、リンは作業台の脇で、ただただ呆然と眺めていた。 準備をする手は当然、止まっている。

 リンが彼女達の恋人である以上、3人のこうした行為を見るのは、初めてでは無い。
 …しかし、もちろん、興奮しない訳では、無いのだ。

 
 …幼い見た目に違わず、精神的にも子供っぽい (大人びているティニでさえ、中身は見た目相応に幼いのだ) 彼女達が、大人顔負けの性技でもって、お互いに快楽を与えあう様は、実に官能的であり………
 こうした光景を見る度に、股間のイチモツを一回り大きく勃起させるリンは………
 自分が幼い少女に欲情する、どうしようもない幼女性愛者へと堕ちてしまった事を、
自覚する。
 
 もはや立派な幼女嗜好である彼にとって、3人の妖精が繰り広げる光景は………
 暗くじめじめした地下室にあっても、まるで楽園を垣間見ているかのような。
 そんな錯覚を、彼に抱かせるのだ。
 目を奪われない、訳が無い。

 ただしリンは、自分が幼女嗜好となってしまった事に、後悔の念など抱いていない。
 自分が、そういった嗜好を持っているという事によって。

 
 彼女達を、愛する事が出来るのならば、それでいい。
 彼女達と、これからも一緒に居られるのならば、それでいい。
 彼女達を精一杯、悦ばせてあげられるのなら、それでいい。

 彼女達の恋人である彼は、心の底から、そう思っているのだ。

 だからリンは、彼女達――今回に限っては、主にフィル――に、お仕置きと言う名の
悦びを与えるために……… 自分が彼女達に抱いた欲望を、満たすために。
 厚紙で出来た白い箱から取り出した、包装紙に包まれた細長い物を手に。
 どこか彼方へと飛んでいた意識を、無理矢理引き戻して、未だ絡み合う妖精達へと向き直る。


 「…ん〜〜〜……… おマメちゃん、これいじょうおっきくならないね〜………」

 「はへっ♪ はへぇっ♪ クリひゃんっ♪ きもちいっ♪  しゃいこぉっ♪♪」

 「…まだまだ、調教の余地があるなぁ………
  …まぁ、いいや。 …クリイきはもう十分、堪能したみたいだし………
  ……次は、膣 (なか) イき、イってみようか♪」

 「……やぁあっ♪  やらぁっ♪  なかイきやらぁっ♪♪
  クリイきでボクっ♪  おまんこいっぱいなのぉ♪
  なかイきされるのぉ♪  やらやらやらぁっ♪♪」

 「はいはい♪ おマメちゃんとおなじくらい、イかせてあげるからね〜〜♪
  …たのしみにしててねっ♪」

 「……あはぁっ♪ やらってばぁ〜〜〜っ♪」


 ひとしきりクリトリスを扱き上げた後、今度はフィルの膣内へと、狙いを定める2人。
 それに対し、フィルはイヤイヤと首を振り、膣内への責めを拒む。
 ……実に嬉しそうな表情で脚をM字に開く姿は、とても嫌そうには見えないのだが。


 「…その辺にしといてやれ、お前ら。」

 
 …このまま放置していれば、いつまでも乳繰り合っていそうである。
 とりあえず、夢中になって弄くり回すティニとシルキーを止めない事には、何もして
あげられないので、フィルとの間に割って入り、2人に制止の言葉をかける。


 「……え〜〜。 いまからたのしくなるところだったのに〜〜………」

 「…そうだぞぉ? これからフィルには、両乳首とクリトリスとGスポットとポルチオの、
  5点発狂責めをだなぁ………」

 「ひいぃぃっ!!♪♪」


 折角気分が乗ってきた所を邪魔されて、2人は不満たらたらだ。
 ……ティニの発言に悲鳴を上げて怯えつつも、だらしない顔を更にだらしなくふにゃらせるフィルの事は、とりあえず無視。


 「いいから。 …ほら、フィルは俺をご所望のようだぞ?」

 「リン〜〜♪  ティニとシルキーがいぢめるぅ♪  たしゅけてぇ♪」


 リンを視界に捉えた途端、妖精2人に快楽責めを受けていた時とは比べ物にならない程嬉しそうな顔をして、彼を求めるフィル。
 もはや、傍らの2人の事など、目に映ってはいない。

 そんなフィルの様子を見たティニとシルキーは、呆気に取られたような顔をして………
 ティニは、やれやれと首を振りながら。
 シルキーは、しぶしぶと未練がましい表情で。
 フィルを弄る手を止めて、彼女を解放する。

 そのまま、彼女から離れようとして………


 グリッと。


 「ひぎィッ!?♪♪♪」


 …離れざまに、乳首とクリトリスを思いっきり、痛い位に抓り上げたのは……彼女への嫉妬ゆえ、せめてもの憂さ晴らし、だろうか。

 悲痛な声を上げるフィルの身体は、そんな痛みをも快楽へと変えてしまったのか。
 プシュッと何度目かの潮を噴かせ、指の先までガクガクと震わせながら、絶頂に至る。

 溢れ出た涙と涎と汗でぐちゃぐちゃの顔のまま、幸せに満ちた笑顔を浮かべるという、あまりにも見っとも無い、ともすれば無様とも言えそうな表情を、いささか血走った眼差しで眺めつつ。
 リンは、手に持った細長い物の包装紙の口を、ビリビリと破る。


 「………? …リン? 何だ、それは?」

 「ヘンなかたち〜〜〜。」

 「……ん? お前らは見たこと無いか?」


 包装紙の中から出てきたのは、白くて細い棒の両端に、綿で出来た球体がくっついている、一見何に使うのか分からない、不思議なモノ。

 リンは、包装紙から取り出したそれを、2人に見えるようにかざして。
 もはや板に付いた、ニヤリとしたいやらしい表情を浮かべる。


 「これはな……… …綿棒だ。」


 そう言いながら、指先で綿棒を、クルクルと弄ぶリン。
 ネジを回すように回転させるその動きに、妙な卑猥さを感じながらも………
 聞いた事のないその名前に、2人は思わず聞き返す。


 「「……めんぼう?」」

 「あぁ。 つい最近そこらの雑貨屋で売り出した、耳掃除の道具でな?
  それ以外にも、細かい所の掃除なんかに、使ったりするらしいんだが………」


 話しながらフィルの下腹部を、左手の指先で優しく撫で始めるリン。
 暖かい指でお腹を撫でられて、彼女は気持ち良さそうに、うっとりと目を細める。
 今も疼く子宮の真上を撫でられる気持ち良さに、トロリと、膣内に溜まっていた愛液が、膣口から零れ落ちた。

 行為に及ぶ前は、脚を開いていてもぴったりと閉じていた、フィルの秘裂も。
 散々いじめ抜かれた今は、何もしなくとも、その身をぱっくりと開かせている。

 桜色だった秘裂内は、真っ赤に充血し。
 扱かれ続けたクリトリスは、陰核包皮を被れない程に、大きく成長している。
 小さく薄い小陰唇は、解れに解れて、美しい花弁のように、自身を開花させ。
 その間から、潮の垂れる尿道口と、パクパクとひくつく膣口が、まる見えとなっている。

 それらは例外無く、彼女の体液や、アルラウネの蜜でグチョグチョであり………
 思わずむしゃぶりつきたくなるような、甘く熟した果実を思い起こさせた。


 「「…じゅるり………♪」」  「…ごく………っ」


 スベスベの下腹部に手を滑らせる度に、甘い果汁を溢れさせる、フィルの果実。
 そのあまりに美味しそうな光景に、3人は垂れかけた涎を慌てて啜り、飲み込んだ。


 「…それで………?」(ドキドキ

 「…どうやってつかうの………?」(ワクワク


 正直な所、ティニとシルキーには、リンが綿棒をどう使うのか、分かり切っていた。
 しかしそれでも、聞かずにはいられない。

 自分達をどうやって悦ばせてくれるのか、彼の口から、聞く度に。
 変態な彼を、どんどん染められていくのが、分かるから。

 フィルの大陰唇の片方を、お腹を撫でた指先で引っ張り。
 くちゃぁ、と音を立てて開かれる、彼女の秘裂を眺めながら、リンは。


 「…ここもたまには、掃除してやらないと、な………?」
 

 そう、彼女達の予想通りの答えを、返すのだった。


 「……うわぁ………♪」   

 「…わたし、リンくんのこと、けいべつしちゃうかもぉ………♪」


 そんな台詞を吐きつつも、何処か熱っぽい、中にハートマークが見えそうになっている瞳で、リンをぼんやりと見つめる2人。
 染まり過ぎにも程がある。

 そんな彼女達に苦笑しながら、机に置いていた小瓶を手に取り、中のアルラウネの蜜に綿棒の片側を浸す。
 そして、蜜が糸を引く綿棒の先を、ひくつくフィルの膣口へと宛がう。
 血走るその目が、嗜虐的な色に、更に濃く染まっていく。


 「…まぁ、そういう訳だ。
  …さっき言った通り、何十回イっても、止めないからな。
  覚悟して………」

 「―――ないで………」

 「………ん?」


 ふと、調子に乗ってきたリンの言葉を遮って聞こえる、小さな声。
 よく見れば、荒い呼吸を繰り返すフィルが、虚空を見つめながら、うわごとのように、
何事かを呟き続けていた。
 よく聞こえないとすませた耳に、紡がれた言葉は………


 「……やめないでぇ………♪
  ボクが何百回イってもっ♪  …やめちゃダメぇっ♪」


 …イき地獄に堕ちる事を渇望する、そんな言葉。
 頭の中を無限に反響するその言葉は、リンの心臓を、ドクンと跳ね上がらせる。
 うわごとは、まだ続く。


 「…おまんこ、いっぱいゴシゴシして、いっぱいキレイにしてぇ………♪
  …キレイになった、ボクのピカピカおまんこでぇ………♪
  …リンのステキおちんぽ、たくさん気持ち良くしてあげるからぁ………♪」


 まるで妄想をそのまま口に出したような、フィルのうわごとは………
 リンの心臓の鼓動を、確実に早めていく。
 
  
 「…リン……… おねがいぃ………」


 絶頂の余韻で力の入らない、だらしなく広げた脚は、そのままに。
 トロンとした目だけを動かして、リンの事をジッと見つめて。

 有り得ない速度で心臓を拍動させるリンに向けて、放たれた想いは………


 「……いっぱい、いっぱいっ♪  おまんこしてぇっ♪♪」


 …リンの理性を、容易く崩壊させてしまうのだった。




   こちゅんっ♪♪




 ……だから。
 頭の中のナニカが切れたリンが、フィルの子宮口を貫かんばかりに、綿棒を膣内へ突き立ててしまったのは、仕方の無い事なのかもしれない。


「――――――ひ………っ!!♪♪♪」


 …下腹部から勝手に一人歩きして、全身に駆け巡った、強烈な快楽。
 それに、フィルの敏感になった感覚が追いつく、ほんの僅かな間を置いて。

 目を大きく見開き、歯を硬く食い縛り。
 顎と背中を反らせて、カクカクと痙攣するフィル。
 歯と歯の隙間から漏れた小さな悲鳴は、確かな喜色を帯びていた。

 どうやら膣内を綿棒で貫かれただけで、盛大に達してしまった様だ。
 膣壁を一瞬で掻き分け、子宮口にめり込んだ綿棒のざらついた感触は、フィルの脳髄に、新しい快楽の味を刻み込ませる。
 その味のあまりの甘美さに、彼女の視界は溢れ出た嬉し涙で、全てが歪んでいた。
 
 リンの右手と綿棒が、潮でびしょ濡れになったのは、言わずもがなだ。


 「……あ………ひ………っ!!♪」

    ガクッガクッガクッ!!♪♪

 「暴れるなっての。」


 絶頂したフィルの痙攣は、一向に治まる気配を見せない。
 このままでは責め難いと考えたリンは、フィルの胴体を、上からそっと左の指先で押さえ込み………。


   こしこしっ♪  こしこしこしこしっ♪♪

 「あひっ!?♪  あっ♪ あ゛っ♪  あひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!♪♪」


 愛液に塗れた膣壁を、丁寧に、丁寧に。 ざらついた綿棒で、擦り始めた。


 「あっ♪ あふっ♪  すごぉっ♪  これすごぉっ!♪
  綿棒ざらざら気持ちいいぃぃぃぃぃいいいいっ!!♪♪」


 まるで膣内の汚れを全て削ぎ取るように、リンは巧みに綿棒を操る。
 幾度もの絶頂により敏感になり過ぎた膣内へ与えられた、生まれて始めての感触。
 リンとティ二、シルキーからの責め以外を受け入れた事の無いフィルの膣内は、その感触に、新たなる悦びに開花する。

 綿棒にたっぷり絡まった、アルラウネの蜜の効能も相まって………
 綿棒責めを始めてからものの数秒で、見事にハマってしまったようだ。


 「きもちいっ!♪  おまんこ掃除っ♪  んきもちぃいっ!♪♪
  もっとしてっ♪  もっとおそうじおねがぃぃぃいいいっ♪♪
  ひゃふっ♪♪  ふゃっ♪ ひゃっ♪ はひっ♪  はひゅぅっ♪」

 「初めてのまんこ掃除は、気に入った?」

 「うんっうんっ♪  さいこうっ♪ はひゃっ♪  お掃除さいこぉっ♪♪
  ボク決めたっ!♪ あ゛っ♪  おそうじするっ♪  ボク、毎日おそうじすりゅっ!♪♪
  リンにおまんこ毎日おそうじしてもりゃうぅぅぅぅぅううう!!♪♪」

 「………」


 フィルのあまりのハマりっぷりに、呆れ顔になるリンだったが………
 そんな彼女の悦びに打ち震える痴態を前に、リンの心に、とある感情が浮かび上がる。

 
 (……なんだかなぁ………)


 それは、嫉妬心。
 しかもそれは、別にフィルに対してのモノという訳では無く………
 あろうことか、彼自身の操る、綿棒に対してのもので。

 
 「………」


 …フィルの大陰唇を左の親指で広げ、綿棒が膣口を出入りする様子を観察する。
 膣壁に綿棒の先を押し付け、中のひだを掻き分ける様に、蜜を塗り付ける様に。
 ちゅぽちゅぽこしこしと、愛液に塗れる膣壁をこそぐ。


 「…あはぁっ♪  おまんこキレイになってくの、分かるよぉっ!♪♪
  …ふぅぅっ♪  …どうしよぉ♪ 綿棒、好きになっちゃぅうっ!!♪」

 「………」


 一通り膣壁をこそいだ後、今度は膣のお腹側、浅い所に狙いを定め………
 ぷくっと膨らんだ、コリコリした場所……Gスポットを、勢い良く擦り始める。


 「ひっ♪  ひぃぃっ♪  あひいぃぃぃぃぃいいいい゛い゛っ!!♪♪
  ダメっ♪  そこ弱………くひぃいいっ!♪♪  らめらめらめぇっ!!♪
  めんぼうっ♪  ホントに好きになっちゃうぅぅぅぅぅうううっ!!♪♪」

 「…………」

 
 Gスポットの位置を完全に把握した、的確な責め。
 時折回転を加えながら、自分の弱点の一つを乱暴に往復する綿棒に、フィルはただただ、嬌声を上げ続けるしかない。

 軽い絶頂を何度も繰り返し、暴れる身体。
 胴体は押え付けられていても、下半身だけは何度も何度も跳ね上がり、お尻とその下の水溜りが、再び卑猥な水音を立て始める。

 そんなフィルを更に深い絶頂に導こうと、リンはGスポットを擦る動きに、子宮口まで届く長いストロークを追加させた。
 ゴツゴツと、何度も何度も子宮口が綿棒の先端に叩かれる。
 
 
 「あっ♪  あっあっあっ♪  あっ♪ あっ♪ あ゛っ♪ あ゛ひぃぃぃいい゛い゛っ!!♪♪
  イグイグイグっ!♪♪  イグっ♪♪  イっぐ!♪♪  イっひゃ!♪♪
  ………イグううぅぅぅぅぅぅぅぅううう゛う゛う゛ッ!!!♪♪♪」


 気持ちの良いトコロを何箇所も同時に責められて、より高く達する。
 綿棒にすっかり馴染んだ彼女の膣は、綿の球をがっちり咥え込んで離さない。
 相当、お気に召したようだった。
 

 「はぁ……っ♪ はぁ………っ♪ はぁぁ………っ♪
  めんぼう………っ♪  だいしゅきぃ………♪♪」

 「……………」


 一方でリンは、フィルを絶頂へ導いておきながら、それとは全く別のことを考えていた。
 達した彼女の扇情的な姿を目の当たりにしても、彼の心は満たされない。

 唇も処女も、その身体全てを貪り尽くした、幼く未熟な身体。
 ティニとシルキー共々、最も大切だと確かに言える、自分だけの女。

 それが今は、自分のペニスでは無い、無機質な道具に膣内を責め抜かれ、幸せそうに惚けている彼女がいる。
 彼女をこうしたのは、他でもない自分であるというのは、リン自身も理解してはいる。
 が、だからと言って、こうまで悦ばれてしまっては、男として思うところがあるようで。

 
 「………♪」


 当のフィルはというと、未だ荒く、熱っぽい息を吐きながら………
 涙に濡れ、快楽に霞んだ瞳で、これまた実に嬉しそうな顔で、ふにゃっと笑う。

 その笑顔にどう勘違いしたのか、居ても立っても居られなくなったリンは、自身の心に浮かんだ疑念を、彼女に素直に聞いてみることにした。
 こんな情けない疑念を大真面目に抱いてしまった事を悟られないように、いじわるな顔を取り繕い、ごまかしながら。


 「……な、なぁ、フィル。 …綿棒と俺のチンポ、どっちが好きだ?」

 「リンのちんぽぉ♪♪」

 「………う」


 即答。

 全く迷いの無い返答に、思わず仰け反るリン。
 顔が急激に火照り出し、顔中に血液が一気に集まって来ているのが分かる。

 あまりに情けなさ過ぎる。 というより、格好悪過ぎる。
 途端、フィルのこちらを見る目が、まるで自分の心の中を見透かしているような錯覚を覚え、よく考えずに質問してしまった事に後悔の念が湧いてくる。


 「「………」」 (ニヤニヤ


 見れば、自分を見るティニとシルキーの目が、もの凄く生暖かい事にリンは気付く。
 フィルに夢中になり過ぎて、傍で2人が見ている事を完全に忘れていたようだ。

 妖精3人の視線が、猛烈な恥ずかしさを生む。
 それに加えて、何故だか、フィルとの勝負に負けてしまったような感覚に陥ったリンは………
 

 とりあえず、彼女に八つ当たりすることにした。




   ぎゅるっ♪ ぎゅるっ♪ ぎゅるるるっ!!♪♪

 「んぎいぃぃぃぃぃぃいいいああああああああ゛あ゛あ゛ッッ!!!♪♪♪」

 
 子宮口にめり込み、まるでドリルのように、綿棒が高速で回転を始める。
 

 「だめっ♪  らめっ♪  らっめぇぇぇええ゛え゛っ!!♪
  やめへっ♪  やめへやめへぇっ!♪  やめへぇぇええ゛え゛っ!!♪
  いりぐちとけりゅぅぅぅぅぅううううう゛う゛う゛っ!!♪♪」


 絶頂の余韻の最中に突如襲いかかる、フィルの許容量を遥かに超える量の快楽。

 子宮口を削るような激しい摩擦に、フィルは思わず、制止の声を上げる。
 しかしそれも空しく、彼女の子宮口は、容赦無く責め続けられる。
 …当然だ。 止めるなと言ったのは他でもない、フィルなのだから。

 綿棒のその丸い先端は、彼女の子宮口にぴったりと嵌り込み。
 ざらざらした綿の繊維は、綿棒が回転する毎に、カリカリと子宮口を擦る。
 綿にたっぷりと絡んだアルラウネの蜜は、着実にフィルの子宮へと染み込んでいき。
 時を経るごと、感度が倍々に膨れ上がっていく子宮は、入り口を擦られる度に、キュウキュウと激しい収縮を繰り返す。


 「熱っ♪ 熱いのっ♪  まんこの奥あちゅいのぉっ♪♪
  ほんとにとけひゃぅっ♪  んぎっ!♪  とろけりゅぅぅぅぅうう゛う゛!!♪♪」
 
 
 1年かけて開発され尽くされたフィルの子宮口は、今までの責めとはまるで違う、全く別次元の刺激と快楽によって、翻弄されていた。

 綿棒の激しい回転による摩擦で、徐々に熱を持ち始める子宮口。
 回転刺激による振動は、彼女の子宮口のみならず、子宮本体をも、揺さぶり始める。
 
 綿棒によって生み出された刺激と熱と振動は、子宮全体を、優しく包み込み………
 深い幸福感と、気が狂う程の絶頂の予感を、フィルにもたらす。
 
 もはや、恐怖すら感じる程に。


 「あぎぃぃぃぃぃぃいいい゛い゛っ!!♪♪  あ゛っ♪ ぁあ゛っ♪  やめ゛っ♪
  リンっ♪ おねがぁっ♪  もうやめっ……ぎぃぃっ!!♪ もうやめへぇっ!♪
  しあわせくるっ♪  ボクの子宮っ♪  しあわへになっちゃうぅぅうううっ!!♪♪」

 「…幸せなら、いいんじゃないか?」

 「らめっ♪ らめなのっ♪  このしあわへっ ……あぎっ!♪ らめぇっ!!♪
  怖いぃっ!♪  このしあわへぇっ♪  こわいのぉっ!♪♪  こわひからぁっ!!♪♪
  だからっ♪  …早くやめへぇっ!♪  じゃないと、しあわへすぎてっ♪ 死んじゃ」


 …突然、喘いでいたフィルの声が途切れる。
 そして直後、ガクンッ! …と、彼女の身体が1度だけ、大きく跳ねた。

 リンが、綿棒を回転させる速度を、急激に上げたのだ。

 目を見開き、舌を限界まで突き出し。
 カクカクという小刻みな身体の震えが、ガクガクという荒っぽい痙攣に変わる頃。
 小さな少女の絶叫が、地下室に木霊した。


 「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああ゛あ゛っ!!!♪♪ 死ぬっ♪ ひんじゃぅうう゛う゛っ!!♪♪」


 生命の危機すら感じられる程の快楽に、全力で身を捩り、逃れようとするフィル。
 しかし、お腹の上から押え付けられるリンの指が、それを許さない。
 必死に閉じようとする脚も、同じリンの指で強引に広げられていた。

 衰えるどころか、なお激しさを増すリンの責めに………
 フィルの身体は、絶頂を超えた、更なる高みへと、上り詰めようとしていた。


 「あ゛っ♪  くりゅっ♪  すっごいのくりゅっ!♪♪
  『イく』よりしゅごいのっ♪  しゅっごいのきちゃうぅぅっ!!♪♪
  しあわへぇっ♪♪  くりゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう゛う゛っ!!♪♪」


 きっと……その更なる高みが、天国というモノなのだろうと。
 フィルは、快楽に狂いかけた頭で、ぼんやりと考えていた。


 「リンっ♪♪  怖いっ♪  しあわへっ♪  すごくこわいよぉっ!♪♪
  あひゃっ♪  …トんじゃうっ!♪  ボクっ♪ どっかトんでっちゃうっ!!♪
  あひっ♪ あひあひっ!♪  天国ぅっ♪  トぶぅぅぅぅうううっ!!♪♪」
   

 光の消えかけた濁った瞳は、リンの顔以外、何も映すモノは無く。
 口の周りを涎でベトベトにしながら、可愛い舌をベロンと垂らして。
 その口元は、終始、恍惚とした笑みを浮かべている。
 
 そんな、見事なアクメ顔を晒すフィルの、ピンと伸びた足のつま先が……
 彼女がもうすぐ、絶頂の更に先へと到達してしまうことを示していて。

 その反応に、リンは………
 

   ゴリュルルルルルッ!!  ……と。


 フィルの子宮口を貫かんばかりに、綿棒を捻じ込んだ。


 「――かふ………っ♪♪♪」


 …子宮口が、壊れてしまいかねない程の勢いで、蹂躙され。
 フィルの身体の中心を脳天まで貫いた、意識が飛ぶ程の衝撃と快感。
 肉体から引き剥がされ、吹き飛ばされたフィルの意識が、気が狂いそうな快楽の中を思いっきり突き抜けた先は………。
 
 眩い光と、薄桃色のモヤ、そして、幸福感に支配された空間。 

 それはまさしく、天国だった。








 「――――あは……っ♪ あはは………っ♪」


 狭い地下室に響く、フィルの小さな笑い声。
 薄く微笑むその顔は、本当に幸せそうだ。

 辺りにキラキラと光る水玉は、行為中や絶頂時に振り撒かれた、フィルの汗と涙と、涎と愛液と潮。
 それらは、作業台の上どころかその下の床にまで飛び散っていて、フィルが受けた行為と絶頂の激しさを物語っていた。

 現在は、壊れそうな程の快楽に暴れに暴れた身体も、鳴りを潜め。
 小刻みに痙攣させるその身体を、ぐったりと弛緩させ。
 未だ押し寄せる絶頂の余韻を、その小さく幼い全身で、甘受している。


   ずりゅりゅ………っ

 「くひぃ………っ!♪♪」


 不意に、フィルの股間を襲う、急な刺激と喪失感。
 それらの感覚に続くように訪れた緩い快楽によって、彼女は現実へと引き戻される。

 リンが彼女の膣内から、愛液と蜜でドロドロに解れた綿棒を、引き抜き始めたのだ。
 あまりにも強烈過ぎた絶頂のせいで、今もキツく収縮を繰り返す膣内を強引に引き抜かれていく綿棒の感触に、微かな声を上げて、無意識にお腹を跳ねさせる。

 ちゅるんっという音を立ててその全貌を見せた綿棒の先端と膣口の間には、蜜だか愛液だか分からない粘液が、細く糸を引いていた。


 「……はへ………へええぇ………っ♪」


 寂しそうにパクパクとその口を開け閉めして、愛液という名の涎を溢れさせるフィルの膣口は……まだ足りない、もっとシて欲しいと。 必死に懇願しているようにも見えた。


 「くふぅんっ♪  フィルちゃんでオナニーするのって、さいこうだねっ♪ ティニちゃん♪」

 「ふぅっ♪ ふぅんっ♪  イってるフィルの顔っ♪ 可愛すぎる………っ♪」


 そんなフィルの傍らには、熱っぽい眼差しで彼女を見つめる妖精が二人、今までと変わらない位置に陣取っている。
 ただし、先ほどまでとは違い、2人の足元には水溜りが出来ていたが。

 どうやら、綿棒で責められて善がるフィルをオカズに、オナニーを愉しんでいたようだ。
 今も膝立ちになりながら、両手を使って自分の秘所をクチュクチュと弄くり回している。


   ぺりぺりぺりっ


 ふいに2人の耳に入ったのは、フィルの拘束された腕の方から聞こえてくる、何かが剥がされるような音。
 その音に我に返った2人がそちらを見れば、フィルの腕を拘束していたテープを、リンが剥がしている所だった。

 どうやら、お仕置き(?) は終わりらしい。 
 実際、ここいらが限界だろう。
 ここで終わっておかないと、本当に壊れてしまうかもしれない。

 …と、いうことは。
 
 
 「…ティニ、シルキー。」

 「「はいィっ♪」」


 テープを綺麗に剥がし終えたリンが、2人の名を呼んだ。
 ついに自分達の番が来たかとその目を輝かせ、早鐘を打つ心臓を抑えもせずに、次の言葉を待つ。
 期待に心が躍り、火照る身体を更に燃え上がらせ、上下両方の口から、トロトロの涎を垂れ流し………


 「このままフィルを、大きくしてくれないか。」

 「「………ふぇっ?」」


 …しかし、リンの口から出た次の言葉は、2人が望んでいたものでは、無かった。
 ポカンと開けた口から、何とも間抜けな声をあげる。

 フィルを大きくする。 
 普通なら何のことやら分からないだろうが、フェアリーであり、リンと1年間一緒に暮らしてきた彼女達ならば、理解できる。
 要は、魔法を使って、フィルの身体を人間大の大きさにする、という事だ。

 この魔法自体は、それなりの魔力を持つフェアリーであれば誰でも使える魔法であるし、毎晩欠かさず、目の前の愛しい男にたっぷり精を注いでもらっているフィル達3人ならば、当然扱うのも容易い。

 しかし、何故わざわざフィルの身体を大きくしなければいけないのかが分からない。
 フィルを休ませるために、彼女の拘束を解いたのでは無かったのか。
 それだけなら、別に小さいままでも………

 興奮で鈍った頭ではリンの意図が分からず、間抜けな顔のまま、固まる2人。
 ……ふと視界に入ったリンの下半身を見て、即座に理解してしまったが。

 そこには、ズボンの前部分をこんもりと持ち上げる、とてつもなく大きな、ナニカが。


   カチャカチャッ、ガチャッ!


 金属と金属がぶつかり合う音。
 もう待ち切れないとばかりに、強引に外されるベルトのバックル。
 乱暴に脱いだ彼のズボンは、その辺の床に適当に放り投げられる。
 そうして、現れたのは………
 

   ビキッ!  ビキビキィッ!!

 「「ひぃっ!?」」


 不規則に大きく震えながら、ビキビキという音が聞こえてきそうな程に肥大化した、
巨大なペニス。
 血管を幾筋も浮かび上がらせたそれは、樹齢を重ねた木の幹のように太く………
 その先端に自己主張する、赤黒く変色した亀頭には、戦慄を覚えるしかない。

 子供の手首くらいなら、優に上回るであろう大きさを持つそれは………
 サキュバスなどの好色な魔物が見ても、一瞬仰け反ってしまいそうな。
 フィルの言う祖チンなどとは、到底呼べそうに無い代物だった。

 いつも見慣れているものとは明らかに違う凶悪なリンのペニスを前に、ティニとシルキーは本能的な恐怖を抱く。
 そういえばと、リンがアルラウネの蜜を舐めていた事を2人は思い出すが (リンが
フィルのクリトリスを責める前辺り)、とにかく、ここまで凶悪な姿をした彼のペニスは、1年
一緒に暮らしてきて、一度も見たことが無い。
 

 彼は、このペニスで、フィルを犯すつもりなのだ。
 彼女の身体を大きくするという事は、つまり、そういう事だ。


 「ちょ………っ!! 待て待てリンっ! 今のフィルに、そんなモノを挿れたら………!」

 「フィルちゃん、ぜったいこわれちゃうよぉ〜〜〜っ!!」


 リンの凶行に、流石の2人も焦りだす。
 今のフィルは快楽によって、肉体的にも精神的にもへろへろなのだ。
 そんな状態の身体をこんな化け物みたいなモノで犯されたら、いくらフィルでも壊れ……いや、本当に死んでしまうかもしれない。
 なんだかんだで、彼女達も親友想いである。 フィルへのこれ以上の行為は危険と判断し、暴走しかけているリンを、どうにか押し留めようとする。
 
 しかし………


 「…リン……♪ リンっ♪ リンっ♪ リンんんっ♪」


 そんな2人も、視界の端に映ったものに、言葉を無くすしかなかった。

 そこには、自由になった腕をリンへ精一杯に伸ばして、彼の名を呼ぶフィルの姿。
 ふやけた顔で、心底嬉しそうな表情を浮かべた彼女には、もはや普段の面影は欠片も無く。
 まだ足りない、満足出来ていないとでも言わんばかりの彼女に、ティニもシルキーも、
呆気に取られるしかない。
 
 ふと、愛おしそうにリンの名を呼び続けるフィルの身体に、とある変化が訪れる。
 周囲に仄かな紅い光の粒が舞ったかと思うと、同じく紅い光を纏った彼女の身体が、
ゆっくりと、大きくなっていく。
 
 躊躇するティニとシルキーに代わり、彼女自ら、自分を大きくする魔法を使ったのだ。
 まるで覗いた望遠鏡をゆっくりとズームしているかのように大きくなっていく彼女の身体は、最終的に、人間の子供並みの大きさになった所で止まる。


 「フィル………」

 「リン………♪  ほらぁ………♪ おっきくなったよ………♪♪」


 依然、両腕をリンに向けて伸ばした、抱っこをせがむような格好のフィル。
 その視線は、リンの顔と股間の剛直を何度も往復し………
 情欲に満ちた男の瞳と交差する度に。 
 今まで見たことも無い程に凶悪化したペニスが網膜に焼き付く度に。
 うっとりと、真紅に輝く瞳が、細められていく。 


 「ねぇ、リン………♪  だっこぉ………♪」

 「………っ!」


 リンの鼓膜を震わせる、蕩けるような、甘い声。
 切なさを含むその声は、リンの脳髄を、ジンと痺れさせ………
 心臓が、ペニスが。 力強く跳ね上がる。

 自分の全てを魅了する魔性の声に、生唾を飲み込むリンの視線は、彼女に釘付けだ。
 もうフィル以外の何者も、その瞳には映っていない。

 リンは、声に誘われるように、人間大となった彼女の顔に近づいて。
 フィルはそれを迎えるように、伸ばした両手で、リンの頬を優しく包み込む。
 そこには、完全に2人だけの空間が、形成される。


 「「………」」


 そんな2人を、傍からぽ〜っと眺める、ティニとシルキー。
 フィルが作業台の上を占領してしまったため、やむなく宙へと飛び立った2人は、リンとフィルが形成する桃色の空間に完全に呑まれ、ただ見ていることしか出来ないでいる。

 自分達が除け者にされている事にさえも考えが及ばずに、呆然と眺めている間にも。
 リンとフィルは、お互いの気持ちを確かめ合っていく。


 「リン………♪  好き……っ♪ 大好き………っ♪」

 「…あぁ………」

 「…ボク、ホントはね……? リンに、いたずらなんてヒドい事、したく、ないの………」

 「……あぁ………」

 「でも、いたずらすれば…… ボクの事、いっぱい構ってくれるからぁ………♪」

 「…あぁ……分かってるさ。 …本当は、甘えん坊だもんな、お前。」

 「………っ!!♪♪ ごめんね……っ!♪ 今までヒドイ事して、ごめんねぇ……っ!♪」


 睦言を交わす間にも、フィルはリンの首と腰に抱き付くように、両腕と両脚を廻し。
 リンはフィルの背中とお尻に手を廻し、小さな子にそうするように、優しく抱き上げる。
 元が小さな妖精であるフィルの身体は、人間大になっても、驚くほど軽く………
 体力に自信が無いリンでも、軽々と抱える事が出来た。

 しばしの間、鼻先の触れ合う距離で、こげ茶の瞳と真紅の瞳が交差する。
 そして……どちらからともなく。
 甘く情熱的な、キスをする。


 「…ちゅ……ちゅぅ…… れろ………っ」

 「…んむ……っ♪ ……ぷぁっ♪
  …あはっ♪  べろぉ、きひゃぁ……っ♪♪」


 薄いピンクの乗った柔らかな唇に、少しカサついた、荒れ気味の唇が押し付けられ。
 閉じた小さな唇は、太くて厚い舌によって、大した抵抗も無くこじ開けられる。


 「じゅる……じゅろぉ……… ちゅぷっ……ちゅろぉ………」

 「あむぅ……れろれろ……♪  リンのべろ、きもちいっ♪♪
  んちゅぅ……はむっ♪  くちゅぷちゅ♪  んれろぉ………♪♪」


 口内に侵入した舌は、フルフルと震える小さい舌を、蹂躙するように舐り回し。
 負けじと小さい舌も、その可愛らしさに似合わぬ力強さで、大きい舌と絡み合う。
 2つの唇の隙間からは、2つの舌でぐちゃぐちゃに掻き混ぜられた唾液が溢れ出し、
べっとりと2人の口元を塗らしていた。
 

 「…はぁ……っ!  …俺もっ! お前が好きだっ!  フィルっ!!」

 「んちゅぅう……ぷはぁぁあっ♪  うれしいぃっ♪
  ボクも好きっ♪  リンが大好きっ!♪  死ぬほど大好きぃっ!!♪♪」


 言葉を交わす合間も、まるで勝ち負けを競うように、お互いの舌を舐めしゃぶる。
 息が続く限り、唇に吸い付き合い、舌を擦り合わせ、唾液を交換し合い。
 唇を離すと同時に息継ぎし、吐いた息すらも交換する。

 もう、どれだけ時間が経ったのかも分からない。
 数十分かもしれないし、もしかしたら、1分にも満たないのかもしれない。
 そんな曖昧で、甘美な時の中。 2人の思考は、ゆっくりと溶け出していく。


 「…ぷはっ!  …はぁ……はぁ……はぁ………っ」

 「ぷひゅぅう〜〜っ♪  ふぅ〜〜〜っ♪  ふひぃ〜〜〜っ♪」


 微かなアルラウネの蜜の味と、散々飲み慣れた、フィルの愛液と潮と、唾液の味。 
 決して飽きる事の無い、甘しょっぱいキスの味を、リンが心行くまで堪能した頃。
 気が付けば、ゆるゆるに緩み切った顔で、疲れ果てたように息を吐く、汗だくの男女がそこにいた。
 
 身体から立ち上る熱気が、狭くて暗い地下室に篭もる。
 カビ臭さと、蜜の甘い匂いと、体液の饐えた匂いの混在するこの部屋で。
 中央の男女だけが、見る者を圧倒させる、妖艶な雰囲気を纏っていた。

  
 「……なぁ、フィル………」

 「……へはぁっ♪」


 リンの何かを求めるような声に、フィルが喜悦の吐息を漏らす。
 先程から、その赤黒い巨根が期待に身を震わせる度に、彼女のお尻にペチペチと当たっているのだ。
 焼けるように熱い肉の棒の感触に、いい加減、フィルの我慢も限界である。

 誘うように、小振りでぷりっとしたお尻を揺らして、雄々しく反り返る巨根に擦り付ける。
 その仕草に辛抱堪らなくなったリンは、フィルの身体を少し離して………
 自分の首にぶら下がるフィルの秘裂に、いきり立つ剛直を押し当てた。


 「くふぅん………っ♪」


 紅く充血する秘裂に触れた熱いモノに、ピクリとフィルの下腹部が反応する。
 それを皮切りに、早鐘を打つように、高鳴りを増す胸の鼓動。
 そんな心臓の拍動に急かされる様に、愛しい恋人を求める言葉を口にする。


 「おねがい………っ♪  キてぇ………っ♪♪」


 フィルの蕩け切った声が、リンの鼓膜を撫で回す。
 ぱたぱたと動く紅い羽が、彼女の甘い匂いを鼻腔へと運ぶ。
 秘裂にこびり付くアルラウネの蜜が、敏感な亀頭へと染み渡る。

 我慢などという単語は、リンの辞書からすっぽりと抜け落ちて。 
 フィルの身体、物欲しそうにヒクつく膣口を、自慢のペニスへ向けて、ゆっくり、ゆっくりと沈み込ませた。

 度重なる愛撫により解された小さな膣口は、自分の腕よりも太いであろう長大なモノを、いとも容易く、呑み込んだ。


 「ひっ♪  ……ぐぅぅううううううう゛う゛う゛っ!!♪♪」


 膣口を限界まで押し広げ、膣壁を掻き分けんとする凶悪な亀頭の存在感に、目を白黒させて、苦しそうな声を上げるフィル。
 下腹部に感じる息苦しいまでの圧迫感に、リンの胸にしがみ付き、必死になって耐えようとしている。
 しかし、単に苦しいだけでは無い事は、その嬉しそうに緩む口元が物語っていた。

 しがみつくフィルの気を落ち着けるように、彼女の背を優しく撫でながらも、リンは
ペニスを挿入する手を緩めようとはしない。 
 ずるずると自重により沈んでいく幼い身体を、お尻を支える手で調整し。 
 ゆっくりと、焦らす様に。 酷く緩慢に、彼女の身体を沈めていく。

 別にリン本人に、フィルを焦らそうという意思は全く無い。
 幼い少女の狭過ぎる膣内を自分のペニスでゆっくりと押し広げ、中のひだ一本一本まで鮮明に感じ取り、奥の奥まで一分の隙も無く埋めるというこの行為は、彼女の全てを征服したかのような、充足感に満ちた快楽を生むのだ。
 愛する妖精達3人と交わる際は、必ず最初にこの行為を行い、彼女達の膣の具合を
じっくりと愉しむのが、リンの毎日の夜の習慣となっていた。
 
 フィルもその辺を分かっているのか、多少の焦れったさを感じつつも………
 特に文句を言うことも無く、リンの行為を受け入れている。
 それどころか、彼女自身も膣内の感覚のみに意識を向けて……自分の中を埋め尽くそうとする卑猥なカタチを、リンと同様、じっくりと愉しんでいた。

 
 「…どうだ、フィル………!  俺のチンポ、いつもと比べて………っ!!」

 「んぅ……っ♪ くふぅ………っ♪♪
  …ステキぃ♪  リンのデカマラちんぽっ♪  いつもよりステキなのぉ………っ♪
  カタくて、デカくて、キツキツで………♪  おなか、苦しいよぉ………っ♪♪」
 
 「全然、苦しそうには見えないけどな………くぅっ!」

 「くひんっ!?♪  …あはっ♪  カリ首、はいったぁっ♪♪」
 
 
 ちゅぷっという水音を立てて、赤黒い亀頭全てが、熱くうねる膣内へと消えた。


 「うぐぅぅぅ……っ!♪  キ…ツいぃぃい゛い゛………っ♪」


 リンのペニスによって、痛々しい程に広がる、フィルの膣口。
 まだ入り口だというのに万力のような締め付けで射精を促そうとする膣の誘惑を、リンは歯を食い縛って振り切り。 再び焦らすような動きで、フィルの膣の具合を愉しむ事に専念する。

 中のひだひだを掻き分けてまず始めに感じるのは、膣のお腹側にあるざらざらした領域と、そこを持ち上げるぷっくりとした、Gスポットの感触。
 その膨らみを、亀頭の表面で擦るように。 
 時折ペニスを跳ねさせて、それを押し込むように叩き付けながら、奥を目指す。
 Gスポットを刺激する度に起こる強烈な締め付けが、彼の余裕を着実に削り取っていく。
 

 「んに゛っ♪ に゛ぃいっ♪♪  そこっ♪ ぃいい゛っ♪♪」


 自分の好きな所を刺激されて、嬉々として喘ぐフィル。 
 きゅぅきゅぅとリズミカルに脈動する彼女の膣内は、奥に行けば行く程、狭くなっていて。
 極太のペニスを貪るように吸い付く膣壁が、奥へ奥へと誘うように、蠢いていた。

 そのあまりの具合の良さに射精感が込み上げる中、膣の中程、一際強くペニスを締め付ける箇所を抜ければ、終着点はもうすぐそこ。


 「…あっ♪ くるぅっ♪  ちんぽ、奥までぇ……っ♪♪」

 「あ、くぅうっ!!」


 膣の具合を愉しむとは言ったものの、いつに無く荒れ狂う膣内の動きに、リンは
もはや、我慢するので精一杯だ。
 しかし、こんな所で限界を迎えてしまっては、男の名折れ。
 自慢のモノを押し潰さんと締め上げる膣内を、必死に気を保って、掻き分け続け………


 コツン、と。

 「ひゃうんっ♪♪」


 膣に半分も呑まれていない、その突き立った剛直は。
 膣の奥底……子宮口へと、辿り着いた。 


 「くぉ……っ!  すっげ………っ!!」

 「ぁひっ♪ とどいたぁっ♪  ちんぽがしきゅーにキスしてるぅっ♪♪」

 
 全方向から微妙に変化し続ける力加減でもって、絶え間無くペニスを締め付ける膣壁の様子に呻くリンと、膣内を肉棒でいっぱいに満たされ、とっても満足気な顔で、子宮口に当たる熱い感触に惚けるフィル。
 ペニスの先端の鈴口が、フィルの子宮口の窪みにピタリと嵌まり込んで、2人はさながら、本当にキスを交わしているかのような感覚を覚えた。


 「…えへへ……っ♪  ボクのおまんこ、リンのでいっぱぁい………っ♪」


 フィルの下腹部は、長くて極太なペニスの形に盛り上がっていて……しがみ付いていた身体を離してその部分を優しく撫でると、中の肉棒がピクピクと嬉しそうに蠢く。
 そこでふと思い出すのは、以前リンに見せられた、鏡に映された自分の性器。
 ぐぱぁっと無理矢理広げられ見せ付けられた、桜色の膣壁や膣奥。

 いやらしくうねる肉壁を押し退けて、ぷっくりと膨らんだ子宮の入り口に濃厚なキスをする彼のペニスを想像しただけで、フィルは、自分の脳みそが甘く痺れていくのを感じた。

 さて、これからどうしようかと、フィルは快楽で朦朧とした頭で思案する。
 ……いや、正確には、「どうされたいか」、だが。

 このまま小刻みに腰を振って、啄ばむ様な、エッチなキスを交わそうか。
 もしくは、ゴリゴリと奥を引っ掻き回されて、イキっぱなしになるのも良い。
 ……それとも、自分の大事なトコロを隙間無く埋めるちんぽで、愛液を全部掻き出すように、いっぱい出し挿れされながら……子宮がバカになるまで、思いっ切り奥を突きまくって貰おうか………♪♪
 
 誘うように腰をくねくねと揺らしながら、そんな妄想に耽るフィル。
 いっそそれら全てを実現して貰おうと思い立った彼女は、媚びる様な上目遣いで、リンの顔を覗き込もうとして………


 「ひぎゅッ!!?」


 膣奥に走った、突然の衝撃。
 今までに感じた事の無い、異様なまでの圧迫感と若干の痛みを伴うその衝撃に、彼女の顎がガクンと跳ね上がる。


 「ぁ、ぅ、ぁがあッ!?  な、なにこれぇ、ええ゛え゛ッ!??」


 朦朧としていた頭を覚醒させ、霞んでいた目を見開いて、自分の下腹部を凝視する。
 もちろん、それでお腹の中で起こっている事が見える訳では無い……が、いつの間にか腋の下を掴んでいたリンが、自分の身体を無理矢理押し下げる毎に、子宮口がメリメリと抉じ開けられるような感触がすれば、嫌でも分かる。
 
 リンは、自分の子宮を、犯そうとしているのだと。


 「ちょ、ま……! ぃぎあっ!?  ダ、ダメ、ぐぎっ!?  それ以上っ! ダメェッ!!」


 それを理解した途端、フィルの心に、恐怖と不安、焦燥が芽生える。
 それも当然だ。 子宮口を一晩中突かれ続けた事は多々あれど、実際に子宮の中まで挿入された事なんて、一度だって無いのだから。


 「…ホントッ! これダメだって……ッ! 聞いてるッ!? リンッ! リンんんッ!!」

 「………ッ!!」


 自分の事で精一杯なのか、辛そうな顔のリンは、何も応えない。 
 しかし、ちらりと見えた、口の端を吊り上げた、リンの顔……それが、とても怖かった。
 本当に、自分の大事なトコロを滅茶苦茶に壊されてしまいそうで………
 彼女は怯えた声を上げ、身体を左右に捩じらせて逃れようとする。

 ……しかし。


 「なにこれッ!?♪  なにごれ゛ぇッ!?♪  なんなんだよこれ゛ぇッッ!!?♪♪」


 ……まるで処女膜を貫くのにも似た、初心に返ったかのような感覚。
 鈍い苦痛の中、確かに感じる、幸福感を伴った快楽。
 本気で逃れようとする気の欠片も無い、弱弱しく身じろぐだけの身体。
 リンの瞳に映る、怯えの色に、喜悦と期待が見え隠れする、真紅の瞳。

 自分が、本当は何を求めているのか。 フィルは、気付いてしまった。

 
 「……ッ♪ ダメッ!♪  ソコはぁッ!♪  入れちゃダメなのぉッ!!♪♪
 …はぐッ! んぅぎぃッ!♪  …入んないッ!♪ 絶対入んないからぁッ!!♪♪」


 それでも口を衝いてしまう、焦り、拒むような口調にも、自然と艶が入ってくる。
 覚醒した頭も、見開かれた目も、与えられる快楽の量に比例して、恍惚に蕩けていく。
 忙しなく蠢く膣壁は、咥え込んだペニスを奥まで呑み込もうとする。

 綿棒によって滅茶苦茶に蹂躙されて、十分過ぎる程に解れた子宮口は、フィルの身体が沈み込む毎に、徐々にその口を大きく開けていき………
 既に3分の1程も入り込んだ、巨大な亀頭に。
 今まで進入を拒んできた硬い入り口にも、とうとう、限界が訪れた。


 「もうッ!♪  ダメッ!♪  ダメッ!♪  ダメッ!♪  ダ」


    ずぼッ!  ゴツンッッ!!


 「ぎゃッ!!♪♪♪」

 
 リンがほんの少し力を増した瞬間、頑なだった子宮口の抵抗が嘘の様に無くなり、肥大した亀頭が勢い良く入り口を貫いて……勢い余って、子宮の一番奥へと、思いっ切り叩き付けられた。

 内臓を全て持ち上げられたかのような衝撃に、フィルは短い悲鳴を上げて、小さな身体を強張らせたまま動かなくなる。
 時折、細かな痙攣を繰り返す彼女の顔は、もちろん、恍惚のそれである。

 
 「ぐぅう……ッッ!!」


 その一方、奥底を貫かれた衝撃で絶頂を迎えたフィルの生殖器は、その全体が強く収縮し……動かない彼女の身体とは別の意思を持っているかのように、自らを貫く肉棒を、全力で握り潰さんとしていて。
 リンはその圧倒的な気持ち良さに、顔を顰めて小さく唸る。

 元々狭過ぎる膣内は、精液を搾るように締まりながら、より一層竿に纏わり付き。
 キツく収縮する子宮は、もう二度と離すまいと、愛するリンの分身を抱擁する。
 無理矢理開かされた子宮口が元の形に戻ろうとする中、きゅっとカリ首を締め付ける様は、愛玩動物に着けられた首輪のようでもあり。
 コレは自分の大事な所有物であると宣言されたかのような錯覚を、リンに抱かせた。

 とめどもない愛情がこもった、苦しい程の快楽。
 そんなものを与えられて、当然、耐えられる筈も無く。
 ペニスが震え、熱を持ち。 激しい射精感が込み上げてきて………


    ずろぉッッ!!♪♪

 「おごぉッッ!!?」


 まるで首輪に縛られるのを拒むように、ペニスを膣口近くまで、一気に引き抜き。


    ごちゃあッッッ!!!♪♪

 「ひぎゃぁあ゛あ゛あ゛ッッッ!!!♪♪♪」


 調子に乗った子供を叱咤するように、再び狭い子宮奥へと、その剛直を叩き付けた。
 それと同時に、我慢に我慢を重ねていたモノが、ついに決壊する。


 びゅるっ!♪♪  びゅるるるっ!!♪♪  びちっ!♪ びちびちゃぁっ!!♪♪

 「あちゅッ!!♪♪  あちゅいいぃぃぃぃぃぃぃぃいいい゛い゛ッッッ!!!♪♪♪」


 ペニスの大きな脈動とともに、鈴口から勢い良く飛び出し、子宮壁にびちびちと当たる、粘付いた精液。
 フィルにとっては灼熱のようにも感じられる程に熱いソレは、あっという間に子宮内を満たし、流動し、暴れ回り……中全体を、白濁色に染め上げる。

 魔物化したフェアリーにとっての精液とは、子を産むための単なる子種、だけではなく。
 人間の精液……男性の精は、魔物の生命エネルギーである『魔力』を補充し、高めるための、言わば『食料』である。
 そしてそれが仮に、愛する男の、濃密な精であるとしたならば。

 …与えられた極上の料理の味に、舌鼓を打つように。
 子宮に直接注がれたリンの濃厚な精液は、筆舌に尽くしがたい程の快楽を。
 フィルの下腹部から爪の先まで、響き渡らせた。


 「…ひぃ……っ♪♪♪  …ひぃぃいいっ♪♪♪  ……へええぇぇぇぇぇぇぇ………っ♪♪♪」


 子宮に浴びせられる快楽に、何度も何度も絶頂し、息も絶え絶えに喘ぐフィル。
 空気を求めてぱくぱくと口を開け閉めするも、勝手に口から漏れ続ける声に妨げられ、呼吸をする事も儘ならない。
 快楽を求める自意識によって、気絶する事だけは免れていた。
 
 …ペニスが一度大きく震え、最後の一滴まで、精液を子宮に注ぎ込む。
 その後には、快感に打ち震え、ピクピクと小さく震えるだけの妖精と………
 とても満ち足りた様子で溜息を吐く、華奢な青年の姿があった。


 「はひ〜〜〜っ♪♪  はひ〜〜〜っ♪♪」

 「はぁ……っ!!  はぁ……っ!!」


 全身に響き渡っていた快楽の波がようやく収まり、フィルは何度も大きく息を吐く。
 長い射精を終えたリンも、足腰立たなくなるような快楽に、息を整えている。
 2人が繋がっている部分では、リンの剛直によって蓋をされて逃げ場の無い精液が、
フィルが小さく震える度に、子宮の中でたぷたぷと波打っていた。

 ゆっくりと、絶頂後の余韻に顔を俯けていたフィルが、顔を上げる。
 ただ、自分の身体でイったリンの顔が見たい。 そんな、殆ど無意識の行動。


 「………ぁ」


 その結果、背筋に走ったのは……ゾクリとした、悪寒に似た何か。

 フィルの紅い瞳に映った、リンの焦げ茶の瞳に浮かんでいたものは………

 
 「…ぁ………ぁあ………♪」


 …フィルの瞳より紅く燃え上がる、淫欲の炎。
 
 その熱に中てられて、小さな妖精の身体は、再び胸の内を滾らせ始める。

 どんなに激しく暴れても、決して落ちないように、フィルを自分の身体にしがみ付かせ。
 腋の下に回していた両手で、ガッチリと彼女の骨盤を鷲掴みにして。
 その薄い胸の奥から鳴り響く、悦びのリズムを、脂肪の少ないお腹に受けて。

 ……そのリズムが伝えてくる、確かな期待に、応えるように。



 未だ硬さを保ち続ける、自慢の剛直を。
 リンは再び、膣口から抜けるギリギリまで、思いっ切り、引き抜いた。




















    ぬちっ♪ ぬちっ♪ ぬちっ♪ ぬちっ♪ ぬちっ♪ ぬちっ♪ ぬちぃっ♪

 「おっ♪ おっ♪ おっ♪  しゅごっ♪♪  しょれしゅごぉっ♪♪  もっとひてぇっ♪♪♪」


 湿っぽく、カビ臭いはずの地下室、狭い部屋の隅っこ。
 今や饐えた淫臭しか漂わない、ランタンに薄く照らされた一角。
 飾り気の無い安物のベッドの上で、全裸の男女が、激しくまぐわっていた。
 後背位に興じる2人の姿はまるで、交尾に明け暮れる、狂った獣のようだ。

 …その男女……リンとフィルの2人は、時間の感覚も曖昧なまま。
 尽きぬ欲望を満たすため、延々と交わり続けていた。


    ぬちゃっ♪ ぬちゅっ♪ ぬちゅっ♪ ぬちゃっ♪ ぬちゅっ♪ ぬちゅぁぁあっ♪

 「ぁに゛ゃっ♪ しょこっ♪  しょこイイっ♪♪  しきゅぅイイぃっ!♪♪♪
  ちゅいてっ♪♪♪  ちゅいてちゅいてちゅいてぇっ!!♪♪♪」

    ……ぬちぬちぬちぬちィッ!!♪♪

 「あひゃぁぁぁぁぁぁあああ゛あ゛っ!!♪♪♪  しょれっ♪♪  しゃいこぉぉぉおおっ♪♪♪」


 目の前のフィルを犯す事しか頭に無いリンは、彼女の小振りなお尻を揉みしだきながら、一心不乱に、ペニスを膣奥に突き立てる。
 背後のリンに犯される事しか頭に無いフィルは、固いもみ殻の枕に突っ伏した顔を、心底嬉しそうに歪めて、彼によって与えられる悦楽を享受する。
 永い永い快楽責めでイキっぱなしの少女の意識は、再び天国へと飛び立っていて。
 光が瞬く薄桃色の視界の中、ただひたすらに腰を振り、善がり続けていた。

 安物故、リンが腰を衝き動かす度に、粗製のベッドはギシギシと耳障りな音を立てる。
 しかしそんな喧しい音も、淫らな獣と化した2人にとっては、興奮を強く促す環境音に他ならない。
 
 2人が身体に纏う汗、幾度と無く交換し合った唾液。
 真紅の瞳から流れる歓喜の涙、幼い性器から流れ出る、潮と愛液。
 そして、乱暴にピストンを繰り返す度に、フィルの子宮から掻き出される、おびただしい量の精液。
 ベッドの上どころか、床の上や作業台の上、部屋中の至る所に飛び散ったそれら淫猥な体液は、地下室のカビ臭さを上塗りする程の淫臭を生む。

 ランタンの光にオレンジ色に照らされた、艶めかしく煌く、男女の身体。
 石の壁を反響する、甲高い嬌声と、結合部からの粘着質な水音と、ベッドの軋む音。
 部屋中から漂う淫臭と、未だ強く残る、アルラウネの蜜の香り。
 
 燃え上がるような劣情を、胸の内から無尽蔵に引き出し続ける、この密室で。
 2人は尚、お互いを求め続けていた。


 「……ッ!!  フィル……ッ!  また、出すぞ………ッ!!」

 「……っ!♪♪  やっひゃぁっ♪♪♪  だひてっ♪♪ だひてらひてぇっ!!♪♪♪
  ボクのしきゅぅっ♪♪♪  まっひろにそめひぇぇぇぇええ゛え゛ッッ!!♪♪♪」

 「……くぅあッッ!!」

    どちゅっ!!♪♪  びゅるるるるるるぅっ♪♪  びゅっ♪ びゅ〜〜〜っ♪♪

 「んひいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいい゛い゛い゛ッッ!!!♪♪♪」
 

 子宮内に突き立った亀頭の先から迸る、衰えを知らない、大量の精液。
 反り返るカリ首で溜まった古い精液を殆ど掻き出されたソコに、何十回目かの、新鮮かつ濃厚な精液が注ぎ込まれる。

 子宮に染み渡る精がもたらす快感に、フィルは上半身を大きく仰け反らせて………
 すぐに脱力し、枕に顔面から突っ伏し、動かなくなる。
 

 「…ぁ……ぁひっ♪  ぁぅ……っ♪ ぁ………っ♪」


 どうやら、意識が完全に飛んでしまったようだ。
 虚ろな目を薄く開けた、恍惚とした表情で、時折全身を震わせる。
 
 流石のリンも、殆ど気絶したような状態のフィルを犯すのは躊躇われるようだ。
 残念そうな顔をしつつも、様々な粘液で濡れそぼる膣から、硬さを失ったペニスを
ズルリと引き抜いた。
 膣口とペニスの間に、白濁色の糸が引かれる。


 「ぁん………っ♪」


 ペニスが抜かれてすぐ、子宮に放たれた精液が愛液と混ざり合いながら、ゴポリと大量に膣口から溢れ出し……ベッドに零れ落ちたソレは、白いシーツに濃い染みを作った。
 お尻を弄んでいた両手を離せば、意識が飛び、唯一の支えも失ったフィルの小さな
身体は、パタリと横に倒れ臥す。

 子宮奥まで何時間も犯し尽くされた膣壁は、卑猥な肉棒の形にすっかり馴染んでしまい……今もぱっくりとその口を開けたまま、寂しそうにヒクついていた。


 「……すぅ………すぅ………」


 意識を手放したフィルはそのまま、安らかな寝息を立て始める。
 その寝顔は、いつも生意気を言う少女とは思えないほどに、可愛らしく………
 リンが思わず伸ばしてしまった手の平で、その丸っこい頭を優しく撫で付けると、
くすぐったそうな声を漏らして、頬を緩めた。


 「…ふぅ………」

 
 フィルが深い眠りに堕ちたのを見て、リンはようやく、一息吐く。
 
 気付けば、時間も忘れて行為に耽ってしまった。
 時計を探して部屋を見回すも、机の上にあった置き時計は壊れていた事を思い出す。
 いつか妖精達と使うであろう事を見越して、彼女達に隠れて軽く掃除だけはしておいたこの地下室とベッドだが、時計の事は失念していた。
 まぁ、後で交換しておけばいい。 そうリンは思いつつ。


 「…しかし、まぁ………我ながら、よくやったもんだ………」


 時計を探した時に目に入った部屋の惨状に、ある種の感嘆が漏れる。
 
 抱きかかえたまま突き上げまくり。  
 作業台に寝かせて、台ごと倒れる勢いで、力強くピストン。
 椅子に座り、背面座位で口内やクリトリス、乳首をいじめながら腰を振らせ。
 そしてつい先程まで、ベッドの上で壊れるくらいに、乱暴に。

 それら全ての行為の名残が、撒き散らされた体液という形で、部屋の至る所に点在し。 
 地下室という殺風景な空間を、限り無く淫猥な空間へと、変容させていた。


 「………」(カタカタカタカタ


 …そして、目に入ったものが、もう一つ。


 「………」(ブルブルブルブル


 ベッドのある角とは反対側の、部屋の隅。
 背中の羽を、ランタンの光に掻き消される程に、弱弱しく光らせる妖精が2人。
 ティニとシルキーは、お互いにガッチリ抱き合い、震えながら。
 ベッドで寝息を立てるフィルの方を、ただ呆然と見つめていた。


 「………おい。」

 「「ひぃあっ!!?」」


 その様子に見かねて声をかけると、ビクリとその場で飛び上がり、奇声を上げる。
 小さい彼女達の表情は、ベッドの上からでは、よく分からない。


 …目をギラつかせて、理性を無くしたケダモノのように、少女を犯す男。
 ひたすらに喘ぎ続けながら、お腹の形が変形する程に巨大なイチモツを、痛がる所か、嬉しそうに受け入れる少女。
 
 魔物である彼女達にとってそれは、あまりに壮絶で、魅惑的な光景だった。
 2人の為す過激な行為に、自然と見蕩れてしまっていた。
 フィルが壊れてしまうかもしれないという心配も、忘れてしまう程に………
 それは凄まじく、そして、美しかった。


 ……しかしふと、彼女達は気づいた。 …気付いてしまった。
 

 自分達の恋人の、見たことも無いくらいに巨大化したデカブツ。
 下腹部を肉棒の形に持ち上げ、挿れていた穴をガバガバに広げる程の行為。

 ……もし、その矛先を向けられるのが……自分達だったら?


 ………壊されて……しまったら………?


 「「………ッッ!!」」


 考えれば考える程に、身体全部が震え上がる。
 お互いの身体をより強く抱き締め合い、益々ぎゅっと縮こまる。

 …その姿は、ベッド上に佇む獣の嗜虐心を燻らせるには、十分だった。


    ぎし………っ


 粗末なベッドを軋ませて、全裸のリンは、床へと降りる。
 暗がりで震える妖精2人は、動けない。 


    ひた……っ  ひた……っ  ひた……っ


 素足が石の床に張り付く音が地下室に響き、彼らの距離が縮まっていく。
 2人の身体は、まだ、動けない。  
 …否、動かない……?


    ひた……っ  ひた……っ  ひた………。


 狭い室内。 数歩歩いただけで、足音は止む。
 結局、最後まで動かなかった彼女達は、何も言わずにリンの顔を見上げていた。

 …薄いオレンジに照らされた、幼さが先立つ2つの顔が、見せたものは………
 
 

 期待に瞳を潤ませ、頬を朱に上気させる……発情し切った雌の表情、だった。



    …ビキィッッ!!

 「「………はぁぁあっ♪♪」」


 それを見た途端、萎えていたリンのペニスは、再び限界まで勃起する。
 雄雄しく立派なその姿に、2人の口から悦の入った声が漏れる。


 溜まり続ける一方の欲求不満に、カタカタと身を震わせる必要は、もう無い。
 心臓が興奮で張り裂けないように、ギュッと抱き締め合う必要も、もう無い。
 
 …今から、目の前の愛しい恋人が、自分達を。
 満足いくまで、慰めてくれるのだから。

 妖精2人の身体の震えは、もうすっかり止まっていた。


 リンは腰を屈め、2人を背中から掬い上げる様に、両手で抱く。
 そして、2人を落とさないように細心の注意を払いながら、ベッドに歩を進める。
 
 為すがままにリンに身体を預ける、ティニとシルキー。
 2対の熱っぽい眼差しを一身に受けるながらベッドに辿り着いたリンは、シーツの比較的汚れていない部分、寝ているフィルの邪魔にならない所に、彼女達を優しく、横たえた。


 「リン………♪♪」

 「リンくぅん………♪♪」


 リンの名を呼ぶ、甘えるような猫撫で声。
 フィルと同じ様に、脚をコの字に大きく開かせ。
 大陰唇を両手でぱっくり開き、愛液で溢れる秘所を見せ付けて。


 「……オカシクなっちゃっても、いいから………」

 「フィルと同じくらい……いや、フィルよりも、沢山……いっぱい………っ」

 
 声を揃えて、はっきりと。


 「「コワれるまでっ♪  犯してくださいっ♪♪」」


 リンの理性を、ブチ壊した。






 ……と、その前に。


 「………おっと。」


 …中身の残った小瓶と、白い箱に入ったお掃除用具も、忘れずに。





 ………………

 ………

 …





 「ひゃふっ♪ ふぅっ♪ ふぅぅうんっ♪♪  おっきなちんちんキモチいい〜〜〜〜〜ッッ♪♪」

 「それイイッ♪ 綿棒イイッ!♪♪ ぐりゅぐりゅお掃除しゃいこぉぉおおおッッ!!♪♪♪」

 「おまんこくちゅくちゅダメぇッ!♪♪  ちんぽッ♪ リンのちんぽでイきたいよぉッッ♪♪」





 誰も知らない、地中深くの堅牢な地下室。

 善がり狂う妖精2人に、途中で目覚めた妖精も交えた、愛の営み。
 
 蝶が舞うように喘ぎ乱れる彼女達の、悦び混じりの叫び声は………

 
 もちろん、他の誰にも、聞こえる事は無かった。















 ………数日後。


 「ぜぇ………ッ!  ぜぇ………ッ!!」


 雨がしとしと降り続く、少し肌寒い日の正午過ぎ。
 小高い丘の上に建てられた、古くて大きな屋敷。
 リンは今、その長く幅広い廊下を、全力疾走していた。
 別に健康維持のためとか、そういう訳では無い。


 「……ッ、このッ!!  待てコラ……クソガキィッ!!!」


 がむしゃらに走る彼の前方には、舞うように飛行する、紅い妖精が一人。
 紅色の蝶々のようなその小さな姿に向けて、彼はあらん限りの怒声を飛ばす。


 「…ふっふ〜〜んっ♪」


 大気を震わせるような大声を気にも留めず、紅く羽を輝かせたフィルは軽く笑う。
 悠々と宙を駆って逃げる彼女は、鳥のように素早く………
 ただ地を走るだけのリンは、なかなか追い付く事が出来ないでいる。
 
 その様子に調子に乗ったのか、彼女は飛びながら、お尻をリンへと突き出して。
 

 「待たないよ〜だっ♪  ほらほらっ♪ こっこまっでおーいで〜〜〜っ♪」


 煽り文句を口にしながら、ぺんぺんとお尻を叩いて、リンを挑発する。
 ……お尻を高く上げ過ぎて、スカートの中身 (ノーパン) が丸見えな事に、本人は全く気づいていない。

 
 「…ぐぬぬ……ッ!!  人をおちょくりやがって………ッ!!」

 
 しかし今のリンは、そんなトコロに目を奪われてしまう程、冷静ではない。
 フィルの吐いた言葉に、また1つ、彼の額に青筋が増える。
 体力が無いため、既に息は切れかけているが……余程許せない事があったのか、半ば意地になってフィルを追い掛け続ける。

 ……どうやら、リンの精魂籠もったお仕置きは、全く効果を成していないようだった。

 当たり前ではあるが。


 「…せっかく……せっかく、買ってきたのに………」

  
 ふと、今まで散々喚き散らしていたリンが、急に声を押し殺して、何事かを呟き始める。


 「店長に頼み込んで、無理言って………
  ザッハトルテ4人分…… お前らのために、買ってきたのに………!!」


 ぜぇぜぇと喉が掠れる中、その声は、次第に大きくなっていき………


 「どうしてッ! お前ら3人だけでッ!! 全部喰っちまったんだよぉおッッ!?!?」
 
 
 屋敷中に響き渡る程の声量で、悲愴感漂う絶叫を、肺の奥底から捻り出した。


 「…ひぐっ!  俺も……っ! 食べたかったのに…さぁ……っ!! うぅ………っ!!」


 ついには、涙声まで混じり始める。
 マジ泣きである。

 …要するに、折角用意したケーキを、妖精達に勝手に全部食べられてしまったらしい。
 しかも、自分だけ除け者にされてしまった事が、余程堪えているようだった。
 (ちなみに残りの妖精2人はいつの間にか脱走済み。)

 
 「…ふ、ふんっ! こないだヒドい事してくれた罰だよっ!!
  ……それに、こんなただのイタズラに、何必死になって………」

 「イタズラってレベルじゃねぇぞぉおおッッ!!?」

 「きゃああっ!??」


 突然泣き始めたリンにたじろぐも、性格上素直になれないのか、憎まれ口を叩くフィル。
 案の定、癇に障ったリンは鬼の形相で、更に躍起になってフィルを追い掛け回す。


 無駄に広い屋敷内の廊下。
 その上を、余裕を持って逃げるフィルと、疲労困憊ながらも追い掛けるリン。
 
 
 屋敷内をグルグル廻り、時には各所の大部屋の中を駆け巡り。
 リンに追い付かれないように飛ぶフィルは、しかし余力を残しながらも、何故か彼を引き放そうとはせず……常に一定の距離を保って、あちこちを飛び続ける。

 …まるで、時間を稼ぎながらも、リンを何処かに誘っているかのように。


 「…犯すっ!  ブッ壊れるまで、メチャクチャに犯すッ!!」

 「……きゃああっ♪


 まぁ、怒り心頭の彼が、それに気づく事は無いのだが。


 (…そろそろ、かな………)


 その時フィルは何を思ったか、急激に進路を変えた後、とある部屋に飛び込む。
 しめたっ! と、リン。  フィルに追従して、その部屋……広い個室に突入する。
 何故なら、そこは………


 「ぜぇ……ぜぇ……っ!! …えほっ! ゲホゲホ……っ!!
  俺の部屋に逃げ込むとは…… ぜぇ…っ! ついに観念したか………!!」

 「………」


 …リンの自室。 兼、妖精達の寝室。 
 (妖精達にもそれぞれ部屋があるが、ベッドは毎晩一緒。理由は以下略。)

 フィルは窓際の机の上、白い箱の前に立ち、黙って彼を見つめている。
 彼女の両隣には、共犯であるティニとシルキーの姿もあった。


 「…お前らも一緒か…… …ゴホッ …つくづく、都合が良い………!」


 息を整えながらも、さも悪役のように、不適な笑みを浮かべるリン。

 この部屋には、扉は背後の1つしか無い。
 窓を開けて外に逃げられる可能性も、あるにはあるのだが………
 この部屋の窓は建てつけが悪く、コツの分かるリンにしか開けない。
 窓を突き破りでもしない限り、突破は不可能だろう。

 リンは後ろ手に扉を閉め、ついでに鍵もしっかりと掛ける。
 これで部屋はほぼ密室、逃げ場は無い。
 身体はへとへとだが、これで後は、彼の思うがままである。

 …何故、わざわざ逃げ場の無いリンの部屋に逃げ込んだのか。 
 どう見ても怪しい、あの白い箱はなんなのか。
 …そもそも、どうしてティニとシルキーまでここに居るのかという疑問は、怒る彼の頭には、浮かぶ事は無い。


 「…さ〜て、これからどうしてくれようか………」


 指をワキワキと気色悪く蠢かしながら、リンはじりじりと妖精達へとにじり寄る。
 ヒヒヒと嗤うその様は、完全に変質者か、悪者のそれである。
 いやらしい目で彼女達を見据え、わざと靴音を響かせながらゆっくりと歩き。
 股座をいきり立たせ……すぐさま飛び掛れる距離まで、近づいて………


 「…ちょっと待って!」

 「…ぁあんっ?」


 …と、ここでフィルが、両の手の平を突き出し、リンを呼び止めた。
 
 出鼻を挫かれて、どこぞのチンピラのような声を出してしまうリン。
 この期に及んで言い訳か、往生際が悪いと、リンは彼女を睨み付ける、が………
 肝心の彼女の顔は、楽しそうな笑顔。 怯えや恐れは微塵も感じられない。
 
 …まさか罠かっ!? と、今更な事を考えるリンだったが、もう遅い。
 咄嗟に身構える彼の目の前で、白い箱……正確には、何かに被せてある白い箱状の覆いが、フィルの手によって取り外された。


 「じゃーーんっ!!」


 …彼女の大げさな擬音と共に、覆いの中から現れたのは。
 光沢のあるチョコレートが眩しい、とても美味しそうな、4切れのザッハトルテ。


 「……おおっ?」


 目に入った予想外の代物に、リンは呆けた声を漏らして、目を丸くする。
 喰われたはずのケーキが、何故ここに。

 そうやって呆然としている間にも、お皿に乗ったザッハトルテ (フォーク付き) の1つを持って、フィルはリンへと近寄って。


 「はいっ! リンの分のケーキっ!♪」

 「…おおおっ??」

 
 にっこりと微笑んで、お皿ごと、それを差し出した。
 
 何が何だか分からないといった感じのリン。
 展開に付いて行けず、彼女が持ってきたザッハトルテを、思わず受け取ってしまう。
 そのままピューッと、机の上に戻るフィル。
 
 
 「そしてコレが……ボク達の分っ!♪」

 「ば〜んっ♪」  「ば、ば〜んっ!」


 そして、自分達の背後のザッハトルテを紹介するように、仰々しく片腕を振り上げて、堂々と薄い胸を張る。 ティニとシルキーも同じように続く。
 恥ずかしそうなティニが、ちょっと可愛い。

 リンはここで、ようやく状況を飲み込み始めて、表情を渋くさせる。
 つまり、これは本当に、ただの………


 「…だから、言ったでしょ?  ……ただのイタズラだってっ♪」

 「………はぁ…っ」


 …思っていた事を先に言われてしまった彼は、大きな溜息を吐きながら、脱力した。
 徐々に冷え始めた頭で思い出すのは、ケーキが食べられた事を知ったのは彼女達の口から聞いたからで、実際に食べられている様子を見た訳では無かったという事。
 全ては彼女らお得意の、いつものイタズラでしか無かった、という訳だ。

 …折角彼女達のために買ってきた、それなりに心を込めたつもりのケーキをイタズラの材料にされるというのは、リンとしても、タチの悪い冗談ではあったようだが………


 …少々恨みがましい目をして、彼はフィル達を睨む。 


 「…にひひっ♪」 「えへへ〜っ♪」 「…ふふっ……♪」


 …それに対し返ってくるのは、満足げな、してやったりな笑顔。
 そんな顔をする彼女達を怒るのも気が引けて、リンは気の抜けた表情で、今度は
小さな溜息をひとつ、漏らすのだった。

 とりあえず今は、ケーキが無事だった事を喜ぼう。
 もう降参、といった感じの彼は、そのままいつも寝ているベッドに腰を掛け、真っ白な
食器皿に乗ったザッハトルテへと食指を伸ばすことにする。
 …汗を吸った服が冷えてかなり気持ち悪いが、そこは意識から追いやる。

 表面を覆うチョコレートの、磨き抜かれた宝石のような光沢。
 ごく丁寧に切られた断面から覗く、チョコレートベースの柔らかなスポンジ。
 二層に分かれたスポンジの間には、自家製のアプリコットジャムが薄く塗られている。
 …そして、箱を取り去った瞬間に部屋中に舞った、濃密な甘い香りが。
 リンの疲れ切った身体に、抗い切れない食欲を促した。

 ……それにしてもと、手に取ったフォークで、ザッハトルテの先端を切り分けながら、リンは思う。

 今までチマチマとした、許せるレベルのイタズラしかしてこなかった彼女達が、何故今になって、こんな手の込んだイタズラを仕掛けてきたのか。
 実際、一緒に暮らし始めて本気で頭に来た事なんて、先日の一件と先程の追いかけっこ以外、記憶に無い。
 そもそも彼女達のイタズラとは、ある種のコミュニケーションのようなものであると認識している。
 だから、自分を必要以上に怒らせる事に、意味があるとは思えない………

 …まぁ、これ以上考えても、しょうがないか。 
 多分、気紛れで驚かせたくなったとか、そんな理由だろう。
 今は一緒に、ケーキの味を楽しもう………

 そう考えをまとめて、切り分けたザッハトルテをフォークで刺し、口の中に運ぶ。

 舌に触れたチョコレートの甘さが味覚を埋め尽くし、幸福感に包まれる………


 「…ねぇ…… リン?」


 …事は無かった。
 ザッハトルテを口に入れようとした瞬間、フィルがリンを呼び止める。
 至福の瞬間を邪魔されて、リンは眉根を寄せる。
 一体何事かと、仕方なくフィル達の方へ、顔を向けて………

 …持っていたフォークを、ポロリと膝の上に落とす。


 「……ボク達、イタズラ…… したよね………?」


 フィルの足元には、細長い紐に、セロテープ。
 ティニの足元には、封を切っていない新品の、例の小瓶が数本。
 シルキーの足元には、これまた新品の、何十本もの綿棒。


 「…それも、リンがあんなに怒るくらい、ヒドいこと………」


 そこにあったのは、先日彼女達をいじめにいじめ抜いた、道具の数々。
 それ以外にも、アイマスクに猿轡、首輪に手錠、バイブにローター。
 何処に隠していたのか、多種多様な大人の玩具が、周囲に転がっていた。

 それらに囲まれながら佇むその顔は、待ち切れないような、切ない表情。
 頬は薄く紅潮し、肉付きの無い内股は、もじもじと擦り合わされている。


 「………」

 
 …リンは、のそりと立ち上がり、彼女達に近付き………
 まだ口を付けていないザッハトルテを、机の適当な場所に置いた。


 「ボ、ボク達……っ♪  とっても、わ、悪い子なの……っ♪  …だから………!♪♪」

 「んくぅ………っ♪」  「はぅ………っ♪」


 目の前に立つリンを見て、ソワソワと一層その身を震わせる妖精達。
 上目遣いで覗いた、変態で鬼畜で、大好きな男の瞳には。
 ……その視線だけで発情しそうな、劣情の色が、浮かんでいた。


 「………っ!♪♪  だっ、だから……っ!♪  ボク達におしおきゃあぁぁああッ!!?」


 ぽいっと。

 フィルが最後まで言い終わる前に、リンは突然、彼女の身体を両手で抱き上げ、
そのままベッドの真ん中辺りに放り投げた。


 「うわぁッ!??」  「きゃんっ!!?」
 

 ティニとシルキーも同様に、ベッドへと放り投げる。
 大の大人が3人寝転んでもまだ余裕があるキングサイズのベッドの上を、小さくて軽い妖精が3人、弾んで、転がって、止まる。


 「ぅう………っ!! …ちょっとぉっ! 何すん………!?」


 突然の事に、思わず口を衝いたフィルの抗議を、止めたのは。
 目を回すティニとシルキーの視線を、釘付けにしたモノは。
 下ろしたズボンからボロンと飛び出た、馬鹿デカい代物。
 あの夜以来、この大きさに勃起するのがデフォルトとなった、凶悪な肉棒。


 「……そうだな、フィル。 …その通りだ。」


 リンは荒く息を吐きながら、汗塗れの服を剥ぎ取るように脱ぎ散らかす。
 シャツのボタンがほつれ、生地と生地の繋ぎ目が嫌な音を立てても、気にしない。
 
 全裸になった彼は、両手から溢れんばかりの量の玩具を、机の上から掻き集めて。
 臍に着く程にいきり立たせたモノを強く震わせながら、ベッドの縁に膝を着き。
 手の中の玩具を、妖精達を囲むように、ばら撒く。
 自分達を囲む卑猥な道具の数々に、尖った耳の先端まで紅く染め、身を寄せ合う妖精達。


 「……悪い事を、したら………っ!」

    ビリッ!!  ビリビリィッ!!!

 「ひぃッ!♪♪」  「ちょ、や……ッ!♪♪」  「きゃぅッ!♪♪」


 彼女達が怯んだ隙に、その身に纏う衣服は強引に掴まれ、容赦無く破り捨てられる。
 美しく可憐な、たった1枚の薄布は、呆気無く千切れ、ただのボロ布と化す。

 無理矢理裸に剥かれ、思わず自らを抱き締め、羞恥心を顕わにする妖精達。
 愛らしい妖精達に彩を添えるように辺りに散らばる、玩具や、衣服だったもの。
 見た限り、何も知らない無垢な少女達に乱暴するかのような、背徳的な光景に。
 盛りのついた獰猛な獣となったリンが、我慢できるはずが無い。

 その小さな身体を、指先で軽くつついて、ベッドに寝転ばせると………


 「…お仕置き、しなくちゃな………っ!!」

 
 そう、語気を荒げて宣言し。
 妖精達の上に、スプリングを軋ませながら、覆いかぶさる。
 

 「……き………ッ!♪」
 

 3人の妖精を丸ごと包み込む、巨大な影。
 異様な威圧感を放つ、周囲の玩具たち。
 発情した雄と、卑猥な玩具に囲まれた妖精達に、もはや、逃げ場は無く。


 「「「…きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああんんッッ!!!♪♪」」」

 
 部屋の中には、甲高く、嬉々とした悲鳴だけが、響くのだった。










 ……結局。

 6時間も放置されたザッハトルテは、すっかり干からびてしまったけれど。

 ぐしょぐしょのバイブや、使用済みの綿棒、空の小瓶がいくつも転がるベッドの上。

 素っ裸のまま、くっつき合ってパサパサのケーキを食べる4人は、皆。

 とても幸せそうな、笑顔だった。

 「…そういや、フィル。 
  小さいままでケーキ丸々1ホールなんて、一体どうやって食べたんだ?」
 「………えっ!?」
 「……それもそうだな。 君がリンに捕まった時は妖精の姿だったから、 
  体を大きくして食べた、というワケじゃないみたいだし………」
 「というか、おおきくなってもケーキ1ホールはむりだよ〜〜〜………?」
 「…え、いや、その………
  …ど、どうだったかなぁ〜〜〜っ!?
  食べるのに夢中だったから、覚えてないやぁっ! あははっ♪」

 「「「………」」」

 「……ハハハ………」

 「…まぁ、覚えてないんなら、しょうがないか。」
 「しょうがないな。」  「しょうがないね〜〜〜。」
 「そっ、そうだよねっ! しょうがないよねっ!!」



 「とっさに魔法で透明にして、後でこっそり全部食べたなんて言えない………」

 「……ほぉう………?^^」(ニッコリ   「………^^」(ニコォ

 「………ハッ!?」(;゚Д゚)





・始めまして、きまぐれです。
 嘘です。 知ってる方は、お久しぶり。

 さて、今回は3人のフェアリーさんのお話です。
 こんな小さい子が全部嫁とか、リンはもげてしまえばいいですね。

 もしかしたら疑問に思った方もいるかも知れませんが、
 この作品内のフェアリーさん、いたずら好きです。
 ちょっとピクシーさんと設定がごっちゃになってますね、すいません。
 まぁ、これはこれでいいんじゃないかと思ってみたり。

 あと、フェアリーのサイズが大きくなったり小さくなったりしているのは、
 ピクシーが出来るならフェアリーも出来るだろうという不確かな理由から。
 …というかもし出来なかったら、フェアリー全員オナホにならないとエッチできないというのもなんだかなと………
 それに、私自身妖精オナホ化はそんなに好きじゃないので、こんな形になりました。

 今回、割と時間かかりましたが、個人的には満足できた仕上がり。
 …ティニとシルキーの出番が少なかったのが、心残りですが………
 …いかがでしたでしょうか。
 お楽しみいただけたのなら、幸いです。

 では、また次がありましたら。


 (…あ、前のグールさんの話は、まともに完結するまで非公開にしました。
  ちょっと思うところありまして………)



11/11/05 01:51 きまぐれ

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