連載小説
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始末屋の休日
目が覚めると、銃を口に当てている。

…ほとんど無意識だ。
え?寝る前に銃を持たなければいい?いいんだよ暴発して寝てるときに逝ければそれはそれで楽だから。

自己嫌悪。

たぶん死にたくなっている理由がそれだ。
善良な市民を助けるために、国を侵略していく魔物娘を増やす。
ジレンマ。矛盾。

「貴方もその侵略に一役買ってるじゃない。」
魔王の言葉を思い出す。

舌打ちをして着替え、タバコをくわえて外に出る。
今住んでいるのは東京のお高いマンション。
お隣はもちろん魔物娘である。
だから下手すると部屋のなかでもタバコが欠かせない。
音は防げても、セッ⚫スすることで出る魔力に身体が持たず、インキュバス化してしまうのである。
なので満月はモクモクか、ホテルに泊まる。
当然外に行っても同じだ。
秋⚫原に行っても、新⚫に行っても、渋⚫に行っても同じである。
どこを見ても美人、美女ばかり。

今日の秋葉⚫も配っている二次元の少女のパンフより配っている女の子の方が綺麗だ。

そうやって“現実逃避”ができない⚫葉原をフラフラと歩いている。

「ねえ…… イグチ?」
自分の名前を言われたことに驚き、バッと後ろを振り向く。
銀髪の目隠れロングヘアーで、魔女のようなローブを着ている、15、6才の少女。(実年齢は4ケタだが)
「アリサか」
かつての勇者パーティーの一人。
賢者アリサ・リーベルがそこにはいた。

ーーーーーーーーーーーーーーー
「どうだ?…リリムは」
『ん……悪く…ない。』
テレパスでしゃべる彼女。
元々アリサは耳が聞こえない。リリムになってから完治したが、呪いをかけられていたからだ。
今は普通にしゃべれるが、かつての仲間だけにはテレパスでしゃべる。
アリサをベンチに座らせ、牛串とたこ焼きを手渡した。
『…ありがとう。』
そういってパクパク食べ始める。そう、大食いなのだ。コイツ。
オレは黙ってタバコに火をつけ、どかりとアリサの隣に座り込んだ。
牛串を食べ終えた後、彼女から口を開いた。
『…まだ、後悔、してるの?……私を、魔物娘に、したこと。』
言葉がぽつぽつ切れるのは彼女が極度の人見知りだからである。
今は他人だと普通に“声”は出せるが言葉が出てこない。
「あ………う…………」とカオナシになる。

「後悔はしていない。ただ……ただ、オレはお前に後ろめたさを持っているだけだ。」
『…なんで??』
「魔物娘が嫌いなお前を魔物娘にしたこと。」

パーティーの途中でついに呪いで倒れたアリサを、他の仲間は治す方法を探した。ーー彼女がもっとも嫌うであろう方法以外のものを。

オレは当時の魔王に頼んで印魔弾と頼んだ特注の弾丸をもらい、

その弾と、印魔弾を2発続けてベッドに寝ている彼女を撃った。
魔王の魔力を得て、彼女はリリムになった。
魔物娘を嫌う彼女を魔物娘にして呪いから解放した。
アリサは『ありがとう』と言ってくれたが、
オレは『許してくれ』と謝り続けた。
ついぞオレは彼女に頭が上がらないまま、魔王を倒した。
………なんか頬に当たってるすごいすごいあついほかほかしたものがあついあついあついあああああああ

「たこ焼き人の頬につけんなバカ!!」
『…バカは、そっち』
「人にアツアツのたこ焼きくっつける方がバカだわ!」
『なんども、あやまって、助けてくれて、とっくに私は許してたのに、いらない罪悪感かかえてる、あなたの、ほうが、バカ。』

「ーーッ 」なにか言おうとしても、言葉が出てこない
『あなたが、自分を責めるのは、勝手。』

ずい、とオレの方に身をのりだし、顔を近づける。

『でも、それで自分を傷つけたり、自分がいらない、とかんがえるのは、だめ。』

『あなたが、いなければ、わたしは、死んでたから。』

『命の恩人を傷つけるのは、あなた自身でも許さない。』
「ーーーだから、これは感謝の、きもち」

ちゅ とオレのひたいにキスをする。

「そして、これが、私のきもち」

自分の人差し指にキスをして、タバコをとってオレの口に人差し指をつける。

「また、一緒に冒険しようね。わたし、まだ、結婚してないから。」
ぎこちないウインクをして去っていく。

彼女の好意とか、思いとか、食い物を残して去ったこととか、あいつが途中ちゃんとしゃべっていたとか、………あいつの色気が半端ないこととかーーーーー
いろんなことが頭を飛び交う。
ひたいへのキスは“友情”
口へのキスは “愛情”

ーーーーだめだ。次会ったときどうしよう。

そう思いながら、真っ赤に染まった顔を一生懸命冷ましていた。
20/06/23 19:42更新 / ぐだぐだ
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■作者メッセージ
やっとヒロインの一人を出せた…………
次はまたシリアスです。もう一人のヒロインを出します。
井口の貞操があぶない(棒)

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