ざわざわ・・・ざわざわ・・・ひそひそ・・・ひそひそ・・・

リリラウネ
｢ねぇねぇ、太一くんの横にいるのって…｣
｢うんうん、麗さんだよね？｣

インプ
｢見るからに仲良さげで・・・｣
デビル
｢これってもしかして、いや、もしかしなくても・・・｣

麗
｢た、太一君；ものすごい数の視線を感じます｣ドキドキドキ
太一
｢心配すんな；悪い様にはされねぇさ、多分…｣ドキドキドキ


私達は今、人の視線を集めるというのは
こういう状態も指すのだと実感している最中です。
一体なぜこんなことになっているか・・・はわざわざ考える必要はありませんね。
冬休みの間に恋人同士となってから、同棲や共寝と一緒にいる時間が多くなったので
忘れかけていましたが、太一君はこの百色(ももいろ)高校で指折りの人気者。
そんな人が一人の女生徒と仲良さげに手繋ぎ登校してくれば当然視線は集まるもの…
改めて太一君が普段どれだけの女性に慕われていたかが思い知らされますね；

バフォメット
｢おやおや、百色高校のスポーツ王子が
一人の女の子と手繋ぎ登校とは珍しいのう？｣

太一
｢その呼び方はやめて下さいって言っているじゃないですかヤギちゃん先生；｣

ニヤニヤと笑みを浮かべながら声をかけてきたのは
バフォメットのペドロ先生(皆からはヤギちゃん先生と呼ばれています)。
こういう色恋ごとにはイタズラっ子の様に接してきてこの先生は；
私たちの何十倍も生きているであろう方なのに・・・

インプ
｢でもさ、先生の言う通り誰かと手つなぎ登校なんて今までしてなかったじゃん？｣
デビル
｢そうそう、これって『そういうコト』なんでしょ？そうなんでしょ？｣
コボルド
｢どうなんですか？センパイ！｣

先生の声を皮切りに先輩後輩同級生から
質問の波が(主に太一くんに)一気に押し寄せて来ました；
元々からみんな色恋ごとには聡い存在。
隠す事は出来ないだろうとは思ってはいましたが、
こんな学校に入ってすぐにそしてここまで
大仰に扱われるとは思いませんでした；

太一｢わかったわかった；みんな一旦落ち着いてくれ；｣

こうもみくちゃにされては話そうにも話せないという事で
一度皆さんに落ち着いてもらってから、
私たちは馴れ初めから休みの間の出来事を一通り説明しました。
話を聞いた後の皆さんの反応は・・・

インプ
｢わ〜お♪麗ちゃんたら大胆じゃな〜い♪｣
デビル
｢同棲とか同衾とか…ウラヤマなことしてるじゃな〜い♪｣
コボルド
｢く〜ん；先こされちゃいましたぁ…｣

祝福してくださったり、聞き捨てならない言葉をぬかしたりと様々でした。
・・・正直少し意外に思いました。
だって、休み前までの私と太一君はほぼ関わり無し、
それが休みが明ければ、恋人関係まで進んでいて仲良く手を繋いで登校してきた…
妬まれ恨まれる事はあっても祝福されることはないと思っていました。

(場合によっては太一君の身が危険にさらされるかもと
思っていましたが、いらない心配だったみたいですね・・・
はぁ、あんなにドキドキする必要無かったんじゃないですか；)

インプ｢・・・で？どうだったの？｣

麗｢・・・？、どうとは？｣

デビル｢決まってるじゃん♥何回ヤったの？どっちから？｣

麗｢・・・なっ！？；(赤)｣

・・・まぁ馴れ初めだけ聞いて終わりにすることは
ないだろうとは思っていましたが、今この場(校庭)で、
その上ここまで無遠慮に聞いてくるものでしょうか？；

リリラウネ
｢やっぱり太一君からかな？｣
｢いえ、話を聞くに麗さんからという可能性も・・・｣

デビル
｢どんなプレイをしたのかも気になるな〜♥｣

麗｢あ、あのですね〜；｣

リリラウネ
｢あらあらぁ？言うのもためらってしまううぐらいスゴイのかしら？｣
｢まぁ、太一君は床上手でもあるのですか？｣

デビル
｢むむっ、それはますますウラヤマ！｣

太一｢いや、そうじゃなくて；｣

インプ
｢え!?、ということは麗ちゃんがエロかった？｣

アリス
｢ほえ〜、あの穏やかな先輩が・・・(赤)｣

デビル
｢つまり太一君からたくさん搾リ出したと!?
あ〜、でもそれもそれでウラヤマだなぁ♥(垂涎)｣

太一｢いや、そうでもなくt｣
麗｢どちらでもありません!!私たちまだそういう事はしていません!!｣

『『えっ？』』

思わず声を張り上げてしまいました；でも仕方ないですよね？
このままでは私達がとんでもなく淫らなカップルだと誤認されてしまいそうで；
私自身してもいないことをしたとされるのはイヤですし、
太一君にも誤解が過ぎるイメージがつくわけにはいけません。

ペドロ｢してないとは…ああ、特殊な事はしてないということかの？｣

麗｢言葉通りの意味です。私達はまだ肉体関係には至っておりません｣

包み隠さず正直に話すと周りがまたざわつき始めました。
先程とはまた違う信じられないものを見るような目で・・・

麗｢な、何ですか？どう付き合うかは私たちの自由ではありませんか？｣

ペドロ｢ん、ん〜；まぁそれはそうなんじゃが…｣

デビル
｢付き合うようになって同衾までしたって言ってたから
てっきり何からナニまで一気にすませたと思ってたのに・・・｣

リリラウネ
｢長年想い続けていたであろうわりには、と言うか…｣
｢随分とのんびりしているな、と言うか…｣

麗
｢・・・何だか私が太一君のことを付き合う以前から
好きだったことを知っていた様な言い方ですね？｣

インプ｢え〜？まさかバレてないと思ってたの？｣

デビル｢みんな知ってたよ？あんなあからさまなのね〜？｣

リリラウネ
｢太一君が他の子からアプローチかけられてるのを
見るたびにオーガも泣くかってくらいの顔してねぇ？；｣
｢あれは女の子がしちゃいけない顔というかねぇ？；｣

数人の証言に対してペドロ先生やその他の生徒もうんうんと頷きました。
確かに太一君の姿が視界に入るたびに外れるまで目で追っていたり
他の女の子と話しているのを見てやきもきしたことは
一度や二度ではありませんでしたがまさかそこまで顔に出ていたとは；

インプ
｢でもさぁ、つまりはそれっくらい太一君LOVEなんだなぁって♪
だからもう少し何か欲しいところではあるんだよねぇ？｣

麗｢こ、こうやって手を繋いでいるだけじゃ駄目なんですか？｣

デビル
｢そういう初々しさも悪くはないけどさぁそればっか見せつけられちゃあねぇ、
お節介かけたくなるものよ？魔物娘(わたしたち)としては、ね♥｣

・・・そのニヤニヤとした笑みに親切心よりも
悪戯心を感じているのは私だけなのでしょうか？
先生まで一緒になってニマニマとして全く；

ペドロ｢そうじゃのぉ、ここはいっちょ皆の前でキッスなんてどうじゃ？♥｣

麗&太一｢｢なっ!?(赤)｣｣

デビル｢あぁそれいいねぇ！♪｣

インプ｢みたいみたい!!♥｣

ペドロ先生の言葉を皮切りに次々と
周りから賛同の意見が飛んできましたが
この人たちはなんてことを提案してきているんですか!?
こ、こんなに大勢の目の前で太一君とキス？
いやキス自体はイヤではありませんが・・・

麗
｢そ、そんなこんなたくさんの人に見せつけるみたいになんて(赤)｣

太一
｢初めてでそれはムードつうかその・・・(赤)｣

ペドロ
｢おやおや、もしやと思っておったが
キッスもすませておらんかったとはの；｣

デビル
｢じゃあここがいい機会と思って、さ？♥｣

インプ
｢早めの結婚式の練習と思って、ね？♥｣

コボルド
｢お願いします！ぜひ参考にしたいですっ！｣ふんすっ

アリス
｢私、先輩のラブラブこの目におさめたいですっ！｣ふんすふんすっ

リリラウネ
｢私たちのことはいないと思って、さぁ♪｣
｢もしくは小鳥やお花たちに祝われてると思って、さぁさぁ♪｣

『キッス!!♥キッス!!♥キッス!!♥キッス!!♥』

ペドロ｢ほれほれ？早く示さんとこの熱は治まりそうにないぞ？♪｣

熱気はピークに達し周りからはキスコールの嵐が鳴り止まなくなっていまいました；
ペドロ先生も静めもせずにさっき以上のニヤけた顔で催促してきて、
この人やっぱり私たちの状況を悪用して楽しんでるだけじゃないですかもうっ!!

(ど、どうしましょう!?；ここまでの状態でやらない態度を通せばきっと
無理矢理にでもさせられることに・・・いえもしかしたらその態度にかこつけて
『それじゃあ自分が♥』なんて太一君に仕掛けてくる輩が現れるかもっ！
そ、そんなことになるくらいなら・・・！
ああでも、やはりこれだけ見られている前ではとても・・・！(赤))

頭の中でぐるぐると思考がまとまらないなか隣の太一君を見てみると
顔を赤くしながらも周りの囃し立てにおろおろする様子もなく
私の顔をじっと見つめてきていました。

(もしかして何かいい手を考えていると思っているんでしょうか？
ごめんなさい太一君、私なんにも・・・)

心の中で詫びていると太一君は私の腰に手を回して
そのまま私の体を抱き寄せてきて・・・

すっ・・・

麗｢んっ？｣

(こ、これはっ!?；わ、私、今、太一君と、キッ、キキッキ、キスをっ!?)

太一
｢(スッ…)こ、これでどうよ？(真っ赤)｣

『『『きゃわあぁぁあぁあ〜〜〜っ!!♥♥♥』』』

一瞬だけ静かになったかと思えばさきのコール以上の歓声が校庭から、
いつの間にかのぞいていたのか校舎内からも空気が震えるほどに聞こえてきました。
一組のカップルの恋愛模様一つで何故こうもまるで世界が救われたかの様な
喜びっぷりを皆さん見せられるのでしょうか；・・・いえそんなことよりもっ！

(い、いきなりだったけど、う、嬉しいけど、こ、こんな所で・・・
皆が見ている目の前でなんて〜〜っ!!)

ぼしゅ〜〜っ・・・ぽんっ

麗｢あふぅ・・・｣どさっ

太一｢おぉっと；う、麗っ!?｣だきっ

ペドロ｢おっと、限界じゃったか；｣

あまりの嬉しさとあまりに恥ずかしさ、その二つが頭の中でない交ぜになって
体をどんどん熱くしていって、私は意識を手放してしまいました。
太一君が慌てて抱きとめてくれたので地面にぶつかりはしなかったそうですが。
その後は一限目までに起こしてもらえましたが遠目から見ていたクラスメイトや
後輩たちからずっとキスの話題を持ち出され続け慌しい一日となりました；

■作者メッセージ
作品は見かけてくださっても自分を覚えている方は最早いないでしょう；
PNを『糸並』から『おめざめこっくりik』に変更しました。
これから更新頻度が大幅に上がる、まではいきなりでは難しい身ですが
スパンを徐々に短くできる様に自分なりに努めていきたいと思います。



以下本編に登場した施設の設定、キャラクター名を書いておきます。
興味のあるお方は是非ご覧ください。

◎施設紹介
百色高校(ももいろこうこう)：
麗と太一の通う私立高校。龍が創設者かつ現役理事長だったり
理事長含め創設された頃から今まで(百数十年)
現役である教師が何人もいたりと何かとすごい高校。
『あなたの出せる色を創ろう♥』という校訓からか、
人間魔物娘共学の学校の中でも屈指の多種族で構成されている。


◎出てきた生徒先生の名前

リリラウネ：早乙女 薫,萌(さおとめ かおる,もえ)

インプ：平門 小遊(ひらかど さゆ)

デビル：大陸 艶夜(おおおか つやや)

コボルド：寄狗 三茶(よりいぬ みさ)

アリス：チェルシー・ニューランズ

バフォメット：ペドロ・メェット