連載小説
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初詣〜Restart days of alone with you〜
新年あけましておめでとうございます!年明けといえば
おせちやお雑煮を食べる時期、良い子のみんなにお年玉がやってくる時期、
小さな子は凧揚げや羽根突きをやる時期だったりでクリスマスとは
また違った楽しみがある時期ですな!
…まぁ人によっては
「おせちキラ〜イ!」、「ゲームした〜い!」、「またお金をあげる時期がやってきた…」
つう時期になるかもしんないけど…
そんなことよりみんなは初詣にはもう行ったかな?おみくじはどうだったかな?
俺はねぇ・・・

「あ!私大吉ですよ♪太一君はどうでしたか?」
「…ん」スッ
「あ…末吉…」

何とも微妙な運勢になっちまった。
な〜んかすっきりしねぇよな、こういうのって…

「で、でも凶よりは良いですよ。それにほら、
そういう時はあそこにああやって括り付けて…」

大吉引いてるヤツに励まされるのも、ねぇ…
あんま嬉しくないな…

「な、何ですか、その目は;」
「いや、何でもない…そこで温かそうなゆず茶配ってるからもらいに行こうぜ」

まぁ確かに凶よりはマシだ、それに言ってもおみくじ、うじうじしたってしょうがない、
ゆず茶を飲んで温まろう。くじを結んでから配っている稲荷の巫女さんの元へ行き
二つ分もらう。

「ゆず茶二つくださ〜い」

「は〜い、どうぞ〜」

「いただきま〜す、ほい麗の分も」

「ありがとうございます、いただきます」

ズズズ〜
ふぅ、温かさと柚子の甘さが全身に染み渡る…
横を見ると麗はちびちびとだが飲んでいる。
たまに熱そうに口を離す様子が可愛らしく、ついフフッと笑ってしまった。

「な、何ですか?;熱そうにしているのがそんなに可笑しいですか?」

「いや、おかしいとは思ってないぞ?かわいらしいって思ったんだ」

「・・・・・・(真っ赤)」ぷしゅ〜〜

耳まで真っ赤にしてうつむいてしまった。つい昨日あんなに大胆な行動してたってのに
そんな初々しい反応見せてくるんだもんなぁ、マジかわいらしいって思っちまうよ。
童顔が相まってより一層つうか・・・
今更だけど、麗の容姿ってあの頃からあんまり変わってないんだな、
背が少し伸びたくらいか…
いやでもまぁ容姿がほとんど変わってないってのは…

「ゆず茶いかがですか〜?暖まりますよ〜、無料ですよ〜♪」

他も大体一緒な様なもんか。
あの稲荷の巫女さんなんか俺が小さい時からあの見た目なんだよなぁ、
あそこでお守り売ってる神主さんもそうだし。

「ねぇおまえ様、神様にはなんとお願いしたのですか?」
「お父ちゃ〜ん、おみくじ買って〜♪」

いや、参拝客の方を見るとそうでもないか?
あのおじいさんはもう少し白髪が目立っていた気がするし、
あの夫婦は去年は見なかった子供を抱きかかえたりしている。
去年見かけた時は奥さんの方がお腹が目立っていたっけか。

「太一君?」

どうやら周りをじろじろ見過ぎたらしい;
麗が不審がる様子で話しかけてきた。

「どうしたんですか?先程から周りの人をじろじろと…」

「ああいやな、こうして周りを見てみるとあんまり変わってない人もいれば、
結構変わってる人もいるなぁって、麗は…あんまり変わったって感じしないな?」

「なっ、そ、そんな事ありませんよ!?;私だって成長くらいはしています!
確かにむ・・・体型は変わっていないかもしれませんが、
背丈は伸びています本当ですよ!?
実家に測った跡があるんです、何でしたら今からにでも確かめn」
「わかったわかった;俺が悪かったから一旦落ち着いて;」

俺としてはちょっと思ったこんなこと程度で話したつもりだったんだけど
思いのほか本人が気にしていたとこだったみたいだ;

「いいえわかっていません!実家に行くまでしなくとも、
他に確かめる方法はありますのでそこまでついて来てもらいます!」グイィッ

「あいててて;おぉちょい、腕引っ張んなよ;ゆず茶こぼれるって;」

謝ったけど許してもらえず;
そのまま腕をつかまれ、俺は強引に引っ張られどこかへ連れて行かれる。
実家以外に確かめれる場所って病院あたりにでも行く気かな?

〜十数分後〜

「ここは…」

「一緒に来るのはいつぶりでしょうか…」

連れて行かれたのは小さな公園だった。
これはまた懐かしい所に連れてこられたもんだ。
小さい頃はよくここで色んなやつと遊んだっけ・・・

「小学校卒業してからは来た覚えなかったから
ほんっと久しぶりな感じだなぁ…あ、あの遊具とかまだあるんだな」

「そう、アレです!アレの前に立てばきっとわかるはずですよ?」

麗が指を指したのは・・・そういやこれ正しくは何て呼ぶんだ?
え〜っとあれだ、公園でできるロデオみたいな遊具とでも言っておこう。
でもアレと身長が一体どう関係するんだ?

「覚えてますか?小さい頃ここでたくさん遊びましたよね?
あの頃は色んな物が大きく感じられましたよね?」

「あ、ああそうだな、あの頃は俺たち小さかったからな」

「そうですよね?コレも昔は胴くらいまでの
大きさに感じていました。ですが今はどうですか?」

言われて寄ってみれば、今の俺から見れば膝から腰の中間辺り位、
麗の方は腰まで位だった。
なるほどこうして比べれば、お互いに背丈が伸びているのがわかったけど…

「これでわかっていただけましたか?」

「あぁ、わかったけど…俺は麗を変わらず小さいなとだけ言ったつもりじゃ…」

「そうなのでしょうが、『変わらない』という言葉は
全ての女性が喜ぶわけでは無いんですよ?
ここで太一君に一目惚れした時からもう私は大きく変わって・・・」

「一目惚れ?俺達ってここで初めて会ったんだっけ?」

「厳密には初めてではありませんが、
貴方を強く意識し始めたのはここで会った時からです」

「どんな風に会ったんだっけ?」

「…見るからに柄が悪そうな学生数名から女の子を守ろうとした事覚えていませんか?」

「・・・思い出した、小三の時だな?」

「はい!人数差も力量差もものともせず終始私を守る様に立ち回り、
何回も殴られながらも挫ける事も怯む事もなくかかっていって、
蹴散らした後も自分の身よりも先に私の身を案じてくれて…
もうあなたの全てに私の心は奪われました…♥」

「蹴散らしたって…アレ最後には麗が全部解決してたろう;」

人を英雄だと言わんばかりにベタ褒めしてくれているが若干間違っている;
かばったのも諦めなかったのも合ってはいるが
アレは最後は麗が雷を落として終わらせたはずだ。

「最後は確かにそうでしたが、私は助けるために入ってきてくれた事が
とても嬉しかったんです・・・改めてあの時はありがとうございました」にこっ

「お、お礼とか良いよ;もう何年も前の話なんだし…
ええと、これ何の話から始まったんだっけ?」

「太一君が年を経て背が伸び逞しく変わっていく様に
私だって変化しているという話です。先程は身長を挙げましたが、
勿論それだけではありませんよ?想いだって変わっています。
あの時よりも昨日よりも、私は太一君のことが大好きです♥」

「っ!」

ぐおおっ!;そんなことそんな笑顔で言われ続けたらヤバい;
いや何も悪いことはねぇんだけど、でもとにかくヤバい;
ズキュンっときた!;こちらこそより一層ホレ直したわ!

「麗ぁっ!」だきっ
「ひゃっ!?;た、太一君っ!?;」

たまらずその小柄な体を包むように抱きしめ、
そのまま想い全部を吐き出した。

「俺も好きだ!さっきの笑顔も!そのキョトンとした顔も!
こうやって抱き締めたらすっぽり収まるこの小柄さだって!
もう何から何まで可愛すぎる!俺も麗が大好きだ、もう負けないくらい大好きだ!」

「ひひゃ、はわわ;た、太一君、人が見てます、見てますからぁ;(真っ赤)」

言われてハッとして周りを見渡してみる。大して見られていないだろうと思ってたら
まだ昼下がりだったからか、結構な人数に俺たちのやり取りをがっつり見られていた;
ああ;向こうで子供が俺たちに指をさしているのが見える;

「ご、ごめん;(ぱっ)嬉し過ぎてつい;痛くなかったか?」

「い、痛くはないです、少し驚いたり恥ずかしかったりはありましたが…
私も嬉しかった、です(照)」

「でも、麗背丈のこと気にしてたんじゃ…」

「身長の事は昔よりは伸びていると言いたかっただけですよ。
『チビじゃガキと変わんないな』とか『豊満な方が良かった』などと言われたら
気に病む所でしたが、『可愛い』と褒めて貰えてとっても嬉しい限りです♪
あんなに力強く抱き締めて貰えて、『負けないくらい大好きだ』なんて…えへへ♥」

よっぽど嬉しかったのか頬に手を当てデレッデレな笑顔だ。
めっちゃかわいいんでもうちょっと見ていたい気持ちもあったが、

ぐ〜〜・・・
くぅ〜・・・

「「う;」」

「あ、ははは;今日は起きてすぐ家を出ましたからね;」

「やっぱ食いながら来てた方が良かったかもな;」

三大欲求が一つはそうはいかないらしい;
昨日あんなことがあって寝るのが遅かったってことで、今日起きたのは昼近く。
そっからすぐ初詣に行ったんで、二人して今日は一食もしていない、
つまり腹ペコなのである;

「この近くって定食屋か何かあったっけ?」

「先程の神社でお雑煮も配られていたと思うのでそれを戴きませんか?」

「そりゃいい、じゃあ神社に戻るか」にぎっ

「あっ、た、太一君ったらまた、人が見ているんですよ…?」

俺が手を握ると麗は顔を赤くして慌て始めた。
人目を気にしてなんて実に麗らしい反応だ。

「来る時は麗が手引いてたのに、今更恥ずかしがるモンか?」

「あ、あの時はあの時です、こ、こんな見せ付けるみたいに…」

「見せつけたっていいじゃん、俺たち隠れて付き合ってるわけじゃないんだし、な?」ぐっ

「うぅ・・・(赤)」ぎゅっ

本気で嫌なら嫌だと言うなり振りほどくなり出来るだろうに
なんだかんだ言っても嬉しいみたいで、握る力が強くなった。
おかげで麗の手のスベスベさや柔らかさ、暖かさとかが
より伝わってきて…うん、すげぇドキドキする;

「た、太一君?そんなこねる様に握られると
くすぐったかったり痛かったりでちょっと・・・」

「あっとスマン;あんまりにも握り心地良かったんでつい;」

「心地良いだなんて;初めて握ったわけでもないのにそんな…(赤)」

「そりゃ子供の頃に何度か握ったけどさ、あれから年も関係も変わってるんだぜ?
特別良いって思うもんさ、麗はそう思わないのか?」

「わ、私だって太一君の手、あの頃よりも
一層硬くて逞しくて素敵だなって思って…あうぅ…(赤)」

褒めている側がどうして恥ずかしがるんだか;そこもまたすごく可愛いけどさ。
でもやっぱり一番は・・・

「麗・・・」

「な、何ですか?」

「改めて、これからよろしくな」

一瞬きょとんとした顔をみせる麗、
でもすぐにまた明るい笑顔を浮かべて、

「…はい!こちらこそ宜しくお願いします♪」

(ああ、この顔だ…やっぱり麗は笑顔が一番だ)

『麗をたくさん喜ばせてやる。』
俺の今年の抱負はこれで決まりだ!
18/01/01 00:10更新 / 糸並
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■作者メッセージ
明けましておめでとうございます!
去年全く書けなかった身でこれを言うのも変かもしれませんが、
今年もよろしくお願いします。



文章中に出た『公園で出来るロデオみたいな遊具』、
『スプリング遊具』と呼ばれているらしいです。
・・・どうでもいいでしょうがふと気になって調べてみました。

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