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赤き天使達のクリスマス
静寂の大聖堂の中。
壮大なステンドグラスの前にそびえ立つ大十字架に向かって一人の女性が祈りを捧げていた。
そんな大聖堂にひらりと羽根が舞い落ちてきた。
すると、大聖堂の天井に描かれた太陽がまるで本物の様に光を放ち、その光の中から天使達が舞い降りてきた。
鎧姿の天使達がゆっくりと地面に着地すると、それに続いて小柄な天使達も彼女達の後ろに着地していった。
全員が着地すると、天使達は祈りを捧げている女性に向かって全員一斉に跪いた。

「第138戦乙女隊、聖女の声に応じ馳せ参じました」

「顔を上げて大丈夫ですよ」

「はっ!」

女性の声に応じて天使達全員立ち上がる。

「それで聖女様、早急の案件があるとのことですが…」

聖女と呼ばれた女性が振り返る。

人形の様に美しく整った顔、空のように青い碧眼、神聖な雰囲気を纏った容姿の美しい女性であった。
天使達に命を下せることを考えると、彼女は教団の中でもかなり特殊な、高位な位である事は確かなようだ。

「あなた達に来ていただいたのは他でもありません…」

神妙な顔で天使達に告げる。

天使達も思わず息をのむ…

「あなた達には…」



「この赤い服を着て子供達にプレゼントを配って欲しいのです!」

聖女と呼ばれた女性は満面の笑顔で赤い防寒着を掲げた。


「…え?」

天使達は一同に唖然とする。

「今夜は神聖なる聖夜、いつもは教義に従って慎ましい日々を過ごしている子供達を祝福してあげたいのです」
「聞けば雪国では聖夜の夜、子供達の枕元にこっそりとプレゼントを渡す風習があるそうなのです」

聖女は楽し気に話をする一方、天使達は困惑していた。

「し…しかし何故私達なのですか?」

「プレゼントを渡すのなら教団兵の人達でも良いのでは?」

「確かに、プレゼントを渡すのは人間でも問題ないでしょう…」
「しかし、主神の僕であるあなた達自身がプレゼントを渡す事によって、この行事の神聖さが増すと思うのですよ」

「はぁ…」

「天使が直々にプレゼントを渡す、この事実によって民の主神に対する信仰もより深まると思うのです」

「確かに、最近主神様に対する信仰が薄れつつある地域もあるようです…何とも嘆かわしい事で…」

「だからこそ、この聖夜というイベントは信仰を回復させる良い機会だと思うのです」

「しかし、私達はプレゼントを渡したことなんてありませんよ…?」

小柄な天使の一人が問う。

「大丈夫です、問題ありません!」
「こんなこともあろうかと、聖夜のスペシャリスト達を招いておきました!」

すると大聖堂の静寂を破るかのように、扉が勢いよく開け放たれた。

「メリークリスマスッ! みんな〜クリスマスを楽しんでる〜?」

「こら、ノエル、人里であんまり大声を出してはいけませんよ」

「わぁ〜! 天使さんがいっぱいだ〜こんにちわ〜」

そこに現れたのは赤い防寒着で身を包んだ少女と、それと同じように赤い防寒着で身を包んだトナカイのような魔物ホワイトホーン。
それと同じく赤い帽子を被った褐色肌の獣人の魔物、イエティであった。

「ま…魔物!?」

戦乙女達は思わず剣に手をかける。

「お待ちください、彼女達は私が招待したのです」

「招待…? 魔物を教団領に招いたのですか!?」

「だが、聖女様が認めた者達だ…例え魔物でも問題は無いだろう…多分…」

戦乙女隊の隊長が他の天使達をなだめる。
天使達は困惑しながらも剣を収めた。

「自己紹介がまだだったね! わたしはノエル! これでも立派なサンタクロースなんだよ!」

「私はノエルの付き人のステラと申します」

「同じく〜 ノエルちゃんのお供のフラッペだよ〜」

「名乗られたからにはこちらも名乗るのが礼儀というもの、第138戦乙女隊隊長セリエルだ」

「セリエルちゃんだね! よろしくね!」

「ちゃんって…」

ノエルのテンションの高さに呆気に取られる天使達。

「それではノエルさん、天使の皆さんの事をよろしくお願いしますね。

「任せておいて! わたしが手取り足取りレクチャーしてあげるから!」
「じゃあみんな、まずは服を着替えよー!」

「え、ちょ…何をする!?」

「大丈夫ですよ、すぐに済みますから」

「ほれほれ〜お着換えしようね〜」

「ちょっと! 胸を触らないで〜!」

「あら、ノーパンだなんて天使様って意外と大胆なのですね♥」

「こらー! どこを見ている!///」

「あらあらうふふ、皆さん楽しそうですね♪」

先程までの静寂が嘘かのように大聖堂に賑やかな声が響き渡る…


◇〜◇〜◇


「ところで、サンタクロースって何ですか?」

赤い防寒着を身に着けた小柄な天使が尋ねる。

「サンタクロースって言うのはね、聖夜に子供達にプレゼントを配って、夢を届ける人の事だよ!」

「夢を届けるってなんかロマンチックですね」

「それで、プレゼントを配るにはどのようにすればいいのだ?」

「まずはね〜子供達が寝静まった頃にこっそりと家に入り込んで…」

「それではまるで盗人ではないか!?」

「逆だよ〜泥棒さんは人から物を盗んでいくけど、サンタさんは子供に物を…プレゼントを与えるんだからね〜」

「た…確かにそうだな…」
「でもどうやって家に入り込むんだ?」

「それはね! これを使うんだよ!」

ノエルは不思議な装飾が施された鍵を取り出した。

「これはクリスマスキー、リースが付いた扉を開けることが出来る魔法の鍵なんだ!」
「昔は煙突から家に入り込んだらしいけど、煤だらけで汚いし、その煤のせいで肺炎を患ったり、転落事故で大怪我するサンタが続出したから今では煙突には入らないんだってさ!」

「急にシビアな話になったな…」

「じゃあこれを!」

そう言うとノエルはクリスマスキーの束をセリエルに渡した。

「それは一夜限りのクリスマスキーの合鍵だよ! それを使って家の中に入ってね!」

「ありがとう、大事に使わせてもらおう」

「聖夜が終わって日が昇ると魔力を失ってただの鍵に戻っちゃうから、それまでにプレゼントを配り終えてね!」

「分かった、では私達にプレゼントの配り方の教授を頼む」

「わかった! みんな〜わたしについてきてね!」

「「「了解!」」」

赤い服を身に纏った天使達がノエルに続いてぞろぞろと行進する。


◇〜◇〜◇


そしてクリスマス・イブの夜。
大聖堂の屋根に天使達が集合していた。

「じゃあみんな、わたしが手本を見せたとおりにやってね!」

「まさか、音を殺して家に忍び込むのがこんなにも大変だなんて…」

「気分はまるで暗殺者でしたよ…」

「暗殺者じゃないよ、サンタだよ!」

「大丈夫ですよ、皆様ならきっと立派なサンタになれます」

「スピカがそう言うならきっとだいじょうぶだよ〜」

「ありがとう、何から何まで世話になったよ」

「いいのいいの! わたしは教団の子供達が笑顔になってくれるなら労力は惜しまないよ!」
「それじゃあ、わたしはこれから別の地域でプレゼントを配りにいくから、後は任せたよ!」

「皆様の御健闘を祈ってますよ」

「じゃあね〜みんな〜」

そう言うとノエルとフラッペはそりに乗り、スピカがそりをけん引すると、そりが浮かび上がり、スピカが勢いよく地を蹴ると、そりを引いたまま空を駆けていく。
そりは光の粒子を撒き散らしながら月を横切っていった。

「すごいですねぇ…どんな魔法を使っているんでしょう?」

「それよりも、今は我等に課せられた使命を遂行せねば」

天使達はノエルから貰った地図を広げる。

「この光のマークがついている場所が子供達の居る場所なんですね」

「うわぁ…一杯光が付いている…一晩で回り切れるかな…?」

「なんの、やり切って見せるさ…主神様の威厳の為にも…子供達の笑顔の為にもな…」

「そうですね…ノエルさん達は三人だけでプレゼントを配っているんですもの!」

「それぞれの地域を別々で担当すれば、一晩で行けるだろう…」

「それじゃあ、全員プレゼントを配り終わったらこの大聖堂で落ち合おう」

「「「了解!」」」

「では総員、散開!」

大聖堂の屋根から、赤い服を身に纏った天使達が空を駆けていく。


◇〜◇〜◇


教団兵達が寝静まる夜の兵舎。
一人の天使がプレゼントを配るために舞い降りてきた。

「教団兵さん達が眠っている兵舎…ここにも子供が居るのかな?」

兵舎の扉にはちゃんとリースが飾り付けられていた。

「よし、鍵は使えるね、お邪魔しま〜す…」

天使は地図を頼りに兵舎の中を忍び足で歩いていく。

やがて天使は見習い兵士の部屋までたどり着く。

「ここかな?」

扉を静かに開けると、並んだベットの上には幼い子供達が寝静まっていた。
どうやら彼等は教団の見習い兵士のようだ。

「こんな若い子達も教団の為に日々鍛錬を続けているんだね…」

天使は何とも言えない感情を抱きながらプレゼントを袋から取り出す。
そして天使はベッドの一つに近付き、子供の寝顔を覗き込む。
あどけなさを感じさせながらもどこか凛とした顔つきの少女の寝顔がそこにあった。
少女は可愛らしい寝息を立てながら熟睡していた

「ふふ、かわいい♪ この娘も昼では威勢よく訓練しているのかな?」

天使は少女の枕元にプレゼントを置く。

「メリークリスマス♪ 聖騎士の卵さんに私からのプレゼントだよ♪」

そして、天使は他の子供達にもプレゼントを配っていく。


◇〜◇〜◇


とある貴族の館。
戦乙女は館の扉の前まで来ていた。

「立派な屋敷だな…ここの主はさぞ高貴な人物なのだろう…」

戦乙女は鍵を使い、屋敷に潜入した。

屋敷の中は広く、音も響きやすくなっているため、潜入は困難であった…

「隠密は苦手だ…」

慣れない忍び足で廊下を進むと、曲がり角の奥から執事が現れた。

「!?」

「ご心配なさらず、貴女をお待ちしておりました」

執事は小声で戦乙女を歓迎する。

「さぁ、こちらへ…」

戦乙女は執事にある部屋まで案内された。

「お坊ちゃまのお部屋はこちらでございます」

執事が静かに扉を開けると大きなベッドに二つの人影があった。
しかし、ひとつは…

「…!? 魔物!?」

犬の特徴を持った魔物のコボルトであった。
コボルトと少年はお互い身を寄せ合いながらぐっすりと眠っていた。

「…」

戦乙女はそんな二人の姿や、ノエル達の姿を見て何か思うところがあったのか…

「魔物も主神様が言うほど案外邪悪な存在ではないのかもしれないな…」
「…いかんいかん、そんなことを考えては! とりあえず今は使命を果たそう」

袋からプレゼントを取り出す。

「ここのプレゼントは二つ分か…」

戦乙女はコボルトと少年の枕元にそれぞれプレゼントを置く。

「メリークリスマス…聖夜の祝福を君達に…」

「寒い中お疲れ様です、温かい紅茶でもいかがですかな?」

「いや大丈夫だ、次の子供達の元に行かなければいけないのでな」

「かしこまりました、道中お気をつけて…」

「執事殿も夜分遅くまで御苦労だった、ゆっくり休んでくれ」

「いえ、私の事はお構いなく…」

戦乙女は執事に別れを告げると雪が降る夜空に飛んで行った。


◇〜◇〜◇


「地図の場所ってここで合っているよね?」

「うん…でもここって…」

二人組の天使が辿り着いたのは人里離れた墓地であった。

「ここに子供達が居るの?」

「らしいけど…地図が指している場所って…」

地図の示している場所は間違いなく墓石の辺りであった。

「クリスマスって死者にもプレゼントを渡すのかな?」

「とりあえず墓石にプレゼントをお供えしておこう…」

天使達は墓石にプレゼントを置いていく。

「わぁ♪ サンタさんだぁ〜♪」

どこからか声が聞こえたと思うと、墓石の下から手が這い出てきた。

「ひっ!?」

それに呼応するかのように、他の墓石からも小さな手が這い出て来て、やがて幼い少女が姿を現した。

「アンデッド!?」

「わぁ〜い!ぷれぜんと〜♪」

「とりっくおあとり〜と〜♪」

「ぷれぜんと〜♪」

アンデッドの少女達は天使達ににじり寄ってくる。

「あわわ、まずいよぉ〜早く逃げないと!」

「うん、ちょっと待ってて!」

そう言うと天使は残りのプレゼントを地面にばら撒いた。

「め…メリークリスマス! じゃあね!」

二人の天使は空へ舞い上がっていった。

「どうしてプレゼントを置いていったの?」

「いや…ちゃんと全員分渡しておかないと悪いかな〜って」

「律儀だねぇ…」


◇〜◇〜◇


「ふむ、ここが最後の一件だな」

戦乙女の一人が小さな家の前に降り立つ。

「では、失礼する…」

戦乙女は鍵を使ってリースのついた扉を開ける。

「いくらプレゼントを渡すためとはいえ、人の家に勝手に上がり込むのはやはり気が引けるものだ…」

音をたてないようにゆっくりと子供が眠るベッドの方へ向かう。

そこには小さな男の子の兄弟が背を合わせながらぐっすりと眠っていた。

「メリークリスマス、君たちに聖夜の祝福を…」

戦乙女は子供の一人にプレゼントを渡し、もう片方の少年にプレゼントを渡すためにベッドを反対側に回り込んだ。

「この子が最後だな…」

最後の子供の枕元にプレゼントを置こうとするが…

「ん…?」

少年が目を覚まし、目が合ってしまった。

「あ…」

少年は突然のサンタの来訪に戸惑っているようだ。
彼女に見とれてしまったのか、その顔はほんのり赤くなっていた。

戦乙女は人差し指を口元に立てて少年に微笑んだ。

少しの間、二人は互いを見つめ合って、しばらくして戦乙女は立ちあがりその場を去ろうとする。

しかし…

少年の小さな手が戦乙女の手を掴んでいた。

「待って…サンタさん…」

「…」

戦乙女は再び男の子のベッドの前に屈み、少年の頭を優しく撫でた。

「仕方のない子だ…」

布団越しに少年の体を優しくさする。
撫でられた少年は気持ちよさそうに目を細める。

戦乙女は少年が再び眠るまで見守っていた。


◇〜◇〜◇


大聖堂の屋根の上、そこにはプレゼントを配り終えた天使達が集まっていた。

「遅いな…一体何をしているんだ、もうすぐ日が昇るぞ…」

隊長のセリエルは、隊員の一人がまだ戻ってきてない事を心配していた。

やがて、暁の空に高速で飛んでくる影が一つ。

その影の主は大聖堂の屋根に着地してきた。

「遅いぞ! 何をしていた!!」

「申し訳ございません! 想定外の出来事がありまして…」

「そうか…理由は後で聞こう、お前が無事に帰ってきてくれて何よりだ」
「後で私の小言をたっぷり聞いてもらうからな」

隊長のセリエルは安堵した表情で遅れてきた戦乙女に語り掛ける。

しばらくすると、大聖堂に鈴の音が近づいてきた。

「やっほー! みんなー! プレゼントは配り終えたみたいだね!」

「皆様、お疲れ様です」

「おつかれさま〜」

ノエル達もプレゼントを配り終えて帰ってきたようだ。

「はい! これ!」

ノエルはセリエルにプレゼントを渡す。

「頑張ったセリエルちゃんにプレゼント! みんなの分もちゃんとあるからね!」

プレゼントを渡された天使達は戸惑っていた。

「プレゼント? 私達に?」

「そうだよ〜いつも主神様の為に頑張ってるあなたたちへのプレゼントだよ〜♪」

「天使様がプレゼントを貰ってはいけないという教えは有りませんからね」

「わかった、有難く貰っておこう」

「あと、それと…」

ノエルはポケットから小切手の束を差し出してきた。

「はい、これ! クリスマスパーティの招待状! もしよかったら来てね!」

「パーティ? 私達が?」

「そうだよ! クリスマスはみんなで楽しんだ方がいいからね♪」

「いいと思いますよ、みんなで楽しんできてください♪」

天使達が振り返るとそこにはいつの間にか聖女が佇んでいた。

「聖女様!?」

「私は聖夜の行事で忙しいので行けませんが、私の分まで貴女達に楽しんできて欲しいのです」
「いいですか? これはあなた方に課せられた天命です!」

「そ…そうですか…天命なら仕方ありませんね…」

セリエルは困惑しながらも聖女の頼みを承諾する。

「じゃあ私達はこれで帰るけど、セリエルちゃん達もクリスマス楽しんでね♪」

「皆様、お待ちしておりますね」

「じゃ〜ね〜♪」

スピカに牽かれてそりは暁の空に消えていった。

「何とも不思議な少女達であった…」

セリエルの手にはクリスマスパーティの招待状が握られていた。


◇〜◇〜◇


「クリスマスパーティの会場ってここですよね?」

「なんか魔物が一杯居るんですけど…」

招待状に書かれていた場所は、人魔問わず、大勢の人々で賑わっていた。
その大半はどうやら子供のようだ。

「みんなー! 来てくれたんだね♪」

赤い防寒着を着た少年少女たちの一人がこちらに気付き、手を振ってきた。

「ノエル殿…これは一体?」

「クリスマスはみんなで楽しむ物だからね! 人間も魔物も天使もそれぞれの違いなんて関係ないよ!」

「そ…そうか…」

「見て見て! このクリスマスツリー! みんなで飾り付けたんだ!」

ノエルが差したその先は巨大なクリスマスツリーが佇んでいた。

「これは何と大きな…」

戦乙女の一人がその大きさに圧倒される。

「おやおや、天使様はクリスマスは初めてですか?」

声のした先には何とも言えない表情をした栗鼠の少女、ラタトスクが居た。

「あ! リタちゃんも来ていたんだね!」

「そりゃウチの本拠地もサンタにデコられまくって、壮大なクリスマスツリーにされた上に、ご丁寧に招待状まで押し付けられたもんだからね…」

リタと呼ばれたラタトスクはどうやら総本山の大樹がサンタクロースにデコレーションされてしまった様だ。

「文句のひとつやふたつ、言いたくなるってもんさ…」

「あはは、ゴメンゴメン! あと、その尻尾キレイだよ!」

「あぁ、この尻尾ね…妖精たちにやられたんだよ…」

その大きなもふもふ尻尾にはリースやら飾りが一杯装飾されていた。

「まるで歩くクリスマスツリーだね! これがホントの「ク栗鼠マスツリー」! なんちゃって!」(テヘ

「うまいこと言ったつもりかッ!」

リタはデコレーションされたもふもふ尻尾をノエルにぺしぺしと叩きつけていた。

「なんか君たちも大変そうだな…」

ぷりぷりと怒るラタトスクを眺めながらセリエルの口元は少し綻んでいた。

「さぁクリスマスはこれからだよ! みんなも楽しんでいって!」

クリスマスの夜が始まる…


◇〜◇〜◇


「なぁ、どうしたんだ、その羽根をずっと見つめているけど…」

少年が自身の弟に尋ねる。

「サンタさんに…会ったんだ…」

「サンタ? 教団の人や父ちゃんじゃないのか?」

「うん…すごく綺麗だった…」

弟はほんのりと金色に輝く羽根を見つめていた。

「また来年も来てくれるかな…?」

少年は雪降る空を見上げた。
19/12/25 00:39更新 / kahn

■作者メッセージ
メリークリスマス!\(・ω・)ノ
自分からのちょっとしたクリスマスプレゼントしてこのSSを捧げます。
やりたい事が山積みです(汗

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