連載小説
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主夫の昼下がり
テレビを見ながら取り込んだ洗濯物を畳む

テレビの向こう側では僕の妻であるぎんが歌いながら踊っている

彼女は楽しそうに踊りながら、自分で作った曲を歌っている

歌詞の内容は僕に向けて作ったらしいので、聞いているとなんだか恥ずかしい

まぁCDは買ったけど

ぎんの歌声をBGMに洗濯物に意識を向ける

山のように積んであった衣類はもうほとんど綺麗に畳んである

あと5分程度で全部終わるかな?

そんなことを思いながら歌声が聞こえなくなったテレビの方に意識を戻すと、ぎんはインタビューを受けているようで、番組の司会のサキュバスの人が彼女にマイクを向けている


 「何か重大な発表をするそうですが、どんなことでしょうか?」


 「………妊娠したから、しばらくの間産休をとる」


え!?

僕はそんなことは一言も聞いてないよ


 「あ〜、ついにデキちゃいましたか、おめでとうございます」


 「………仕事するのは楽しい、でも、それ以上に大切にしなくちゃいけないものもある」


 「いいですねぇ、早く私も素敵な旦那様に出会いたいです」


……まぁ当然だよね

昔からヤりまくってたんだし

むしろ今まで妊娠してなかった方が不思議だよ















僕とアイとぎん、僕らは学校を卒業したときに結婚した

今の日本では重婚を認められているので(昔は駄目だったらしいけど)特に世間的な問題は無かった

アイは僕達の親の仕事を引継ぎ(結局僕はどんな仕事をしているかは知らない)、ぎんは歌手兼ダンサー(アイドル?)になり、忙しくも楽しい日々を送っている

僕はというと、家事や妹の子守(母さんがサキュバスになったため、ポンポン産まれている、少しは自重してほしい)をしながら料理教室を開いている

いわゆる主夫ってやつだね

昔、僕が最年少で主夫検定特級を取ったため(特級自体世界で数十人しか持っていない)料理教室もかなり人気である

甲は軍事から医療まで幅広いジャンルで活躍する会社の社長になり、詩織は彼の秘書兼妻をやっている

彼らとは今でも仲良くやっている、大切な友人達だ


 「おにいちゃ〜ん」


一番上の妹(アリス)が呼んでいる

昼寝させておいた妹がおきたのだろうか?

それとも先ほどのぎんのことだろうか?

とてとてとこちらに寄ってきた妹の手に引かれてきたのはアイだった


 「おかえり、今日はずいぶんと早いね」


 「気分が悪いから病院に行ってきた」


む、健康には気を使っているから問題ないと思っていたけどどうしたんだろう


 「妊娠した」


アイが自分のお腹を撫でながら幸せそうに微笑んだ

……こっちもですか

妹がアイのお腹に耳を当てているが、まだ分からないだろう

いきなりの事で驚いたけど、嬉しいね

でも子守する相手が増えるのは嬉しい悲鳴というやつかな

ていうか、二人が産休を取るんだったら金銭面的な問題が発生してしまうかもしれない

貯蓄はかなりあるけれども、少々心配だ

流石に料理教室だけではやっていけない

………内職でもしてみようかな

でもそれも収入はあまりないしなぁ

幸せそうにお腹を撫でるアイと嬉しそうにピョンピョン跳ねている妹を尻目に僕は一人頭を抱えるのであった
11/06/15 22:43更新 / 錆鐚鎌足
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■作者メッセージ
これにて完結、ですね
そしてまさかの1万view突破ありがとうございます
この作品は『執事と姫様』と同じく連載系作品の中では自分の中でもお気に入りの物なのでとても嬉しいです
あと、完結記念に執筆前に書いた本作のキャラ設定を載せておきますね

バ「誰得な気もするがの」

余計な事は言わないで下さい

サ「ご主人様はキャラ設定が5割、最初に思いついたネタが5割ほどで書いてますからね」

……確かにその二つを肉付けして執筆してますけどね

バ「もう少しじっくり考えて話を作るべきじゃとわしは思う」




結城 護(ゆうき まもる)人間♂

二人の幼馴染がいる普通の学生、ゲーセンに行くのが好きでよく一人で行っている(家庭用のゲームも好き)
両親は二人の幼馴染の親とともに働いており、幼馴染の分も含めてご飯は彼が作っている
世界でも数少ない主夫検定特級の持ち主で、料理に関することはうるさい
『ミリタリーな彼女』のヒロイン(詩織)と主人公(甲)とは友人で、二人の仲を仲介したり逆に助けられたりした
野菜が好き


砂村 ぎん(さむら ぎん)サハギン

護の幼馴染の一人、種族の基本通りに無口ではあるが、身振り手振りで伝えたい事は伝える(クラスではその姿からマスコット的な存在になっている)
護のことが好きだけれども無口な事もありなかなか気持ちを伝えられない、何故かアイだけは普通に会話する人物
魚料理が好き、本人も知らなかったが実は歌やダンスの才能がある


鎌田 アイ(かまた あい)マンティス

護のもう一人の幼馴染、こちらも種族通り色んなことに興味がない、基本的には最低限のことしか口にしないがなぜかぎんとは普通の会話をする
護に関しては『昔からご飯を作ってくれる人』という認識
肉料理が好き
護と交わってからは、様々な本を読むようになり、三人の親の後を継ぐために陰ながら努力をしている

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