読切小説
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A5ハイオークさん胸肉の乳ズリ理性焼き

 ――がつん、と一際高い金属音が響くと同時に、肌色の塊が宙を飛んで土壁に貼り付けられる。
 ぐるぐる目を回してカエルめいて無様に伸びたそれは、人間が住む村々や町を脅かす凶暴な魔物娘のオークであり、――それがこの一人のみではあらず、洞窟内の至るところで気絶していた。
 年頃の娘がしてちゃいけないような格好やアホ面ばかりではあるが、しかし曲がりなりにもオークは魔物娘。十や二十では効かない数のオークを気絶させられる戦闘能力となると、只者ではないのは明らかだ。

 その渦中に立つもの、正しく大勢のオークを打ち倒した男は、金の髪を汗に濡らして洞窟の奥部を睨みつけていた。決して悪くない顔立ち、重厚な鎧、幅広の剣。そして魔物娘を相手に気絶までという手加減をした上で大立ち回りできるほどの腕前。
 その身に勇者の力はないが、研鑽あれば高みに近づける。それを体現したかのような威風だ。

「ヘッ、やるじゃあねーかァ! 見事なもんだな、アタシを引っ張り出すなんてよォ!」

 男が睨む洞窟の闇から、ぱちりぱちりと乾いた拍手をしながら、それは緩やかに姿を現した。
 高位の魔物娘である証の、透き通るような白い髪。片方をアイパッチで隠され、その代わりにぎらぎらと松明の火を跳ね返す、鋭い黄金の単瞳。闇に紛れ込むかのような、男好きのする柔らかい肉付きの肉体。特に豊かに主張するのは歩く度にぷるんぷるんと弾む爆乳だ。他にも目を引くのは、何頭もの魔界豚を仕留めたのだろうと察せられる、頭や肩や斧に装飾されたスカル・トロフィー。そしてなにより、その存在から発せられる圧倒的なまでの力強い魔力が、大気を震わせていた。
 男は思わず、三日月を描くように唇を歪める。

「お前がこいつらのリーダー……ハイオークだな」
「おうとも。そういうお前は、まあどうでもいいな。どうせアタシに負けちまうからなァ?」

 ざくり、ざくり、と両者の足が土床を踏んで互いに近づいていく。
 ゆっくりと、間合いを測るように。それはまるで、惹かれ合う男女の一時の逢瀬。

「待ち焦がれた。お前に会いたかったんだ」
「アタシもさ。ニンゲンってなぁ、こいつらが群れてるってなるとすーぐ逃げるからなァ。ずーっと……待ってたんだぜ? オマエみたいなやつをさ――」

 二人の距離はいまや二馬身。あと一歩踏み込めば互いの殺傷半径がぶつかる限界。
 そこで示し合わせたかのように立ち止まり、戦闘狂どもの睦言を奏でる。

「アタシが勝ったら、オマエは奴隷だ。アタシの望んだ時にチンポを立たせ、アタシの望んだ時に射精するだけの、惨めなチンポ奴隷になるのさ。嬉しいよなァ? セックスのためだけに生きて、セックスのためだけに眠って――そうしてアタシに媚びへつらう。待ち侘びたよ、ホントにさァ!」
「いいだろう。お前が俺に勝てば、俺は喜んでお前に跪いてやる」

 べろり、と舌で唇を湿らせるハイオーク。その全身が興奮に満ち、下着を蒸れさせる。彼女はいわゆる夢見る乙女であった。自分に相応しい戦いができる相手を見つけることが至上命題であり、そんな相手が出てくることを願って勝手に慕ってくるオークたちを指揮し、村や町に被害を加えて挑戦者を待ち受ける。ちょっと迷惑すぎる構ってちゃんであったのだ。
 それに対し、挑戦者たる男は――

「もしも俺がお前に勝ったら、結婚してくれ」
「ああ、わかっ――――ん、ぇえ?」
「人里は嫌だろうから、山奥にコテージを用意してある。どういう趣味なのかわかってないから、家具はまだベッドくらいしかないんだが」
「いや、ちょ、いやいやいやいや待て待て待て! え、結婚? アタシお嫁さん?」
「そうだが?」
「そうだがじゃないが!!」

 ハイオークは混乱している。
 それもそうだ。ハイオークだって、自分が今までやってきたことは知っている。山道で怪我した旅人を見つければ手当てをしてやって最寄りの村まで運び、食料庫から酒や肉を盗んだり。あるいは、迷子になった子どもを宥めすかしながらお家まで連れていって、夕食を頂いたり。直近でも、これだけ近隣の村を脅かしているのだ。彼の靴を舐めてでも助命を嘆願しなければいけないと思っていた。
 なのに、結婚だなんて――ハイオークの念願の、お嫁さんなんて。
 彼女の足を竦ませ、怖気づかせるには十分の言葉だった。

「そ、それじゃあ勝っても負けても一緒じゃねえか!? なに考えてんだ!?」
「一緒じゃない。どちらが強いかをはっきりさせるのは大事だ」
「それはそうかもだけど……」

 ハイオークはさらに混乱している。
 思い描くのは、もしもハイオークが負けてしまった場合。そんなことはありえなくて、オークたちを秒殺したからって言っても負けるとは限らないし、まあ万に一つくらいは負けるかもしれないけれど――その万に一つが起こってしまったら。
 それは彼より弱いということであり、野生の掟として、ハイオークは彼に服従を示さなければいけない。おチンポを眼前に出されれば最敬礼を払って先端から根本までを舌で清らに舐め拭わなければならないし、命令されればオナニーでもオシッコでも、どんな恥ずかしいことでも見せなければいけない――それに、それに、股を開けと言われれば絶対におマンコしないといけない。大勢のオークを率いるハイオークが、ニンゲンの言葉一つで子犬のように媚を売らなければいけない。それが負けた者の末路……。

「くっ……ふ、フン!アタシが勝てばオマエはアタシの奴隷だ!そこは変わんない!」
「ああ。尻の穴だって舐めてやる。むしろ舐めてやりたい」
「お、お尻なんて汚いだろッ!? アタシほら、ずっと水浴びできてなくてくさいし……」
「そんなことはない、とてもいい臭いがする。腋に鼻を突っ込んで深呼吸したいくらいだ」
「や、やぁっ……! そ、そんな恥ずかしいこと、させられないっ……」

 男の言葉で想像してしまい、自らのにおいを至近で嗅がれるその羞恥に今から身悶える。彼女が今まで悶々としてきた妄想の中でも、そういったことまでは思いつかなかったため、とてつもなく羞恥責めに弱いのだ。
 達人同士の戦いにおいて絶対的な隙――精神的な動揺は、ハイオークの致命的な急所。

「行くぞ」
「うぅ……っあ、アタシにはちゅーだけ――んぎゃーっ!?」

 瞬き一つの間に距離を詰めた男は、その剣の峰でハイオークの顔面をしこたまぶっ叩き、あえなくハイオークはノックアウトとなった。



――――――――――――



 次にハイオークが目を覚ますと、まず気づいたのは両手と両足をそれぞれ縄で拘束されていること。手首と足首を縛るだけの簡素なものだが、魔界製のものでも使っているのか、力を入れてもビクともしない。
 ひりひりする鼻頭は、幸いお嫁にいけなくなるようなツラを晒すことにはなっていないようだったが――知らない天井、知らない壁、自分を包むふかふかしたもの。掛け布団か。困惑する表情は可愛らしいものだった。
 そうしてハイオークは、すぐに傍らにあの男がいることを察する。

「ッ! てめッ――」
「目覚めたか。こんな殺風景なところで悪いな」
「え……」

 くしゃり、と男はハイオークの髪を撫で付ける。寝癖になっていた部分を直す、慈愛に満ちた手つき。ハイオークの背筋にぞわぞわとした得体の知れないものが走り、もじ、と無意識に股をすり合わせる。
 直にハイオークは約束のことを思い出し――「ん?」と柔らかく愛おしそうに微笑む、目と鼻の先ほどにある男の顔に気づいて、みるみるうちに顔が紅潮していく。
 共にベッドに寝転んでいる、という事実。それから遡って、今の今まで寝顔を見られていたのだろうという想像。それから男の体温、オスの匂い、たくましい体、優しい手――

「照れ顔も可愛いじゃないか。勇ましくしてるよりこっちの方がいいな」
「――ッ! ぅ、るっせ! つ、つーか、ヒキョウだろ! アタシはまだ負けてねェから!」

 ばたばたともがくも、拘束されているせいで抵抗に結びつかない。
 そのまま為す術もなく、ハイオークの肩を抱き込むように男の腕が回され、鼻と鼻が擦り合うほどに距離が狭まる。
 途端にびくっとハイオークの身体が生娘のごとく緊張する。いや、生娘そのものではあるが。

「勝負は勝負だ。勝ったのは俺で、約束通り――」
「ん、んぅッ!?」

 振り払うこともできず、二人の唇がぴっとり重なる。
 乱暴にするでもなく、ただ重ねるだけ。初な恋人同士のそれは、事実として二人の関係性の薄さでもあり――けれど男から込められた熱量は、さながらマリッジ・キスで。
 十秒、二十秒と経っていくごとに、ハイオークの全身がしなしなと女を自覚して脱力される。ハイオークは敗北者なのだ、と――オスに手篭めにされるメスなのだ、と本能が肉体をオスに明け渡していく被虐的な感覚。反抗的な態度が心のみに追いやられ、金色の美しい瞳が色に濡れた。
 ようやく唇が離れると、ハイオークは「はーっ♥ はーっ♥」と荒い息を漏らし、とろぉんっ♥ と眦を垂れ下げさせて、男に身体を縋りつかせることしかできなくなっていた。全身を熱い劣情が焦がす。

「――俺の嫁さんになってもらう。いいな」
「……いっ、いいわけっ、あるかよぉ……♥ アタシは、負けてないっ……♥」

 ぎっと男を睨みつけている目も、オスに媚びた涙で濡らしていればか弱い娘でしかない。それを認めず力を振り絞ろうとしても、既に敗北を認めた肉体は言うことを聞かず、ただオスの子種を欲している下腹部ばかりがきゅんきゅんと望まぬ応答を返す始末。
 男はハイオークのへこたれない言葉に苦笑を漏らし、それなら、とハイオークを後ろから抱き締めるように体勢を入れ替えた。横向きにリの字に寝っ転がり、肌と肌が密着し、互いの体温がにわかに混ざり始める。

「なっ、ばかっ、ッ♥ は、はなせっ……♥」

 男は聞く耳を持たず、ハイオークを包み込む。すんすん、と鼻を鳴らし、ハイオークの頭皮から発散された甘酸っぱいメス蒸気がゆっくりと男の鼻孔に染み込んでいく。汗とメスのフェロモンと、それからハイオークがハイオークである所以の匂い。オークを従わせる独特の体臭。
 よくも知らない男に嗅がれている――抵抗もできずに後ろから至近距離で、耳元で呼吸音が聞こえるくらいの密着具合で、体臭を嗅がれているのだ。ハイオークの肩がぞわぞわと震え、再度子宮が疼く。
 ヘンタイだ。このニンゲンはとびきりのヘンタイだ。そう思って男を嫌悪しようとしても、身体はますます欲望に汗ばんでいく。なにかが足りない切なさが下腹部からどんどんと登って、ハイオーク自身がはっきりと感じ取れるくらいに乳首がぴんぴんと張り詰めてしまう。

「ふー……すごくいい臭いだ。ずっと嗅いでいたくなる」
「ッ♥ す、すきにしろよッ……♥ 今度はアタシが、油断したオマエをぶちのめすんだからなッ……♥」
「そりゃ怖い。まあ、このままじゃ俺も地獄だ。このメス臭がめちゃくちゃチンポに効いて我慢できなくなってきてる」
「ち、チンッ――♥♥」

 ごり、とハイオークのよく脂肪のついた尻肉にひどくカタいものが押し当てられた。そのものが特有の熱を放って、じりじりとハイオークの湿った情欲を炙り立てる。ハイオークは唾を飲む――彼女もますます収まりが効かなくなってきて、むっちりとした前人未到の秘所からこんこんと粘液が溢れて止まない。
 むずがるようにハイオークは身を捩るが、男からすれば、それは尻肉で一時の慰めを剛直に与えているに過ぎず、ハイオークもこれは無意識でオスに媚を売っているだけだった。
 チンポが埋もれてしまうような尻肉。オスをもてなすために蓄えられた霜降りの媚肉だ。もちろん尻だけではない――胸、モモ、ロースだって豚足だって、ただのだらしない肉ではなくオスを柔らかく迎え入れるためのクッションとして育ってきた。これがハイオークという種族の特徴。
 たまらず男は下穿きまで脱ぎ捨てると、汗と愛液で滑るハイオークの内股に挟み込ませ、もっちりとしたハイオーク特有の太もも肉布団にチンポを寝かせる。

「ひぁッ♥ カタい、アツいぃっ……♥」
「く、おッ……なんだこれ、心地よすぎるッ」
「知らねェよぉっ♥」

 竿の根本では尻肉が湿った暖かさでキンタマ内の精子工場を応援し、モモ肉はみっちりと隙間なく竿をハンバーガーみたいに挟み込んでじわじわと射精欲求を高ぶらせ、発情したハイオークのメス体温が安眠熟睡用の肉抱き枕となって男の心が安らいでしまう。
 男は思わずハイオークを強く抱きしめて、むき出しで慎みの足りない腹肉に片手を沈み込ませる。もう片手は豚バラの上にまるまる実った二つの胸肉の、その谷間を埋めるように。

「癒されるッ……! 全身柔らかすぎだろ……ッ」
「だ、だから知らねェってぇ……っ♥ ちょ、おなか、つまむなよぉ……っ♥」

 思いのままにがっちりと抱き締められて、体臭を吸われ、股をチンポ置き場にされ、腹を無遠慮に揉まれ、デカくて柔らかい爆乳をお手玉のように弄ばれ――嫌なのに、嫌であるはずなのに、敗北した相手だからという理由だけでハイオークの身体はどうしようもなくすべての刺激に発情させられる。
 今やハイオークの処女肉穴は否定が到底不可能なほどに肉汁をどろどろと垂らし、オスに征服される瞬間を今か今かと待ち侘びていた。

(クソッ……好き放題しやがって……っ♥ だ、だがよ、所詮オスなんてのはマンコに勝てねェんだ! それにアタシはハイオークだぞ! 上位魔物娘のマンコにオスが勝てるわけねェッ! マンコに挿入れた時がこいつの最後だ……逆転してやる……ッ!)

 気丈にも、虎視眈々と反撃の機会を伺うハイオーク。不意打ちで負けた、というのは、普段より卑怯な戦法で勝ってきたハイオークにとって一番の屈辱。認めたくはなかった。あるいは、往生際の悪さというのがオークそのものの本質なのかもしれない。
 ふにふにとしたミルフィーユのような腹肉を手で貪られても、スイカ並みに肥大したミルクタンクを絞られても、それらによって全身がオスに屈服しつつあっても、心だけは負けを認めない。
 ハイオークのなけなしのプライドだった。

「……俺だけ楽しむのも悪いな。これじゃそっちは気持ちよくないだろうし」
「や、べつに……てか、悪いッて思ってんなら、さっさと離れろよぉ……っ♥ い、いつまで、チンポっ……♥ ずりずりしてんだよ……♥」
「確かにな。先に軽く一発ヌいてもらうか」

 言葉に反して甘ったるい猫なで声しか出ないハイオークだったが、やけにあっさりと男の身体がハイオークから離れていく。それどころか、彼女の腋に腕を差し込んでベッドに座り直させまでする。
 さっきまで横向きに寝ていたために、拘束されていた腕が少しばかりキツかったが、これなら全身が楽だ。ハイオークはようやくほっと一息ついて、

「ほら」
「――――ぇ、あ……?」

 ぴとり、とアイパッチ側の頬になにかカタくてアツいものが押し当てられる。
 鼻から息を吸い込めば、饐えた臭いが肺を侵食していき、メスの身体を歓喜させていく。ずっと欲しかったモノ。待ち遠しい夜を過ごしてきたのに手に入れられなかったモノ。びくり、びくり、と脈打ち、そのたびにハイオークの頬肉が波打つ。
 視認ができずとも即座にわかる。魔物娘の本能が快哉を叫ぶ。ハイオークの敏感な嗅覚を遮るものはなく、理性を更に融解させてくる。トドメを刺すように。

 ――チンポ……? アタシ、今、チンポをほっぺに押し付けられてる……ッ!?

 身体が竦む。両手両足にぎゅっと力が込められて、だけど拘束は頑丈に抵抗を拒む。ハイオークの頭は男の手に抑えつけられ、欲望に滾った剛直に頬ずりすることくらいしか身動きできない。

「うぁ、あッ……♥ や、ば……♥ ぁたま、シビれるっ……♥」

 彼女の目はますますとろけ、頬もだらしがなく緩む。鼻孔をいっぱいに広げて、必死にすんすんっ♥ と臭いを嗅いで、その度にジーンと脳髄が焼け焦げる感覚に浸る。性欲という炎にどんどん薪が投下され、薪の一つ一つがばちばちと爆ぜて燃え広がってしまう。
 マーキングされていく――ハイオークという誇りの証である彼女固有の体臭を、彼のチンポの饐えた臭いで上書きされていく。あまりの臭いに口がぽかりと開き、よだれがこぼれ落ちる。果実めいた瑞々しい唇が、くさくてどろどろな子種を飲みたがっていた。

「ああ……そういえば、このアイパッチって暗闇で目を慣れさせるためのやつだろ。外すな」
「あ、うん、いいけどッ――――わ、あ、ぁ……ッ♥♥」
「おお。両目見えてるとやっぱ違うな。すっげかわいい」

 取り除かれた片目隠し。そのために僅かに身体が離れ、しかしそのせいで、今度は鼻先に槍の柄が突きつけられる。両目で、しっかりとそのスケールを脳に刻み込まさせられる。
 太く長い、幾筋もの動脈が蛇のようにのたくった肉幹。傲慢に傘を広げる、赤く充血して膨らんだ亀頭。ハイオークは寡聞にして知らなかったが、それでもこれほど大きいとは思っていなかった。三本指では済まない円周の、女殺しの一物。並の男性器では太刀打ちできぬ、かっこいいおちんちん様。
 ――瞬間、ハイオークは悟る。

(アタシ、チンポに勝てないんじゃ……ッ♥♥)

 こうなるともうダメだった。爪ほどのサイズのプライドすらもたちまち掻き消えて、思考はすべてオスに媚びを売ることに全力。イノシシのような紐尻尾が犬みたいにぶんぶんと振られる。その姿に誇りは微塵もない。
 屈服してしまった、という感慨さえ起こらない。心の何処かでは既に敗北を認めていたからこそ、チンポを気持ちよくさせるためだけの存在に自ら貶めることを一切厭わない。求めるのはただ一つ――精液。

「こうして見ると、口でシてもらおうかと思ったけど――やっぱおっぱい使ってもらわないとな」
「うひっ、あ♥ お、おっぱいって、どうやって……ッ!?」

 ハイオークの上半身を両膝で挟んで縫いとめ、チンポが顔の下に降りる。そこにあるのは、むにゅむにゅとハイオークの腕に持ち上げられて豊かに存在を強調させる胸肉。つんと上向いた色の薄いピンク乳首は先程から張り詰めてジンジンと疼きを放っており、ハイオークの発情に一役買っていた。
 垂れの少ない、ハリのある胸。汗がぽたりと垂れれば、その山肌に沿って弧を描くように滴らせる。あいにくとまだミルクは出ない乳だが、この先執拗に乳首を吸っていれば、子どもを身籠っていない内でもミルクが出るようになるだろう。魔物娘は番と認めた男性の望むように肉体を変化させるのだから。
 とはいえ、今からでもミルクを絞ることはできる。文字通り、この胸を使って。

「パイズリだ。このおっぱいを無視するなんて失礼千万すぎるからな」
「と、とっくに失礼だろうがよぉッ♥ ち、チンポ、近づけんなッ……♥♥」

 男は迷う。縦パイズリかノーマルパイズリか、下乳ズリもいいかもしれなかった。
 なにせ、この乳肉は極上。少し乳首を爪弾くだけでもたゆんと揺れ、「くひっ♥」と敏感に快楽に喘ぐのだ。先程のモモ肉サンドイッチでも実感したが、彼女の肉質はとても柔らかい。人をダメにする魔力を持った柔らかさ。そんなものを扱うのだから、どんなパイズリでも心地よく射精できるに違いなかった。

「まあ、どうせなら乳内射精(ちちだし)したいし……そのまま腕でおっぱい持ち上げててくれよ……ッ」
「うぇ、ちょぉっ♥ わ、谷間に、入ってきてるぅ……♥」

 結局縦パイズリすることにした。
 くっついた二つの脂肪の合間、汗が滲む灼熱の深いクレバスを、恐る恐る肉槍の穂先でこじ開けていく。潤滑は少ないが、その分しっとりとした褐色の軟肌が密接に吸着し、この時点でもかなりの快感が亀頭から脳髄へビリビリと響かせる。色素の薄い乳首がぷるんと震える――ハイオークの吐息が荒く漏れ、視線はパイズリを開始しつつあるチンポを凝視して、身体を被虐感に揺らす。
 ぐりぐりとチンポが少しずつ分け入っていくごとに、二つの乳が渦のように真ん中へ引っ張られ、緩やかに形を歪ませる。相当な弾力性だ。それに、潤滑油がかけらもないというのに、チンポにも乳にも痛みはない。魔物娘の魔力には性交での触れ合いで互いを傷つけないようにする働きがあるためだ――つまり、ハイオークはこれを無意識下に交わりだと認識していた。

「く、おッ……悪い、我慢できん……ッ」
「……ッ♥ か、勝手にしろよッ……♥」

 男が漏らした声に、ハイオークはその顔を仰ぎ見て、きゅん、と胸を高鳴らせた。
 気持ちよさそうな顔。だらしのない、本当に心地よさそうな表情。自分の身体を今から使おうとしている時点で、もうあれだけ気持ちよくなってくれている――嬉しい、すごく嬉しい。
 もはやハイオークの身体全ては自分よりも強いオスを気持ちよくさせるための道具でしかない。実際に男がどう求めてくるにしても、ハイオーク自身はそう思い込む。そんなようだから、男が気持ちよさそうな表情をすればするだけ、ハイオークの心は子どもじみた達成感に満たされていく。
 男の手が、乳を支えるハイオークの腕をがっしりと掴んで、パイズリホールとしてロックする。動けない穴にされている実感に、ハイオークの被虐快感が増幅してしまう。
 男は腰に力を入れ、

 ――ぱゆんっ!

「きゃ……ッッ♥♥」
「うおぉ、ッ! ッんだこれ、まるきりマンコになってる……ッ」

 チンポをすべて、乳穴に埋もれさせた。全方位みっちりと柔肉の暴力がチンポを隙間なく包み込み、卑猥に歪んだ褐色爆乳が視覚でも愉しませてくれる。腰が蕩けそうなほどの、天国そのものな挿入感。ともすればメス膣よりも男を絞り上げる器官なのではないか――そんな馬鹿なことを考えずにはいられなかった。
 ハイオークとて、自らの乳に挟み込まれた凶悪な武器を意識せずにはいられない。どくん、どくん、と鼓動を刻み、鍛冶中の鉄めいた硬直さと熱量が、ハイオークの心臓に矛先を向けている事実。そこでようやく、どきどき、と興奮に脈が早まっていることをハイオーク自身も自覚する。意識している――意識させられているのか。

 ――これ、アタシの腕を動かしてコスったら、どうなるんだろ……♥♥

 性処理道具ゆえの献身か、それとも単なる好奇心か。とにかく思いついてしまったからには即座に実行に移す。互い違いに両腕を上下させて、鍵を回すように。

「ぐお、ヤバっ……! カリに擦れて精液絞りにきてやがるッ……」
「き、気持ちいいか……?♥ へへ、なんか、悪くないかも……♥」

 男は尻に力を入れて奥歯を噛んだ。そうしなければ今にも射精しそうだったからだ。
 ぐりゅり、ぐりゅり、と上下に乳が入れ替わる度に強い動摩擦がチンポの神経を嫐って、ピストン運動でなくとも射精はできるのだということを残酷に男に突きつける。ハイオークの身体から出た汗が胸の運動によって飛び散り、むわぁ♥ と室内を熱気で覆い尽くしていく。
 正直、今すぐにでも射精したい――だが男としては、せっかくこんな最高のパイズリを味わってるんだし、もっと堪能しなければ勿体無いとも思う。パイズリとはこれだけが全てではないのだから。

「痛かったら悪い……!」
「えっ? わっ、わわっ……♥♥」

 おっぱいをホールドして、男はゆっくりと腰を使ってパイズリセックスを開始する。
 ぐぐぐ、とパンパンに張ったカリで両乳肉を引っ張るように腰を引き、ブレストバレーの間から亀頭までが見えてくると、また乳奥までチンポを突き刺していく。そのとんでもない快感は筆舌に尽くしがたい。
 引くときには、包皮と乳肌がもつれてむにんむにんと肉幹で交通渋滞を巻き起こし、チンポを名残惜しく呼び止めるかのよう。海綿体に血液を送るための血管すら潰さないような魔力によるしっとりした纏わりつきこそが、男の精液をねだり媚びる魔物娘の性分の発露。
 また乳谷に押し込む際には、高反発によってぎゅうっと強すぎず弱すぎず程よい乳圧を享受させられ、進む度にずりゅんと胸摩擦係数の高い脂肪が膣にも似て竿をシゴいてくる。こうやって擦ればチンポは精液をびゅーびゅー出すのだ、と細胞の一つ一つにきっちり教え込まれているのではないだろうか。
 もしそうだとしたら、ありえざるほど高い教育水準だと言わざるをえない。男のキンタマがせり上がり、もはや射精までは秒読み。それでも限界まで我慢し続けてこのおっぱいマンコを堪能したい、と浅ましい欲望によって腰が突き動かされる。

「で、射精そう、か……?♥ え、遠慮しなくていいからよ……いつでも、乳内射精(なかだし)しちまって、いいから……♥」
「もう、ヤバいッ……! 孕ませる、乳まんこ孕ませるッ……!」

 ――ぱゆんっ、ぱゆんっ、ぱゆんっ!

 ラストスパートをかけて腰の動きが加速し、男の腰とハイオークの乳がぶつかり合う湿気った炸裂音がコテージ内に反響する。彼女の乳首が男の肌と拍手を奏でるごとにビリビリッと雷のような快楽がハイオークの脳を痺れさせ、「んひっ♥ はぅッ♥」とらしくもない少女のような喘ぎ声が溢れてしまう。胸をスパンキングされてると同じなのに気持ちよくなっちゃってる――ハイオークは改めて自己の被虐性感に目を潤ませた。
 射精前兆によって更に肥大し膨張した肉厚の亀頭が乳崖を耕し、とぷとぷ溢れる先走り汁が下胸肉に流れて汗と混ざり雫をぴちょりぴちょりとこぼす。疼きっぱなしのハイオークの内股はびちょびちょで、汗と合わさって褐色の肌をてらてらと嬌艶に輝かせる。シーツは二人分の汗と愛液と先走りで既にひどく湿っていた。今からそれに精液が加わるだろう。
 男の膝ががくがくと震え、最後に一際強く、乳奥に鈴口を密着させる。

「パイズリ最高ッ、でるぞでるぞッ――――ぐぅぅッ!!」
「ひぁッ♥ す、っごぉ……ッ♥♥ アツいぃ……ッッ♥♥」

 乳谷を制圧するチンポがどぐんっ、どぐんっ、と力強く脈動し、バラ肉に精液を叩きつける。心臓よりも熱を持つ子種汁が汗塗れの褐色谷間を見る見るうちに白濁に塗り替え始め、だというのにひどい粘性のゼリーのためか、胸間から精液がこぼれ落ちることはない。
 男の脳みそが凄まじい射精快楽にばちばちと火花を飛ばす――魔物娘のハイオークを屈服させて道具のように扱っている征服感、たわわに育ったキログラム級胸肉でのパイズリセックス、その褐色の肌にオスの浅ましい白濁色でリペイントする背徳感。
 あまつさえ、――ハイオークはオスの射精に目を輝かせているのだ。汚い欲望を、嬉しそうに見つめて。

「まだでるッ、ぉぉぉ……ッ! 死にそうッ……!」
「や、死なねーと思うけど……♥ でも、ど、どんだけ、射精すんだよぉ……♥♥」

 男は眉を歪め、悩ましげな表情で、貯めに貯めた特別濃厚なキンタマ液をびゅぐっびゅぐっと放出し続ける。ハイオークが見上げるその顔は本当に気持ちよさそうで、とてつもなく幸せそうで、彼女も思わず嬉しさから破顔を抑えられない。
 それにこの、乳肉を埋め尽くすような射精量。自分よりも強いオスの、両手で掬い切れなさそうな子種――それから香るひどくくさい臭い。メスのレゾンデートルを思い知らせるかのような、強すぎる主張。恍惚に彼女の背筋が震えてしまう。

 ――ま、マジに、乳まんこで孕んじまいそうなんだけどぉ……♥

 彼女の金色目がへにゃりと緩み、乳種付けにうっとり浸る。褐色肌にこびりつく精液が愛おしくて、美味しそうで――これを子宮に受けてしまったら、なんて。
 ……二分か三分か、それぐらいの長時間をたっぷり射精し、ようやく脈動が弱まる。ハイオークの谷間上部はごぽごぽと空気を含んだ精液で淫らにコーティングされ、揮発したにおい成分がハイオークの体臭と混じり合う。さながら一晩中交わり続けたあとのように。

 ――ぱゆんっ……

「尿道の中身全部出し切るからな……ッ。はぁぁあ、めっちゃ気持ちいいッ……」
「あ、うぅ……っ♥♥ そんな、しみじみ言うなぁ……ッ♥」

 にっちょり、と乳と腰の間に白濁の橋がかかる。それを厭うこともなく、緩やかなピストンで精液を全部出し切ろうとする男に、ハイオークの子種欲しがりなメス心が喜ぶ。
 ようやくハイオークの乳が解放された頃には、爆乳の間で蜘蛛の巣が張ってるみたいな有様だった。いくらかの精液は、最後の尿道絞りで乳自体にこびりついてしまっていそうだ。魔物娘なら身体中の至る部分から精液を吸収できるとはいえ、ザーメンスメルを拭い去れるわけではない。

 ――ま、マーキングされたっ……♥ オス精液、おっぱいに種付けされちまったぁ……♥♥

 待ち望んでいた。ハイオークは、これこそを待ち望んでいたんだろう。
 弱いオスなんかには興味がなかった。他のハイオークは男の子や弱っちい兵士を負かせてさっさと子作りしていたけれど――彼女は彼女を負かせて好き放題に扱ってくれるオスこそを欲していた。

「はぁーッ……すっげぇ出た……うわ、ぐっちょぐちょ。ごめんな……」
「ぇ、や、いいって、謝んなくて……♥ つーかぐちょぐちょなのはオマエもだしさ……♥♥」

 賢者タイムからか、男は罪悪感に苛まれる。そりゃ結婚してくれと迫った相手をこんな汚してしまえばやっちまった感しかないだろう。彼女は男のそんな様子にも(優しいんだなァ……♥)とベタ惚れだが。
 ハイオークは男の言葉から、ぐちょぐちょになるのは嫌なことなんだろうな、と想像する。彼女自身はそう思わないにしても、男のほうはそうなんだろう、ということ。
 だから――ハイオークはしずしずと男の腰に顔を近づけ、れろ、と舌で精液を舐めとっていく。

「うおッ……!? ちょ……」
「うーごくなって……♥ アタシがキレイにしてやるんだからな……♥」

 やべえちんちん噛みちぎられる、とビビる男にハイオークはどこ吹く風。ベッドに縛られた両手をついて、正座して――金に光る目をつぶって、白いまつげを男に覗かせながら、ぷりぷりと柔らかな唇粘膜がチンポにキスを落として、ちゅるちゅると精液ゼリーを啜る。
 男のチンポは大きすぎて全部はとても口に含めないな、と判断したからこその、チンポへの服従を誓うようなキスの雨。目を瞑っているのは、味覚を犯す精子の味わいを視覚に遮られることなく咀嚼するため。チンポが目の前にあったらそればかり見てしまうのは仕方ないことだ。目前の精液の位置くらいは魔物娘特有のすごい第六感でなんとなくわかるし。
 鈴口、亀頭、カリ、裏筋、肉幹、根本――まんべんなく唇や舌で精液を掬い取り、清めていく。

「んふっ、へへっ……♥ ごちそうさまでした、ってな♥」

 指で自らの頬や顎や鼻についた精液も掬い味わって、ハイオークの食事は終了する。
 ――かに思われたが。

「……そんなの見せられて、ごちそうさまでしたで終わるわけないだろ」
「うぉ、まだまだやる気じゃねーかよ……っ♥♥ えへ、えへへ……っ♥♥」

 次はどう料理してやろうか――男を前に座り込んで媚びを売るハイオークは、どこを食べても最高級のA5豚肉に違いない。




 このあとめちゃくちゃ子分のオークが押し寄せてきた。
18/01/18 18:08更新 / 鍵山白煙

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