読切小説
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悪代官と山吹色のお菓子
「お代官様……その節はありがとうございました」
「なぁに、大したことではない」
ここはジパングのとある屋敷……
そこで二人の男が密談をしていた。
代官の両岡 伸衛門と商人の伊智後屋である。
「それよりいつものアレ、用意しておろうの?」
「分かっております、分かっておりますとも」
伸衛門の言葉に伊智後屋は片脇に置いていた、紫色の包みを伸衛門に渡す。
「お代官様のお好きな……山吹色のお菓子にございまする」
「おうおう、いつもすまんのう。わしはこの甘いお菓子に目がなくてのう」
「ささ、おあらためください」
伊智後屋に促されて伸衛門は包みを開く。
包まれていた桐箱を開くと、繊細な最中が並んでいる。
だが、その並べられている最中の箱の底を開くと……
中にはおびただしい量の小判が詰まっていた。
「お代官様、例の件なのですが……引き続き、伊智後屋をお引き立てくださいますよう、よろしくお願いしまする」
「分かっておるわい、わしに任せておくがいい」
そう、この代官、両岡 伸衛門は伊智後屋から賄賂を受け取りその分、伊智後屋に便宜を取り計らうという、いわば悪代官であった。
もともとは真面目な武士であったのだが、家のために金が入用になってから不正を働き始め、自身の欲望や伊智後屋との縁が切れないこともあり、今もなおずるずると不正を働き続けている。
「ありがとうございまする。ただお代官様……今宵、私がここに参りましたのは他の件もございまして……少々、お耳を拝借……」
伊智後屋は代官の耳に口を寄せ、何事か囁いた。
「……このことに関して、便宜を図っていただけないでしょうか?」
「むぅ、そのくらいは構わんが……」
逆接で終わる伸衛門の言葉。
その言葉に伊智後屋はにんまりと笑う。
「その分、今宵は代官様にいつも以上にお菓子を用意させていただきました」
「心得ておるではないか。お主も悪よのう」
「お代官様ほどではございませぬ」
二人は顔を見合わせてくくくと笑う。
「さて、今宵のお菓子は特別にございまする……これこれ!」
伊智後屋が手を叩いて呼ぶと、彼の丁稚が二人、大きな箱を抱えて入ってきた。
抱えている箱は千両箱などより幾回りも大きい。
その大きさに伸衛門はかすかに顔をしかめた。
「伊智後屋、少々大きすぎるのではないか?」
「あい、すみませぬ。しかし中身はきっとお代官様も気に入っていただけるもので……へへへ。失礼つかまつります」
伊智後屋は箱を縛っていた縄を解き、蓋を開けた。
そして手で伸衛門に中身を見るように促す。
怪訝な顔のまま箱の中をのぞき込んだ伸衛門だが、その目が驚愕に見開かれた。
「い、い、伊智後屋!? これは一体……!?」
「へへへ……いかがですか? 素晴らしい『山吹色のお菓子』でございましょう?」
代官が驚愕した『山吹色のお菓子』。
それは……子どもの稲荷であった。
箱の底でうずくまって眠っているその稲荷は、歳は十も行っていないように見える。
その稲荷を伊智後屋は軽く叩いて起こした。
「これこれ、代官様の前ぞ。起きて挨拶をせぬか」
「ん〜……むにゅむにゅ……」
稲荷は眠たそうに目を擦りながら身を起し、箱から顔を出した。
「りんともうします……よろしくおねがいします……」
ぺこりと伸衛門に頭を下げる。
口調はやや間延びしており、目もとろんとしていて眠たそうだった。
「わ、わしはこの国の代官、両岡 伸衛門じゃ」
伊智後屋の貢物の内容に衝撃をまだ拭いきれていなかった代官の声はやや上ずっていた。
「眠いじゃろう? 今は休むがいい」
「ふぁい……」
やや呂律の回っていない口調で稲荷は一言返事をし、そのままゆっくりと崩れ落ちるようにしてうずくまり、再び寝息を立て出した。
今は子の刻(ねのこく:深夜0時)だから、仕方がないと言える。
「お優しゅうございますな、代官様」
「……伊智後屋、お主……あの稲荷をいかがして手に入れたのじゃ?」
確かに山吹色じゃがとつぶやき、眉をひそめて伸衛門は訊ねる。
にこにこと笑いながら伊智後屋は答えた。
「何もやましいことはしておりませぬ。親を亡くして街をふらふらしていたところを拾っただけにございまする。手前の嫁も刑部狸でして、同じ魔物娘を放っておくことはできず……」
ちなみに名前はこのように書きまする、と伊智後屋は示す。
「倫」と言うらしい。
「しかし狐と狸はあまり仲がよろしいものじゃないようで、手前のところで育てるよりはお代官様のところでと……」
「それで拾ったものをわしに押し付けるのか?」
「拾ったものと言えばそうなのですが、そこらへんの猫などとは違いまする。なんと言っても稲荷ですぞ。それもまだ幼き者……お代官様好みの女子に育て上げることができまする」
伊智後屋の言葉を半ば聞き流しながら、伸衛門は考える。
彼には幼女嗜好もないし、お倫を引き取ったところで利益はあまりない。
だが今、このお倫を伊智後屋に突き返すというのも、今後の伊智後屋との関係のためにもお倫のためにも、賢い手段とは思えない。
『わしにも息子たちや娘たちがおった』
ふと伸衛門は考える。
『今はもう皆巣立ち、妻も他界し、わしは独り身……この稲荷を引き取るというのも、まぁ悪い話ではあるまい』
しばらく考えた後に伸衛門はそう結論を出し、頷いた。
「良かろう。お主のこの菓子、ありがたく頂戴しよう。そして例の件も取り計らってやる」
「ありがとうございまする、お代官様。今後とも何卒、この伊智後屋をよろしくお頼み申し上げまする」
伊智後屋は手もみをして挨拶し、伸衛門は軽く頷いた。
こうしてその夜の密談は終わったのだった。





翌朝……伸衛門は朝食を食べようとしていた。
彼の目の前には朝食が乗っている膳が、その右手前にはもう一人分、朝食の膳が置かれていた。
お倫の分である。
二人は揃って手を合せ、いただきますと言ってから朝食を食べ始めた。
「……美味いか?」
無言で頷く倫に伸衛門は、やはりか……と頭を掻く。
少し前、倫を起こしに行ったとき、倫はやや伸衛門に怯えた様子であった。
その様子に伸衛門は倫が心を自分に開いてくれるのに時間がかかることを覚悟したが、その通りのようだ。
自分にも子どもがいたことがある伸衛門は、稲荷の少女が暗い表情でいるのは耐えられなかった。
『しばらくは……自宅で仕事をすることになるな……』
油揚げを入れた味噌汁をすすりながら、伸衛門はより一層、覚悟を決めるのであった。





稲荷の倫が来てからひと月近く経った。
この頃には倫も伸衛門に慣れてきていた。
いや、慣れているどころかいつも「のぶえもんさま、のぶえもんさま」とくっついたりジャレ付いたりする有様だ。
伸衛門が書机で書物の仕事をしている時も、後ろに静かに座ってその様子を見ていたり、あるいは伸衛門の背中に寄りかかったまま居眠りをしたりしている。
伸衛門も彼女を娘のように扱い、時間があれば倫と共に遊んだりお菓子を食べたり、また風呂に一緒に入ることもあった。
養父と養女……今の二人の関係を現すのに、その言葉が合うだろう。
二人は仲良く、穏やかに日々を過ごしていた。



ある日のことだ。
倫が街の様子を伸衛門と一緒に見て回りたいとねだった。
そう言えばこのひと月、倫は庭で遊ぶことはあっても屋敷の外に出たことがなかったなと思った伸衛門はその希望に答えた。
「すごい! たくさんひとがいるんですね!」
大通りにやってきた倫が目を見張って言う。
手は伸衛門の手をしっかりと握っている。
はぐれないようにするために手をつないでいるのだ。
その様子は仲の良い親娘……と言うより、この時代結婚するのが早かったことを考えると、祖父と孫娘くらいに見えなくもない。
「あ……!」
倫が何かに気を引かれたようで、伸衛門の手を引っ張って走ろうとする。
引っ張られるがまま伸衛門がついていくと、二人はとある橋にたどり着いた。
「……りんはもじがよめないですけど、のぶえもんさまのやしきでよくみるもじです」
倫は橋名板を指す。
そこには「両岡橋」と記されていた。
「ああ、これはわしの苗字じゃな。この橋が造られるとき、わしが監督したのじゃ」
悪代官な両岡 伸衛門であるが、表向きは真面目な代官である。
そうでもないと家老や主の目を欺くことができない。
この橋は十数年も前、家老に頼まれて建設した橋だ。
「ふぅん……やっぱりのぶえもんさまはりっぱです!」
「立派? わしがか?」
意外な言葉に伸衛門は目を丸くする。
殿や家老からは「ご苦労」「大義であった」と言われることはあっても、「立派」と言われることはなかった。
自分に取り入るためにゴマをする伊智後屋も「立派」と代官を言うことはない。
それだけに伸衛門は、倫の言葉に嬉しく、照れくさかった。
しかし、それと同時に苦しく、恥ずかしくもあった。
実際のところ、自分は伊智後屋と不正を働く悪代官。
この橋も橋自体はまともに造ったが、人足や材料などは全て伊智後屋が有利になるように計らい、彼から賄賂をもらっていたのだ。
自分が武士として、代官として、立派とは程遠い存在であることを自覚しているだけに、伸衛門は倫の言葉に心を抉られるような思いだった。
「のぶえもんさま?」
倫に声をかけられて伸衛門は我に返った。
「ああ、すまなかった。さて、もう少ししたら暮六つ(くれむつ:午後6時)だ。帰ろうか?」
「はい!」
握った代官の手に頬擦りしながら倫は答える。
その仕草もやはり、嬉しくも心苦しいものだった。





その夜……
「のぶえもんさま……こよいはいっしょにねてくださいますか?」
寝巻きに着替えた倫が首を傾げて伸衛門にねだる。
「なんだ、今日はずいぶん甘えるではないか」
「そんなきぶんなのでございます」
まぁ、そのような事もあるだろうと伸衛門は頷いた。
それに倫は幼くして親を失った身。
時にはこのように甘えたいのかもしれない。
「分かった。もう少しでこの仕事が終わる故、しばし待っておれ」
実際はもう少し仕事が残っているが、倫が寝ついたところで再開すればいい。
言葉の通り伸衛門は手早く残りの仕事を終わらせる。
そして伸衛門は寝巻きに着替えて倫の部屋に向かった。
倫は布団の上で正座をして待っていた。
「何もそこまでせずとも……さ、寝るか」
「はい」
伸衛門が布団に潜り込むと、倫も布団に潜り込み、そのまま伸衛門の懐にしがみついてきた。
「おうおう、随分やんちゃじゃな」
「いけませぬか?」
「別に構わんが……」
倫はえへへと子どもらしく笑い、伸衛門の胸に顔を埋める。
『まったく、子どものようなやつじゃな。いや、子どもなのじゃが……』
急にしがみついてきたので伸衛門は少々驚いたが、仕方がないことだと思う。
『そう言えば昔、子どもたちを寝かしつけるためにこのようなこともしたな……』
昔、自分の子どもたちにしたことを思い出しながら、そのときと同じように倫の背中を軽く叩いてやる。
むにゅう……と伸衛門の腕の中で倫は甘えた声を漏らした。
「のぶえもんさまはやっぱりやさしくてりっぱです」
「わしは……立派でもなんでもないわ……」
倫の言葉に、伊智後屋との数々の不正の件が心のうちに蘇り、伸衛門は顔をしかめる。
しかし、倫は態度を崩さない。
「いいえ、のぶえもんさまはとてもすてきなかたです。のぶえもんさまいじょうのとのかたがいるとはおもえませぬ」
「いや、それは……」
それはただ単に倫がまだ幼く、他の者を見ていないだけ……そう言おうとしたが、思わず伸衛門は口を噤んだ。
倫の目は真剣そのもので、止めようがないほどの決意に溢れている。
さらに身体からは魔物娘ならではの魔力が漂っていた。
特に獣の部分である耳と尾は毛が逆立っており、魔力によって爛々と輝いている。
その輝きは如何に磨いた大判小判でも敵わないほど美しかった。
「おしたいもうしあげております、のぶえもんさま……」
そう言いながら倫はより一層身体を伸衛門に密着させ……片手を伸衛門の下腹部に伸ばす。
伸衛門は仰天した。
倫の言葉と行動は、今までの養父と養女のような関係を飛び越えているものなのだ。
「り、りりりり、倫! お主、自分が何をやっているのか分かっておるのか!?」
「わかっております。これはりんのちちうえとははうえもやっていた、したっているあいてにすること……」
ついに倫の手が伸衛門の寝巻きの合わせ目をずらし、さらに下帯までずらした。
そしてその小さな手で伸衛門の逸物を握る。
「もうこんなにかたく……」
「なっ!? ば、馬鹿な!?」
自分の逸物が勃っていたことに、伸衛門は驚く。
幼女嗜好はないというのに、自分の身体は性的に興奮していた。
『これが……魔物の魔力、か……!』
だが気づいたところで、抗う術はない。
身体だけでなく、心も目の前の幼い稲荷に魅了されていく。
いや、魅了自体はこの稲荷を引き取って育てようと心に思った時から、されていたのかもれない。
しゅるしゅる……
衣ずれの音がし、伸衛門の寝巻きがくつろげられた。
それとほぼ一緒に下帯も取り去られ、肉棒が剥き出しになる。
「すごい、これがのぶえもんさまのおちんぽう……なんてりっぱ……ん、あむっ……!」
何も知らない幼女故か、ためらいもせずに倫はそれを口で銜え込む。
「り、倫!? ぬっ、くあ……!」
伸衛門の抗議の声は言葉にならない。
倫の口技は下手な遊女などよりはるかに巧みであった。
とても年端もいかぬ子どもとは思えないほどの技工なのは、やはり彼女が魔物だからであろう。
「んっ、んぅ……れるれる、じゅるり……んむぅ……」
鼻を鳴らしながら、まるで赤子が母親の乳を吸うように、倫は伸衛門の肉棒にむしゃぶりついている。
だが、ただむしゃぶりついているだけではない。
その口内では舌が肉棒に絡みつき、這い周り、唾液をなすりつけているのだ。
子作りのために妻と交わり、また遊女と交わった経験のある伸衛門でも、たちまちのうちにその舌使いに翻弄された。
あっという間に限界が近づいてくる。
「倫、止めぬか……! このままだと出てしまう……!」
「んっ、ちゅぱ……だしてください、のぶえもんさま。のぶえもんさまの、おなさけをください。それがわたしたちのかてにもなりますから」
それだけ言って倫はいよいよ、追い込みにかかった。
「本当に……! くっ、うあっ!」
追い込みをかけられて幾ばくも持たなかった。
どくんと肉棒が脈打ち、幼い稲荷の口の中に精が注がれていく。
「ん……ふぁああ……のぶえもんさまのこだね……ん、んちゅう……」
甘美な蜜を味わうかのようにとろけた顔をしながら倫は吐き出された精を飲み下し、さらに肉棒に付着している分も丹念に舐めとっていく。
その刺激と倫の魔力の影響で、決して若いとは言えないはずの伸衛門の肉棒は剛直を保ち続けていた。
「えへへ、つぎは……」
倫は膝立ちになって寝巻きの帯を解き、そのまま滑り落とした。
膨らみかけてすらいない胸、柔らかそうな腹、幅狭くて肉付きも薄い尻と、幼い身体が露わになる。
だがぷくりと立ち上がった乳首、内腿をとろりと伝う蜜は彼女が魔物娘であり、一人前の淫らな雌であることを示していた。
倫は脱力して尻餅をついている形になっている伸衛門の身体を跨ぎ、用を足すかのように腰を下ろしていく。
伸衛門の黒々とした肉棒が、倫の無垢で初々しい桃色をした秘裂に触れる。
「ここにのぶえもんさまのせいをだしてください……」
「それはダメじゃ……! 女子は操を大事にせねば……」
口では注意するが、身体は動かせない。
倫の魔力は身体の自由を奪うほど強力ではないので、それは伸衛門が無意識にそうしていることになる。
「そのだいじなはじめてをのぶえもんさまにさしあげるのです。いきますね……」
にこりと笑って倫はさらに腰を沈めた。
ずぷずぷと処女壁が肉棒を押し包んでいく。
途中にかすかな抵抗があったが、倫はためらいもせずに腰を進め、伸衛門を奥まで銜え込んだ。
「あっ! あはぁ……ついにのぶえもんさまとひとつになりました……りんはうれしゅうございます……」
恍惚とした表情で倫がつぶやく。
その結合部からは血が流れている。
「……痛くないか?」
「ちょっと、つねられたようないたみが……でも、たいしたことありませぬ。うごきますね」
「お、おい……ぬわぁっ!?」
倫がゆっくりと腰を上げ、そのまま打ち下ろす。
狭い肉洞が伸衛門の逸物をギチギチと締め上げながら、蜜も絡めてねっとりとしゃぶり、扱き抜く。
その快感に伸衛門は思わず声を上げた。
「ん、んぅ! い、いい……!」
一方、倫も痛みではなく快感に身体を震わせる。
その快感を味わおうとまた倫は腰を持ち上げ、打ち下ろした。
再び、二人の嬌声が絡み合う。
「もっと、もっとぉ……」
また倫が小さな尻を持ち上げる。
今度は少し、角度を変えて腰を落とした。
「あっ!? あああっ!?」
今までと違う声を倫が上げる。
伸衛門の肉棒が奥のさらに奥に突き進み、子宮口に当たっていた。
それがよほど良かったようだ。
「これぇ! これがいいですぅ!!」
倫の腰の律動が急に速まった。
伸衛門の亀頭がそこに当たるように腰を弾ませる。
快感の印に倫のただでさえ狭い肉壁が伸衛門の肉棒をさらに締め付けてきた。
「や、止めよ倫っ!」
「のぶえ……もんさ、ま、あ、あっ! ダメ……ですか? んんぅ、きもちよく……ふああっ! ない、ですか?」
腰の動きを止めないまま、倫が伸衛門をのぞき込むようにし、喘ぎ声で途切れ途切れながら訊ねる。
「いや、気持ちよすぎて……ぬはっ!」
「ひゃんっ! のぶえもんさまがつきあげてきて……んんんっ!」
快感のあまり腰を突き上げてしまった伸衛門だが、それがさらに倫を掻き立てたらしい。
腕を伸衛門の首に回してしがみつくようにし、倫は腰を打ち付けた。
肉と肉がぶつかりあう音に加えて倫の秘裂から漏れる蜜がねちゃねちゃと音を立てる。
「し、したからのぶえもんさまのがぁ……! んああっ! ズンズンきてきもち、いいですぅう! りんは、りんはおかしく……!」
幼くとも初めてでもやはり淫らな魔物娘ということか、倫の身体に絶頂が迫っているようだ。
『もし、このまま倫が果てたら……』
快感で霞がかかっている頭で伸衛門は考える。
伸衛門も限界が近い。
倫が達したら間違いなく道連れにされてしまうだろう。
つまり、まだ年端もいかない倫の胎内に精を注いでしまうことになる。
しかしそのことが逆に興奮となり、伸衛門の剛直を膨れ上がらせた。
「倫っ! 離れるのじゃ! このままだと倫の中に……!」
それでも離れるように言うが、倫は聞く耳を持たない。
快感を、そして精を求めて淫らに伸衛門の上で腰を動かし続ける。
「だし、てっ……! のぶえもんさまのおなさけを……だめっ、りんはもう……あ、ああああっ!」
伸衛門にしがみついたまま、倫の身体が弓なりに反る。
達していた。
その身体の反応に併せて彼女の膣が魔物らしく貪欲に、幼きものらしくきつく、伸衛門の肉棒を締め付けて精を搾ろうと蠢めく。
「ぬっ、うおおおおっ!」
耐えられなかった。
身体を硬直させて咆哮を上げ、伸衛門は倫の身体の中に精を注ぐ。
たちまちのうちに倫の膣奥が伸衛門の精液によって満たされた。
「あ、あつい……んあっ、りんのなかがのぶえもんさまでいっぱいに……」
絶頂したその身体で伸衛門の精を受け止め、倫は恍惚とした笑顔を浮かべる。
そして伸衛門の胸の上に崩れ落ちた。
同じように脱力した伸衛門も押し倒される形で布団の上に仰向けになった。
「のぶえもんさま……おしたいしております……りんはのぶえもんさまのおそばをはなれませぬ……」
いくら魔物とはいえ、さすがに疲れたのだろう。
そう言った倫はそのまま意識を手放していた。





『わしは……果たして立派なのじゃろうか?』
眠っている倫の枕元であぐらをかきながら伸衛門は思案する。
倫はきちんと寝巻きを着させられ、布団をかけられていた。
伸衛門の手によるものだ。
その間も倫は起きることなく眠り続けていた。
「愚かな……わしがその気になれば、お主を女郎にでも売り飛ばすことなぞ、造作もないのだぞ?」
倫を見下ろしながらつぶやくが、倫はすやすやと、安心しきった顔で眠っている。
その寝顔は、部屋は闇に包まれているのに、眩しく見えた。
「んみゅぅ……のぶえもんさまぁ……」
寝言で倫が伸衛門のことを呼ぶ。
その様子に、そして先程の交わりで、伸衛門は忘れかけていた物を思い出してきたような気がした。
彼女は伸衛門のことを一心に信じ、ひたむきに慕い、裏表も下心もなく求める。
『それに比べて、わしは何なのじゃろうな……?』
そのまっすぐな気持ちに対して、自分のこれまでの捻くれ、歪んでいる行為である悪事がひどく恥ずかしく思える。
『そんなわしが倫の言うとおり、立派なはずがあろうか?』
心の中で再び訊ねてみた。
答えは出ている。
「否」だ。
倫は知らないだけで、伸衛門は武士として立派とは程遠い存在だ。
彼も元服したころは武士らしく、主君のために、国のために、志高く働いていた物だった。
だが結婚して幾人もの子どもに恵まれた頃から家の財が苦しくなってきた。
そこにつけ込んで来たのが伊智後屋だった。
この頃から伸衛門は不正に関わり始め、そして今に至る。
本当は子どもたちが元服したり嫁いだりしたらもう金は要り用ではなかったので、伊智後屋とも手を切ることができたはずだ。
しかし、伸衛門は今までの不正に味をしめ、金に目が眩み、伊智後屋との関係を続けてきた。
これはすなわち国を、主君を裏切っている行為……
『とても立派とは言えぬな……なんと醜い姿か……』
いずれは倫も伸衛門の正体に気づくだろう。
その時の倫のことを考えると、心が痛む。
『……ならば、少しは武士らしいことをせねばな……』
倫の枕元からそっと伸衛門は立ち上がり、羽織を来て書机に向かった。
仕事を済ませる必要がある……



「ん、んぅ……」
朝日の光が眩しくて倫は目を覚ました。
そのことに驚く。
日の光が射している方向は確か南東……日が登ってから随分時間が経っていることになる。
そして昨日、自分と交わっていたはずの伸衛門は横にいなかった。
先に起きたからだ。
『いけない……! のぶえもんさまがあさごはんをまっているはず……!』
素早く起き上がって居間に出た倫の足が、その場でピタリと止まった。
そこには倫の分だけの朝食の膳が置かれている。
『おかしい……なんかへん!』
何か嫌な違和感に、倫はすべすべの額にしわを寄せる。
今まで伸衛門は朝食時に必ず自分を起こしに来てくれた。
だが今日に限って起こしに来なかった。
伸衛門自身が寝坊したことも考えられるが、倫の膳だけがここにあるということは、伸衛門は既に朝食を済ませたと考えられ、否定される。
考えられることは一つ、伸衛門は倫を起こしたりすることなく、出かけたということだ。
『なんで? いつもとちがってへんだよ……』
いつもと全く異なる状況に倫は朝食に手を付けることもなく、棒立ちしていた。
「おや倫様、おはようございます」
そのとき、伸衛門の下男がそんな倫を見つけて頭を下げた。
挨拶を抜きにして倫は下男に寄る。
「あの、のぶえもんさまは?」
「はて……今朝、いつもより早く起きられて朝食を食べた後に仕事に出かけられましたな」
伸衛門が仕事で外出するのは久しぶりだと、のんびりと下男は言う。
「なにかほかにかわったことは?」
「そう言えば……妙にいつも以上に身なりを整えておりましたな……髪もやけに整えられ、歯も塩で懸命に磨き……殿の元に参ずるにしても、あれは少々かしこまり過ぎの気も……」
いつも以上に身を整える……その言葉に倫の中で先程から抱えていた違和感が不安に変わり、大きく膨らんでいく。
「おとのさまのところって、どこ?」
「この屋敷から大通りに出て右手、まっすぐ南に向いますれば殿のお屋敷に……倫さま!? 倫さま!!」
場所だけ聴き終えたら、倫は寝巻きで裸足のまま外に飛び出した。
このままだと、伸衛門が自分の手の届かない遠くへと行ってしまう……
何も確証はないが、幼いながらも女としての勘が彼女にそのように囁きかけていた。
その不安が彼女の脚を駆り立てる。
町民が何事かと振り向く中、彼女は大通りを弾かれたように疾走していった。





「伸衛門。ここに書かれていることは真なのじゃな?」
「御意にございまする」
ちょうどその頃、伸衛門はこの国の主、佐分利 松之介と面会をしていた。
松之介の手には何枚かの書状がある。
それは伸衛門がこれまで関わった全ての不正の告発書、そして自分の家の者には恩情をかけるように求める嘆願書であった。
すべて、深夜から明け方にかけて伸衛門が書いたものである。
「して、わざわざ自分の不正を明かして、そちは余に何を望む?」
顔を伏せて礼をした格好のまま、伸衛門は低く、揺るぎのない声で答えた。
「……武士としての本分、果たさせていただきとうございます」
武士としての本分……つまり、伸衛門は切腹を望んでいる。
今までの不正をこれからの代官としての働きなどで挽回することなど不可能……
であれば、自分が倫に見せられる「立派さ」は、腹を切ってその罪と恥を雪ぐ。
それが伸衛門の出した覚悟だった。
「むぅ……」
予想はしていたものの、伸衛門の返答に松之介は少々言葉に詰まった。
この告発文を見る限り、伸衛門の重ねた不正は切腹にしても問題はないくらいの所業だ。
しかし、せっかく自らこの告発文を書くほどの武士としての志を取り戻した彼に死を命じるのも、どこかもったいない気持ちも松之介にはあった。
重苦しい沈黙が主の間に漂う。
「申し上げます!」
その沈黙を、松之介の伝令が破った。
「大事な話だ。後にならんのか?」
「しかし、そこにいらっしゃる両岡殿にも関わることのようなので……」
遠慮がちに言った伝令の言葉に松之介は片眉を掲げた。
「ほう? 申せ」
「ははっ……先程より門に、りんと申す子どもの稲荷が、やれ通してくれ、やれここにいる伸衛門様に会わせろ、と騒いでおります。お陰で門の前に町民共の人集りが出来ている始末でして……」
『な、あやつ……!』
顔を伏せたまま、伸衛門は驚きと呆れる。
「ほほう……いいだろう、通せ」
「ははっ」
松之介の命を受け、伝令は下がる。
ほどなくしてドタドタと廊下を走る音が響き、当主の間に倫が転がり込んできた。
そしてそのまま伸衛門に跳びつく。
「のぶえもんさま! のぶえもんさま!」
門で門番に跳ね返されたり転がされたりしたのだろう。
その姿はホコリまみれの泥まみれであった。
「控えよ! 殿の御前だぞ!」
「いいえ、さがりませぬ! このままだとのぶえもんさまが……どこかとおくにいきそうなのでイヤにございまする!」
倫の言葉は婉曲的だが的確に伸衛門が望んでいたことを言い当てている。
伸衛門はそのことに驚愕しながらもそれを隠し、倫の頭を撫でた。
「案ずるでない。確かにわしは仕事で遠出をするが、戻ってくる……」
「ほんとうにございまするか? りんのめをみていってくださいませ」
「う、うそでは……」
ない、と最後まで言葉は続かなかった。
倫の目は何もかも見通しているようにどこまでもまっすぐで澄んでいて、真剣だった。
「イヤにございます! のぶえもんさまがりんのてのとどかないところにいってしまうのは! りんはのぶえもんさまのおそばをはなれませぬ!」
言葉に詰まって答えられない伸衛門に倫がかじりつきながら叫ぶ。
「はっはっはっはっは!」
突然、高笑いが響いた。
その様子を見ていた、松之介のものである。
「いやはや、伸衛門がこのような動きに出たのは、何か女子が絡んでおるのではないかと思っておったのだが、まさかその通りとはな! それもこのような幼女とは……くくく」
「うぅ……」
松之介の言葉に伸衛門はただ恥じ入るしかなかった。
そんな伸衛門を見てニヤニヤと笑いながら松之介は言葉を続ける。
「残念ながら、余の一存ではそちの処遇を決めることはできんな」
武士らしく死ぬことも許されないようだ。
伸衛門は項垂れる。
「追って沙汰があるだろうから覚悟せい!」
そう言い捨て、松之介は面会を打ち切り、主の間から出ていく。
あとには伸衛門と、彼にひしとしがみついている倫が残された……







そのような出来事から十年近く経ち……









「こらあっ! 不正はするなと言っておろう!!」
「うわーん! 先生ごめんなさいー!」
とある山中の庵に怒声が響きわたる。
庵の中には一人の僧侶がおり、彼の前には十人ほどの少年が書机を並べていた。
僧侶はその少年の一人を叱りつけている。
「あちちちち……」
「日頃から言っておろう……不正はその者の倫理感を腐敗させていく! 始めは軽い気持ちでも、その気持ちに歯止めが掛からなくなり、やがては人を裏切るようなことを平然とやるような人間になってしまうと! 皆もそうじゃぞ!」
灸を据えた少年を見下ろし、さらに他の生徒を見渡しながらその僧は説教をする。
「そんな人間じゃったわしが言うのだから間違いない。なんと言ってもわしは悪代官じゃったからな」
そう、この僧侶こそかつての悪代官、両岡 伸衛門であった。
主との面会の際に保留された伸衛門の処遇だが、その後の裁きでも、伸衛門の希望した切腹は許されなかった。
「そちに切腹など贅沢すぎる。この国の歴史書にも『両岡 伸衛門は幼女によって改心し、今までの悪行を恥じて切腹した』などと余は記したくないわ」
そう主の松之介はにやにやと笑いながら言った。
かと言って打首獄門や磔など、他の死罪でもなし。
処罰は代官の罷免と家財全没収であった。
これだけでも罰としてはそれなりに重いし、生き恥を晒すことを強要されたとも言えるが、少なくとも伸衛門は生きることを許された。
ほぼ全てを失った両岡 伸衛門は頭を丸め、山中に庵を結んでそこで街の武士の子の教育を行うことで生計を立てることにした。
その教育はなかなか評判で、今は国の家臣の子たちもここに来るほどである。
「そしてそんなわしじゃったからこそ、お主たちのような子どものイカサマなぞ、お見通しじゃ」
「先生! 今まで疑問に思っていましたが、今日こそ質問します!」
生徒の一人が手を挙げた。
伸衛門は頷いて彼の言葉を促す。
「悪代官だったと言われる先生ですが、その改心のきっかけは何だったのですか?」
「うっ!? それはじゃなぁ……」
生徒の言葉に少し詰まった伸衛門は頬を軽く朱に染め、ちらりと土間の方を見やる。
そこには質問の答えが、伸衛門と庵に来ている子どもたちのために菓子の最中を用意している、倫がいた。
十年の歳月を経て美しい娘に成長した、大判小判黄金などより遥かに大事な、伸衛門の山吹色のお菓子が……
12/02/18 16:07更新 / 沈黙の天使

■作者メッセージ
バレンタイン関係でもないのにSSを投稿……
まぁ、お菓子繋がりで許してください。
どうも、お久しぶりです、沈黙の天使です。
ここ最近忙しかったですが、間隙を縫って投稿しました。
いかがだったでしょうか?
……現実の代官はこんなことしなかったらしいですけどね。


あ、最後に一言!(ですまないけど)
好きだからこそ手を出さない!
誘われたって乗らない!
このSSはフィクションでリアルでこんなことやっちゃダメ、絶対!
ルールを守って楽しいロリータ!

……と言いつつ、私は年上好きなんだ(殴

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