読切小説
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さむいひのはちゅーるいさんたち
・ワームちゃん
「わーい! ゆきふってる!」
あらまあ尻尾ブンブン振っちゃって。珍しいものね、雪。
「おそとでていい? でていいよね?」
はいはい、防寒着と帽子に手袋マフラー付けてからね。
「ヨシ! それじゃいってきまーす!!」
いってらっしゃードアは閉めてってぇぇ!


§


「さ゛む゛い゛」
でしょうね。
「け゛ど゛た゛の゛し゛か゛っ゛た゛」
体中にひっついた雪の塊を見るにホントに楽しかったみたいなのは良かった良かった。けどそのままじゃお家入れないから雪を払い落して──
「ぶぇっくしっ!!」
あ゛あ゛あ゛あ゛固まった雪が飛び散ってうわあああああ!!





・サラマンダーさん
「寒い日は体を動かして温まらねえとな! という訳でランニングだ!」
ここ山っすよ。雪積もってるっすよ。
「なあにオレにかかれば問題ねえ、お前もついてこい!」
あのちょっと、外は零下な温度なんですってよ。
「安心しろ、オレに任せれば問題ない!」
キミはともかく人間にとっては着こんでも危険が危ない環境なんですってば。


§


「どうだ? 少しは温まっただろ?」
意外にもランニングの速度自体は穏当なものでした。
「雪を溶かしながら走ってるからな。はぐれないよう目印にもなるだろ?」
なりますけど、大事なことを忘れてるような。
「……ん? なんだこの音」
上の方から重いものが崩れるような音がしてるっすね。……って雪崩じゃねえか!? 
「……面白ぇ」
は?
「面白ぇじゃねえか! いくら雪崩でもオレの走りを止めることなんざできねぇって教えてやるぜ! 飛ばすぞッ!!」
張り切るのはいいですけどひーはー後ろで全力疾走している俺のこともゲホッゲホッ思い出してくださいぜーはーひーふー埋もれてたまるかぁぁぁぁぁっ!





・エキドナママン
「ほらーおとなしくしてねー。ママがからだをふきふきしてあげるからねー」
「こしこし、こしこーし……はーい、おしまい。よくがまんできましたー、いいこいいこー」
ママー、ホットミルク入れてきたよー。
「ほーら、パパがあったかいのみものもってきてくれましたよー」
「ふーふーして……おいしい? うん、あったかくてあまくって、ぽかぽかするねー」
「ふふ、おめめがとろんとしちゃって。もうおねむしたい? ママといっしょにはみがきしてからねましょうね、そうしたらふかふかおふとんがまってますからねー」


§


「うふふ、可愛い寝顔♡」
「見てパパ、この子ったら寝てる時でも私の手を離さないんですよ」
「私たちは寒さにあまり強くないですもの、今日みたいに寒い日は不安になっちゃうのも仕方ないかしら」
「心配しなくても、パパとママが傍にいてあげますからね」
……。
「……あらあら。どうしたの、パパ?」
…………。
「…………あらあらまあまあ、ここにも随分大きな子がいましたねー」
「心配しなくても、私がずっと傍にいてあげますからね」
「ほーら、いいこいいこー」
「……次はどんな子がいいかしらね、ぱぁぱ♡」





・ドラゴンゾンビちゃん
「へっくしょん」
「さむい……つらい……」
「ひとりぼっち……さみしい……」
「まえもひとりぼっちだった……つちのなか……」
「さみしい……さみしいとしんじゃう……」
「しんじゃうはいや……」
「……はやく、かえってこないかな……」


§


ただいま! ごめん、すっかり遅く──
「おかえりなさぁい……」
おふとんで待っててって言ったのに玄関で待ってるなんて!
「もうふあればへいきかなって……さむいよぅ……」
ああもうこんなに冷えちゃって、抱っこしてあげるからこっちおいで!
「んー……だっこー……」
ごめんね、寒かったでしょ? もう大丈夫だからね?
「だいじょーぶ……?」
うん、大丈夫大丈夫。ちょっと熱が出ちゃっただけだから、ご飯食べてぐっすり眠ればすぐに治るよ。
「ほんと?」
ほんとほんと。だから次からはおふとんで待っててね。
「はぁい。……あの、あのね、いっこ、いっこだけ、おねがいしていい?」
なあに?
「きょうはずっといっしょにいて」
はーい、いいよ。
「わたしがねむるまで、ずっとてをつないでて」
うん、だいじょうぶだよ。
「もしねむくなったら、わたしといっしょのおふとんでねて」
うんうん、いいよいいよ。
「よるおしっこいきたくなったらおこすからついてきて」
……うん、ついてってあげるけど、元気になったらおトイレは一人で行けるようになるといいね。





・ドラゴンさん
「今日は寒いな」
そうですね。
「寒さのせいか我は少し体調が悪い」
雪でも降りそうですね。いやもう降ってるか。
「という訳で今日は一日休むことにした」
それがいい。万一のことがあってはいけませんし。後のことはわたくしにお任せあれ。
「うむ。……という訳で今日は我の部屋には立ち入らないように」
かしこまりました。


§


さて立ち入るなという訳で、ドアの隙間からあるじ様の様子をこっそり覗いている訳ですが。
「コロ、そう甘えるでない。くすぐったいではないか」
案の定、いつものお戯れをなさっておりますね。
「見ろ、お前ばかり甘やかしているからタマが拗ねてしまったではないか」
膝元で懐くお犬様を撫でるあるじ様に、そっぽを向くお猫様をなだめすかすあるじ様。絵になりますねぇ。
「ふふっ、まったくお前たちと来たらしかたのないやつらだ」
まあ全部ぬいぐるみなんですけどね。我らがあるじ様のおっきなおててで掴まれてわちゃわちゃしてるんですけどね。
「ああ、こんなにも小さき者に囲まれて我は幸せ者だなあ」
わたくしもあるじ様の趣味に立ち合えて大変幸せでございますウへへ。今度等身大ぬいぐるみに入って混ざれないか試してみよう。





・ミューカストードちゃん
「毎日毎日、こうも寒いのはたまらないねえ」
冬ですからねぇ。
「春が来るまで土の下にでも籠っているべきなんだろうかねぇ」
それは困ります。例え冬だろうと起きていてもらいます。
「自然の摂理に逆らおうなど考えない方が身のためだよ? こわぁい魔物がやってきて食べられてしまうかもしれないからねえ」
幾度となく食べられてしまったので、一日たりとも貪られぬ日が来ることに耐えられないのでございます。
「それじゃあ仕方ない」


§


「寒さはともかく、肌の乾きはいかんともし難い」
僭越ながら、私めがお手伝いさせていただきましょう。
「うむ、よきにはからえ」
では、こうして……うなじや脇の下、ふとももの付け根の辺りをさわさわと……。
「くふっ、くすぐったいような、むず痒いような……」
血の通うところを温とうすれば、自然と体がほぐれるものでございます。
「くふふ、くるしゅうないぞ……と言いたいところだが。ちと待て」
何故でございましょう。
「何故舌を出しておる。奉仕の最中邪な気持ちでも抱いたか」
その通りでございます。うっかり粘液を口にしてしまいまして、むらむらが抑えきれないのでございます。
「よいぞ、許す。おぬしの粘液を存分にワシに塗りたくり、征服欲を満たすがよい」
ははっ、有り難き幸せ。
「まあおぬしが幾らえっちしようともその数倍ワシが逆レイプして上書きするんじゃけどな♡」
あーあ、折角雰囲気出たのに台無しでごぜーますだよ。





・ジャバウォックちゃん
「せっくすっ♡ せっくすっ♡ ぱんぱんぱんっ♡」
「あはぁっ♡ おちんちん、さっきからびくんびくんが止まらないよぉっ♡」
「ぷっくーってふくらんで、しろくてぷるっぷるなせーえきだしたいっておねだりしてるね♡」
「あんなにいっぱいだしたのに、おちんちんもたまたまもおっきなまんま♡」
「次はどこにだしたい? わたしのおまんこのなか? それともからだにかけたい?」
「わたし? わたしはからだにかけてほしいな♡」
「アナタのせーえきでわたしのからだをみだらにいろどってほしいの♡」
「そうしたらもっともーっと昂って、ますますアツい繋がりができるから♡」
「もうすぐでる? でちゃう♡」
「いいよ♡ いって♡ イって♡」
「────イけぇっ♡」

今日も不思議の国のどこかで雪が降る。
23/01/29 19:11更新 / ナナシ

■作者メッセージ
雪(隠語)。
というか大体(隠語)って付ければエロくなる気がする(マーチヘアちゃん脳)。

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