女性には時折、機嫌や体調が悪くなる時期がある。
　幼い頃は不思議…というか、やや理不尽だとさえ思っていたグレゴリーであったが、やがて、それは女性が子供の素を作り出すために起こる現象なのだと知った。
　幼い頃から傍にいたルフィアも、それが訪れるようになると定期的に辛そうにしており、グレゴリーは心配とともに、女性の大変さを想わずにはいられなかった。

　…しかし、魔物になったルフィアと再び共に過ごすようになって何ヶ月も経つが、彼女は毎日、心身共に元気だった。一向に調子を崩したような気配がないのだ。
　いいことなのだろうが…その事が、グレゴリーは少し気がかりになり始めていた。
　人間同士より確率はとても低いとはいえ、全ての魔物娘は──たとえかつて死人や無機物であったとしても──人間の男との間に子供を作れるのだという。
　これがスライム等ならまた違ってくるのだろうが、しっかりと動物としての身体を持つ魔物娘ならば、子供を作るための準備は必要なはずだ。
　ルフィアは…マーメイドは、一体それをどうしているのか？

「…なあ、ルフィア」
「なあに？」
「こんな事聞くのも失礼だし、答えづらかったら別にいいんだけど…」
「？」

　くいっと小首をかしげて、こちらを見つめるルフィア。
　未だ子供のような純朴な仕草に、グレゴリーは早くも自分のくだらない好奇心がへし折られそうになるが、そこを堪えて聞いてみた。

「その…今、アレってどうなってるんだ？」
「アレって？」
「え〜と……ほら、定期的に来る…月の…」
「えっ…」

　グレゴリーの予想通り、ルフィアは驚きの表情を浮かべる。
　そして瞬時に、聞くんじゃなかったと後悔した。まだまだ気を抜くと、考えるより先に動く自分の悪い癖が顔を出してしまう。

「いや何でもない。悪い、忘れてくれ。どうかしてた…」
「え？ううん、いきなりで驚いたけど、別に聞いてもいいよ？
　…ちょっと恥ずかしいけど」
「あ、ありがとう…？いや、ありがとうはなんか違うか？」

　熟年夫婦のようにとは行かないまでも、幼い頃から一緒にいて互いの内面をよく知る二人が、こうした話題では気恥ずかしさのあまり急にギクシャクしてしまうのだから、何とも不思議なものだ。

「えっとね…その、たまご…産むの。
　血が出たりする、かわりに…」

　人魚は、魚と同じく卵で増える。
　しかし魚と違うのは、雄…つまり人間の男との性交によって、胎の中にある卵に精を受けることだ。
　そうして受精した卵は、胎内で赤子の大きさまで育ててから産み落とすのだが、受精できないまま古くなった卵もまた体外に排出しなければいけない。
　…そうした事を、ルフィアは恥じらいながら、何分もかけて説明し終えた。

「それで…今日がちょうど、その日なんだ。
　お腹がうずうずして、気持ち悪くはないんだけど、出さなきゃ、って感じがして…」
「そう、なのか…」

　ルフィアのお腹を眺める。
　豊満すぎるほどの胸を持ちながら腰はしっかりくびれており、引き締まってはいないがたるんでもいない、滑らかな腹部だ。
　…この中に、卵が詰まっている。ルフィアの卵が…
　グレゴリーの視線が自分のお腹に注がれていることに気付き、思わずルフィアはこう聞いてしまう。

「も、もしかして……見たい、の？
　私が、産んでるところ…」

　聞かれれば、グレゴリーも答えざるを得なかった。

「見たい」
「あぅぅ…」



　ということで、風呂場にやって来た二人。
　服を脱ぎ、人魚の姿に戻ったルフィアは、浴槽の縁にそっと腰かけた。
　言われてみないと気付かないほどだが、露になった下腹部は、少しだけ膨らんでいるように見えた。

「じゃあ…産む、ね…」

　目を閉じ、深呼吸して、腹筋に力を込めようとする。
　込めようとする…が、うまく力が入らない。
　排泄行為をまじまじと見られているようなものだ。とてもではないが集中できるものではない。
　グレゴリーは急かすような真似はしないが、ただ無言でじっと股間を見つめている。それが余計にルフィアを焦らせた。

（いつもどおり…いつもどおり…いつもどおり……）

　いまの身体になってから何度も繰り返してきた、ごく自然な行為。なにも恥ずかしい事は無い。
　瞼をより固く閉じながら、いつもどおりと心の中で繰り返し唱えて、グレゴリーの視線を忘れるように努めた。
　だが、対するグレゴリーは…

（見られると緊張する…とか思ってるんだろうな。でも…）

　湯気が立ちそうなほど熱を持った朱い秘肉が、荒い呼吸と共にぱくぱくと開閉する。
生々しくも淫靡極まりない様子は、朝に晩にと交わってもなお尽きないグレゴリーの情欲を惹きつけて離さない。

（こんなの…見ないわけないだろ…！）

　人間では決してあり得ない、自分自身の卵を産み出すという行為。
　それだけならまだ生命の営みと片付けることもできようが、あまつさえそれを好奇心と戯れのために見せること、そして見ることに対し、二人は強い倒錯と興奮を覚える。
　しかも魔物娘とその夫となってまだ日が浅い二人は、それに興奮しているという事実にさえ興奮してしまい、お互いの心臓の鼓動は激しくなる一方だった。

（やだ…こんな時に限って、ぜんぜん出ない…）

　もう何分経っただろう。
　強い恥じらいと興奮を感じ、膣肉をひくつかせながらも、なかなか卵は出てこない。
　早く終わらせたいというわけではないが、見たがっているグレゴリーを待たせたくないという思いがあった。
　お腹に手を当て、半ばやけくそのようにいきむ。

「んん……ッ！！」

　声を漏らした直後、開かれた肉襞の奥から丸いものが覗いたかと思うと…ぷりゅっ、と勢いよく外へ飛び出した。
　床へ向けて弧を描くそれを、グレゴリーは慌てて両手で受け止める。
　彼の親指の爪くらいの大きさを持つ、やや赤みを帯びた黄色に透き通った、ほんのり温かい粘液まみれの球体。
　それが、ルフィアが産んだ卵だった。

「あっ、ま、ま…だ、でる…っ！」

　一度出始めれば、あとはもう容易だった。二個、三個と、膣奥からこぼれていく。
　一個目ほどの勢いはなく、粘液で皮膚にくっつき、重力でゆるゆると流れ、すぐ下の、脚を閉じたヒトの股の名残のような窪みに溜まっていく。
　顔を真っ赤にして、ぷるぷる小刻みに震えながら、必死に卵をひり出していく幼馴染の様子を、グレゴリーはしっかりと眺めていた。

「はーっ……はーっ……はー…！？」

　ルフィアは違和感に気付いた。
　卵を産み落とすのが、なんだか…気持ちがいいのだ。
　これまでも産卵の際に、若干、興奮のようなものを覚えることはあった。
　だが今、グレゴリーにじっくりと見られ、性的に興奮している今では、卵が子宮から膣道を通りぬけ、襞をかき分けて出てくるその感覚に、はっきり性の快楽を感じてしまっているのだ。

「えっ、嘘っ…！あ、やっ…！？」

　いったん自覚してしまうと、もう止まらない。
　柔らかくつるりとした魚卵が膣壁をこする感触が気持ちいい。
　体外へ流れ出す粘液の量はどんどん増していき、恋人はますます股間を膨らませて凝視している。目を閉じていても、それがわかる。
　卵が股間の窪みにひとつずつ溜まる毎に、自分をより淫らにする何かも溜まっていくような気がした。

（……もう、限界だ。こんなエロい姿…！）

　グレゴリーはもはや堪らなくなり、興奮に煮えたぎるペニスを取り出し、その場で激しくしごき始めた。
　ルフィアの手で、口で、膣で、両胸で、彼女の身体のあらゆる場所を使って精を吐き出すのが当たり前になっていた今では、自分の手でしごくのは随分と久しぶりだった。
　快感はルフィアにしてもらうのとは比べ物にならないほど劣っていたが、目の前の光景がもたらす過剰な興奮のおかげで、最後まで行くのに問題はなさそうだった。

「はっあっ…れっ、レッくん、なにして…！！？」

　漂うグレゴリーの精の匂いが不意に強まったことを、魔物娘の鼻は敏感に捉えた。
　そして目を開けてみれば、彼は自分の産卵光景をオカズとして、涎を垂らす欲棒を激しく擦り上げているではないか。
　あまりにも変態的なこの状況に、しかしルフィアの魔性の心はさらに興奮し、己が卵を産み出す快楽をより高めてしまう。

「んーっ、ふぅー…ッ！！」

　恥ずかしいのに気持ちいい。おかしいのに興奮する。
　わずかに残った理性と、それを押しつぶさんとする淫らな心がせめぎ合い、ルフィアはもう訳が分からず、只いやいやとかぶりを振るばかり。
　しかしその動作は、ルフィアの大きな両乳房を、重たげにゆさりゆさりと左右へ振り回す結果につながり、この倒錯した光景にさらなるスパイスを加えるのみであった。

「やぁぁぁっ、わたし、たまごで、おまんこから、たまご産んで、イっちゃう…！
　こんなの、おかしいよ、わたし、ヘンタイだよぉ…！！」

　絶頂が差し迫り、ついには自らを追い詰めるため、自分で自分に淫語を投げかけ始める。
　グレゴリーもまた、最後に向けてしごく手を速めていく。
　そうして、ルフィアが最後の卵を体外へ産み落とした、その瞬間。

「んーっ、んーっ…んぅぅ〜〜〜〜………！！！」
「出る…ッ！！」

　とうとうルフィアは、性感帯に一切触れることなく、産卵だけで絶頂を迎えてしまったのであった。
　その直後、ルフィアの股に溜まった愛液混じりの卵、あるいは卵混じりの愛液に、グレゴリーの大量の精液が降りかかる。
　魚の卵を受精させるプロセスそのものであった。実際には、こうして排出された卵はもう古く、精と結び付き子供になる事は無いのだが。

「はぁ……はぁぁ……」

　ぐったりと脱力するルフィア。
　出し切られた卵は股間の窪みに収まる量ではなく、様々な体液とともに溢れ、魚体を伝って床に広がっていた。

「…すごっ…。こんなに、入ってたのか…」
「う、うん…」

　一度絶頂を迎え、二人は少しだけ冷静さを取り戻す。

「これだけ卵作って、しかも毎日してるのに、一個も子供にならないなんてな…」
「しょうがないよ。魔物娘は子供ができづらいっていうし、人魚は寿命もすっごく長いから、余計にできづらいみたい。…それでも、やっぱりちょっと残念だよね」
「いっそ、卵が全部子供になったらいいのにな」
「うーん…確かに素敵だけど、それじゃあ私のおなか破裂しちゃうよ。それに育てるのも大変だし…」
「あ、そうか…」

　互いに笑い合う。

「…ところでコレ、この後どうするんだ？」
「そのまま捨てちゃうよ。トイレとかに。
　海に撒いたら魚が食べるかもしれないけど…それはなんとなくイヤかなぁ」
「ふ〜ん…」

　グレゴリーはひと粒、手の中で弄ぶ。
　普通の魚卵と違い、柔らかくも、かなり弾力があるようだ。指で挟んでもすぐ戻る。
　受精したらこれが人間の赤子の大きさまで成長するのだから、簡単に破れたら大問題なのだろう。と、なんとなく考察する。
　簡単には破れない…
　その時、グレゴリーの脳裏には、異様な発想が浮かんだ。
　自分でもおかしいと思うような考えだったが、それは止めようにも、むくむくと膨らんで止まらなかった。その時もたらされるであろう感覚を想像し、彼のペニスも再びむくむくと大きくなる。

「レッくん…？」
「…なあ、ルフィア。
　この卵って、いつもはこのまま捨てちゃうんだよな？」
「う、うん…」

　もう一度、今度は強めに指で潰してみる。しかし、卵は潰れず球体に戻った。
　これならば…『いける』。
　仮にも子供の素となる物をこんな事に使うのは良心が咎めるが、子供ができる可能性がなく、そのまま捨ててしまう物なら、一回くらい試してみたい。
　若く旺盛な性欲と好奇心ゆえか、グレゴリーはルフィアよりも一歩先に、快楽を至上とする魔物の精神に近づいていたと言えるかもしれない。

「…？レッくん、なにするの？」

　こぼれ落ちても魚体に留まっているルフィアの卵を手ですくい、かき集め、ルフィアの股間の窪みに乗せる。

「えっ…ま、まさか…！？」

　ルフィアの驚きもつかの間。指で卵を膣内にぎゅっと押し込めたかと思うと…間髪入れず、そこへ怒張したペニスを一気に突き入れたのだ。

「んはあぁぁぁああッ！！？」

　十分すぎるほど潤滑しているルフィアの胎内に、いくつもの卵がペニスに導かれ戻ってきた。
　愛する者の強直と、それにまとわりつくぷにぷにした卵が混ざった未知の感触に、ルフィアは思わず舌を突き出し、快楽の絶叫を上げてしまう。
　同時にグレゴリーも思惑通り、ルフィアの卵と、たった今それを産み出したばかりの膣肉が絡みつく感覚を、肉棒全体で味わった。

「っぁぁぁ…凄……っ！！」

　すぐさま膣内に射精してしまうも、卵と内襞の感触は、ペニスが衰えること自体を許さないほどの快楽を与えてくる。
　そのまま力強くピストンを始めると、締め付けてくるルフィアの膣とペニスに挟まれながら卵があちこちへ転がり、お互いにさらなる刺激をもたらす。

「うあっ、やぁぁぁ！？そんな、こんなぁっ…！！」

　焼けた鉄に例えられそうなほど赤く熱くなった顔を、ルフィアは手で覆う。
　精液もそうだとはいえ、やはり卵の方が、はっきりと目に見える分『子供の素』を強く感じさせる。それを、今は玩具のように使っているのだ。
　先程までの行為など軽く飛び越えるような倒錯と背徳感は、ふたりの背筋にゾクゾクとした怖気を走らせる。だが、それすらも魔性の快楽は飲み込んでいき、かさ増しとなるのみであった。

「ッ〜〜〜…！！」
「ぁっ…ぁっ、ぃぁぁぁぁぁぁ〜〜〜っ…！！！」

　そして訪れる、ひときわ大きな快楽の波。燃え上がった交わりの末にもたらされる、絶頂の中の絶頂。
　それを互いに受け止め、ひとまずは満足して、グレゴリーはペニスを引き抜く。
　直後、ルフィアの膣からは、どろどろとした白濁と共に、胎内に戻った卵が再びだらしなく産み落とされた。

「はぁっ……あっ…ぁ〜〜………」

　産卵と激しい絶頂で気が緩んだか、ルフィアはそのまま、開きっぱなしの性器から、しょわしょわと尿を漏らし始めた。
　脱力しながら余韻に浸る彼女は、それに気づいているのかいないのか。
　時間をかけて荒い呼吸をゆるやかに収めながら、ルフィアはぽつりとつぶやく。

「………へんたい……」
「スンマセン…」
「わたしも…だけど…」

　そして視線を下げ、自分の性器から流れ出す卵と白濁をぼんやりと眺める。

「ほんとに…できたら、いいよね」
「…ん」

　卵と入れ替わりに、大好きなグレゴリーの精でいっぱいになった子宮を撫でながら、ルフィアはグレゴリーと共に、いつか本当に子を宿すその日を夢想していた。


──────────


「ん……終わった、のか？」

　部屋に立ち込めていた甘ったるい香気が、残り香と言っていいほど薄れた頃に、まずはいつも早起きのグレゴリーから目を覚ました。

「ふあぁ〜…」

　続いてルフィアが、ぼんやりと目をこすりながら目覚めた。

「おはよ…レッくん…」
「ああ、おはよう…」

　カーテンの隙間からは昇り始めた朝日が差し込み…そして、二人の身体は余すところなく淫液に塗れている。これ自体はいつもの事だ。
　違うのは、お互いに昨夜の交わりの記憶がないということ。
　いや、正しくは、記憶がないわけではなく…

「…ね、どんな夢見た？」
「あ…あ〜、その…だな、えっと…」

　とてもではないが、言えない。
　『ルフィアの産んだ卵を弄ぶ夢』などと。

「…どうしても、言わなきゃダメか？」
「い、言ってくれないと、レポート、書けないし…」

　レポート。
　そう、つい昨日の『魔法道具学』の講義で、グレゴリー達を含めた受講生全員に課題が出されたのだ。

（あんな夢見るなんて…とんでもない道具だな、これ）

　ひと仕事終えたばかりの妖艶な意匠の香炉を手に取り、くるくると回す。
　香を焚けば、現実にはあり得ないほど淫らな、しかしはっきりと心に残る夢想の世界へと誘う香気を出す魔道具『夢想の香炉』──
　今回の課題は、全員に貸与されたこれを実際に使用して、どのような夢想を見たかレポートに書き提出せよ、というものであった。

「そ…それにしても、どうかと思うよな、こんな課題。
　つまり、自分達の頭の中をさらけ出せってことだろ？プライバシーじゃないか。
　なあ、もう適当に書いてごまかしちゃおうぜ…ルフィアも恥ずかしいだろ？」
「それは無理だよ、レッくん…
　どんな夢想を見たかは調べようと思えば調べられる、って言われたでしょ？
　怒られた上に結局内容もバレるよりは、正直にレポート書いたほうが…」
「あ、そうだった！くそっ…
　………引かないよな？」
「大丈夫。レッくんがどんな妄想してたって、私…ずっと傍にいるから。頑張るから」
「ありがたいけど、そういう返事はやめて！？心に来る！」

　この香炉が見せる夢想というのはつまり、混じりけのない、普段から心の奥底で抱いていた淫らな妄想そのものである。
　つまりグレゴリーは日頃から、ルフィアに対してあのような妄想を抱いていたという、避けようのない事実があるのだ。我ながらなんて変態になってしまったのかと、グレゴリーは頭を抱えたい気持ちになった。
　だが。

「…でもたぶん、私も同じ夢見たと思う。
　こういう魔道具って、カップルで使うと同じもの見るみたい」
「え……本当に？」
「うん。
　間違ってなければ、その…レッくんが、私の産んだ卵を使って…」
「う、うおおおおおッ！！」

　先程のあの変態極まりない発想は、はっきりと知られてしまっていたらしい。
　あまりの恥ずかしさに、グレゴリーはベッドの上でじたばたと悶える。自分に辱められるルフィアの気持ちが少しわかった気がした。

「はぁはぁ…悪かった……」
「大丈夫だってば。
　魔物娘として、旦那様のエッチなお誘いは大歓迎なんだから♪本当だよ？」
「…ありがとう」
「さ。後始末して朝ごはん食べて、レポート書かなきゃ！」

　いずれ正式に結婚し、本当に子供ができたとしても、なんだかんだで主導権はいつもルフィアが握るのだろう。そう予感させるやり取りだった。



「…ところでさ。
　人魚の生理…あれってオレの妄想で、現実とは違うんだよな？」
「え？全然違うってこともないけど…最初の方で習わなかった？」
「習ったけど、ルフィアの口から聞きたいな。夢のはじめみたいに」
「もう、また恥ずかしい事言わせようとして…まあいいけど。
　えっとね…その……」

　果たして、実際にどうなっているのかは…人魚達のプライバシーに配慮し、ここで明記するのは控えることにしよう。