読切小説
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ヴァンプモスキートVS蚊取りグッズ
 ヴァンプモスキートとは、様々な要因が重なって最近になってようやく正式な生態が研究によって判明した蚊の魔物娘である。そんな彼女達の生態は、未婚の状態では蚊に近いことが確認されている。
 しかし、彼女に襲われて婿になった人は大半が蚊に対する対策をせず、蚊取り線香、蚊帳、ノー○ットという便利な蚊取りグッズを使用せず、網戸を固定していなかったという。
 そこで、ヴァンプモスキートにはこれらのグッズが対策になるのかという疑問が浮かび上がってくる。

というわけで、実際にやってみた。(なお、殺虫剤は非人道的な兵器であるため使用していません。)

 エントリーナンバー1 蚊取り線香
「え、蚊取り線香って効くんスか?」
 生けに……もとい、実験台になってもらうのは最近胸元に七ヶ所も蚊に刺された跡のあるという北野健君。
 蚊取り線香と対決してもらう彼女、カーミラさんとの関係は?
「幼馴染みっつーか、腐れ縁っつーか…………て、それ今関係ありますか?」

 実際にご覧ください。
『エントリーナンバー1! 蚊取り線香VSヴァンプモスキートの世紀の一戦! 戦いの火蓋が今、切って落とされようとしています!』
「あ、けんくーん。話ってなにかなぁ?」
「話? ……ああ、ちょっとな……」
「あ、もしかして私に告白かな? フィヒヒ」
「いや、そういうんじゃなくて……」
『熱い熱い! 秋なのに真夏のような熱さです! ……どこかに殴っても良い壁はないですか?』
「ちょっと試してみたいことがあってさ……」
「試してみたい、こと?」
『北野君が右手で合図! スタッフに点火要請の合図だ!』
「蚊取り線香で囲んだらどうなるかなって」
「え」
『不意討ちの一撃! これは(北野君の未来が)厳しい! さて、どうなる!』
「ケホッケホッ、ふにゃー……」
「騙してわ……ゲホゲホッ」
『蚊取り線香をカメラの前においたせいで見えない! よいこのみんなはヴァンプモスキートさんにこんな酷いことしちゃいけないぞ!』
「ゴホッ…………やったか!」
「けーんくーん、イヒヒ……そんな悪いことしちゃう子には、お仕置きだぞー」
「え、効いて……ない?」
「お仕置きするからー、暴れないでねー」
『(無言の壁殴り)』
「ちょ、首は……」
「ちゅーっ」
『……さて、このあとは言わずもがなの展開です(判ギレ)次いきましょう』

エントリーナンバー2 虫除けスプレー
「きかないと思うんですけど……(名推理)」
 次の生け贄は加賀 美崎君。近所に住んでいるヴァンプモスキートのお姉さん、アルさんとの関係は?
「なんていうか……年の離れた姉弟みたいな関係……ですかね。」
 青春ですね。

 ……実際にご覧ください
『今回はリビングに仕掛けた隠しカメラからの映像です!』
「やっほーみー君! 元気してた?」
「元気でしたよ。……って、このやりとり昨日もしませんでしたっけ……」
「あはー良いじゃん良いじゃん!」
『……どうやら虫除け効果はない様子。さてここからが本番! 何が起こるのでしょうか!』
「ところで……ミー君、キミの体から私の大っ嫌いな臭いがするんだけど」
『おおっとどうしたことか! 効果がないと思いきや、やはり気になるようです!』
「え、それは……」
「……まさか……(かぷっ)ミー君、私を嫌いになったとか……(かぷっ)そんなワケ……(かぷっ)」
「あへゃぁぁ〜……か、噛むのやめてぇぇぇ〜」
『…………いやぁ、青春ですねぇ』

エントリーナンバー3! 『蚊帳』!
「蚊にしか効かねぇだろ! いい加減にしろよ!」
 次の被害者は香取 蓮司君。最近ストーカーに悩まされているとか。
「……ああ、最近妙な蚊の女に付きまとわれててな……で、お前ら、あいつの仲間か?」
 機嫌が悪いですね。なにか悪いことでもありましたか?
「誘拐されて椅子に縛られたら誰だって期限悪くするわ! ふざけんじゃねえよオイ!」
 ……でも、今日でストーカー被害からはおさらばですよ?
「童貞ともおさらばじゃねえかふざけんな離せよ!」

 ……実際にご覧ください。
「離せ! 離せよ! なんでよりにもよってこんなうっすい蚊帳の中に縛っていれた! 蚊帳なんて2枚かさねたところでかわんねぇだろ! 離せ! 出せ! 出してくれよ! スタッフ!」
「ふぃーひひひ、やあやあ蓮司君。こんな子供だましの中で自ら囮になるなんて、どういう風の吹き回しかなぁ? ボクに教えてくれないかなぁ?」
『蚊娘対蚊帳! ……ファイッ!』カンッ!
「ふぃーひひひ、こんなトラップ、キャンディー舐めながらだって抜けられ……(ぐいっ)……あら……ひっかった」
「……え?」
『ゴウランガ! なんたることか! 彼女の何処にあの蚊帳に引っ掛かるような場所が……胸以外に、あるのだろうか!』
「さあ、ハンティングゲームの前の知恵の輪といこうじゃないかぁー! ……あら、余計に絡まってるよ……」
『彼女が乱暴に引っ張るせいで、蚊帳がただの網と化してしまった! さてどうする! 香取少年……抜けた! 香取少年一足先に縄抜け! そして一目散に』
「…………、……ちょっとじっとしてろよな……動いたら余計絡まるぞ?」
「え?」
『おおっとこれはどうしたことか! 香取少年迷いながら彼女に絡まった蚊帳をほどきはじめた!』
「……あ、ありがと……」
「…………」(無言の逃走)
「ちょ、ちょっと待ってってばー!」
『この後無茶苦茶セックスした』

 結果、効果があるのは蚊帳のみだった。
 みなさんも、ヴァンプモスキートの少女に付きまとわれている場合はこれらの方法をお試しください。確実でないとはいえ、稀に追い払える可能性があります。



おまけ とあるスタッフの放送日の日記

窓ガラスが音を立てている。巨大な蚊の羽音が共鳴させているかのようなカタカタという耳障りで小刻みな音を。
ドアが音をたてている。
何かつるぺたしたちいさな胸の者が体をぶつけているかのような音を。
ドアを押し破ったところでわたしを見つけられはしない。
いや、そんな! あの羽根は何だ! 外に! 外に!
15/10/14 17:50更新 / ウマノホネ

■作者メッセージ
これでモスキートSS一週間遅刻!降格確定だ!
???「和久名真王、彼はもう終わりですね」

さて、無事遅刻しましたが、どうだったでしょうか。感想お待ちしております

感想の例
シンクロ次元のS君(94歳)「所詮出オチでしかない遅漏なSS……馬鹿にしているんだ、同じ魔物娘好きなのに……!」
シンクロ次元の絶対王者「お前も口にしたな、エンタメSSと……だが、お前のSSは独りよがりにすぎない!エンターテイメントには程遠い!お前には俺の立つ頂まで登ってくる力はない!」

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