連載小説
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快楽よ、我が魂を狂わせたまえ

 再開発促進街区。俗に西街区と呼ばれているその場所は、夜闇の静寂を引き裂くような喧騒と怒号に満ち溢れていた。携帯型の魔力波計測器を携えた自警団員がそこかしこを駆け回っている。その様子から察するに、まだ使い慣れていないものが多いのだろう。
 魔力波計測器は元来、未開の地や古代遺跡を調査する際に、其処に潜む魔物の早期発見を目的として製作された魔法具である。魔物に関連する事件が多いオルネスト市が治安維持の観点から試験的に導入を始めたはつい最近の話だった。当の自警団員らも実際に使う機会がこうも早く訪れるとは思ってもいなかったのだろう。
「市内における下水道の出入り口は、全て封鎖が完了しています」
 現場に到着したコンラッドを案内しながら、クリミア・シャーウッドはよく通るハスキー・ヴォイスでそう告げた。現役時代はドミニク・ロッドウェル大尉の部下として国境線の防衛に従事。彼が退役した後もその人柄を慕って追い掛けるようにオルネスト市に移住し、現在は自警団の訓練にあたっているという異色の経歴を持つ女性である。謹厳実直を絵に描いたような人柄と容姿から、同僚達には『軍曹』の階級を冠して呼ばれる事が多い。とても三十路を間近に控えたとは思えない若々しさだが、下手にちょっかいを出せば得意の軍隊格闘術で返り討ちにされるので注意が必要である。
「現在地は?」
「恐らくB−3地点に潜伏しているものと思われます。今のところ計測器の振幅が最も強く、また被害者の発見された場所からそう離れていません。確度は高いかと」
 仮設テントに広げられた下水道全域の地図に目を落としつつ、コンラッドは頷いた。クリミアが指差した『B−3地点』へと続く道は、彼らが今いる下水道入り口から真っ直ぐに道が繋がっている。これならば、途中で迷うような事もない。
「成る程。では先ずそこから攻めますか。貴方がたは引き続き計測をお願いします」
「了解です。それと道中の護衛ですが、私があたらせて頂く事になりました」
 淡々とした口調に職業軍人だった頃の自信を混ぜ込みながらクリミアが言う。
 しかし。
「要りません」
 コンラッドはその提案を一蹴した。
「……は?」
「内部に降りるのは私だけで結構です。クリミアさんは邪魔をしないよう、魔法具ひとつも満足に扱えない自慢の部下を指導して頂ければそれで結構です」
 相手の立場や感情をまるで慮る様子のない、自分勝手な言動。当然の如くクリミアは不快感を示した。鋭い目付きが険しさを増していく。コンラッドが魔術師でなかったら殴り飛ばしていたに違いない。
 魔術師という人種は総じて自尊心が高い傾向にある。人間の常識を遥かに凌駕する能力や国府から与えられた数々の特権が、多くの魔術師を傲慢にさせるのだ。あるいはそれを羨む者の嫉妬に対抗する為の防衛意識がそうさせているのかもしれない。
 ランタンの明かりに照らされた下水道の入り口を眺めるコンラッドを、クリミアは真っ向から睨み据える。彼の実力はクリミアもよく知っていたが、だからといって独りで魔物に臨むなど、作戦の遂行に大きなマイナスを与えかねない。
「失礼かもしれませんが……勝率はいかほどですか」
「貴方の求愛にドミニクさんが応じる可能性よりは高いかと」
「……っ!」
 瞬間的に脳が沸騰する感覚を完全に抑え込むのは、さしものクリミアにも容易では無かった。握り拳を振り上げるのはどうにか我慢できたが、代わりに剥き出しの敵意が全身から発散されている。その様は周囲に居た他の自警団員が慌てて彼らから距離を置こうとした程だ。
「おや。怒らせてしまいましたか?」
「………………」
「そう睨まないでください。ほんの冗談ですよ」
 思い付く限りの罵詈雑言を脳内で捏ね回していたクリミアに、当のコンラッドはあくまで慇懃な態度のまま訂正した。
 軍隊を抜けてまで元上司に付き従ったのは彼の人間性に憧れたからであって、決して恋慕の情が介在していた訳ではない――というのが常々クリミアが繰り返している主張だ。不用意にその辺りの事情を突かれる事は彼女にとって最も侮辱的な行為なのである。
 それを知った上で、意味も無く『単なる冗句』を口にする。
 悪趣味にも程があった。
「戦闘行為の巻き添えになる可能性がある、というのが実際のところです」
「ならば問題ありません。自分の身くらい自分で守れます」
「無理ですね」
 クリミアの反駁がいとも簡単に切り捨てられる。
「理由はふたつあります。まずひとつがダークスライムの特性です。彼女らは人間の女性と遭遇した場合、同化吸収を試みます。それも真っ先にね」
「…………なっ」
「その後、対象者の体構造を分解・再構成し、最終的に相手をダークスライム――つまり自分の同胞として『出産』するのです。下手に近付けば敵を増やすだけの結果になるでしょう」
 専門家の発言は重たい。
 初めて聞かされるダークスライムの能力に、その場に居た誰もが一様に口を閉ざした。直接的なダメージこそ与えられずとも、撹乱や時間稼ぎといったサポートを行う事で作戦の成功に寄与できる――そう思っていた。それが逆に足手まといどころか討伐対象の増加を誘引する危険があるとなれば、確かにコンラッド独りで挑んだ方が良いだろう。
「もうひとつの理由は、単純に同士討ちを避ける為ですね。不定形生物であるダークスライムに衝撃破の類は通用しません。下水道という閉鎖環境では火炎・氷結といった温度の変化を伴う術もアウトです。私の習得している攻撃魔法のストックでそれ以外に使用可能なものとなると、今度はあまり周囲を気遣っていられないようなものばかりになります」
「……っ…………解り、ました」
 それが決定打となる形で、漸くクリミアは同行を諦めた。
「結構。ではそろそろ参りましょうか。あまり時間をかけて標的に移動されても困りますし」
「……宜しくお願いします」
 クリミアは深々と一礼をして、コンラッドを送り出す。
「言われなくとも」
 対する『魔物狩り』は、どこまでもにこやかな調子で眼鏡の縁を押し上げた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 乾いた靴音が、下水道の坑内に刻まれる。
「……誘惑魔法」
 粘り気のある汚水の流れに紛れ込ませながら、コンラッドは呟いた。
 トンネル内部に侵入してすぐに、淫蕩な香りが漂い始めたのを嗅覚が察知していた。それが単なる芳香でない事を魔術師としての知識が告げている。其処に含まれているのは微量ではあるものの指向性を伴った魔力の波長だ。
 人間の精を糧とする魔物としては標準的な能力だろう。幾多もの対魔物戦闘を経験してきたコンラッドにとっては容易に予想可能な初手だった。下手に索敵魔法など使っていれば鋭敏化された五感が即座にジャックされていたに違いない。
 この時点で、既に侵入者の存在は先方に気付かれていると見て良かった。
「香りと喘ぎ声で標的を陥れるタイプですか……ふむ」
 慌てず騒がず。冷静に中和魔法を展開する。
 耳を澄ませば、ぴちゃぴちゃと妖しげな水音がそう遠くない場所から聞こえてきた。誘うような甘ったるい官能の声もだ。どうやら自慰行為に浸っているらしい。
 案の定、その場から数分も経たぬうちにコンラッドの視界は暗がりに座り込んだ女性の人影を発見していた。片手で乳房を愛撫しながら、もう片手で陰部を擦っている。上手く人間に化けているようだが、皮膚の色と体内に浮かぶ球体は異形のそれだ。誘惑魔法の虜となっていればそれらも魅力に感じてしまうところだが、生憎とコンラッドにその効果は適応されていない。
「……んっ……ふぁ……お兄さぁん……」
 とろけるような微笑みを浮かべながら、ダークスライムの少女は視線を持ち上げた。
「……ねぇ……遊んでってよ」
 娼婦のような口振りだ。幼さの残る顔立ちには聊か似つかわしくないが、そういったギャップを楽しむ事が出来る者ならば誘惑魔法の補正なしでもこの少女の誘いに乗るだろう。スライム種というよりも、むしろ小悪魔……インプのような印象がその少女にはあった。
「ククク……良いですねぇ」
 少女に調子を合わせるように、コンラッドは頷いた。
 非力な魔術師が魔物を相手取って戦う場合、相手を騙し油断させるのが常套手段だ。その例に漏れず、コンラッドも演技力には自信がある。ことさらに下卑た笑みを携えながら掌をたわわに膨らんだ乳房へと差し伸べ――。
 何の予備動作も介さずに、事前に準備しておいた魔法を発動させた。
「きゃううううっ!?」
 痺れるような刺激を受けて、少女が悲鳴を上げた。豊満な胸が泡立ち、弾力のある手触りが失われていく。体内に圧縮されていた肉体の余剰分がドロドロと汗のように流れ出し、足元に粘液溜まりを作り出していった。
「……くっ!」
 どういう原理かは知らないが、膝から下が完全に液化した状態でダークスライムは跳躍した。天井にべちゃりと張り付くと、再び少女の体を再構成していく。
「ちぇ。気付かれちゃったか」
 上下の逆転した不自然な体勢で、ダークスライムは嘆息した。
 たちどころに正体が露見したのにも関わらず悔しがっているような様子は無い。まるで悪戯がばれた子供が拗ねているかのような口調だ。
「お兄さん、何者?」
「魔術師です。貴方を捕獲しに来ました」
「ふぅん」
 自分から聞いておきながら、さして興味の無さそうな反応。当然と言えば当然だ、排除すると言われて喜ぶ者などそうそう居ない。
「諦めてくれない?」
「一応、仕事ですので」
「そっか」
 会話が終わると同時に、少女の両手が槍の形に硬質化した。質量を圧縮して形成した紫色の武具だ、勢いが乗れば人間など簡単に貫く事が出来るだろう。
「こういうのって、あまり好きじゃないんだけどさ」
「その意見には賛成です」
「気が合うじゃん、私達」
「かもしれません」
「今度ご飯でも一緒にどうかな?」
「その時は美味しい料理をご馳走しましょう」
「あは、楽しみにしてるね」
 他愛ないが故に、酷く場違いな会話ののち――。
 先手を取ったのはダークスライムだった。
 飴細工のように腕がぐぅんと伸び、真っ直ぐに襲い掛かる。コンラッドはそれを後方に跳躍して回避しながら、新たな魔法を選択した。
「幾つかお聞きしたいのですが、宜しいでしょうか」
 空間固定の魔法で、進路を変えて飛来する槍を防御。
「なぁに? スリーサイズと年齢は秘密だよ」
 見えざる壁に阻まれた腕が、今度は棍棒へと変形する。
「ご出身は?」
「首都だよ。お母さんは魔界の生まれらしいけど」
 魔法の障壁が殴打によって破壊された。それを悲観する間も無く、更に後退。
「この街にはどうして?」
「観光かなぁ。馬車の乗り心地は最悪だったけどさ」
「旅行会社には文句を言わないといけませんねぇ」
「うん。でももう良いや、ガイドさん美味しかったし」
「成る程」
 これで魔物の発生理由は明らかになった。首都の住む好事家が囲っているダークスライムを分裂させ、それを何処かの誰かに販売しようとして返り討ちにあってしまった。つまりそういう事なのだろう。
 ある程度まで距離を開けたところで体積の限界が訪れたのか、腕の動きがそこで止まった。すかさず閃光の矢を放つがやはり効果は薄いらしい。粘液塊の一部が光熱によって蒸発したものの、さしたるダメージとは成り得ないようだった。
「他に聞きたい事はある? お兄さんインテリっぽくて私の好みだからサービスしちゃうよ」
「それは光栄ですねぇ。しかし長々とお喋りしていると、職務怠慢で怒られてしまいます」
「そんなの無視しちゃえば良いじゃん、もっとお話しようよ」
「すみません。私も勤め人なものですから」
「ぶー。お兄さんのケチ」
 頬を膨らませながら、ダークスライムの体が天井から剥離した。粘り気のある落下音。少女の擬態が自重で潰れ、また新たに復活する。
「良い子だから、拗ねないでくださいよ」
「……ちゅーしてくれたら許してあげる」
「ご冗談を。それだけじゃ済まないでしょう?」
「うん、多分ね」
 腕と髪が、一斉に無数の細長い触手へと変貌する。今度は手数で攻める積もりらしい。
 新たな魔法をチャージして身構える。
「そぉれっ」
 爆発的に放出された触手の群れが四方八方から飛来する。コンラッドは広範囲に撒き散らす雷撃魔法で迎撃。しかし少女は何の躊躇も無く感電した触手を切り離すと、本体にその効果が及ぶのを防いだ。
「――なにっ!?」
 残った触手が融合し、その質量を肥大化させて前進する。
 新たな魔法をチャージする暇は無かった。
 両手両足、そして胴体と頭部にそれぞれ触手が絡み付く。それらは万力のような圧力を以てコンラッドを締め上げた。
「あはははは! つーかまーえたーっと!」
「ん……くっ、ふ……!」
 吐息のようなか細い呻き。肺が圧迫され、思うように呼吸が出来ないのだ。これでは新たに呪文を唱える事も、ましてや発動させる事も難しい。
 勝利を確信したダークスライムが、悠然とコンラッドへ歩み寄っていく。
「最初の魔法も電撃だったでしょ? 得意なのかもしれないけど、お兄さん芸が無いなぁ」
「……読まれて……いましたか……」
「うん。悪いけど、すっごく解りやすかったよ」
「……屈辱……ですね……」
「落ち込まないで、お兄さん。人間が私と戦って勝てる訳ないんだから」
 役目を終えた触手がずるずると本体へ回帰していく。身動ぎすることで離脱を試みるコンラッドだったが、そうした抵抗も虚しく少女の胸へと抱き締められてしまった。
 まるで泥沼に沈んでいくような感覚。
 即座に拘束はコンラッドの体中へと及んでいった。
「そういえば……質問……最後に……もうひとつだけ……ありましたよ……」
「ん。なぁに?」
 瞳に爛々と色欲の輝きを灯して、少女は首を傾げる。
「このあと……私は……やはり……殺されるのでしょうか……?」
「最初はその積もりだったんだけどね。でも、約束したじゃん」
「……?」
 ゆっくりと、丁寧に。コンラッドの衣服が一枚ずつ剥ぎ取られていく。
 愛おしそうに胸板を指でなぞりながら、ダークスライムは笑った。
「美味しいご飯、ご馳走してくれるんでしょ?」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「んふ……お兄さん、もう勃起しちゃってるじゃん。もしかして期待してた?」
「……さて……どうで……っ……しょう、ね……」
 コンラッドは身動きひとつも取れないよう拘束された状態で、下水道の床に寝かされていた。純白のスーツは全て脱がされ、その上からダークスライムが馬乗りになっている。股間の剛直が優しく愛撫されると、びくびくと痙攣を繰り返していた。
「魔術師の精って、魔力たっぷりできっと凄いんだろうなぁ……ふふっ、楽しみ」
 ゆっくりと少女の腰が持ち上がる。肉棒に手を添えたまま、焦らすような緩慢さで少女の秘所へと導かれていき――。
 ぬちゅっ。
「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
「ぐ……おぉぉぉぉっ!」
 コンラッドの腰を跨ぐ姿勢――騎乗位で結合が果たされる。
「あっあっあっあっああぁぁぁぁぁ!! 入ってきたぁぁぁぁぁぁぁあああんっ!!」
 青筋の浮かんだ肉棒が、半透明の肉体に深々と潜り込んでいく。
 にゅるにゅると収縮を繰り返すダークスライムの体内は、人間の女性では決して味わう事の出来ない快楽に満ちていた。まだ動いてもいないのに容赦なく送り込まれる刺激がコンラッドを翻弄する。
「んはぁ……気持ち良いぃぃぃぃ……。この瞬間、凄く好きぃぃぃぃ」
 ダークスライムに恍惚の表情が浮かぶ。すぐにでも射精したくなるのを必死に堪えながらも、コンラッドの理性は徐々に性の欲求で占められていった。
「あはぁぁぁぁぁぁッ。う、動くよお兄さんっ! 私、動いちゃうよっ!!」
 碌に言葉も話せぬコンラッドにわざわざ確認を取りながら、少女が膝立ちになる。
 半透明の肉体に、自分の分身が埋まっているのがよく見えた。
「あんっ! うぅンっ! 凄いよこのチンポっ! 硬くてっ、熱くてっ、太くってぇ!!」
 ムードも何もない、初めからフルスロットルで上下する少女の体。下敷きにされたコンラッドは粘液の海に固められて指ひとつ満足に動かせぬまま、押し寄せる快楽にじっと耐えていた。
「んひっひぃぃっ!! お兄さんの、逞しくて気持ち良いっ!!」
 激しくグラインドするたびに、ぱちゅんぱちゅんと濡れた音を立てながら互いの肌がぶつかり合う。決して逃げ出さないよう小さな触手で屹立したペニスを絡め取りながら、少女は限界まで奥へ奥へとコンラッドの亀頭を誘っていた。
「ほらほらっ、お兄さん気持ち良い? 気持ち良いでしょっ? 私のおまんこぉっ!!」
「うっ……く……ぐぉぉぉぉっ…・…」
「ねぇ見て! お兄さんの素敵チンポがっ、スライムのおまんこ串刺しにしてるの見てぇ! ほらっほらっ! 美味しそうにチンポ咥え込んで涎たらしてる、スライムまんこぉ!!」
 体内で蠢く肉棒を見せつけようと、その動きが円を描くような横の動きに切り替わる。
「んあっ! はひぃぃぃぃぃぃっ!! ああもうイクッ! イっちゃうよぉぉぉぉぉぉ!」
 びくびくと痙攣するダークスライムの裸体。押し寄せる喜悦を狂喜の表情で迎え入れながら、なおも貪欲に快楽を貪ろうと小刻みに腰を震わせている。
「んはぁぁもっとぉぉぉぉ! もっと気持ち良くなりたいぃぃぃぃっ! あああまたイクぅぅッ! イクッイクッイクッイクぅぅぅぅぅっ! イキすぎてまたイキっちゃうよぉぉぉぉぉ!!」
「……ぅ……かは………っ……くあぁぁぁぁっ!」
「アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! イイぃぃっ! チンポとってもイイぃぃぃぃぃっ!私もう止まんないよぉぉぉ! 腰カクカク止まんないよぉぉぉぉぉぉ!」
 絶頂がキーになったのだろう、少女の興奮はトップギアに入っていた。恥ずかしげもなく痴れ狂い、淫らな言葉を連発する。肉欲のダンスに無理やり付き合わされるコンラッドの表情には、もはや先程までの理性や嫌味たらしい自信など欠片も残っていなかった。
「お兄さんっ! お兄さんも動いてよぉ! おっぱい揉んでぇぇ! 腰も振ってぇぇぇぇ!」
 コンラッドの腰と腕が粘液の戒めから解放された。再び魔法で反撃されるのではないかという懸念は既に消滅している。これだけ魔性の悦楽を浴びせ続ければ、いかに屈強な戦士だろうと欲望のまま快楽を求める野獣に成り果てるからだ。
「ひひゃぁっ! そうっ、そうだよ気持ち良いよっ! でもまだ駄目っ! まだ足りないっ、もっと強く揉んでぇぇぇぇ! スライムまんこぐちゃぐちゃに犯してぇぇぇ!」
 少女の動きに合わせてコンラッドが腰を打ち込んでいく。上下に揺れていた胸は指先が内部に沈み込むほど強く握り締められていた。それでもまだ物足りないのか、底無しの性欲を満足させるべくダークスライムはもっともっとと激しくせがむ。
「くぁッ! これでっ、どう、ですかっ!」
「気持ち良いっ! 気持ち良いよお兄さぁぁぁぁん! イクっ! イクイクイクイクゥゥゥ! ああもう駄目っ! 激しすぎて目がチカチカしちゃうよぉぉ! あっあっあぁぁぁ!!」
「うっ! うぐぁっ! 私も、そろそろ、限界、ですっ!」
「イクのっ、お兄さんイクの!? まだ駄目ぇ! 一緒に、一緒にイクんだからもうちょっとだけ待ってぇぇ! んあひゃぁぁ!! イクイクッ! もうイクッ! 飛んじゃうぅぅぅう!」
「ぐ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「イクうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
 
どくっ! どくどくどくどくどくっ!!

「あっ、あぁぁぁぁっ! 凄い、凄いのぉ! お兄さんの『精』がどんどん流れ込んでくるのぉぉぉぉ濃い『精』がたっくさん流れて……あれ……流れて……こない?」
「やれやれ。ようやく仕事が片付きました」

 その瞬間、異変は起こった。
「えっ! ちょ、なにっ! 魔力が逆流し…んひひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 全身に蓄えられていたダークスライムの膨大な魔力が、まるで濁流のように結合部へと吸い寄せられ始めた。今まで味わった事のない壮絶な快感の渦。突然の事に、少女は成す術もなく絶叫した。
「やめてぇぇぇ! お兄さん魔力バキュームやめてぇぇぇぇ! くっ、狂うぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
「この程度で魔物の精神は狂ったりしませんよ。ご安心ください」
「はひゃひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!? イクっ、イきゅうううぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
 見る間にダークスライムの体色が薄まっていく。魔物にとっての生命エネルギーである魔力を根こそぎ吸引された事で起こった副作用だ。人間の擬態を保つ事も難しくなっているのだろう、体の各部がボコボコと泡立っていた。
「なんでっ!? なんで魔力がぁぁぁぁッ!? またイクッ、イクぅぅぅぅぅぅ!!」
「タネ明かしをしますとね、私はもう人間じゃあないんです」
「いひっ!? いひぃぃぃぃぃぃぁぁぁああああっ!!!」
「魔物と交わり続けた結果、より性感を得るのに相応しい肉体への最適化が行われた進化形。一般的にインキュバス、と呼ばれる存在です。私は貴方たち魔物から魔力を吸収し、糧とする事ができます。首都で育った貴方には初めての体験でしょう?」
「イクッ! イクイクッイクぅぅぅぅッ! い、インキュひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
 白目を剥き、絶頂に絶頂が重なる苦しみで悶える少女。押し倒されたままの体勢で楽しげにそれを見上げながら、コンラッドは説明を続けた。
「最初に私が行使した魔法ですが、あれは電撃の魔法ではありません。男性の『精』を魔力に還元しようとすると反応し、その働きを乱して逆に魔力を放出させる……ま、噛み砕いて言えばウイルスですよ。世間には全く出回っていない、私オリジナルの術式です」
「あはぁぁぁぁぁぁッ! らめてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!! もう許ひてぇぇぇぇぇええっ!!」
「ははは、遠慮は要りませんよ。折角の『料理』なんですから。たっぷり味わってください」
 こうしている間にもダークスライムの魔力は減り続けていた。もはや生命維持さえ難しい段階に差し掛かったところで、コンラッドは漸く術式を解除する。
「……あヒぃぃぃぃぃぃぃっ……あヒぃぃぃぃぃぃっ……」
 地獄の悦楽からやっと解放され、少女はコンラッドの胸に崩れ落ちた。荒い息が彼の耳元に吹きかかる。
 しかし。まだ終わりでは無かった。
「さて。ではそろそろ、本来の目的も果たすとしましょうか」
 コンラッドのどこまでも穏やかな呟きと共に、ダークスライムの体内へと魔力を帯びた右手が突き込まれた。
「んひゃああああああああああああああああああああああ!!?」
 意図せぬ異物の侵入に、ダークスライムは目を白黒させて飛び跳ねる。
 粘液質の肉体を支配する彼女の心臓部……コアを鷲掴みにされたのだ。外部からの刺激に対して非常に敏感な大弱点に容赦なく与えられる負荷。それは弱り切った少女にとって、魔力の吸引とは比べ物にならない程の快楽だった。
「イクうううううううううううううううっ! またイっちゃうううううううううううううううっ!!」
「ええ。存分にお楽しみください」
「イグぅぁぁあああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 びくっ! びくびくびくびくびくっ!!


      きもち

                いい

                            イク
        
     

                                   い           く


「では、ごゆっくり」



  
10/02/07 21:25更新 / クビキ
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■作者メッセージ
お読み頂き、有り難う御座いました。
3作目『肉欲に溺れたスライム娘』の第2章をお届けします。
前半は単なる会話でしたが、後半から漸くエロが入れられるようになりました。
個人的な趣味たっぷりの内容でしたが、いかがだったでしょうか?
予定通りにいけば今作はあと2話ほど続きます。それぞれ違ったタイプのエロにしたいと思っているのですが、私の嗜好がかなり偏っているのでお読み頂ける魔物好きの皆様に受け入れて貰えるか、飽きられはしないかが心配です。
宜しければ、もう暫くだけお付き合い頂きたく思います。
お気付きの点やご感想、ご要望など御座いましたら、感想欄にて遠慮なくお知らせください。

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