連載小説
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彼女こそがバフォメット
今日は定期開催「黒ミサ」の日

サバト本部に集められた者たちは口々に会話を始める

「ねぇねぇ〜、あなたはお兄ちゃん見つけられた?」

「私は全然!だって釣り合いそうな人が見つからないんだもの!」

高い声は魔物娘の声

「いやぁ色々な幼女に出会えて某幸福の極みでござるwww」

「吾輩もでござる同士wwww」

「「デュフフフフフフフwwww」」

低い声はインキュバスと人の声

飯を食らい、杯を交わし、会話を交わして親睦を深めるのも

黒ミサの1つの楽しみ。

しかしそれは黒ミサの余興でしかない

彼ら彼女らが待ち侘びしことはただ一つ

「お集りの方々!しぇいしゅくに願いましゅ!」

盛大に噛みながらも、高く響き渡る右の鐘

「教皇様が入場なさります!ご静粛に!」

丁寧な口調で、大きく響き渡る左の鐘

左右の鐘の音に合わせるかのようにざわめきが静まる

同時に小さくまとまる一つの主張

「あぁ、教皇様があられになるぞ」

「あぁ、早く会いたいなぁ」

「教皇様ぁ」

教皇様、教皇様、と大勢が小さく鳴く

やがてそれらも小さくなり、会場が一つの空間と化した時

「それでは!教皇様!ご入場ください!」

司会は大きく口を開いた



手先、足先には獣のそれをもち

掴んだ歪な鎌は虚空に火の玉を抱く

姿態は驚くほど幼く

頭に揃った山羊にも似た大きな角と髪飾りもまた

不釣り合いな不気味さを漂わせる

どうして彼女が高貴な魔物と言えようか

しかして他者を寄せ付けぬ気品を帯びしその立ち振る舞い

彼女こそが「黒ミサ」の女王

彼女こそが「サバト」の教皇

バフォメットである



その姿に見惚れる者、口を開いたまま立ち尽くすもの、喜びに浸かるもの

様々な思いを抱えた民衆を前に、山羊は口を開いた

「やぁみんな、わざわざこの日のために集まってくれてありがとう

 正直、私から特別伝えなければならないことは特にない

 いつも通り、『幼い少女の背徳と魅力』を心に

 自身の欲に正直になってほしいと思う」

そう言って山羊は自身の杯を飲み干し、最後にこう言った

「さぁみんな!朝が来るまで狂いましょう!」

教皇の声に、民衆は口々に咆哮を掲げた

「教皇!教皇!教皇!教皇!教皇!」

「バフォ様!バフォ様!バフォ様!バフォ様!バフォ様!」

「幼女!幼女!幼女!幼女!幼女!」

「サバト万歳!黒ミサ万歳!!バフォメット教皇様バンザーイ!!!」

今日は定期開催「黒ミサ」の日

今日もまた、開けぬ夜が始まった


〜〜〜〜〜〜

ここはサバト本部

時が例え現代になろうとも、その姿は変わらず魔界にあり続ける

ただ変わったことといえば、人と魔物が和解した事によって

本部内で人の姿を見ることが増えたことや

人に向けた研究グループが立ち上げられたことぐらいである

今日もサバト本部長にして教皇のバフォメットは

書類の山に忙殺されていた

「バフォ様〜、オナホール開発陣による『幼女の極み〜ケサランパサラン編』
 
 の開発資料並び販売申請書です」

「はい、そこ重ねといて」

「バフォメット様!サバト第24支部にて新しく18名が

 サバトに入信しました!18名の各データ及び功労者の名簿です!」

「はいはいお疲れ〜、そこらへんに置いてて〜」

「バフォ様ぁ、コミックマーケットC89にて出品したものの

 販売数などなどのデータですぅ」

「はいはいは〜い」

「バフォしゃまぁ〜新設第ひゃくにじょいくサバト支部についての

 かいはつしゅりょう及びしょうごうデータと」

「えっ!?今なんて!!」

「だ〜か〜ら〜第ひゃくにじょいくサバト支部についての〜」

「あぁあぁ分かった!そこら置いといて!!」

忙しいのは相変わらずだが、この時期は多くのイベントが

重なり、デスクから離れられない日々が続く

「あぁ〜ストレスで痔ができそう」

「おおっ!幼女に痔とは新たなジャンルですな!

 次のコミケに出してもよろしいですかな!?」

「勝手にしてよ〜」

「分かりました!」

ただ彼女がストレスを溜めているのは、仕事だけが原因ではないのである

〜〜〜〜〜

「っはぁ〜終わった〜」

「お疲れ様です、ホットココアでもいかがですか?」

「気が利くねぇ、ありがと」

書類の山をこなし、時刻はもう12時を越そうとしている

「やばいなぁ、そろそろ次の日じゃん」

「いえいえ、むしろこの程度で終わらしたことが素晴らしいかと。

 私なら2,3日かかりますよ」

「またまたぁ口上手だね君」

「率直な意見を言わせてもらっただけです、誇張などではありません」

バフォメットと魔女の他愛無い会話が続く

「他の娘たちは?」

「食事に出かけたかと」

「あれ?君はいいのかい?」

「私は…その…」

「ん?」

「仕事を押し付けられまして…」

「ぷっ!ははっ!」

「あ、あの娘たちが悪いのです!自分の仕事もなぁなぁにして

 食事に出かけるなどと…まだバフォメット様も仕事を

 なさっているというのに!」

「あ〜押し付けられたってか、自分でやってあげてるのね」

「いいえ!これは最早押し付けです!」

「うんうん、えらいえらい」

「〜〜〜///」

残された魔女の頭を撫でながら、食事といえば、とふと呟く

「君、この後暇?」

「えっ?あっはい」

「良い店があるんだけど、一緒に来る?」

「え!いや、少し待たせますし、それに今手持ちがあまり」

「あぁ、全然いいよ。奢るから」

「えぇ?!あっ、えっと」

「あ、用事とかあるならいいんだ。全然気にしなくていいから」

「よ、用事はないです!はい!

 ただ、申し訳ないといいますか、なんというか」

「ん?私と行きたくない?」

「すごく行きたいです!」

「うん、じゃあ行こう」

しゃおらぁ〜バフォメット様の奢りじゃぁ〜うへぃあ〜と意気揚々と

仕事に打ち込む魔女をよそに、バフォメットは仕事中に来たメールを思い出し

ケータイを起動させた

そして何気なく開いたメールには

『わたしのおにいちゃん!見つかりました!!』

というタイトルに、友人のバフォメットと男ががキスをしている画像が

添付されていた

「…」

そしてバフォメットは

『おめでとうございます!お似合いの二人ですね!

 末永くお幸せに!!』

とメールを送った後

「…」

無言でそのメールを削除し、ため息をついた

「はぁ…」

「あひゃっひゃぁバフォ様ぁ!仕事終わりました!行きましょうご飯に!」

「ん”?」

「ひぇっ?!あっ…あっ…」

特に理由のない圧力の当てつけが魔女を襲う

「ん?…あぁ!ごめんごめん!」

「ふぇぇ…ひぐっ…うぐっ…」

足がすくんでしまった魔女は、ぺたんと座り

泣きながら失禁してしまった

(やっば!やっちゃったよ…)

この教皇クラスのバフォメット

普段は魔力やオーラが強すぎるが故、抑えているのだが

一瞬でも解放されれば凄まじく

例え魔王でさえも臨戦態勢に入るほどの圧力を誇る

ましてや魔王よりも弱い存在であれば

立つこともあやぶまれる

「どうかなさいましたか!バフォメット様!!」

サバトで働くファミリアらが魔力を感じ、すぐさま職場に駆け込んできた

「いや!これは違うんだ!ちょっとあって」

「おい!どうした魔女!ここで何があったのだ!」

「ふぇっ…あぁ…うわああああぁぁあぁぁああぁぁああん!!!」

「待てって!待てったら!」

泣き叫ぶ魔女、混乱する部下、狼狽える教皇

サバト本部の頂点にて鎮座し

自らの失態が故、狼狽えているこのバフォメット

未だ独身である
16/02/05 01:51更新 / てんぷらやさん
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■作者メッセージ
お久しぶりの方はお久しぶり

初めての方は初めまして

そして明けましておめでとうございます

てんぷらやさんです

こちらでは、『バイト天使(笑) サキュバスさん!』でも少し

登場したバフォメットについての話となります

世界観は同じ、現代で書いていきます

こちらでは地の文を含みながらの投稿となります

また、向こうほどはっちゃけませんので

「おい!もっとぶっちぎれよ!」

「イカレ方が足りねえなぁ…おい、お前ちょっとオナれよ」

という方々は少し物足りなさを感じるかと思います

他にも色々な点が『バイト天使(笑) サキュバスさん! 』と

異なっているかと思われますが、お楽しみいただけると幸いです

最後なりますが、こちらでも意見、感想、疑問など受け付けております

どしどし送り付けてください

それでは、これからもよろしくお願いします

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