連載小説
[TOP][目次]
その2
   『第六幕』

 〜世界名作が台無し劇場@〜


「(白く塗った足を差し出して)お母さんよぉ〜、開けてぇ〜♪」
「あっ、母さんだ!」
「わぁ、お母さんだ、おかえりー!」

 バタン!!
オオカミは勢いよくドアを開け、家に飛び込みました!

「ハッハッハー、まんまと引っ掛かったね!
 さあ、大人し……く………って……」

「ぬふふ、まんまと引っ掛かった様じゃのぉ♪」
 …それにしても、間抜けな狼も居たものよ…」
「しゃべる子ヤギなど、ハナからおかしいと思わぬのかえぇ〜?」
「ば、バフォ…メット……」
「おんやァ、流石にワシ等の事は知っておるようじゃナァ。」
「我らが情報交換のため、年に一度の会合を開く
 この家に来たことが運の尽き…という訳ぢゃ。」
「す、すいませんでしたァ!ちょっと家を間違えちゃって…」

「逃がさぬぞッ!」(×7)
彼女達がドアを睨みつけると、ドアはひとりでに閉まった。

「ヒヒヒ…アワー ミーティングをストップさせたクライムは、
 ソー ヘヴィーじゃぞ?ステューピッド ワーウルフめ。」
「これは、ちと仕置きが必要な様じゃのぉ?(ニヤニヤ)」
「こ…殺す……の?」
「そんな事はしませぬ、ご安心下され。
 ただ…私達の少々エッチな仕置きに、耐えていただくだけですぞ♪」
「エッチはエッチでも、Hellの方じゃがなァァァーッ!!」
「ひィィィィィィィ!!」



 数時間後…

「あっ、はあぁっ、あぐぅ、うぅあ…ひギャァァァァァァァッ!!
 しんじゃうっ、あたし、ひんじゃふからァァァァァ!」
「それ、今ので48回目の絶頂じゃ!
 100回イったら開放してやろうかの♪」
「それにしても、会議が煮詰まっていたところに、
 思わぬ退屈しのぎですな。今日は幸運ですぞ♪」
「ザッツ・ライトじゃ!ヒヒヒ…ナウ、マイ ブラザーが
 ベリー ビジーだから、ワシもロング タイム セックスレスでのぉ。」
「さァ、そろそろオヌシも幼女にしテ、サバトに入れてやろうカ?」
「心配せんでもよいぞぉ〜。サバトは教団と違って、
 どんな者も受け入れるからのぉ〜。そなたの様な盗人でもじゃぁ〜。」
「んっ、あぎぃぃ、はぁっ、はぁっ…い、いや…サバトなんて…あううッ!」
「その考え…!人格が悪魔に支配されておるッ!」
「我らも似たようなモンぢゃろ…。まあそれはともかく、強情な娘ぢゃな。
 もっと激しく責めたててやろうぢゃないか?」
「うあうっ、ひあぁ……えっ!?だ、だめぇ、そんなもの…
 そんなものいれたらぁ…あア゛ァァァァァァァッッッ!!!



 …こうしてオオカミは、子ヤギ達に散々食べられた事ですっかり改心し、
新たな幼女(しんじゃと読む)として、サバトの布教活動に努めたとさ…
めでたし、めでたし。





   『第七幕』

 暇なので、ゴーストの彼女としりとりをすることにした。

「じゃあ、最初はしりとりの『り』からな…りんご。」
「ご…強姦のような激しいプレイで、嫌がりながらも次第に感じていく私。」
「何じゃそりゃ…しょうゆ。」
「友人同士だったはずなのに、ふとした事から一線を越えてしまい、
 うろたえる貴方をそっと抱きしめ、告白する私。」
「……島」
「マゾヒストとして目覚めるよう貴方に苛烈な調教を施し、堕としてゆく私…」
「………シンバル。」
「瑠璃色の貴方の瞳にまっすぐに見つめられ、辛い過去のせいで
 固く閉ざされた心が少しずつ解けていく私…♪」


 〜中略〜


「シメサバ!」
「ば…バナナとか、いろいろな物を挿れられるけれど、
 いつまでたっても本番はしてくれず、焦れてきておねだりする私!」
「敷き物ッ!」
「脳がトロトロになるほど貴方にに感じさせられて、
 もう何もされなくてもイきっぱなしになっちゃってるのに、
 それでも激しく責められ続ける私!!」
「シーフードッッ!!!」
「奴隷として買われた私は、延々と犯され続けながらも、
 時折ご主人様である貴方の見せる優しさに少しずつ惹かれていき、
 奴隷としての立場とそれ以上に貴方を愛する心で揺れ動くの。
 でもある時、貴方も葛藤していることに気づいて、私は貴方の前に現れて
 恐る恐るこう言うのよ。『私は、貴方の奴隷である以上に……
いい加減にしろォォォッ!!!
 何でしりとりでまでお前の妄想を聞かなきゃならんのだ!
 こっちは『し』の付く言葉しか使えてねえんだぞ!
 こんなしりとり楽しめるかァァァ!!」
「え〜、私は楽しいのに…」
「お前が楽しんでるのは、しりとりじゃなくて妄想だろがッ!!」
「折角だから全部聞いてってよ。なんと50音全て網羅できたんだから!」
「ったく、またいつものパターンかよ…んで、その後俺はそいつを見せられて、
 『実体化できた暁には叶えたい妄想リスト』に書かされるんだろ?」
「そゆこと。分かってるじゃな〜い?」
「ハァ…。お前が死ぬ前からの付き合いだからな。もう分かりきってんだよ。
 リストももう30冊は超えてんぞ、そろそろ自重しろよ!?
 絶対いくつか被ってるって…」
「まあまあ。それじゃ、早速はじめましょ♪」
「はいはい…」



 彼女が実体化できるのが、待ち遠しいような、恐ろしいような…
まぁとりあえず、今日も退屈はしなさそうだ。





   『第八幕』


 あるジャイアントアントから、「最近どうも作業能率が悪い。
どうやら自分の班にアントアラクネが紛れているようなのだが、
自分達では見分けられないので、貴方に探してほしい」という依頼を受け、
探偵(駆け出し)である俺は、製作途中の洞窟へと潜った。

「しかし、入り口から見ても大きいな…。さすがジャイアントアント。」
「ありがとう。でも、まだまだこれからよ?」
「ところで、そいつを見つけたらどうするつもりなんだ?」
「近所のクイーンスライムの国にでも投げ込んでおこうかな…」
「どっかのアリ観察キットみたいになりそうだな…。」
「さあ、お願いね。私は作業に戻るから…」
とりあえず、そこら辺のアリに聞き込みしてみるか…

「最近働いてない人?ん〜、知らないなぁ…」
「ぶっちゃけ、あたし達も全員、あんまり顔の区別ついてないから、
 見ない顔がいても特に気にしてないっていうか…」
「そう…か…(意識が薄れてきた…)」
「聞くとしたら、今日休んでる2割の所に行ったら?
 あの子の班なら…確かこの先のエリアのはず。」
「あぁ、ありがとう、それじゃっ!!」
「そんなに急がなくても…」

 入り口付近の子は、フェロモンが出ていてこっちの身が危ない…
早く奥のエリアに行かなければ。

「どうやら、ここがあの子の班の休憩所のようだな…」
宿屋のように、個室がズラリと並んでいる。
一つ一つあたってみるしか無さそうだな…

 ガチャ、「失礼しま…
「ふあぁぁっ、いいよ、もっとぉ…!はげしくっ…!!」
「わ、わかった。うくッ、うおぉぉ…!」
「ハァ、ハァ、アタシ、もうダメ、ダメェェェエッ!!?」
           …したッ!!」 バタン!!

「……忘れてた…。」
夫のいるジャイアントアントは殆ど、休日の大半を夫と交わって過ごしているのだ。
俺はたまたま、その夫婦の部屋を開けてしまったようだ。迂闊だった…。

 気を取り直して、次の部屋を調べてみよう。
「おじゃましまーす…」
今度は、やや注意深くドアを開ける。
「ずぴー…」…眠っている。
どうやらこの部屋の主には夫がいないようだ。
本来なら、起こして聞き込みをしなければならないのだろうが…
疲れて眠っている女性を起こすのも気が引ける。
寝てる間に、ちょっと手がかりになりそうなものを探させてもらおう。
……いや、やましい気持ちは無い。断じて無い。これは捜査のためなのだ。
あくまでも捜査のために、戸棚を漁っていると、ホコリをかぶった日記帳を発見した。
これは重要な手がかりになりそうだ、早速読んでみよう。捜査のために。

 『今日から毎日、日記をつけることにした。』
………日記は、ここで終わっている。しかも、日付は1年以上も前………
うん、アレだ、これだけではアントアラクネだと決め付けることは出来ない。
こんな簡単に犯人が見つかっては、面白くもなんとも無い。
まさか33分まで、適当な推理でもたせる訳にもいかないしな…って、何言ってんだ俺は。
とにかく、アントアラクネなら、脚が2本余分にあるはず…

 と、その時、その娘が寝返りをうって、脚がこちらに向けられた。
………ありました。ええ、ありましたよ。8本の脚が。

「クッソオオオオオ!!」
探偵として、俺に見せ場は無いのか?血も凍るようなサスペンスは?
俺の華麗なる初仕事は、こんなに簡単に終わってしまうのか!?

 ゴソゴソ…
「……う〜ん…うるさいよ…誰?」
ああぁぁ、ヤバイ!!さっきの叫びが声に出ていたか!!?
「あ…わ…私は怪しい者じゃ……」
「めっちゃめちゃ怪しいんだけど…」
もうダメだ、探偵から泥棒、変質者に一気にクラスチェンジ…
「…てか、あんた男じゃん!!
 ねえねえ、あたしをここから連れ去って!超連れ去ってぇぇ〜!!」
………何だって?
「このままじゃ、あたしが偽者だってばれちゃうからさぁ〜。
 そろそろ男捕まえて、巣からトンズラしようと思ってた訳よッ!」
「いやいやいや、そう言われても…」
「ダイジョブダイジョブ!あたし必ずあんたを幸せにする。
 だから結婚して!あたしを連れて逃げて!!」
「うわ、足速ッ!って、いきなり服を脱がせるなァー!!
 しかも糸吐くな!!やめろ、俺は……イヤァァァーーーー!!!」










「…それが、母さんと俺の馴れ初めだったわけだ…」
「………お父さん、探偵やめた方がよくない?」



「…しかもこの話、ショートショートのくせに長いし、オチも以前の話と被ってない…?」
「……作者も、そう思っているようだ。」




   『第九幕』


「はい、次の方ー…」
「はい…」
「あ、魔物の方ですか。」
「え…いけませんか?」
「いえいえ、うちは魔物も診てますよ。どうぞ。」
「はい…」
「それで、今日はどうされましたか?」
「はい。実は私…自分の体質のことで悩んでいて…」
「どういった物でしょうか?」
「はい。まず、首が真後ろまで回転するんです。」
「デュラハンでも無いのに…ですか?」
「はい。次に、食事のときとか、無意識に手を使わず、
 直接口で食べてしまうんです。」
「ほう…」
「あと、イライラした時なんか、自分の毛を片っ端から抜いちゃうんです。」
「そうですか…他には?」
「言いにくいんですけど…その…べ、便にいつも何か、
 白い液状のものが混ざっているんです。変なもの食べたりとかしてないのに。」
「そうですか…」
「同じ種族のほかの子は、なんとも無いんです。私だけ…」
「わかりました。貴方のその体質の原因が。」
「本当ですか!?」
「はい。それは………」








「先祖がえりですね。」


「は、はあ…。」
「日常生活には支障がないようですので、大丈夫でしょう。」
「そうですか…ありがとうございました。」
「はい、お大事に。」

 そうしてハーピーの少女は、病院を後にした。




   『第十幕』

〜しょうせつ ジパング昔ばなし@〜

 とても小さいこの体でも、何か人の役に立てるはず…と、
青年はお椀の船に乗って川を下り、都を目指しました。
しかし都に到着した青年は、いま都は突如現れた鬼に宝を奪われたりして、
大変に混乱しているという話を聞きます。
しかし青年は、妖怪との交流が少々だけどある村の出身だったので、
鬼は今や一人残らず美しい娘の姿となり、かつての人間を食らう化物から、
酒好きで気のいい、豪快な性格に変わったことを知っていたため、
鬼達がそんなことをするとは思えませんでした。

…というのも、この都は古くから妖怪との交流が全くなく、皆、突如として現れた鬼に
驚き、勝手に襲ってきたと思い込んでしまっただけなのです。
鬼に宝を奪われたというのも、人間達が勝手に鬼を怖がって、
頼まれてもいないのに宝を差し出していただけなのですが。

 青年は、それなら、自分が鬼から宝を返してもらいに行く、と、
単身、鬼の住む家に向かったのでした。

 丁度その時、鬼は酒を飲んでいる最中で、上機嫌でした。
そこで、青年は言いました。
「おい、都の人の宝を返してくれないか?」
しかし、鬼は声には気づきましたが、青年がどこにいるのかわかりません。
「返してくれ…って言っても、あんたは一体どこに居るんだい?」
「下だよ。足元にいる!」
「うわぁ…、こりゃまた随分と小さな人だねぇ。」
「そんなことより、宝を返してくれ!」
「ん〜…見ず知らずの奴にいきなり言われてもなァ…」
「もしかしたらお前は、都の人たちに誤解されているのかもしれない。
 宝を返してくれたら、その誤解を解くための手伝いをしよう。」
「そうだな…わかった。じゃあ一つ、こっちの頼みも聞いておくれよ。」
「…なんだ?」
「アタイもさぁ、なんて言うか、ちょっと…欲求不満なんだよね。
 アタイを満足させてくれるような男をもらえるんなら、宝は返してやるよ。」
「……わかった。しかし、私も都へは来たばかりなのだ。
 そのような男を見繕うのは難しいな…」
「そもそもアタイは、婿探しに都へ来たんだよ。
 ねえ、そんな事言わないでさ、頼むよ。」

 その時、青年の頭に、ハタと名案がひらめきました。

「…私が、その役を引き受けよう。」
「ええっ、あんたが!?無理でしょう…」
「いや、やってみせる。すまないが、私の言うとおりにして貰えるか?」
「ああ、構わないよ。」
「ありがたい。それでは…」

 そして鬼は言われたとおり、青年を飲み込みました。…下の口で。
青年は鬼の胎内で暴れ回り、時に手で優しく擦ったり、舐めたりします。
指や張り形ではとても味わえない、隅々まで責められる快感に、
鬼はたまらず悶絶し、果ててしまいました。

「ハアッ、ハァ……ま、参った…よ。本当、凄かった…」
「喜んでいただいて、何よりだ。」
「約束どおり、宝は返すよ。そして…あんたにお礼がしたい。」

 そう言うと鬼は、都の人々が差し出した宝の中から、小槌を一つ取り出しました。

「この小槌は『打ち出の小槌』と言って、物の大きさを自在に変えられる
 不思議な力を持った小槌なんだとさ。こいつで、あんたの体を大きくしてやるよ。」
「何ッ!?それは私にとっても、有難いことこの上ない!」

 青年の長年の悩みであった体の小ささが解消できるというのです。
まさに、願ってもないことでした。

「じゃあ行くよ…それっ!」

 鬼が小槌を振ると、青年の体はみるみる大きくなり、鬼ほどでは無いけれど
とても背の高く、体格のいい美しい青年になりなした。

「…!ああ…私もついに人並みの体を手に入れられた…!有難う!」
「あのさ、宝を返しに行く前に、一つ言いたいことがあるんだけど…」
「何だ?」
「……どうやらアタイは、あんたに惚れちまったようだ。
 もし良かったら…アタシの婿になってもらえないかい?」
「…ああ。お前のような気のいい女なら、嫁に貰いたいな。」
「本当!?」
「しかし、まだ互いも知らぬ仲だろう。恋人からなら…だな。」
「それでも構わないよ、ありがとう!!」

 そして鬼と青年は、都に宝を返し、人々の誤解を解いた後、
青年の故郷に帰って結婚し、幸せに暮らしたそうな…

10/07/10 23:46更新 / K助
戻る 次へ

■作者メッセージ
…長いなぁ、今回。ショートショートのくせに。
ごく僅かにエロを練りこんでみましたが、いかがでしょうか…。
その1を読んでくださった皆様、しかも感想まで下さった皆様。
本当にどうも有り難うございました!でもこんな小説でごめんなさい!

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33