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マモニックジョーク! 2020
 〜〜注意〜〜

 このSSには(この作者の)魔物娘、教団などに対する固定観念と偏見が多く見られます。

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 ○夫婦喧嘩

 アマゾネスA「この間、旦那と喧嘩してしまって…」
 アマゾネスB「そりゃ災難だな。」
 アマゾネスA「最終的に旦那が姿勢低くしてアタシにこう言ったんだよ。」
 アマゾネスB「ほう?なんて?」
 アマゾネスA「さっさとベッドの下から出て来い。掃除の邪魔だ。」

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 ○最期

 
 年老いた刑部狸が天寿を迎え、臨終の床にあった。

 「ウチもとうとうお迎えが来よったか…」
 「そうみたいだな…今までありがとうよ、お前。」

 悲しそうな様子で、刑部狸の夫が言う。

 「愛する娘はいるか。」
 「ここに居るよ、母さん。」

 「義理の息子と孫は?」
 「居ますよ、お義母さん。」
 「ここに居るわ。おばあちゃん。」
 
 その瞬間、刑部狸は勢いよく起き上がって叫んだ。

 「なんだってぇ!?それじゃあ!一体誰が店番をやっとるんじゃ!」

 すると、静かに一人の男が現れた。

 「遅くなって申し訳ありません。師匠…いやお義祖母さん。僕に店を継がせたのを忘れたんですか?」

 すっかり立派な商人に成長した孫娘の夫の姿を見た刑部狸は、満足そうに寝転がり、安らかな笑顔を浮かべてこの世を去っていった。

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 ○プライド

 ある屋敷にて、主人のヴァンパイアが鼻息を荒くして不機嫌そうにしている。
 最初は何か気に入らない事でもあったのかと心配していたが、すぐに原因を理解した下僕(夫)は呆れてしまった。

 「鼻クソを取りたいからといって、わざと鼻息が荒くなるくらいストレスをため込むとは…」

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 ○魔物になるなら

 魔物になりたい三人の女が、魔方陣を作り上げた。
 その魔方陣は、自分のなりたい魔物娘を叫ぶとその種族になるというもので、適当な言葉でも判定されてしまうシロモノだ。

 まず最初に、一人目の女が入って叫んだ。

 「サキュバス!」

 一人目の女は、色気たっぷりのサキュバスになって男を探しに出かけて行った。
 続いて、二人目の女が魔方陣に入って叫ぶ。

 「魔女!」

 二人目の女は、可愛らしい魔女になり、ホウキに乗って飛んで行った。
 最後に、三人目の女が魔方陣に入ったが、緊張して何になりたいかが中々思いつかない。
 三人目の女が悩んでいると、どこからともなく黒光りするアイツが彼女の足元に現れた。

 「きゃーーーーー!ゴキブリーーーーーーー!」 

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 ○最も価値のあるモノ

 貴重品に精通している魔物娘達が、一番価値のあるモノとは何かについて話し合っている。

 グリフォン「それはもちろん金銀財宝に決まっている!」
 リャナンシー「人の心を惹きつける芸術品よ!」
 ウシオニ「水も空気も綺麗な山だ!」
 刑部狸「商売する上で重要な人間関係や!」
 デュラハン「伝統ある美しい武芸だ!」
 グレムリン「生活をとことん便利にする技術を思いつく頭脳だね!」
 サテュロス「数百年かけて熟成させられた酒さ。」
 ワイト「それらを全て生み出した国に決まりですわ。」
 サキュバス「私の美貌じゃないかしら?」
 
 しばらく彼女らは言い争っていたが…結局「自分の夫こそ一番価値がある」という結論に落ち着いた。

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 ○最強

 あるドラゴンが激しいイラつきで目を覚まし、出かけて行った。
 ゴブリンを見つけると、睨みつけてこう言った。

 「魔物の中で一番強いのは誰だ?」

 ゴブリンは震え上がってこう答えた。

 「ひぃっ!も、もちろんドラゴンだよぉっ!」

 次に、ドラゴンはデビルを睨みつけてこう言った。

 「魔物の中で一番強いのは誰だ?」

 デビルはおどおどしながらこう言った。

 「それは、ドラゴンじゃないかしら…力で並ぶ者はほぼ居ないわよ…」

 次に、ドラゴンはオーガを睨みつけてこう言った。

 「魔物の中で一番強いのは誰だ?」

 オーガはこう言った。

 「んなもん、ここいらじゃアタシが最強だ!」

 オーガはドラゴンに殴りかかったが、アッサリと返り討ちにされてしまった。

 「ま、参った…アンタが最強だ…これ以上は勘弁しておくれ…」

 オーガを叩きのめし、上機嫌でドラゴンが歩いていると、恐ろしい気配を感じた。
 先程の三人のそれぞれの夫が鬼の形相で腕を組み、彼女を取り囲んでいたのである。
 三人の気迫にたじろぎながら、ドラゴンは恐る恐る尋ねた。

 「えっと…魔物の中で一番強いのは誰だと思うでしょうか…?」

 三人は全く質問に答えず、ただドラゴンを睨みつけていた。
 やがて気迫に耐え切れなくなり、ついに腰を抜かしたドラゴンは弱々しい声で言った。

 「み、皆様…答えがわからないからといってそんなに怒る事はないと思いますよ…」

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 ○崖っぷち

 ある教団国の訓練学校にて、教官と生徒達が授業を行っていた。

 教官「生徒A!現在の魔物共の状態を述べよ!」
 生徒A「はい!崖っぷちに立たされています!」
 教官「では、生徒B!我ら主神教団の状態を述べよ!」
 生徒B「はい!主神教団は魔物の一歩先を行って…アレ?これって主神教団が崖から落ちてしまっているという事になるんじゃ…」
 教官「案ずるな。崖から落ちに行っている魔物とは違い、我ら教団は崖から遠ざかる方向に進んでいる。」

 だが、魔物達は崖から向こう岸にある新境地へと飛び立つべく、あえて崖っぷちに立っていたのだが、彼らは知る由も無かった。

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 ○自己紹介

 ナンパ相手のダンピールに振られた事で腹を立てたチンピラが怒鳴った。

 「クソ豚!」

 しかし、ダンピールはアッサリとこう返した。

 「最後に君の名前を教えてくれてありがとう。」

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 ○動物園

 「パパ、あれは何?」
 「あれは魔物だ。もしこの檻が無いとお前どころかパパもペロリと食べられてしまう恐ろしい動物なんだぞ。」
 「へー、そうなんだ。じゃあもしこの檻が壊れたら、僕はどうやって逃げればいいの?」
 「…。」

 檻の中にいる魔界豚の親子が客の魔物娘達を見て話していた。

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 ○将来

 ある教団国にて、ある貴族が娘の将来を決めることにした。
 娘の部屋に杖、ケーキ、金貨、魔物の人形を置き、杖を手に取れば僧侶、ケーキを取れば料理人、金貨を取れば商人、魔物の人形を取れば魔物学者にすると考えたのである。
 しばらくして貴族が様子を見に行くと、娘はケーキを食いつくした上に、懐に金貨をしまい、杖で魔物の人形をボコボコに殴っていた。
 貴族は、娘を勇者にする事に決めた。

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 ○将来(魔界編)

 魔王夫婦が、一番新しく産まれた娘のリリムの将来を決めることにした。
 娘の部屋におもちゃの剣、図鑑、チョコレート、ハーモニカを置き、おもちゃの剣を取れば魔王軍の将校、図鑑を取れば国会議員、チョコレートを取れば宮廷料理人、ハーモニカを取れば音楽家に育てようと考えたのである。
 しばらくして、魔王夫婦が様子を見に行くと、娘は部屋の中に置いたものにも目もくれず、部屋に呼んだ仲良しの男の子と一緒におままごとをしていた。
 そう、彼女は最初から将来は男の子のお嫁さんになると決めていたのだ。
 これには魔王夫婦も大満足して部屋に戻り、さっそく新しい娘を作る準備をおっ始めた。

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 ○預言者

 一人の教皇が、捕らえられた男を怒鳴りつけている。

 教皇「さあ!観念しろ!」
 男「一体私が何をしたというのですか?」
 教皇「とぼけるな!教団は魔物に勝てない、最終的に我らが主が魔に堕ちるなどとふざけた事を抜かしおって!我ら教団を侮辱した罪は重いぞ!さぁ者ども!こやつを処刑せよ!」

 男が教皇の親衛隊の手によって処刑されかかったその時、天から神々しい主神の声が響いてきた。

 主神「教皇よ、その男を開放しなさい。」
 教皇「しゅ、主神様!?一体どういうおつもりですか!?」
 主神「彼の言っていることは真実であり、覆せない運命です…そしてなによりも彼は、私たちがいる世界である「魔物娘図鑑」の作者である、健康クロス様なのですから…」
20/07/22 20:39更新 / 消毒マンドリル

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