連載小説
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稚気のお遊戯会

 礼慈はリリの口内を味わいながら、彼女の背中をゆっくりと撫でさすった。
 掌だけで大部分を覆うことができる小さな背中を肩甲骨の間から下り、腰にある羽の間に指を通す。

 そうして尻尾の付け根に指先が触れると、「んむっ」とくぐもった喘ぎ声が繋がった口を通して伝わってきた。
 震える体を抱きすくめる動きで掌を肩にまで持っていき、また背中を撫でていくと同じようにリリが震えた。

 その反応が欲情を掻き立てる。
 舌を通してリリの中に唾液を注ぐと、彼女は喉を鳴らして飲み下した。

「――、――んくっ」

 同時に尻尾の付け根を指で挟んで締めると、それまでよりも鋭い声が口の中で反響する。

「――――んんっ!」

 頭蓋骨を通して脳を直接揺さぶるようなリリの甘い声に、礼慈も押し付けていた陰茎を硬直させた。
 それまでしきりに相手に自分の体を押し付け合って存在を主張させていた二人が動きを止め、互いに臨界を越えようとする快楽の波を受け流そうと深い呼吸を行う。
 なんとか普段の呼吸に戻ろうとして、しきれていない荒い呼吸が鼻にかかるのを感じる。自分のそれもリリに感じられているのだろうと思いながら、礼慈はもう一度リリの口内を味わってから舌を抜いた。

「――っあ」
「――……っ」

 口が離れ、お互いやっと満足な呼吸を行えるようになる。
 呼吸が落ち着いてくるにしたがって、礼慈の中で暴発しそうになっていた欲情が静けさを取り戻した。

 しかしそれは決して欲情が消えてしまったということではない。身体の奥深い所でマグマのようにドロドロとした情念が煮えたぎっているのが解るのだ。そしてそれは今も礼慈をあの物語の中の二人のようにつき動かしている。

 一時的に落ち着くことができたのは、暴発することが礼慈にとっても、その奥の情念にとっても本意ではないからにすぎない。

「……リリ――」
「レイジお兄さま――っ」

 礼慈を呼ぶ声と共に、リリがまたキツく抱きついてきた。
 それも今度はただ密着してくるものではなく、より積極的なものだった。

「レイジお兄さまのココ、あのお話の中の男の人みたいです」

 リリは体を礼慈に押し当てながら、手で陰茎の盛り上がりに触れた。

「わ、かたい、です」
「……っ」
「あ、また大きく……」

 本を読んでいる時からリリの体と本の内容とで勃起はしていたが、リリの方でも愛撫のような行動を取ってきたことで礼慈の体のリミッターは完全に外れた。
 今の礼慈のソレは子袋に種付けをするための臨戦態勢だ。

「苦しそうです……」
「リリ……」
「お兄さま……そうなんですね?」

 心配そうに言うと、急ぐ動きでリリは礼慈の膝から下りてチャックを引き下ろした。
 見事なテントを張っているパンツの前開きを割って、中で閉じ込められていたモノを露わにする。

 リリの顔前で屹立する陰茎は、読書時の擦り付けで先走りを全体に塗りつける形になっており、魔力灯の明かりにテラテラと輝いていた。

「わあ、おっきい……。
 あの、これってお話の中の男の人よりもおっきいんじゃないですか?」

 尊敬の眼差しでそんなことを言われる。
 まさか自分の陰茎がそんな目で見られる時がくるとは思っていなかった礼慈は、リリの吐息が竿にかかってそれどころではないということもあって「どうだろう……」とはぐらかした。

「それに、すてきなかおりです」

 手で竿をそっと掴むと鼻を近づけてくんくんとにおいを嗅いでくる。
 その行動がムズムズしてしょうがない。

「あ、何か出てきました」

 新たに生じた先走りを興味深そうに見られ、その興味のままに亀頭の先端に浮かんだ雫に指先が触れる。

「あ……」

 潰れた雫が粘糸になって指と亀頭の間に橋が架かる。

「あ、あつかった、です」

 粘糸が指の間に架かるのを何度も確かめながら感想するリリの両脇に、礼慈は手を通す。

「リリもそうだろ」
「わ」

 驚くリリに構わず、彼女を木箱の上に寝かせ、そのままエプロンドレスのスカートの中に手を入れる。

「あ、や、レイジお兄さま」

 手が伸びてきてレイジを止めようとするが、それは表面上のことだ。スカートの中ではなされるがままになっており、力なく広げられた足を辿った指先がリリのショーツに問題なく触れる。
 そこは礼慈の股間と比べてもなお熱いといえるような熱を持っていた。
 更に、

「や、だからだめってぇ……」
「うん、そうだよな」

 リリのショーツの中心はおもらしでもしたかのように濡れていた。
 まだ正気を残しているリリの羞恥にまみれた反応が面白くて、礼慈はわざと濡れた所で指を往復させる。

「――ぁ、っぁ――っふ、……ん!」

 クチュクチュという音が洞窟の狭い室内に鳴り響く。
 指に絡むリリの愛液の感触と、抑えようとして抑えることができていない性感の喘ぎを聞きながら、彼女の反応に合わせて次第に指の動きを激しくする。同時にリリの嬌声に煽られた性欲がその圧力を高めて、礼慈の愛撫を暴力的なものにしていった。

 より強い刺激を与えることを第一にした動きを続けていくうちに、礼慈の股間で震えるモノが高ぶりを発散させようとする気配がした。

「――あ、や! わ、たし――っ! お兄さまぁ!」

 陰茎に触れられることもないままに射精に至ろうとする寸前。
 ともすれば自分の性感の中心に礼慈の手を押し付けているかのようにも見えるような、形ばかりの抑えを続けていたリリの手が、突然スカートごと彼の手を掴んだ。
 そして、

「……あ、い。あ――あああああ!」

 留めることができなくなった快楽の声が洞窟に強く木霊した。
 ぎゅう、と脚が閉じられ、掴まれた手が熱く濡れる股へとはっきりと押し付けられる。
 そのまま何度か波打つ腿と陰部の律動を掌で受けていると、リリの体からふっ、と力が抜けた。

「……、…………」

 荒く、惚けたような呼吸の音が聞こえてきて、礼慈は我を取り戻す。
 自分自身にもいくらかの脱力を感じて思わず股間を確認するが、先走りこそ垂れて木箱に染みができてはいるが、射精まではしていなかった。

 その一方で暴力的な性欲は小康状態を迎えている。リリの絶頂に引かれて礼慈も軽く心がイッたのかもしれない。
 スカートから手を抜いて、リリに訊ねる。

「大丈夫か?」
「……す、……すごかった、です。お兄さまに、さわってもらうだけであんなに、ビクンってなって、き、きもちよくって」

 どこか的外れな返答に、礼慈は苦笑する。

「これが、あの本の女の人が言っていた感じるってこと、なんですね……」
「少し違う。感じたから愛液が出てパンツが濡れてたんだ。そして今ビクってなっていたのは、イクってやつだ」
「これが……イク。きもちいいのがぎゅうぅぅ、って集まってはじけて……すこし、こわかったです」

 リリ自身は既に何度か体験しているのだが、彼女の記憶にはないものだろう。未知の感覚に恐怖を覚えるのは仕方ない。彼女は今の体験を咀嚼するようにぼうっとした表情でスカートの上から自分の大事な場所を抑えていた。

「あまりそこを押さえるとスカートまで濡れるぞ?」
「あ」

 慌ててリリはスカートから手を離す。
 そうして起き上がると、彼女は礼慈ににじり寄った。

「でも、こわかったけど、レイジお兄さまの手でっておもうと、すごくうれしくて、それでほっとして、イッた時、わたし」

 礼慈の陰茎に目をやって言った。

「お兄さまも同じようになってもらいたいって思いました。
 男の人もイクんですもんね。あの、本とはじゅんばんがちがってしまいましたけど……次は、お兄さまにイッてほしいです」

 言葉はしっかりしてきているが、その瞳には未だ霞がかかっている。自分の発言がどれだけ淫らなものなのか理解していないのだろう。
 リリにどう返したものだろうと理性を総動員して考えようとした礼慈を、彼女は上気した顔をいきなり股間に埋めることで封殺した。

「――っ、リリ」
「――んむ」

 小さい口の中に亀頭が含まれた。
 加えられる刺激やリリの体温よりも何よりもまず、視界に映る事実だけで新たな先走りが滲むのが分かる。

「――っ」

 その先走りが、亀頭を擦る舌に絡め取られた。
 それから“ぢゅう”と音を立ててカリ首から先を吸い上げ、リリは一度口を離した。

「ぷぁ……」

 礼慈を見上げ、脱力した口元で言葉を作る。

「ふしぎ、です。わたし、この味を知っているような、気がします」

 この秘密基地に連れてきた日にリリは礼慈の味を知った。だから当然といえば当然なのだが、その経験も彼女の中では失われてしまっているのだろう。

(いや、それにしては……)

 意外なことにリリの口は歯を触れさせないように配慮された動きをしていた。物語の中ではそのような描写はなかったというのに、だ。
 初めての時に歯を当てないようにと指示したのは礼慈だ。もちろん偶然歯を当てなかったという可能性もあるが、もしかしたらリリの無意識のどこかにはそういった記憶が残っているのかもしれないという考え方もできた。

「あの、レイジお兄さまのあいえき、すごくおいしいです」

 リリの発した言葉に陰茎を震わせて、礼慈は思索を放棄する。

「男のは愛液とは言わないんじゃないかな」

 あの物語の中では先走りの味はやたらと詩的な表現をされていた。その表現のせいでフェラの描写は写実的ではなかったのだが、

(あの部分を書いたのは嫁の方だろうな……)

 リリがまた口を付けてきて、陰茎が快感に小さく跳ねた。

「いただきます、お兄さま……」
「――リリ!」

 今度は最初の恐る恐るといった風もなくなった、ためらいのない咥え込みだった。

 陰茎を無理やり喉まで通すようなそれは、膣の柔肉と比べ固さをもった口蓋を滑って咽頭にまで亀頭の先を至らせた。

 リリの口の小ささを感じ、動けば苦しませてしまうだろうと理解しながらも、礼慈はじっとしていることができなかった。
 股ぐらに頭を突っ込んでえずきながら熱心に舌を幹に這わせてその味を楽しんでいるらしいリリの頭に手を置くと、上目遣いに彼女が見上げてくる。
 抑えられない獣性をなんとか視線で伝えると、微笑みが返ってきた。

「ん――――……っ」

 頬が凹んで、ヂュゥウウ、と音を立てて陰茎が吸われる。

「リリ……――ッ」

 礼慈は獣性にぼやける視界で少女の両頬を掴んだ。
 その先の行い全てを受け入れるように目を閉じた彼女の喉奥を、腰を揺らして亀頭でなぞる。

「――んん"……っ」

 呻くような声が漏れるが、リリは礼慈の股から顔を上げようとしない。
 だから、礼慈の方でも遠慮を消して、彼女の頭を押した。

 口の中をこすりながら竿がその姿を現し、唾液がズボンの中の陰嚢までをぬらぬらと照りつかせているのが見える。

 礼慈は金糸の髪を撫でるようにしながら頭を引き、リリの喉の奥まで再び陰茎を突き込んだ。

「んぶ……っ、……っ」

 舌が陰茎の進む道を作ってくれ、口蓋にゾリゾリと亀頭を刺激されながら、亀頭がリリの喉奥まで再度到達する。

「――ん"?!」

 リリの呻きが呼吸を阻害されて苦しいながらも快感を味わっているものであると理解できてしまう。だから、礼慈は自分の快楽を求めることをやめなかった。
 リリの両耳にまで手を滑らせると、彼女の頭を前後に揺さぶる。

「ん、ぶ――ッ、ん――ん"!」

 咽頭を突くたびに口蓋が締まって舌が押し上がり、陰茎が口の中で挟まれ顔の振りで転がされる。
 芸術品のように整った幼い顔を自分が快楽を得るために使っている。という状況が興奮に拍車をかけ、礼慈の中で煮えたぎっていたものが、精神肉体両方からもたらされる強烈な刺激に耐えきれえずに吐き出された。

「リリ……――!」
「――んぶっ! んん"?!」

 一昨日の夜に欲求を感じて以来、待ちわびていた射精だった。

 期間にすればたった2日ほど出していなかっただけなのに信じられないくらいの開放感がある。我慢していた尿を出す時の感覚を何倍にも増幅したような体が軽くなるような感覚と、鈴口を刺激する口腔の熱と固さに、礼慈はリリの喉奥に先端を押し当てながらの射精をやめることができなかった。 

 咽頭にへばりついてしまうのではないかと心配するほどに存在感のある精液が尿道を迸っていく。

「……ん"、……っ……っ! ……んっ――」

 リリの喉がゴクリと嚥下の動きをとり、鈴口を中心とした一帯が喉肉に愛撫される。
 可愛らしい声を発するリリの喉へと欲望の爆発を飲み込ませている、という嗜虐的な情景が快感となって更なる放出が促された。

 口腔で跳ね回る陰茎を舌で引きとめ、精液を逃さず飲み込んでいくリリはその代わりとでもいうように礼慈に温かい唾液を垂らしている。
 股間から漂う男のにおいがリリの香りに変えられていくのを鼻腔に感じながら、礼慈は幼い喉奥に、すぐ側で裏表紙を上に寝かされている本の登場人物を上回る勢いで吐精を続けた。

19/04/19 19:27更新 / コン
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■作者メッセージ
上のお口の次は……ねえ?

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