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本編

 私はネズミが嫌いだ。
 あのドブに塗れた灰色の体と、卑しく出っ張った二本の前歯。
 不気味なピンク色の尻尾に、口喧しい老婆に似た耳。
 食べ物を求め世話しなく動くあの鼻と、狭い隙間をこそこそと擦り抜けようとするあの体のライン。
 不衛生で醜い、あの小動物が嫌いだ。
 想像するだけで鳥肌が立つ!

「キャッ、また!」
 それなのに、何故この建物にはこれ程ネズミが多いのだろう。
 ああ、嫌だ。
 私はネズミの巣に入り込んでしまったのか。
 こんな依頼さっさと済ませてしまおう……。


―――――


 私がこの屋敷に足を踏み入れたのは、ちょっとした縁からだった。
 
 一介の剣士であった私の路銀はこの町に流れてから底を尽き、留まる為の宿どころかその日一日の食事にも困る様になってしまった。
 そんな時、親切に私に救いの手を差し伸べてくれた男性がいた。
 身なりはとてもよさそうで、まるで何処かの王族の様な風貌をしていたその若い男性は、何の躊躇も無く私に高級な宿と極上の食事を振舞ってくれた。


―――――


 そして仕事まで与えてくれた。
 どうやら長年放っておいていた彼の別荘に何か巣食ってしまってはいないか、中を見て来て欲しいのだという。
 何もいなければそれでよし、何かいて退治してくれたら報酬は倍だという。


 私は、不謹慎ながら、内心この館に何か巣食っていて欲しいと期待していた。
 報酬が倍になる。
 勿論それも狙いなのだが……。
 実は   私には、あの青年の事を憎からず思っている所があった。
 私の様な一介の剣士を気に掛け、私財の消耗を気にせず救いの手を差し伸べる。その思いやりと懐の深さに、私の理想の男性像があった。

 要するに、ちょっと良い所を見せたいのだ。彼に。


    それは兎も角。
 彼の屋敷は確かに、大分放置されていたのか相当な荒れ様だった。
 天井の隅には蜘蛛の巣が掛り、地面にはネズミのフンや建物の中ではまず見掛ける事はないであろう虫の類。
 元々色鮮やかに足元を彩っていたであろう絨毯は、埃でネズミ色に染まってしまっていた。
 しかし、私の期待とは裏腹に巣食っていたのは虫や小動物ばかり。
 私は少し残念に思いながら、序だからと屋敷の中を掃除する。
 何も置かれない書室、ネズミの巣があった食堂、蜘蛛の住処となっていた寝室。もう一度、掃除をしながら一通り屋敷の中を見回った。


「……ふむ」

 今更だが、自分でこの屋敷には何もいないと結論付けておきながら、私には釈然としない事があった。


 それは、この屋敷に足を踏み入れた時だった。

    パキッ

 そんな音が、屋敷の奥から聞こえたのだ。

    チュー。

 ネズミの鳴き声。

 それもおかしいと思った。
 私はネズミが嫌いだから、奴等の鳴き声には敏感な方だ。
 だけど、今の鳴き声。どちらかと言えば、小さな女の子の声のような……そんな気がしたのだ。


 結果、この屋敷の中には確かにネズミが居た訳で、きっと聞き間違えたのだと思うのだけれど……。
 なんだか、妙な気配だけは消えない。
 やっぱりこの屋敷、何か住み付いているのではないだろうか?
 だとしたら、一体何処に隠れているのか   
 私は腰に下げた剣に手を掛けながら、辺りの気配を注意深く探った。


 ヒュオォ……ッ。


 風の、音。
 おかしい。掃除をしながら窓はしっかり閉じた筈だ。隙間風が入る様な、目立った壁の損傷も無かった筈。
 それでも確かに聞こえる。
 風の、音。それも微かな。

 私は一度捉えたその音を耳で捕まえたまま、寝室を探ってみる。
 戸棚……じゃない。壁だろうか。壁の向こう……。
 寝室の壁をノックしていくと、ある所だけで音が変わった。
 壁の向こうが空洞になっている様な乾いた音。透かさず耳を当てると、矢張り其処から隙間風は入り込んでいた。
 ……きっとこの先に何かが隠れ住んでいるに違いない。
 私は手前にあるベッドをずらしてみた。すると、その壁の根元にキラリと綺麗に光る金具が飛び出している。
 私は迷わず金具を引いた。金具に付いたチェーンが伸びる。
    壁が上下に裂け、眼前から消え去った。
 その向こうには階段。先の見えない闇。
 私は持ってきていたカンテラに火を灯す。
    そうして私は、この深い闇に最初の一歩を踏み入れた。


 思えばこの時、私がこの闇に恐れず足を踏み出せたのは、昔に忘れ去った冒険心を胸に秘め直していたからなのかもしれない。
 冒険者に憧れ、剣の腕を必死になって磨いた、あの頃のような気持ちに戻れたからかもしれない。
 今になっては、何時も無難な道を選び続け刺激的な出来事を避けていた私。
 私が足を踏み出すのは、私自身を新たな道へと進ませる勇気なのだと確信した。


―――――


 隠し通路、というべきこの螺旋階段は思う程長くはなかった。精々蛇がとぐろを巻く程度だったように思う。
 階段を降りた先はワイン貯蔵庫のようだった。疎らに並べられたワインには僅かに埃が積もっている。
 足元が木で出来ている為か、きぃきぃとネズミの鳴き声に似た不安な音を立てる。
「……」
 此処に足を踏み入れた瞬間、肌を刺す妙な気配が濃くなった。
 確かに、居る。
 私は確信した。
 何故なら、此処は空中に漂う埃が多い。
 埃が舞う。それは即ち、何者かの出入りが多いという事。
 屋敷の地上全体には埃が酷く積っていたが、空気だけはとても綺麗だった。
「ゴホッ、ゴホッ……」
 だが、此処は違う。噎せ返る埃。確実に活動の痕跡があった。


 私は剣を抜く。
 ちらりと刺した、気配の揺らぎ。
 これは敵意だろうか。
 いや、人の屋敷の隠された地下に敢えて巣食う様なのは何れにせよ危険な生物だろう。
 何処から来る。
 正体は見えるだろうか。
 正体さえ判れば、気持ちはかなり違うものだ。
 恐怖は知らぬ事から生まれる。


 ガタッ。


 ワイン棚を揺らす影。
 私は焦らず、気配を追う。


 カタカタ……。


 態と音を立てる様に、彼方此方を走り回る影。
 素早い。
 そう舌を巻いた瞬間、影が傍の棚に激しくぶつかった。


    ガタンッ。


「!」


 カシャァンッ


 棚から落ちたワインが私を狙うが、躱す。
 ワイン瓶は地面に落ちて割れ、木目に紅を染み込ませた。


   キィキィ。


 何処かでネズミの鳴き声が聞こえる。
 だが、今の一瞬を私は見逃さなかった。
 あの影が、今私の前方にある樽の後ろに隠れた事を。
 相手は私の出方を窺っている様子。

 ならば……私は打って出た。
 剣を握り直し、いざ踏み込む。
「……其処だ   っ!」


    バキンッ。


 えっ。


 足元が、急に、消えた。


 床が抜けたのだ。
 老朽化で木が腐っていた。
 其処を私は、踏み抜いたのだ。

 それは天然の落とし穴になっていた。
 片足だけ踏み抜いた筈の床は、その周囲ごと私を闇の底へと落とした。
 余りの出来事に体が、感覚が付いていかない。
 空中で受け身を取るのが遅れた。
 私は最悪な形で地面に叩きつけられた。
 頭を強く打った。
 視界が暗転する。

    チューチュー。

 意識が薄れるのを感じながら、ネズミの鳴き声を遠くに聞いた。





――――――――――





「ん……んぅ」
 体が、スースーする。
 私、確か床を踏み抜いて落ちて……。
 欠けたピースを合わせて行く様に、次第にさっきの出来事を思い出していく。
 我ながら間抜けだった。敵を前にして、こんな様なんて。
    もしや、相手に何かされたんじゃ。
 そう考え付いて、私は慌てて起き上る。

 ガチャ。

 ん?
「あれ……」
 何これ。
 手足に鉄の輪っかが付いてる。
「あれ、私……」

    磔にされてる!?


「あ、目ぇ覚めた?」
 そんな声が耳に届く。
 私の前方に、胡坐をかいて此方の様子をまじまじと窺う少女の姿があった。
 何か声を掛けようと思ったが、少女の背後にネズミの尻尾が揺れているのに気付いて止まる。
 少女は立ち上がる。頭についたネズミの耳がピクンと動いた。
「お姉さん、なんて名前なの?」
「……」
 魔物か。しかも私が一番嫌いな、ネズミの魔物だ。
 磔にされた手足に力を込めて脱出を試みる。しかし、この拘束を解くには長年ピンチとは無縁だった私には非力過ぎたようだった。
「……あ? 無視? 無視するんだ。へぇ〜……」
 ネズミの魔物が、私を見て何故か舌舐めずりする。
 その様子を見て、私の心に恐怖が過ぎった。
「……何をするつもりだ、私を離せ!」
「クスクス、離す訳ないじゃーん? 折角手に入れた獲物だもん」
 嘲笑う少女。
「……私を食う気か」
「えー? どーかなー? お姉さん硬そうだし、もしそうだったら柔らかくしてあげないとね」
 徐に両腕を頭の後ろに組む魔物。小さな胸がつり上がり、薄い布に乳頭がポツリと浮かび上がる。
 この状況は拙い。相手が私をどうしようとしているかは知れないが、どうせ碌でもない事に決まっている。
 此処は相手と話をしながら逃げる隙を窺わないと……。
「……どうしてこの屋敷に住み付いた」
「え? アタシ達が何処に住もうがアタシ達の勝手じゃん」
「それでも人家だぞ。こんな街中に魔物なんて……」
 いや、待て。
 そんな事より此奴、今、何か引っ掛かる事を言ったな。
「……アタシ、達?」
「そ。アタシ達   


    チューチュー。


 そう言った彼女の後ろに、夥しい獣の目が浮かび上がる。

「……お姉さんがこれから何されるか、教えてあげよっか」

 目の前の、魔物が、言う。

「お姉さんはこれから、アタシ達み〜んなの……」


    オモチャにされちゃうんだよ。





――――――――――





 ビリッ。
   ッ!?」
 私の服が奴等に破られる。
 私は身軽さを重視して、鎧なんて着込んでいないのだ。直ぐに私の大事な部分を覆い隠す、下着が露わにされる。
「うわぁ……お姉さん、結構大胆な下着付けるんだね」
 クスクスと笑う声が周囲から聞こえる。
 今日の下着は、黒のレースで飾られた生地の少ない過激なものだった。
 私の身動きが取れないのを良い事に、ネズミ達の無数の手が露出した私の体をいやらしく撫で回し始める。
 胸を揉みしだかれ、尻を撫でられ、背中を引っ掻かれ、内腿に手を入れられ、髪に指を入れられる。
「さわっ……さわ、るなぁ……っ」
「お姉さんの肌、綺麗だよ。傷一つなくて……」

 うぅ……気持ち悪い。
 連中のネズミの毛が頻繁に肌に刺さる。
 こんな……魔物の、しかもネズミなんかに……こんな格好を曝されて……嗤い者にされるなんて。
 この傷はきっと私の中に残り続け、死ぬ時まで消えないだろう……。

「お姉さんの此処、クロッチの上からでも判る……」
「!? ひゃあっ」
 閉じる事が出来ないでいる私の股に、一匹が鼻を当てる。
「可愛い……クンクン」
 ヤダっ……変なトコ、臭わないでよ……っ。
 けれど、私は足を閉じたくても閉じられない。精々、身を悶えさせる程度しか抵抗出来ない。
 太股とパンツ越しに判る、此奴の息遣い。

    チロッ。

「あっ。……うぅ」
 脇を舐められた。
 肌に残った連中の唾液が渇いてスースーし始める。
「ちょっと、何して……!」
「んじゃ、お姉さんの恥ずかしい所も見ちゃおっかな〜」
「え……」
 無邪気な声とともに、私の胸を覆う下着がするすると外され、遂に私の胸が彼女達の前に曝されてしまう。
「! キャーッ、いやぁ、何するのよっ!」
「女の子同士なのに、何を恥ずかしがってるの?」
「でもお姉さんのおっぱい、綺麗だね……クスクス」
 抵抗して暴れても、数が私を抑え付ける。
 そして、何匹もの魔物達が私の乳房を直に揉み始めるのだった。
「く……ぅっ、い、痛い……っ」
「あ、と。ごめんごめん、強過ぎちゃったね……」
 そう謝りながらも、彼女達はうっとりとした表情で私の体を弄び続ける。
「……クスッ」
   ひゃぁんっ!?」
 彼女達の一人が、私の乳首を摘み始めた。
「ふふ……今の声、可愛かったよ。お姉さん」
 そう笑いながら、私の乳首をコリコリと捻じり、ピンッと弾き始める。
 誰にも触らせた事のない敏感な部分を、成す術も無く蹂躙される。
「……っ! ……ぅっ」
「ん……我慢してるお姉さんも可愛いね……ホントに食べちゃいたくなるよ……」
「ねぇ、もうやっていい……?」
「だ〜め。もうちょっとだけ……お姉さんにも楽しんでもらわなくちゃね」
 必死に声を堪えている間に交わされた会話を、聞く余裕など勿論なかった。
 だが次の瞬間、弄られて痛みすら走る様になった乳首に、温かい感触が広がった。

   ん……れろぉ、ちゅぅちゅぅ」

「ん、ああぁぁぁ……!?」
 ネズミ共の一匹が、私の胸の先端を口に含んだ。
「ちゅ、ちゅぶっ……れろれろ……ん、ちゅぅ」
「や、やめ……吸うなぁっ」
 まさか子供を授かった訳でもないのに、胸を吸われるなんて……!
 しかし私が声を荒げたのは逆効果だったらしく、奴等は楽しんで、もう片方の胸にまで被りついた。
「いっ……!」
 僅かに歯が食い込む。
 連中の舌が絡みあいながら、乳房を厚く濡らしていく。先端を弾く度、体の底を湧きあがる羞恥心は私を苦しめた。
「ちゅぅちゅぅ、れろれろ……じゅぶっ」
「はぁ、はぁ……お姉さんの、美味しいね……ん、じゅるるる」
「おっぱいは、出ないの……? お母さんみたいに、出ないの?」
 何時の間にか私の体を弄んでいるものが手ではなく舌へと変わり、更なる凌辱を繰り広げ始める。
「ん、あぁ……もう、やめ……っ」
 ネズミの舌なんて汚い。奴等の息遣いなんて嗅ぎたくない。
 けれど肌で感じる。奴等の全て。
 奴等がこれだけ近い。
 やがて、乳房を吸うのに飽きたかのように、一匹が私から離れる。
「……」
 唇を濡らし、何処へ消えるのかと思うと、その一匹は私の股間に潜り込んだ。
   !? 駄目っ、其処は!」
 其処は、一糸纏わぬ姿の私でも唯一布で隠れていた場所。
「さっきから可愛いと思ってたんだ……お姉さんの此処。クスッ、染みなんか作っちゃってサ……」
 確かに、私の部分がなんだか冷たい感触はしていた。
 けれど、染みなんて……此奴等の玩具にされて、濡らしてしまうなんて……。
 こんな恥、生まれてこの方一度もなかった。
 その一匹はクスクス笑いながら、私のふぐりをクロッチの上から指で突く。
「お姉さんの此処、ぷにぷにしてる。きっとお姉さんを抱く男の人は、お姉さんでイチコロだね」
「うぅ……イチ、コロ……?」
 私の呻き声を訊いて、私を囲むネズミ達全員がほくそ笑んだ気がした。
「……あれ? お姉さんってそっちの経験ないんだ……そっかぁ……クスクス」
「な、何の事……!? そんな事より、離しなさいっ」
 連中は私の話も聞かず、静かにパンティの中に指を入れ込み、ずり下げ始めた。
「!? や、いやぁっ! 止めて、止めなさいよぉっ!」
 それでも止まらない。
 陰毛が曝されると、後は一番大切な部分が曝されるのもすぐだった。
「ああ……最低……」
 こんな事するなんて……なんて最低な生物なんだろう。
 ネズミも。その魔物も。
「お姉さんの臭い……」
 私の部分に直接、鼻を当てられる。
「ふふ……お姉さんってこんな臭いなんだ」
「い、何時か見てなさいよ……此処から出たら、貴方達なんて……」
 屋敷ごと燃やしてやる。
 そう言い掛けた途端、考えもしなかった感触が“あの部分”を走った。

    しゅく。

   ッ!?」
 まさか、今の感覚……!?
 しゅく、しゅく。
「お姉さんのチーズ、一杯溜まってるね……ちゃんと洗わないと駄目だよ」
 ぺろぺろ。
 舐め、られてる。
 私のアソコが。
 ネズミに。
「い、いや……いやぁっ!!」
 余りの事にそう叫んだ瞬間、ずっと私の胸を貪り続けていた一匹が私の方を見てこう言った。
「お姉さん、うるさい」
 そして、唐突に私の口に何かが突っ込まれる。
 まるで、歯の矯正に使われる様な金具だ。
「……えへへ」
 私に器具を取り付けた一匹は嗜虐的に笑みながら、服を脱ぎ始める。
 薄い布に覆われた下は、やっぱり年端の行かない少女の体だった。
 薄ピンク色の乳輪。未発達で平坦な乳房。アソコにはまだ毛も生えてはおらず、綺麗。到底、女とは呼ばない体なのに、何故かその瞳は女を感じさせていた。
「は、む」
 私に全裸で跨ったその一匹が私に口付けした。
 私に嵌めこまれた器具は、彼女の舌を噛み切られないようにする為のものだった。
「んーっ、んーっ!」
「ん、ちゅっ、ちゅぴ……ちゅぷ、ちゅぷっ」
 侵入して来る舌を追い返そうと舌を絡ませる。
 魔物の、ネズミの唾液が私の口に広がってくる。
 吐き出そうとしても、口を塞がれている所為で吐き出せない。
「ん……んぷっ!?」
 それで、思わず飲み込んでしまう。
 散々汚いと思って来た彼女達の体液を。
 途端に吐き気が込み上げるが、それでも口を執拗に閉じられ、吐けない。
 そんな所で、急にこの一匹が私から離れる。
「ちゅ……はぁ、はぁ……お姉さん、激しいね……そんなにがっついちゃって……自分でも卑しいって、思わない?」
 そんな、私は……抵抗して、舌を押し出していただけなのに。
 勘違いを訂正させようとして声を出す前に、また塞がれる。
 今度はもっと深く舌を突き入れられた。
 さっきまでのは飽くまで黙らせる為。
 今回のは、本気なんだから……そんな風な、キス。
「お姉さんのチーズ、良い塩加減で美味しいよ……」
 不意に耳に届く。
 そうだ、私、奴等にアソコを……!
「そうだね。ちょっとおしっこ臭いけど、酸味が利いてて……じゅる、中々おつだね……ぺろぺろ」
「んーっ、んーっ」
 何時の間にか私の股間に幾つもの舌の感触が這いずり回っている。
「ぺろ、じゅるる……、こんなにお汁だしちゃって……そんなにお姉さん、舐め舐めされて気持ちいいんだ……?」
 断じて、そんな事はない。
 気持ち悪くて……最悪な……気分。
「ねぇ、中の方、私が舐めていい……?」
「いいよ……でも皆の分のチーズも残しておいてね」
「判った」
 そんな会話の後、遠慮なしに私の中に異物が侵入して来る。
「〜〜〜ッ!」
 初めての感覚に、全身に電流が走った。
「は、ぷっ……んぁ……」
「ぺちゃぺちゃ……」
 叫び声を上げようとしたが、キスがそれを阻む。お陰でまた奴等の汚い体液を飲み込んでしまった。


 もうヤダッ……なんで私がこんな目に……!


 目元が熱くなる。
 こんな屈辱を受けるくらいなら、いっそのこと死んでしまった方がマシ……!


 ひぐっ、ぐすっ。

 誰か、助けて。

 ……誰か助けてっ。


「ん……はぁっ」
 体の芯が急に熱くなる。
 凌辱される全ての部分が疼きだす。

「ん、じゅるる……お豆さんも丁寧に、と」

 そして   



   ッ!!」



 全身に電流が走る。
 頭を突き抜けて行ったのは、言い表せぬ程の快感。
 散々舐められ、とろとろになってしまったアソコから発せられた信号。
 私の心が折れた音。

「あ〜あ、イっちゃったね」
「こんな事でイっちゃうなんて、やっぱりお姉さん変態なんだ? クスクス、実は最初見た時からそう思ってたよ」
「えうぅ……顔がべちょべちょ〜」


 心の中で叫んでも、きっと誰の耳にも届かない。

 判ってる。此処まで来て、覚悟が出来てない訳じゃなかった。

 でも……あぁ、私はなんて馬鹿な事を、無謀な事をしでかしてしまったのだろうか。

 隠し通路を見付けた時、大人しく彼に確認すればよかったのに。


「はぁ……ん、ぷ……ちゅぅ……」
 凌辱を受け続けて変な気分になってくる。
 もう、全身の何処にも彼女達に穢されていない部分なんてない。
 もうどうでもいいような気分になってきた。

   そろそろかな」
 私を凌辱するグループを外から眺めていた一匹がそう呟いた。
「そうだね。そろそろだね」
「やっちゃおっか」
「やっちゃお」
 何を……する気なのだろうか。
 怖い。
 けれど、どうしてだろうか。


 何処かに、期待している、自分がいる。


―――――


「今日はよくやってくれたね。お陰でこんな美人が釣られてやって来たよ」
 そんな台詞が何処かから聞こえる。
 思わず目を向けた先に、私は見るべきじゃなかったものを見た。

   ありがとう、ございます……」

 其処に跪いていたのは、私に此処を調べる様に依頼した彼だった。
 彼は魔物に囲まれ、その一匹に足蹴にされていた。
「じゃあ……ご褒美、何が良い?」
 そう問い掛けられ、彼は息を荒げさせる。
「その……僕を……好きに……」
 詳しくは聞こえなかった。
 けれど、その台詞を訊いた周りの少女達はほくそ笑んだのを見て大体は予想がついてしまった。
 案の定、青年は私の前でズボンを脱がされ、その逸物を取り出される。
 その男性の象徴は、硬く反り返っていた。
「ふふ……あの日、私達のオモチャにされて以来、すっかり病み付きになっちゃって……。今では可愛い娘連れ込むいいエサになってくれるんだから……君って変態だよね?」
「でも、いいよ……自分からペットになるって言ってくれてるんだから、精一杯可愛がってあげる……」
 そして、彼の逸物に少女達が群がる。
 彼は、恍惚とした表情を浮かべていた。

 ああ、これで判った。
 私は、騙されたんだ。
 きっと、こうなるべくしてこうなったんだ。

 そして   これで自分の恋は惨めな形で終わったのだと確信した。


―――――


 不意に、両手の拘束が外される。
 覚束ない足取り。両脇を支えられ、跪かされる。
「それじゃあ、今日のメインイベント……始めちゃおうか」
 顎を持ち上げられる。
 その先には、ぬるりと瞳を濡らす少女の顔。
「あれ、要らないの? この前貰った……」
「必要ないでしょ。お姉さん、もうこんなにくたくたなんだから」
「……そだね」
「じゃあ皆、同時にいくよ? いっせーの   


 掛け声が揃い出す、そんな時だった。


「チュウゥ〜ッ!?」
    ガチャーンッ
 ガラスが割れる音。その場の全員が目を向ける。
 どうやら彼女達の一匹が、棚から何かを取り出そうとして地面に落したらしい。
 周囲がざわつき始める。

    もしかしたら、チャンスなのでは……。

 私の体から希望が湧き出し、一度は屈服した心がまた息を吹き返した。
「チュー!?」
 私を拘束する少女達を振りほどき、私は一糸纏わぬ姿で駆け出した。
 夥しい数の少女を掻き分け、出口を探す。
 しかし、何処を駆けても見付からない。私の剣も何処にもない。
「念の為、出口を判らない様にしておいて正解だったよ……」
 そんな声が響く。
 私は、何時の間にか逃げ場を失っていた。
「く……」
「大人しくしていた方が良かったのに。私達にとっても、お姉さんにとっても……」
「五月蠅い! 私は……こんな所で」

 ……けれど、剣も持たない私にとっては多勢に無勢。
 彼女達に飛び掛かられると、すぐに地面に抑え付けられてしまう。
「離せっ、くそ……ネズミ共……ッ」
「……また暴れ出しそうだね」
「面倒だね」
「アレ、使う?」
「使お、使お」
 アレ?
 アレとはなんだ……!
 私は必死に抵抗したが、私の上には何十匹も少女がのしかかっている。身動きが全く取れなかった。
「お姉さんが悪いんだよ? 私達は、こんな事するつもりじゃなかったのに」
 そんな言葉と一緒に目に付いたのは……。

   注射器。

 シリンジの中に、得体の知れない液体が充填されている。
 まさか、アレを私に……!
「ヤダ! 止めて……お願いッ、変なもの打たないでッ」
「だから、お姉さんが悪いんだってば。もう抵抗しないって誓えるんなら……」
 そう言われて、一瞬脳裏を過ぎった。
 今この場だけ口で頷いていれば、後で隙を見て……!
「誓う、誓うから……ッ、これ以上変な事しないでッ」

 しかし、魔物達は私の目を見て首を振る。
「……嘘はいけないよ、お姉さん」
「え……なんで!?」
「そんなお姉さんには……やっぱりお仕置きが必要だね」
 注射器の針が、光る。
「いや、止めてぇぇぇッ」
 私の腕が掴まれ、数匹の魔物達で抑え付けられる。
 其処に、ゆっくりと針が差し込まれる。
 私の叫びは最早声にもならなかった。得体の知れないモノを魔物に注射されて、私はどうなってしまうのだろうか。
 注射器が空になったところで、徐に彼女達は私の周りから離れる。
「……ふふ」
 不敵な笑み。
 私はよろよろと立ち上がり、体の感触を確かめる。
 別に異常はない。
「な、何を打ったの……?」
 彼女達は応える。
「なんだっけ?」
「アレだよ、アレ」
「この前、ゴブリンから貰った……」
「アレか」
「アレだ」


   石になっちゃうお薬だ」


 足が、動かなくなった。


 恐怖? 驚き? 絶望?
 そんな物が私の足を掴む前に、私の体はピキピキと音を立てて石になり変っていた。
 腕が思い。足が動かない。
 そんな……私、こんな所で……。
「大丈夫だよ。ちゃんと戻す方法もあるから。ていうか……戻ってもらわなくちゃ、困るしね」
 目の前に差し出された、金の針。
 金の針による石化回復法は有名だ。
 私はそれを見て、自然に涙が溢れてきて……。
 気付けば命乞いの様な言葉が出てしまっていた。
「お願い……助けて……」

 石になっちゃうなんてヤダ。
 暗いなか一人ぼっちなんてヤダ。
 ヤダよ……そんなの、ヤダ。

 少女達は、そんな私を見てクスクスと嗤う。
「お願い聞いてくれるなら、考えてあげてもいいよ」
「なんでも、なんでもしますから……だから……」
 今度の言葉は真剣で、切実だった。
 少女達は互いを見合わせて頷く。
「じゃあ……一緒になろうよ」
「いっしょ……?」
「そう、一緒……」
 彼女はそういいながら、私に口付けした。

「……皆、もう大丈夫だよ。もうこの人、駄目だから」



    じゃあ、始めようか。



 彼女達が一斉に、私に飛び掛かった。

 まだ石化していない私の部分に齧り付く。

 彼女達の前歯が肌に食い込む。

 其処から、何かが体に入り込んでくる。

 何かが……何か、キモチイイものが……。



   ああ、一緒になるって……」

 そういう事、か……。


―――――


「そろそろ、いいね」

 少女達の一人が牙を離し、呟く。

 完全に石となり果てた剣士に金の針を突き刺す。

 砕け散る、石。

 しかし、石の呪縛から解き放たれたのはあの剣士ではなかった。



 其処には   、一匹のラージマウスの姿があった。





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【メモ-用語】
“鼠輩”

取るに足らない事。また、そのように卑しい人物。

10/08/17 01:24 Vutur

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