連載小説
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1章 『やる気0な奴ら』
「おいおい2年目って…冗談だろ?」
「まさか続編がくるとは……」
「作者め…相当暇を持て余しているように見えるのう……」
「アタシ終わる気満々だったよ〜;」
「可能性としては考えられましたが、正直ティータも驚いています」
「………」

ほんと何考えてるんだか、うちの作者は……。

「なんか随分なハーレムで終わった気がするんだけど」
「アレは一応夢オチじゃからのう」
「現実だったら続編作りづらいもんね〜」
「まさか…夢オチも続編の伏線ではないか?」
「あ、あり得るなぁ」

なんて作者だ…俺達に何か恨みでもあるのか?

「続編作る程、アタシ達って人気ないよね〜?」
「まぁ…投票数を見る分にはなぁ」
「さり気にグサッとくるのう……」
「作者の暇潰しに付き合え、という事では?」
「不本意過ぎて溜め息も出ないぞ」
「同感だな」

って、俺達がいくらデモを起こそうが関係ないんだろうなぁ……。

「あー…なんか始まりそうだ」
「「「「「………」」」」」
「あのさぁ、嫌なのは凄くわかるけど…一斉にレイプ目になるの止めようよ……」












「む? フレンはどこじゃ?」
「ダイガクに行くって言ってたよ〜」
「この時期は長期休暇ではなかったか?」
「どうやら、教授とやらに呼び出されたようですね」
「キョウジュ〜?」
「大した知識もないくせに、偉そうに踏ん反りかえっているあの頭の禿げた連中のことじゃ」
「食事当番のフレンを勝手に呼びつけるとは…シメるか?」
「落ち着いてくださいエルザさん。 教授方に罪はありませんよ」
「しかしだな……」
「うるさいのじゃ雌トカゲ! そんなことよりフレンのおらぬ今、夕食は一体誰が作るのじゃ!?」
「「「「………」」」」
「ほほ〜う? 誰も作りたくないと?」
「ビッチ、貴様が作れば良いだろう?」
「何故ワシなのじゃ!? そう言うお主が作れば良かろうに!」
「何を馬鹿な! 今日は私の当番ではない!!」
「じゃからフレンがおらぬと言うておろうに!!」
「そんな事言われないでもわかっている! このロリババア!!」
「バ、ババア…じゃと?」
「ぁぅ……」
「始まってしまいましたね」
「………(お腹減った)」












「この部屋かな?」

今は春。
とは言っても、まだまだ冬の寒さが残っている。

「あ、間違えた…この隣か」

実は大学から『バイト募集 byルーク』という電報が届いた。
あぁ、それを見て大学まで来たんだ〜っと思うだろうけど…少し違う。

「ルーク教授…うん、この部屋だ」

始めは行く気なかったんだけど…電報の下の方にあった追伸を見て、思わず首を捻ってしまった。
         『下記の生徒は強制参加のこと
                           フレン=カーツ
                                    以上1名』
        
「はぁ……」

いじめとしか思えない。
俺、なにか目を付けられるようなことやったかなぁ……?
ルーク教授と言えば魔物生態学の創始者で、しかも一夫多妻をその身をもって実現させているという伝説?の教授だ。

「………」

き、緊張してきたなぁ。
いやでも、早く入らないと。
待たせるのは失礼だ。

「すぅ〜…はぁ〜……」

大きく深呼吸…そして、扉を叩く。

コンコン!

「………」

………。

「………」

……………。

「………」

………?
あれ、いない?

「はぁ…なんだ、緊張して損したよ」

良く確認すれば扉には鍵もかかっており、中から人の気配もしない。
まったく…呼び出すくらいならちゃんと待っていてほしいなぁ。

「仕方ない…教授が戻るまで、どこかで時間を……」
「おや? 君がカーツ君かい?」
「うわっ!?」

背後からの不意打ち。

「あ、あ、あの…あ……」
「すまない、驚かせてしまったね」
「あ…いえ、こちらこそすいません」
「いやいや、悪いのは僕の方さ。 少し野暮用があってね」
「は、はぁ」

この人が、ルーク教授?
第一印象は…若い。
30は平気で超えているハズなのに……。

「えーと、カーツ君…でいいのかな?」
「あ、はい。 フレン=カーツと申します」
「そうか、やっぱり君か」
「え、やっぱり?」
「あぁいや、こっちの話。 ここではなんだ、僕の部屋で話そう」
「は、はい」

……不思議な人だ。
それに何となく、雰囲気が俺に似ている気がする。
気のせいかな?












部屋に通され緊張した面持ちで紅茶を啜る…俺。

「あの教授、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「そんなに硬くならないでいいよ。 普通に話してくれ」
「あ、はい。 えっと…教授は、おいくつなんですか?」
「今年で38だよ」
「38!?」
「見えないかい?」
「あ…いえ……」
「はっはっは! いいんだよ、気にしてない」
「す、すいません」

し、信じられない。
いくらなんでも若過ぎる。
年齢と身体が一致していない。

「も、もう1つイイですか?」
「どうぞ?」
「教授…一夫多妻というのは……」
「うん、本当だよ」
「………」
「ん? 驚かないのかい?」
「何となく本当なんじゃないかと思ってましたから」
「な〜んだ、つまらないなぁ」
「は、はぁ」

俺も同じような状況だし、なおさら驚けない。

「それじゃ僕からも質問、いいかな?」
「あ、はい」
「できれば正直に話してほしいな。 これも君をここへ呼んだ理由の1つだしね」
「答えられる範囲なら……」
「構わないよ」

バイトってこれの事かな?

「それじゃぁまずは…魔物について、どう思う?」
「どう、と言いますと?」
「好きなように答えてくれ。 好きとか、嫌いとかでもいいから」
「ん〜…嫌いではありません」
「ほう? どうしてそう思う?」
「えっと……」

魔物は別に悪い奴らじゃない。
でも、一緒に暮らしてるとは言えないよなぁ。
だけど正直に話せって言われてるし……。

「……ふむ、なんとなくわかった。 次の質問だ」
「え? あ、はい」

んん?
勝手に納得されてしまった。

「では…君は今まで、魔物と接触したことがあるかい?」
『常日頃から触れ合っています』

とは言えない。

「あります…一応」

無難に返すことにした。

「ふむ。 では次だ」

あれ、今度は突っ込まない。

「魔物が君を誘っています。 どうする?」
「……はい?」
「あぁもちろん、性的な意味でね」
「………」

いや、誘うの意味に疑問を持ったわけじゃないんだけど。

「え〜っと…相手に寄りますね」
「知っている相手なら良い、ということかな?」
「それはもちろんですけど、ちゃんとお互いを愛し合っていることが大前提だと思います」
「ははっ! カーツ君は、なかなかのロマンチストだね」
「そ、そうですか?」

質問の意図がまったく掴めないんですけどね。

「ふむふむ、実に興味深い」
「やっぱり全部魔物関連ですね」
「そりゃそうさ! 魔物は僕の全てだからね」
「そ、そうですよね」

……凄い情熱だ。

「よし、これが最後だ」
「はい」
「カーツ君…君は、魔物と共に生活しているね?」
「っ!?」

な…ば、ばれた!?

「あ、あの…教授…そ、それは……」
「隠すことはない! 僕も君と同じだからね」
「は…え?」

????
もう、何がなんだか……;












「もう良い…夕食はワシが作る」
「仕方がない…私も手伝ってやる」
「珍しいですね? アイリさんとエルザさんが一緒に台所に立つなんて」
「腹が減り過ぎて…言い争う元気も尽きたのじゃ……」
「まったくフレンのやつ……!」
「あ〜〜〜〜!!!」
「………(びく!)」
「な、なんじゃ!? どうしたのじゃフィロ!?」
「ぁぅ…ぁぅ……」
「フィロ、どうしたのだ?」
「イニシャルGでも出ましたか?」
「食材が…何もない……;;」
「「「あ」」」
「………(お腹減った)」












「ええ!? 奥さんが全員魔物!?」
「あぁ。 結婚したのは、ちょうど20年前かな」
「7人全員と?」
「その内2人は義理の妹なんだけどね。 あー、もちろん魔物ね」
「………」
「1番上の娘『達』が今年で18になるんだ。 君と同じくらいだろ?」
「……そうですね。 1つ下ですけど」
「僕が20の時に初めて生まれた娘『達』でね、もう盛んに男を捜しているよ」
「はぁ……」

いつの間にか身の上話になってしまった。
お互い魔物と交流のある身として、やはりどこか親近感が湧く(驚かされてばかりだけど)。

「そこで…どうかな、うちの娘と会ってみないかい?」
「娘さんと、ですか?」
「カーツ君は真面目そうだから、あの娘が良いかな。 アヌビスの娘はお好みかい?」
「あ…いや、その」
「ホルスタウロスの娘もいるんだけど、どうだい」
「え、え〜と……」

急に見合い話!?

「あの、教授……」
「ん? おっと、君も魔物と暮らしているんだったね。 これは失敬」
「あー、結婚とかはしてませんけど」
「予定はあるのかい?」
「いえ、今のところは…みんな居候みたいなものなんで」
「ほう? そうかそうか」

なんだろ、この会話……。

「教授は、どうして結婚する気になったんですか?」
「ん〜…保身、かな」
「ほ、保身?」

保身……?
保身ってなんだ?

「あ〜…説明すると長いから、僕の出てた作品見てよ」
「作品?」
「僕はこう見えて、20年前は主人公だったんだ。 しかも、作者の処女作!」
「元祖主人公ってやつですね」
「そうそう! あぁ、ちなみにコレね→『旅立ち』」
「後で読んでみます」
「そうしなよ! いや〜、ほ〜んと大変だったよ!」

何となく、その苦労がわかる気がする。
いや、それはそうと……

「あの、教授。 話変わりますけど、バイト募集っていうことでしたよね?」
「あぁ、あれ嘘」
「嘘!?」
「あの通達を送ったのは君だけ」
「それはまた…なぜ?」
「大学内で何度か君を見かけることがあってね。 その時気になったんだ」
「気になった?」
「あぁ。 君から微かに、魔力の流れを感じてね」
「ま、魔力?」

あ、まぁそうか。
あれだけあいつらと一緒にいればな。

「というか、それを見抜く教授も凄いですね?」
「そりゃぁ僕…インキュバスだし」
「インキュバス!?」












「お店閉まってたよ〜……」
「やはりな」
「万事休すじゃ……!」
「………」
「幸い食料庫に、人参が1本残っていました」
「「「「………」」」」
「どうします?」
「1人…1カジリじゃ」
「くっ…これも生きるためか!」
「うぅ…ひもじいよぉ〜……」
「仕方ありませんね……」
「………(涙)」












「いや〜今日は楽しかったよ!」
「はい、俺も貴重な話が聞けて良かったです」

もう外は暗い。
すっかり遅くなってしまった。

「バイトっていうことだからね、君にはこれをあげよう」
「コレは?」
「見たことないかい? 『スペルマンD徳用』さ!」
「………」
「バフォ様印が描いてあるだろ? これを作ってるバフォメットと知り合いなんだ」
「そ、そうなんですか?」
「昔旅の途中で知り合ったんだ。 今でも良くしてくれているよ」

あぁこれ、どこかで見たことあるぞ?
確か…あいつらに買い物を任せたときに混ざってた気がする。

「そうそう、来学期は魔物生態学が必修だからね。 また会うことになるだろう」
「はい。 その時は、またよろしくお願いします」
「あぁ! 楽しみにしているよ!」
「あ、教授……」
「わかっているよ。 君のことは他言無用だ」
「よろしくお願いします」

別れを言いルーク教授の部屋を後にする。
………。
まさか教授、インキュバスだったなんて…道理で若いはずだ。
あと、話しの途中で1番気になったのがお子さんの人数。
20歳の時に第1子×7人。
それが1年置きに繰り返されると言っていた。
えっと、第1子誕生から18年だから…÷2をしてこれが9セット。
1セットにつき子供が7人だから……60人?
………。
聞き間違いだな、きっと。

早く帰らないと!









〜おまけ〜

「夕食が人参1カジリ?」
「「「「「………」」」」」
「ごめん…俺が悪かった。 だからレイプ目は止めてくれ……」






11/02/02 07:58更新 / HERO
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■作者メッセージ
自分でもまさかの第2部です
作中でも指摘されましたが…少し暇です、はい

感想いただけると嬉しいです。 すごくすごく

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