かみなりの夜に
「（あ、ニンゲンだ！！）」
アタシは見つけた。
みんな他の部屋で“遊んでいる”
アタシも早く遊びたーい。
「？ 留守かそれにしては不用心だ」
男は突然の雷雨を逃れてとっさに近くにあった屋敷へと逃げ込んだ。
ドアノッカーを必死に叩いたが返事が無い。
ドアノブを回すと鍵が掛かっていなかったので失礼を承知で入った。
「（わーい、やっとアタシも楽しめるんだぁ……。早くコッチに来ないかなー）」
どうしよう。おそってもいいんだけど、ちょっと遊びたいなっ。
みんなもそうやって遊び相手を捕まえていたみたいだしね。
うんうん。
うーん、あ、ちがう部屋にいっちゃう！
「誰かいませんかーー！！」
男が叫ぶが外の雷や雨音のせいで他のモノ達には幸い気が付いていない。
もっとも“アソビ”に夢中なので気が付かないだけかもしれないが……。
「（よかったー。そうそう、こっちこっち……、んしょんしょ、カギを閉めてー、おいでー♪）」
「？ 開かない。困った、何か気配はするんだけど、返事もないし、天井の灯も消えてるし」
男は手持ちのランタンを頼りに屋敷内を歩くことにした。
雨で濡れたマント等は、丁度近くにあった棒にうまく掛けることができた。
しかし、気配はするのにおかしい、照らすと床は綺麗だし、確かに生活感がある。
「こっちも開かないか……」
暗闇で更に見えなかったが、どうやらこの屋敷は大きいらしい。
雨や雷が止むまでせめて、この屋敷の人に挨拶をしたい。雨をしのげるなら玄関でもいい。
でも、真面目な男は何かに誘われるようにどんどん奥へと向かってしまった。
「（よしよし〜、ぜんぶ先回りしていいかんじだよ。いいよー。ほらほらーおいでーー♪ こっちだよーー）」
アタシは楽しかった。
すぐに飛びついて遊ぼうと思ったけど、こうやってどんどん人間が思い通りに動くのが思いのほか楽しい。
それにしてもさっき、床を這いつくばって何してたんだろ？
落とし物？？
ま、どーでもいいか〜♪
「ここは食堂？ ……でも、食事をした形跡がない」
男は首を傾げる。
正確な時間はわからないが、夕食が終わって、まだ寝るのには早い時間のはずだ。
「（やっぱりお腹が空いてるのかな〜、えいっ！）」
(ﾉﾟοﾟ)ﾉ
「ん？ 机にパンが……いつの間に、いただくか、お金はあるし。ちゃんと訳を説明すれば大丈夫だろう」
男はランタンを置いて、ひとまず食事をすることにした。
硬いパンだったが、腹は膨れる。
「まさかあんな天気になるなんてなぁ……ごほっごほっ！！」
「（あ、大丈夫かな、えっとお水お水！！ はい、どうぞ）」
(ﾉﾟοﾟ)ﾉ
「あれ？ 木のコップなんてあったっけ？？ しかも水が入ってる」
ものすごく不自然なことが続いているが男はその水を飲んだ。
「危ない所でした。あわてて食べたから喉につまるかと」
「（ふう、びっくりした。というかあのニンゲン面白い、一人ごと多いし）」
「ごちそうさまでした」
男は何もない空間に向かってお辞儀をする。お礼は改めてこの屋敷の人に出会ってからにするようだ。
「（どういたしまして♪）」
うーん、わわわ、そっちはダメーー！
「ん？ 物音がしたと思ったけど気のせいか」
「（ふう、あぶないあぶない）」
そうそう階段を上がってねー。どうもあぶなっかしいなー。さっきも変な所で転びそうになってたし。
なんか動きがおかしい。
確かにほとんど真っ暗だけど。
「物音がするけど、もうこんな所まで入ってしまったし、主神よ。愚かな私を許してください」
「（え？ あの男の人って神父か何かなのかな？？）」
祈りをささげる男を見て、わくわくしているモノがいるとは知らずに男は尚も言葉を紡ぐ。
「（うーん、長いなー、まだかなー、おっと、よだれが）」
「この部屋でしょうか？ 灯が下から漏れている気が」
「（うわわ！ きたよきたよ。どうしよう！！）」
「ん？ あの置物は？？」
「（ずこーーーー！！！）」
アタシが、まだかー、まだかーと待ち構えて、もう色んな意味でじゅんびばっちりだったのにーーーーー！！！ もうなきそうだよ……。
うーーーー、主神の神父だろうがなんだろうが、アタシには関係ないよね。
「ほう、これは珍しい」
男はランタンをかざして廊下に飾ってある像に夢中だ。どうやら主神の関係の物らしい。とうとう、ルーペらしき物を取り出してじっくりと見始める。
「（うーーーー、もう、後ろからがばーーーって、でもでも、ベッドはふかふかだしーーー、せっかく着飾ったしーーーー、早くーーーー！！！）」
「おっと、こんなことをしている場合じゃなかった。早く館の人を探さないと」
がちゃ！
「えへへ、いらしゃっいいいいい。いたたーーー！！」
「え、あ、あの大丈夫ですか。えっとお嬢さん？」
「えと、ごめんなさい。舌を噛んでしまいました」
アタシのばかばかーーー、なんで肝心な所で噛んじゃうのよ！！
というかアタシの姿を見ても驚いていない？？ あれ？？？
ちょっと薄暗いけど、ちゃんと部屋のロウソクの照明はついているし。
「館の方ですか。すみません。夜分遅くに、返事が無かったのでこんな所まで入ってしまいました」
ペコペコと頭を下げるニンゲン。
というかそっちは部屋に置いてある銅像よ！！
ん？
まさか？？？？
「あの、もしかして目が悪いのでしょうか？」
「そちらでしたか！ これは失礼しました。灯とルーペがあればぼんやりとだけ見えるのです。声からして、こちらのお子さまでしょうか？」
「え！ あ、そう、そうそうそう！！ この家の娘のエリーナと申します！」
うわ、それであっちこっちで転びそうになってたんだ。変な動きの謎が解けた！！
でも、部屋の前の像には気が付いていたみたいだし。
うむむ、変なニンゲンだ。
「これはご丁寧に、あのこちらには他には」
「えっと、みんな出かけてまして、その、どうぞこちらに椅子があります」
「ありがとうございます」
どーしよ！ どーしよ！！
アタシのガバッと抱き着いて、びっくりしたニンゲンをそのままベッドに連れ込もうとしたのに、何やってんのよーーー！！
かんっぜんっにタイミングを逃したわ！！
「あの、食堂らしき所でパンと水をいただいてしまいました」
「あ、ああ、そうなの、よくわかりましたわね。あは、あははは」
「目が悪いので、香りとか、その気配でなんとなくわかるんです。しかし、変ですね」
ぎくっ、魔物ってバレたかな。だよねー。そりゃ違和感ばりばりだもんねーーー。
もう襲っちゃおうかな。がばーーーって！！
「えっと、何がでしょう。えへっ」
「今日の天気は晴れと聞いていたのにこの豪雨ですよ。すごい雷で驚きました」
「ずごーーーーーー！！！」
「あ、あの、倒れたように見えましたが大丈夫ですか」
「あ、はい」
あ、はい。
じゃないよアタシ！！ こ、このニンゲン、天気の話とかびっくりするじゃない。
そりゃ、いきなりの雷に大雨だもんね。
アタシも怖かったわ。
つ、つかれた。
「いや、助かりました。あのままだったら、？？ どうしました」
「いえいえ、えっと、客間がありますので、そちらへ」
だめだ！ だめだ！！
仕切りなおしよ！ せっかく準備とか全部台無し、それになんかものすごーく疲れた。
もう色んな意味で力が出ないわ！！
「これはありがたい。お礼は必ず致します」
やめてぇぇ！！ 主神の祈りとか！！！！
「あの、どうか遠慮なさらずに」
「きっと主神様のご加護がありますよ。心優しいお嬢さん、ああ、良かった」
ぜんぜんよくないよーーー！ もうなんなのよーーー。こっちは大変だったのにーーー。
「では、案内ありがとうございました。エリーナ嬢」
「では、おやすみなさい、部屋の物はどうぞご自由に、お手洗いは正面の扉です」
とりあえず、みんなに気が付かれないように、こうして、あーして、せっかく遊び相手が見つかったと思ったのに！！
でも、あのニンゲン優しいなー。てっきり魔物め！！ って最初はちょっとした騒ぎになっちゃうかもって思ってたけど……。
まあ、それならそれで強引に押し倒して……えへへへへへ
おっと、よだれが……。
さて、ニンゲンは何をやってるのかなーーー♪
うわ、あんな小さな灯で本を読んでる。詳しくはわからないけど、ものすごーーーーく近くの文字は読めるのかな？？
さっきの廊下の像もそんな感じでみていたし。
ま、他のみんなは“アソビ”に夢中みたいね。とりあえず安心っ。
ちゃんとアタシのモノ！！ ってこっそりニンゲンに匂い付けておいたし、寝込みを襲われることはないでしょう。
というか、手を出した子が居たら、たとえお姉ちゃんでもおこるもん！！！ あのニンゲンはエリーナのだもん！！！！！
その後、ラミアのエリーナは
男の世話をして、魔力を送り込んだ。男が熟睡している間に体をロールユーしてキスをしまくった。
もちろん、それは苦しむどころか快感に変わっていく。男のアソコがおっきくなったけどエリーナは、ちゃんと自分の姿を見てもらってからえっちしたい！ という思いで必死にキスキスキス、ローーーーールユーーーー！！！！ でぐるぐる巻き巻き、それでも眠り続ける男。
「あーーーもーーー、早くぅぅ、えっちしたいから、ちゃんとわたしの本当の姿を見てよぉ！！」
そして何度目かのディープキスでようやく男が目を覚ました。
「エ、エリーナ嬢、その姿はいったい」
「はぁはぁ……やっと、やっと気が付いてくれたぁぁ」
やっと男がインキュバス化して視力が戻った時、エリーナはその長い体をさらにぐでーーーっと伸ばして床に倒れていた。
男は逃げるどころか、エリーナを抱き上げてベッドへと寝かせてあげる。
「んんっ、あれれぇ？」
「気が付きましたか、良かった」
「ちょ、え、どういうこと、もうわたしの正体わかったでしょう。魔物なの、ごめんなさい。でもでも、とって食べようなんて思ってないわ！」
「知ってました」
「え゛！」
ラミアなのにメドゥーサの術にかかったように固まるエリーナ。
どどどどど、どいうことよぉぉ！！
「あんなに熱い抱擁とキスをされれば気が付きますよ」
「あは、あははは、ですよねー」
「ありがとうございました。こうしてまた目がちゃんと見えるようになって、その、お礼をさせてください」
「そ、そんなの決まってます！！ えへへ、やったぁ……ちゅっ…ちゅぅぅぅ」
魔物の野生を解放したエリーナちゃんはその後、男を押し倒してセックス！ セックス！！ セックス！！！
アタシがんばったわ！
男も目が良くなって幸せに暮らしましたとさ！！！！ はい！！！！
というかなんで、アタシが解説してるのよーーー！！
「もーーー、せっかく目がよくなったのに、ルーペつかって、アタシの〇〇〇をじっくり見ないでよーーー！！！」
「あはは、ついついクセでじっくり見てしまうんですよ。うむ、美しい」
「このヘンタイ！！！
でも大好きっ！！！！ ずっとここで遊んで暮らしましょうね。というかすっごく苦労したんだから逃がさないモン！！！！！」
「あはははは、わかってますよ。もうエリーナ嬢にいろいろ辱めを受けたので、そのお返しです」
「わーーー、わーーーー、アレは無かったことにしてーーー、やめてーーー」
「なにより、嬉しいです。あらためて」
「え、ちょっと何、真面目になってるのよ」
「結婚してください」
「…………」
「あれ？」
「けけけけけけけっこん！！ も、もちろん！！」
「良かったです」
「ぎゅーーーーーーー」
「あはは、苦しいですーーー」
再び照れたエリーナが巻き巻きしてキスの雨を降らせる。
時は流れ
「ねえ。こんな雨と雷の日だったよね」
「そうですね。懐かしいです」
「だからね」
「なんですか？」
「その、あの日の雷はこわかったけど、あれのおかげであんたと出会えたし、こんな天気でも好き！ ………で、あんたのことはもっと大好き！！！」
がばーーーーーーーー！！！
「あはは、相変わらずエリーナ嬢は激しいですね」
「何よゆーー言ってんのよーー。きょーは中だし３０回よっ！！」
「あははっ、かんべんしてください」
「うっ！ やっぱり１００回っ！！！」
そんなかみなりの夜のお話
アタシは見つけた。
みんな他の部屋で“遊んでいる”
アタシも早く遊びたーい。
「？ 留守かそれにしては不用心だ」
男は突然の雷雨を逃れてとっさに近くにあった屋敷へと逃げ込んだ。
ドアノッカーを必死に叩いたが返事が無い。
ドアノブを回すと鍵が掛かっていなかったので失礼を承知で入った。
「（わーい、やっとアタシも楽しめるんだぁ……。早くコッチに来ないかなー）」
どうしよう。おそってもいいんだけど、ちょっと遊びたいなっ。
みんなもそうやって遊び相手を捕まえていたみたいだしね。
うんうん。
うーん、あ、ちがう部屋にいっちゃう！
「誰かいませんかーー！！」
男が叫ぶが外の雷や雨音のせいで他のモノ達には幸い気が付いていない。
もっとも“アソビ”に夢中なので気が付かないだけかもしれないが……。
「（よかったー。そうそう、こっちこっち……、んしょんしょ、カギを閉めてー、おいでー♪）」
「？ 開かない。困った、何か気配はするんだけど、返事もないし、天井の灯も消えてるし」
男は手持ちのランタンを頼りに屋敷内を歩くことにした。
雨で濡れたマント等は、丁度近くにあった棒にうまく掛けることができた。
しかし、気配はするのにおかしい、照らすと床は綺麗だし、確かに生活感がある。
「こっちも開かないか……」
暗闇で更に見えなかったが、どうやらこの屋敷は大きいらしい。
雨や雷が止むまでせめて、この屋敷の人に挨拶をしたい。雨をしのげるなら玄関でもいい。
でも、真面目な男は何かに誘われるようにどんどん奥へと向かってしまった。
「（よしよし〜、ぜんぶ先回りしていいかんじだよ。いいよー。ほらほらーおいでーー♪ こっちだよーー）」
アタシは楽しかった。
すぐに飛びついて遊ぼうと思ったけど、こうやってどんどん人間が思い通りに動くのが思いのほか楽しい。
それにしてもさっき、床を這いつくばって何してたんだろ？
落とし物？？
ま、どーでもいいか〜♪
「ここは食堂？ ……でも、食事をした形跡がない」
男は首を傾げる。
正確な時間はわからないが、夕食が終わって、まだ寝るのには早い時間のはずだ。
「（やっぱりお腹が空いてるのかな〜、えいっ！）」
(ﾉﾟοﾟ)ﾉ
「ん？ 机にパンが……いつの間に、いただくか、お金はあるし。ちゃんと訳を説明すれば大丈夫だろう」
男はランタンを置いて、ひとまず食事をすることにした。
硬いパンだったが、腹は膨れる。
「まさかあんな天気になるなんてなぁ……ごほっごほっ！！」
「（あ、大丈夫かな、えっとお水お水！！ はい、どうぞ）」
(ﾉﾟοﾟ)ﾉ
「あれ？ 木のコップなんてあったっけ？？ しかも水が入ってる」
ものすごく不自然なことが続いているが男はその水を飲んだ。
「危ない所でした。あわてて食べたから喉につまるかと」
「（ふう、びっくりした。というかあのニンゲン面白い、一人ごと多いし）」
「ごちそうさまでした」
男は何もない空間に向かってお辞儀をする。お礼は改めてこの屋敷の人に出会ってからにするようだ。
「（どういたしまして♪）」
うーん、わわわ、そっちはダメーー！
「ん？ 物音がしたと思ったけど気のせいか」
「（ふう、あぶないあぶない）」
そうそう階段を上がってねー。どうもあぶなっかしいなー。さっきも変な所で転びそうになってたし。
なんか動きがおかしい。
確かにほとんど真っ暗だけど。
「物音がするけど、もうこんな所まで入ってしまったし、主神よ。愚かな私を許してください」
「（え？ あの男の人って神父か何かなのかな？？）」
祈りをささげる男を見て、わくわくしているモノがいるとは知らずに男は尚も言葉を紡ぐ。
「（うーん、長いなー、まだかなー、おっと、よだれが）」
「この部屋でしょうか？ 灯が下から漏れている気が」
「（うわわ！ きたよきたよ。どうしよう！！）」
「ん？ あの置物は？？」
「（ずこーーーー！！！）」
アタシが、まだかー、まだかーと待ち構えて、もう色んな意味でじゅんびばっちりだったのにーーーーー！！！ もうなきそうだよ……。
うーーーー、主神の神父だろうがなんだろうが、アタシには関係ないよね。
「ほう、これは珍しい」
男はランタンをかざして廊下に飾ってある像に夢中だ。どうやら主神の関係の物らしい。とうとう、ルーペらしき物を取り出してじっくりと見始める。
「（うーーーー、もう、後ろからがばーーーって、でもでも、ベッドはふかふかだしーーー、せっかく着飾ったしーーーー、早くーーーー！！！）」
「おっと、こんなことをしている場合じゃなかった。早く館の人を探さないと」
がちゃ！
「えへへ、いらしゃっいいいいい。いたたーーー！！」
「え、あ、あの大丈夫ですか。えっとお嬢さん？」
「えと、ごめんなさい。舌を噛んでしまいました」
アタシのばかばかーーー、なんで肝心な所で噛んじゃうのよ！！
というかアタシの姿を見ても驚いていない？？ あれ？？？
ちょっと薄暗いけど、ちゃんと部屋のロウソクの照明はついているし。
「館の方ですか。すみません。夜分遅くに、返事が無かったのでこんな所まで入ってしまいました」
ペコペコと頭を下げるニンゲン。
というかそっちは部屋に置いてある銅像よ！！
ん？
まさか？？？？
「あの、もしかして目が悪いのでしょうか？」
「そちらでしたか！ これは失礼しました。灯とルーペがあればぼんやりとだけ見えるのです。声からして、こちらのお子さまでしょうか？」
「え！ あ、そう、そうそうそう！！ この家の娘のエリーナと申します！」
うわ、それであっちこっちで転びそうになってたんだ。変な動きの謎が解けた！！
でも、部屋の前の像には気が付いていたみたいだし。
うむむ、変なニンゲンだ。
「これはご丁寧に、あのこちらには他には」
「えっと、みんな出かけてまして、その、どうぞこちらに椅子があります」
「ありがとうございます」
どーしよ！ どーしよ！！
アタシのガバッと抱き着いて、びっくりしたニンゲンをそのままベッドに連れ込もうとしたのに、何やってんのよーーー！！
かんっぜんっにタイミングを逃したわ！！
「あの、食堂らしき所でパンと水をいただいてしまいました」
「あ、ああ、そうなの、よくわかりましたわね。あは、あははは」
「目が悪いので、香りとか、その気配でなんとなくわかるんです。しかし、変ですね」
ぎくっ、魔物ってバレたかな。だよねー。そりゃ違和感ばりばりだもんねーーー。
もう襲っちゃおうかな。がばーーーって！！
「えっと、何がでしょう。えへっ」
「今日の天気は晴れと聞いていたのにこの豪雨ですよ。すごい雷で驚きました」
「ずごーーーーーー！！！」
「あ、あの、倒れたように見えましたが大丈夫ですか」
「あ、はい」
あ、はい。
じゃないよアタシ！！ こ、このニンゲン、天気の話とかびっくりするじゃない。
そりゃ、いきなりの雷に大雨だもんね。
アタシも怖かったわ。
つ、つかれた。
「いや、助かりました。あのままだったら、？？ どうしました」
「いえいえ、えっと、客間がありますので、そちらへ」
だめだ！ だめだ！！
仕切りなおしよ！ せっかく準備とか全部台無し、それになんかものすごーく疲れた。
もう色んな意味で力が出ないわ！！
「これはありがたい。お礼は必ず致します」
やめてぇぇ！！ 主神の祈りとか！！！！
「あの、どうか遠慮なさらずに」
「きっと主神様のご加護がありますよ。心優しいお嬢さん、ああ、良かった」
ぜんぜんよくないよーーー！ もうなんなのよーーー。こっちは大変だったのにーーー。
「では、案内ありがとうございました。エリーナ嬢」
「では、おやすみなさい、部屋の物はどうぞご自由に、お手洗いは正面の扉です」
とりあえず、みんなに気が付かれないように、こうして、あーして、せっかく遊び相手が見つかったと思ったのに！！
でも、あのニンゲン優しいなー。てっきり魔物め！！ って最初はちょっとした騒ぎになっちゃうかもって思ってたけど……。
まあ、それならそれで強引に押し倒して……えへへへへへ
おっと、よだれが……。
さて、ニンゲンは何をやってるのかなーーー♪
うわ、あんな小さな灯で本を読んでる。詳しくはわからないけど、ものすごーーーーく近くの文字は読めるのかな？？
さっきの廊下の像もそんな感じでみていたし。
ま、他のみんなは“アソビ”に夢中みたいね。とりあえず安心っ。
ちゃんとアタシのモノ！！ ってこっそりニンゲンに匂い付けておいたし、寝込みを襲われることはないでしょう。
というか、手を出した子が居たら、たとえお姉ちゃんでもおこるもん！！！ あのニンゲンはエリーナのだもん！！！！！
その後、ラミアのエリーナは
男の世話をして、魔力を送り込んだ。男が熟睡している間に体をロールユーしてキスをしまくった。
もちろん、それは苦しむどころか快感に変わっていく。男のアソコがおっきくなったけどエリーナは、ちゃんと自分の姿を見てもらってからえっちしたい！ という思いで必死にキスキスキス、ローーーーールユーーーー！！！！ でぐるぐる巻き巻き、それでも眠り続ける男。
「あーーーもーーー、早くぅぅ、えっちしたいから、ちゃんとわたしの本当の姿を見てよぉ！！」
そして何度目かのディープキスでようやく男が目を覚ました。
「エ、エリーナ嬢、その姿はいったい」
「はぁはぁ……やっと、やっと気が付いてくれたぁぁ」
やっと男がインキュバス化して視力が戻った時、エリーナはその長い体をさらにぐでーーーっと伸ばして床に倒れていた。
男は逃げるどころか、エリーナを抱き上げてベッドへと寝かせてあげる。
「んんっ、あれれぇ？」
「気が付きましたか、良かった」
「ちょ、え、どういうこと、もうわたしの正体わかったでしょう。魔物なの、ごめんなさい。でもでも、とって食べようなんて思ってないわ！」
「知ってました」
「え゛！」
ラミアなのにメドゥーサの術にかかったように固まるエリーナ。
どどどどど、どいうことよぉぉ！！
「あんなに熱い抱擁とキスをされれば気が付きますよ」
「あは、あははは、ですよねー」
「ありがとうございました。こうしてまた目がちゃんと見えるようになって、その、お礼をさせてください」
「そ、そんなの決まってます！！ えへへ、やったぁ……ちゅっ…ちゅぅぅぅ」
魔物の野生を解放したエリーナちゃんはその後、男を押し倒してセックス！ セックス！！ セックス！！！
アタシがんばったわ！
男も目が良くなって幸せに暮らしましたとさ！！！！ はい！！！！
というかなんで、アタシが解説してるのよーーー！！
「もーーー、せっかく目がよくなったのに、ルーペつかって、アタシの〇〇〇をじっくり見ないでよーーー！！！」
「あはは、ついついクセでじっくり見てしまうんですよ。うむ、美しい」
「このヘンタイ！！！
でも大好きっ！！！！ ずっとここで遊んで暮らしましょうね。というかすっごく苦労したんだから逃がさないモン！！！！！」
「あはははは、わかってますよ。もうエリーナ嬢にいろいろ辱めを受けたので、そのお返しです」
「わーーー、わーーーー、アレは無かったことにしてーーー、やめてーーー」
「なにより、嬉しいです。あらためて」
「え、ちょっと何、真面目になってるのよ」
「結婚してください」
「…………」
「あれ？」
「けけけけけけけっこん！！ も、もちろん！！」
「良かったです」
「ぎゅーーーーーーー」
「あはは、苦しいですーーー」
再び照れたエリーナが巻き巻きしてキスの雨を降らせる。
時は流れ
「ねえ。こんな雨と雷の日だったよね」
「そうですね。懐かしいです」
「だからね」
「なんですか？」
「その、あの日の雷はこわかったけど、あれのおかげであんたと出会えたし、こんな天気でも好き！ ………で、あんたのことはもっと大好き！！！」
がばーーーーーーーー！！！
「あはは、相変わらずエリーナ嬢は激しいですね」
「何よゆーー言ってんのよーー。きょーは中だし３０回よっ！！」
「あははっ、かんべんしてください」
「うっ！ やっぱり１００回っ！！！」
そんなかみなりの夜のお話
18/08/31 07:49更新 / ロボット4頭身