読切小説
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マジカルブッチャー・プリティショゴス!!
「嫌ァァァ!!誰か助けてぇぇぇぇ!!!」

人気の無い廃工場に幼い声が響く。

「酷いなぁ・・・・ボク様傷ついちゃったデブよ」

その男は醜悪、そのものだ。筋肉など一切なくその弛んだ腹には臓物代わりに糞便が詰まっているのか、全身から臭気を漂わせている。

「あかねちゃんも期待してたデブ―?ブヒヒ、今時珍しい紺のブルマを履いてきた癖にデブ―!」

「だってブルマを履いてきたら〇ンテンドースイッチをくれるって言ってたから・・・!」

あかねと呼ばれた〇学生の少女は体操服と紺色のブルマという、その手の人間にはたまらない恰好でその場に蹲っていた。彼女が倒れた拍子に紺のブルマの隙間から純白のお子様パンツがはみ出しており、さらにその男の劣情を掻き立てていた。ブルマには白パン、これは世界の真理である。

「ブヒィィィィィィィ!!!紺ブルマに白雪のような白パン!!念の為に赤マムシと生卵のスタミナ特製ドリンクを飲んでいて正解だったデブ―!!!」

「い、嫌ァァァ!!!!!」

「痛いのは一瞬デブ―!!嫌がってももうお終いデブ―!!」

男が幼気な少女に圧し掛かる。

「嫌だよぅ!嫌だよぅ!!」

あかねが目を瞑り、その瞳から一筋の涙が落ちる。

「待ちなさい!!!」

草臥れた廃工場に凛とした声が響く。

「誰デブ―!!」

男が振り向くと、黒髪を靡かせて一人の少女が立っていた。黒い制服に黒いストッキング。全身黒ずくめでありながら、その瞳は満月のように金色に輝いていた。

「欲にまみれ、欲に飲まれた愚か者め!!恥を知りなさい!!」

彼に耳垢ほどの正気が残っていればこの場を逃げるのは容易かっただろう。しかし、彼は正気ではなかった・・・・。

「ブルマ幼女に、クール系ロリ。どっちも好物デブ―!!!!デブ―!!!!」

豚のような嘶き声を男があげた瞬間。ゾッとするような青白い焔が男を包み込む。

「な・・・何・・・これ・・」

焔が収まるとそこには豚の耳と尻尾をつけた男が立っていた。理性と一緒に燃え尽きてしまったのだろう、男は全裸でその贅肉に半分埋まり込んだ短小ペニスを勃起させていた。

「良く見なさい・・・これが欲に溺れた人間の成れの果て、欲望怪人よ!」

「欲望怪人?」

「自分の欲のままに行動するケダモノ。そして私は怪人を倒す使命を負った戦士よ!」

少女が懐から、見ているだけでSAN値を削りそうな意匠を施された銀の鍵を高く掲げる。

「ルルイエの神殿で世界を夢見る偉大なるクトゥルフの名において汝を断罪する!深化!!!!」

銀の鍵が光を放ち、鍵から飛び出した触手が少女を覆い包んだ。


サールティー ロイヤーリー タマリ― パースティアーラヤー レ―スティンガァ― (ま〇マギのマミさんのテーマ)


ピンク色の編み上げのブーツ。

同じくピンク色のプリーツスカートとその細いウェストを締める純白のコルセット。

最後に白い肌が青紫色に染まっていく。
黒衣の少女はまさに「魔法少女」といった出で立ちへと変わった。・・・・その手にゴッつい鞭がなければ。


「マジカルブッチャー・プリティショゴス!悪いブタさんはまとめて精肉場送りよ!!!!!」

パシィン!!!

変身を終えた少女がブルウィップを鳴らす。

「そんな鞭なんて怖くないデブ―!!!伊達に週2でSMクラブに通ってないデブ―!!」

欲望怪人「ブルマン」がプリティショゴスに突進する。

「テンタクルウィップ!!!」

バシィ!!バシィ―ン!!

「デブ!デブ!デブ―ン!!!」

プリティショゴスが熟練の鞭捌きでブルマンを追い詰める。

バシィ!!バシィ―ン!!

バシィ!!バシィ―ン!!

バシィ!!バシィ―ン!!


さて、諸兄は鞭と聞けば・・・・

「女王様とお呼び!」

バシーン!

「あふん」

と、SMプレイを想像するだろうが、実際の鞭はかなり危険な代物であり帝政ロシアでは死刑の代わりに、罪人を罰するのに使用されていたくらいだ。


「あらあら二人とも犯すつもりだったんじゃないの?」

バシィン!

「あふん!」

・・・・欲望怪人「ブルマン」屈服。

「さてと・・・・」

プリティショゴスが怯えているあかねを見た。

「貴方もこちらへ来なさい・・・」

「ひぃ!」

逃げようとするが足が動かない。恐怖からか、彼女はプリティショゴスの所へとやってきた。

「貴方には仕上げを手伝ってもらうわね。これを」

「は・・・はい」

あかねは彼女から渡された鞭を手に握る。

「自分じゃわからないかもしれないけど、貴方は欲望怪人になりかかっているわよ?」

彼女の脳裏に青い焔に焼かれて欲望怪人へと変わった男の姿が浮かぶ。

「嫌です!私、化け物になんかなりたくない!!」

「なら欲望を発散しないとね」

そう言うと椅子にしていたブルマンを指さす。

「このダメ豚を鞭でしばきなさい」

「しばくって・・・」

「これは貴方の為なのよ!お小遣いが減らされたでも、理由はなんでもいいわ、このダメ豚を躾けなさい」

「そんな・・・!」

「なら欲望怪人になるしかないわね?」

「うぅ・・・。い、行きます・・・」

ピシャン!

「デブッ!」

「いい感じよ!もっと腰を入れて!!」

「はい!」

バシィン!

バシィン!!

「チクショ―!!あのBBA、テストの成績が低いからって小遣い減らしやがって!!おかげでスィッチを買えなかったんだからな!!」

バシィ!バシィィン!!

「そ、それはデブに関係ないデブ―」

「ダメ豚の癖に声を出すな!返事は!」

「ブヒィ」

「オラァ!もっと鳴きやがれ!この糞ブタが!!」

あかねはさっきとうって変わって、嬉々と鞭を振っていた。そして・・・。

バシィン!!バシィン!!バシィィィィ!!!!

「ブヒィィィィィィ!!!!!!」

涙と涎にまみれたブルマンは嘶くと力なく身を横たえた。

「頃合いね。鞭を貸して」

「はい」

あかねから鞭を受け取るとそれをスカートの下に差し込む。

グチャグチョ・・・

粘着音と共に鞭が男性器を象った性具へと変わっていく。
それを見ていたブルマンの表情が青ざめる。

「デ、デブ―!!そんなのデブに挿られたら壊れちゃうデブ―!!!!」

ブルマンは迫りくる「肛門」の危機に身を捩って逃げようとするが・・・・。

「テンタクルハーネス!!!モード亀甲縛り!」

「デブ―!!!」

地面から飛び出した緑の触手がブルマンの四肢を亀甲縛りで拘束する。ご丁寧に腰を突き上げたポーズを取らされていた。

「さぁ仕上げよ!!」

ペニスバンドがブルマンの菊門にあてがわれる。

「アルテマシュート!!!!!」



ズボッ!



「デブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」


― 欲望怪人を一人残らず倒すまでプリティショゴスに平和な日常はない ―

― 性戯の限りを尽くし、戦え!プリティショゴス! ―



「はーい撮影終了!」

「お疲れ様でした!!」

「おっつー」

廃工場に光が灯り、暗闇に隠されていた撮影カメラを浮かび上がらせる。


魔物娘達がこの世界に現れて変わったものの一つにアダルトビデオ業界が挙げられる。
比較的人間的な魔物娘もいるが、手が鳥や蝙蝠になったもの、下半身が馬や牛、果てはタコやイカなどに変わった異形もいる。おまけにロリやケモ、スライムやゾンビなどあまりにも特殊過ぎる連中もいるのだ。
世のドスケベ、ド変態共は思った。

〜 アイツら男とどんな風にヤってんだろ 〜

程なくして魔物娘達をネタにしたアダルトビデオが出回るようになった。もっとも出演している魔物女優と男優のほとんどは恋人や夫婦であったが。
夫婦そろってのアダルトビデオ出演など、一般的な人間の倫理観としてはまさに狂気の沙汰だが魔物娘の生態としては何ら可笑しいことではない。普通の事だ。彼女達、魔物娘は自分達が世界中の誰よりも愛し合い、そして淫らである事を望む。アダルトビデオへの参加は自分達がどれだけ淫らに愛し合っているかを世間に知らしめる良い機会だ。売上で自分達のプレイがどれだけ支持されているかわかるし、ちょっとした小金も稼げる。イイことずくめだ。

「さぁ戻っておいで」

プリティショゴス役の女優があかね役の女優を撫でるとその身体が青紫色の液体に変わる。それと同時にプリティショゴス役の女性もドロリと溶け二人は交じり合い、そして・・・。

ズズズ・・・・。

そして後には成人したショゴスが一人立っていた。顔つきは凛としていてプリティショゴスが成長した姿そのものと言っていい。「あかね」は彼女から分離した分身であり意思のない操り人形だった。一人二役、これはスライム種の中でもクィーンスライムとショゴスしかできない特殊能力の一つだ。もっとも完全自動とはいかず、撮影中はあかねとプリティショゴスを切り替えて演技しなければならなかったが。それでも同一人物と思わせないテクニックは匠の技といえる。

「像六様、そろそろ元に戻ってくださいませ」

「ごめんごめん。今戻るよガラ」

像六と呼ばれた欲望怪人ブルマン役の男優が伴侶からの快楽鞭責めと逆アナルという桃源郷から帰還すると、身体を起こしゆっくりと背伸びをする。

ボキッボキッ!ブシュゥ・・・・。

風船のように膨れた身体は空気が抜けるように萎み、吹き出物だらけの顔が滑らかな年相応の若々しいものへと変貌する。
ショゴスの番となった人間はショゴス同様、柔軟な身体と制限はあるが「ある程度」の変身能力を持つ。ショゴスのように無機物に変化することはできないまでも、体形や顔つきを似ても似つかないものに変えることなど造作もない。彼らが趣味と実益を兼ねたアダルトビデオ出演を行っていられるのはこの能力によるところが大きいのだ。

「さてと、家に帰ったらまず食事だな!ガラ」

「ええ。お手製バイブにオナホールを準備しておりますわ、像六様」

ガラは像六のソコを撫でる。

「私、撮影で疲れましたわ・・・。ねぇ、お腹いっぱいになるまでちょうだい?」

像六はガラを抱きしめると、その柔らかな唇に自らの唇を重ねた。
魔物と番うと人間の男性もその思考が魔物寄りに変わる。より淫らにより愛し合うように。魔物にとってセックスは生きていくうえで必要なことであり、夫婦の営みを食事と言い表すようになっても可笑しくはない。彼らもこの世界に別れを告げて夫婦そろっていずれ魔界へと移住するだろう。
その日が来るまで二人はこうして愛を重ねていく・・・・。




18/04/10 23:33更新 / 法螺男

■作者メッセージ
ホント、特撮モノのAVってどんな客層が見ているんでしょうね・・・・

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