レブルが『愚者』を倒した翌日。

相変わらずレブルは兜をつけて姿をかぶり素顔を隠したまま街並みを歩いていた。

勿論、先日の傷があるので兜の下は包帯を巻いている。

噴水広場から南の大通りに入り、その通りにある『デレさせ屋』へと入る。

「おかえり、レブル」

「待っていたぞレブル」

中には勿論店の持ち主であるライラと、なぜかは知らないがイオがいた。

「ああ」

店の中に入ると、レブルは兜を外して素顔を晒す。

これは恐らく、2人には既に素顔を見せているからであろう。

レブルが素顔を晒すと、イオとライラはとろんとしたような視線をレブルに向けて溜息のような吐息を吐く。

「うむ、やはりレブルの素顔はイイ……」

どこかトリップしたような雰囲気でイオがそう言うが、レブルは軽く首を傾げ、兜を脇に抱えてライラの正面に立つ。

「ライラ、話がある」

「ん？何だい？」

レブルの真剣な面持ちにライラも表情を引き締めた。

「明日、俺はこの街を出る」

この一言に部屋の中の時間が停止した。

実際に止まったわけではなく、そういった雰囲気になっただけなのだが。

「……ああ、また依頼に行くって事？いつ頃帰ってくるんだい？」

少し冷や汗を流しつつそう聞くライラだが、本当は如何いう意味かは分かっている。

今まではもっと別の言い方をしていたし、単に依頼で出かけるならもっと簡単に言うはずだ。

ある意味予想できた事だが、レブルは首を横に振った。

「違う。この街を拠点として活動して2ヶ月ほど経った。教団に俺の位置が特定されている。このままだとお前に迷惑がかかる」

レブルの言い分は尤もだ。

位置が特定されているから討伐隊が派遣されたのだし、『愚者』の奇襲に会ったのだ。

「ボ、ボクはそんな事は気にしないよ！」

座っていた椅子がガタンと音を立てて倒れるほど勢い良く立ち上がるライラだが、そこへイオが声をかけた。

「昨日は貴様が人質にされてレブルが怪我を負ったんだぞ？お前がレブルの枷になっているんだ」

「う……！」

イオの指摘にライラは反論する事ができない。

そんな誰が見ても暗くなっているライラをレブルは優しく撫でてやる。

「今まで世話になった。この恩は忘れない……また何れ会ったときには恩を返す」

それだけ言うと、レブルは自分の部屋へと入っていく。

「レブル！勿論私は付いて行くぞ！」

続いてイオもレブルの部屋へと入ってく。

残されたライラは、呆然として手と膝を床に着くことしかできなかった。





その夜、レブルはインナー姿でベッドに横になっていた。

2ヶ月も過ごしたこの街には少しだけだがレブルも思い入れがある。

初めてこの街に来た時には路銀がなくなってしまい、野宿をするしかないという状態だったが、ギルドでうろうろしていた時にライラに誘われたのだ。

最初は週1回に家賃を払っていたのだが、日常生活で付き合っていく内に家賃は要らないと言われたのだ。

お陰で路銀を稼ぐのも思ったより早く終わった。

暫くはずっと放浪としていても困らない程度に懐は暖かくなった。

次は傭兵として金を稼ぎやすい反魔物領同士の戦争にでも行こうかと考える。

反魔物領では指名手配されているが、鎧を変えて正体を隠せば問題はないだろう。

もう眠ろうと目を閉じると、暫くしてから部屋の扉が聞こえるとレブルはピクリと反応する。

（教団の暗殺者か…？昨日俺を殺すのを失敗してからだと考えると早すぎるが……ありえない話じゃないな）

できるだけ潜められている足音が自分の射程範囲内に入ると、ベッドから飛び上がってシーツをその人間に向けて投げて視界を塞ぐ。

相手がシーツで視界を塞がれている内に飛び掛って組み倒す。

「うわぁっ！」

「……ライラ？」

しかし組み倒した時に聞こえてきた悲鳴は良く知ったライラの声だった。

「んっ♥レブルゥ……♥」

「っ！？」

状況が掴めずに暫くライラを組み伏せていたレブルだったが、自分の手がライラの胸を掴んでいる事に気が付くとすぐに離して飛び退いた。

起き上がったライラは、どこかうっとりとした、そしてどこか嬉しそうで、どこかしおらしい表情をしていた。

一歩ずつ、ゆっくりと、そして静かにライラがレブルに近寄ってくるが、レブルはベッドの所まで後退すると立ち止まってしまう。

「ラ、ライラ…？」

普段とは違うライラの様子にレブルはかなり戸惑っているが、そんなレブルを見てライラはフッと微笑む。

「嗚呼、そんなうろたえているレブルは始めてみるけど…可愛いなぁ…」

レブルの両肩に手を置いて顔と顔がくっ付きそうな位近くに近づける。

2人ともが心臓の鼓動が早まり、顔が赤く染まっていく。

そして、不意にライラが顔の距離を更に縮める。

当然、2人の顔の距離は0となり唇と唇が触れ合う事となる。

「んっ…♥」

「んっ…！？」

戸惑うレブルに反してライラは目を閉じて色っぽい声を漏らす。

更にライラは自分の舌をレブルの口内へと侵入させて、中を蹂躙した。

「んっ♥ちゅ、んちゅっ♥むぅっ♥………ぷはぁっ♥」

十数秒間レブルとのディープキスを堪能したライラは、唇を離すとニィっと妖しく笑う。

「ライラ、お前……」

「言ったでしょレブル？ボクは君の事が好きだから……君に女としての全てを捧げたいって…♥」

「……だが、俺はお前を受け入れられない。教団に追われてる身としては、人間の女を連れているとそこを付け狙われる。魔物の様に強靭な力があるならまだしも……」

レブルの言葉を最後まで待たずに、ライラは顔をレブルの真横に持ってくる。

「じゃあ…ボクが魔物なら良いんだ？」

そう耳元で呟くと、ライラはあーんと口を開けてレブルの首筋に噛み付いた。

人間とは少し形の違う犬歯によってレブルの皮が貫かれてジワリと血が溢れる。

「ぐっ…！？」

「じゅ……♥ちゅるる、ちゅ♥じゅるるるるっ！♥」

レブルの首筋から溢れ出た血を啜るようにして飲み干してくライラは、とても幸せそうな表情をしている。

首筋から顔を離したライラの表情は、もう完全に人間のものではなく、魔物のそれだった。

「ライラお前……ヴァンパイアだったのか……！？」

レブルの問いにライラは首を横に振るうと、レブルに抱きついてベッドに押し倒した。

「ちょっと違うかな……ボクはダンピール。ヴァンパイアの亜種で、ヴァンパイアより人間の特性を色濃く受け継いでいる魔物だよ。フフフ、今まで気が付かなかったでしょ？」

確かに、2ヶ月一緒に生活していたが、レブルはライラの正体に気が付かなかった。

いやレブルだけではない。

この街に住むもっとライラとの付き合いが長い人でも特定の人物しかライラの正体を知らない。

それほどライラは人並みに溶け込んでいたのだろう。

「でも、時々ヴァンパイアの吸血衝動がでちゃうんだ……昨日のレブルの血の臭いを嗅いだら、もう我慢できないよ……♥」

何処かぎこちないが、ライラはレブルの下のインナーを脱がすと既に大きくなっているペニスを優しく撫でた。

「思っていたより、ずっと大きくて逞しい…♥臭いも、脳が溶けちゃいそうだよぉ…♥」

「ライラ……！」

「はむぅ…♥んちゅぶ♥じゅぼ、れろ……♥」

ライラはレブルのペニスを頬張ると一生懸命にしゃぶる。

時折快感によってビクンッと反応するこのペニスとレブルが愛おしく、ライラは更にペニスをしゃぶる。

「で、射精るっ……！」

「だひてぇ…ボクのくひのなふぁに…♥」

ビクンッといっそうペニスが反応すると、ドクドクとライラの口の中へと発射される。

「んぅっ！？…んく、こくごく♥…あぁ、もったいない♥」

射精された精液の多さに驚き、少しだけベッドのシーツに零してしまうが、それを律儀に掬い上げて飲んでいく。

口の端からも少し零れているが、ライラはそれすらも拭い、舐め取っていく。

「うん……レブルの精子、とっても美味しいよ…♥でも、今度は此処に出して欲しいナァ……♥」

ライラは服と下着を全て脱いで生まれたままの姿となる。

イオほどではないが胸も大きく、引き締まった腰や柔らかそうな太腿などに、レブルは思わず息を呑んだ。

そしてライラはレブルに覆いかぶさると股を開いて股の割れ目…マンコを指で広げた。

ねちゃあ…と音を立てて開いたマンコは、愛液が溢れている。

「くっ…」

「お願い…♥レブル、ボクを大人の女性にしてぇ♥レブル以外には、考えられないんだよぉ♥」

耳元でそう優しく囁かれて、レブルの理性は崩壊した。

レブルはライラの太腿を掴んで引き寄せ、マンコとペニスが擦れ合うような位置にまで近づけると、ライラは切なそうに喘ぎ声を出す。

「んっ…♥んあっ♥あっあぅぅ♥」

何時まで経ってもレブルは挿入することはなく、ただ亀頭と割れ目を擦り合わせるだけだった。

焦らされているライラはマンコから愛液を大量に垂れ流し、息を荒くする。

対するレブルも我慢しているらしく、表情は口はしを吊り上げて笑っているが、我慢汁を流し息を荒くしている。

「レ、レブルッ！はやくっ、はやくぅっ！♥」

「なら、上手におねだりできたら挿入れてやるよ…」

切なさの為か、ライラは目尻に少しだけ涙を浮かべて懇願するが、レブルは揺れずにそう言った。

「ひくぅっ♥お、お願いします……ボ、ボクのアソコに……」

「くっ…アソコ？アソコってどこだ？ちゃんと言わないと分からないぞ？」

「んぅうう…♥マ、マンコ！マンコにレブルのペニス挿入れてくだしゃいぃいいいいっ！♥もう焦らさにゃいでぇえええええっ！♥」

ライラがそう叫ぶと、レブルは容赦なくペニスをマンコに突き立てた。

処女膜を破る感覚と共に一気に奥まで突き立てたのだ。

ライラのマンコからは血が流れていて、ライラは痛みに身体を震わせて歯を噛み締めるが、痛みより愛しの人と繋がれた喜びの方が強かった。

「あああ、あぁああぁぁぁ♥」

普段の冷静沈着なライラからは想像できないような淫らでだらしない表情を見たレブルは、ほんの少しの罪悪感と、更なる加虐感が沸いてきた。

レブルはライラが完全に落ち着く前に腰を上下させてライラの子宮を何度も何度も突き上げる。

「ああっ！♥んああっ！♥んぉおおぉおおぉぉぉ！♥」

喘ぎつつ、ライラはレブルの肩を掴んで離れまいとする。

しかし何度も腰を動かし、奥へと突き立てる感覚で互いに我慢できるはずもなかった。

「くぅ……うあっ！」

「あひぃいいいっ！？♥出てりゅぅうううううう！♥レブルの赤ちゃんの種、ボクのマンコの中に出てりゅぅううううう！♥こ、こんな濃いの、孕んじゃうよぉおおおおおっ！♥」

レブルが射精を終えると、息を荒くしてライラはレブルの上からずり落ち、ベッドに横になる。

「ハァ…ハァ……♥ねぇ、レブル♥」

「どうした…？」

「もっと、もっと……ボクの事、愛してくれる？♥」

レブルは口を開かず、返答は行動で示すように、ライラの上に覆いかぶさった。

2人の夜は、まだまだこれからだった。





翌日。

太陽が真上を通過する頃、レブルとイオは『デレさせ屋』の店の前で荷物を整えていた。

「忘れ物はないかイオ？」

「……フンッ！」

レブルがそう問いかけても、イオは鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまう。

今朝イオがレブルの部屋に行くと、精液まみれになったライラとレブルが共に眠っており、機嫌を損ねてしまったのだ。

「……この町ともお別れかぁ」

そう感慨深いように呟くのはこの『デレさせ屋』の店長でもある…いや店長であった、ダンピールのライラだ。

店の看板は既に降ろされており、ライラも麻の袋に荷物を纏めて家から出てきた。

「なぁライラ、本当にいいのか？」

「くどいよレブル。ボクがそう決めたんだから、いいんだよ。それにレブルとお別れだなんて、想像するだけで胸が張り裂けそうだよ」

ライラは昨日交じり合ったことをきっかけに、この街から出る事を決めたのだった。

そこまで言われてしまっては、レブルも連れて行かない訳にはいかない。

「くぅぅううう！いいかライラ！私がレブルの正妻だと言う事を忘れるな！お前なんて妾で十分だ！」

「それを決めるのはイオじゃないよ。決めるのはレブルさ」

ガルルとライラを威嚇するイオだが、それをひらりと避けてレブルの腕に自分の腕を絡ませるライラ。

「くっ…う、うるさいっ！いいからレブルから離れろっ！」

「さ、早く行かないと日が暮れちゃうよレブル」

「話を聞けー！」

ライラに引っ張られ、後ろから追いかけてくるイオの2人に振り回されつつ、仲間と言う暖かい絆に懐かしさを感じつつ、レブルは兜の下で口の端を吊り上げたのだった。





-Rebel-　反逆者と魔物娘

-ダンピールの章4-　了