連載小説
[TOP][目次]
私とあなたの家
森の奥の小さな一軒家。
家屋というよりは小屋といった趣のこの場所が今の私の住処だ。

意味もなく両手の鎌をゆっくりと動かしながら、同居人の男を眺める。
男はこちらに背を向けて、夕飯の用意にせっせと勤しんでいる。


男の名はカーム。
まだ顔にはあどけなさが残るが、体格はしっかりとしており、適度に実用的な筋肉がついているのが見て取れる。日頃の狩りの成果だろう。
怪我をして倒れる私をわざわざ連れ込み、おまけに怪我が治ったあともこうして住処を私に分け与え生活している。
「おかしな奴」としか言いようのない男だ。


怪我が治癒し、私が元の住処に帰ろうとした私をカームが引き留めたのが今から三か月ほど前。
彼と出会ったのは初夏の頃だったが、今では夏の暑さもピークを越え、森も徐々に秋の空気が濃くなってきた。

『僕は君と離れたくないんだ』

あの時、こちらの目を真っ直ぐに見ながら言うカームの姿が何故か忘れられない。
結果として、私はカームの家に住処を移す事にしたのだが、その理由はとてもシンプルだ。
この住処は快適だ。風雨を気にしなくていいし、寝床も柔らかい。
生きていくのに、とても都合がいい。


そう、都合がいいのだ。
私にとって重要なのは、ただひたすらに今を生きていくことだ。
だから、生きていくのに余計なものは今まで排除してきたし、これからも必要ない。
短絡的に考えれば、カームの存在は生きていくのに不要だが、彼の住処が今後も利用できるのはとても魅力的だった。
それだけの話だ。そこに余計な情だとか、愛着なんて無駄なものは関与しない。
カームは「損得なんて関係ない。」と言い切ったが、私にあるのは損得勘定だけだ。
生きるのに得であれば受け入れ、そうでないなら切り捨てる。これまでも、これからも。
自分に言い聞かせるように思考に結論付ける。


「さぁ、出来たよ。おかわりもあるから、たくさん食べてよ。」

そう言いながらカームは私の目の前に鍋と取り皿を置く。
鹿の肉を茶色い調味料(味噌、というらしい)で煮込んだ汁物。
沢山の山菜も入っているようで、見た目にも鮮やかだ。

「…カーム。何度言えば分かる。私には野菜の類は必要ないと…」

「もー、駄目だよリズ。好き嫌いせず食べなくちゃ。山菜も食べないとおかわりは無しだからね。」

「…むぅ。」

それは困る。
ここに住処を移して都合の良い点として食事も挙げられる。
そもそも食事とはあくまで栄養補給であり、明日へ生を繋ぐための行為だ。
だから、味なんてものはどうでもいい。
美味かどうかは食事において重要じゃない。
魔物である私は生肉のままで食事を摂ればそれでいい。
…はずだったのだが。

全くもって理解しがたい事に、どうやら私はカームの料理を生きるために必要なものと判断しているらしい。
これを自覚したとき、不可解な自分の思考に戸惑いもした。
だが、彼の料理ならば、一度の食事で大量に栄養を摂取できて効率がいいのだと無理やり納得して、あまり深く考えないことにした。
何故か、これ以上考えれば、私が私でなくなってしまうような、そんな予感がしたからだ。

鎌で器に浮かぶ根菜を軽く突き刺して口に運ぶ。
噛み締めると根菜は柔らかく口内に溶けて、味噌の香りが鼻に抜けた。
美味い。

「ね?山菜もおいしいでしょ?」

なにが嬉しいのか、カームがニコニコと微笑みながら声を掛けてくる。

「…だから、食事に味は関係ないと何度も言っているだろう。」

嘘だ。以前ならともかく、今の私はカームの料理の味に価値を感じている。
何故私は嘘を吐いたのか。
恐らく私は、今更になって素直にカームの料理を褒めることが恥ずかしかったのだ。


(…恥ずかしい?なんだそれは?)

自然と浮かんだ不可解な思考に思わず食事を進める手が止まる。
「恥ずかしい」という言葉の意味は分かる。
だが実感としてそれを感じることなど有り得ない。
そんなものは、生きていくのに、不要だ。


「リズ?どうかしたの?」

不安そうな顔でカームがこちらを覗き込む。

「……いや、なんでもない。」

こちらを見つめるカームの視線から目を逸らし、食事を再開した。
このまま彼と見つめあったままだと、また不可解な思考に頭を悩ませることになりそうだった。


カームと共同で生活を始めてから、私の頭は時々不可解な感覚を身体に発信する。
最初にこの感覚を感じたのは、初めて彼と共同で狩りを行った日だ。
カームが追い込んだ鹿を、私がいつも通りの動きで仕留めた時、ぼそりと呟くような声が聞こえた。

『綺麗だ…』

少し離れた場所から私を見る彼の言葉だと気づくと同時に、全身を駆け巡った暖かな感覚。
一体あれはなんだったのか、未だに私には分からない。
しかし何故かそれからカームと共に狩りをする際、獲物を仕留める時には彼がなにか呟かないかと意識を向けてしまう。


『…やっぱり、森の住処に帰るの?』

カームが探るように聞いてきたとき感じた、まるで深い谷に落ちていくような感覚は何だったのだろう。


『つまり、その、僕は君と離れたくないんだよ。』

振り絞るような彼の声を聞いたとき、私の胸に飛来した、燃え盛りそうなほど熱く優しい感覚は何だったのだろう。


不可解だ。生きるために必要ないものを容赦なく捨ててきた私が、こんな些細な違和感を忘れて捨て去ることができないのは何故だ。
こんなものは、不要なはずなのに。
私の冷め切った心は、その暖かな違和感を、頑なに抱きしめたまま放さない。


____________________________________


翌日、私とカームはいつものように狩りに出た。
二人での狩りも、もう慣れたものだ。
彼が追い込み、私が仕留める。
カームの激しく追い立てる動的な狩りと、私の獲物を待ち続ける静的な狩りは、ガチリと噛み合って回る歯車のように相性が良かった。
唯一の問題点と言えば、相変わらず獲物を仕留める際に彼の様子を気にしてしまう私の癖だが、これはもう仕方ないと割り切る事にした。
カームが飽きもせずに熱心にこちらを見続けているのが悪いのだ。私は悪くない。
そう納得すると、何故か今度は、あれ以降なんど確認しても口を開かないカームに、釈然としないもやもやとした感覚を覚えてしまう。

「…最近は、私の狩りを見ても何も言わないのだな。」

「え?」

狩りを終えて帰り支度を進めていた時の事。
私が小さく漏らした言葉に、思わずわが耳を疑う。
何を言っているのだ私は。
驚いて聞き返すカームに構わず、私の口は言葉を勝手に紡ぐ。

「…最初に二人で狩りをした時、お前は、私に向かって『綺麗だ』と言っただろう。
 最近は、言わないじゃないか。
 …カーム。私は、綺麗ではなくなってしまったのか?」
 
いつになくなめらかに私の口が動く。最後まで言い切ったとき、胸の奥がチクリと痛んだ。

「う、うわー!あれ聞こえてたのリズ!?」

カームの顔が一瞬で赤く染まる。

「当たり前だ。マンティスの聴力を舐めるな。
 ……それで、どうなんだ。私は、綺麗ではなくなってしまったのか?」
 
胸の痛みが強くなる。
もうやめろ、それ以上聞くな、私の忌々しいほど冷静な思考はそう繰り返すが私の口は止まらなかった。
顔を真っ赤にしながら俯くカームは、ぼそぼそと話し出した。

「…あー、うん、初めてリズの狩りを見た時に、その、凄く綺麗だなと、思ったんだ。
 鎌がきらめいて、まるで、君が光を放って輝いてるみたいだった、というか、なんというか…。」

段々と小さくなっていくカームの声。
彼から再び「綺麗だ」という言葉が出た時に、背筋にゾクリとしたものが走る。

「…も、もちろん、綺麗だと思うのは今も変わらないよ!
 ただ、口に出すのは、少し恥ずかしくてさ。
 と、とにかく!リズは、凄く、綺麗だと思う、よ。」

顔を上げ、必死に私に向かって声を掛けるカーム。
背中を走る寒気にも似たゾクゾクとした感覚は下腹の辺りに集まり、私の奥深くに強烈な疼きを刻み込む。

「…そうか。なら、いい。」

言いながら、思わず顔を背ける。何故か、カームの顔を直視できない。下腹の疼きが止まらない。

「…帰るぞ。」

「…うん。」

まだ顔の赤いカームを連れて、二人の住処へと帰る。
なんとなく、こそばゆい空気がながれる家路。下腹の奥の疼きは強くなる一方だった。

____________________________________


住処へ到着した後は、今まで通りの日常と何も変わらない時間が流れた。

カームが多めに夕飯を作り、二人で食べて、別々の寝床に就く。
幾度となく繰り返してきた日常だというのに、私の体は依然としておかしい。
疼きは止まる事を知らずに増し続け、身体が火照る。
カームから目が離せない。
せっかくの料理も、味がよくわからなかった。
いつもよりも食べる量の少ない私をカームが心配していたが、それに答える余裕もない。

「…リズ?ひょっとして体調でも悪いの?」

私が寝床に向かう直前に、心配そうにカームが言った。
私の体を気遣う言葉だというのに、それを聞くだけで疼きがまた深くなる。

「…なんでもない。気にするな。」

短く答えてから、柔らかいベッドに横になる。
この家に住むようになってから、カームが用意してくれた私専用のベッドだ。
以前は彼の育ての親が使っていたらしい。彼は爺さんと、親しげにその男の事を呼んでいた。
長いこと使っていなかったベッドらしいが、それにしてはマットレスも清潔で、埃一つ被って居なかった。

元々は、カームのベッドの横に並んでいたのだが、
「これは大事なことだから!」
と、彼にしては珍しい、有無を言わさぬ口調でベッドを部屋の隅に移動させて、薄いカーテンで仕切ってしまった。

当時は意味が分からなかったのだが、今となってはありがたい配慮だった。
私の子宮の辺りをジクジクと苛む疼きは、カームを前にしていると特に激しさを増す。
彼の寝顔が横にあれば、何をしてしまうか分かったものではない。

(…これが、繁殖期という奴か。)


昔、まだ私が両親と暮らしていた頃、母親から教わったのを思い出す。
私と同じく無口であまり感情を表に出さなかったが、唯一、父の前でだけは頬を薄く赤らめて微笑んでいた母。
私とは比べ物にならないほど狩りが上手く尊敬に値する母だったが、それ故に父に対する態度は疑問だった。

『…いつかあなたにも繁殖期が来て、父さんのような人が見つかる。』

母は静かな口調でそう言っていた。
『と、父さんは許さんぞー!』と父が何故かいきり立っていたのを、母が微笑みながらなだめていたのをよく憶えている。


いつか、この時期が来るのは分かっていたのだが、どこか現実味がなかったのだ。
私が、両親のように笑いあう相手ができるとはとても思えない。
そんなものは、無駄だ。生きていくのには一人が一番効率がいいのだから。
いざ繁殖期が来たなら、適当な男を捕らえて、乗り切るつもりだった。


では何故、目の前に男…カームが居る状況で私は疼きに耐えているのか。
分からない。不可解だ。いますぐ彼に襲い掛かり、衣服を切り裂き、子種を搾り取り、疼きを治めてしまえばいい。
カームを私の繁殖のための道具として、冷静に、事務的に、当然の摂理として『使用』すればいい。

ただ、カームと性行為を交わして子種を得た時、私は母のように微笑むことが出来るだろうか。
父と母のような関係に、私たちはなれるのか。
二人で今までのように、この家で暮らしていけるのだろうか。
そう考えると酷く不安で、結局私は動けなかった。
なにより、カームを私の性処理の道具として見なすことがどうしても出来ない。
全く持って馬鹿馬鹿しい話だ。少しの間共に生活をしただけで彼に情でも移ったのか。そんなものは無駄だというのに。
かといって、カーム以外の男と性交し、繁殖期を乗り切るつもりにもなれないのだ。
見知らぬ男の手が私の体を這い回るのを想像するだけで怖気が走る。


要するに、八方塞がりだ。私にはどうする事も出来ない。
これまで、一人で上手く生きてきたつもりだったのに。
損得や利益の有無で判断できない問題に直面した今、私は酷く弱く小さな存在に思えた。



「…ねぇ、リズ。まだ起きてる?」

暗く沈んでいく私の思考を引っ張り上げたのは、カーテンの向こうから聞こえてくるカームの声だった。

「…なんだ。私はもう寝ると言っただろう。」

あぁ、今すぐにこのカーテンを切り裂き、彼に跨ってしまいたい。貪りたい。
昏い欲望を必死で抑え、いつも通り冷静な声で返事をする。

「ごめん。だけど、今日のリズは様子がおかしかったから心配で…。
 何か、気に入らない事でもあったかな…?夕飯、美味しくなかった?」
 
「…なんでもないと、言っている。大丈夫だ。心配など無用だ。」

駄目だ、やめてくれカーム。本当に、このままでは私はお前を道具にしてしまう。

「…君が辛そうにしてるのは僕も辛いんだよ。
 今も、そんなに辛そうな声で話してるじゃないか…。」

「なに…?」

馬鹿な。私はいつも通りに会話出来ていたはずだ。辛そうだなんて、そんなはずは…

「分かるよ。もう、三か月も君の傍に居るんだ。
 リズが何かに苦しんでいる事くらいすぐに分かる。」
 
「適当な事を、言うんじゃない…!」

平静を取り繕う余裕も無くなってきたのが自分でも分かる。
シーツをきつく握りしめて、衝動に耐える。

「リズは、笑うかもしれないけど、僕は君の事を家族だって思ってる。
 家族が苦しんでいるのを、これ以上ほっとけない。
 お願いだよ、リズ。何が苦しいか言えないなら、せめて僕に出来る事だけでも教えてほしい。」

家族。普段の私ならば一瞬で下らない妄言だと切り捨てるだろう。
私とカームは住処を共にするだけの同居人。血の繋がりも、深めた愛情もありはしない。
なのに何故、彼が私をそう呼んでくれることがこうも心地いいのか。

「……お前が、私の事を家族だと思っているなら、尚更言えない。
 これを言ってしまえば、私は、お前を家族どころか人としても扱えなくなる。
 私は、カームを、自分に都合の良い道具にしてしまう。」

私が、何を言っているのか、よく理解できない。
これでは、自分の欲望に耐えているのが、カームの為だとでも言っているようじゃないか。
馬鹿な、私は私のために生きているのだ。
私が今苦しんでいるのは私の利益のためだ。


 
「いいよ。」

 
「は…?」

今、彼は何と言った?

「道具で、いいよ。」

「…お前、何を言っているんだ?」


「だから、道具でいい。それでリズが元気になるなら、僕を道具にでも玩具にでも好きなようにしていい。
 その位で済むなら、いくらでも、好きなように僕を使いなよ。」

あぁ、本当に、おかしな奴だ。
もう、いい。彼がそう言うならば、私がこの疼きに耐える理由は何一つない。
思い至ってからの私の行動は、早かった。

鎌を翻して目の前を阻む邪魔なカーテンを引き裂き、狩りで獲物に近づくのと同じようにカームに一瞬で接近する。
目を見開いて驚くカームの顔が見えたが、気にせずに彼のベッドに引きずり倒した。
何が起こっているのか理解できずにベッドに横たわるカームに馬乗りになる。
彼の肉体を傷つけないよう、細心の注意を払いながらカームの寝巻を切り裂いた。

「リ、リズ…!?一体何を…」

「…うるさい。少し黙っていろ。すぐに終わる。」

わざと、彼の目に映るよう大げさに鎌を動かす。その気になれば、お前の体も引き裂けるのだと、言外に匂わす。
股の下から感じる彼の体温に反応するように、疼きが増す。
彼の筋肉質な体をまさぐり、目当てのモノを探る。

「うひゃあ!リズ!?ちょ、そんな所触っちゃ駄目だって!」

股間の辺りに手を這わせると、間抜けな声が響いた。
私の脅しも、全く伝わっていなかったようだ。
まぁ、いい。無視して作業を進めることにした。

(…これが、ペニスか。)

私の体にはついていない器官をじぃっと見つめ観察する。
中に芯が入っているような硬さはあるが、柔らかい。

(まずは、これを硬くしなければ…)

誰に教わった訳でもないというのに、本能でそれを理解する。
カームが相変わらずうるさく騒いでいるのが聞こえたが、もう気にならない。
指の先で先端を撫で、もう片方の手で幹の部分を軽く握る。

熱い。ビクビクと震える彼の陰茎の中に、凄い勢いで血が集まっていくのを感じた。

「…なんだ、カーム。まだ触っただけだぞ?なぜこんなにも硬くしている?
 もしかして、期待、していたのか?私に、触って欲しかったのか?」

熱に浮かされるようにカームに尋ねる。彼の顔は真っ赤だ。

「う…!そ、そりゃあ、リズみたいな美人に触られたら、硬くもなるよ…!」

投げやりに答えるカームを眺めつつ、陰茎をさわさわと撫でる。
私の手が動くたびに、彼の口から短く耐えるようなうめき声がもれた。

(もう、充分だな。)

先ほどまで可愛らしいサイズだった陰茎も、あっという間に硬く雄々しく反り立っている。
私の秘所もすでに爛れるような熱を帯びて、彼を捕食する準備は万端だ。
あとは、カームの子種を私の中に取り込んでしまえば、この忌々しい疼きも終わり、今まで通りの生活に戻れる。
彼と共に狩りをして、彼の料理を食べて、彼と同じ部屋で眠りにつくのだ。
これが私にとっての理想的で、最善の生活だから、それを私が切望するのは当然のことだ。
カームは優しいから、私が彼を道具のように犯したあとも、一通り私を叱ってから笑って許してくれる。
実に私らしくない、根拠もなくて自分に都合の良い判断だが、それに違和感を覚える余裕も今の私にはない。

陰茎を秘所の入り口にあてがう。
先端が私に触れた時、ゾクリとした感覚が私の体を貫いた。

「……?」

何だ今のは?今まで感じたことのない感覚に私の動きが止まる。
似たような感覚は、彼と生活していて度々味わったが、今のは少し毛色が違う。
ダイレクトに体に訴えかけてくるような衝撃。彼の料理を食べている時の感覚に似ている。
私が思わず逡巡していると、カームが口を開く。

「…リズ、駄目だよ、こんなの。こういう事は、そう、もっと段階を踏んでさ…」

この期に及んでまだそんな事を言っているのかこの男は。

「…うるさい。お前は自分を道具にしていいと言っただろう。
 道具なら、黙って受け入れろ。」
 
いい加減面倒になってきた私は、そう言いきって腰を勢いよく下ろした。

「うぁあっ…!」

最初に感じたのは、僅かな痛み。次いでカームのうめき声が聞こえる。
だが、そんなものはどうでもいい。
彼の剛直が私の最奥を突いたとき、流れ込んできたこの感覚は一体なんだ。
私が発したとは思えない、緊張感のない声が漏れる。

「…え?あ…、嫌、何だ、これは。」

今までに感じたことのない恍惚感とあらゆる感情の瀑布に私の冷静な思考は押し流されていく。
混乱し、狂乱する。
何だこれは。何なんだこれは!こんなのは知らない!
嫌だ!怖い!助けてくれ!


「…あ、うぁ、あぁっ、あ゛あ゛あああああああぁぁぁっ♥♥♥♥♥♥」


盛った獣のような声が聞こえる。それが、私の発した嬌声だということに気づくのには少し時間がかかった。
私の全身を包む恍惚の正体が快感というものだという事に気づくと、もう私の体も、思考も全てが快感に支配されてしまう。
快感が私を変えていくのが分かる。今までの私がバラバラになっていき、新しい私が形作られていくのを感じる。
それが、どうしようもなく気持ちいい。

「リズ!?リズ、どうしたの!?」

カームが私を心配そうに見つめている。
その顔を見た瞬間に、今までの生活で感じてきた違和感の正体をあっという間に理解した。


何だ、こんなにも簡単な事だったのか。
こんな簡単な事に気づかずにうじうじと悩んでいた私は本当にどうしようもない雌だ。


「あぁ、あはぁ♥ カーム、カームぅ♥」


体中の力が抜けて、カームの上へとしなだれかかる。私と彼の身体がすき間なく密着した。
彼の体温で私の思考はますます蕩けて、目の前の男への暖かな感情が溢れ出す。



私を助けてくれたあなた。
私を住処へと招いてくれたあなた。
私を綺麗だと言ってくれた、私を救いたいと言ってくれた、優しいあなた。
愛おしい。あなたが愛おしい。
あなたの傍に居たい。あなたの笑顔が見たい。
損得なんて関係ない。カームさえいれば、それだけで私は生きていける。



カームは、私の変化に驚いて目を白黒させている。
私はカームのそんな顔が見たいんじゃない。
笑っていてほしい。なのに快感に流されてもみくちゃになっている私の体にはそれを伝える術がない。
口を開けば、甘えるような声音の嬌声が漏れるばかりだ。
私は大丈夫だと伝えなくてはいけない。けど、どうすればそれを伝えられるだろう。

ふと、私の母が父に向かって向けていた表情を思い出す。
今なら、あの微笑みに秘められていた優しさと愛の深さが分かる。

(私も…あんな風に微笑めたら…)

カームに、私の思いを伝えられるかもしれない。
思い立つと、言う事を聞かない体に鞭打ち、無理やりに口角を引き上げる。
今までに使ったことのない筋肉が動くのを感じる。
上手く生きてきたと自負してきた私が、笑顔の作り方も知らないなんておかしな話だ。



母のような、綺麗で優しい笑顔を私は作れているだろうか。
彼に、私の思いは伝わってくれるだろうか。
変な顔に、なっていないだろうか。



不安に思いながら彼に顔を向けると、カームが刻む鼓動が高鳴って早まるのを感じた。

(あぁ、嬉しいっ…!)

彼が、私の下手くそな笑顔を見て少しでも高揚してくれたのが嬉しくてたまらない。
感極まって、おもむろに腰を上下に動かす。
じゅぼじゅぼと、はしたなく音を立てながら一心不乱に腰を振る。
私と彼の肉が打ち合ってパンパンと小気味の良いリズムを刻んでいく。
カームが私の中を行き来するのを感じる度に、耐えがたい悦びが身を焦がした。

「ん…、んぁ、あんっ!なぁ、カーム、気持ちいいか?んっ♥私は、カームを気持ちよくできているか?」

「ぐぅっ…!リズ、そんなに激しくしたら…!」

切羽詰まったようにカームが言う。必死でこらえるような彼の顔が愛おしくて仕方ない。

沢山、伝えたいことがあるのに、言いたい言葉があるのに、これまで碌に思いを伝えることをしてこなかった私の口は動いてくれない。
思いを伝える術を知らない口と、思いを乗せるのに足る言葉が思いつかない私の語彙力がどうしようもなくもどかしい。

もどかしさは臨界を超え、伝えられない思いに突き動かされるようにカームの唇に貪りついた。

「ちゅぅ…♥じゅる…ん、ふぅっ…れろぉ♥カーム…♥」

カームの少し乾いた唇を舌で分け入り、口内に侵入する。
歯列を舐め、彼の舌を探し当てた。
巻き付くように舌を絡める。
最初は緊張で硬直していたカームも、徐々に力が抜け、私の舌の動きに応えて遠慮がちに舌を動かしてきてくれた。
腰の動きと、口内の動きが同調し、まるでカームに体を貫かれているように錯覚する。
秘所から込み上げる快感が逃げ場を無くし、私の内にとどまって暴れ回っている。

「ん、ふ…じゅるっ!じゅぞぞぞっ!れるぅ…♥」

「む、はぁ、あぁ…、むちゅ、じゅる…リズ…っ!」

二人の間で交わされるいやらしい水音と、カームが私を呼ぶ声に意識が朦朧としてくる。
もっと、もっと、深く繋がりたい。離れたくない。
酸欠で胡乱になる思考がそう叫ぶが、やがて限界は訪れる。

「「…ぷはぁっ」」

空気が漏れるような音を出して二人の距離が離れていく。
二人の間にどちらのものかも分からぬ唾液で橋がかかり、切れる。
私の触角が、彼の顔を撫ぜるように未練がましく動いた。。
唇が離れても、少しでも多くの場所で彼の温度を感じたい。
敏感な感覚器官である触角から感じる彼の吐息すらも、甘く感じる。

依然として激しく腰を動かす私を見ながら、カームが声を絞り出す。

「リズ…っ!駄目だ、離れて…。もう…出ちゃうよ…っ!」

出る?何がだ?一瞬疑問が浮かぶが、すぐに答えに行きついた。
子種だ。カームが絶頂に達し、私の子宮めがけて勢いよく子種を放とうとしている。

彼の白く粘ついた精液が私の膣内を迸り、子宮を埋め尽くそうとしている。
それを想像した私の膣がキュッと強く締まる。
私の中にカームの存在が沁みつくその瞬間が、待ち遠しくて仕方ない。
カームの精液で白く染まった私を夢想する。
…あぁ、それは、なんて幸せなんだろう。

「…!いいぞっ、射精してくれカームぅ♥全部、全部私の中にそそいでぇっ♥」

遮二無二私は叫ぶと、きつく彼の体に抱き着いた。
一滴残らず彼の子種を受け止めたい。


射精してっ!射精してっ!射精してっ!射精してっ!
早く!早く!早くぅ!



「ぐっ…!あぁ、出るっ…!リズ…!あ、ぁ、あああぁあっ!」

カームがくぐもった叫びを上げながら、全身を震わせた。
直後に感じる、私の膣内で放たれる暖かな液体。
勢いよく飛び出したそれは、私の最奥を激しく叩く。
最奥への刺激を感じた私は、これまでで最高の幸福感と快感に包まれる。

「!あっ…♥出てる…っ!カームの精液ぃ♥あぁ、はぁん♥」

意識が一気に真っ白に塗りつぶされ、制御不能なほど高められた快感が絶叫となって私の口から抜けていく。

「んっ…♥あぁ、駄目、イク、イッちゃ…あっ、あぁ、あああぁあぁぁぁぁあっ♥♥♥♥」

一旦昇りきった性感は、高まったきりなかなか降りてこない。
ガクガクと腰が勝手に動き、全身の筋肉が緊張している。
膣のなかでは、まだカームのペニスがドクドクとゆったりとしたペースで精を吐き出しているのが分かる。


(あぁ、気持ちいぃ♥幸せぇ♥)


カームに全体重を掛けるようにもたれかかり、息を整える。
身体全体で感じる彼の体温が心地いい。
彼の鼓動の音も、彼の汗の臭いも、彼に関するありとあらゆる全てのものが愛しい。
そして、それらが否応なく私の雌の本能をくすぐる。

先ほど、身体を埋め尽くすような快感を味わったばかりだというのに、私の雌は卑しくも更なる刺激を求めている。


「…もっと、もっとぉ♥カームぅ…♥」


うわ言のように呟き、私は腰をゆるゆると動かす。
カームの陰茎は、射精したというのにまだ雄々しく反り立ったままだ。硬さも少しも失われていない。
だというのに、激しい絶頂で弛緩した私の身体は思ったように動いてくれず、誘うようなもどかしい動きしか出来ない。


「あぁ…足りない、足りないのぉ♥だから、もっとしてぇ、カームぅ…♥」


「…うん、分かったよ。リズ。」

射精の後、魂の抜けたように喋っていなかったカームが不意に口を開く。
普段の優しい彼とは違う、どこか硬質で乱暴な言葉に私の中の雌が疼く。


言い切るのと同時に、カームは私の腰に手をかけて固定し、下から激しく私の子宮を突き上げた。

「ッ〜〜〜〜〜〜♥♥」

突然の強烈な快感に、思わず声にならない叫びを上げる。
あまりの衝撃に、何が起きているのか分からない。
目を白黒させている私に構わず、カームは私を突き上げ続ける。

「あ゛っ♥お゛ぉっ♥いぃっ♥あっ♥あんっ♥」

彼が私の最奥を刺激する度に、壊れた楽器のように私の口から声が漏れる。
さきほどとは違い、先の予想できない乱暴な快感が私の体を埋め尽くしていく。
頭の奥がチカチカと明滅し、私はもう目の前の雄のなすがままにされている。
私はカームに支配されている。もう私という雌は、目の前の雄に抗う術を持たない。
彼に任せていれば、彼に従っていれば、私は気持ちよくなれる。

「リズっ!リズっ!好きだ!リズ!」

もう、カームの目にも理性の光は無く、暗く淀んだ劣情に支配された目で、一心不乱に腰を打ち付けてくる。
乱暴に高められていく性感に、意識は朦朧としていたが、それでも私の耳はカームの言葉を目ざとく拾っていた。、

「!私もぉっ、私も、好きっ!大好きだっ!カームっ♥」

彼と繋がってから、ずっと言いたかった思いがようやく口から発せられる。


(あぁ、やっと言えたっ♥)


彼のリズムで揺さぶられ続ける中、私の思考は喜色で満ちる。
カームが、私の愛しい雄が、私の事を好きだと言ってくれた!
私の思いを、彼に伝えられたっ!



嬉しい!嬉しい!嬉しい!好きだ!好きだ!大好きだ!



彼の腰の律動に合わせて、私も腰を動かす。
もっと奥に、もっと深くに来てほしい。
甘えるように、彼の体に抱き着く。
今度は彼も、私の体をキツく抱きしめてくれた。
カームのたくましい腕の感触に安堵する。
未だに快感は高まっていき、身体がどこかに飛んで行ってしまいそうなほどだが、カームの腕の中に居ればその心配もない。

「カーム♥カームっ♥カームぅ♥」

「リズ!リズっ!!」

お互いの名前を呼び合いながら、快感を貪りあう。
私が呼ぶ名前の一つ一つに万感の思いを込める。
私を呼ぶ声の一つ一つに込められた暖かな思いを感じる。


彼の動きが小刻みに探るようなものに変わる。
射精が近いのだろう。何も言わず、私は彼を抱きしめる腕に力を込めた。
カームは、それだけで私の気持ちを察してくれたらしい。
今度は射精に躊躇うことなく、迷いなく私を抉る。

「リズっ!ぐっうっ…!!!」

彼が小さくうめき、私の一番深いところにまで剛直を捻じ込んだ。
その瞬間、すでに炸裂寸前だった私の快感は限界を超えた。



「あっ♥カームっ♥ぁひっ…いぃぃぃいいいいいいいいっ♥♥♥♥♥」



ふわふわと、身体が浮き上がるような多幸感。
精神が体の楔を離れ、どこまでもどこまでも昇っていくような高揚。
私はいつまでたっても絶頂の淵から帰ってこられず、ついに意識を手放した。


____________________________________


「ん…んぅ…?」

目を覚まして最初に感じたのは優しい温もり。
徐々に意識がはっきりとしてくると、私がまだカームの上に乗りかかったままだと理解した。
外はもう明るくなっているようだ。

「…あー、リズ、おはよう。」

顔を上げるとバツの悪そうにこちらを見るカームの顔。

「…あぁ、おはよう。カーム。」

「え゛っ?リズ、今なんて?」

「?…だから、おはよう、と言ったんだ。」

信じられないものを見たとでも言いたげにカームは口をパクパクさせている。
そんなに私が挨拶を返すことがおかしいか。
少し不服に感じたが、考えてみれば、この三か月で挨拶を返したのは初めてかもしれない。

(ふむ…)

相変わらずこちらを見てパクパクしているカームを見て、つい嗜虐心が沸き立つ。
挨拶だけで、この反応だ。もう少したたみかければ、面白いことになるかもしれない。
昨日までの私が聞いたら卒倒しそうな発想である。

「ふふ…どうした?」

「なっ…!」

可能な限り自然になるよう、彼に向けて微笑む。上手くいくかは不安だったが、彼の反応を見れば成功したのだとよくわかる。
カームは口の動きも止まり、大口を開けたまま停止している。
想像以上の効果だった。無意識で動かしていたのだろう、楽しげに私の触角がピコピコと跳ねる。
そのまま、彼の胸板に額をくっつけて目を閉じる。今なら、言えるかもしれない。


「…なぁ、カーム。少し、聞いてくれ。」

「…えっ!?あ、うん。」

私が声を掛けるとようやくカームの反応が戻ってくる。
軽く深呼吸をする。
一番彼に伝えたかったことは昨日の晩に伝えられたが、それ以外にも言いたいことが山のようにある。
少しでも伝えないと、私はカームの傍で生きていくことが出来ないような気がした。


「…カーム、怪我をした私を、助けてくれて、ありがとう。」

短く区切りながらゆっくりと話す。彼の顔が気恥ずかしくて見ることが出来ない。
昨日までの私が、不幸にも気づくことの出来なかった感情。
その一つ一つを、思い出しながら小さな声で話し続ける。
カームは、静かに聞いてくれているようだ。


「…いつも、料理をしてくれて、ありがとう。
 本当は、美味しかったのに、美味しいと伝えられなくて、ごめん。
 カームの料理は、とても美味しい。大好きだ。
 
 …初めて、一緒に狩りをした時、綺麗と言ってくれて、本当に、嬉しかった。
 私が、森に帰るのを、引き留めてくれた時、安心した。
 カームと、まだ暮らせることが、嬉しかった。」


カームが、森へ帰ろうとする私を止めようと私に向かって叫んでいた時、彼はどれだけの勇気を振り絞ってくれたのだろう。
私は、彼の勇気に甘えすぎていた。


「…カームとの生活が、とても楽しかった。
 一緒に狩りをするのも、料理を食べるのも、同じ部屋で寝るのも、全部、楽しかった。
 私と、一緒に居てくれて、本当に、ありがとう。
 
 …昨日、私を心配してくれて、ありがとう。
 心配してくれたのに、乱暴に言い返して、ごめん。
 私を、家族だって言ってくれた時、本当に、本当に、嬉しかった。
 
 それから、それから…」

 
まだまだ言いたいことも、言わなければならない事も、沢山あるはずなのに、言葉に詰まる。
情けない。カームは、私なんかよりもずっと勇気が要ることを何度も言ってくれたのに。

「…うん、もういいよ、リズ。」

言葉を絞りだそうとする私の頭に、優しく手を置いてカームが言った。

「ありがとう、リズ。そんな風に思ってくれてたんだね。凄く嬉しいよ。
 勇気を出して、言ってくれてありがとう。」
 
どこまでも優しいカームの言葉。

「…うん、リズが勇気を出してくれたんだ、僕も頑張らないとな。」

「え…?」

なんの話だろう。思わず顔を上げて彼を見る。

「…リズ、僕は君を家族だと思ってる。
 だけど、僕たちは血も繋がってないし、種族すら違う。」
 
胸がズキリと痛む。
彼の言う通り、私たちは家族ではない。
彼が私を家族だと思ってくれていることに今更疑いはないが、私たちの関係は同居人というのがしっくりくる。


「それで、うん、要するに僕は、君と本当の家族に、なりたい。

 順番が逆になってしまったけど…、リズ、僕の、お嫁さんに、なって欲しい。
 
 リズの事が、大好きだ。愛してる。」
 
真っ直ぐにこちらを見つめたまま言うカーム。顔が真っ赤だ。
だけど。
多分、私の顔も真っ赤だから、彼の事を笑えない。

「…えーと、どうかな。本当は、もう少し凝った台詞にしたかったんだけど…。」

照れを隠すように彼が言う。
駄目だ、カームの顔が見ていられない。私はたぶん今、凄く変な顔をしている。
こんな顔をカームに見せて堪るか。
顔が見られないように、もう一度カームの胸板に顔を埋める。

「リズ…?」

不思議そうにカームが名前を呼ぶ。

「…う、うるさい。返事なんて、聞かなくても、分かるだろうっ。」

「ぷっ、ふふふっ」

「…なんだ、何が可笑しい?」

「ふふ、リズ、触角が凄い嬉しそうに動いてる。それに耳が真っ赤だ。」

「なぁっ!?」
思わず頭の触角に触って確認する。
千切れんばかりの勢いで触角がピコピコと跳ねている。

「ほんと、隠し事が出来ないよね、リズは。」

くつくつと笑いながら言うカームに無性に腹が立った。

「うるさい!放っとけ!!」

乱暴に言い切り、もう一度彼の胸に顔を強く埋め込む。
まだカームは笑っていたが、無視だ。無視。

ふと、私の父と母を思い出す。
少しあの二人とは違うかもしれないが、カームとならば、幸せになれる。
カームからは見えなかっただろうが、私は今、母のように静かに微笑んでいた。



************************************




国と国の間に横たわるように広がる鬱蒼とした大森林。
日中にも薄暗く、じめじめした空気の流れるこの森に、ひっそりと建つ家がある。

家というよりは、小屋といった趣の小さな家。
玄関には乱暴に書き殴られた表札か掛けられている。


「ブライアン・レストア」
「カーム・レストア」
「リズ・レストア」


此処は、美しい蟷螂と、優しい狩人が住む家。

二人はこの家で寄り添うように、長く甘く暮らしている。


「あの森には、狩人と蟷螂の夫婦の家がある。」

周辺の町に住む人々は、微笑ましいものを思い出すように、口々にそう言っていた。
15/07/06 04:17更新 / 小屋
戻る 次へ

■作者メッセージ
長いお話でしたが、読んでいただいてありがとうございました。
いかがだったでしょうか?

本当はこんな長い話ではなく、読み切りで投稿する予定だったんですが、書いているうちにどんどん長くなり、気づけばこんなことになっておりました。
マンティスさんが魅力的なのが悪いんや。私は悪くねぇ!

さて、魔物娘のお話は、出会い!→SEX!!→結婚!!というのが基本の王道になると思うのですが、今回は魔物娘らしからぬうじうじとしたもどかしい恋愛を書いてみました。
前篇の典型的ボーイミーツガールより後編のえっちぃ描写のほうが圧倒的に筆が速く進んだあたり、私はどうしようもない奴だと思います。
また、その過程で、マンティスの癖してリズさんは随分乙女というか、人間らしくなってしまいました。本当は、もう少し無感動で冷静なマンティスを書こうと思っていたんですが、その辺は完全に私の力不足です。

こんなのはマンティスさんじゃ無ぇっ!俺が本物のマンティスさんって奴を見せてやるよぉっ!という先達の皆さんの力作を心よりお待ち致します。

まだまだ拙い身ですので、批評・助言等在りましたらご遠慮せずにお教えください。皆さんのコメントが毛屋の次回作のクオリティを上げます。頑張ります。
また、励みになるコメントも、もちろん全身全霊でおまちしております。皆さんの応援が毛屋の次回作へのやる気を上げます。

それでは、また何かの作品でお会いできるのを楽しみにしております。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33