連載小説
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第3話 反魔物勢都市、ベルガンテ
十数分後、先のゴブリン達以外にはこの辺りで広範囲で活発に活動するような魔物はいないのか、あれからは何事も無く森を抜けることができた輝幸。その視界には、この世界で目覚めたときと同じように、広大な草原が広がっていた。ただいくつか異なることと言えば、山脈が無く、その代わりに城壁に囲まれた、比較的規模の大きい都市があることだろう。水脈確保のためか、こちらへと流れ来る川を跨ぐ様に設立されている。

「随分とまぁデケぇ街だな。たぶん言葉は通じるし、宿泊施設は揃ってるだろうが、問題は金銭価値が通じるかってところ、か…」

足を止めてジャンパーの内ポケットに移した財布を取り出すと、その中身をゴソゴソと漁り、中の金銭を確認し始める輝幸。まだ両替は済ませてなかったため、中に入っている金銭は日本のものばかりだった。
そのまま暫くどうするか悩んでいた輝幸だが、そこに段々と地響きが聞こえてきた。何事かと思い輝幸が財布を仕舞い顔を上げれば、その先には2頭の馬と、それに跨った人が映った。

「何だありゃ?わざわざ出向いてくるなんて。軽装だから遠征の行き帰り…って訳ではなさそうだし」

まっすぐこちらに向かってくる騎馬兵に警戒と同時に推測を巡らせていると、徐々に馬の速度を落とし、輝幸の眼前で止めた。

「あぁ〜、えぇっとぉ…え、エクスキューズミー?」

乗馬している騎兵二人を見るとどちらも顔の特徴が欧米人風だったので、とりあえずたどたどしい英語で話しかけるが、その不安も心配も無用だった。

「良くぞここまでご無事に到着なされました!歓迎の準備はできておりますゆえ、どうぞお乗りください」

なぜなら森で出会ったゴブリン達同様、彼らとも問題なしに言葉が理解できたからである。

「ああよかった、言葉は通じたか。ん?歓迎の準備?」

言葉の壁を難なく乗り越えられていたため安堵する輝幸だったが、その発言にふと疑問を感じた。

「おぉ、これは失礼。ご存知かもしれませんがあの森には凶暴な魔物が多数生息しておりまして、危険なため大変申し訳ないことに、探知魔法にてあなた様の位置こそ特定できたものの、その奥へと飛ばされたあなた様をお迎えに向かうことができなかったのです。そのため我々には主神様のご加護を信じ、あなた様のご無事を祈ることしかできませんでしたが、無事に突破なされたことを確認できたためにこうしてご歓迎に出向いた次第にございます。さぁ、どうぞこちらの馬にお乗りください」

「あ〜、はあ、さいでっか…」

先に馬から下り、歓迎の挨拶を述べた若い青年に続いて、もう一人の3,40代と思われる男性が説明を引き継ぐと、自身が乗ってきた馬に乗せて送ろうとするので、輝幸は大人しく馬に乗るとスーツケースが馬の邪魔にならないようできる限り手を伸ばし、横に並ぶよう調整する。

「では早速出発いたしましょう。お連れの方々も待たせておりますゆえ、このような場所で油を売っている場合ではありませんからな。ハイヤァー!」

掛け声と共に馬の腹を蹴り、出発する3人。反魔物勢都市ベルガンテで、輝幸はいったい何を見て、誰に会うのだろうか。
12/01/21 21:21更新 / ゲオザーグ
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■作者メッセージ
前回に比べ、随分と短くなったなぁ・・・
まぁちゃんと生きてますんで、今後も更新がんばります

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