やあ。僕の名前はロイン＝ウィンター。とある村で親と一緒に畑や狩りをして暮らす、ごく普通の青年さ。１つ、違う事を挙げるとすれば・・・。

　「ロイ、お帰り〜♪」
　「ただいま、タリス。」

　スライムな彼女がいる事かな？


　　　　　　　　　　　嫁との生活〜スライムの場合〜


　タリスに出会ったのは今から１０年近く前、僕が７・８歳の頃だった。村の外れで僕が１人で虫などを追いかけていた時、近くの草むらで葉っぱが擦れる音がした。その時は特に何も気にせずにしばらくして家に帰った。
　それから1週間、村で立て続けに畑や家畜が襲われる事件が発生した。畑だけならともかく、豚や牛といった大きな牛までが消えるのは動物の仕業ではない。盗賊か、魔物のどちらかだろうと村の大人たちが言っていた。
　しばらくして、1人の人物が村を訪れた。優しそうな目をしていたけど、なんとなく強そうだな、とその時の僕は思った。その人は村に来てからしばらくは、大人達に色々と話を聞いていた。でも、いくら聞いても有力な情報が得られなかったのか、駄目元で近くにいた僕に聞きにきた。
　「ねぇ君、最近変な人や物、音を見たり聞いたりしなかった？」
　「う〜ん、変な物は見なかったけど・・・村の外れになんかいるみたいだよ？」
　「それは本当？」
　「うん。ガサガサッ、て音がしたんだ。でも、犬も何もいなかったよ。」
　「・・・そこに案内してくれる？」
　「うん！」
　
　僕はその人を連れて村の外れに行った。僕が話した場所に着くと、その人は周りをキョロキョロと見回した。すると、近くにあった廃屋を見つけて、ゆっくりと近づいていった。僕もその人に付いて行く。そして廃屋の扉をその人は開ける。そこには・・・。
　「・・・スライム娘か・・・。」
　青く透き通っていて、足元に水溜りがある、1人の女性がいた。
　「・・・ねえお兄さん、この女の人は・・・？」
　「あぁ、この娘はね、スライム娘という魔物なんだ。」
　「ふ〜ん。」
　その時の僕はあまり驚かなかった。
　「さて・・・この娘をどうするか・・・。」
　ただ、その人がとても綺麗だったので僕はずっと見つめていた。
　「なぁ、君俺達の言葉、分かる？」
　「・・・？」
　「知能は皆無・・・ということは本能だけか・・・。」
　その人は何かつぶやいていたけど・・・。
　「あの・・・僕と友達になってくれませんか？」
　「ちょっ・・・君何を言ってるんだ？」
　「え・・・あ、だってなんか綺麗だな〜と思って・・・。」
　「・・・ごめん、それは無理なんだ。」
　「何で？」
　「う〜ん、簡単に言うと、今の彼女は生まれたての赤ちゃんみたいなんだ。お話も出来ない。」
　「そうなの・・・でも、僕あの人と一緒に話したい、遊びたい！」
　その時の僕はただ綺麗な彼女と一緒に遊んだりして、友達になりたかっただけだった。いや、もしかしたらこの時点で惚れていたのかもしれない。
　「・・・分かった。でも、あと数年は待って。そうしたら、もう一度彼女とあって、友達になれるから。」
　「本当？」
　「ああ、本当だよ。約束だ。」
　「うん！！」
　その後、その人は村人に何かを言って、スライム娘を連れて去っていった。


　それから７年位経った時、またあの人は訪れた。前と変わらず、でもさらに綺麗になった彼女・・・タリスを連れて。

　それから僕達は一緒に暮らすようになった。最初は村の皆は反対したけど、そこまで魔物反対派な訳でもないので、なんとか説得できた。
　あの人がタリスを連れて行ったのは知識と倫理を学ばせるためだったそうで、彼女は人間のように会話できたし、人を襲いもしなかった。ごく普通の、元気な少女のようだった。今では村の小さな子供達の面倒を見るお姉さん的な存在になっていた。

　「ご馳走様でした。」
　「ごちそうさまー！」
　僕とタリスは一足先に夕食を食べた。父さんは疲れたって言ってすぐに部屋に行ってしまった。
　「そういえばさ。」
　「何？」
　「スライムのタリスが普通の食事を摂って意味あるの？」
　「ん〜、あまり味は分かんないけど、何となく美味しいって感じはする。でもやっぱり一番のご馳走は・・・♪」
　やばい・・・タリスの目がトロンとしてる・・・。
最近タリスが積極的にボディタッチをしてくる。主に下半身を。いくら僕でもそれがどういうことを意味しているか位は分かる。でも、僕はそれに答えたことはない。・・・なんか、近くに居すぎて踏ん切りがつかないというか・・・。これに関して父さんに
　「男なら腹括れ。」
　と言われ、母さんにいたっては、
　「早く孫が見たいわね♪」
　と言ってくる。・・・たぶん孫は魔物です。

　「じゃあ、僕風呂に入ってくるよ。」
　「ごゆっくり〜♪」
　ん？なんかやけにタリスが嬉しそうにしてたけど・・・ま、いっか。

　「ふ〜、いい湯だな〜。」
　今日の狩りはいささか大変だった。まさかいきなり猪が出てくるなんて。1匹だけならたまにあることだけど、同時に4匹とは。なんとか木に登って難を逃れたけど、あれは心臓に悪い・・・父さんはそのあと切り上げると言ってさっさと帰ってしまった。僕もそのあと少し回っていつもよりかなり早めに切り上げた。もう出会いたくないな、猪の群れには。
　「・・・さて、そろそろあがるか・・・ん？」
　ふと床を見ると、なぜか流れず一箇所に留まっている水溜りが・・・まさか！
　「やっほ〜♪」
　「た、タリス！？なぜ君が・・・ハッ！」
　「ウフフフ・・・もうね、あたし我慢出来ないの・・・毎日毎日大好きな人がそばに居て・・・。」
　「ちょ、ちょっと待って！ここ風呂場だから狭いし危な」
　「こんな気持ちを感じるようになったのは3ヶ月前くらい・・・ロイの顔を見るたびに胸が熱くなって・・・。」
　「ねぇ、ちょっと僕の話を聞」　
　「ロイ・・・大好き♪♪♪」
　「タリ・・・あーーーーーっ！！」



　「ロイ、昨日はごめんね・・・。」
　ここは僕の部屋。そして僕はベッドに寝ていた。理由？もちろん昨夜のせいでだ。
　たしかに、僕もタリスのことは大好きだ。でも、昨夜のタリスは本性ほぼ剥き出しで、激しいのなんの。あっという間に僕は気絶して、気づいたらベッドの上、という訳さ。
　「あたし、大好きなロイに乱暴なことを・・・。」
　タリスはシュンとしていて、体の半分以上が溶けている。
　「僕は大丈夫だよ。それに、僕も悪いんだ。タリスが理性を無くしちゃうまで放っておいたんだから。それに・・・なんだかんだで・・・よ、良かったし・・・。」
　「ロイ・・・大好き♪」
　「ちょ、顔はやめてね呼吸できないから！」
　「分かってる〜♪大好き〜♪」
　「・・・ひんやりしてて気持ち良いねタリスの体。」
　「♪　水だからね♪」
　だんだんと僕達の顔の距離が近くなる・・・いよいよ触れ合う、とその時。

　「ロイ君平気〜？」
　「昨夜はお楽しみだったかな？いや、ぶっ倒れたと言うことはそんな暇無かったか。」
　「か、母さん父さん！」
　「う〜タイミング悪いよぅ・・・。」
　「悪い悪い。ほら、そろそろ昼飯にするぞ。」
　「え、もうそんな時間！？」
　「ロイ君ずいぶんと寝てたからね。・・・孫期待してるわよ♪魔物でも母さん大歓迎だから♪」
　「か、母さんってば！」
　「・・・ロイとの子供・・・♪」
　あああ、母さんのせいでタリスの妄想がぁ！




　と、こんな感じで僕とタリスは暮らしている。あの一件以降、（主に僕が）遠慮が無くなった僕達は時々夜に一緒になる。彼女はスライムだから肉体的に気持ち良くさせられないけど、彼女のコアを触るとすごく感じるみたい。でも、あんまり触ると怒られて窒息させられそうになるけど・・・。
　あと1年くらいしたら二人で別の家に住んで、しばらくしたら子供を作って楽しく暮らそう。・・・娘に襲われそうだ。まぁ、なんとかなるだろう。きっとタリスに似て明るい・・・。
　「ロイ〜！いい天気だから森に遊びに行こうよ〜！」
　「ん？・・・うん、良いよ。でも、あまり奥良くとエルフさんに怒られるからね。」
　「分かってる♪」

■作者メッセージ
　・・・久しぶりに書いたからなんだかグダグダに・・・。
　何が言いたかったと言うと、魔物娘とはラブラブするほうが良いよね！
ということさ。