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間話 生返事は死亡フラグだった件について

結局妹達のゴリ押しというか色仕掛けに落とされた俺は昼過ぎになるまで仕事をするために仕事場である炭焼き場に来ていた。

仕事場にはもうゴブリン達が到着していた。

勤勉で実によろしい。今度給金アップして上げようかな?

俺に気づいたゴブリンの一人、ハンナがこっちに走ってくる。

「旦那〜。今日はキップリセン家から木炭500、ノートン家から木炭と練炭それぞれ300ずつ、マクレインのお嬢から石炭全部なくなったからとにかくいっぱい。って注文がきてますぜ」

マクレインのお嬢ってのはキーリの事だ。キーリよ、いくらなんでも「とにかくいっぱい」はあまりにもアバウト過ぎやしないかい? 

「了解。確かハリビヤ採掘所から購入した石炭が残ってたはずだからそれ全部キーリの所に送っといてくれ。それからノートンさんの所には昼までに届けてやってくれ。ノートンさん、その日使う燃料がなくなるギリギリまで注文してこないからな。それとキップリセンさんの所には昼までに200、夕飯までに300で送ってくれ」

「あいさ〜。ところで旦那、今日は久々に社員一同で飲みに行きません? 街の方にいい酒を出す酒場が出来たらしいんですよ」

おお、なんと魅力的なお誘い。

社員は俺以外全員ゴブリンとホブゴブリンだ。彼女達は小等部の低学年並みの身長しかなくてホントに幼い容姿をしてはいるがもう俺と同じ成人だ。だからこんな外見どう見ても幼女とでも飲んでいいのだよ。

・・・誰に語ってんだ、俺。

「それは素晴らしい提案なんだがな、実は今日昼から上がらせて貰うんだ。妹達に参観に来てくれって頼まれてな。どうも行かなきゃならんらしい」

それを聞いてハンナはにやりと悪戯小僧みたいな笑みを浮かべた。

「旦那〜、相変わらずお嬢達に愛されてますね〜愛してますね〜。もういっその事結婚しちゃえばどうです?」

コイツ、なんと恐ろしい事を言うのだろう。あの三人を嫁にしろだって? 確かにあいつ等を何処の馬の骨とも知らん野郎に嫁に取られるのは嫌だ。そんな事になるなら俺が・・とか思ったりもするさ。だけど俺はあいつ等のお兄ちゃんで、あいつ等だって俺を兄としか見てないだろう。

それにもし仮に俺とあいつ等がそういう関係になったら・・・姉さん達に殺されちまう。

「ハンナ、俺まだ生きてたいよ。そんな事したら俺、きっとベアトリス姉さんとクレア姉さんに抹殺されちまう。ハンナだって知ってるだろ? 姉さん達の恐ろしさは」

「ひっ、姉御達・・怒るの?」

「ああ、姉さん達結構そういう倫理観に厳しいからそんな事したらきっと地獄のような拷問とシゴキと説教で死ぬ事確定。ついでに俺に余計な事吹き込んでたって知れたらハンナもただじゃ済まないんじゃないか?」

どうやらハンナは自分が姉さん達にボコボコにされている所を想像しているのだろう。顔色が真っ青だ。

ちなみにベアトリス姉さんはデュラハンで、親父が最初に引き取った魔物娘らしい。今は王立国境騎士団の師団長をしているが、本当なら王室付き近衛隊隊長だった。剣の腕は多分王国一だ。そしてとんでもなく厳しい人だから、「鬼神兵」なんて渾名まで貰っている。そんないわゆるエリートなのに、何か色々あったらしく、今は反魔物国家との国境ギリギリの村で度々押し寄せてくる反魔物国家の軍勢を追い返すために最前線の砦に詰めている。この町も国境に近いから姉さんが近くにいると思うと安心するな。

クレア姉さんはケンタウロスで、俺の一個上の姉さんだ。確か王国正規軍の大隊長をしてるはずだ。とんでもなく頭良いわ弓の実力はエルフ顔負けだわで近々作戦参謀課に異動するらしい。

ハンナ達は実は元々盗賊団で、姉さん達が王都に行ってしまってからこの辺で悪さするようになったんだが、その噂聞きつけたベアトリス姉さんとクレア姉さんが帰って来て二人でボコボコにして改心させてしまい、丁度事業が軌道に乗ってきてて人手が欲しかった俺の所に部下として放り込んでくれたのがハンナ達との出会いだったりする。

ちなみにその時お頭をしていたホブゴブリンは、「規律の無い組織には問題がある事すら分からん上官など軍には要らん!! 鍛え直してやる」って言われて連れ去られてたな。

今更だが可愛そうに思うよ。凄まじいシゴキにあの子が耐えられてる事を祈っておこう。アーメン。


結局ハンナは姉さん達にボコられた記憶+ボコられる想像のダブルパンチで体調を崩してしまい、敢え無く早退になった。

悪い事をした。未だにハンナ達ゴブリン達は姉さん達がトラウマだからな。今度なんかお詫びに買ってやろう。



そんなやり取りをしている間に昼になってしまったので、俺は学校に向かう事にした。

「ローガン、何処行く?」

学校に向かう途中でえらく抑揚のない平坦な声が後ろから掛けられた。この声はキールだな。

「おぅ、今からネンス達に頼まれて学校・・・に・・・」

俺は振り向いてキールに返答しようとして固まってしまった。

だってキールの格好が上は晒巻いただけだし、下はショートパンツって格好な上に健康的な汗を掻いてて、その・・すごくエロい・・

「馬鹿っ、お前何て格好してるんだ!?」

「ん? あ、さっきまでお客さんに頼まれた剣打ってたから」

キールは何かおかしい? みたいな顔をしている。コイツにはちょいと羞恥心って物を教えてやらねばならんようだ。

「なぁキール。お前は今下着同然の格好でぶらついてる訳だ。お前のその晒巻いただけの胸に野郎共が下卑た視線をどれだけ送ったと思う? その大変健康的で魅力的な太腿にどれだけの野郎が下卑た感情持ったと思う?」

「? ローガン何言ってる? これは仕事着。いやらしい服装じゃない」

キールは心底分からないという顔をしている。

おお、魔王よ。貴方は何故こんな自分の今の格好を客観的に評価出来ない幼馴染を私にお与えなさったのですか? 私に色んな意味で死ねと仰せか?

「とにかくっ!! ちょっとこっち来い!!」

俺は近くで露店を出していた行商人の店にキールを引っ張って行った。

「おっさん。サイクロプス用の服、売ってないか?」

頼むおっさん、売っててくれよ? これ以上コイツにこんな格好でぶらつかれたら幼馴染として恥ずかし過ぎる。

「ああ、それなら何着か売れ残りがありますが・・」

「ならそれ全部見せてくれ。良いのあったら買わして貰うから」

行商人のおっさんはすぐに店にしている幌馬車の中から数着の服を引きずり出してきた。



数分後



「毎度あり〜」

おっさんの上機嫌な声とともに俺達は露店を離れた。

「キール、これ早く着ろ」

「ローガン。お金出す」

「アホ、そんなの良いから早く着るんだ」

金なんて後で良いよ。それより早く着てくれ。さっきからその辺の野郎共がお前をいやらしい目で・・・ゴラァ!! 何見てんだ、消えやがれ!!

「ローガン、これ。もしかしてプレゼント?」

俺がキールをジロジロ見ている野郎共を追い払うのに忙しい時にキールが何か聞いてきた。

「そういう事にしておくから早く着ろ。こっちは忙しい」

「嬉しい・・・」

「ふぅ、やっと消えたか。やれやれ。で? 何か言っ・・「嬉しいっ!!」

ゴキゴキゴキゴキ

「ギャーーーーーー!!」

気づけば俺はキールに抱き締められていた。

全然手加減無しの、サイクロプス本来の力で。

「やめっ・・キール・・死ぬ、し・・・「ローガン♪ ローガン♪ ローガン♪」

ベキベキベキ

「オギャーーーーー!!」

・・・・・・・

「ん? ローガン? どうした?」





あ・・ありのままに起こった事を話すぜ。

俺はキールをいやらしい目で見る馬鹿野郎共を追い払っていた。そしたらキールに思いっきり抱き締められたんだ。

な・・何を言っているか分からないだろうが、体がへし折れそうだった。

怪力とか万力とか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。

・・・生返事は危険だ。これからはもっとしっかり人の話聞いてから返事しよう・・ガクッ

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投稿して数日で1000view以上も行くとは思っても見ませんでした。こんな稚拙な文章を見て頂けて光栄の極みです>< これからも精進していく所存でございますので、生暖かい目で見守ってくださいませ。

それはそうと一つ目な幼馴染でちょっとぶっきらぼうなしゃべり方の娘って可愛いですよね。ね?

11/09/23 04:28 没落教団兵A

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