盗賊ハヤブサの恋泥棒
俺の名はハヤト、この砂漠地帯で遺跡などの探検や発掘、用心棒などをして生計を立てている所謂トレジャーハンターさ
と言っても最近じゃ回ってくる仕事は盗賊紛いの仕事ばかり、最近じゃ俺に「盗賊ハヤブサ」なんて名がついているらしい
ハヤブサってのは俺のハヤトの名を、ジパングの文字にした際の別の読み方らしいんだが…まぁ意味は当然あの鳥から来てるんだろうな
俺自身、この名は気に入っていて結構使わせてもらってるよ
盗賊と言ってもだ、俺は別に人を殺して物を盗む…などを積極的に行うわけじゃない、一応トレジャーハンターなんだぜ俺は
基本的な手口は、音も立てずに忍びこみ目当ての物だけをスマートに盗っていくだけなんだが…たまーに厄介なのがいるわけよ
この世には人間の他に魔物って呼ばれる種族がいるんだが、そいつらは皆可愛い姿をして実に手強い…人間を遥かに超越した能力を持つ奴らがごろごろいるんだ
向こうには人間を殺すなんて意思はないらしいので魔物の殺しに手を掛けたことは一度も無いが、こいつらから盗みを働くのは大変に骨が折れる…まぁ失敗したことは無いけどね
魔物は人間を殺さないが、その代わりに男性を求めている場合が多い…というのも魔物には雄がいないから人間の雄が必要なのだが
特に砂漠地帯の遺跡には沢山魔物がいる、その中に元人間がいるってんだから驚きだ
しかし不思議なことにその魔物が多い遺跡ほど沢山のお宝が眠っていることが多い、これを狙い遺跡に潜った愚か者が行方不明に…何ていうのはよく聞く話だ
「ちぇー、参ったなこりゃあ」
今回俺は、ある依頼を受けて遺跡へと潜り込んだが…それはちょっと失敗だったかと思い始めている
その遺跡は、そこまで大きな遺跡ではない一見普通の遺跡らしいんだが…俺のように潜り込んだトレジャーハンター達は不思議と誰も奥に辿り着けずに出口まで戻されてしまうらしい
その原因は魔物の使っている魔法…この砂漠地帯で言うなら呪い、というものだったので事前に用意して置いた魔法を防ぐ札をわざわざジパングまで行き仕入れて侵入することができたが…
「なぁ、そろそろ解放してはくれないかね。俺は高いところはダメなんだよ」
「ならぬ、貴様は罪人だ。高いところが苦手ならすぐに落としてやろう、地獄にな」
「おっと、今のは取り消すぜ…俺は高いところが好きなんだ！」
魔法をすり抜けて侵入した矢先に、仕掛けてあったか偶然なのか…床が崩れて遺跡の地下に真っ逆さま、目出度く遺跡の門番と名高いアヌビスに捕まってしまって吊るし上げられてしまった
このアヌビスという魔物、見た目は犬の様に耳があり艶やかな毛並みの手足を持つナイスバディーの美しい魔物だ
しかし油断しちゃいけないぜ、侵入者には容赦なく罰則を与えると伝えられている為に遺跡の多い砂漠地帯では大変恐れられている魔物だ
「私の呪いをすり抜けてきた者は初めてだ、貴様は何しにここへ侵入してきた？」
「ピクニックに来たように見えるかい？バスケットも持ってないぜ」
「答えろ！」
ギチッと腕に固定された金属の手錠に繋がった鎖…天井に伸びて吊り上げられる形で目の前のアヌビスの手に握られている
それを引っ張ると吊り上げられている俺に手錠が食い込んで痛いこと痛いこと、まったく乱暴しないでもらいたい
「分かった分かった、言うから乱暴するない…お宝を頂戴しに来たのさ、何たって俺は盗賊ハヤブサだからな」
「ふむ、遺跡漁りの類か…」
「その呼び名は好きじゃない、トレジャーハンターと言ってもらいたいぜ」
「何れにしても罪人だ、私の領域に無断で入り込んだのだからな」
鋭い眼光で睨みつけてくる、ゾクゾクするような冷たい視線だがそういうのは趣味じゃない
「おいおい、仲良くしようぜ…俺は犬みたいな子は好きなんだ」
「その軽口を閉じろ！」
目一杯に鎖を引っ張るアヌビス、これじゃあ腕に手錠の跡がついてしまう…つけるなら美人のキスマークにしてほしいものだぜ
「貴様にもう一つ罪状が増えた、よもや私を犬呼ばわりするとはな」
「おっと、気を悪くしたなら謝るよ！俺はあんたを犬だなんて思っちゃいない、ただ犬の方があんたに似ているもんでね」
「…どうやら自分の立場が分かっていないようだな、貴様ごとき私の呪いで屠ることも可能なのだぞ！」
手に持ったご大層な杖を掲げてこちらに向ける、どうやら相当お冠に来てしまっているようだ
「へへ、そりゃあ勘弁願いたいね。このままだと遺跡でミイラとして発掘されそうだ、ぐるぐる巻きは困るぜ」
「ならばどうする、言っておくがその手錠は私の呪いで強化された金属で出来ている。例えオーガであろうとも壊すことは出来ぬシロモノだが…」
「ほうほう、それは大変だな」
思いきり力を入れて引っ張ると確かに硬く、壊せる気はしない…しかし手錠自体は見慣れたものであり、これくらいならば簡単に外すことが出来る
「でもほら、自慢の手錠はこのとーり」
「なっ！？ば、馬鹿な…なんで手錠が外れるんだ！？そ、そんなの聞いてない…！」
「知らなくて当たり前さ、特にPRはしてなかったからな。さぁどうする、これで俺は自由だぜ」
「ぅ…えっと、次は…次は…！」
わたわたと手足を動かして慌てている、どうやら手錠を外されたことが余程予想外だったらしい
それにしても異様な慌て方だ、アヌビスは規律が正しい分予想外なことに弱いと聞くが抜け出された時のことは考えていなかったのだろうか？
「おいおい、まさか抜け出された時のことを考えてなかったのか？」
「だ、だって…！こんなこと初めてだし…！」
そういえばこの遺跡は今まで誰も奥に辿り着けたことがないと言っていた、入るにはわざわざジパングから買わなくてはいけない札が必要だし、その札もまぁまぁ値が張っているものだ
苦労や時間を考えると、例えお宝があったとしてもその為にわざわざめんどくさいことをする物好きは俺くらいだろう
成る程な、そもそも奥まで来た事自体が異例で頼りにしていた捕まえるための手錠まで外されたのでは想定外のことに弱いアヌビスは混乱するわけか
「へぇ、それじゃあこんなのも初めてなのかな？」
「えっ…んぅっ…！？」
想定外のことに弱いというアヌビスは急にキスをされたら更に混乱するだろう、それに魔物とは性欲の強いというか…一途で惚れやすい性格のものが多い
いくら理知的なアヌビスとはいえ、魔物をうまく抱き込めれば大した徒労もなく仕事を完了できるだろう、俺も力ずくなんて野蛮な真似は趣味じゃない
「ふぁ…っ、にゃ、にを…すりゅ…き、さまぁ…！」
「君のそのキュートな唇を見ていたら自然と奪っていたのさ、言っただろ？俺は犬みたいな子は好きなんだ」
「そ、そん、そんな出任せ…信じるか！そ、そうやって私を騙すつもりだな？わ、私の…お、乙女の唇を奪いおって…！」
顔を真っ赤にしてぶんぶんと手を回して距離を取る彼女、やはり魔物であり女の子のようだ…それもかなり純情な
そんな彼女の姿に先程の誇り高きアヌビスとしての要素は皆無で、とても愛らしい子犬のようだ
「嘘じゃないさ、一目見た時から君のその艶やかな髪…美しい毛並みの手足にその燃えるような真紅の瞳が堪らなく愛おしい」
「う、ぁ…や、やめろ…ばかぁ…！そ、そん、そんな甘い…言葉を、言うなぁ…っ！」
「そのピンとした三角耳も、フサフサの尻尾も…小麦色の魅惑の肌もすべて俺を誘惑する。いけない子だ…思わず襲ってしまいそうになる」
距離を取る彼女を石壁まで追い詰める、顔を真っ赤にして目はトロンとしてきて…まるで発情したように息も荒い
あと少しだ、完全に懐柔させるわけではなくともある程度気を俺に持たせればいい
「さぁ、俺の物になれ…」
「ぅ…あ…っ」
「俺は、お前が欲しい…」
「う、うぅ…うがぁぁぁぁぁっ！」
口説き通せると思い畳み掛けた瞬間に、俺は床に押し倒された。どうやら俺が思っていたより甘くなかったらしい、また捕捉されてしまった…
「おっと、暴力は勘弁してもらいたいな…！」
「ふ、ふぅーっ…！ふぅーっ…！」
俺を押し倒したアヌビスの彼女は息を荒くして、俺を熱く見つめている。
聞いたことがある、アヌビスはウルフ種であるが理知的な性格故に想定外に男性に襲われたら発情してしまうことがあるらしい
「お、お前が悪いんだからな…！す、好きだのキュートだの愛おしいだの言うから！」
「責任はお取りしますよ、キュートなレディ？」
「はぅぅん…っ、ば、ばかものぉ…！だ、だからそういうことを言うなぁ…っ！胸が、きゅんきゅんってしちゃうからぁ…っ！」
押し倒した俺の上に跨る彼女が、ウルフ種特有の腕で素早く俺を服を破り裸にしてしまう
「おいおい、俺の一張羅が台無しだ…もうちょっと丁寧に扱ってくれよ、気に入ってたんだぜ？」
「う、うるさいっ…口答えするな侵入者の罪人のくせして…あ、そうかぁ…罪人だから私の好きにしていいんだな…♪」
「罪人…俺はアンタの恋人になりたいんだけどな」
「罪人が口答えをするな…ぁんっ♪」
不意に俺の唇を奪う彼女、慣れていないようではっきり言って唇を合わせるだけのキスでは物足りない
「ふふ、どうだ…これが罪人の貴様がさっき私にやったことだ…私の初めてのキスをあんなにあっさりと奪いおって…♪」
「おいおい、こんなキスじゃ挨拶みたいなものだぜ。本当のキスってのを教えて差し上げましょうかねっ…！」
「ひゃっ…んんっ！？にゃっ…め、んんんん〜っ♪」
俺を押し倒し優位に立ったと思い良い気になっている彼女の頭を掴み、とことん口内を犯してやる
ぐちゅぐちゅと音を立て舌で舌を絡めとり、歯茎の奥や舌の裏側まで徹底的に蹂躙する
必要最低限空気を送り、ただひたすらに口内を犯していく。口内からは糸を引きながら止めどなく唾液が溢れていき、俺の身体や彼女の身体を伝っていく
「ふぁぁぁ…♪あ、あたま…おかしくなる…ぅ♪こ、こんにゃの…しらないぃ…♪」
「お気に召しましたかレディ？」
「しゅきぃ…これ、しゅきぃ…♪もっとぉ…ねぇもっとしてぇ…♪」
余程さっきのキスが気に入ったらしい、顔を子犬のようにぺろぺろと舐めて求めてくる。あんな蹂躙するように激しいのが好きとは結構Mなのだろうか
「おいおい、それだけでいいのか？もっと先の、すごいのだってあるんだぜ」
「しってる、しってる…！えっち、せっくす、たねづけぇ…♪わぅぅっ、こうびっ…♪ねぇ、こうびでしょっ…♪」
もう完全に理性を失っているようで子犬のように俺に縋ってくる、どうやら発情すると思考力が低下して幼児退行するらしいな
「その前に…名も知らぬ相手と交わるだなんてロマンに欠けるだろ？名前、教えちゃくれないかな」
「わ、たし…私は、ショコラ…♪あなたは、あなたの本当の名前…♪」
「本当の俺を知らないやつは俺をハヤブサと呼び、本当の俺を知っているやつは俺をハヤトって呼ぶんだ…ショコラはどっちかな」
「私、しってる…気持ちいいキスをしてくれた、ハヤト…本当のハヤトだ…♪」
「よしショコラ、男というのは常にロマンを追い求めるものなんだ。ゆっくりと、見せつけるようにその身体に纏っているベールを脱いでくれ…」
「わぅぅ…わ、分かった…ハヤトが言うなら…♪」
ショコラがゆっくりと一枚一枚服を脱いでいく、その美しい身体を見せつけるように少しずつ生まれたままの姿になる
「は、ハヤト…私の身体、変じゃない…？ま、魔物だし…人間と違うから…」
「あの世でマリリンモンローが歯ぎしりしてるぜ…さぁ、おいで」
「わぅ…♪」
ショコラを抱きしめると、そこから激しい獣同士の交尾の交わりが始まった
引き締まったボディーラインの身体に容赦なく俺の肉棒が突き刺さり獣の鳴くような嬌声が石造りの部屋に響き渡る
「きゅぅん♪きゅぅぅぅん♪もっと、もっとめちゃくちゃにしてぇ！おくに、がんがんってぶつけてぇ！」
どうやらショコラは優しいセックスより強く蹂躙されるようなセックスが好きなようで、かなり力強くしているにも関わらず更に俺へと懇願する
「よし…じゃあ、これはどうだ…っ！」
「おほぉ♪しきゅうに、あかちゃんのおへやにぃ♪はやとのおちんちんがきてるっ♪くぅぅぅぅん♪わぅぅぅっ♪」
更に奥まで突き上げると、愛液が溢れぐちょぐちょと泡立ったショコラの膣内の奥で俺の肉棒の先端をウネる粘膜が包み込む
子宮の奥まで俺の肉棒を咥え込んだショコラは貪欲に俺を絶頂まで導くように締め付ける
「あひぃ♪あたま、まっしろぉ♪あぁぁぁぁっ♪あぬびすなのに、わたひぃ…こんなにえっちになってるよぉ♪」
「アヌビスだなんて関係ないさ、俺にとっちゃ可愛い子犬だぜ…いや、雌犬と言った方がいいのか？」
「はぁぁぁぁんっ♪そ、そんなこといっちゃ、やだぁ…♪わ、わたひぃ、けだかいあぬびすなのにぃ…っ！らめぇ…っ、おちんちんに、はやとのとうぞくおちんちんに負けちゃうよぉっ♪」
「さぁてそろそろ、俺も…！」
「ふぁぁぁ…♪はやとの、びくびくしてるよっ…だすの？はやとのせいえき、わたしのなかにびゅーってだして♪わたしにぃ、たねづけしてぇっ♪」
「それだけじゃ済まないかも…なっ！」
ショコラの中で俺の白濁の劣情が爆発する、膣内を満たし行き場を失った白濁の劣情が溢れ出してくる
「あぁぁぁぁっ♪いっぱい、おなかがやけどしちゃうよぉ♪はやとのせいえきがいっぱい、なかであふれてる♪きゅぅぅぅぅんっ♪もっと、もっとほしいよぉ♪」
「あいにく俺は性欲旺盛でね、一回くらいじゃ全然治らないんだ。そんなにほしいならもっとやってやるさ」
絶頂の余韻に浸っている彼女に再び容赦なく肉棒が突き刺さる、ほとんど蹂躙に近いような交わりだが相変わらず彼女は至福の表情を浮かべている
そして彼女の穴という穴に精液を流し込み、妊娠したかと見間違うくらいに腹部が膨らんできた頃にショコラが気を失ってしまい、俺の胸にもたれかかる形で静かな休息がやってきた
「ふぅ、流石魔物だな…ここまでするとは夢にも思わなかった」
俺の胸の中で眠っている三角耳の彼女の肩を抱きながら、石造りの天井を見上げた
流石魔物だった、まさか俺自身性欲旺盛さには自信があったんだが…完全に撃ち尽くしてしまった
「さてさて、今のうちにお宝〜…なんて思ったが彼女がこんなにも離してくれないししばらくは動けないか」
ショコラに破かれた服を手に取る、ぼろ布のようだが…まぁ着れないことはなさそうだ
「まぁダメージ加工と言えばお洒落な感じだし問題はないのか…？」
「…はやとぉ…♪」
「あんなに最初は抜き身のナイフみたいだったのに可愛くなっちゃって、まぁ…」
頭を撫でて、こちょこちょと耳をくすぐってやるとむにゃむにゃと言いながら身を捩らせる。その反応が愛らしくてつい没頭していると、もぞもぞと彼女が目を覚ました
「くぁ…んっ…」
顔を上げて小さく欠伸をする仕草がまるで小動物のようで、ちょっと面白く感じる
「おはようさん、いい夢は見れたか？」
「ぁ、ハヤト…♪」
起き抜けに俺を見て恍惚な表情を浮かべたかと思うと、ハッとした表情になりブンブンと首を振り俺をキッと睨んだ
「ち、違う違う…！き、貴様！よ、よくも私にあんな辱めをしてくれたなっ！」
「おいおいそりゃないぜ、俺はショコラについていくのに精いっぱいだったさ。それに貴様、だなんて呼び方は物騒だぜ…もうハヤトとは呼んでくれないのか？」
「ぅあ…ば、ばかもの…顔が近いぃ…！」
顔を近づけて囁くと顔を真っ赤にして狼狽える、どうやらスイッチの入っていないときは照れ屋さんみたいだな
「ショコラ…頼むよ」
「わ、分かった…ちゃんと名前で呼ぶから、離れてろぉ…！」
「それはダメだな…離れたら照れたショコラのその可愛い顔が見れなくなる」
「ゃ…だから、可愛いとか…言うなぁ…！」
ぽふっと肉球で顔を離されてしまった、顔がリンゴのように真っ赤で相当照れているらしい
「君は褒めると顔がルビーのように紅くなって綺麗だ」
「し、知らん…！この、ばかもの…さっさとお宝とやらを見つけて帰れ…！」
妙な言い方だな、まるでショコラ自身がお宝の場所を知らないかのような言い方だ
「ん？その言い方じゃ、ショコラはお宝の場所を知らないのか？」
「私は知らぬ間に生まれた時からここにいて、建物の隅々まで熟知しているがハヤトが望むようなものなんて知らないぞ」
「ん〜、確かにこの遺跡にはショコラしか魔物を見かけないな…ここにはショコラしかいないのか？」
「私以外はこの遺跡にはいない、私は生まれた時から一人でここにいる…呪いをすり抜けて来たのもお前だけだ」
ますます妙だな、なんで何もない遺跡にアヌビスの彼女だけいるのだろう？
「そりゃおめでたい、あのジパングのお札の効果は魔封じじゃなくて縁結びだったらしいな。二人の出会いに、乾杯しよう」
「だ、だからそんなふうに茶化すな…」
「しかしなんで何もない遺跡にいるんだ？何もないなら好き勝手に生きればいいじゃないの」
「好きに、生きる…か。考えたことなかったな、私は生まれてからずっとここを守る門番としての使命があった」
「誰に言われたんだ、まさか神様じゃないだろう？」
「そういえば、何故だ？私は今までずっと疑問を持たないで一人でここを守ってきた、誰かに言われたわけじゃないのに…」
アヌビスという種族が生まれる時にはそのような潜在意識を植えられて生まれるのか、それともたまたまショコラが外れているだけなのか
ともかく分かっていることは、彼女は今まで一人で全く人や魔物との関わりを持たずに遺跡に住んでいたということだ
「…というか、お前は私の話を信じるのか？お前を欺くために嘘をついているかも知れないのだぞ」
「信じるさ、だって君はもう俺の家族だ。…もし、嘘ついてたらお尻ぺんぺんしちゃうけど」
「…不思議なやつだな、ハヤトは」
「よくそう言われるよ」
「そうか、家族…家族か…ふふっ♪」
もふもふとした手を顔に当ててほくそ笑む彼女、キリッとしてる姿も良いが笑顔もよく似合う
「…な、何をニヤついている！こ、これはアレだ…その、う、嬉しいとかじゃなくて…！」
「なぁに、ニヤついた顔は元からさ」
何故ショコラが何もない遺跡に住んでいたかは分からない、彼女はアヌビスとして本能的に遺跡を守っていただけだったとしたら外のことを何にも知らないのは可哀想だ
「さてさて…いつまでもこんなゴツゴツした石の壁に囲まれているところにいたらゴーレムになっちまう、早いとここんなところから出ようぜ？」
「なんだその手は、まさか私に遺跡から離れろというのか？」
「別に何もありゃしないんだろ？だったらこんな石の箱みたいな建物に住んでいる理由がない、使命とやらでずっと守ってたらしいがそんなことはやめて外の世界へ飛び出そうぜ」
「いや、しかし…私はアヌビスとして…」
「はいはい真面目に悩んでたら人生苦しいぜ」
悩むショコラを抱き上げる、こういう時は強引にでも連れ出さないとな
「なっ、やめろ！下ろせ馬鹿者！」
「やーだよ、せっかくショコラというお宝が手に入ったんだし手放すなんてできないさ」
「た、宝って私が…か？その、だったら…もっと丁寧に扱ってほしい…」
「なるほどね、OK！エスコートしましょう、お姫様」
「ぁ…♪」
優しくショコラの手を取り、お姫様をリードするように手を引くと彼女は頬を紅く染める。要望を出した張本人が照れてどうするんだか
「今までずっと一人で遺跡に引きこもってたんだろ？俺が外の世界を教えてやるさ、まずは…気楽に買い物でもしてみるか」
「人間のことは、よく分からないが…ハヤトが一緒なら…♪」
まぁそんな感じで俺は目当てのお宝を見つけることは出来なかったが、それに勝るとも劣らない…いや比べるのもおこがましいショコラという家族が出来た
これから街でデートだとか、ショコラと俺の新婚生活だとか色々と出来事が目白押しだが…それはまた次の機会にってことで
それじゃ皆、機会があったらまた会おうぜ
と言っても最近じゃ回ってくる仕事は盗賊紛いの仕事ばかり、最近じゃ俺に「盗賊ハヤブサ」なんて名がついているらしい
ハヤブサってのは俺のハヤトの名を、ジパングの文字にした際の別の読み方らしいんだが…まぁ意味は当然あの鳥から来てるんだろうな
俺自身、この名は気に入っていて結構使わせてもらってるよ
盗賊と言ってもだ、俺は別に人を殺して物を盗む…などを積極的に行うわけじゃない、一応トレジャーハンターなんだぜ俺は
基本的な手口は、音も立てずに忍びこみ目当ての物だけをスマートに盗っていくだけなんだが…たまーに厄介なのがいるわけよ
この世には人間の他に魔物って呼ばれる種族がいるんだが、そいつらは皆可愛い姿をして実に手強い…人間を遥かに超越した能力を持つ奴らがごろごろいるんだ
向こうには人間を殺すなんて意思はないらしいので魔物の殺しに手を掛けたことは一度も無いが、こいつらから盗みを働くのは大変に骨が折れる…まぁ失敗したことは無いけどね
魔物は人間を殺さないが、その代わりに男性を求めている場合が多い…というのも魔物には雄がいないから人間の雄が必要なのだが
特に砂漠地帯の遺跡には沢山魔物がいる、その中に元人間がいるってんだから驚きだ
しかし不思議なことにその魔物が多い遺跡ほど沢山のお宝が眠っていることが多い、これを狙い遺跡に潜った愚か者が行方不明に…何ていうのはよく聞く話だ
「ちぇー、参ったなこりゃあ」
今回俺は、ある依頼を受けて遺跡へと潜り込んだが…それはちょっと失敗だったかと思い始めている
その遺跡は、そこまで大きな遺跡ではない一見普通の遺跡らしいんだが…俺のように潜り込んだトレジャーハンター達は不思議と誰も奥に辿り着けずに出口まで戻されてしまうらしい
その原因は魔物の使っている魔法…この砂漠地帯で言うなら呪い、というものだったので事前に用意して置いた魔法を防ぐ札をわざわざジパングまで行き仕入れて侵入することができたが…
「なぁ、そろそろ解放してはくれないかね。俺は高いところはダメなんだよ」
「ならぬ、貴様は罪人だ。高いところが苦手ならすぐに落としてやろう、地獄にな」
「おっと、今のは取り消すぜ…俺は高いところが好きなんだ！」
魔法をすり抜けて侵入した矢先に、仕掛けてあったか偶然なのか…床が崩れて遺跡の地下に真っ逆さま、目出度く遺跡の門番と名高いアヌビスに捕まってしまって吊るし上げられてしまった
このアヌビスという魔物、見た目は犬の様に耳があり艶やかな毛並みの手足を持つナイスバディーの美しい魔物だ
しかし油断しちゃいけないぜ、侵入者には容赦なく罰則を与えると伝えられている為に遺跡の多い砂漠地帯では大変恐れられている魔物だ
「私の呪いをすり抜けてきた者は初めてだ、貴様は何しにここへ侵入してきた？」
「ピクニックに来たように見えるかい？バスケットも持ってないぜ」
「答えろ！」
ギチッと腕に固定された金属の手錠に繋がった鎖…天井に伸びて吊り上げられる形で目の前のアヌビスの手に握られている
それを引っ張ると吊り上げられている俺に手錠が食い込んで痛いこと痛いこと、まったく乱暴しないでもらいたい
「分かった分かった、言うから乱暴するない…お宝を頂戴しに来たのさ、何たって俺は盗賊ハヤブサだからな」
「ふむ、遺跡漁りの類か…」
「その呼び名は好きじゃない、トレジャーハンターと言ってもらいたいぜ」
「何れにしても罪人だ、私の領域に無断で入り込んだのだからな」
鋭い眼光で睨みつけてくる、ゾクゾクするような冷たい視線だがそういうのは趣味じゃない
「おいおい、仲良くしようぜ…俺は犬みたいな子は好きなんだ」
「その軽口を閉じろ！」
目一杯に鎖を引っ張るアヌビス、これじゃあ腕に手錠の跡がついてしまう…つけるなら美人のキスマークにしてほしいものだぜ
「貴様にもう一つ罪状が増えた、よもや私を犬呼ばわりするとはな」
「おっと、気を悪くしたなら謝るよ！俺はあんたを犬だなんて思っちゃいない、ただ犬の方があんたに似ているもんでね」
「…どうやら自分の立場が分かっていないようだな、貴様ごとき私の呪いで屠ることも可能なのだぞ！」
手に持ったご大層な杖を掲げてこちらに向ける、どうやら相当お冠に来てしまっているようだ
「へへ、そりゃあ勘弁願いたいね。このままだと遺跡でミイラとして発掘されそうだ、ぐるぐる巻きは困るぜ」
「ならばどうする、言っておくがその手錠は私の呪いで強化された金属で出来ている。例えオーガであろうとも壊すことは出来ぬシロモノだが…」
「ほうほう、それは大変だな」
思いきり力を入れて引っ張ると確かに硬く、壊せる気はしない…しかし手錠自体は見慣れたものであり、これくらいならば簡単に外すことが出来る
「でもほら、自慢の手錠はこのとーり」
「なっ！？ば、馬鹿な…なんで手錠が外れるんだ！？そ、そんなの聞いてない…！」
「知らなくて当たり前さ、特にPRはしてなかったからな。さぁどうする、これで俺は自由だぜ」
「ぅ…えっと、次は…次は…！」
わたわたと手足を動かして慌てている、どうやら手錠を外されたことが余程予想外だったらしい
それにしても異様な慌て方だ、アヌビスは規律が正しい分予想外なことに弱いと聞くが抜け出された時のことは考えていなかったのだろうか？
「おいおい、まさか抜け出された時のことを考えてなかったのか？」
「だ、だって…！こんなこと初めてだし…！」
そういえばこの遺跡は今まで誰も奥に辿り着けたことがないと言っていた、入るにはわざわざジパングから買わなくてはいけない札が必要だし、その札もまぁまぁ値が張っているものだ
苦労や時間を考えると、例えお宝があったとしてもその為にわざわざめんどくさいことをする物好きは俺くらいだろう
成る程な、そもそも奥まで来た事自体が異例で頼りにしていた捕まえるための手錠まで外されたのでは想定外のことに弱いアヌビスは混乱するわけか
「へぇ、それじゃあこんなのも初めてなのかな？」
「えっ…んぅっ…！？」
想定外のことに弱いというアヌビスは急にキスをされたら更に混乱するだろう、それに魔物とは性欲の強いというか…一途で惚れやすい性格のものが多い
いくら理知的なアヌビスとはいえ、魔物をうまく抱き込めれば大した徒労もなく仕事を完了できるだろう、俺も力ずくなんて野蛮な真似は趣味じゃない
「ふぁ…っ、にゃ、にを…すりゅ…き、さまぁ…！」
「君のそのキュートな唇を見ていたら自然と奪っていたのさ、言っただろ？俺は犬みたいな子は好きなんだ」
「そ、そん、そんな出任せ…信じるか！そ、そうやって私を騙すつもりだな？わ、私の…お、乙女の唇を奪いおって…！」
顔を真っ赤にしてぶんぶんと手を回して距離を取る彼女、やはり魔物であり女の子のようだ…それもかなり純情な
そんな彼女の姿に先程の誇り高きアヌビスとしての要素は皆無で、とても愛らしい子犬のようだ
「嘘じゃないさ、一目見た時から君のその艶やかな髪…美しい毛並みの手足にその燃えるような真紅の瞳が堪らなく愛おしい」
「う、ぁ…や、やめろ…ばかぁ…！そ、そん、そんな甘い…言葉を、言うなぁ…っ！」
「そのピンとした三角耳も、フサフサの尻尾も…小麦色の魅惑の肌もすべて俺を誘惑する。いけない子だ…思わず襲ってしまいそうになる」
距離を取る彼女を石壁まで追い詰める、顔を真っ赤にして目はトロンとしてきて…まるで発情したように息も荒い
あと少しだ、完全に懐柔させるわけではなくともある程度気を俺に持たせればいい
「さぁ、俺の物になれ…」
「ぅ…あ…っ」
「俺は、お前が欲しい…」
「う、うぅ…うがぁぁぁぁぁっ！」
口説き通せると思い畳み掛けた瞬間に、俺は床に押し倒された。どうやら俺が思っていたより甘くなかったらしい、また捕捉されてしまった…
「おっと、暴力は勘弁してもらいたいな…！」
「ふ、ふぅーっ…！ふぅーっ…！」
俺を押し倒したアヌビスの彼女は息を荒くして、俺を熱く見つめている。
聞いたことがある、アヌビスはウルフ種であるが理知的な性格故に想定外に男性に襲われたら発情してしまうことがあるらしい
「お、お前が悪いんだからな…！す、好きだのキュートだの愛おしいだの言うから！」
「責任はお取りしますよ、キュートなレディ？」
「はぅぅん…っ、ば、ばかものぉ…！だ、だからそういうことを言うなぁ…っ！胸が、きゅんきゅんってしちゃうからぁ…っ！」
押し倒した俺の上に跨る彼女が、ウルフ種特有の腕で素早く俺を服を破り裸にしてしまう
「おいおい、俺の一張羅が台無しだ…もうちょっと丁寧に扱ってくれよ、気に入ってたんだぜ？」
「う、うるさいっ…口答えするな侵入者の罪人のくせして…あ、そうかぁ…罪人だから私の好きにしていいんだな…♪」
「罪人…俺はアンタの恋人になりたいんだけどな」
「罪人が口答えをするな…ぁんっ♪」
不意に俺の唇を奪う彼女、慣れていないようではっきり言って唇を合わせるだけのキスでは物足りない
「ふふ、どうだ…これが罪人の貴様がさっき私にやったことだ…私の初めてのキスをあんなにあっさりと奪いおって…♪」
「おいおい、こんなキスじゃ挨拶みたいなものだぜ。本当のキスってのを教えて差し上げましょうかねっ…！」
「ひゃっ…んんっ！？にゃっ…め、んんんん〜っ♪」
俺を押し倒し優位に立ったと思い良い気になっている彼女の頭を掴み、とことん口内を犯してやる
ぐちゅぐちゅと音を立て舌で舌を絡めとり、歯茎の奥や舌の裏側まで徹底的に蹂躙する
必要最低限空気を送り、ただひたすらに口内を犯していく。口内からは糸を引きながら止めどなく唾液が溢れていき、俺の身体や彼女の身体を伝っていく
「ふぁぁぁ…♪あ、あたま…おかしくなる…ぅ♪こ、こんにゃの…しらないぃ…♪」
「お気に召しましたかレディ？」
「しゅきぃ…これ、しゅきぃ…♪もっとぉ…ねぇもっとしてぇ…♪」
余程さっきのキスが気に入ったらしい、顔を子犬のようにぺろぺろと舐めて求めてくる。あんな蹂躙するように激しいのが好きとは結構Mなのだろうか
「おいおい、それだけでいいのか？もっと先の、すごいのだってあるんだぜ」
「しってる、しってる…！えっち、せっくす、たねづけぇ…♪わぅぅっ、こうびっ…♪ねぇ、こうびでしょっ…♪」
もう完全に理性を失っているようで子犬のように俺に縋ってくる、どうやら発情すると思考力が低下して幼児退行するらしいな
「その前に…名も知らぬ相手と交わるだなんてロマンに欠けるだろ？名前、教えちゃくれないかな」
「わ、たし…私は、ショコラ…♪あなたは、あなたの本当の名前…♪」
「本当の俺を知らないやつは俺をハヤブサと呼び、本当の俺を知っているやつは俺をハヤトって呼ぶんだ…ショコラはどっちかな」
「私、しってる…気持ちいいキスをしてくれた、ハヤト…本当のハヤトだ…♪」
「よしショコラ、男というのは常にロマンを追い求めるものなんだ。ゆっくりと、見せつけるようにその身体に纏っているベールを脱いでくれ…」
「わぅぅ…わ、分かった…ハヤトが言うなら…♪」
ショコラがゆっくりと一枚一枚服を脱いでいく、その美しい身体を見せつけるように少しずつ生まれたままの姿になる
「は、ハヤト…私の身体、変じゃない…？ま、魔物だし…人間と違うから…」
「あの世でマリリンモンローが歯ぎしりしてるぜ…さぁ、おいで」
「わぅ…♪」
ショコラを抱きしめると、そこから激しい獣同士の交尾の交わりが始まった
引き締まったボディーラインの身体に容赦なく俺の肉棒が突き刺さり獣の鳴くような嬌声が石造りの部屋に響き渡る
「きゅぅん♪きゅぅぅぅん♪もっと、もっとめちゃくちゃにしてぇ！おくに、がんがんってぶつけてぇ！」
どうやらショコラは優しいセックスより強く蹂躙されるようなセックスが好きなようで、かなり力強くしているにも関わらず更に俺へと懇願する
「よし…じゃあ、これはどうだ…っ！」
「おほぉ♪しきゅうに、あかちゃんのおへやにぃ♪はやとのおちんちんがきてるっ♪くぅぅぅぅん♪わぅぅぅっ♪」
更に奥まで突き上げると、愛液が溢れぐちょぐちょと泡立ったショコラの膣内の奥で俺の肉棒の先端をウネる粘膜が包み込む
子宮の奥まで俺の肉棒を咥え込んだショコラは貪欲に俺を絶頂まで導くように締め付ける
「あひぃ♪あたま、まっしろぉ♪あぁぁぁぁっ♪あぬびすなのに、わたひぃ…こんなにえっちになってるよぉ♪」
「アヌビスだなんて関係ないさ、俺にとっちゃ可愛い子犬だぜ…いや、雌犬と言った方がいいのか？」
「はぁぁぁぁんっ♪そ、そんなこといっちゃ、やだぁ…♪わ、わたひぃ、けだかいあぬびすなのにぃ…っ！らめぇ…っ、おちんちんに、はやとのとうぞくおちんちんに負けちゃうよぉっ♪」
「さぁてそろそろ、俺も…！」
「ふぁぁぁ…♪はやとの、びくびくしてるよっ…だすの？はやとのせいえき、わたしのなかにびゅーってだして♪わたしにぃ、たねづけしてぇっ♪」
「それだけじゃ済まないかも…なっ！」
ショコラの中で俺の白濁の劣情が爆発する、膣内を満たし行き場を失った白濁の劣情が溢れ出してくる
「あぁぁぁぁっ♪いっぱい、おなかがやけどしちゃうよぉ♪はやとのせいえきがいっぱい、なかであふれてる♪きゅぅぅぅぅんっ♪もっと、もっとほしいよぉ♪」
「あいにく俺は性欲旺盛でね、一回くらいじゃ全然治らないんだ。そんなにほしいならもっとやってやるさ」
絶頂の余韻に浸っている彼女に再び容赦なく肉棒が突き刺さる、ほとんど蹂躙に近いような交わりだが相変わらず彼女は至福の表情を浮かべている
そして彼女の穴という穴に精液を流し込み、妊娠したかと見間違うくらいに腹部が膨らんできた頃にショコラが気を失ってしまい、俺の胸にもたれかかる形で静かな休息がやってきた
「ふぅ、流石魔物だな…ここまでするとは夢にも思わなかった」
俺の胸の中で眠っている三角耳の彼女の肩を抱きながら、石造りの天井を見上げた
流石魔物だった、まさか俺自身性欲旺盛さには自信があったんだが…完全に撃ち尽くしてしまった
「さてさて、今のうちにお宝〜…なんて思ったが彼女がこんなにも離してくれないししばらくは動けないか」
ショコラに破かれた服を手に取る、ぼろ布のようだが…まぁ着れないことはなさそうだ
「まぁダメージ加工と言えばお洒落な感じだし問題はないのか…？」
「…はやとぉ…♪」
「あんなに最初は抜き身のナイフみたいだったのに可愛くなっちゃって、まぁ…」
頭を撫でて、こちょこちょと耳をくすぐってやるとむにゃむにゃと言いながら身を捩らせる。その反応が愛らしくてつい没頭していると、もぞもぞと彼女が目を覚ました
「くぁ…んっ…」
顔を上げて小さく欠伸をする仕草がまるで小動物のようで、ちょっと面白く感じる
「おはようさん、いい夢は見れたか？」
「ぁ、ハヤト…♪」
起き抜けに俺を見て恍惚な表情を浮かべたかと思うと、ハッとした表情になりブンブンと首を振り俺をキッと睨んだ
「ち、違う違う…！き、貴様！よ、よくも私にあんな辱めをしてくれたなっ！」
「おいおいそりゃないぜ、俺はショコラについていくのに精いっぱいだったさ。それに貴様、だなんて呼び方は物騒だぜ…もうハヤトとは呼んでくれないのか？」
「ぅあ…ば、ばかもの…顔が近いぃ…！」
顔を近づけて囁くと顔を真っ赤にして狼狽える、どうやらスイッチの入っていないときは照れ屋さんみたいだな
「ショコラ…頼むよ」
「わ、分かった…ちゃんと名前で呼ぶから、離れてろぉ…！」
「それはダメだな…離れたら照れたショコラのその可愛い顔が見れなくなる」
「ゃ…だから、可愛いとか…言うなぁ…！」
ぽふっと肉球で顔を離されてしまった、顔がリンゴのように真っ赤で相当照れているらしい
「君は褒めると顔がルビーのように紅くなって綺麗だ」
「し、知らん…！この、ばかもの…さっさとお宝とやらを見つけて帰れ…！」
妙な言い方だな、まるでショコラ自身がお宝の場所を知らないかのような言い方だ
「ん？その言い方じゃ、ショコラはお宝の場所を知らないのか？」
「私は知らぬ間に生まれた時からここにいて、建物の隅々まで熟知しているがハヤトが望むようなものなんて知らないぞ」
「ん〜、確かにこの遺跡にはショコラしか魔物を見かけないな…ここにはショコラしかいないのか？」
「私以外はこの遺跡にはいない、私は生まれた時から一人でここにいる…呪いをすり抜けて来たのもお前だけだ」
ますます妙だな、なんで何もない遺跡にアヌビスの彼女だけいるのだろう？
「そりゃおめでたい、あのジパングのお札の効果は魔封じじゃなくて縁結びだったらしいな。二人の出会いに、乾杯しよう」
「だ、だからそんなふうに茶化すな…」
「しかしなんで何もない遺跡にいるんだ？何もないなら好き勝手に生きればいいじゃないの」
「好きに、生きる…か。考えたことなかったな、私は生まれてからずっとここを守る門番としての使命があった」
「誰に言われたんだ、まさか神様じゃないだろう？」
「そういえば、何故だ？私は今までずっと疑問を持たないで一人でここを守ってきた、誰かに言われたわけじゃないのに…」
アヌビスという種族が生まれる時にはそのような潜在意識を植えられて生まれるのか、それともたまたまショコラが外れているだけなのか
ともかく分かっていることは、彼女は今まで一人で全く人や魔物との関わりを持たずに遺跡に住んでいたということだ
「…というか、お前は私の話を信じるのか？お前を欺くために嘘をついているかも知れないのだぞ」
「信じるさ、だって君はもう俺の家族だ。…もし、嘘ついてたらお尻ぺんぺんしちゃうけど」
「…不思議なやつだな、ハヤトは」
「よくそう言われるよ」
「そうか、家族…家族か…ふふっ♪」
もふもふとした手を顔に当ててほくそ笑む彼女、キリッとしてる姿も良いが笑顔もよく似合う
「…な、何をニヤついている！こ、これはアレだ…その、う、嬉しいとかじゃなくて…！」
「なぁに、ニヤついた顔は元からさ」
何故ショコラが何もない遺跡に住んでいたかは分からない、彼女はアヌビスとして本能的に遺跡を守っていただけだったとしたら外のことを何にも知らないのは可哀想だ
「さてさて…いつまでもこんなゴツゴツした石の壁に囲まれているところにいたらゴーレムになっちまう、早いとここんなところから出ようぜ？」
「なんだその手は、まさか私に遺跡から離れろというのか？」
「別に何もありゃしないんだろ？だったらこんな石の箱みたいな建物に住んでいる理由がない、使命とやらでずっと守ってたらしいがそんなことはやめて外の世界へ飛び出そうぜ」
「いや、しかし…私はアヌビスとして…」
「はいはい真面目に悩んでたら人生苦しいぜ」
悩むショコラを抱き上げる、こういう時は強引にでも連れ出さないとな
「なっ、やめろ！下ろせ馬鹿者！」
「やーだよ、せっかくショコラというお宝が手に入ったんだし手放すなんてできないさ」
「た、宝って私が…か？その、だったら…もっと丁寧に扱ってほしい…」
「なるほどね、OK！エスコートしましょう、お姫様」
「ぁ…♪」
優しくショコラの手を取り、お姫様をリードするように手を引くと彼女は頬を紅く染める。要望を出した張本人が照れてどうするんだか
「今までずっと一人で遺跡に引きこもってたんだろ？俺が外の世界を教えてやるさ、まずは…気楽に買い物でもしてみるか」
「人間のことは、よく分からないが…ハヤトが一緒なら…♪」
まぁそんな感じで俺は目当てのお宝を見つけることは出来なかったが、それに勝るとも劣らない…いや比べるのもおこがましいショコラという家族が出来た
これから街でデートだとか、ショコラと俺の新婚生活だとか色々と出来事が目白押しだが…それはまた次の機会にってことで
それじゃ皆、機会があったらまた会おうぜ
15/10/14 01:44更新 / ミドリマメ