読切小説
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キミのために…
俺とキミは付き合ってるはずなのに、時々思うことに俺は悩まされていた。

『俺はキミを幸せに出来てるの?俺なんかでキミは満足なの?キミは俺なんかよりもっと良い人と付き合うべきなんじゃないか?』

そんな思いが俺をついに動かしてしまった。







だから……今日、俺はキミと別れようと思うんだ。







俺がキミに告白した公園で、キミと別れるために俺はまたキミを待っている。

なんか……懐かしい事ばっかりだな。初めてデートしたときの事、お互い顔を真っ赤にして恥ずかしがったね。初めて手をつないだときの事、キミの羽がとても温かかったことを憶えてるよ。初めてキミとキスしたときのこと、ごめんね嬉しかったことしか思い出せないんだ……キミは甘酸っぱい味がしたのかな?

でも、俺は全部忘れる事にするよ。だって俺が忘れられなきゃキミだって忘れられないから。

告白したときと同じようにキミは遅れてきた、少し顔を赤くして何かに期待して嬉しそうにしながら……ごめんね、今の俺はキミの期待に答えられないよ。

そっと俺は別れようの一言キミに突きつけた。キミは泣きながらその場に崩れてしまった。

ごめん、でも……これで俺の事は忘れて欲しいんだ。キミが俺より良い人に出会って欲しいから。

キミは最後に理由を聞かせて、と泣きながら俺に聞いてきた。やっぱりキミには嘘をつけないよ、だか俺は素直にキミのためにだと言った、いやもしかしたら自分に言い聞かせてたのかもしれない。

「私のためなら、なんで別れるなんて言うのよ」キミが声を振り絞って出した言葉が、俺を揺らがせる。……俺はちゃんとキミの事を考えてあげられたんだろうか?

自分が不安だから別れるなんて、よく考えなくても迷惑な話だよな。相手だって同じ気持ちかも知れないのに……俺は馬鹿だ。

キミは俺にはなった。本当は不安だった事、最初は好きなのかどうかわからなくて必死に好きになろうと努力した事、それで好きになろうと調べてるうちにいつの間にか本当に好きになった事。

ごめん、と呟きながらキミを抱きしめた。お互い本当は怖かったんだ、不安だったんだ。そう思っていたら膝蹴り食らった。

シリアスなんて私には似合わないなんて笑いながら、キミと俺はいつも通りのような関係に戻っていた。

まぁ、その後キミの両親に紹介されたのはどうかと思ったけど。

泣いて、笑って、ときどき怒って喧嘩して、仲直りして。キミといられて幸せだよ。

不器用な俺と一緒にいてくれて、本当にありがとう。

俺はこれからもキミのために……
14/09/17 08:43更新 / アンノウン

■作者メッセージ
「……先輩、惚気話ですか?」
生意気に後輩が聞いてくる、こいつは誰のおかげで付き合えたと思ってんだか……
俺だってお前に惚気話は聞かされたんだ、別にいいだろうに。
まぁハッピーエンドでよかったんじゃないかね?
俺も後輩も。

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