連載小説
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ある女王の目覚め
私が目覚めた時には地面に埋まっていた。
奇妙だ、私は部屋に居た筈なのに。
いや、待て、何だこれは?
私は酷く困惑した、この記録を読む読者達は分からないだろうが
私は今まで思考と言う物をした記憶がない。
そもそも記憶と言う事自体が無いのかもしれない。

私は今までに思考と言う物をしなかったのに
思考をしていると言う事実に困惑した。

しかしとりあえずはまずは地面から出た。

「はっ」

地面から出た私は息をした。
何だ今の音、は?

この時の私の気持ちは読者諸賢には分からないだろう。
地面が遥か下、急に巨大化したと言う事実に私は困惑した。
脚は何時も通りだったがが手が可笑しい。
何だこの枝分かれした指は、 いや、 手?
自分の思い通りになる手で自らの身体を触る。
明らかに変な感触だ、蟻の甲殻じゃない。
まるで柔肌を触っている様な・・・

この時に私の脳髄に衝撃が走った。
私は蟻から魔物になったのだ。
ジャイアントアントの女王、 女王蟻だった私はこの上無く動揺した。

大量に流れ込む情報、 そして性欲に震えた。
女王の証だろうか、 私は他のジャイアントアントとは違い
ドレスの様な服を着て王冠を被っていた。

「なんで・・・なんでこんな・・・」

私は震えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何でこんな訳の分からないバケモノになっているんだろう。
唐突に変わってしまった自分に恐怖する。
私はこれからどうなるのか・・・

「女王様!! これから如何すれば良いですか!!」
「え?」

ジャイアントアントの一匹が尋ねる。
確かこいつは近衛の兵隊アリ・・・
今は見るも無残なバケモノである。

「ど、 如何すればって・・・」

私の中から困惑が消えた。
今はそんな事よりも民達を導かねば。

「こ、 国境沿いを警戒!!
他の蟻達が攻めて来るかもしれない!! 警戒を怠るな!!」
「国境もくそも有るかバーカ」

声に振り返る。
そこには王冠を被った、後に巫女服だと言う事を知った変な服の
黒髪のジャイアントアントが居た。

「り、 隣国の・・・白アリの女王か?」
「隣国ねぇ・・・見て見ろよ」

自嘲する白アリの女王。

「私達が国だ何だ言っていた物はもう潰れたろ
家も私達が大きくなって潰した、 国どころか唯の丘だ」

馬鹿馬鹿しいと言いたいのか白い女王は嗤った。

「黒アリの女王、 状況は分かっているか?」
「・・・・・」

脳髄に流れた情報によると近くで
強大な魔力の奔流が流れ私達は魔物になった。

「でも可笑しい、 魔力が流れても私達の様な虫が魔物になるなんて」
「ハッ!! それは平時の話ダロォ!?」

また新しいアリの女王が現れた。

「大あご・・・」

荒々しい大あごのアリの女王、 戦争上等の過激な連中の王。
ボタン全部を引き千切った軍服を地肌に着ている
小麦色の肌に赤いポニーテール。
どういうキャラだ、 何で日焼けしているんだ。

「今は私達は戦争中だ!!
生きる欲望の強さが私達を魔物に変えたんダロォ!!」
「っ、 やるか」

何を?
戦争を
だが・・・

「あー、 駄目だ」
「そうだな」
「・・・・・」

私達は互いに憎めなくなった、 不倶戴天の敵の筈なのに何故か。
今まで互いに多くの同胞を殺し合って来たのに何故か。
理由は分かっている。
魔物化による強制的な同族意識。
魔王による洗脳と言って良い。

「あら、 御同輩〜♡」
「一安心・・・」

兵隊のジャイアントアントを数匹連れた二人の王冠を被った女王蟻。
一人は服の代わりに葉っぱで乳首と性器を隠した嫌らしい笑みの
緑髪の女。
もう一人ははちきれんばかりの胸をチューブトップで隠した
陰鬱なツインテールの女。

「葉っぱアリとミツアリの女王か」
「葉っぱを集めている変な奴と花の蜜を貯め込んで
腹を一杯にする変人か」
「戦争狂いに言われたくないね・・・」
「虐殺共に比べればマシダロォ!!」
「呼んだかね」

ばっ、 と声の方向を皆、 一斉に見る。
そこに居たのは申し訳程度の小さい王冠と
白いショートヘアーとアイシャドーがかかった赤眼。
そして美しい程の肉体美を晒した全裸の女が居た。

「ぎゃ、 虐殺アリ・・・」

読者に配慮した言い方だと軍隊アリ、 になるのだろうか。
大勢で皆殺しにかかる虐殺のアリ。
私達は震えた、 服を着る事すらしていないコイツは
ジャイアントアントでは無くアリとして私達を殺しに来たのではないか?
そう戦慄した。

「私達が為すべき事はまずはオスを探す事だ!! そうだろう!!」

如何やら違う様だ、 殺戮よりもオス探しを優先した。
魔物としては正しいがアリとしては・・・

「そうだな、 そうしよう」
「同感ダロォ!!」
「うん、 賛成」
「ガタガタガタガタガタ」

私以外は皆賛成の様だ。
まぁ私も虐殺に逆らって殺されるかもしれないし仕方なく賛成した。

「オスも大事だ、 私も賛成だ
だがしかし並列して元に戻る方法を探した方が良いんじゃないか?」
「「「「「「「「「「はぁ?」」」」」」」」」」

女王以外のジャイアントアントも
『何言ってんだコイツ』と言う様に私を見る。

「な、 何かおかしい事を言ったか?」
「そりゃそうだろ、 今まで狭い土地で国だ何だと争っていた
しかしこんなに大きくなればそんな事しないで済む」
「そうだな、 少なくとも元のチビに戻って殺し合いとか
最悪ダロォ」
「魔物のマンコ、 ちょっと弄ってみたけど
これはもう虫の身体に戻りたくないわ」
「う、 うん、 私早く試したい」
「私達はもう虫じゃない魔物なんだよ、 自覚を持て」

・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・
なんてこった、 まともなのは私しかいない。

「だ、 だがこんな姿で一生を・・・」

その時、 私の身体はオスを感じた。
フェロモンと言う奴だろうか、 感じた瞬間、 女王達は走り始めた。
後から護衛のジャイアントアント達が続く。

オスのジャイアントアントは居ない。
そもこの匂いはアリじゃない。

・・・・・・  ・・・・・・・・・・・
どうかしてる、 人間のオスと交尾なんて

頭ではわかっているが体が動く、 胎が疼く。
股が濡れる。
交尾なんて初めてでも無いのになぜこんなに疼くのか・・・

考えている内に人間のオスを見つけた。
恐らくは幼体だろうか、 とても小さい、 粗末な服を着た
小麦色の肌の少年。

股がドロリと濡れる。
あぁ、 駄目だ、 このままでは完全に魔物になる。

女王蟻達がオスを取り囲みオスは逃げ回る。
私は躊躇って立ち止まっていた。

あぁ、 このままじゃあオスが取られる。
いや、 それだったらアリとして存在できるしこのまま・・・
魔物としての思考とアリとしての思考が駆け巡る。

いや、 まてありのときはかんがえもしなかったじゃないか
だったらまものらしく

そんな考えが脳内にねじ込まれる。
私は蟻、 私は蟻、 私は蟻。

只管頭で唱える。
ぽすん。

オスが私に抱き着いて来た。

私はメス。
私はオスを押し倒した。
私を選んだんだ!! その幸福感が私を包んだ。
もう何も考えられなかった。

後々に話を聞くと私がドレスを着ていたから人間と勘違いをして
助けを求めたらしいが置いておこう。

さっさと交尾を始めよう、 服を脱がし
自身のスカートを捲り互いに性器を擦り合わせ
互いに昂らせる。

先程までのアリがどうだのと言う考えは既に消えた。
目の前のオスも物欲しそうにしている。
女王蟻達は忌々しそうに見ているが
そんなの関係無い、 さっさと挿入する。

ずぶう、 と音を立ててオスのペニスが私のヴァギナを貫く。
血が流れている、 交尾は経験済みなのに・・・

「あ・・・あぁ・・・」

私は震えた。
何コレ、 気持ち良過ぎる。
今までの人生、 いや蟻生が全て吹っ飛ぶくらいの快感。

「あぁ♡ あぁ♡」

快楽で腰を振るのが止められない。
もっと貪りたい、 もっともっと・・・
私は腰を振った。
本能のままに交尾を楽しんだ。
今までの人生の中で最も幸せな時かもしれない。

「うぅ・・・」
「!! 出るのね!? 出して!! 射精して!!」

ペニスから白い物を吐き出して果てたオス。
快楽に打ち震えた私は倒れた。

「ほら、 邪魔!!」
「あう・・・」

白アリ女王に飛ばされて私は彼の上から離れた。
少し気を失ったが目を覚ました頃には女王達は全員交尾したらしい。

「ちょっと、 まだ満足してない」
「早く起たせろ、 私がやれないダロォ!?」
「ほら、 がんばれがんばれ」
「私の蜜呑んでいいから・・・もっと・・・」
「犯して・・・犯して・・・」

オスのペニスを皆で舐めていた。
私はオスに耳打ちをした。

「君のペニスを舐めている彼女達は私を含めて
それぞれ一国の女王なんだよ
こんなに大勢の女王をメロメロに出来るのは君位なんだよ
王女達に種付けが出来るって興奮して来ない?」

へたっていたペニスが再び起き上がる。
私達は笑った、 心の底から。



こうして私達の蟻としての人生は終わり。
魔物としての人生が始まった。
22/10/21 00:56更新 / Mr.後困る
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■作者メッセージ
蟻の生態に救いが無いので書きました。

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