読切小説
[TOP]
リアルホーンテッドハウス
これは作者本人をモデルとした主人公と
彼を取り巻く魔物娘の日常である。

そこ、引かない!






朝、目が覚める。
いつものように最悪な目覚め。
身体が重く、いつも通りに眠れなかった。

畑仕事もあるし、さっさとメシ喰って、働くか…。

「あ。」
台所でいきなりラージマウスに出会う。
手にはチーズを持っている。
「お前ね…、毎朝毎朝…、飽きもせず…。」
「え、あっと、おはよーございます。」
「ああ、おはよ。あまり畑の方に行って作物荒らすなよ。」
「わかってるって。」
そう言ってラージマウスは台所を出て行った。
……。
さて、朝飯でも食うか…。

ドタドタドタドタ、キャッキャッ

…誰もいないはずの俺の部屋から笑い声と走り回る音がする。
六畳間の俺の部屋に走り回るスペースはない。
「おーい、誰か知らないけどさ、うちでサバトの準備するのは勘弁な!?」



鍬を担いで畑に出る。
ラージマウスが白いラミアに捕まっていた。
「あ、家主、ヘルプミー!」
「あれ程畑に出るなと言っておいたのに…。ほらラミアさんや、放したって。」
「あら、家主さん。おはようございます♪」

ギリギリギリ

「ろーぷ、ろーぷ!!」
「頼む、朝から流血沙汰はやめておくんなまし。」
「はぁーい。」
「後でソーセージもって来てやるから。」
「♪」
締め上げる力を緩め、ラージマウスを解放するラミア。
「何でお前は人の言うことを聞かないかな?」
「そこに畑があるからだ。」
とりあえず、ゲンコツを喰らわせる。
涙目になって巣に帰るラージマウス。
ラミアは何故か野良仕事中、俺から離れない。
後で本当にソーセージ持ってこないと祟られそうだ。



夜、一日の仕事が終わり、自室で日田天領水で晩酌。
ちゃっかり地元をアピールする。

じー

視線を感じて振り向くと超夜型生活スタイルのゴーストが壁から上半身を乗り出している。
「今、起きたのか?」
「…のど、渇いた。」
「…待ってろ。」
簡易的にお供え壇を作り、水と酒饅頭を供え、手を合わせる。
もちろん、線香と鈴(りん)を忘れていない。
経典を取り出して、南無阿弥陀仏と唱える。
「…愛が感じられない。」
「…お経に愛を求めるな。」
てゆーか成仏しろ。
「いきなりうちに現れて、おまえは何なんだ?俺の親戚か?」
「そうだね、突き詰めると親戚かも。だって人類皆穴兄弟。」
「待て、それは嫌だ!つーかそれは他人だ!!」
読経をさらに心を込める。
さっさと出て行け、そんな風に怨念染みた根性で念仏を唱える。
「ああ!素敵!!感じちゃうん♪」
「ええい、このドM!!!幽霊のクセに何と業の深いヤツだ!!!」
そして、夜通し俺の攻防は続くのである。

そんなわけで今日も眠れない。













ちなみに















現実はこんな感じです。


ちゅー。(白いネズミ)
しゅるしゅるしゅる。(畑に白蛇)
ドタドタドタドタ、キャッキャッ♪(謎の笑い声と走り回る声)
じー…。(何か女性っぽい白い影。この間、絶賛金縛り)





つまり何が言いたいかというと………




ワタクシ、幽霊妖怪爬虫類ケダモノの類は大歓迎ですが、
せめてこんな風に出てきて欲しかった!!!!
10/10/23 22:27更新 / 宿利京祐

■作者メッセージ
白ネズミは目が合うと何故か直立して頭を下げます。
白蛇は畑に二匹います。
謎の足音はいつでもどこでも聞こえます。
女性っぽい白い影は本当に押し黙ったまま作者を見下ろしています。

…もう慣れました。
ちなみにトカゲも出ます。
脳内でリザ子に変換しないとやってられない環境です。

ここが農家の悲しいところと言いつつ、
ここまで読んでいただきありがとうございました。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33