読切小説
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彼女の”狩り”
オセロメーのうなり声が響く。
まるで熱に浮かされたかのような熱い声に、僕の胸も高鳴る。

テスカトリポカを崇拝する彼女たちは、ジャガーの戦士とも呼ばれる。
知恵と勇猛さで知られた彼女たちは危険な魔物だ。

____そんな恐ろしい魔物に、なぜ僕は近づこうとするのか。
ちらりと彼女たちを見る。

彼女たちは今、たき火の周りで祈りを捧げていた。
魔界製(らしい)黒曜石ががはめ込まれた木の剣を地面に突き立てている。

マクアウィトル、マカナと呼ばれるそれが僕の目的だ。
彼女達に神より与えられた凶悪な姿をもつその剣は、好事家の垂涎の的らしい。
酒場トランプで負けてしまった僕はどうしてもその剣が欲しかった。

___坊やには危険すぎるぜ_____

顔が熱くなる。
彼女達の剣を手に入れれば、大金が手に入るだけではない。僕の勇気は誰の目を見ても
明らかになるだろう。
冒険者としての名声も手に入る。

とはいっても、冒険者見習の僕には彼女たちを倒す力などない。
かと言って交渉するにも弁が立つ方ではないし、彼女たちは金目の者には興味がないし
人間を見たら戦いになるのは目に見えている。

そもそも「神から与えられた剣」を売るはずがない。
となれば、盗むしかない。

むろん、僕とて魔物相手でも盗みは悪いことだと重々承知している。
それも彼女たちの大事にしているものを……。

(いや、凶暴な魔物から武器を盗めばそれだけ町への被害も減らせるはずだ)

僕は何とか納得させると改めて尻尾の生えた綺麗なお尻…じゃない。
祭壇のようなものにささげられた壺を見る。
ここ数日の調べで、彼女たちが祈りをささげた後壺の酒を飲んで眠りにつく。
その後アジトがある荒野に戻ることはここ数日の調査で熟知している。

昼夜経過を解かない彼女達が油断するチャンスだ。
その時に盗む。
やがて、祈りを終えると彼女たちは壺に杓を入れて飲み始めた。

やがて数分もしないうちに眠り始めた。

そそくさと近づくと、彼女たちを見る。
雑魚寝している彼女たちは毛皮を除いて服らしい服は、腰の布しかない。
褐色のなまめかしい太ももや胸を惜しげもなくさらしており、知らず知らず
のうにち股間が固くなるのを感じる。

(いけない、我慢だ、我慢!)

僕は迷った末、持ちやすそうな短めの剣を布にくるみその場をそそくさと離れた。
走った末、止めていた馬に飛び乗る。
馬で駆けながら、僕は思わず声を出した。

「やった、やったぞ!」

僕はオセロメーの剣を手に入れたのだ。
それも、彼女たちに気づかれることなく。
一瞬にして、大金も名声も約束されたのだ。

「随分と嬉しそうだな?」
「そりゃそうさ、目的の物を手に入れた……」

血の気が引く。

今、誰に声をかけられた?
馬に乗った人間はこの荒野に僕以外いない。
そして、馬のスピードに追い付ける”人間”はいない。

まるで大型の哺乳類が走るような音が後ろから聞こえる。
心臓の鼓動がうるさい。

後ろを向くのが、怖い。

「ねぇちゃん!そっち行ったぞ!」

ねえちゃん?
まさか追いかけてきているのは後ろの一人じゃないのか?
その瞬間馬のいななきが響き、僕の体が宙に上がるのを感じた。

「うわぁああっ」

そのまま中に激突……しなかった。
柔らかい感触……そして、大きな二つの塊が目に入った。

「怪我はないかしら?」
「ええ、はい……ってうわぁああっ」

猫耳がぴくぴくと動く。輪上の黒斑に1、2個の斑点。
オセロメーだ。
なぜ僕は彼女にお姫様抱っこされているのだろう?

「アカオーナ姉ちゃん、何をしてんだよ早くやっちまえよ」

ああ、そうだ。僕は彼女達から剣を盗もうとしたのだ。なのに、捕まってしまった。
このまま、そのモフモふとしての爪で殺されてしまうのだろう。
もしくは剣で。

僕が震えていると、その詰めでひっかく……のではなく僕の頭をなでた。

「大きな声出さないの。おびえているじゃないの」
「だ、だってよう」


「ふふっごめんなさいね?」

アカオーナと呼ばれた魔物は温和そうな笑みを浮かべる。
オセロメーは一般的に凶暴な種族と聞いていたが……妹の方はそんな感じだし。

「あ、あの盗んだ剣は返します。だから…」
「剣?ぬすんだ?」

キョトンとした顔で首をかしげるアカオーナ。
それに対して妹の方は合点がいったという顔をする。

「ああ、姉ちゃん。こいつあたしらが立てた作戦のこと言ってんだよ」
「ああ、なるほど。別に気にしなくていいわ。貴方が私たちのことを見ていたことはとっくに知っていたから」

何と言う事だろう。僕の作戦は最初から筒抜けだったのだ。

「無駄話はここまでにして、始めましょうか」
「え?」


「貴方を犯すのよ」


そう言うと、彼女は爪でバッサリと僕の服を切ってしまう。
僕が目を白くをしている間に僕の体は地面に押し付けられ、彼女がまたがった。


「それじゃああたしはみんなと家に帰るから、姉ちゃんはソイツとごゆっくり〜。あたしも久々にあいつの顔を?」

「ま、待って!意味が分からないですよ!なんでいきなりこんなこむんぶっ!んんんっ!」
「ンン〜?」

突然やわらかな口を押し付けられ、そのまま舌が僕の口の中に入り込み絡み合う。
数分もの間、口づけをしていた。

ようやく口を離してくれたが、あの感触はとても心地よく名残惜しいものだった。
彼女は僕の喉元をべろりとなめとる。

「ひぃっ」

僕の顔を見て笑うアカオーナの表情は、まさしく獲物を追い詰める雌獣そのものだった。
お互いの洗い呼吸の後、僕の太ももを掴み僕は思わず彼女の方にしがみついてしまう。
必然的に、彼女の大きな塊が僕の頭を挟む形となった。

「さぁ、貴方のおちんちんを挿入するわよ」
「ま、待って……心の準備が」

まるで女の子のように懇願するが、かえってそれが彼女の加虐心を火をつけてしまったのかにぃと笑う。

いや、笑ったのではなく獲物が牙を向けるそれだったのかもしれない。


「だからやるのよ」


僕の返事を言うまでもなく、たたきつけるように膣がぼくのそれを飲み込む。

「ああああああああああああああああああっ!」

あまりの快楽と激しさに僕は悲鳴を上げる。
アカオーナの秘所は暖かく、ぬるぬると締め付ける。
嬌声を上げるアカオーナの秘所が全てを飲み込み、ぼくのあそこの先端がアカオーナの奥へと当ると同時に、
大量の精を噴出していた。

「ふふっ……そうよ、人間は魔物の与える快楽、に、耐えられないのよ……」

彼女も荒い息で、そう答えた。
耳はぴくぴくと動き、尻尾はぴんと張りつめている。

「ふふふ、貴方が気絶するまでした後は、私の家まで連れて行って……そこでまた犯してあげるわ。うれしいでしょう……?」

そう言って、アカオーナは笑うのであった。


オセロメーの咆哮が夜の荒野に響く。

テスカトリポカの下僕たるジャガーの戦士たちに目をつけられて逃れられるものは誰もいないのだ。
そして、僕は。


ベッドの上でアカオーナの声が響く。
彼女の毛並みが、僕の体をくすぐり、その褐色の体全身で僕に快楽を与えて来る。
睦美ごとをいったん止めると、彼女は荒い息で、言った。

「喜びなさい、貴方の仔を孕んだわぁ……新しい、戦士が生まれるのよ」

僕はそれに笑みを浮かべた。
愛する人(魔物娘)との間に家族が出来た喜びか、それとも快楽に犯されたからか、今の僕にはわからなかった。

あるいは両方かもしれない。






19/04/07 20:14更新 / カイント

■作者メッセージ
思わず深夜テンションで書きました

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