連載小説
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後篇
女っ気の無い暗い室内にうめき声が響く。

苦しい。
いくら呻こうが、喚こうが…。
ただ只管に苦しい。
苦しみは薄れるどころかますます増えていくばかり。
決して和らぐことは無い。
今までに発情を思わせる体の変化はあった。
だが、ここまで酷い事態に陥ったのは初めてだ。
それまでの発情と思われる衝動が嘘であったかのように、今はただひたすら苦しい。

そっと丹田に手を翳す。
忌わしいほど自分が魔物娘であることを自覚させる臓器が。
今まで抑え込んできた自分の中の雌が雄を求めて理性や精神を狂わせる。

ジクジクと甘い痛みが想起させるのは一人の男。
昨日、月子の最大のコンプレックスである垂れ耳を思うままに揉みしだいていった男。
木村家の次男である篤だ。

彼と最初に会ったのは、親友である由美江の結婚式だった。当時の彼はまだ高校生で、幾分幼さが残るがすっとした顔と柔らかな笑顔が記憶に残っている。そんな彼と再会したのが数ヶ月前の事。
「お久しぶりです、月子さん。」
式場で出会った高校生は、厳しい自然と共に生きる精悍な男に成長していた。日々の農作業によって引き締まった体。冬でもなお健康的な印象を与える日焼けが残る肌。そのどれもが月子に農家として生きる彼の生きざまを強烈に印象付けた。武人とは違う、農家や漁師が持つ強さを月子は心より尊敬している。

そんな彼と打ち解けるきっかけとなったのが、イノシシから彼を救った出来事だった。
その日、月子は知人に頼まれた絵を仕上げようと筆をとっていた。期限もそこまで厳しいものではなく特に注文も無かったのでかなりリラックスして臨んでいた。
しかし、いつものように画材を用意して構想に想いを馳せている最中に殺気を感じた。人間や魔物娘よりも純粋で真っ直ぐな敵意であるそれは動物が発するものの特徴であり、殺気が一つしか感じられないと言う事は人間か魔物娘が野生動物に襲われているのではないかと月子は直感的に判断した。そして月子は直ぐに支度を整え、家を飛び出し殺気がする方向へと急いだ。

タイミングはギリギリだった。
地面にうずくまる篤に向かって突進するイノシシの頭を抑えつける。イノシシ特有のごわごわとした毛並みや首から肩にかけて盛り上がった筋肉がさらに膨れ上がり圧力をかけてくるが、月子の力に勝ることは無い。こちらも強い殺気を出しつつ篤の無事を確認する。どうやら彼は足をくじいただけらしく、見たところどこにも傷を負っていなかった。篤に何事も無い事に一安心しつつ、あて身だけでイノシシの意識を奪い、篤を救出することに成功した。気になっていた足首の捻挫もどうやらそこまでひどいものではないらしく、よく効く薬草を塗布してやり、山の麓まで見送った

それからだった。彼は月子の元に足しげく通うようになったのは。
どうやら篤はこちらが考える以上に実直で義理がたい人間であるらしく、何かある度に恩返しと称して食べ物や酒を持ってきた。最初は勿論それらを断っていた。自分は出来る事をしただけであってこのような物品を貰う為に、施しを求めてあんなことをしたわけではない。だからそんな事をする必要はないと何度も突っぱねた。
だが、彼は聞く耳を持たなかった。
受け取れない、いいや受けとってください、何度来ても同じだ、何度でも来ます――――
そんなやりとりを何回も繰り返すうち、遂に月子が折れたのだった。それでも最初は彼が持ってくる物を事務的にただ受け取るだけであった。それが今となっては切っ掛けが何であったか思いだせないが、次第に話をするようになり、最近に至ってはそれが楽しみであったりするほど二人の関係は深くなっていった。用事があって街へと出た際に立ち寄った本屋で、無意識のうちに彼が好きそうな話題を集めるために関連の本を買い求めている自分に気がついた時は、ただ苦笑いすることしかできなかったほどだ。

浮かれている―――とは思うが、恋をした…と言うわけではない。
それは彼も同じだと思う。
彼が月子に対して好意を抱いている事は分かっている。だがそれは恋慕の情というようなドロドロしたものではなく、尊敬に近い爽やかなもの、姉弟愛に近いものだと月子は感じていた。そして同時に篤に対する自分自身の感情もそれと同じなのであろうと。そんな感情を向けてくれる彼だからこそ、今まで魔物娘の本能を刺激されることなく自然に接する事が出来ていたのだと思う。

しかしそんな彼が昨日、月子の最大のコンプレックスである耳を欲望をむき出しにしながら蹂躙した。
その出来事は月子に強烈な衝撃と驚きをもたらした。
篤がまるで別人のように鼻息を荒げて迫り、今まで笑われたり、好奇の目線しか向けられなかった情けない垂れ耳に「可愛い」だの「素敵だ」だのと誰にも言われた事の無い言葉をかけてきたのだ。月子からすれば驚くなと言う方が無理な話だ。そして月子が体験した事の無い事態に放心している間、彼は夢中になって耳を弄んでいった。篤は一刻ほどして我に返ったようだが、月子が自己を取り戻すのにはさらに時間がかかった。

月子がやっと正気を取り戻したのは、辺りが暗くなり始めたころだった。
だが、それと同時にさきほどまで自分に向けられた雄の欲望と耳をさわる篤の手の感触がまじまじと月子の体に蘇ってきた。その瞬間、月子の中で今までにない感情が渦巻いた。それは熱く、激しく月子の精神を昂ぶらせるものだった。無意識のうちに自分の体や心の中に蓄積された“篤への想い”がどす黒くややこしい恋や性欲へと姿を変え、月子の中に眠る雌を刺激するのだ。そしてその感情はそれだけでは留まらず、人虎の特徴でもある「発情」という最悪の形で発露した。

あれ以来、恥ずかしさを堪え今まで言った事の無いような淫語を口に発し、何度自慰に耽っても体の疼きは消えることがない。
否、むしろ時間を増すごとに子宮からこみ上げる性欲と自分自身でもよくわからない切ない想いが募るだけであった。まるで喉の渇きを癒すために水を飲んでいるのに、一向に喉の渇きが癒えないような…。そんな終わりの見えない苦しみに、月子の理性は擦り切れそうになっていた。

いっそ今すぐに山を下り、篤を力尽くに犯してしまおうかとも考えた。
勿論誰でもいいわけではない、篤を犯すのだ。
腕力も組み伏せる技も、圧倒的にこちらが勝っている。

だが、そんな事をすれば確実に嫌われてしまう。
いつも月子の高潔な精神を慕ってくれている篤は失望してしまうだろう。
それは―――嫌だった。

だから、わずかに残った理性をふりしぼり、発情が終わるのをただひたすら待つと心に決めた。

しかしそんな時、もっとも聞きたくもあり、耳にしたくない声が。

決死の覚悟をいとも簡単に打ち壊す声が。

玄関から聞こえてきた。






篤はいつもであればあまり時間のかからない山道にかなりの時間をかけて登り、月子の住む民家へとやってきた。民家の前に広がる畑には昨日、自分を迎えるために作業を中断した月子が地面に刺した鍬がそのまま刺さっている。そこだけみればこの空間だけまるで時間があの時から停止してしまったかのように思えるほどだ。だが、それは篤の脳が希望的な事象として認知しているにすぎない。
あれから既に一日が経っていた。月子にとんでもない粗相をしでかしてしまったことに対する後悔。ただ耳を見ただけであれだけ暴走してしまった自分の中に巣くう欲望に対する恐怖。そしていつまでも消えない甘く心地よい耳の感触。篤は逃げるように帰ってきた自分の部屋で、そんな感情に酷く苛まれた。

だが、自分の部屋で眠れぬ夜を過ごすうち、徐々に冷静になってきた篤は自分がまず何をしなければならないかをやっと思い出した。それは月子に謝罪することだ。

許してもらえないかもしれない。
二度と眼前に現れるなと言われるかもしれない。
それでも、一目でもいいから彼女に直接会い、心の底から謝罪しなければならないと。絶対に逃げる事だけはしないと心に誓い、ここまでやってきた。

「月子さん、俺です。篤です。いらっしゃいませんか。」
声がしんと静間にかえる竹林に響き渡る。
だが、返事はいつまでたっても返ってこない。その空気がたまらなくて、例え無駄だと思っても篤は叫ぶ事をやめる事が出来なかった。堰を切ったように謝罪の言葉が口から飛び出す。
「昨日は本当にすみませんでした。我を忘れていたとはいえ…してはいけない事をしてしまいました。俺が出来ることでもし月子さんの気が晴れる事があるならば何でもします。」
この期に及んでも自己中心的だと我ながら思う。だが、他にどうしたらいいか分からなかった。そんな決死の謝罪に返ってくるのは先ほどと変わらない耳が痛くなるような静けさだけ。

「う、うう…ぅん…」
だが、痛くなるほど奥歯を噛み締め、拳を握りただひたすらその沈黙に身を震わせていた篤の耳に、突然何かの音が飛び込んできた。それは何かを必死に耐えているような、熱にうなされているようなうめき声だった。それが決して自然に発せられるような音ではない事だけは確かだ。
「月子さん!?」
慌てて大きな声で名前を呼ぶが、相変わらず返事は無い。玄関の引き戸を引いてみても、鍵がかかっていて開く様子は無いし、室内の様子を窺おうにもカーテンが閉じられていてそれもできない。一瞬ためらったが、建物の中で何かが起こっているのではないかと思うと、いてもたってもいられず篤は急いで勝手口のある裏に回った。
「(頼む、開いていてくれ!!)」
そんな気持ちを込めて勝手口のノブを静かに回すと、金属がこすれる摩擦音と共に勝手口が開いた。
「月子さん、いらっしゃいませんか!?」
カーテンで閉め切られている所為か、昼だと言うのに室内は暗い。しかもその室内はどこかで嗅いだ事のあるような甘い匂いが充満していた。篤はゆっくりと部屋の暗さに目を慣らしていく。奥へと進めば進むほどますます濃くなっていく匂いに戸惑いと自分でもよくわからない胸の高まりを覚えつつ、だんだんと大きくなる唸り声と共に篤の不安も増していった。

「つ、月子さん!!大丈夫ですか!?」
「んっ…はあ、はぁ…。」
月子はそこにいた。
だが、部屋の真ん中で月子は苦しそうに唸り声をあげながら蹲っていた。
慌てて篤は部屋の電気を点け、月子の元に駆け寄る。
「しっかりしてください、月子さん!!」
そして震える彼女の肩に手を置こうとしたその時―――



突然、篤の視界が激しく揺れ、強い衝撃が肩口と背中に走る。
先程まで蹲っていたはずの月子が音も無く立ちあがり、目にもとまらぬ速さで篤に足技をかけて床に押し倒したのだ。グラマラスで女性的な体形でありながら、余分な脂肪が全く無い鍛え抜かれた筋肉が躍動する。
「がはっ…ぐぅっ!」
衝撃と共に肺に残った空気や喘ぎ声が喉の奥から絞り出される。
あまりにも見事な月子の足技に、篤は自分がどうやって畳の床に倒されたのかさえ分からなかった。喘ぎ喘ぎ空気を吸い込み考えもしなかった現状に目を白黒させて必死に状況を把握しようとするが、残酷にも次の一手が繰り出される。月子は苦しむ篤の腹部にどっかりと座り、胡坐をかくようにして篤の下半身を巻き込むようにして脚を組んでいく。
「(まずい、これは!!)」
柔術に詳しいわけではないが、月子がしようとしている事が分かった篤はなんとか逃れようともがく。この技を決められてしまえばお終いだという危機感が篤を奮い立たせた。だが、全ては遅かった。
まるで篤に引導を渡すかのように月子がゆっくりと左手を篤の頭の後ろに、右手を篤の脇から下に回して、もはや抵抗する事さえ無駄だと思わせるほど完璧な縦四方固めを完成させた。その技から篤に痛みがもたらされることは決してなく、頭の後ろに触れるぷにぷにとした肉球の感触が代わりに篤を翻弄する。
「はあ…はあ…」
月子は荒い息を吐きながら紅潮させた顔を動けない篤に近付けてく。すると自然に月子の大きな乳房が篤の胸板に押し当てられ、むにゅりと形を変え迫る。それは下半身を縛る筋肉質な月子の太腿の感触と共に欲情をかきたてる。篤はなんとかそれを意識しないようにしようとするが、逃げ道一つない見事な寝技をかけられ身動きが取れない体は、貪欲に月子からもたらされる感触を堪能していった。月子はそれを理解しているのか、下半身をもどかしそうに擦り付けてくる。
「つ、月子さん。しっかりしてください。何故こんなことを!?」
「何故…?それ、は…こうする…ため……」
「近…ぅむう!?」
「っん…ん…」

レロ、ネチャ…クチュ、ンッチュ…
彼女の答えは口づけという行動でなされた。しかも口づけされた瞬間口内にずるりと月子の舌が突き入れられ、篤の口を縦横無尽に舐めまわしていく。人間とは違う、ざらざらとした特有の舌が篤を責め立てる。不思議な事にそのざらざらとした感触は嫌悪感は全くない。油断していたという事もあり、無防備な口内はあっという間に肉厚の舌で蹂躙されていった。
「うぅ…あぁ…やっ…」
「んぁ…レロ、れろぉ…」
っくちゅくちゅ…れろぉ…ぐちゅぐちゅっぅ
月子の接吻は、濃厚であり執拗だった。一つ一つの歯の形を確かめ、覚えるかのように表裏を丁寧に、全ての歯にマーキングを施すかのようにねっとりと舐めていく。歯の部分は大胆に、歯肉はとても繊細に味わっていく。そしてたっぷりと時間をかけて一通り舐め終わると満足したのか、唾のアーチを残しつつ顔を放した。

「…はあはぁ…つき、こさん…一体どうし、て…。」
やっと濃厚な口づけから解放された篤は、息絶え絶えになりながらなんとか質問を月子に投げかける。
「…息は、つけた?…っん、次イクぞ…」
「ま、待っ…んっちゅ、じゅちゅうぅぅぅ…」
だが、月子から答えは返ってこなかった。むしろ篤の口が開いた事がこれ幸いとばかりにぐいっと舌を篤の口の奥に差し込み愛撫を施していく。篤は奥まで侵入してくる舌に軽い嘔吐感を覚えるが、月子は気にせずに愛撫を続ける。
れろっ…ちゅく、ちゅうぅぅぅぅ
今度は先ほどまでとは一変し、口内の空気や唾で吸い取るかのような強いバキュームと、それによって引っ張り出された篤の舌を引き抜くかのような力で自身の舌を絡めていく。だが、不思議とその行為には痛みが無く、やや酸欠に陥った頭は舌から齎される甘い刺激によって確実に思考能力を奪われていった。肩から力が抜け、強張った顔の筋肉もだらりと弛緩していく。
じゅるぅ…っんれろぉ…
その様子を満足げに見降ろすと月子は昨日の耳を辱められた意趣返しか、獲物を確実に仕留めると言う本能からなのか分からないが、残酷な光を浮かべつつゆっくりと時間をかけて篤の唇や口内を貪っていった。





……………。

………。

……。





「……はぁ…ぁ……。つ、きこ…さん……。」
「んっちゅ…なあに?」
時間の感覚が曖昧になるほど続いた月子の口攻めがようやく終わり、口を解放された篤は弱々しく月子の名前を呼ぶ。その口元はもはやどちらの唾液とも分からないものでベタベタになっていた。一方の月子は篤を本能のままに弄んだお陰で多少冷静になったのか、先程までの狂気の光が薄れた瞳で篤を見遣る。
「な、んで……こんな…こと、を?」
「それは、ね…」再び唇が触れるほど顔を近づけながら月子が囁く。
「……。」
「全て君が、悪い…。君が私の中の雌を叩き起こしてしまったのだから。」
そこまで言った月子は、徐に篤を抑えつけていた左手で篤の右手を掴み、自分の耳へと誘った。昨日味わった最上の耳の感触が伝わり、篤の中で萎んでいた活力がじわじわと回復していく。我ながら現金だと思うが、この誘惑には何度挑もうが勝てそうにはない。
「私の最大のコンプレックスを君は「可愛い」と、「素敵だ」と言ってくれた。武人としての私にはその言葉は喜ばしいものではないが、女の私にとっては何よりも嬉しい言葉だ。しかもそれが偽りでは無い証拠に君は私の耳に真っ直ぐな欲望を向けてくれた。それがどんなに嬉しかったか……。」
そこまで一息に言いきり、熱っぽい視線を向けながら言葉を続ける。
「私はそれ以来、体の疼きが消えない。体が、本能が…木村篤と言う存在を求めて仕方がないんだ…。」
「え…?」
月子が言った事は想像もしなかったことだった。最悪関係を修繕できないほどの事をしてしまったという認識を持っていたので、驚くなと言う方が無理だった。月子がこんなことを冗談で言うわけがないし、自分をからかう為だけにこんな痴態をするわけがない事を知っているだけに、彼女の言葉が本当の事であると信じるほかなかった。だが、脳内では未だあの凛々しく高潔なふるまいを見せてくれていた彼女の姿が浮かんでいた。
「こんなはしたない女、君は幻滅したかもしれないが…これも魔物娘である私の姿でもある。そんな私に巡ってきたまたとないチャンス。私はこれを活かしてこのまま想いを遂げようと思う。」
「想いを遂げるってまさか!?」

「ああ、この疼きを止める為…そして君と夫婦となる為に、セックスをする。」
「!?」
「嫌、か…?」
「いやでは無いです…けど、でもだからって急に」
「先程玄関前で言ったあの言葉。」
「え?」
「『俺が出来ることでもし月子さんの気が晴れる事があるならば何でもします。』と。」
「…あ」
「ふふ、どうやら発情による幻聴ではなく、ちゃんとこの口から発せられた言葉だったようだ。」
そう言うと、嬉しそうに微笑みながら篤の上唇にそっと軽い口づけを落とす。先程まで比べ物にならないほど濃密で激しい口づけを交わしていたのに、その感触は一番鮮明に篤の脳みそに焼きついた。そのことに放心する篤を嬉しそうに見降ろしながら月子は空いた左手を篤の股間へとのばし既に臨戦態勢に入ったペニスを捉えた。
「その言葉が嘘でない事をこの剛直で、私の体に証明してくれ♡」
そう言い終わると左手で器用にズボンからペニスを引っ張り出し、トロトロと濃い愛液を吐き出している女陰にダラダラと我慢汁を吐き出す亀頭を擦り付ける。その度ににちゃにちゃと淫らな水音が響き、二人の情欲を煽っていく。

「もう、待てない…いく、ぞ!!」
「ま、待って…ああ!!」
「くぅ…お、っきぃ!!」
ずるんという音と共に、必要以上に愛液を滴らせる膣にペニスが飲みこまれていく。途中で処女膜に亀頭が引っかかったが、月子の強い腰使いであっけなく破瓜を散らした。篤は月子に痛みが無いか気になったが、喜悦満面で腰を押し進める月子を見てそれが杞憂であった事を悟った。
「(なんだ、これ…気持ちよすぎる!!)」
月子の膣内は、想像を絶するものだった。
勿論、他の女性と関係を持ったことが無いから比較対象があるわけではないが、月子の女性器は特別なのだろうと思わざるをえなかった。それが女性器だけのものなのか、鍛えられたインナーマッスルから齎されるものなのかは判別できないが、ペニスが押し入った瞬間から、まるで万力の様に膣全体で締め付けてきた。しかし、その強さは決して痛みを感じさせるようなものではなく大きな手で全体を包み込むようなそんな締め付けだ。それらは今までに経験した事の無い快感を篤にもたらす。気を抜けば直ぐにでも射精してしまいそうになるが、奥歯を噛み締めてなんとか堪える。
「奥、に…きたあぁ!!」
一方の月子は、自身の最奥に篤の先端が届いた衝撃に酔っていた。亀頭で内臓をえぐられることで生まれる快感は、今まで自慰で感じていた表面的な快感とは全然違う、体の奥底からわき出す様な深くて強い快感だった。そしてあれほど発情の苦しみを齎した子宮は貪欲にその快感を求め、月子を突き動かす。

ずっちゅ、ぶちゅぅ、ぐちゅ
「月子さん、激しいっ!!」
「私の体で…気持ちよくなって、くれ♡」
篤が何とか射精しないようにしていると、月子がポールダンスで行う様な腰の回転加えながらピストンを開始した。強烈な締め付けにより膣内の空気は極限まで締め出され、まるで真空の様な状態になっている。その状態でピストン運動を行い、亀頭のえらによって残りの空気が体外に放出された月子の膣はさらにきつく篤のペニスを締め付け、密着する。それはここまで奇跡的に持ちこたえた篤の我慢を簡単に打ち砕いた。
「月子さん、もう…もう!!!」
「中で…亀頭が震えてる♡我慢せずに、私の膣に出して♡」
「出る!!出ちゃう!!!」
「あ♡来たぁ♡」
びゅる…ドクッ、ドクン、ドクンッ…びゅ、びゅるぅ
今まで出した事の無い様な量の精液が月子の胎内に吐き出された。放たれた精液は激しく月子の子宮口を叩き、さらなる奥を目指して次々に吐き出されていく。それを受ける月子の子宮はそれを一滴も逃すまいと飲みこんでいく。お互いにこの瞬間だけは、この行為に全ての神経を集中させていた。

「腹が、熱い♡」
篤の射精が終わった事を確認するように何度か膣を締め付けた月子が幸せそうに腹部をさするのを見ながら、篤は今まで感じた事の無いような虚脱感に襲われていた。ここへ来るまでは頭の中を様々な思いが去来していたが今は非常にすっきりしている。今だけはこのだるさに身を任せていたかった。

「さて、それじゃあもう一回いってみようか♡」
「へ?」
だが、月子は舌なめずりをしながら衝撃の宣言をする。
「私の中でまだまだ硬く起っているんだから大丈夫だろう?」
「…。」
「私をメスにしてしまった責任を…夫になって償ってもおう♡」
そう言って細めた眼は爛々と光っていた。それはまさに獲物を捕え、喉元に食らいつき止めを刺そうとする虎の目だった。



本気になった虎に人間が敵うはずがない。

睨むだけで群獣を恐れさせるという虎威に睨まれ

生きて再び…大地を踏む事が出来るだろうかとぼんやりと頭の片隅に思いつつ

それよりももう一度、月子の耳を触りたいと左手をのばすが

月子の激しい腰使いが再開し

のばした手は耳に触れることなく空を掴むだけだった。








13/09/17 23:30更新 / 松崎 ノス
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■作者メッセージ
「耳はどこにいったんだ、この馬鹿。」
という皆さまからの声が聞こえてくる前にまずは謝罪を。
その通りの内容ですみません。

ただ、この話の大まかな部分を考えている時から思っていた事なんですが、インキュバスですらない生身の人間である篤が完全に発情した月子の勢いに逆らうなりいなすなりしてフェチの対象である耳に愛撫を施すというのがどうしても無理なのではないかと個人的に思ってしまいまして。それに耳の愛撫を本文に入れると、どうしてもイチャイチャ感が物凄く出て、月子が逆レイプしているといった描写がかすんでしまうんですよね(笑)。
ですので、かなり悩んだのですが、耳へのアプローチはほとんど削りました。

ただ、それでも色々と考えたシチュエーションや書いてみたい話があるので、あとがきとしてそれらを書いていこうと思います。

前半の時より耳関連の描写を楽しみにしていただいた皆さんには本当に申し訳ありませんが、もう少し待っていただけると助かります。

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