読切小説
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白と黒、合わせて紫
 私とお兄さまが出会ったのは、いつだっただろう。

 一年……二年……?それとも1ヶ月前?

 私は日付の感覚を忘れるくらい、カレンダーを見てません。

 今が何月なのかも分かりません。

 太陽も見てませんから、今が昼なのかも夜なのかも分かりません。

 私は目隠しをされているのです。

 腕を縛られて、長い時間。



「はぁ……ん、ん……♪」



 久々に真面目なことを考えると、私を取り囲んで犯している触手さまが、その思考を上書きすべく私の膣をまさぐる蔓を膨らませて刺激してきます。

 ねとねとした粘液を滴らせた無数の蔓が全身を舐めるように、粘液を塗りたくります。私の……アリスという魔物の体の、尻尾や翼、へその穴に至るまで、念入りに念入りに、触手さまはお兄さまの命令を忠実に遂行しています。

 幼い私の体ですら、触手さまは容赦がありません。

 お兄さま……

 お兄さまは、まだ帰って来ないのですか……?

 私は……

 私は貴方が欲しいのです。



「もういい」



 その声に、私は心と体を震わせました。

 触手さまは声に従って、腕に絡まるのと膣を貪るもの以外の蔓が、私から次々と離れていきます。



「ただいま。テルミア」



 私の頬に、温かくて、少し硬いものが触れました。

 その感触は、お兄さまの唇のそれ……



「ああ……お兄さま……おかえりなさいませ……♪私は、テルミアは……」

「ああ、分かるよ」



 まるで妊娠したかのように丸く膨れ上がった腹の表面を、お兄さまは撫でて言います。



「ちゃんと触手と仲良く、お留守番していたんだね。偉いぞ」



 お兄さまは私の目隠しを外します。



 その周囲の風景は、目隠しされる前に見た教室の風景とは違う、見渡す限り紫色が一色の、触手だらけの禍々しい森。しかし私はそんなことを気にも留めません。私はお兄さまを探します。

 そして私の視界に、お兄さまの凛々しいお顔がはっきりと見えました。

 その瞬間、私の子宮が激しく疼いて、とてつもない熱が私の脳に快感となって伝わります。



「んぅ……!か、はあぁっ!」



 私はイってしまいました。盛大に潮を噴くのと同時に腹の中の粘液が、蔓との結合部から少しだけ噴き出します。

 大好きなお兄さまの、その綺麗で素敵な目と私の目が合った、それだけで。

 イった。



「あぁ……はぁぁ……♪」



 羞恥心なんてものはありません。

 お兄さまの目の前で、私が淫らに潮を噴いてイく……なんて素敵なことでしょう。私の欲求はさらに燃え上がります。



「解放してやれ」



 触手さまは私を地面に下ろしました。結合している蔓は私の腕が解放されてから、ずずぅ、と抜けていきます。

 抜けた瞬間、触手さまが絶え間なく吐き出していた大量の粘液が、私の膣口から射精したように激しく溢れ出されます。



「嬉しい……お兄さまの愛が、やっと私にぶつけられるんですね……?」

「そこまで待ってくれていたなんて、男冥利に尽きるよ」



 お兄さまのズボンが下がり、下着が除かれると、私がずっと待っていたものが私の目の前に晒されます。立派に反って膨らんだ、逞しいお兄さまのおちんちん……

 花の蜜を求める蝶のように、目の前の肉を食おうとする狼のように、私は夢中になってそれに這い寄ります。

 お兄さまから漂うオスの匂いが私の脳髄を痺れさせる。

 頭の中が真っ白になっていく、気持ちのいい、開放的な気分。

 私は無我夢中になって、お兄さまのおちんちんを口一杯に頬張りました。




















 彼女がここまで淫靡そのものになったのは、何を隠そう原因は僕だった。

 僕のことを彼女が「お兄さま」と呼ぶようになったのも、彼女がアリスであるからでもあるが、彼女が魔物化する前にある人から頼まれて調教した結果だ。

 彼女は最初は人間だった。

 僕と彼女は、最初はクラスメイトの関係だった。

 僕は冴えない普通の男。

 彼女は完璧な能力を持つ美女。

 釣り合わない人間性を持っている僕らは、奇妙とも言える組み合わせだが、友達という関係を築いていた。



「ごめんテルミア。また……その、借りてもいいかな」

「しょうがないわね。ほら、貸してあげる」



 僕はよく、彼女のハンカチを借りていた。わざと忘れて、借りるのだ。

 当然僕は借りたハンカチは洗ってから返す。僕は常識を知っている。

 だが僕は洗う前に、1つあることをする。



「テルミア……テルミア……っ」



 17歳の僕は、思春期の真っ只中だった。

 故に僕は、彼女に、友情以上の感情を抱いていた。

 僕の手には、彼女の匂いがついたハンカチ。

 僕は夜な夜な、彼女の匂いで自慰に耽っていた。



「また……やった……」



 劣情。

 僕の、彼女に向けた感情は、まさにそれ。

 下劣な愛情。歪んだ欲。

 一通り欲を鎮めて正気に戻るたびに、僕は苦悩する。

 彼女が欲しい。たまらなく欲しい。全てにおいて優秀で、なんでも出来る彼女が好きで好きでどうしようもない。だがこの欲望は、彼女の人間性に惚れているのもそうだが、彼女の体欲しさという面も持っている。いや、もしかすると「人間性に惚れているの」は上っ面だけで、実際は彼女の体しか求めていないのかもしれない。



「ありがとう」



 そして僕は普段通りの顔をして、返すのだ。

 彼女は事情を何一つ知らず、《ちゃんと常識的に洗われて返却されたもの》として、「ありがとう」と笑ってそれを受けとる。

 騙し。

 騙り。

 僕は、自分自身に恐怖を覚えていた。


























「ん……はふ……ぐぽっ、じゅるぅ……」



 お兄さまの味は、現在する言葉で表せるものではありません。

 理解不能で、正体不明。

 舌が求めるのではなく、脳が求める味。

 私は嬉々として、お兄さまのおちんちんを、丁寧に愛撫します。



「一段と巧くなったな……テルミア……っ」

「当たり前です……んん、お兄さまを悦ばせることが、私のただ1つの生き甲斐ですから……♪」



 それだけではありません。

 私の愛撫の最中、お兄さまが時々見せる快楽に蕩けた顔を拝むのが、堪らなく好きなのです。しっかりと私の体で気持ち良くなっている証拠であるあの顔が、私を至福の気持ちにしてくれるのです。



「ぐ、う……ぁ!」



 いきなりお兄さまは体を仰け反らせ、おちんちんを口に含んでいる私の頭を掴んでぐいと押し付け、思い切り私の口のなかに精液を吐き出しました。長いお兄さまのおちんちんが喉にまで入り込んできます。

 ダマになっているほどの濃厚な大量の精液が私の体内に、まるで胃袋をも妊娠させようとしているのかというほど流れ込んできて……

 私は、なおも射精し続けるおちんちんを喉でしごきながら、射精が終わるまで飲み干しました。



「んはぁ、けほっ、けほっ……ご馳走さまです、お兄さま♪」



 私は冷めない興奮のまま、お兄さまに背を向けます。触手が絡まりあって出来ている壁に手をついてお尻を突き出すと、4本の触手さまの蔓が群がって私の四肢に絡み付き脚を開かせ、別に伸びてきた2本の蔓の先端が私のひくひくと疼く女性器をくぱぁと音を立てて開きます。



「さぁどうぞ……私の子宮を、お兄さまの子種で満たしてください……」

「あぁ……テルミアの大好きな、俺の精で思いっきり……汚してやるよ」


















 ある日のことだった。

 僕は用あって、普段より学校に遅く居残っていた。用を終えた頃には外は既に真っ暗になっていて、おそらく残っているのは僕だけだろう、学校はとにかく静かだった。僕はちょっとした好奇心半分に、ほとんど人のいない授業の時にしか使われない魔法実験棟を歩いている。

 廊下すら光の無い、まさに闇の空間を、僕は壁に手を当てて歩く。



「……?」



 音。

 こんな時間にこんな場所を歩いて教員に見つかったら怒られてしまうので、僕は靴を脱いで足音などの物音は最小限にしている。

 さっき微かに聞こえた音は、確かに物音なのだが、僕の音ではなかった。だが奇妙なのは足音や物から生じるそれではなく、まったく正体が分からない音だった。聞いたことが無い音だった。何かが軋むのに近い、音。

 誰かいるのか?

 とすれば何階だ?

 今僕がいるのは2階。魔法実験棟は地階無しで3階まである。

 僕はさらに気配を殺して、階段を降りる。

 また音が聞こえた。

 今度は、人の息遣いのような音。



「間違いない……誰かいるな」



 足に全神経を集中させ、1つ1つ教室の扉の小窓を覗く。

 進むたび、音が増えていく。

 大きくなるのではなく、増えていく。

 最初は軋む音。それから息、水音、人の微かな声……

 やがて音源が向こうにあるであろう、扉の前で僕は止まる。

 第二霊薬試験準備室。

 小窓はないが、確かに中に、人がいる。



「…………」



 僕の心臓は急に早鐘を打つ。

 嫌な予感というのを感じた。

 今まで感じてきた嫌な予感が全く生ぬるく思えるほどの。

 怖い。

 怖い?

 何が?

 僕は扉を指一本分開けて、中を覗く。



「  …… ……  、   ……」

「    。  ……    」



 話し声。

 複数の男の声の中、女の声がする。

 しゃがんでいる姿勢のためによく見えないが、数人の制服のズボンを履いた脚が数本、何かを取り囲むように並んでいる。その円の中心に、靴下も何も穿いていない生足が一対、机からだらりと垂れている。時々脚はピクリと微動している。



「なにをやってるんだ……?」



 僕はゆっくり立ち上がった。



「!?」



 驚愕。
 
 唖然。

 僕の頭は、その景色を前に、思考を忘れた。



「テ、ル……ミア……?」



 黒いテーブルの上に、テルミアがいた。机から垂れていた、あの脚の正体は、テルミアだった。彼女は全裸だった。全裸で、顔を赤らめて、体のあちこちがテカテカとしている。

 テルミアを取り囲んでいる脚の持ち主は、四人の男。一人は彼女と濃厚なキスをし、一人は彼女のやや小振りな胸を揉みしだき、一人は彼女のしなやかな体のあちこちを舐め回し、最後の一人は彼女の女性器を音を立てて指でかき回している。

 そして代わる代わる、男は彼女に覆い被さる。



「ふ……あ、はぁ……んっ」



 テルミアは声を発せず3人の愛撫を受け、男と舌を絡めている。

 艶かしい水音や荒い息遣いが、こちらの耳に伝播する。

 状況を理解しようと色々観察するうち、僕は、最も見たくないものを見た。

 テルミアの女性器から、透明な愛液に混じって、赤いものが見えたのだ。



「なんだよ……なにやってんだよ……」



 僕は膝から崩れ落ちた。

 泣けない。

 心の痛みが一周して、泣くことができない。

 分かりたくないのに、眼前の光景を、脳ははっきりと認識する。



「アイツは……純粋だった……っ!僕の思惑を全く疑わず、いつも笑顔で……なのに……っ!」



 これは被害妄想なのかもしれない。

 僕が勝手に彼女を純粋な存在にし、勝手に好意を持っていた。

 極度なまでの、片想いだったじゃないか。

 彼女は僕のイメージと正反対の存在だったのかもしれない。

 複数の男と、あろうことか学校で。

 だとしたら……認めるしかない。

 けれど。



「こんなの……認められるわけねぇだろっ!」



 僕は廊下にうずくまり、嗚咽を漏らした。



「どうしたらいい……どうすればいい……!」

「簡単なことよ。自分の嫁(モノ)にすればいいだけ」



 頭を上げる。

 窓の縁に、見慣れぬ人が座っていた。

 いや、人ではない。

 魔物だった。



「ま、魔物……!?」



 僕は立ち上がり、格闘の構えをとる。



「ここは反魔物国家で、この街には結界が張ってあるはずだぞ……どうやって入った……!」

「あの程度で防げると思ったのかしら……しかし、ふうん?結界という柵に閉じ籠ってるせいで、貴方、魔物の知識が薄いようね」



 魔物は白い尾をしなやかに振る。



「私に向かって拳を構えるなんて、この白い尻尾を見ての反応ではないわね。私がなんなのか、分かる?」

「魔物なんて全て同じだ……人を滅ぼす存在だってことは!」



 僕は魔物との距離を詰めるために強く1歩を踏み込む。



「面白くないわね」



 がくん。

 何かに脚を取られ、僕は体勢を崩す。見れば左脚が、闇を固めたような黒い縄で床に縫い付けられている。



「質問には、ちゃんと答えなきゃ」

「く……!」

「私はね、魔王の娘」



 左脚を縫い付けている黒い縄が、今度は僕の全身を床に縫い付けて動けなくする。

 全く手も足も出せなかった。

 魔物と戦うための学校に通ってきた2年間はなんだったのか。僕は屈辱に思った。



「私は、リリムって種族。まだママが王座についてまだ2年しか経ってないから、教科書には載ってないかもしれないけどね」

「……僕をどうする気だ」

「君は……んー、童貞みたいだし食べてあげてもいいけど……その前に、やることをやらなくちゃ」



 リリムは翼を小刻みに動かして浮遊し、ゆっくりと音もなく、テルミアの部屋の前へ。



「あの犯されちゃってる娘が、君の好きな娘ってところかしら?」

「ああ……あんな臭そうな男たちにだ」

「好色な人間ねえ」



 そそっちゃう、とリリムは舌を舐めずる。



「何するつもりだ」

「一応確認だけど、貴方、あの娘が欲しいのよね?」

「ああ」

「手助けしたげる」

「手助け?」

「あの娘が自分の思い通りにならないなら、調教すればいいのよ。私は、その仕上げをしてあげる」



 パチン、と指を鳴らすリリム。静かな廊下に響く音が消えた時、部屋の奥から困惑の声が聞こえる。



「え、え……?みんな、どこに……?」



 覗くと、テルミアを取り囲んでいた男達はどこにもいなかった。テルミアが一人、突然の出来事に戸惑って机の上であたふたとしている。



「あいつらをどこに……?」

「安心して。ちゃんと幸せな運命にご案内しただけだから」



 僕に向かって微笑むと、リリムは部屋の扉を全開にした。



「こんにちは。子猫ちゃん♪」

「!?」



 テルミアは連続的に発生した出来事に、大きく目を見開いた。

 なにせ目の前に、この学校にいるはずもない魔物がいるのだ。

 さらに彼女は魔物に対する知識が豊富だったようで、



「り、リリム……!?でも、なんで、どうして……」



 と言った。



「貴女は随分、少年くんと違って知識を持ってるのねぇ」

「しょうねん、くん……?」



 テルミアは僕の方を見た。そして、あぁ、と声を漏らして一筋の涙を流す。



「見てたの……?」

「うん、見てた」

「アルカ君……違うの。あれは……さっきの男たちに強要されて……」

「聞きたくない」



 僕は言う。



「僕は君が好きなんだ。病的というほどに、僕の頭の中はテルミアのことばかりだった。あのハンカチに付いたテルミアの匂いはとても良い匂いだった。テルミアの横顔は麗しくて、笑顔はとても可愛らしくて、性格はとても素直で、全て僕にとって最高だった。僕はね、テルミア。純粋な君が好きだったのさ」



 だけど。

 もう彼女は、純粋さの欠片も無い。

 でも……欲しい。

 彼女が欲しい。

 純粋でないなら、真っ黒にしてしまえば良い。

 リリムの言っていた調教で。

 純粋な白から、純粋な黒へ。



「 今からお前を犯す。さっきまで君に覆い被さっていた男を忘れて、僕だけを愛するように。犯して、苛めて、辱しめて……しつけてやる」

「あ、アルカ君……なに言ってるの……?」

「なに言ってるの、じゃないよ。君は、僕を裏切ったんだ。裏切り。嫌な言葉だよね。愛がない。僕はね、これから君に愛を教えてあげるんだ。分かる?」

「分かるわけ無いじゃない!」



 僕は声を荒げた彼女に飛びかかり、右手の手のひらで口を塞ぐ。

 激しく暴力的な行為。

 つい昨日までの僕は、こんな行為に強い嫌悪を抱いていた。しかしなぜか、今は『目の前の娘を手に入れる手段』であるこの行為が、とても素晴らしく思えてならなかった。

 後ろでこちらを眺めている、夢魔の囁きのせいかもしれない。

 押さえつけられている彼女の目は怯えきり、涙を浮かべて何かを叫ぶ。しかし口を塞がれている以上、言葉は僕には伝わらない。



「リリム。お前は、どう手伝ってくれるの?」

「私ができることは、その娘を魔物に変えること。貴方の希望に合う魔物に変えてあげるわ」

「そっか……なら、こんな魔物はいる?」



 僕は願った。



「とびっきり愛らしい、純粋無垢な魔物なんだけど」



 リリムは、くすくす、と不敵でいやらしく笑う。



「ええ、いるわよ。貴方の希望に合う、最高の無垢さを持った魔物がね……♪」



 それから数日、僕とテルミアはリリムに連れられて、禍々しい空気をただよわせた魔界で調教を施していった。

 まず、リリムの提案でテルミアには僕のことを『お兄さま』と呼ばせるように仕込む。

 それが済んだら触手の森で、快楽に対して肯定的になるまで徹底的に調教する。触手に混じって僕も、彼女を一日二桁の回数くらい犯していく。起きてるときは僕と、眠る最中は触手と。

 逆らえば普段以上に激しく、進歩すれば褒めるかわりに激しく交わる。

 魔界の魔力によって僕の体も少しずつ、魔物の夫になる準備が始まっていた。いくらテルミアを犯しても疲れることが無くなっていくのを感じる。



「あぁ、お兄さま……お兄さまぁ……!」




 20日ほどで、テルミアは僕のことを溺愛するようになった。

 僕が命令すれば股を開き、自ら性交を求めるようになった。命令しなくても、暇があれば彼女は僕の指で自分を慰め、発情しきった秘部を見せつけてこちらを誘ってくる。

 リリムはとろけきったテルミアを見て、ただただ、素晴らしいと評した。

 そして仕上げに、リリムはテルミアと交わった。二人が交わる光景は肉欲を掻き立てられるものだった。互いの体を密着させ合い、舌を蛇の交尾のように絡め合い、互いの秘部はぐっしょりと濡れて互いの愛液が泡立つほどに擦り合わせる……リリム自体の魔力のせいでもあると思うが、その交わりの中に自分も混ぜて欲しいと思ってしまうほどだった。

 興奮が高まりきったところで、リリムは自分の白い尻尾の先をテルミアの肛門に突き刺す。テルミアはそれすら感じるのか、甘い声を上げる。尻尾は少しずつ腸内に侵入し、尻尾のハート型の先端が半分ほどまで埋まった瞬間、テルミアの顔が一気に苦悶の表情に変わった。



「ふ、ぃ……あああっ!?」



 体をよじり、もがくように手足をばたつかせるテルミア。

 僕はすかさず、リリムのもとへ。



「お、おい!テルミアが、テルミアが……!」

「安心しなさい。本来であればこの魔界の魔力によって少しずつ魔物の体に変化していくのだけれど、このように直接体に魔力を注入すれば、体は一気に変化を始める。それは脆い人間の体にとっては苦痛でしょうね」



 テルミアは依然、苦痛による悲鳴をあげる。

 頭からねじれた角が少しずつ生え始め、背中からは悪魔の翼や尻尾が姿を見せ始めた。



「は、ぐ、うぅ……」



 悲鳴が治まる頃には、彼女の身長はかなり縮んでいた。150ほどあった身長が、120くらいに。そして立派な翼や尻尾、角がそれぞれ生えている。



「彼女はアリスに変えたわ」

「アリス……」

「あらゆる魔物の中でも最も人間に近い、そして最も魔物らしくない魔物。性についての知識は皆無、しかしサキュバスの仲間らしく男を誘う魔力を無意識に体から発している。彼女は常に処女であり、性交後は再び処女膜が再生して性交時の記憶が消滅する。ま、魔物化の前にあれだけ調教したから、夜の彼女は少し淫らな女の子になってるでしょうけどね。人間からアリスにすると、性交時にその名残が出るわ」

「つまり」



 永遠の無垢。

 完璧な白。

 それでいて……黒い。



「僕の理想と同じ……いや、それ以上だ……!」



 僕は歓喜に震えた。



「それで、彼女の記憶を消さない方法は?」

「簡単よ。交わり続ければいいの。膜を再生させなければいい」



 僕は居を構えた。

 僕が力尽きても彼女を犯し続けてくれる、触手の森に。





















 私が魔物に変わるあの時の感覚は、幼少期の頃に味わった骨折の痛みよりも、苦しい痛みでした。

 ただの苦痛。肉体的苦痛。

 それ以上に、心が壊れる苦痛がありました。

 私が私でなくなり、私が私になる。

 分からないと思いますが、実際、そんな感じでした。

 脱皮する。更新する。アップデート。



「んんぅ……ふぁ……う!」



 今私の膣を埋めているお兄さまのおちんちんを喜んで受け入れる肉体と心。

 すぐにでも孕みたいとお兄さまの精液もとい精子をねだる肉体と心。

 快楽を脳髄の奥の奥から欲する肉体と心。



「はぁ、はぁ、あうぅ……!」



 私は人ではなくなりました。

 人間であって、人ではない。

 ただ、全く後悔はしていません。

 幸せです。

 私は、幸せなんです。



「欲しいか……?欲しいか、テルミア……っ」

「ひゃい!ほしぃれす……おにいしゃまの、せーえきぃ……っ!」



 子宮がお兄さまのおちんちんで押し上げられる気持ちいい快楽に、私は本能のままに叫びました。

 絶頂に急ぐお兄さまの動きが、同時に私を絶頂へと誘います。



「くぅ……出、すぞぉ……!」



 お兄さまは唸り一際強く腰をぶつけると、ドクンとおちんちんが脈打って、勢いよく甘い精液を子宮に注いでくれました。



「ひゃうぅぅ!」

「くぅ……!」



 私も続いて絶頂し、膣いっぱいのおちんちんをさらに味わおうと、無意識に膣が圧力を増しておちんちんを責め立てます。おちんちんもそれに応えて、私の体を熱い精で満たしてくれます。

 お腹の奥からくる、温かい精の味と堪らない幸福感。



「はあぁ……お兄さまぁ……♪」



 射精し尽くしたおちんちんが抜けると、許容量を超えた精液が塊になって紫の地に落ちます。

 お兄さまは、頑張ったな、と私の頭を撫でます。

 そのままお兄さまは目隠しを私に施して、触手さまは私を蠢くベッドに寝かせます。。交わる前のように、両手を拘束するように絡み付いて、細い無数の蔓が私の体を愛撫します。

 これが私の睡眠の格好。

 お兄さまとの愛の記憶を消さないように。



「それじゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい……お兄さま♪」



 お兄さまの足音が聞こえなくなると、触手さまは私の下半身を丹念に愛撫します。



「ふふ、来てください……夜はまだまだ続きますから……♪」



 太い蔓が私の膣に侵入するのを意識して、私は目隠しの中で目を閉じました。

 満ち足りた幸福感を、子宮に感じながら。
15/01/18 20:27更新 / 祝詞

■作者メッセージ
 祝詞です。

 2月と言っといて、ちょっぴりフライングしました。

 執筆歴が2年と少し経ちますが、初めて魔物化を書きました。『魔物化好きの方々は魔物化の何にグッと来るのか』というのを魔物化好きでありながら深く考えたことがなく、改めてニーズを考えたり図鑑アンソロジーをよんで勉強しながら執筆したので、かなり難しかったです。

 そこそこ大人に近付いた女性(17)を淫乱なメスに調教した後にアリスに変えるという対極過ぎる変化で、なかなかの量の独自設定を加えてしまったことは反省です。話もイマイチな感じになってしまったので……もっと色んな作品を書いて、自分は何が向いているかを探したいと思います。目標はオススメされる作家になりたいです。

 どうしようも無い駄文書きですが、どうかよろしくお願いします

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