連載小説
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P-01
 次元の穴に落ちてしまったリアムは自分が雪の上にいるのだと理解した後、少し気が緩んでしまったのか安心感から彼は気絶してしまいました。

 ....そして、次に気がついたときには見えなくなった瞳にぼんやりと光が差し込んできたので、今は日が昇っているのだとリアムは気がつきました。

 とりあえず手探りでもここから動かなければと思ったリアムでしたがそのとき足に異変を感じ痛みから立ち上がることができず困惑していたリアムでしたが、落ち着いてよくよく考えてみれば彼自身には自覚はないものの次元の穴を通ったとはいえかなりの高さから落ちてしまったことからリアムは足を折ってしまったのだという結論に行き着きました。

 そうして完全に自分では何もできなくなってしまったリアムでしたが、あるとき見知らぬ女性....いや、魔物娘が彼の近くを偶然にも通りかかったのでした....




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 ....この場所に落ちてからのこと、少しの間僕は混乱していたんだ。

 さっきまで塹壕に居たはずなのに爆発で抉れた穴を通り抜けたらそこは雪が降っていたんだからね、驚きもするよ....

 それでなんとか少しだけ残っていた視力で日が昇っていることに気がついたから立ち上がって周囲を歩こうとしたんだけど足が折れているようでうまく立ち上がれなくて....そうしていると突然どこからか声をかけられたんだ。

 「だ、大丈夫ですか?」

 でもその人は声を聞く限り女性であるということが分かって僕は少したじろいでしまって、あのときのことを思い出してしまってさ....

 「あっ....ごめんなさい、いきなりではびっくりしてしまいますよね....」

 でもどうやら僕がたじろいだのは声をいきなりかけてしまったからだと思ったのか彼女はそう勘違いしてしまっていたんだ。だから目が見えないことを伝えて....

 「い、いや...僕、目が見えなくなってしまって、それで突然何かが近づいてきたものですから....」

 「えっ!それは大変ですよ....はやく手当をしないと、治らないものでもありませんから。とりあえず私の家で休んで行ってください、ここではいずれ凍えてしまって傷の具合が悪くなっちゃいますから...」

 そう言うと僕に手を差し出してきてくれたんだけど....

 「あっ....ごめんなさい、足も折ってしまっていて立てないんです....」

 「重傷じゃないですか!....何があったのかは今は聞きませんけど無理はしちゃ駄目ですからね....とりあえず抱き抱えますよ。」

 「だ、大丈夫ですからそんなことをなさらなくても....」

 「怪我人を放ってなんかいれられません!」

 僕は迷惑になってしまうし、それに女性が怖いっていうこともあって断ろうとしたんだけど押し切られてしまって....結局お姫様抱っこの形で彼女の家まで連れていかれたんだ。

 ....それにしても男を抱えあげられるほどとはかなり力のある女性なんだな。




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 今日は朝からすごいことがありました....普段通りにお仕事先へ向かおうと教会の前を通ったら路地裏に酷い怪我をした男性が雪に埋れかけているだなんて....

 最初のうちは怪我をしている彼を放っておけなくて、それで一時的にでも私の家に来てもらって応急処置だけでもしようとしただけだったんですけど....

 ....あの彼の濁りきってなにも映さなくなってしまった瞳をふと見たときに私の中の母性がなんだか刺激されてしまって、疲れ切った彼を救ってあげたい、守ってあげたい....幸せにしてあげたいと思ったんです。

 なのでとりあえず家についてから知り合いのダークプリーストさんに来てもらって目の治療をしてもらい、その後からでも落ち着いてから彼に何があったのか直接聞いてみようと思いました....




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 あの後彼女に運ばれた僕は家らしきところに彼女が辿り着くと、ベッドのような質感の台の上に上着を脱がしてくれてからそこに横にしてくれた。

 それで友人を呼んできますから、と言って一旦彼女が家から出て、しばらくするともう1人の女性の声と共に彼女が戻ってきて....

 「今から治療致しますから顔に少しだけ手をかざさせていただきますね....」

 さっきの彼女ではないもう1人の女性がそう言うと確かに光が目に差し込まなくなり、彼女が僕の目の上に手をかざしていることがわかったんだ。

 そうして少し目に気持ち良さを感じながら自然に瞼を閉じて待っているとじわじわと暖かくなりはじめ、気がつくと治療は終わったのか暖かさを段々と感じなくなった。

 そうして目をもう一度開けてみるとぼやけていた視界が徐々に鮮明になっていって、以前よりは見えないけども何があるのかを確認できるほどには視力が回復したのさ。

 「どう...でしょうか、見えるようになりましたかね....?」

 隣からもう1人の女性の声が再び聞こえたので首を横に向けるとそこには修道服を着た緑色の髪の女性と鎧?のような物を纏った白色の髪の女性が居て、見たこともないぐらいどちらとも現実離れした美しい見た目をしていたんだ。

 「あ....はい、見えるようになりました.....すみません、ありがとうございます。」

 「それは良かったです....目が見えなくなってしまうというのはとても辛いことですから、お力添えできて私も嬉しいです。それと目の方だけでなく足の方も処置をしておきましたから、安静にしていればこちらも治るはずです。」

 「....そうですか。」

 「それでは、お大事になさってくださいね....」

 そう言うと修道服を着た彼女は立ち上がるともう1人の女性、鎧を着た彼女になにかを少し話した後家から出て行った。そして今度は鎧を着た女性がこちらに来て

 「....これで治療は終わりましたから安静にして傷の治りを少しでも早くしましょうね。それで....すぐそばにいて看病をしたいんですけど、これからお仕事があってそれができないんです....ごめんなさい。」

 「いえ、治療して下さっていただいただけでも既にお返ししきれないほど感謝していますし....安静にしていることなら僕にもできますから、安心してお仕事に行ってらしてください。」

 「そう、ですか....では夕方には帰ってくるのでそれまでゆっくり休んでくださいね。」

 それを最後に彼女も家から出て行き、1人になった僕は夕方までどうしようかと思ったけど動くことが満足にできないし傷に響くといけないからね、仕方なく寝ることにしたのさ....




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 ....それからベッドで寝た僕はかなり深く眠ったようで夢を見たんだ。

 その夢は死んでしまったはずのジョンが出てくるというもので、僕とジョンが向かい合って無人地帯に立っていて....

 最初のうちはジョンは普段通りの微笑みを浮かべていて、僕もそれにつられて微笑んでいたんだけど、あるときを境に突然ジョンの顔から微笑みが消えて表情というものがなくなって、さっきまでの表情とは真逆に怒りを露わにした顔つきになったんだ....

 それに驚いた僕はぬかるんだ泥水に尻餅をついてしまったけどもそれどころじゃなくて....ジョンの顔や体からどんどん皮膚が剥がれ落ちていくんだ。

 そうして肉が剥き出しになって骨が見えてこようともジョンは口を動かして永遠に僕に向かってこういうんだ、お前のせいで死んだ....お前が殺した、お前が殺した、お前が殺したって....

 それで気がついたときには血まみれになった手でジョンが僕の首を掴んで絞め殺そうとしてきて....恐怖ですくんで今まで声が出せなかったけれどそのときは命の危機を感じて、叫ぼうとした瞬間に体が抱きつかれる感覚がして夢から覚めたんだ....




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 ....朝の出来事からしばらくして、お仕事を済ませた私は彼に伝えた通りに夕方近くに家へ辿り着いてドアを開けようとすると呻き声のような彼の声が聞こえてきたんです。

 それで危機感を覚えた私は慌てて部屋の中に入るとそこにはベッドの上で呻くようにひたすらに誰かの名前を呼び続けながら許しを乞う彼が寝ていました....

 「許してくれ...ジョン....許してくれ....君を助けられなかった僕を許してくれ....」

 「ッ!大丈夫ですか!起きてください!」

 そう言って私が彼に駆け寄ると彼の声はさっきよりも強くなって....

 「ああっ!、ジョン!やめてくれ、痛い、いたいよ!お願いだ殺さないでくれ...うぐっ....」

 「大丈夫です....大丈夫ですから、落ち着いてください....」

 ....そう言って私は彼を抱きしめながら優しく声をかけるとようやく気がついてくれたようでした。

 「あれ、ここは.....そうだ僕は、さっきまで....何を....」

 「さっきまで貴方はうなされていたんです....その様子だと何か悪い夢を見てしまったんですね....?」

 そうして彼が上半身を起き上がらせるとその拍子にシャツのポケットから何かが飛び出てきました、それは小さい鉄でできたメダルのようなもので....血がこびりついていました。

 「これは.....血!?」

 それを見て驚いていると彼はそれを無理矢理私から取り上げて

 「や、やめてください....大切なものなんです、これは。」

 「ああっ....ごめんなさい、勝手に触ってしまって....」

 「....良いんですよ、落としてしまった僕もいけないですし...」

 「で、でも血が付いているってことは....もしかして...」

 「....死んだ友人の形見なんです。」

 「....そうだったんですか。」

 それから彼はそのメダルの持ち主のこととその人物が先ほどの悪夢に関係があることを教えてくれました....友人の方がなぜ死んでしまったのかも....

 「....確かに彼は、ジョンは敵の爆弾でやられてしまったけども完全な致命傷じゃなかったんだ。だから、だから僕がもっとしっかりと手当できていれば生きていたかもしれないんだ....こんなんじゃ僕が殺したも同然ですよね、僕が殺してしまった....」

 「....違いますよ、貴方は彼を殺してなんかいません。だって、だって貴方は怪我をしてしまった彼を自分ができる限りのことをして助けようとしたんですから....貴方は何も悪くはありませんよ。だから、自分を責めないでください....」

 「....責めてなんかいませんよ。ただ、ただ目の前にある命さえも救えない自分が不甲斐なくて....どうしようもないですよね。」

 そういう彼は何処か遠いところを見ていました....

 「....そういえば色々とあってお名前を聞くのを忘れていましたね、遅れちゃいましたけどデュラハンのシルヴィアです、よろしくおねがいしますね。

 「....リアムです。こちらこそ言い忘れていました、ごめんなさい...」

 「いえ、良いんですよ。私も忘れていたことですし....」

 そう言って彼は名前を教えてくれました。リアム...勇敢な守護者という意味です。でも彼はそれ故に誰かを守れないことがあると負い目に感じてしまっているようでした...

 「...そういえば食べることはできそうですか?一応食事を用意しようと思ったんですけど....」

 「ごめんなさい、食べられるほど体調が良くなくて....」

 「そう、ですか....では今日はもう寝ましょうか、怪我にも悪いですからね....」

 「シルヴィアさんは食べなくて良いんですか?」

 「私は食べ物を食べなくても問題はありませんから....」

 「駄目ですよ...人は誰でも食事をしないといけないのに....」

 「.....?私はアンデッドという種族なので食事は大丈夫なんです。」

 「....アンデッド?」

 ここでようやくわかったことでしたが彼は魔物というものを知らないようでした。

 確かにリアムさんが着ている服はこちらではあまり見かけないもので、武器のような物も不思議な形をしていて....この世界とは別の世界から来たと言われても信じる要素しかありませんでした....

 「....ということは僕は違う世界に来てしまったんですね。」

 この世界のことをあらかた伝えるとリアムさんはそう言って今置かれている状況を把握していました。

 「....これから色々としなければならないことがあるかもしれませんが、今は私の家で怪我を治すことを優先してくださいね....」

 「わかりました.....」

 そうリアムさんが言った後、この日はお互いにもう寝ることにして明日に備えることにしました。けれど、朝目覚めた時に彼の姿は何処にもありませんでした....




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 ....あの悪夢を見た後、彼女、シルヴィアさんと会話をしていたなかで僕は今までいた世界とは全く違う世界へと来たことを知ったんだ。

 どうやらこの世界には人間という種族だけでなく魔物と呼ばれる様々な種族がいるということを教えてくれた。そしてシルヴィアさんはデュラハンだということを。

 シルヴィアさんは女性型のデュラハン?なので首がついていて姿形は人間とほとんど変わらない見た目だったけれど、そうでない種族もいるのだという。

 ....けれど僕が苦手な女性であるということは変わらない。

 今でも女性を見るたびに、シルヴィアさんの声を初めて聞いた時や顔を見たときもそうだったけれどもいつ殺されるかわかったものじゃない。

 そう、あのときのように刺し殺さかけて荷物を取られるか気が気でないんだ。

 ....だから恩を仇で返すような形になってしまうけど、僕は怪我があまり治ってはいない足を無理矢理動かして荷物をまとめて背負い、ふらつきながらも銃を杖にしながらシルヴィアさんの家を出て行ったのさ...行くあてはないけどね。




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 こうしてリアムは治療中であるもののシルヴィアの家から無理矢理出て行きました。

 けれどリアムには行くあては何処にもありません....なので彼は以前と同じように適当に見つけた街で腰を落ち着かせることにしました。

 誰とも関わらずに済むような場所で静かに暮らすために....




20/03/16 23:39更新 / はぐれデュラハン
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■作者メッセージ
前回投稿者メッセージに誤字がありました。ご報告ありがとうございます。
そして今回は前回と比べて文字数が少なくなりましたが前回はさわりの部分で
あることから長くなってしまったということもあり通常はこの量で書くことに
決めています。更新速度は遅くなってしまいますがお暇であれば見ていただけると
とてもありがたいです。

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