読切小説
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ゴブドラ超おっぱい
 森には様々な動物と、それに匹敵する数の魔物娘たちが住んでいる。
 ある森の奥深く。旅人や冒険者の間でのみ知られている街道のそばにある洞窟。
 そこには、小さなゴブリンの群れが住んでいた。
 彼女たちは、街道を通る旅人たちを見ると「通行料をよこせ!」と立ちふさがり、食料をもらって生活していた。
 群れといってもたったの五人。一人につきパンの一つや二つをあげれば、彼女たちはそれで満足なので、最近では最初から彼女たちのためにわざわざ食料を用意してくれる者も現れている。
 旅人が来ない日は、木の実を採ったり、獣を狩ったりと、その日暮らしを送っている。
 そんな平々凡々とした彼女たちの生活を一変させる出来事が発生した。

「おやぶーん!親分!大変です!」
 今日の朝番、子分のゴブリンであるモモリンが、親分であるホブゴブリンのママリンをたたき起こした。
「ふぇ……?もうお昼ご飯?」
 ママリンが眠い目をこすってのっそりと起き上がる。
――ぶるん
 ホブゴブリン特有の、大きな乳房がずしりと揺れる。
「はぁ、いつ見ても親分のおっぱいでっけぇ……じゃなくて!」
 群れの自慢のおっぱいを眺めて感嘆の声を上げていたモモリンだったが、すぐに頭を振って邪念を吹き飛ばす。
「親分!外に、外にでっかいおっぱいが!」

「おお……でかい……」
「ふかふかだぁ……」
「背もでかいですねぇ」
 ママリンとモモリンが現場に行くと、そこにはすでに群れの残りのゴブリン、ミミリン・ムムリン・メメリンの三人がいた。
 彼女たちは何かを取り囲むように立ち、下を見つめて口々に「でっけぇ、でっけぇ」とつぶやいている。
「みんなぁ、何を見つけたのぉ?」
 取り囲む子分の間から頭を入れて親分は言う。
 覗き込むと、そこには一人の女性が倒れていた。
 子分たちが溜息を漏らすのもうなずける巨乳。
 間隔を置いて胸が膨らんだりへこんだりしているので、呼吸している、つまりまだ生きていることが分かる。
 ただ、ゴブリンたちがこれだけ騒いでいるのに起きないところから察するに、気絶しているのだろう。
 おっぱいの次に目に入るのは、緑色の鱗に覆われた大きな手足。
 そして、同じく緑色の翼と長い尻尾。ドラゴンである。
 肩から肘の間、そして顔や太もものような、人間の肌が露出している部分には、細かい引っかき傷がいくつもついていた。
 ドラゴンの真上には、枝が折れた跡がいくつも残っている。
 何らかの理由で、このドラゴンは森の中へ墜落してしまったのだろう。
「うーん、どうする?」
 ママリンが相変わらずのんびりとした口調でたずねた。
「おっぱいが大きい子に悪いことしちゃいけないです!親分、家に運びましょう!」

 ゴブリンは力持ちなので、難なく洞窟までドラゴンを運ぶことができた。
「んっ……んん?」
 平らな岩と藁でできた簡素なベッド。その上に横たえられていたドラゴンが目を開けた。
「おやぶーん!起きましたよー!」
 彼女の様子を見守っていた子分たちが、ママリンを呼び寄せる。
「もぐ……もぐ……ん?」
 保存食である干し肉を口に含みながら、ママリンが答えた。
 旅人が来なかった上、子分はドラゴンのおっぱいに夢中だったため、今日のご飯が確保できなかったのである。
「肉を食べて育つおっぱい……ごくり……じゃなくて!」
 モモリンがまたも頭を振って邪念を払い落とす。
「え……あ……」
 状況を理解できないドラゴンが、とまどいの声を上げた。
「えっと……お前たちは?」
「ここはゴブリンの家です。あなたは、ここのすぐ近くで倒れていて、私たちが家に連れて行って看病してました」
 群れの中で一番頭のいいメメリンが、ドラゴンに簡単に今の状態を説明した。
「そうか……私は落ちたのか」
 うーん……と、ドラゴンは目を閉じうなる。
「どうしてあんなところで倒れてたの?」
 一番年下のモモリンが、何とも不躾な質問を投げかける。
「あ、ああ。空を飛んでたら突風にあおられてな。バランスを崩して堕ちてしまったみたいだ」
 照れくさそうに彼女は頬をかいた。
「ああ、そうかぁ、ドラゴンって空飛べるんだよなぁ」
「すっごいなぁ」
「おっぱいだけじゃなくて、羽も尻尾も大きいですからねぇ」
「そ、そうか?」
 単純な性格であるがゆえの、偽りのない本心でほめるゴブリンたちの言葉に、ドラゴンは照れくさそうに笑った。
「むむむ……」
 面白くないのは親分であるママリンである。
 さっきまであんなに自分を慕っていた子分たちが、今やドラゴンのおっぱいに釘付けなのである。
 (もしかしたら、群れを追い出されて、あのドラゴンを新しいリーダーにするのかも)という、被害妄想にも似た焦りが彼女の中に生まれたのである。
「そ、そ、そ……そこのドラゴンっ!」
 切り株の椅子から立ち上がり、ママリンが叫んだ。
 あっけに取られる子分たち。
「親分、どうしたんですか?」
「お、お、お前たちは黙っていなさいっ!」
 ママリンがそんな声をぴしゃりと抑える。
 今まで出したことのない、真剣な声色を聞いて、子分たちは口を閉ざして黙り込んだ。
 モモリンは思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。
「何だい?一応、私にはメイスという名前があるのだが」
 何故ママリンがそんなに怒っているのか分からないという表情で、ドラゴンのメイスが言った。
「わ、わ、私と!おっぱい勝負しなさいっ!」
 腕を組み、仁王立ちで叫ぶママリン。
 組まれた腕の上に、おっぱいがのっしりと乗っかっている。
「は?」
 それ以外が事態を飲み込めず、呆けた声を出してしまった。
「親分、干し肉にあたったんですか?いきなりわけの分からないこと言って……」
 心底呆れた表情で、ミミリンがつぶやく。
「うるさいうるさいうるさーい!どうせ私にリーダーの素質がないから、そのドラゴンに鞍替えするつもりでしょ!?」
 腕を振り回し、駄々をこねる子供のようにわめくママリン。
「だかだからだからー!どっちが本当にすごいおっぱいなのか、私と勝負しなさーい!」
 さらにぐるぐると腕を回し、彼女はわめきたてる。
「メイスさん、どうします?」
 子分の一人であるムムリンが、メイスに言った。申し訳なさそうにうつむいている。
「親分、あんな風になると人の話を全く聞かないんですよ……」
 続けてメメリンも言った。
「うーん……まあ、お前らは命の恩人だしなぁ……しょうがないなぁ……」
 そう言って、メイスはのっそりとベッドから降りた。
「あれ、もう大丈夫なの?」
 モモリンが首をかしげてたずねた。
「ああ、軽い打撲と擦り傷程度だったからな。もう大丈夫だよ」
 ゆっくりと立ち上がり、メイスは首と肩を交互に回し、骨を鳴らした。

「まあ、そういうわけがあってな」
「さあ、どっちからやるんですか!?私?それともメイスさん?」
 街道のすぐ脇の藪の中。
 たまたまこの街道を通っていた商人キンドは、突然ゴブリンの群れに襲われ、この藪の中に連れ込まれた。
 そして、一瞬の内にホブゴブリンとドラゴンに圧し掛かられたのである。
 魔物の中でもとびきり力持ちの二種である。人間ではとても逃れることができない。
「え、え……つまり、どういうこと?」
 いまだに状況をうまく飲み込めないキンドが、力なくつぶやいた。
「もう、まだ分からないんですか?あんなに分かりやすく説明したのにぃ……キンドさん、頭悪いって言われません?」
 自分のことを完全に棚に上げて、ママリンが頬を膨らませた。
「いや、お前ほどじゃあないんだがな……」
 思わずキンドが言い返す。
 キンドと彼女たちゴブリン団は、顔見知りの仲である。
 彼はこの街道でつながれている二つの街を往復しながら商品を売っている商人なので、頻繁にこの道を利用するのだ。
 そして、毎回「通行料をよこせー」と通せんぼしてくる彼女たちをうまくあしらうために、毎回律儀にお菓子をあげているのだ。
 今回はそれが災いした。
 「彼ならおっぱい対決に一番ふさわしい」と、ゴブリン団の満場一致でこの奇妙な対決の審査員をやらされることになってしまったのだ。
「要するにだな。ママリンのおっぱいと私のおっぱい、どっちが気持ちいいか、お前が選んでくれってことだな」
 メイスは、先生が教え子に物を教えるようなゆったりとした口調で言った。
「まあ、タダで気持ちよくなれるんだから、運がよかったと思って楽しもうな」
 そう言うと、メイスは鼻歌を歌いながら、キンドのズボンをするりと脱がせた。
 「しょうがないな」と言いながらも、彼女は割りと楽しんでいるようだ。
「ひゃっ」
 股間が外気にさらされたことによる突然の冷たさに、彼は間抜けな声を上げてしまった。
「うーん……中々のイチモツじゃないか」
 ズボンから飛び出したキンドのペニスを眺め、メイスは嬉しそうに言った。
「キンドさんひどいじゃないですかー。こんなすごいの隠してたなんて!」
 ママリンも思わず声を漏らす。
 子分のゴブリンも「すげー」「でっけぇ」「魔羅ですよ魔羅」と、口々にはやし立てる。
 ぼろんとこぼれた彼のペニスは、通常の男子のものよりも1.5倍はあろうかという巨根であった。
 長さだけでなく、太さも一級品。
「うぅ……恥ずかしいから見るなよ……」
 顔を真っ赤に染め、キンドは抗議する。手で股間を隠そうとするが、メイスに手首を握られ頭の上で固定されているので、それは叶わない。
「何だ、お前、もしかしてこういうの初めてか?」
 意外とでもいうように目を大きく開き、メイスがたずねる。キンドは小さくうなずいた。
「ふーん。そうなのか。見たところもう青年と言っていい顔立ちだから、一人や二人は経験していてもおかしくないと思ったんだがな」
 遠慮のない彼女の言葉に、心の傷をえぐられたキンドは目を潤ませる。
「おお、すまん……だが、もったいないなぁ。こんな大きなペニスがいまだ未使用だなんて……」
 またも彼女は股間を食い入るように見つめ、何度も「もったいない、もったいない」とつぶやく。
「で、どっちが先なんですか?」
 事態の膠着に耐えかねたママリンが言った。
「うむ、じゃあ、私が先でいいか?」
 彼女の方に向き直り、メイスが提案する。
「どうぞー。ふふん、強者の余裕で先攻はゆずりますよー」
 なぜか自信たっぷりのママリンが、手のひらを上に向けて言う。「どうぞ」というジェスチャーなのだろう。

「よし、じゃあ、遠慮なく……」
 気合を入れるために一息吸うと、メイスはおもむろに胸を覆っている布を剥ぎ取った。
「おおう……」
 キンドがため息ともつかない声を漏らした。
 見事なメイスの美乳。ママリンに大きさは敵わないが、程よく育った形のいいおっぱいであった。
 脂肪を溜め込んでおきながら、重力に逆らうように垂れないバスト。
 それが剥ぎ取られる布に引っかかり、大きく揺れて彼の視線にさらされた。
「自分で言うのもなんだが、なかなかいいおっぱいだと思うんだ、どうかな?」
 彼女は自分の両手でそれぞれの乳房を持ち上げ、ゆっくりと揺らしながら問いかける。
 彼はそれに答える代わりに、大きな音を立て唾を飲み込んだ。
「ふむ、第一次審査は通過ってことだな……じゃあ、第二次審査だな」
 両手で乳房を広げると、キンドの股間をその谷間に押し付けた。
「じゃあ、挟むからな……」
 メイスはゆっくりと乳房の隙間を狭めた。
「うわぁ……」
 包み込むような温もりに、キンドはため息を漏らした。
「気持ちいいか?ほら、私の心臓の鼓動が、お前のペニスに伝わるだろう?」
 メイスはふふっと優しげに笑う。
「はっ、はいぃ……」
 キンドは弱弱しく声を震わせ、小さく何度もうなずいた。
「それで、私のおっぱい、どんな感じだ?ほら、審査員なんだから、解説しておくれよ」
 肘と手首の間の部分で、おっぱいを両側からぎゅっと挟み、急かすように問いかける。
「えっ、あっ……あぅぅ。谷間が汗でしっとりしててぇ……おっぱいは柔らかくてぇ……うぅっ」
「他には?他にはどうだい?」
 興味津々とばかりに、さらに乳圧を高めて彼女は言う。
「あー、えぇっとぉ……思ったより……優しい感触ですぅ」
 キンドは息を荒げる。
「メイスさんって、気が強そうな顔なのに……おっぱいの中は、ぐうっ、とっても温かくて……優しく包み込んでくれて……」
「そ、そうか?」
 ぱっと彼女の顔が輝く。
 山の上の住処にいたころ、彼女はいつも恐れられていた。
 人々は彼女に恐れおののき、彼女を避けていった。
 住処にやってくるのは、討伐に来た冒険者のみ。
 人に「優しい」と言われたことなんて、一度もなかった。
 人間に危害をくわえるつもりは一切無いのに。
 確かに、冒険者たちをこてんぱんにやっつけた。
 しかし、それは自らの身を守るためであるし、今まで一人も殺すことはなかった。
 彼女はとにかく寂しかった。人のぬくもりを感じたかった。
 そして今、キンドに生まれて初めて「優しい」と言われた。「温かい」とも言ってくれた。
 現在、彼は息を荒げ、彼の分身は苦しそうにしている。
 「早く射精したい、楽になりたい」と、先っぽから粘っこい涙を流して懇願しているように思えた。
――今、楽にしてやるからな……
 可愛い子供をあやすように、メイスは彼の苦しそうなペニスに、心の中でささやいてあげた。
「ちょっと待ってろよ」
 そう言うと、彼女は谷間の上に右手の指を持っていった。
 どろり。
 指先から、粘り気のある透明の液体が流れ落ちる。
「ドラゴンは、水の化身でもあるからな。液体操作はお手の物さ」
 粘液は谷間へと落ち、満たされる。
「それじゃあ、動かすぞ」
 にっこりと微笑んで、メイスは両手で包み込むようにした乳房を、上下にゆっくりと動かした。
「ううっ、くぅっ!」
 キンドはすぐにうめき声を上げる。
 始めは粘液の冷たさに対して。しかし、すぐに両者の熱でそれは温まり、次に湧いてくるのは快楽のうめき。
 快楽にゆがむ彼の表情を、メイスは慈愛に満ちた表情で見つめていた。
 そこからは、人々を恐怖に落とし込むドラゴンの面影も、威厳も、一切ない。
 存在するのは、ただ目の前の男を気持ちよくしてあげたいという、奉仕の精神のみ。
 ぐちゅっ、ぬちゅっ……
 ねちっこい音が響く。
「メイスさんすごい……」
「いやらしい音だなぁ」
 観客のゴブリンたちが、固唾を呑んで見守る。
「むむぅ、なかなかやりますねぇ」
 ママリンがうなる。
「はぁっ、はぁっ……う、うぅっ!もう、だめ……です」
 か細い声を上げると、キンドの腰が小さく震えた。
「ん?出るか?射精するのか?いいぞ。我慢するなよ。思いっきり、私の口目掛けて発射していいんだからな」
 乳房を上下させるスピードを上げる。おっぱいが下に行くと、苦しそうに真っ赤に腫れ上がった亀頭が顔を覗かせる。
 メイスは、尿道の先、精液が発射されたら届くであろう角度に合わせて、大きく口を開けた。
「うぅっ、くぅぅっ!」
 彼はうなり声を上げ、本日一発目の精液を、盛大に発射した。
「んんっ、んうぅっ」
 彼女は目を閉じ、こってりとしたそれを、全て口の中に収める。
「うわっ、わぁ……」
 あまりの勢いに、周りのゴブリンたちも思わず感嘆の声を上げてしまった。
 びゅっ、びゅぅ……
 キンドの腰が二度、三度震え、そのたびに出遅れた精液が力なく漏れ出る。
「ちゅるっ、くちゅっ、くちっ……ごくっ。ぷあっ、すごいなぁ、お前。ちんぽもすごけりゃザーメンもすごいぞ」
 声を漏らしてメイスは笑い、彼のだらしなく震えるペニス、その先っぽに舌を這わせた。
「綺麗にしてやるからな」
「うっ、くっ……」
 射精したばかりのペニスは、限りなく優しい刺激にも敏感に反応した。
 舌が残った精液をなめとるたび、キンドの背筋にぞわぞわとした快感が流れる。
「くくっ、ちょっとは辛抱しないか」
「あうぅ、すいません……」
 彼女は彼に注意したが、怒っているわけではない。
「うん、これで綺麗になったかな?」
 赤い舌を引っ込めて、彼女はつぶやいた。
 汚れがないかを確認するように、いまだ勃起が収まっていないペニスを眺めている。
 ちゅっ。
 汚れが綺麗になくなったことを確認すると、彼女は亀頭の先端にキスをした。
「くぅっ」
 予想外の刺激にびっくりした彼が、思わず彼女の瞳を見てしまう。
 メイスの瞳は、発情した一匹の獣を思わせる、情欲に満ちたものであった。
 まだまだ満足していないということが、ありありと見て取れた。
 沈黙したまま、二人は見つめ合う。

「それじゃあ、次は私ですねー」
 それを破ったのは、場違いなほどのんびりとした声であった。
 選考会のもう一人の立候補者、ママリンである。
 待ちきれなかったのであろう、彼女はすでに上半身のチューブトップを脱ぎ放ち、トップレスとなっていた。
「私のおっぱいはどうですかぁ?」
 腕を背中側に回し、胸を突き出して巨乳を強調する。
 ママリンのバストは、彼女が自慢するのもうなずけるほどの大きさであった。
 現代の基準でいうならば、GかHカップであろう巨大なバスト。
 二つの大きな脂肪袋は、重力に引かれて垂れていた。
 メイスの張りのある、重力を忘れたようなバストとは対照的である。
 ママリンのゆるい性格を体現したかのような、柔らかそうで包み込まれたくなるようなおっぱいであった。
「んふふ、見てます見てますねぇ」
 キンドの刺すような視線に満足そうな笑いを漏らし、両手でおっぱいを持ち上げた。
「それじゃあ、私はメイスさんにはできないパイズリをしてあげますねぇ」
 みんな、キンドさんを立たせてあげてと彼女が言うと、子分たちは素早く言われた通りに彼を立たせ、近くの木に背中を預けさせた。
「親分にパイズリされるなんて、キンド幸せものだなぁ」
「親分のおっぱい攻撃、ありがたく受け取れよー」
 子分たちがはやし立てる。
「うふふふふ」
 彼女は含み笑いを漏らし、彼のペニスを自らのバストの谷間に割り入らせた。
 彼女の上半身と、彼のペニスがちょうど垂直の角度になるように。
「どうですかぁ?私の縦パイズリは。こんなの、メイスさんにはできないでしょう?」
 本当に嬉しそうに、彼女は微笑んだ。
 じゅるぅ……とんっ
 根元までペニスを入れると、ちょうど亀頭の先が彼女の胸板に届いた。
「うっ」
 固い胸板が亀頭を押しつぶす刺激に、キンドはうめき声を漏らした。
「じゃあ、動かしますよぉ……」
 ママリンが上半身を前後させ、ペニスをしごく。
「うっ、うぅっ」
 メイスのパイズリよりも、さらに優しい刺激。
 彼女のおっぱいは、ペニスの形にまるでオーダーメイドのようにぴったりとまとわりつき、少しの隙間もなく貼りついてくる。
 肌と肌が触れ合う刺激と、温かい体温。そして、奥まで招きいれたときに、彼の両太ももの付け根に当たる、固くなった乳首の感触。
「はぁ、はぁ……」
 夢中で動かすうちに、ママリンの息が少しずつ荒くなっていく。
 第二の女性器のごとき感触と動作に、彼女の脳が勝手に女陰のごとき快楽を流しだす。
 ずっ、ずっ。
 こするたびに、おっぱいが徐々に内側に巻き込まれた。
 乳首が彼の太ももの付け根から、ペニスの上、そしてこすり合わされている境目へ。
「きゅぅんっ!」
 乳首がペニスとこすれ合った瞬間、彼女は快楽の声を漏らしてしまった。
 固くしこったそれは、男の熱く火照った幹に押しつぶされ、電流のごとき甘い痺れをもたらす。
「ふぅっ、くぅっ、きゅぅぅん……」
 乳首から届く快楽をもっと味わおうと、乳房の動きがどんどん早くなってくる。
 快楽に溺れ、うっとりとした表情で、うつろな目で見上げると、彼女の視界いっぱいに同じく快楽に全身をとろけさせたキンドの顔が飛び込んできた。
 ドキッ
 次の瞬間、彼女の心臓が鼓動を速め、快楽とは違う熱で心を満たされるのを覚えた。
 彼女は、彼と出会った頃を思い出す。
 それは今から半年ほど前。自分の生まれ故郷であるゴブリンの里から、彼女を特に慕っていたゴブリン四人を引き連れて、この森へ来たばかりのとき。
 この街道を通り抜けようとした彼、キンドを通せんぼして通行料をねだったのが、このゴブリン盗賊団(名ばかりで別に何も盗んだことはないのだが)の初仕事であった。
 この街道を通る前も、いくつもの似たようなゴブリンたちを相手にしていたらしく、彼は彼女たちを見て驚くこともなく、怖がることもなく。まるで年の離れた可愛い妹にあったような、優しげな笑みを浮かべ、自分用の弁当を彼女たちに惜しげもなく渡してくれた。
――今はこれくらいしか持ってないけど、次からはちゃんとお前たちのためにお菓子持ってきてあげるからな。
 それから彼は、ここを通るたびに、彼女たちにお菓子をくれた。そして、時間に余裕のあるときは、彼女たちの住む洞窟に寄り道をしておしゃべりに付き合ってくれたりもした。
 ママリンがこの奇妙なおっぱい対決を提案したとき、相手として真っ先に浮かんだのが彼であったのもうなずける。
 「彼が一番審査にふさわしい」とかなんとか言っていたが、こういった性行為をする相手として、キンド以外に考えることができなかったのである。むしろ、彼以外の男の欲望の塊に触れるなど、生理的に受け付けなかったのだ。
「ちょっ……と!ママ、リンッ、強い、強すぎるってそれっ!」
 刺激の強さにキンドが苦しそうに声を上げ、彼女の肩をタップするが、彼女は一心不乱に動かすおっぱいを止めようとはしない。彼の声やタップが脳に届いていないのだ。
「あっあっ、あうぅんっ、ひきゅっ!」
「くぁっ、あぁっ、ぐぅっあぁっ!」
 あえぎ声の合唱が感極まった頃、二人は同時に絶頂を迎えた。
「あっ……はぅっ、あ、温かい……」
 勢いよく発射された精液がママリンの胸板を叩き、谷間の上下に溢れる。
 精液の温かさを感じて、彼女はようやく彼が絶頂したこと、そして自分も同時に絶頂してしまっていたことに気付いた。
 先ほどまで「強者の余裕」だとか言っていた割に、自分がこんなに快楽に弱く、すぐに溺れてしまうことを知って、彼女は顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
 強がってはいたが、彼女がこのような性的な行為をするのは生まれて初めてだったのである。その割に、仲間たちや里の大人たちの性に関する話を聞いて育ったものだから、自分は何でもできると勘違いしてしまったのだ。耳年増というべきものか。

「それで、どっちのおっぱいがよかったんだ?」
 ニ連続で射精させられ、完全に腰砕けになり腰を下ろしてしまったキンドに、ずいっと顔を寄せてメイスが言った。
「えっ……あ、あぁ……」
 言葉をうまく発することができないキンド。
「もしかして、私の、気持ちよくありませんでしたかぁ?」
 いまだ熱が冷めていないママリンが、目を潤ませて問いかける。
「おうおう、親分を泣かせるたぁいい度胸じゃねぇか」
「これはきっちり落とし前をつけてもらわんといかんのぉ」
 子分のゴブリンたちが、どこで覚えたのか口汚く彼を罵る演技をする。
「その……正直、どっちも気持ちよくて……」
 彼はどちらが上か選ぶことができなかった。
 メイスのは、優しく甘えさせてくれるような、お姉さんの刺激。
 ママリンのは、激しく攻めてきて、こすっている自分も思わず絶頂してしまう、恋人のような刺激。
 選べなかった。
「はぁ……はぁ……そ、それじゃあしょうがないですね」
 何とかママリンが息を整えると、キンドの顔を見つめて頬を染めていたメイスの体をぐいと引き寄せた。
「わっ」
 ホブゴブリンの怪力に驚いたメイスが声を上げる。
「交互にやるからいけないんですよー。勝負をつけるなら、やっぱり同時じゃないと」
 そう言って、ママリンは自らのバストをメイスのものに密着させた。
 四つのおっぱいが、むにゅりと潰れる。
「ほら、キンドさん。間にどうぞー」
「え、あ、間?」
 キンドは彼女が示す『間』を凝視した。
 柔らかな四つの果実がみっちりと詰まった場所。嬉しそうに笑うママリンと、少し恥ずかしそうに身をよじるメイスのおかげで、そこはぷるぷると常にうごめいていた。
 彼が唾を飲み込む。ここにペニスを入れたら……これから受けるであろう快楽を想像すると、彼のペニスが本体の意志に合わせるかのようにぴくりと震えた。
「じゃ、じゃあ、入れるぞ……」
 意を決して彼がつぶやくと、ちょうど彼の股間の高さにあった脂肪の海へ、ペニスを差し込んだ。
「ううっ……くぅっ!」
 入れた瞬間、彼の背筋に悪寒のごとき快楽の痺れが駆け上がった。
 亀頭だけ入った状態で、腰を止めてしまう。
「どうしたんですかぁ?入らないんですかぁ?」
「くっくっ、そんなに気持ちいいのか?私たちのダブルおっぱいは」
 快楽は一人でのパイズリの二倍どころではなかった。
 重力、彼女たちの体の向き、筋肉の軋み、内臓の脈動。それらあらゆる要因により、縦横無尽に動き回るおっぱいの波は、彼の亀頭をときに優しく、ときに激しくもみほぐしてきた。
――もっと深くまで味わいたい!
 と彼の心は訴えるが、体が言うことを聞かないのだ。
 あっという間に臨界点を突破しているはずなのに、彼のペニスは勃起状態を保ったまま、全く射精のそぶりも見せない。
 今までの人生で経験したこともない快楽で、彼の射精神経が焼き切れてしまったのか。
 彼が焼け焦げる寸前の脳でそんなことを考えているうちに。
「えいっ」
 子分ゴブリンが、彼の後ろから背中と腰を押し出した。
 ずにゅぅ、ずぬぬぅっ!
 いまだ彼のペニスにまとわりつくメイスの放った粘液と、うごめくおっぱいがねちっこい音を奏でた。
 次の瞬間。
「ぐぁ、ぐぅぅぅぅ!」
 キンドの口から漏れ出る、悲鳴にも似たうめき。
 完全に脳がショートした音なのだろうか。その声が収まる頃には、分身の先端から、三度目とは思えないほどの大量の精液が迸っていた。
「きゃっ」
「わっ」
 まさか、こんなに早く射精するとは思っていなかったのであろう。ママリンとメイスは驚きの声を上げた。
「あらら……」
「何だ、嫌なのかと思ったら。気持ちよすぎただけなのね」
 悲鳴を上げさせた張本人であるゴブリンたちは、バツが悪そうにつぶやいた。
「あーあ、キンドさん、だめじゃあないですかぁ」
「そうだぞ、まだ全然動いてないんだからな」
 ママリンとメイスの二人が、不満そうに言う。
「こんなに大量に出したんだから、次はもうちょっと長くがまんできますよね!」
「精液でぬるぬるだし、たくさん動いてやるからな」
 そう言って、彼女たちは彼の返事を聞かず、ペニスにおっぱいをすべらせるように動き始めた。
「ちょっと……まっ、てっ、くぅっ」
 キンドが抗議しようとするが、再び駆け上がる強烈な快楽に、すぐに声を押し殺してしまう。
 柔らかく彼のイチモツを愛撫する乳房。そして時折、硬くしこった乳首がカリの裏をくすぐる。
 彼は無意識の内に腰を引こうとするが。
「逃げちゃだめー!」
 彼の後ろにぴったりとくっ付いたメメリンとモモリンが阻止する。
 逃げようとする彼の腰と、それを押し返すゴブリンの手の動き。そしてペニスをこする四つの乳房。
 それらの動きが上手に合わさって、さながら彼が快楽を貪ろうと自ら腰を前後させているような感じになってしまった。
 その結果、またもすぐに彼に射精感が襲ってきた。
「はっ、はっ、はっ……」
「ん?もうか?もう出るのか?」
「ふぅ……うぅんっ、キンドさんー、は……はやいですよー」
 ママリンとメイスが口々に不満を漏らす。
 しっかりとした口調のメイスに対し、またもママリンは乳首がこすられていることによる快楽に負けた声を発している。
 しかし、どちらも甘く、こびるような声色であることに変わりはない。
 そんな声を左右の耳からサラウンドで聞かされたキンドは、息をさらに荒げ、全身を何度も震わせた。
「ふむ。もうだめか、しょうがないな。じゃあ思いっきり出しちゃえ、な?」
「ほぇ?キンドさん、また精液びゅーびゅー出してくれるんですかぁ?どうぞぉ」
 ほぼ同時に二人の魔物が言うと、同じく同時に乳房をずるりとペニスの根元までこすり上げた。
「あぁ、うぅ……」
 かくんかくんと腰を揺らし、彼はまた精を漏らした。
 四回目にもかかわらず、その量は一向に少なくなる気配はなく、噴出した精液は胸の谷間を越え、奥側の乳首にぶつかった。
「ふふ、ふふふ……すごいなぁ。本当にすごいよお前。何度出してもたっぷりじゃないか」
「あうぅ……乳首に当たるぅ……すごいですぅ……」
 二人は頬を赤く染め、潤んだ目でじっとキンドの顔を見た。

「さて、お次はお楽しみ」
 楽しそうに鼻歌を奏でながら、メイスはいまだ放心状態のキンドをゆっくりと押し倒した。
 そして、彼女はその勢いで彼の股間の上にまたがる。
「今度は、ここに出してくれ……もう我慢できないんだ」
 熱に浮かされたように顔を火照らせ、熱い息を吐くメイス。
 彼女は片手を彼の胸の上にそっと乗せ、もう片方の手で下着をずらして秘所をあらわにした。
 ふたである下着を外されたそこは、待ち構えたかのように粘液が滴り、ペニスを濡らしていく。
「あ!メイスさん、ルール違反ですよ!この勝負はおっぱいのよさを競うものであって……」
「ちっちっち……甘いよママリンちゃーん。おっぱいはナニを挟んでしごくためだけに付いているわけじゃあないんだ……」
 頬を膨らませて抗議するママリンに、メイスは人差し指を立てて揺らして反論する。
「おっぱいには、こういう使い方も……あるんだっ」
 ママリンに向かってウインクすると、メイスはペニスに向かって一気に腰を下ろした。
「あっ……がっ!」
 メイスの体内の肉をかき分け、肉ひだが亀頭を、カリを、茎をなでる感触。キンドは人生で初めての刺激に、口を目いっぱい開け、喉から搾り出すように音を漏らした。声の出来損ないのような。理性を持った生物なら出さないであろう音。
 童貞を喪失した瞬間、その声のように彼の頭の中から理性、意思、知識、思考、願望、自己……そういった人間的な、知的生命体が持つもの全てが消え去ってしまった。
 あるのはただ、この快楽をもっと長く、もっと深く味わいたいという欲望だけ。
 だが、その欲望すらも、メイスは押し込めてしまった。
「私が動いてあげるから、お前は楽にしてろよ」
 そっと彼の胸に両手を置き、メイスが微笑む。
 彼女の表情を見た瞬間、彼の脳内から凶暴な獣の本能、メスを貪りたいという欲求が全てなくなってしまった。
「キンドは、ただ気持ちいいのに身を任せていればいいんだ。全部私がしてあげるから」
 彼は一度、小さくうなずくと、全身の力を抜いた。
「あっ、あぅっ、くぅっ……」
 そして、彼女の腰の動きに合わせ、呼吸のように喘ぎ声を漏らした。
「ほらぁ、見てみろ。私の腰の動きに合わせて、おっぱいがぷるぷると上下してるだろ?」
 確かに、彼女の言葉の通り、彼女の両乳房は腰の動きに合わせ、軽やかに上下に動いていた。
「おっぱいにはな、こんな楽しみ方もあるんだ。何だったら、吸ってもいいんだぞ?くくっ」
 いたずらっ子みたいに、ぺろりと舌を出しておどけてみせる。
 キンドの喉がごくりと鳴った。
「ふぅっ、本当、可愛いなぁ、お前は。あんっ、童貞、なのに……んっ、私の気持ちいいところを、トントン叩いてくるぞっ」
 童貞って言葉に、ママリンがびくりと反応した。彼の童貞が自分以外の女に奪われたことに気付いたのだ。
 彼女はまだ彼に対する好意をあまり自覚していなかったが、他の女に童貞を奪われたことに対して心が痛む思いがした。
「あぅっ、キンドの童貞ちんぽ、いいぞぉ……ふふっ、ついでにファーストキスも奪ってしまおうかなぁ」
 メイスの言葉にはっとしたママリンが、メイスを睨みつける。
 彼女の瞳には、気付かぬうちに涙が浮かび、下の唇を血が出そうなくらい強く噛んでいた。
「ん?どうしたママリン……ああ……なるほどね。悪いことをしてしまったみたいだな」
 察するところがあったらしく、メイスはママリンの肩を抱き寄せた。
「きゃっ」
 驚いて悲鳴を上げるママリン。
「ほら、ママリン、見てみろ」
 メイスが視線を促す。彼女の示す方向をママリンが見ると、そこにはキンドの顔があった。
 頬を真っ赤に染め、目はとろけ、瞳には涙をため、口をだらしなく開き、そこからは荒い息遣いが漏れ出している。
「なあ……あいつの口、さびしそうだとは思わないか?」
 メイスの言葉に、ママリンはぞくりと体を震わせる。
 彼女の目線の先、彼の口元。そこからはよだれがあふれ、拭かれることなく顎の先から滴り落ちている。
 ママリンの喉がごくりと鳴った。
「キンドはさっきまで童貞だったから、きっとキスも未経験なのだろうな」
 そう言うと、メイスは体を倒しキンドの耳元に口を寄せる。
「なぁ……キスって、気持ちいいんだぞ?柔らかな唇同士が触れ合って。舌と舌が、蛇の交尾みたいに絡み合って。甘い唾液を交換し合って」
 彼女の一言一言に、彼の体は律儀に震える。
「キス、したくないか?きっと、とっても気持ちいいと思うぞ。特に、ママリンの唇なんて、格別だろうなぁ」
 メイスが横目でママリンの方に視線を移すと、片目を閉じてウインクをした。
「何せ、おっぱいがあれだけ柔らかかったんだ。唇もとろけるくらい柔らかいと思うぞぉ。舌もふわふわで、吐息も熱くて……」
 キンドの視線が、ママリンの方を見た。彼女はメイスの反対側からキンドの顔に自らの顔を寄せ、彼と同じくらい荒く息をついている。
 ママリンのぷるぷるの唇。だらしなく開かれた口から覗く、桃色の舌。そこはキスをしたいという欲望によって、すっかり唾液でぬらぬらと光っていた。
 ぱくぱくと、キンドの唇がうごめく。
「ん?どうした?」
 それに気付いたメイスが、彼に問いかける。
「……たい。キ……した、い……」
 ぱくぱく。ママリンの顔がさらに近づく。
「キス、したい……ママリンと、したい……」
 次の瞬間には、彼の唇はママリンの唇にふさがれていた。
「……っ!んっ……!るっ……」
 瞳を閉じ、首に両手を回し、おおいかぶさるようにママリンは彼に体を預ける。
 キスをされたと彼の脳内が認識すると同時に、彼の頭の中がスパークするように真っ白になった。
「もう、そんなことしたら、私のおっぱいを見せられないじゃないか……あら」
 メイスがそう言うや否や、彼女の下腹部の内部に、温かいものが広がるのを感じた。
 キスのあまりの気持ちよさに、彼本人すら気付かない内に射精してしまっていたのだ。
 さすがに五発目なので、量は少なくなっていた。しかし、それが逆にメイスの子宮内にじんわりと広がる感触を与え、彼女に征服感をもたらし、彼に対する愛しさの増大にもつながった。
「くくっ、絶頂してしまったな。そんなにママリンのキス、気持ちよかったのか?……って、聞こえてないか」
 そう言ってメイスは苦笑した。
 ママリンとキンドは互いにキスに酔いしれていた。
 彼も彼女の背中に両腕を回し、彼女と舌を絡ませ合う。
 ぴちゃぴちゃと湿った音が鳴り、気持ちよさそうにママリンが鼻から声を漏らした。
「ぅん……はぅ……ちゅぅ……れるぅ、はむぅ」
「くっく。二人とも、すっかりキスの虜になってしまって……」
 メイスはそうつぶやくと、腰を持ち上げた。
 ぬぽぉ……粘液にまみれたペニスが、力なく肉壷から解放される。
「キンドの精液、美味しかったぞ」
 ぺろりと舌なめずり。
「おーい、ママリン、どうするんだ?お前もキンドに入れてもらわないのか?」
 メイスがママリンの肩をぽんぽんと叩く。
「ちゅるぅ……ふぇ?メイスさぁん、終わったんですかぁ?」
 ぼーっとした顔で振り返り、ママリンが顔と同じくぼんやりとした口調でつぶやいた。
「ああ、私はもう終わったぞ。ちゃんとキンドの精液もらったからな。だから、次はお前の番だ」
 微笑むメイス。
「キンドさぁん……入れていいですかぁ?」
 上目遣いで、潤んだ瞳でママリン見つめる。
 彼女の瞳は情欲に染まり、ひどく淫靡であった。
 そこには、かつての年齢を思わせないほどの幼さは欠片も残っていなかった。
 ぞくり。キンドの頭に、彼女の情欲の炎が移った。
 メイスに図らずも抑えられた獣の本能。それがまた目覚めたのだ。
 気が付くと、彼は体を反転させ、仰向けにした彼女に覆いかぶさっていた。
「はぁ……はぁ……俺が、入れてやるよ」
 瞳孔が開き、うなる獣のような息を漏らし、彼女に言う。
「は、はい……」
 ママリンはそんな彼に恐怖心を抱かなかった。
 心の中にあったのは、早く欲望の穴に硬くそそり立ったペニスを突き入れられたい。奥をごりごりえぐられて、何度も絶頂したい。口付けを交わして彼の腕に抱かれながら果てたい。彼に愛の言葉を囁きたい。目いっぱい愛されたい……
 性的な欲望にまみれたママリン。
 彼に両足を持ち上げられ、膝を胸の辺りまで押し寄せられた。いわゆるまんぐり返しの体勢である。
 にゅぶぅ。ママリンの入り口に亀頭が触れると、さながら水が満たされたコップに指を差し入れるがごとく、愛液が溢れ出た。
 にちにち。秘肉をペニスがかき分けて進む。敏感な粘液がこすられ、ママリンの口から可愛らしい喘ぎが漏れる。
「ふっ、うんっ……くぅん……!」
 ゆっくりと奥へ奥へと挿入される。それに比例して、さらに膣口から粘液がこぼれ落ちる。
「かぁ……はぁ……ぐっ」
 肉ひだが優しくペニスを包む。彼女の膣は、メイスのものよりもさらにゆるく、ゆったりとしていた。
 だが、ペニスが最奥まで突き進み、根元まで収まったとき、変化が起こった。
「ひぅっ!いっきゅぅぅん!」
 ぎゅうぅ。子宮口に亀頭がぴったりと張り付き、それによってママリンが早くも絶頂してしまったのだ。膣肉が急激に締め付けを強め、隙間なくペニスを包んでしまった。
 突然の感触の変化。ゆるいものから手で握り締められているかのような締め付けへの変化に驚いたキンド。
 だが、すぐに彼女が絶頂したことを知った。
 初めて、女性を絶頂させた。自分のペニス、自分が彼女をイかせた。
 それがたまらなく彼の心を満たした。彼女を手に入れた、そんな気がしたのだ。
 そして、それが行動につながる。
 彼は両腕で膝裏から背中にかけて包み込むように抱くと、腰のストロークを速めた。
「はっはっ、ママリン、見えるか?俺のペニスがっ、お前のまんこを出たり、入ったりっ、してるところ!」
 ママリンは視線を女性器、愛液を噴出し、ペニスを気持ちよさそうに受け入れているそこを見て、何度も何度もうなずいた。
「はいぃっ!見えますぅ!あうぅん……私のまんこぉ、キンドさんのおちんぽでぇ、抜き差しされてぇ!きもひいいれふぅ!」
 言い切ると同時に、またも絶頂。
 ぎゅっと肉を絞り、また絶頂。
 抜かれるときにカリが肉壁をこすり絶頂。
 挿し込むときに奥を叩かれさらに絶頂。
「あっ!あっ!あ゛っ!あ゛あぁっ!」
 呼吸と喘ぎと絶頂を同時に行い、何度も何度も体を震わせ、目はうつろ、垂れたよだれを流さず、彼女はセックスに酔いしれた。
 彼のペニスに夢中で、奥を突かれるのも、カリに肉ひだを引っ掛けられるのも、呼吸をふさぐようにキスされるのも、彼の体温も、みんなみんな大好きになった。
「キンドさぁん……大好きですぅ……愛してまふぅ……もう、離れたく、ない、です……」
 その瞬間に、キンドの射精。
 精液が子宮の奥を叩く幸福を感じながら、彼女は意識を失った。

「親分、親分!」
 ママリンは思考を巡らす。
――この声は……モモリン?
 一番年下の、甘えん坊のゴブリンの名が頭に浮かぶ。
 彼女が目をゆっくりと開けると、確かにそこには彼女の思い描いていた通りのゴブリンがいた。
 モモリンは、心配そうな表情で親分を見下ろしている。
「親分、よかったぁ!起きたんですね?」
 ママリンが目を開けたことを知ると、彼女は一気に顔を輝かせた。
「はぇ?モモリン、どうしたの?そんな心配そうにしちゃって」
「キンドさんとヤったあとに気絶しちゃって、みんな心配してたんですからぁ!」
 ママリンが体を起こすと、見慣れた土壁が見えた。彼女は、ここが自分たちの巣であることに気付いた。
 そして、自分がいるのがベッドの上、洞窟の中には子分四人とキンド、メイスがいることも分かった。
「すまんな、ママリン」
 キンドが彼女のそばに寄ると、頭を掻いてぺこりと頭を垂れた。
 何しろ、彼女を気絶させたのは彼である。責任を感じるのも仕方がない。
「そんな、謝らなくていいですよー。あれ、気持ちよかったし……」
 そう言うと、先ほどの痴態を思い出したのか、彼女は頬を赤く染めた。
「まあ、確かにあれはすごかったな。うらやましかったよ」
 くっくっとメイスが苦笑する。
「そういえば、メイスさん、これからどうするんですか?」
 思い出したかのように、キンドが尋ねる。
 そもそもの発端は、メイスがこの街道に墜落したことである。すっかり傷が治っているみたいなので、彼は疑問に思ったのだ。
「ああ、私は城に帰るよ。もう完治したからな」
 そう言うと、ゴブリンたちから「えー」と声が上がる。
「姉御ぉ、帰っちゃうんですか?」
「もうちょっと一緒にいましょうよぉ」
 ぶーぶーと不満を垂れ流す。
「うーん、どうしようかな……」
 首をかしげうなっていたメイスだったが、ぱっと顔が明るくなり、手をぽんと叩いた。
「あ、だったら、今度は私の城に来ないか?」
「行く行くー!」
 ゴブリン団は大喜びである。それに対し、キンドは落ち着いていた。
「おお、いいんじゃないか?みんな遊びに行ってくれば」
 何だったらずっと住み着いてもいいんだぞ、タダでこの道を通れるし。と彼が言うと、振り向いた十二個の瞳がキラリと光った。
「何を言ってるんだ?キンドも行くんだぞ?」
「そうですよー。結局勝負が付かなかったんですから」
「兄貴ぃ、姉御の城で二回戦ですぜぇ」
 ニヤニヤと笑いながら彼に迫る魔物娘たち。
「え、え?」
 直後、洞窟から男の悲鳴が漏れた。

「俺、高いところ苦手なんだけどぉ……」
 はるか上空で、縄でボンレスハムのように縛られたキンドが、情けない声を上げる。
「我慢しろよ。もうちょっとで城に着くからな」
 メイスが少し低い声で言った。
 彼女は先ほどまでの人間の女性を思わせる姿ではなく、伝承通りの竜の姿になっていた。
 洞窟でしっかりと縛られた彼は、意気揚々と進むゴブリンたちに抱えられ、ドラゴン形態に変化したメイスの背中に無理矢理乗せられたのだ。
「姉御の城、楽しみだなぁ」
「お宝ざっくざっくなのかしら」
「きっと広いぞぉ、でかいぞぉ、すごいぞぉ」
 きゃっきゃとゴブリンたちは好き勝手騒ぐ。
「くっくっ、まあ、一人で住むには確かに広すぎるがな」
 メイスもそれに加わって楽しげな声を上げる。
 その中で、キンドは一人がっくりとうなだれ、早く竜の背中から降りられることをひたすら願うのみであった。
 城に着いた瞬間、案内もそこそこに彼は魔物娘たちに性的な意味で襲われたのは言うまでもない。
11/02/16 17:20更新 / 川村人志

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