読切小説
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おねえさんとのアブない火遊び
 ここはどこだろう。
 知らない街並みに知らない景色。車の通らない、広い歩道ではたくさんの人が行ったり来たりしている。みんな、ぼくよりも大きい人ばかり。

「おとうさん? おかあさん?」

 道の真ん中でまわりをキョロキョロしても、知ってる背中は見当たらない。ちょっと前、大きな人のかたまりに巻き込まれちゃって、つないだ手を放してしまったから。

「おとうさん……」

 一人ぼっちになった寂しさで声がか細くなる。じわ、と目の奥が熱くなる。知らない町におでかけするから手を放しちゃだめよ、とおかあさんの言葉を思いだす。
 けれどもう遅い。どうしよう。どうしたら。真っすぐ前を見ていられずうつむいてしまう。うるうると、目にいっぱいの涙がたまっていく。

「おかあさん……」
「誰がおかあさんだ」

 突然声がして、思わず前を見上げる。そこには一人のおねえさんが立っていた。
 水着みたいなお洋服の上からおっきなフードがついた上着を着て、お日様に焼かれた浅黒い肌に、きらきら金色に光る長い髪のおねえさん。首や手首につけた輪っかが揺れて、じゃらじゃら音が鳴っている。
 だれだろう? ぼくに向かって声をかけてくれたおねえさんをじっと見ていると、おねえさんはしゃがんで顔を合わせてきた。

「どしたボウズ、こんなとこで一人でぼけーっとつったって」
「……いご」
「え?」

 おねえさんはぽかんと口を開けて。ぼくはどうしたらいいか分からなくって。

「まいごになっちゃったの、どうしよう」

 ポロポロ涙をこぼしてしまったのだった。





§





 ぼくが泣き止むまで待ってから、おねえさんはぼくにあれこれ聞いてくれた。どうして一人でここに居たのか、誰と一緒に来たのか、おとうさんおかあさんと一緒に来たのなら、二人から聞いたお話を思い出せないか。

「じゃあ何だ、お前はお父さんとお母さんと旅行に来た訳だが、人混みに紛れてはぐれちゃったってことか」
「うん」

 今はこうしておとうさんおかあさんを一緒に探してくれている。今度こそはぐれないように手をつなぎながら。
 さっきまでは一人ぼっちで寂しかったけれど、もう大丈夫。おねえさんにぎゅっと握ってもらった手がぽかぽか温かくて、一人じゃないって伝わるから。
 ぼくも二人を探すのを手伝おうとしたら、

「キョロキョロして転んだら危ないだろ? お前の話した特徴に似た人を見つけたら教えてやるからさ」

 そんなことより元気を出しな、と露店で買ってくれたソフトクリームを食べるよう言われちゃった。白いクリームが盛られた山の先っぽをおそるおそるかじる。甘くておいしい。冷たいお菓子のはずなのに、心がぽかぽかしてくる。
 だけど、ぼくばかり食べているのは何だか悪いような気がして。

「おねえさんもいっしょに食べる?」
「は?」

 ぼくが差し出したソフトクリームにおねえさんは目をぱちくりさせる。思いもよらなかったと、驚いたような不思議そうな顔。

「それはお前の分だぞ、お前が食べちゃっていいんだからな?」
「ぼくばかり食べるのはずるい気がして」
「気持ちは嬉しいがな、子供が遠慮すんなって」
「でも……」

 おねえさんは困り顔でガシガシ髪を搔き始めた。どうすっかなとぼやきながら、ぼくの顔とアイスを交互に見やって、

「分かった分かった、じゃあ一口だけ貰おうかな」

 仕方ないなって苦笑いしながら。

「──ほら。口の端っこ、クリームついてるぞ?」

 ひょいっとぼくのほっぺに指を添えて、ついていたクリームを拭いとって。

「ほっぺにつけたままになるくらい夢中なら大丈夫そうだな? ま、食べきれなかったら言ってくれよ♪」

 ぺろりと舐めとって、悪戯っぽく笑いとばしてくれた。
 
 クリームがついてたことに気づかないなんて。

「ん〜♪ 甘くておいし♡ これならボウズも夢中になって、ほっぺにつけたまま気づかなくてもしかたないよなぁ♡」
「う、うぅ……」

 ぼくは恥ずかしくなって顔を真っ赤にしてしまう。それを見かねたのか、気にすんなよ、とおねえさんに乱暴に頭を撫でられる。ぼくは自分の顔がますます赤く、熱くなっていくのを感じていた。

「おーおー、ゆでだこみたいな顔になってるぜ」
「おねえさんに撫でられたからだもん」
「へーぇ? アタシのせいなんだ?」
「おねえさんのせいだもん」

 だったらしょうがないな、とおねえさんは頭を撫でるのをやめてくれた。髪がくしゃくしゃになるくらい乱暴で、撫でられると恥ずかしくなって。
 なのにいざ手が離れてしまうと、ほんの少しだけ心に穴が開いたような気分になってしまう。

「さ、行くか。そろそろ交番につくからな」

 そう言って差し出してくれた手を受けとると、寂しさが吹き飛んでいくようで。ぼくはおねえさんの手をしっかりと握りしめたのだった。





§





 そうして交番までたどり着いたぼくは、無事におとうさんおかあさんと再会した。おとうさんからはもう手を放しちゃだめだよと、おかあさんからははぐれちゃってごめんねと、二人ともたくさん心配してくれた。

「はぐれちゃったけど、ぼく平気だったよ! おねえさんが助けてくれたの!」

 そう言っておねえさんを紹介しようとしたけれど、助けてくれたおねえさんはどこかに行ってしまっていて。ぼくの指は、何もないところをポツンと指すばかりだった。

 お礼、言えなかったな。

 おねえさんが握ってくれた手のひらに残った温もりが、今はほんの少し寂しく感じた。





§





 次の日。
 ぼくはおとうさんおかあさんに連れられて、昨日と同じ道をのんびり歩いていた。お土産屋さんの店先に飾られた綺麗なガラスづくりの小物を見たり、交差点の角にあった足湯に浸かって温まったり。昨日食べたソフトクリームがおいしかったよとお話したら、二人も食べてみたいとぼくの分も買ってくれた。冷たく甘いチョコの味がする、茶色のクリームを眺めていたら。

 また会いたいな。

 昨日のおねえさんを思い出しちゃって……ううん、思いだしたんじゃない。忘れられないんだ。
 どうして忘れられないんだろう。お礼を言いたいから? それだけじゃない、もっと別の理由がある気がして。でも、いくら考えても理由は思いつかなかった。
 ずっと考えていたら頭がぐるぐるこんがらがって熱くなってきたので、冷たいソフトクリームを食べようと顔を上げたら、

「おねえさん?」

 ちらっと、道の向こう側に見えた人影。おっきなフードの端っこから、きらきら光る金色の髪の毛。間違いない、昨日ぼくを助けてくれたおねえさんだ。
 おねえさんはぼくに気づいた様子もなく、ぼくたちとは別の方向に歩いている。どうしよう、早く追いかけないと。でも、ソフトクリームを持ったままじゃ上手く走れないし、おとうさんおかあさんも気づいてないみたい。
 ぼくがもたついている間に、おねえさんの背中がどんどん小さくなっていく。

 このままじゃ、おねえさんが行ってしまう。

「おかあさん、これ持ってて!」

 ぼくは食べかけのソフトクリームをおかあさんに突き出すと、返事を聞く間もなく走りだした。
 ごめんなさい、おとうさん、おかあさん。だけど、今見失ったらもう会えないかもしれない気がして。どうしようもなく寂しかったから。

「わわっ、ごめんなさい!」

 道を歩く人たちにぶつかってはごめんなさいを繰り返しても、ぼくはあきらめず追いかけ続けた。みんなの迷惑なんて考える余裕もないくらいに心が急いてしかたなくて。早く、はやく見つけないと。
 息が切れるくらいに走り続けて、ようやく背中に追いついた!

「見つけた! おねえさんだ!」
「──うおっ!? 何だなんだぁ!?」

 ぼくは勢いのままおねえさんの後ろから飛びついてしまいすってんころりん。おねえさんもろとも地面に倒れこんでしまったのだった。





§





「あのな、人混みを走ると転んだりぶつかったりして危ないからな? もうすんなよ?」
「うん!」

 ぼくを道の端っこに連れてってから、おねえさんはしゃがんでお話を聞いてくれた。もちろん、いきなり飛びついたことを叱られてからだけど。

「で、お前はアタシにお礼を言いたいから追いかけてきて、また迷子になったと」
「うん!」

 うんじゃねーよ、と額を小突かれる。困り顔のおねえさんとは裏腹に、ぼくはすがすがしい気分になっていた。ちゃんとお礼が言えて、もう一度会えてお話が出来て、そして何よりぼくのことを覚えていてくれて。

「確かに何も言わずどっか行っちまったのはアタシが悪い。だがな、お礼を言うためだけに一人で突っ走っちゃダメだろう? またおとうさんおかあさんに心配かけてどーすんだ」
「ごめんなさい」
「ニコニコ笑顔で言ってんじゃねーよ」

 ほっぺをつままれひっぱられる。少し乱暴で、だけど温かい懐かしい感触。おねえさんはぼくのために叱ってくれているはずなのに、ぼくはついつい笑顔になってしまうのだった。

「ったく、お利口さんかと思えばとんだじゃじゃ馬だぜ」
「じゃじゃうま?」
「今のお前みたいにだだだーって突っ走って飛びついてくる奴のことだよ」
「ごめんなさい、だけど」
「ん? だけど何だ?」

 もう一度、もう一度だけおねえさんと会いたくて。

「──は? お前が、アタシに?」
「うん」
「マジで?」
「まじ」
「…………」
「おねえさん、お顔、ゆでだこみたい」
「うるせぇ」

 そう言って、おねえさんは横を向いたっきり黙ってしまった。横目でぼくをじろじろ見ながら、言いにくそうにもごもご口を動かすばかり。

「おねえさん、大丈夫?」
「ん? あ、あぁ、大丈夫だいじょうぶ。ったく、お前が突拍子もないこと言うから驚いちまったじゃねえか」
「ウソじゃないもん、ほんとにほんとのことだもん」

(……あれ?) 

 ぼくがそうつぶやいた瞬間、視界がくらっと揺れたような気がした。温泉の湯気に似た感覚。この近くに温泉どころか、足湯さえなかった気がするのに。
 
「嘘じゃないんだな?」

 これまでの楽しそうな声が低く唸るような声に変わる。おねえさんの金色の瞳がぎらりと輝いて、見つめられたぼくは思わず身をすくませてしまう。お返事するのもためらったぼくは、ただただ顔を真っ赤にしながら見つめ返すばかり。

「なら、ちょっとついて来いよ。もう少しお前と『お話』したいんだ……良いよな?」

 そう言ってにやにや歯を見せて笑ったおねえさんは、ぼくに手を差しだしてきた。ぼくは言われるままおねえさんの手を握って、引かれるままに路地裏に連れられていくのだった。





§





「おねえさん」

 人がひとりかふたり、やっと通れる道を通って。

「おねえさん、どこ行くの?」

 右に曲がった道を進んで。つきあたりを左に曲がって。

「ねえ、おねえさん……」

 手を握られたままついていくばかりのぼくは、あたりの景色を見る間もなく。ひょっとしたら同じところをぐるぐる回っているだけかもしれない、おねえさんはぼくを驚かせようとしているだけかもしれない。

「あの──」
「さ、ここらでいいか」

 狭い道の行きどまりで足を止めたおねえさんは、ようやくぼくの手を離してくれた。握られていた手がちりちり痛む。どうしてだろう。おねえさんは乱暴にぼくの手を掴んだはずじゃないのに。

「なあ、ボウズ。怖かったか?」
「えっ? ……う、ううん、こわくなかったよ」

 嘘をついた。ほんとうはこわかった。おねえさんが、おねえさんじゃなくなるみたいで。

「無理すんなよ? ここに連れてくるまでの間、アタシ何も言わなかったよな? どこへ連れてかれるのか分からなかったんだ、怖いに決まってるよな?」
「……ちょっとだけ、ちょっとだけ、だもん。でも、でもね、おねえさんだったから、だいじょうぶ、だって……あ」

 くしゃくしゃと、髪の毛を混ぜるように頭を撫でられた。

「素直に話してくれるなんて、お前ほんっとイイ子だよな」

 おねえさんの撫で方はちょっぴり乱暴だけど、撫でられていると不思議と心がぽかぽかしてくる。ぼくの顔がふにゃふにゃになって、勝手ににっこり笑顔になってしまう。

「──けどな?」

 だから、ぼくは気づけなかった。ぼくを見るおねえさんの目が、今までと違う、ぎらぎらと妖しい輝きで満ちていたことに。

「知らない『ヒト』についていっちゃいけないって、親に教わらなかったのか? お前、ワルい子だな♡」
「──え?」

 ちり、と顔に火花が飛んできて思わず目をつぶる。次の瞬間、ぼくの体はふわりと浮き上がって、そしてゆっくりと地面に下ろされていた。仰向けになって寝転ぶぼくの上には、

「なぁんだ、その様子じゃ、ホントに何も知らなかったんだなぁ♡」

 上着を脱いだおねえさんが、舌なめずりしてぼくを見下ろしていた。──ちがう、おねえさんじゃない。だって、だっておねえさんには。

「な、なんで……? つの……? おねえさん、なんで角が生えてるの……?」
「角だけじゃないぜ? ほら、よく見な。羽に尻尾だって生えてるだろ?」

 おねえさんの言葉に合わせるようにこうもりみたいな羽がぱたぱた震え、とかげみたいな尻尾はぶんぶん揺れる。

「あ、くま……?」
「ピンポーン、大当たり♡ アタシはパイロゥ、炎を操る悪魔って聞いたことあるか?」

 声がでない。おねえさんが、人間じゃなかった。それだけじゃない。悪魔だって、自分のことをそう言っている。

「その顔は知らないって顔だな? じゃあ魔物娘って言葉は聞いたことあるか? ま・も・の・む・す・め♡ 知ってるか?」
「まもの、むすめ……?」
「知らないかぁ……じゃあ分かりやすく教えてやるよ」

 おねえさんは言い終わる前にぼくの洋服に手をかけた。ズボンを引き剥がし、パンツを下ろす。たちまちぼくのお腹から下ははだかっぽにされてしまった。

「ボウズみたいに夢中になって追っかけてくるやつを『食べちゃう』オンナのコトだよ♡」

 おねえさんはにやにやと心の底から楽しそうに、ぼくのおしっこするところを触り始めたのだ。

「な、なんでっ……おねえさん、そこ、きたないよ……!」
「汚いもんかよ♡ 皮も剥けてない綺麗な色してるじゃねえか♡」

 右手で輪っかを作って、ぼくのあそこをまあるく包む。ふにふにと、手のひら全体で優しく柔らかく握られる。

「だって、そこ、おしっこするところだよ……そんなとこ、さわるなんて、ヘン、だよ……」
「あ? なんだお前、精通まだなのか?」

 せいつう? せいつうってなに?
 訳が分からないまま、ぼくはおねえさんにされるがまま。しこしこと、おねえさんが手を動かす度にあそこの肌が引っ張られてむずむずする。
 やめてって言えたらいいのに、言葉がのどに引っかかってでてこない。

「精通ってのはな、赤ちゃんを作るための素が出来ましたー、って証のことだぞ。覚えたか?」
「赤ちゃん……!? 赤ちゃんって、なんで……ひゃうっ!?」

 おねえさんがたらりと涎を垂らす。ぼくのあそことおねえさんの手にたっぷりかかったそれを、おねえさんはあそこを握ったまま器用に泡立てている。いっぱいのぷくぷくの泡は、まるでお湯に石鹸を溶かしたようで。

「ボウズ、冷たくないか?」
「つ、つめたくないよ……あったかい。なんで?」
「なんでって、アタシは炎を操る悪魔だからだよ。お前に寒い思いをさせる訳にはいかないからな♡ アタシと居たとき、身体がぽかぽか温かくなったことってないか? ……いいや、たくさんあるはず、だよな♡」

 それじゃあ、もしかして。
 初めておねえさんと会ったときも、頭を撫でられたときも、もう一度おねえさんに出会えたときも、ぼくの心と体はぽかぽか温かくなった。

「ぜんぶ、おねえさんがやってたの?」
「ああ、初めっからな♡ お前がどんな反応するか遊びのつもりだったがな……まさかここまで本気になってくれるとはなぁ♡」

 にんまり悪い笑顔のまま、おねえさんはぼくのあそこをいじり続ける。おねえさんの手が動く度、ぼくのあそこがじんじん熱く、大きくなっていく。

「もう少し大きくなったら『つまみ食い』してやろうかと思ったけど気が変わった。親をほっぽって会いに来るなんてされたんだ、こっちだってガマンできねぇからな──お前が悪いんだぜ?」
「あ、あぅ……ご、ごめんなさい……」
「謝らなくていいんだよ♡ これから、セキニンをとってもらうからな♡」

 ちゅくちゅく、くちゅくちゅ。誰もいない路地で聞こえるのは、二人の会話とぼくのあそこが擦られる音だけ。
 おねえさんがどうしてこんなことをするのか、理由はいまだに分からない。せいつう? がどうこう言ってた気がするけれど、今のぼくはそれどころじゃなかった。

「おねえさん、もう、もうやめて……」
「やめて? どうしてだ? やめる理由なんてないだろう?」

 おねえさんにあそこを見られて、触られて。それだけでも恥ずかしいのに、もっともっと恥ずかしいことがあるなんて、考えもしていなかった。

「と、トイレ……おしっこでちゃうから、トイレ行きたいよ……!」

 おしっこを漏らすなんて、とんでもなく恥ずかしい。おとうさんおかあさんに知られたらどうしよう。何より、他に誰もいないとはいえ、おねえさんにだけは絶対に見られたくない。軽蔑されちゃう。

「へーぇ……おしっこだしたいんだ?」
「そうだよぅ、だから、おねえさん、手、動かすの、もう、やめて……」

 ぼくの弱々しいお願いは。

「──何言ってんだお前♡ 射精(だ)すんだよ、こ・こ・で♡」

 優しく、そして残酷に、拒絶された。

「な、なんでぇっ!? でちゃうよぉ、でちゃうからぁっ!」
「なんでって、射精すためにしごいてやってるんじゃねえか♡ いいぜ? お前はなぁんにも気にすることねぇんだからよ♡」

 あそこをいじる手の動きが大きくなる。寒い日に冷たい手をこすり合わせると温かくなるけれど、とても比べ物にならない。ぼくのあそこが、やけどしたみたいにじんじん熱くなっていって。

「だめぇっ♡ もういじっちゃだめぇっ、でちゃう、おしっこでちゃうからぁっ!」
「ムダムダ♡ ガマンするとおちんちん破裂しちまうぜ? いいから、おねえさんに全部任せてみなって♡」

 がくがく腰が浮き上がるのを、おねえさんに押さえつけられる。耳元でおねえさんの声が聞こえてくる。

 だせ。だせ。はやくだせって。

 声を聞く度に、頭の奥がぼうっとして。ガマンしなきゃって気持ちが薄れていく。でも、だめだ。ガマンしないと、ここでおしっこしちゃったらとっても恥ずかしいから。
 だけど。ここにはおとうさんもおかあさんもいない。おねえさん一人だ。おねえさんがだせって言ってるんだ、だしちゃってもいいかもしれない。ガマンするのはよくないって──あれ? 何をガマンするんだっけ?

「さあ射精せっ♡ 皮被りおちんちんから初物ザーメン早く射精せっ♡」

 その声が聞こえた瞬間。
 ぼくのからだがあつくなって。 

「────ぁぁ、ぁぁあ、あぁぁっっ♡」
「うっは♡ 射精(で)た射精た♡ すげー勢いだなぁ♡」

 おねえさんは、ぼくのしろいおしっこを浴びて、嬉しそうに、愉しそうに、笑っていた。

「ぁ、ぁ……」

 頭の奥が晴れて、ぽかぽか陽気がどこかに行ってしまい、残ったのは、ぼくがおしっこを漏らしたという事実だけ。
 漏らしてしまった。おねえさんの前で、おしっこを漏らしてしまった。消えちゃいたいくらい恥ずかしくて、涙があふれてきそうなのに。

「初めてでこんな量射精すとはなぁ♡ お前、たくさんたくさん我慢したんだなぁ♡」

 えらいえらい、よく頑張ったんだな、とおねえさんはぼくを褒めてくれて、わしゃわしゃと、おしっこのついていない左の手で頭を撫でてくれた。そうされてしまうと、たちまち涙が引っ込んで、代わりににへらとだらしない笑顔が浮かんでしまう。

「それじゃ、味の方は、と……」

 ぼくを撫でる傍らで、おねえさんはしろいおしっこをぺろりと舐めとった。昨日、ぼくのほっぺについたクリームを舐めとったのと同じように。

「ん〜♡ ぷりっぷりで活き活きしてる♡ 今からこれがアタシのモノになるって思ったら……ますます疼いてきちまうなぁ♡」
「……おいしい、の?」
「ああ、アタシにとってはな♡」

 やっぱり、おねえさんの考えていることはよく分からない。
 おしっこを我慢してつかれちゃったせいか、ぼくはぼんやりと、おねえさんが白いおしっこを舐めとる姿を見ることしか出来なかった。顔に体に、飛び散ったそれを右手で拭っては舐めて、合間にぼくを撫でることも忘れずに。 

「初搾りザーメン、ごちそうさまっと♡」

 猫の毛づくろいみたいなお掃除が終わると、おねえさんはお顔をゆでだこみたいに真っ赤にしながら、そうニコニコと笑ったのだった。

「これでボウズも精通が終わったって訳だな♡」
「あかちゃんの、もと……?」
「ああ♡ お前についてるおちんちんを弄ると、白いおしっこがぴゅーぴゅーって射精ただろ? あれが赤ちゃんの素だ♡」

 分かるような、分からないような。ぼんやりと聞いているだけのぼくに気づいているのかいないのか、おねえさんは言葉を続けていく。

「アタシがおちんちんをいじったら、おちんちん、大きくなっただろ? それは勃起って言うんだ♡」
「ぼ、っき……?」
「そうそ、勃起♡ んで、勃起したおちんちんをさらにいじくると、白いおしっこが漏れちゃったよな? 白いおしっこが赤ちゃんの素で精液、精液をだすことを射精って言うんだ♡」
「せーえき……しゃせ、ぇ……」
「良く言えました、えらいえらい♡」

 また頭を撫でられた。頭の奥が、お腹の奥が、ぼうっと熱くなっていく。
 おねえさんが褒めてくれた。おねえさんが褒めてくれたから、これはきっと、良いことなんだ。ぼくには恥ずかしいことだけど、おねえさんにとってはきっと楽しいことなんだ。

「精液を射精するの、とおっても気持ち良かったよな♡」
「うん……びっくり、したけど……ぼおっとして、ふわふわして……♡」
「けどな、それよりもっともっと気持ちよくなれることだってあるんだぜ?」
「も、もっと……?」
「ああ♡ 今度は、アタシと一緒に気持ちよくなるんだ♡」

 おねえさんは水着みたいなパンツを脱ぐと、ぼくの体の上に跨った。おねえさんのおまたの間から、とろとろとよだれみたいなお水が流れている。おねえさんがおまたをすりすり擦りつけると、くちり、くちゅりと音がして、ぼくの心臓がドクンと大きく鳴った。

「これから、アタシとお前は交尾するんだ♡」
「こう、び……」
「そう、交尾♡ 二人で一緒に赤ちゃんを作るんだ♡」
「あか、ちゃん……?」
「ま、できるかは分からないがな♡ ──けどな、手でおちんちんいじるより、何倍も気持ちいいことなんだぜ♡」

 おねえさんが腰を持ち上げる。よく見ると、おまたの間に小さい割れ目が見つかった。とろりとろりとねばついた熱いお水は、そこからじわじわと漏れていたのだ。

「ほんとはもっと詳しく説明してやりたいけれど……今度はアタシが我慢できねえんだ、悪いな♡」
「ううん、いいよ……ぼく、おねえさんとならいい♡」

 自然と口にした言葉。

「おねえさんと、こうび、したい♡」
「────言ったな♡ しっかり聞いたからなぁ♡♡」

 それを聞いたおねえさんは、ぷるぷると震えている腰をゆっくりと──

 ずちゅんっっ!

「ひゃぅぅぅんっっ!?」
「くはぁぁっ♡ キたぁ、ちんちんキたぁぁぁっ♡♡」

 下ろそうとせずに、勢いよく叩きつけた。

「あついぃぃっ♡ ぼくのおちんちんあついよぉっ♡」
「そうだなぁ♡ 熱くて叫びたくなるよなぁ♡ ったく、こどもなくせにナマイキなこと言いやがって、そんなワルい子はアタシがちゃんと受けとめてやらないとなぁっ♡」

 おちんちんが、おねえさんのなかに入って。こすれて。包まれて。おねえさんはおちんちんを入れたまま動いてないはずなのに、なかに入ったおちんちんはいっぱいのきゅうきゅうで弄られて。

「とけちゃうぅっ♡ おちんちん、とけちゃうよぉぉっ♡」
「そうだろう♡ アタシのおまんこで包んでやってんだ♡ 溶けちゃうぐらいに気持ちいいだろなぁっ♡」

 今度は腰だけじゃない。全身ががくがく震えて止まらない。心臓が、バカになったみたいにどくどく音を打ち続ける。おねえさんの両手がぼくの両手を握りとって指を絡めて押さえつけて。それでも震えが止まらない。

「あひっ、ひぃんっ♡」
「可愛くぷるぷる震えちまって、もう射精しちまうのか♡」
「でちゃうっ♡ こんなの、ガマンできないよぉっ♡」
「おいおい、まだ交尾は始まったばっかだぜ♡ ほら、こうして──」

 ぐぷ、ぷぷぷっ……。
 おねえさんが腰を持ち上げると、おちんちんとおまたの間からいっぱいのお水が垂れて──

「こうする、とっ♡」

 ばちゅんっっ!!

「はひぃぃぃぃっ♡」
「どうだぁ♡ 手でするのとはぜんっぜん違うよなぁ♡」

 ぐぷぷっ……ずちゅんっ!

 ゆっくり、何度も、なんども。
 
 ぬぷぷっ……ばちゅんっ! 
 
 おねえさんは腰を持ち上げて、下ろして。

 ぬろぉっ……くぷ、つぷぷ……ぱちゅん!

 もちあげて、おろして。あげて、おろして。

「あ♡ あぁ♡ ぁあぁっ、あーーっ♡」
「──ッ、ハハッ、アハハハッ♡ 気持ち良すぎてまともに声もでないってかぁ♡ イイぜ、どんどん聴かせてくれよ♡ その方が、こっちも、クる、からさぁっ……ほらぁっ♡♡」

 あげて、おろして、さけんで。あげて、おろして、さけんで。
 あたまのおくが、おなかのおくが、おちんちんが。ぼくのなかから、ぐつぐつと音が聞こえてきそうなくらい、熱く、アツクなって、止まらない。

「あ゛♡ あ゛♡ あ゛ーっ♡」
「もう限界か♡ そうだよなぁ♡ アタシの力で増幅させた欲望を、アタシの力で無理矢理ガマンさせてるんだもんなぁ♡ いっぱい、いーっぱい気持ちイイ射精をするためになぁっ♡」
「しゃせぇっ♡ もうでるっ♡ しゃせーしちゃうぅっ♡」
「けどなぁっ♡ それはアタシのしたことじゃないんだぜ♡ アタシが灯すのはお前の欲望だけっ♡ お前の欲望が悪いんだっ♡ 『おねえさんにも気持ちよくなってもらいたい』なんて、お前はほんっとイイ子でワルい子だなぁっ♡♡」

 お姉さんに抱き起こされて、きつくかたくぎゅーって抱きしめられて。ぐしゃぐしゃ乱暴に頭を撫でられて。

「もう我慢しなくてイイからなぁっ♡ お前がイけば、アタシもイくからぁっ♡ ──ほらっ、イけぇっ♡ ぱんっぱんに膨れるまで溜め込んだザーメン、全部アタシん膣内にブチ撒けろぉっっ♡♡♡」

 びゅるるるっ! びゅくっ♡ びゅくくぅっっ♡♡

「ひぐぅぅっっ♡ でたぁっ♡ おねえさんのなかでしゃせいしてるぅぅっ♡♡」
「あはぁぁっ♡♡ キたあぁっ♡ 射精きたあぁっっ♡♡」

 勢いよく、おねえさんの中に精液を射精した。一度だけじゃない、ぼくのおちんちんから、何度も、なんども白い精液が飛びだしていく。射精の度に、おねえさんのなかはきゅんきゅん熱くなってぼくを締めつけて。ぼくはふわふわした気持ちになりながら、全部をおねえさんに吐きだしてしまったのだった。

「……は、ぁ……んっ♡ ったく、射精した精液、まだお腹の中でたぷんたぷんって揺れてらぁ♡ ほら、触ってみろよ♡」

 おねえさんのお腹に触れると、お腹の奥がじんわり熱くなっているのが分かった。びくん、びくんとおねえさんのなかで、ぼくのおちんちんを抱きしめてくれていることも。

「こんなに射精されたら、ホントに孕んじまうかもなぁ……ヒヒッ♡」 
「ぼく、おねえさんのおとうさんになるの?」
「……へっ、まだ早ぇよ♡」

 こつんと額を小突かれる。

「……自分の両親を心配させてるようじゃあ、まだまだお父さんはやれないな♡」
「……あ」

 すっかり忘れていた。おねえさんに会うことに夢中で、おねえさんと再会してからは嬉しくて。そのために、ぼくは色んなことをほっぽりだしてきたことを。

「心配すんな、またアタシが手伝ってやるよ」
「ごめんなさい……それと、ありがとう」
「いいって、気にすんな。まだお前は子供だからな♡ もう少しだけ、こうしててやるよ」

 恥ずかしいところ、情けないところを全部さらけだして。それでもおねえさんはぼくを抱きしめてくれた。乱暴に、髪をくしゃくしゃと撫でながら。

「よしよし♡ いっぱい頑張ったな♡」
「……うん♡」





§





 おねえさんと一緒に路地裏から戻ってきたら、おとうさんおかあさんはすぐに見つかった。三人が何を話していたかはよく覚えていない。二人はおねえさんに何度も頭を下げていたけれど、おねえさんは慌てたように手を振って、困ったように笑っているだけだった。

「それじゃあアタシはこれで──ボウズ、またな♡」
 
 おねえさんが去ってすぐに、おとうさんからすごく叱られて、おかあさんからすごく心配された。
 どうして急にいなくなったりしたんだ、心配したんだぞ。どうしてあんなことをしたの、もう勝手にどこかに行っちゃだめじゃない。
 やっぱりぼくはこどもで、ごめんなさいと謝ることしか出来なかった。昨日助けてもらったおねえさんにお礼を言えなかったからって、理由だけを合わせて伝えて。 



『なあ、ボウズ。一つだけ、約束出来るか?』
『やくそく?』
『ああ、アタシたち二人だけの約束だ♡ 当然、お前のおとうさんおかあさんにも内緒の話だ……守れるよな?』


 でも、おねえさんと何があったかは、絶対に話さなかった。





§





 それから時間は過ぎて、ぼくたち家族が旅行から帰ってきてから少し経ったころ。おとうさんはお仕事で、家にはぼくとおかあさんの二人きり。

 ピンポーン。

「あら、お客様かしら。おかあさん、少し手が放せないから代わりに出てもらえる?」
「はーい」

 とたとたと小走りで玄関に向かい、ドアを開ける。すると、そこには。

「こんにちは。お隣、引っ越してきたのでご挨拶に……おっ、ボウズじゃねえか! 久しぶりだな、元気してたか?」 

 旅行先で会ったパイロゥのおねえさんが居た。だぼだぼのパーカーのジッパーを胸まで上げて、長いジーンズを履いている。 

「何だジロジロ見やがって、一応あいさつなんだから真面目な恰好しなきゃだろ?」
「ううん、おねえさんはどんなお洋服着てても綺麗だなって」
「この野郎、いっちょまえに利いたふうな口聞きやがって」

 かがんだおねえさんにほっぺを摘ままれ、むにむにぐにぐに引っ張られる。にやけた笑顔になってしまうのは、くすぐったいからだけじゃなくて。

『約束、守ってくれたんだな?』
『うん、誰にも言ってないよ』
『そうか──やっぱりお前はイイ子でワルい子だよ♡』

 おねえさんとした約束。それは、あの日おねえさんとしたことを、誰にも話さないこと。おねえさんが選んでくれた、イイ子でワルい子のぼくなら守れるはずだと──そして、約束を守れば、いつか必ず会いに来ると。

『今度、ウチに遊びに来いよ──もっと楽しいこと、シてやるからさ♡』

 おねえさんとの危ない火遊びはこれからも、ずっと、ずぅっと続いていく。
21/12/16 17:14更新 / ナナシ

■作者メッセージ
エロなしで簡潔なやつだけど、後日談を書けたらいいなと思いました、まる。
おねショタでショタ一人称って語彙が難しいですねって。

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