火鼠が可愛いだけ
「お疲れさまでしたっと」
タイムカードをガシャッと差し込む。
僕は無心にジジジと印字される音を聞きながら、明日の仕事の順序を考えていた。
タイムカードを引き抜くと、退勤時間の欄に『20:17』と書かれていた。
「やば、約束の時間じゃねえか！」
今日は結婚記念日で、妻と家で豪勢な食事をしようと計画していた。
約束の時間とは、午後８時半。
スムーズに帰れれば間に合うが、おそらく間に合わないだろう。
「仕方ない、タクシーを使うか」
男は交差点で、空車の表示をつけたタクシーを止めた。
「あ、じゃあここで」
夜の閑静な住宅街の真ん中で、タクシーは静かに止まった。運転手はこちらをミラーで伺いながら金額を提示する。
特に何も考えずに言われた金額と同じ額を出し、レシートだけを貰って降りた。
一軒家の前。
僕は腕時計を確認する。ギリギリではあるが約束に遅れることはなかった。
「ただいまー」
ドアを開けると、強烈な負荷が体に掛かる。たまらず僕は背中から倒れてしまった。
「おかえりアルー！」
フーリンだった。
フーリンは僕に飛びつき、しばらく一方的な熱い抱擁をしたと思うと、僕の肩に頬擦りしながら至高の幸福顔を晒していた。
「こーちゃん遅かったアルな！フーリン心配だったネ、死ぬかと思ったアルよ〜♪放置プレイなんてフーリン嫌いアル〜♪」
「ふ、フーリン！とりあえず家の中でイチャついてくれ！ここは外だ、丸聞こえだっ！」
「そんなの構わないアル！こーちゃん、積極的な妻は嫌い!?」
「話を聞かない子は嫌いだ！」
ぴたり、とフーリンは動きを止めた。
そしてぼろぼろと特大の涙の粒をこぼした。
「うえええええん！嫌われちゃったアルー！ごーぢゃぁーん!!うあああああん!!」
「もうやめてくれえええええ!!」
ご近所さんから注意され、とりあえず中へ。
「ごめんな？嫌いじゃないよ、大好きだよ。こーちゃん、フーリン大好きだから、な？」
「うん……フーリン強いもん……ぐすん」
ひたすら抱きしめて背中をぽんぽんしては、頭を撫でつつ愛の言葉で慰める。
「フーリン、今日の料理は何かな？」
「中華アル！」
「ですよねー」
余談、三日も連続で中華である。
しかし食べさせる身として、連続でも全く飽きさせない料理を生み出すフーリンは自慢の嫁だった。
「あちょー！」
彼女曰く、料理は決闘、らしい。
そして決戦の地は、彼女が料理するというだけの理由で大規模リフォームしたキッチン。
キッチンだけで広さはなんと四畳半である。一見無理なように思えるが、部屋を１つなくしスペースを補充したことで可能になった。
ここまで広いのは、結婚当初はまるで文句を言わず料理を作っていたが、今まで思いっきり体を動かして料理をしてきたのだろう、ストレスが溜まりに溜まり体のあちこちに円形脱毛が発生したからだ。
「チャー、ハイハイー！」
プロ仕様の高火力コンロを操り、まるで舞踏するかのような彼女の料理風景は圧巻。炎のような体毛もこれでもかと赤くなり、目にも留まらぬ速さで具材は中華料理に変身する。
「できた、アルよーっ！」
料理が盛られた皿を絶妙なバランスで雑技団のように持ってきたフーリンは、爪先片足立ちの状態を一切崩さずに皿をテーブルに並べていく。
「はいな、食べるアル♪」
十数種類の大皿料理が並べられ、座っている僕と向かい合う位置にフーリンは座る。
頬杖をついて、僕の顔をじぃと見てくるフーリン。
食べる僕を眺めるのが、何よりも好きなのだそう。
「おいしいアル？おいしいアルか？」
「ああ、とっても美味しいよ。さすがはフーリンだ」
「本当か!?フーリン、今日はいつも以上に頑張ったアル！褒めてくれるの、すっっっごく嬉しいネ！」
「ははは、何も出ないよ？」
「大丈夫ネ♪」
僕の横に来て、小声で囁く。
「いっぱい出せるように、素材、工夫したアル♪」
「……してやられた」
「料理人のイタズラには気を付けることアルな、こーちゃん♪」
僕は顔を引きつらせながら、回鍋肉を口に放り込んだ。
こうして様々な工夫(もしくはイタズラ)によって、わが家のエンゲル係数は、平均以上に高いのであった。
食事を終えると、次は毎日の夫婦の習慣が待っている。
「ホアチョーッ！」
地下室でのスパーリング。
食べたら運動。それが僕ら夫婦が健康でいるための習慣であり、元より好戦的な火鼠のストレス解消や運動不足にも効果がある。
「ほらほら！いつもより反応が悪いよ！」
「そうアルか!?なら、もっと動くネ！」
しかし流石は火鼠、パンチミット越しでも拳の衝撃がビリビリと体に伝わる。『反応が遅い』と言っても僕の体が火鼠の身体能力に慣れているだけで、素人は反応すらできないだろう。
「ヤァーッ！」
天井に吊るしていたサンドバッグが蹴りによって破け、床に砂が散らばったところでタイマーが鳴った。
「二時間終了。お疲れさま」
「ふーっ！いい汗かいたアル！」
そして一汗かいた後、今度は僕がトレーニングすることとなる。
「ぐっ、ぬぅぅ……！」
「ほらほらぁ♪こーちゃん、もっと腰を動かして頑張るネ♪」
風呂セックス。
彼女の提案である、僕のためのトレーニング。
フーリンいわく、『私の夫になるなら、精力トレーニングは欠かせないネ！』……らしい。
僕の身体能力は一般平均より少し劣っている。握力、跳躍力、持続力……元々、運動に関する能力は悪い方だった。フーリンはそれを見て筋力トレーニングを切り捨てたのだろう。
ではどうやって火鼠である彼女を獲得できたのか。
それは数年前、格闘技の大会に出場していたフーリンの傍に、友人の頼みで僕がセコンドとして参加したことから始まる。
相手であるライバルのレンシュンマオと凄まじい戦いの末に、フーリンは敗れた。頭部に竹竿がクリーンヒットし、脳震盪を起こして倒れてしまったのだ。
セコンドということで僕は倒れたフーリンの元に近寄った。かろうじて意識があったフーリンを担架に乗せてひとまず搬送。後日、検査入院から戻ってきたフーリンは僕に向かってこう叫んだ。
『私の夫になるアル！』
どうやら搬送する時に意識と記憶がぼやけ、倒れて最初に見た僕を『負かした相手』だと勘違いしていたようだった。
その直後に友人が真実を話したが、二言は無い、と一点張り。僕は彼女のその強気な態度にあやかり、結婚したのだ。
「ん、あぅ♪あったかいの、出てるぅ……♪」
「ぐおぉぉ……」
３時間ほどの交わりで、僕は彼女の中に８回も射精した。
彼女の中で萎えた肉棒が膣の圧に負けて抜け出る。
僕は肩で息をし、湯船の蓋の上で彼女に跨がれながら果てていた。
「どうしたアルか？こーちゃんのモノに元気が無いアルよ？」
「ふ、フーリン……もう無理……」
「え〜っ、まだフーリン満足してないアルよー」
にやにやしながら顔を近付けてくるフーリンに僕はとてつもない恐怖を感じた。
フーリンは強引に唇を合わせ、赤く燃えている両手で僕の性器を強く握った。
「んーっ!?んんっ！」
熱い。
彼女の炎の中で、熱をもった魔力を浴びた肉棒が再びそそり立っていく。しかも通常時よりもさらに強く反り、荒ぶるという比喩が似合うほど。
「うぅ……あっつぅ……！」
「元気になったネ〜♪それじゃあ続き、もっといくアルよ♪」
荒ぶる槍を握ったまま誘導し、自分で一気に捩じ込んでいく。
ずぶずぶと、一気に入っていく。
「んん、すごぉ……♪」
「ちょ、フーリン……う、があっ！」
快楽に対して貪欲な魔物の本性に火が付いたのか、貪るようにガンガンと腰を振るう。その性交に僕はついていけず、湯船の蓋がバタバタと音がするほど激しいものだった。
僕はフーリンの一方的な責めに抵抗。乱暴に胸を揉みしだいて愛撫し残りの力を振り絞って下から突き上げると、彼女は悦んで嬌声を上げた。
「はぁ、はぁ……んんぅ……っ！あっ、いい♪こーちゃんいいよぉ♪」
「も、もうちょっとゆっくり……うぐぅっ！」
絶え間ない責めに負け、９回目の射精。
精液を子宮で受け止める快楽に、フーリンの細い尻尾が一瞬だけ痙攣する。
しかし全くフーリンは腰を止めず、萎えさせる隙すらも与えない。こちらの顔を見下すように眺めては、とろけた表情で笑う。一方の僕は既に腰を振るう力も尽き、されるがままの状態だった。視界も既に、ぼやけてきている。それなのに僕の性器は彼女を悦ばせるためにそそり立ち、彼女の膣を出入りする。
フーリンは急に腰を大きく激しく責め立てたと思うと、刹那、フーリンは甲高い悲鳴を上げ、のけ反る。
「あん、やぁ……だめぇ！イクぅ、いきゅぅぅっ♪」
声と同時にフーリンの膣が手で絞るかのようにギュウギュウと締め付けてくる。
まだ達したばかりで敏感の僕の肉棒は、我慢出来ずに１０発目の最後の精を放った。
「あぐぅ、うぅ……ぁっ」
体中が干からびていく感覚を気だるく感じていると、フーリンは僕の頬にそっとキスをする。
「エライ、エライ♪フーリン大満足アル♪」
「もうダメ……指の関節にも力、入んないや……」
「しょうがないアルな」
フーリンは僕の腰に手を回して、ひょいとお姫様だっこ。
「あ、ありがと」
「このままベッドでいいアルな？」
「は？」
フーリンは僕に可愛らしい笑顔を見せる。
「今日は結婚記念日アルよ、こーちゃん！いつもの倍はヤるアル！」
「ひえぇ」
次の日、僕は激しい腰痛により会社を休むことになった。
タイムカードをガシャッと差し込む。
僕は無心にジジジと印字される音を聞きながら、明日の仕事の順序を考えていた。
タイムカードを引き抜くと、退勤時間の欄に『20:17』と書かれていた。
「やば、約束の時間じゃねえか！」
今日は結婚記念日で、妻と家で豪勢な食事をしようと計画していた。
約束の時間とは、午後８時半。
スムーズに帰れれば間に合うが、おそらく間に合わないだろう。
「仕方ない、タクシーを使うか」
男は交差点で、空車の表示をつけたタクシーを止めた。
「あ、じゃあここで」
夜の閑静な住宅街の真ん中で、タクシーは静かに止まった。運転手はこちらをミラーで伺いながら金額を提示する。
特に何も考えずに言われた金額と同じ額を出し、レシートだけを貰って降りた。
一軒家の前。
僕は腕時計を確認する。ギリギリではあるが約束に遅れることはなかった。
「ただいまー」
ドアを開けると、強烈な負荷が体に掛かる。たまらず僕は背中から倒れてしまった。
「おかえりアルー！」
フーリンだった。
フーリンは僕に飛びつき、しばらく一方的な熱い抱擁をしたと思うと、僕の肩に頬擦りしながら至高の幸福顔を晒していた。
「こーちゃん遅かったアルな！フーリン心配だったネ、死ぬかと思ったアルよ〜♪放置プレイなんてフーリン嫌いアル〜♪」
「ふ、フーリン！とりあえず家の中でイチャついてくれ！ここは外だ、丸聞こえだっ！」
「そんなの構わないアル！こーちゃん、積極的な妻は嫌い!?」
「話を聞かない子は嫌いだ！」
ぴたり、とフーリンは動きを止めた。
そしてぼろぼろと特大の涙の粒をこぼした。
「うえええええん！嫌われちゃったアルー！ごーぢゃぁーん!!うあああああん!!」
「もうやめてくれえええええ!!」
ご近所さんから注意され、とりあえず中へ。
「ごめんな？嫌いじゃないよ、大好きだよ。こーちゃん、フーリン大好きだから、な？」
「うん……フーリン強いもん……ぐすん」
ひたすら抱きしめて背中をぽんぽんしては、頭を撫でつつ愛の言葉で慰める。
「フーリン、今日の料理は何かな？」
「中華アル！」
「ですよねー」
余談、三日も連続で中華である。
しかし食べさせる身として、連続でも全く飽きさせない料理を生み出すフーリンは自慢の嫁だった。
「あちょー！」
彼女曰く、料理は決闘、らしい。
そして決戦の地は、彼女が料理するというだけの理由で大規模リフォームしたキッチン。
キッチンだけで広さはなんと四畳半である。一見無理なように思えるが、部屋を１つなくしスペースを補充したことで可能になった。
ここまで広いのは、結婚当初はまるで文句を言わず料理を作っていたが、今まで思いっきり体を動かして料理をしてきたのだろう、ストレスが溜まりに溜まり体のあちこちに円形脱毛が発生したからだ。
「チャー、ハイハイー！」
プロ仕様の高火力コンロを操り、まるで舞踏するかのような彼女の料理風景は圧巻。炎のような体毛もこれでもかと赤くなり、目にも留まらぬ速さで具材は中華料理に変身する。
「できた、アルよーっ！」
料理が盛られた皿を絶妙なバランスで雑技団のように持ってきたフーリンは、爪先片足立ちの状態を一切崩さずに皿をテーブルに並べていく。
「はいな、食べるアル♪」
十数種類の大皿料理が並べられ、座っている僕と向かい合う位置にフーリンは座る。
頬杖をついて、僕の顔をじぃと見てくるフーリン。
食べる僕を眺めるのが、何よりも好きなのだそう。
「おいしいアル？おいしいアルか？」
「ああ、とっても美味しいよ。さすがはフーリンだ」
「本当か!?フーリン、今日はいつも以上に頑張ったアル！褒めてくれるの、すっっっごく嬉しいネ！」
「ははは、何も出ないよ？」
「大丈夫ネ♪」
僕の横に来て、小声で囁く。
「いっぱい出せるように、素材、工夫したアル♪」
「……してやられた」
「料理人のイタズラには気を付けることアルな、こーちゃん♪」
僕は顔を引きつらせながら、回鍋肉を口に放り込んだ。
こうして様々な工夫(もしくはイタズラ)によって、わが家のエンゲル係数は、平均以上に高いのであった。
食事を終えると、次は毎日の夫婦の習慣が待っている。
「ホアチョーッ！」
地下室でのスパーリング。
食べたら運動。それが僕ら夫婦が健康でいるための習慣であり、元より好戦的な火鼠のストレス解消や運動不足にも効果がある。
「ほらほら！いつもより反応が悪いよ！」
「そうアルか!?なら、もっと動くネ！」
しかし流石は火鼠、パンチミット越しでも拳の衝撃がビリビリと体に伝わる。『反応が遅い』と言っても僕の体が火鼠の身体能力に慣れているだけで、素人は反応すらできないだろう。
「ヤァーッ！」
天井に吊るしていたサンドバッグが蹴りによって破け、床に砂が散らばったところでタイマーが鳴った。
「二時間終了。お疲れさま」
「ふーっ！いい汗かいたアル！」
そして一汗かいた後、今度は僕がトレーニングすることとなる。
「ぐっ、ぬぅぅ……！」
「ほらほらぁ♪こーちゃん、もっと腰を動かして頑張るネ♪」
風呂セックス。
彼女の提案である、僕のためのトレーニング。
フーリンいわく、『私の夫になるなら、精力トレーニングは欠かせないネ！』……らしい。
僕の身体能力は一般平均より少し劣っている。握力、跳躍力、持続力……元々、運動に関する能力は悪い方だった。フーリンはそれを見て筋力トレーニングを切り捨てたのだろう。
ではどうやって火鼠である彼女を獲得できたのか。
それは数年前、格闘技の大会に出場していたフーリンの傍に、友人の頼みで僕がセコンドとして参加したことから始まる。
相手であるライバルのレンシュンマオと凄まじい戦いの末に、フーリンは敗れた。頭部に竹竿がクリーンヒットし、脳震盪を起こして倒れてしまったのだ。
セコンドということで僕は倒れたフーリンの元に近寄った。かろうじて意識があったフーリンを担架に乗せてひとまず搬送。後日、検査入院から戻ってきたフーリンは僕に向かってこう叫んだ。
『私の夫になるアル！』
どうやら搬送する時に意識と記憶がぼやけ、倒れて最初に見た僕を『負かした相手』だと勘違いしていたようだった。
その直後に友人が真実を話したが、二言は無い、と一点張り。僕は彼女のその強気な態度にあやかり、結婚したのだ。
「ん、あぅ♪あったかいの、出てるぅ……♪」
「ぐおぉぉ……」
３時間ほどの交わりで、僕は彼女の中に８回も射精した。
彼女の中で萎えた肉棒が膣の圧に負けて抜け出る。
僕は肩で息をし、湯船の蓋の上で彼女に跨がれながら果てていた。
「どうしたアルか？こーちゃんのモノに元気が無いアルよ？」
「ふ、フーリン……もう無理……」
「え〜っ、まだフーリン満足してないアルよー」
にやにやしながら顔を近付けてくるフーリンに僕はとてつもない恐怖を感じた。
フーリンは強引に唇を合わせ、赤く燃えている両手で僕の性器を強く握った。
「んーっ!?んんっ！」
熱い。
彼女の炎の中で、熱をもった魔力を浴びた肉棒が再びそそり立っていく。しかも通常時よりもさらに強く反り、荒ぶるという比喩が似合うほど。
「うぅ……あっつぅ……！」
「元気になったネ〜♪それじゃあ続き、もっといくアルよ♪」
荒ぶる槍を握ったまま誘導し、自分で一気に捩じ込んでいく。
ずぶずぶと、一気に入っていく。
「んん、すごぉ……♪」
「ちょ、フーリン……う、があっ！」
快楽に対して貪欲な魔物の本性に火が付いたのか、貪るようにガンガンと腰を振るう。その性交に僕はついていけず、湯船の蓋がバタバタと音がするほど激しいものだった。
僕はフーリンの一方的な責めに抵抗。乱暴に胸を揉みしだいて愛撫し残りの力を振り絞って下から突き上げると、彼女は悦んで嬌声を上げた。
「はぁ、はぁ……んんぅ……っ！あっ、いい♪こーちゃんいいよぉ♪」
「も、もうちょっとゆっくり……うぐぅっ！」
絶え間ない責めに負け、９回目の射精。
精液を子宮で受け止める快楽に、フーリンの細い尻尾が一瞬だけ痙攣する。
しかし全くフーリンは腰を止めず、萎えさせる隙すらも与えない。こちらの顔を見下すように眺めては、とろけた表情で笑う。一方の僕は既に腰を振るう力も尽き、されるがままの状態だった。視界も既に、ぼやけてきている。それなのに僕の性器は彼女を悦ばせるためにそそり立ち、彼女の膣を出入りする。
フーリンは急に腰を大きく激しく責め立てたと思うと、刹那、フーリンは甲高い悲鳴を上げ、のけ反る。
「あん、やぁ……だめぇ！イクぅ、いきゅぅぅっ♪」
声と同時にフーリンの膣が手で絞るかのようにギュウギュウと締め付けてくる。
まだ達したばかりで敏感の僕の肉棒は、我慢出来ずに１０発目の最後の精を放った。
「あぐぅ、うぅ……ぁっ」
体中が干からびていく感覚を気だるく感じていると、フーリンは僕の頬にそっとキスをする。
「エライ、エライ♪フーリン大満足アル♪」
「もうダメ……指の関節にも力、入んないや……」
「しょうがないアルな」
フーリンは僕の腰に手を回して、ひょいとお姫様だっこ。
「あ、ありがと」
「このままベッドでいいアルな？」
「は？」
フーリンは僕に可愛らしい笑顔を見せる。
「今日は結婚記念日アルよ、こーちゃん！いつもの倍はヤるアル！」
「ひえぇ」
次の日、僕は激しい腰痛により会社を休むことになった。
14/12/08 20:26更新 / 祝詞