連載小説
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快楽の檻、永遠の檻
「…さあ、来て下さい♪」

 寝台に仰向けに寝そべったルリエが両手を伸ばし、誘ってくる。衣服の下半身は肌蹴られ、その隙間から覗く太股が眩しい。思えば彼女の肌を見るのは初日に胸の傷を見せられて以来であった。



 …ここは彼女の自室である。尋問室での口づけにより気絶させられ、目を覚ました時にはもうここへ連れ込まれていた。捕虜である自分の房よりは流石に上等だが彼女の出自を考えればむしろ質素な印象を受ける。無駄な装飾などは徹底的に廃し、最低限必要なものだけが小綺麗に纏められているのだ。・・ただベッドだけはやけに大きく、しかも新しく見えた。

 自分たちはこれから所謂初夜を迎えようとしていた。彼女のものになると言葉では誓ったが、ルリエ曰く、やはり身体で誠意を示すべきとのことらしい。
 いつか直接交合する日が来ることは覚悟していたのだが、今日いきなりその日が来るとは正直思っていなかった。これまでの・・愛撫と呼べるかさえ分からない程度の接触ですら満足に耐えられた試しは無く、意識を保つ事自体難しいという有様だったのだ。事実、殆どの場合最後は失神させられている。そんな自分がいきなり彼女との本番に耐えられるか・・否、耐えられるわけが無い。しかも自分・・実は童貞である。

「大丈夫です!魔力の放出は最大限抑えていますし・・初めてなので特別に私が下になってあげます♪貴方のペースで・・好きに動いてもらってかまいません♪」

 そう言って手を伸ばす彼女の目は期待にキラキラと輝いていた。そしてそこに少なからぬ不安の色が同居している。・・彼女もまた、拒絶を恐れているのだ。
このような目をされて自分が尻込みしていては男が廃るというものである。覚悟を決め、彼女の股の間に立ち、股間を露出させた。

「うぁ・・!?」

 漏出を抑えているとはいえ、彼女の魔力の精への渇望は強烈だ。目の前に股間を晒した瞬間、搾精の魔力が纏わりつき腰全体がくすぐったい快感に包まれる。このまま手をこまねいていれば、彼女の前に立っているだけでいずれ射精まで導かれてしまうだろう。その確信があった。

「さあ、早く・・♪」

 彼女が催促する。
 その声に応えるべく、蠢く極上の羽毛の中を突き進む感覚に晒されながら・・たった数十センチメートルの距離を・・数十メートルの道をゆく体感を持って・・・歩みを進めていく・・。


・・どれだけの時間が経ったか分からない、実際は数秒に過ぎなかったのかもしれないが、逸物の先端が彼女の入り口・・染みひとつ無いスリットの目前へと辿り着いた。そして一呼吸を置き、恐る恐るそこに触れる・・。

「うはぅッ!?」
「あっ♪」

 その瞬間、下半身で快感が爆発した。
 その柔らかな割れ目に先端を食まれ、ひとたまりも無く暴発したのだ。彼女の胎内へ入る事叶わなかった精液が下腹部へ振りかけられていく・・。

「ご馳走さまです♪でも中に入る前に出ちゃいましたね・・・これはこれで美味しいのですがやっぱり膣内で味わいたいので・・ちょっと魔法を使わせてもらいますね?」

 見れば彼女の入り口にかかった筈の精液はきれいさっぱり消えている。あっという間に肌から吸収されてしまったのだ。その代わり、股間に小さな魔方陣が出現していた。それは一度だけわずかに輝くと、尿道からこちらの内部へと吸い込まれていく。

「な、何を・・」
「あとでのお楽しみです♪さあ、もう一度頑張りましょう!」

 先ほどせっかく詰めた彼女との距離は射精の衝撃で再び開いてしまった。射精直後の敏感な亀頭を魔力にくすぐられ腰が抜けそうになるが、震える足で堪えながら歩みを進める。先ほどと同じ行程を先ほど以上の労力をかけ、繰り返した。



 そしてまた、先ほど一瞬で敗北した彼女の門番たるそのスリットに再度辿り着き、触れる。

「ぐが・・・!!?」

 やはり一瞬だった。
 前回よりも敏感になった先端を好色な唇に啄まれ、屈服させられる。

「よく我慢できました!ではそのまま中へ・・」
「え・・?」

 不可解な言葉を聞いた、今自分は確かに絶頂した筈である。
 しかし下を見れば、本当に精液は一滴も漏れていない。

「・・?」
「きて・・♪」

 こちらの困惑も意に介さず、彼女は挿入をねだる。
 本当にアレに耐えたというのだろうか・・自分が?こうしている間にも彼女の入り口はやわやわとこちらを食み、より内部へと獲物を飲み込もうとしてくる。その動作がまた耐え難い快感をもたらし続けた。そのままでいれば10秒もしないうちに今度は本当に漏らしてしまうだろう・・。
 どうせ漏らすならばやはり彼女の中で果てたい。歯を食いしばり、奥へ腰を進めた。


「ひっ・・・!?」

 ついに亀頭全体が膣内に飲み込まれた。
 そしてここでひとつ思い出す。挿入前、彼女の股間からは愛液がほとんど漏れていなかった。そのような潤滑油など無くとも彼女の滑らかに過ぎる肌は一切の抵抗無くこちらを飲み込んで見せたのだが、その答えがここにあったのだ。
 彼女の中に入ってすぐ、まず出迎えたのは愛液のプール・・何のことは無い、彼女はそれを外に漏らさず、すべて内に留めていたに過ぎない。そして愚かにも無防備で進入してきた最愛の獲物に対して、その液体が一斉に牙を剥いた。

「ひぎぃ・・・!!?」

 亀頭部分がカッと熱くなり、感覚が冴え渡る。
 リリムの肉体を持つ彼女のすべては媚薬である。魔力も、肌も、髪も、唾液も・・呼気や体臭すら生物に対して協力無比な効果を持つ。そしてそれらの中でも愛液は別格だった。他者の皮膚に触れれば瞬時に染み込み、神経に作用して気が狂うほどの快楽を与えながらそこを性感帯へと変えてしまう猛毒・・その中に元々の性感帯を浸けたらどうなるか・・・。


「・・捕まえました♪」

 下に寝た捕食者が恍惚の表情で笑う。
 本能的な身の危険を感じ、反射的に腰を引こうとする。

「ほひっ!?」

 しかし引けなかった。代わりに情けない悲鳴が漏れる。
 まるで強力な減圧がかけられているかのように、とてつもない力に阻まれ彼女の中から抜くことが出来ない。むしろ抜こうとするほど綿密に配置された襞や柔突起が亀頭をくすぐり、猛毒の愛液を刷り込んでくる。
 そしてこの期に及んで、精液が放たれる感覚が無かった。絶頂自体は彼女の中に入った瞬間から確かに続いているというのに、だ。
 
「なん・・で・・・・」

 自分は今にも泣き出しそうな情けない顔をしていることだろう。しかしそんな自分を彼女は慈愛に満ちた表情でやさしく見守っている。

「先ほどの魔法の種明かしをしましょう。アレの効果は主に二つ、一つは貴方の射精を封じること、そしてもう一つは私の膣内から抜け出せなくなることです。効果は私が絶頂するまで・・つまり私をイカせなければ貴方は永遠にココから出ることは出来ません♪」

 ・・無理だ。
 無理に決まっている。今ですら意識を保てているのが不思議なくらいなのだ。この上彼女を絶頂させるなど・・そもそもほんの少し腰を進めようとするだけで内部の微細な襞が猛烈に反撃を返してくる。それを媚薬の海で無際限に感度が上がり続ける肉棒で受けるのだ。勝てるはずが無い・・。

「さあ、そんな入り口で止まっていては私をイかせることなんて出来ないですよ・・と言っても動けなさそうですね・・・ちょっと手伝ってあげましょう♪」

 ルリエの病的に白い両の足が腰の後ろに回った。
 この意図は分かる。そしてそれをされればどうなるか・・
 泣きそうになりながら彼女に慈悲を請う・・

「や、やめ・・・」
「えい♪」

 ばちゅん!

 ・・が、聞き入れられることは無く、軽快な水音を立てて腰は強制的に打ち付けられた。

「ほぉ・・・・ほひぃぃぃ・・・・・・」

 一瞬で彼女の際奥に到達させられる。
 自らの力だけで進んだとすればおそらく気の遠くなるほどの時間と労力を奪われたであろうその行程が、ほんの1秒もしないうちに済んでしまった。
 しかし、本来受けるはずであった刺激までパスできるほど彼女の体は甘くなかった。彼女の中を進む過程で加えられた刺激はその襞の1枚、柔突起の1本に至るまで余すことなく表皮に記憶され、1拍遅れて再生される。
 片道の道程で迎えた筈の絶頂が後から追いかけてくる。たった1回さえも不当に免れることは許されない。そしてその間も膣内の蠕動が快感を加え、絶頂を蓄積させていく・・。
 脳が処理できる絶頂のスピードを体に蓄積される絶頂のそれが上回る。結果、たった1回彼女の中に腰を突き入れただけで、いとも簡単にイキッぱなしの状態にさせられたのだ。腰が砕け、上半身が倒れる。彼女の両脇に両手を着いて何とか体を支えた。

「あらあら・・もうイキッぱなしですか♪でも・・いいんですかぁ♪早く私をいかせてココから抜かないと・・・私の愛液がどんどん染み込んで感度が下がらなくなってしまいますよ?大事なところが敏感になり過ぎて一生パンツが穿けなくなってしまいます。まぁそれはそれで楽しそうですが・・仮にそんな生活になっても私がしっかりサポートするので安心してください♪」

 そんな殺生な・・
 絶頂しっぱなしで体が満足に言うことを聞かないうえ、少しでも腰を動かそうとすれば膣内の襞群に猛烈な反撃を受けるのだ。こちらが動かずに居れば緩い締め付けとゆっくりと撫でくすぐる様な蠢きで肉棒をもてなす優しい膣内が、自分から動こうとした瞬間に男をイカせるために最適化された膣圧と隆起する乳突起や襞の群れを以て暴虐の限りを尽くす。
 男の反乱を一切許さない、絶対的強者の構造。
 逆らえば心を折るようなお仕置きを受けるが、大人しくしていれば天国のような歓待でトロけさせてくれる。彼女の膣内はまさに、飴と鞭を使い分ける天然の調教室だった。
 そんなところに捕えられた肉棒は一瞬で本能的に躾けられてしまい、自分の意思で腰を振ることなど考えるだけで恐怖がこみ上げる。しかし・・かといって動かずこのままで居れば彼女の言うように愛液の毒に侵され、自分の体がどうなってしまうかわからない。しかし・・しかし・・・・・


「ふふ、気持ちよすぎて動けませんか?でも別に腰を振るだけが唯一の方法ではありません、他の性感帯を責めたっていいのですよ?ほら・・例えばこの胸とか♪」

 そう言って彼女はその巨大な肉球を持ち上げた。白い布に包まれたそれがむにゅりと形を変える。・・ちなみに彼女は下半身の衣服は肌蹴ているが上半身は着たままである。やはり胸の傷のことを気にしているのだろうか・・。
 ・・そしてこれは罠である。その肉に触れた瞬間、絶頂する箇所が1つ増えるだけなのは火を見るより明らか・・しかしこの状態で他にとりうる手段も無く、こうしている間にも愛液の毒が体を蝕んでゆく・・。

「あ・・・・」

 それまで踏ん張っていた両の足がついに限界を迎えた。つられて両腕の力も抜け、彼女の上に倒れこむ。

「ひぎぃ!?」

 薄くなった胸板に彼女の乳塊が襲い掛かった。二つの体の間で乳房がつぶれ、開発済みの乳首が乳の海に咀嚼される。両の胸の先から背骨に向けて重い絶頂感が駆け巡った。



「え・・大丈ぶほひいいいいぃぃぃ!?」

 しかし、こちらを案じてかけられたその声は途中で遮られる。

 ・・まず自分の頭は彼女のそれの隣に墜落した。目の前には魔物特有の長い耳が差し出されている。最早首から下にはまったく力が入らなかった。故に最後の悪あがき・・唯一動くその口で目の前の耳を食んでみたのだ。

 そしてこの声である。

 どうやら彼女の意外な性感帯を引いたらしい。しかしこちらの体力も限界であり、近いうちに意識も持っていかれるだろう。その前に間に合うか・・いや、もう間に合わずともよい。ただせめて、この気持ちだけは伝えておこうと、彼女の耳穴へ舌を這わせながら近づいてゆく。早くしなければ・・この体に粘膜で触れること自体自殺行為なのだ。今にも彼女の耳に触れている舌先が絶頂を迎えそうだった。

「ひにゃっ!?しょこはぁ・・・・!!?」
「ルリ・・エ・・・・すき・・だ・・・・・・・・・・」
「はにゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」
 
 股の下で熱水が迸るのを感じる。同時に腰の奥がドクンと脈打った。

「しょんにゃ・・・はんしょ・・くぉっほおおおおおーーーーーっ!!?」

 彼女の絶頂がトリガーとなって魔術の封印が解かれる。止められていた精液が一気に彼女の子宮をめがけて放たれた。その衝撃が彼女を再び絶頂に打ち上げる。
 精に飢えた膣内も突然のご馳走に狂喜乱舞し、吐き出された精を貪り食い始めた。未だ体験したことの無い大量射精の快感にそれらが重なり、こちらの思考も完膚なきまで破壊される。結果、直前の言葉を無意識のうちに壊れたように繰り返していた。そして耳朶を打つその言葉と振動が彼女を頂から降ろさなかった。

「るりえ・・すき・・・」
「ほにょおおおおおおおお!?」
「す・・・き・・・・・・」
「はへええええぇぇぇ・・・♪」

 仰向けで宙を見つめるルリエの顔が、もしかしたら生まれて初めてかもしれないアヘ顔へと変わってゆく・・。



「す・・・・・き・・・・・・・・・・・・・・・」
「はひぃぃぃぃ・・・・・・・・・・・・・・わら・・・ひ・・も・・・・・・・・・・」


 誰も来ない部屋・・二人折り重なり、意識は闇の中へと呑まれていった・・・。



・・・・・・、

・・・・、

・・。





「すみませんでした・・・・・・。」

 あのルリエが目の前で頭を下げている。まさかこんな日が来るとは・・

「正直浮かれてました・・よくよく考えればいきなりあんなことをすべきではなかった・・いや、本番行為事態まだ早かったのです・・。でもやってる間に気分がノッてしまいつい・・・・・。」
「まったくです。しかも邪魔されたくないからと事前に私を失神するまでイカせまくって・・目が覚めてからも半日以上イクのが止まらなくて大変だったんですから!私があの場に居ればこんなことになる前に救出できたものを・・」

 従者であるシルエラにまでそう言われ、ルリエが更に小さくなる。

「いえ・・・・気に・・うっ、していません・・から・・・」

 あの後、約半日後にルリエが目覚めるまで繋がったまま二人で気絶していた。彼女はそれで不都合は無いのだが問題は自分である。自分の股間のモノは濃度調節なしの強力な媚毒である彼女の愛液に半日以上浸かりっぱなしだったのだ。
 結果、行為の最中に彼女が脅かしたとおりに・・敏感過ぎてパンツも穿けない体になってしまったのである。・・事実、目を覚ました瞬間に自らの上に掛けられた毛布の感触で射精する目にあった。
 現在は内側に触手が隙間無く生えた、魔界製の下着を着けている。快楽を与える事が目的の調教用のものではなく、摩擦の少ない触手で隙間無く股間を覆うことで出来る限り外部からの刺激を抑えることを目的とした製品である。・・こんなものが量産されているという事は似たような状態になる魔者が魔界には結構居るのかもしれない。しかしこれを穿いてもなお、移動しようとすれば大体5歩歩くごとに精液を漏らしてしまう有様だった。
 ただ、愛液とともに体に貼り付いた搾精の魔力だけは、寝ている間に取り除いてくれてあった。もしそれが機能していたら今こうして満足に喋ることも出来なかっただろう。

「あぅ・・貴女と一緒になる、事を決めたのですから・・この位は覚悟の上です・・。」
「 ミ゛ バ  イ゛ ル゛  ざ   ん゛ !  ! 」
「うぐっ・・・・」

 ルリエが滂沱と涙を流しながら飛びついてくる。そしてこのような衝撃でもこの体はたやすく絶頂してしまうのだ・・。







・・・・・・・、

・・・・。



「・・と言うわけで、考えた結果今後の搾精はココを使うことにしました。」

 そう言ってルリエはその豊乳を持ち上げて見せた。
 一瞬尋問室での光景が頭を過ぎり、不安になる。

「大丈夫です。あの男の時と違って今度はしっかり手加減しますので!」
「あの時は全力だったんですか?」
「いえ、発狂しそうで出来ないギリギリの状態が最大限長く続くように手加減しました。」
「・・・・・・・・・・。」
「まぁまぁ、大丈夫ですよ!私を信じて身を任せてみてください♪それに今後の為の特訓にもなるのです!」

 特訓・・この極度の早漏も改善するのだろうか。しかし彼女がここまで言うのだ、大人しく言うとおりにしてみよう。

「ありがとうございます♪ではシルエラ、後ろをお願いします。」
「はいお嬢様。・・さぁ、力を抜いてくださぁい♪」

 いつの間にかシルエラが背後に回りこんでいた。そのまま上半身に腕を回され、床にゆっくり引き倒される。流れるような動作で正座に座った彼女の膝の上に正面から膝枕をされ横になる形となった。
 同時に下半身の方からはルリエが股を割り近づいてくる。そしてその細腕で腰を軽々と持ち上げるとやはり正座をした彼女の膝の上にそれを落とした。そして入り口を作る為、胸の下側にあるボタンを1つだけ開ける。
 触手パンツがひとりでに解けた。敏感過ぎる逸物が外気に晒され、空気の流れに感じて先端から涙を流す。
 乳が持ち上げられ、開けた入り口に棒の先端が来るよう位置が調整される。その様子はなんとなく断頭台に架けられているような感覚を思わせた。
 そして準備が整う。

「それでは・・」
「・・・・・・。」
「いただきますっ!」

 とぷん・・。

 その凶悪な肉が、目の前に差し出された極上の餌に食らいつく。
 潤滑油になる薬液や唾液など一切使わず、それでもわずかな引っかかりも無くそれはするりと一呑みにされた。

「あふ・・」

 不思議な感触に包まれ、思わず声が漏れる。

「ふふ、入れただけでもう漏れちゃいましたね・・気づいてます?」
「・・え?」

 そんな感覚は無かった。信じられずに顔を下方に向ける。・・確かに彼女の胸元、服の布地に小さな染みが広がっていた。

「・・?ふぁ・・」

 奇怪な感覚に混乱していると肉体の反応に遅れて快楽が沸きあがってきた。しかしそれは今まで体験してきたものとはまったくの異質・・じわじわと腰の底に溜まってゆく快感。そして乳肉に包まれている肉棒にもまた別種の快感が発生する。こちらは彼女が皮膚表面に纏う魔力の層による羽毛でくすぐられるような感触、そしてそれを周囲から柔らかく押し潰そうとする優しい圧力である。
 それらが上と下の両方から別種の快感が自身を挟み込み、圧力を増してゆく。まるで膨らみ続ける風船を押し潰そうとするかのように・・・そしてそれは突然弾けた・

「ふぁ・・・なにこれ・・?」

  何の予兆も無く、突然身体が絶頂を迎える。しかしそこに射精は伴わない、精液は全く別の快感を伴いながらそれとは関係無しに漏れ続けるのだ。
 訳が分からなくなる。
 
「何が起きてるのか分からないって顔ですね、いいんです、こういうものだと思って落ち着いて快楽を受け入れてください♪」

 落ち着けと言われても慣れる事の出来無い異様な感覚に翻弄され、思考をまとめる事も出来ない。腰の奥底で無限に膨らみ続ける重い快感が焦燥を生み、挟み込まれた肉棒は優しさに満ちた肉の暴力に晒される。まるでぬるま湯で茹で殺されるような・・柔らかさで押し潰されるような・・相反する感覚が同居し、得体の知れない恐怖が湧き上がった。
 このままでは発狂してしまいそうだった。

「やめ・・・助けて・・」
「あ、あれ?余計混乱させてしまいました・・?シルエラ、落ち着かせてあげて!」
「はい!お嬢様♪」

 突然視界が柔らかな重みに閉ざされる。
 シルエラの乳を乗せられたのだ。
 そして彼女のそれは顔面すべてを覆い尽くして余りある。ルリエの方にばかり気を取られ失念していたが、この体勢では彼女が少し体を倒すだけで自分の呼吸は完全に制御下に置かれてしまうのである。
 顎下までを包み込む布越しの柔肉に口は完全に塞がれ、鼻の下に僅かに出来た隙間のみが唯一の空気の通り道だった。しかしそこから息を吸えば・・
 
「はぁい、怖くないですよぉ〜♪おっぱいの下の匂い・・たっぷり嗅ぎましょうねー♪」

 そう、彼女の淫気を思い切り吸い込んでしまう。彼女とて上級サキュバスである。そんなことをすれば無事では済まないだろう。・・しかしもう息が限界だった。
 精神の静止も聞かず、肺が酸素を求め胸の谷間に溜まった・・彼女の淫気と匂いがたっぷりと染み込んだ空気を吸い込んでしまう。

「あんっ♪そんなに一気に吸ったら・・・」
「むごおおお・・!!?」

 嗅覚を通して脳が犯される。
 その匂いは想像していたよりもずっと甘く、濃厚だった。匂いが粘性を伴って鼻の穴から気道・・そして肺へドロリと流れ落ち、そのすべてに張り付き染み付いて取れなくなってしまいそうだ。意識がふわりと浮かび上がり背筋が仰け反る。・・匂いのみで脳が絶頂させられていた。

「どうですかぁ?胸の谷間は特に淫気が篭もりやすいですから・・そしてそれが汗で流れ落ちて最後に溜まるのがそこなんですよぉ♪あ、貴方のおっぱいも気持ちよくしてあげますね♪」

 そのままシルエラの手が胸板へ伸び軽く撫でる様に触り始めた。

「んんーーーーーーーーッ!!?」

 収まりかけた絶頂が引き伸ばされ重なる。
 そしてやがてそれも収まり、背中から力が抜ける・・が、今度は背筋だけでなくその他すべての筋肉から力が抜けてしまった。
 全身が心地よい倦怠感に包まれる。

「????」

 何が起きたのか分からない。
 いずれにしろこの状況で身じろぎすら出来ない体にされてしまったのだ。まさにまな板の上の鯉。
 普通なら混乱し取り乱すところ・・、しかし不思議と心は落ち着き、恐怖は湧いてこない。それどころか先ほどまで感じていた得体の知れない恐怖もきれいに消え去っていた。まるで全身の力と一緒に溶けて流れていってしまったかのように・・

「落ち着きました?・・もう怖くないでしょう?」
「・・・。」

 最早喋る事さえ出来ないが実際その通りだった。

「魔物の魔力にはそれぞれ固有の『性質』が宿る事があります。例えばそれに触れた相手の発情を煽ったり感度を引き上げたり・・魔力自体が直接快感を与える事もあります。そして私のそれは脱力と陶酔・・私に抱き締められた人はみんな、ふにゃふにゃに力が抜けて素直なイイ子になっちゃうんですよ♪・・ほら、気持ちいいでしょう?」

 確かにこれまでに何度もそんな経験はあった。疑問の1つが氷解する。
 そして不思議な感覚だった。思考は鈍っているのに頭は妙にすっきりしていて彼女の言葉がすんなり入ってくる。大地に水が染み込む様に理解できてしまう。与えられる情報も感覚もただそう言うものとして、疑問を挟む余地も無く受け入れることが出来た。それがたまらなく心地よい。

「・・上手くいったみたいですね、ではもう一度下へ意識を向けてみましょう♪」

 言われるがまま、意識を今もルリエの胸に包まれたままの股間へと戻した。その瞬間、今まで忘れていた感覚が甦り体が勝手にイキ始める。しかしその絶頂はやはり異質・・快感の起伏が無く、緩い絶頂感が延々と継続している感覚・・そして精液は相変わらず勢い無くとろとろと少量ずつ漏れている・・。まるで性的快感を伴いながら失禁を続けているような感覚・・・ただそこに恐怖は無く、言葉に出来ない確たる安心感があった。

「落ち着いたみたいですね。では続けましょう、まず一回・・」
「うあっ・・」

 そう言ってルリエが一度だけその胸をコネた。その動きに搾り出されるように、絶頂感が爆ぜ、精液が漏れる。まったく我慢ができなかった・・出来ないどころか射精の堪え方自体がわからなくなったと言うほうが的確かもしれない。

「ふふ、・・勝手に漏れちゃうでしょう?それでいいのです♪・・ではこのまま続けますので出来るだけ意識を保ってくださいね?」

 彼女の手が動く。ほとんど力を掛けず、水の入った袋を揺らすような手つきで腰の上に陣取った2つの塊を撫でるように、交互に動かしていく・・。その手が乳を捏ねる度、断続的に絶頂が襲い掛かった。

「あっ・・、あっ・・あっ・・あっあっあっあっあっぁっぁっぁっぁっぁっぁっぁ・・」

 元々そこに捕らえられているだけで緩い絶頂感が継続していたのだ。そこから更に絶頂が重なる。短く軽いオーガズムが繰り返し押し寄せ、手の動きが速度を増すほどその感覚が短くなってゆく。そしてついにそれは繋がり、絶頂から降りられなくなった。そうなればその状態を元に、更にその上へと絶頂感が重なってゆく・・・。

「ぁぁっぁぁっぁぁぁあぁぁぁーーーーーーーーーーーーー・・・・・」

 最早自分が何を喋っているのか、何を漏らしているのかも分からなくなった。視界は明滅し、世界がぐるりと回る。精神が重力の支配から解き放たれてゆく・・。

「あはっ♪潮を噴き始めましたね♪このままいろんなお漏らしさせちゃいましょー!」

 ルリエがノリノリで胸元の凶器をコネまくる。彼女の顔は恍惚に上気し、その谷間で味わう甘露の味に蕩けていた。そして彼女を制する立場のシルエラはといえば、胸の下から感じる熱い呼気と立ち上る精気に中てられ、涎を垂らしながら放心している。
 ここにその暴走を止められる者は無く、やがて意識は闇の中へと飲まれていった・・。


・・・・・・・・・・、

・・・・・、

・・・。




「「本当にすみませんでした・・・・」」

 ・・それはデジャヴ。
 目の前にはルリエが頭を下げている。ただ前回と違うのはその隣にシルエラも並んでいる所だ。

「私がついていながら・・面目ありません。」

 シルエラも項垂れていた。

「い・・いえ、気にしていませんの・・で・・・・・それで魔力の回収は・・」
「残念ながらこれ以上は・・」
「・・・・・。」

 目を覚ましたとき、自分の股間はまだルリエの胸に囚われたままだった・・と錯覚した。彼女の残存魔力が乳房の感触をとり、そこに取り憑いていたのだ。

「貴方が寝ている間に出来る限り取り除いたのですが・・どうも深くまで入り込んで結合してしまったようで・・・・ごめんなさい。」

 それでも魔力の大半は回収されたおかげで彼女の乳擦りそのものの感触が続いているわけではないが、10秒に1回程度は柔らかく絶頂に導かれてしまう。そして更に深刻なのがその感触を常に加えられているせいで腰が砕けたままになってしまい、満足に立ち上がることも出来なくなってしまった事である。

「あ、あの・・日常生活は私がしっかり補助してなるべく不便は取らせないようにしますので何卒・・・・」

 そう言ってこちらを見つめるルリエの目には涙が浮かんでいる。そして怖れも・・

「そんな・・目をしないでくださ・・・い・・、どんな体になっても・・自分は貴女と一緒に居たいんです・・・こちらこそこれからもっ・・、よろしくお願いします・・。貴女に見捨てられたら自分は・・生きてい・・けないんですから・・・・」
「「  ミ゛  バ   イ゛  ル゛  ざ  ん゛  !  !  」」

 2人が滂沱と涙を流し飛びついてきた。その衝撃でやはりまた精を漏らしてしまう。







「それにしても・・ここまで魔力が深く染み込んでしまうとは想定外でした・・。何故・・シルエラ、貴女が淫気を吸わせすぎたのでは?」

 ルリエがふと疑問を口にする。

「・・あ。」
「ん?」
「昨日イキまくって汗いっぱいかいて・・服がそのままだったので染み付いた匂いと淫気が濃かったのかも・・・・」
「着替えてきなさい。」
「はいいいぃッ!!」

 ルリエにジトリと睨まれ、シルエラは逃げるように走っていった。

「まったく・・・私も人のことは言えないのですが・・。いえ、それよりも前向きに考えましょう。今後のための訓練と思えばこの状態はむしろ有用かもしれません。」
「…この状態で出さないように我慢するんですか!?」

 …とてもじゃないが出来る気がしない。ましてや直接彼女の胸に囚われれば言わずもがなである。

「いえ、そうではありません。訓練したからといって肉体の感度が落ちる事はありませんし…そもそも胸での刺激は我慢をさせないのが特徴の責めなので・・受け続ければむしろ早漏化が進行します。」
「え…」

 今さりげなく残念なお知らせがあった。

「精を漏らすのは不可避…ならば射精自体を堪えるのでは無く複数回の絶頂に精神が耐えられるようになればいいのです。…何年後か何十年後かは分かりませんが貴方の身体もいずれ魔物化が始まるでしょう。そうなればおのずと精の生産能力は環境に合わせて向上していきます。しかしそれだけ…インキュバス化に過度の期待は禁物です。性機能に関してだけ言えば、あくまで精力が強化されるだけと考えておいた方が無難でしょう。特に感度が落ちるわけでも精神力が高まるわけでもありません、肉体が魔物との性交に耐えられるよう進化するだけです。」
「つまり状況は今とあまり変わらないと・・」
「私は精がいっぱい貰えて嬉しいですが・・貴方をなるべくなら壊したくないし出来れば貴方にも楽しんで欲しいのです・・・。」

 なんとなく彼女の言わんとする事が分かってきた。

「なので繰り返し絶頂を迎えても失神しないよう・・そして長時間の搾精で心が壊れないよう訓練をしていきませんか?それには肉体にあまり負担を掛けず、軽めの絶頂を積み上げていくパイズリは最適なのです!」

 そう言ってルリエは胸を張る。自分から精を搾り尽くしたその二つの凶器がふるりと揺れ、自然と目が引き寄せられた。股間に感じ続ける柔らかさと相まって失神前の記憶がフラッシュバックし、思わずイキそうになる。
 
「んんっ・・わかりました・・・。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「はい♪私もいつか本気の愛欲をぶつけてみたいので!その時は・・受け止めてくださいね?」
「努力しますが・・・お、お手柔らかに・・・」
「ふふ、まぁ先の話です♪時間は無限にありますし私はいつまでも待ちますので、気長に行きましょう。」

「着替えてきました!!」

 ・・絶妙なタイミングでシルエラが帰ってきた。

「・・・。とりあえず一緒に入浴しませんか?大浴場へは私が抱っこして連れて行きますので・・」
「えっ、私が着替えてきた意味はッ!!?」

 帰ってきた従者を無視し、彼女が自分を抱き上げようと近づいてくる。
 このまま外を歩くのだろうか・・とても恥ずかしい。

「大丈夫です。貴方を笑うような者が居たら後で私が死にたくなるほど後悔させてやりますから。その時は一分の手加減もしません。」

 そういう問題では・・いや、これでいいのかもしれない・・いいような気がしてきた。彼女なりに自分を守ろうとしてくれている・・それが分かって嬉しかった。

「はは・・、その時は・・よろしくお願いします。」
「はい♪では行きましょうか。」
「ゑ、私はッ!!?」
「え、貴女も来る気ですか?」
「あ・・当たり前です!!そもそもお嬢様が彼を市場に流したら裏から手を回して私が買い取ろうと思ってたんですからっ!!」

 今明かされる衝撃の事実。ルリエも絶句している。

「分け前を要求します!とりあえず大浴場へは私が連れて行きますので!!」

 そう言うと彼女はルリエより先に自分を抱え上げ足早に部屋を後にしようとした。

「ちょ・・ちょっと!!」

 後ろからルリエがあわてて追いかけてきた。

「貴女浴場に着いたら・・・覚悟する事ですね。」
「望むところです!」

 頭上で主人と従者との戦いが始まった。
しかし・・数奇な運命を辿りこんなところまでやって来てしまったが、彼女らの言い合いを聞きながらやっぱり魔界は平和なのだと感じていた。







 ・・なお、その後大浴場でシルエラが晒すことになった姿は彼女の名誉の為忘れることにする。






――――――魔界某所にて



 黄昏に染まる大瀑布、その黄金の光に照らされる小高い丘の上にその城は佇んでいた。
 重厚な漆黒の威容、しかし逆行の中立ち並ぶ無数の尖塔はどこか神聖さも感じさせる。そしてその最上階に、『彼女』は居た。

「・・でね、そういう訳だから貴女にも手伝って欲しいのよ・・エリザ。」

 彼女は板状の何かを耳に当て、宙に向けて話しかけている。だがけして独り言ではない、魔王軍で開発された遠距離通信装置・・その試作機を使って遥か遠方の旧き盟友と会話しているのだ。

「ええ、お母様ったらそれはもうカンカンで・・私に命令が下ったの。しかも出来る限り派手にやれって・・そりゃ私一人でも出来るけど・・どうしたって地味になるでしょ?だから私が知る限り貴女が適任なのよ。・・ええ、もちろん行きの転移に掛かる魔力は私が持つわ。・・ありがとう。それじゃしばらくしたらまずそっちに行くわね。」

 ひとしきり喋り終え、彼女はその魔道器を置いた。彼女こそこの城の主、メーベルライザー・バートレット。魔界の最高戦力こと王女リリムが1人である。

 目的の協力を取り付けた彼女は一度軽く伸びをし、部屋の隅へ目を向ける。
 この部屋・・と言うよりはフロアといった方がいいかもしれない。何せこの最上階は部屋の仕切りが無く、階すべてが1つの空間となっているのだから・・・。ここは展望台兼彼女の執務室なのだ。
 そんな場所にもかかわらず、彼女が目を向けた先には巨大な寝台が鎮座していた。そしてその上には今、女の山が出来ている。
 配下の魔物・・全てサキュバスだ・・が10体、寝台に寝かされた1人の男に群がり、犯していた。
 彼女らは皆、城仕えのメイド達である。
今はちょうど休憩中なのだ。城主自ら考案した扇情的なデザインの給仕服を中途半端に肌蹴、餌の男に襲い掛かっていた。


「あはっ♪またイッたぁ・・あぁ〜美味しいいいいいぃぃ最高ぉ〜♪」
「ちょっと・・あと5分で交代だからね!?」
「はぁ〜あと5分だって♪それだけあればもう2回は出せるよねぇ?・・出来なきゃあとでお仕置きだから♪」
「おしり・・きもちよくしてあげるね・・・・・。」

 男の上で腰を振る1体が蕩けた表情で精を貪っている。淫媚に腰をくねらせながら打ち下ろすたび、その大きな胸がぶるんとゆれた。順番待ちをしているもう1人は男の右腿に抱きつき、涎を垂らしながら二人の結合部を眺めている。手持ち無沙汰なその手は無意識に男の内腿を擽っていた。そして反対側の腿には、更にその次を待つもう1人が陣取っている。彼女は仲間内でもテクニックに定評のあるその細指で、男の尻穴から前立腺をマッサージしていた。感情を表に出さないその無口な表情とは裏腹に指の動きはやたらとねちっこい。
 そして更に下、男の両足にも1人ずつが取り付き、その足指をしゃぶって僅かな精を啜っている。その表情はまるで母親の乳を吸う赤子のように幸福に満ちていた。

「ほら、手が止まってる!もっとしっかりおっぱい揉んで!・・そうそう♪上手になってきたじゃない♪」
「左手も忘れずにお願いしますね♪」
「あふぅ・・次は反対側も吸ってぇ♪あぁ極楽・・」
「「・・・・・・・・・・。」」

 上半身はと言えばまた別のグループに占拠されている。右手を奪った1人がその手に自分の胸を揉ませ、左手を取った者は尻を愛撫させながらそれぞれ自慰に耽っていた。頭の位置に陣取った1人は自分の膝の上にそれを寝かせ、開いた口に胸の先を押し込み吸わせていた。残りの2人は彼の胴に貼り付き、夢中で両の乳首を舐めしゃぶっている・・。
 男の体はその五体すべてに至るまで貪り尽くされていた。

「こら!・・せっかく買ってあげたんだから大切に扱いなさいよ!?」

「「「はぁ〜い♪」」」

 言いつけを守る気があるんだか無いんだかよく分からない返事が返ってくる。まぁ貴重な人間の男であり大事な彼女らの夫である、そうそう壊すことも無いだろうが・・彼女らのはしゃぎ様を見ると不安になってくる。
 彼は少し前に自分が反魔領へ偵察任務に赴いた際、道中でたまたま遭遇した奴隷商から買ったものだった。本来であれば目立つ行動は避けるべきであったが、その商人の奴隷に対する扱いを見て、結局奴隷全てを、商人ごと買い上げてしまった。
手に入れた奴隷はそのほとんどが男であったため、魔界の奴隷商に転売すれば大儲け出来ただろうがそうはしなかった。いつも世話を掛けている城の配下達に与えることにしたのだ。
 さすがに配下全てに行き渡るには数が全然足りず、約10人で1人を共有するような有様となってしまったが彼女らは泣いて喜んでいた。まあ複数人で1人を愛する覚悟があるなら特に問題は無い。そもそもこんな魔界の奥地で人間の男を手に入れようと思えばそれこそとんでもない額の金が必要になる。でなければ魔王軍に志願して危険な前線に立つしかないのだ。それを思えば彼女らの浮かれ様も理解できるというもの・・。しかし魔界生まれの一際淫乱な魔物たちを複数相手しなければならない男の方はたまったものではない。彼女らがやり過ぎないか、毎日気が気ではなかった。

 ちなみに一緒に連れてきた奴隷商にはもっと割のいい仕事を紹介して差し上げた。今頃魔界のとある施設で魔力生産の為に精を搾られる仕事に励んでいる筈だ。今頃涙を流して私に感謝しているに違いない。



「あ、あの・・主人様・・・・」

 不意に隣からか細い声が上がる。
 
「・・?あつ、ごめんなさい。」
「い・・いえ・・・・・・・」

 目の前で行われる淫惨な食事風景にあてられたのか、隣に侍ったメイドの尻を無意識に揉みしだいていた。慌てて手を離す。
 この空間に存在する女の中で、彼女は唯一の人間だった。名をエリシアという。
 奴隷商から買った奴隷の中に1人だけ混じっていた女である。城に帰って配下に人間を与えると言った次の瞬間、彼女だけが売れ残っていた。
 自分の分を確保しておかなかったことを悔いつつも今更1人返してなどと言うのも忍びなく・・せっかくなので手元に残った彼女を飼う事にしたのだ。連れてきた時はお世辞にも器量がよいとは言えない娘だったが・・自室に籠もってひたすら全身を弄り回した結果、上級種の魔物かと見紛うような美しさに仕上げることが出来た。以後は自分の専属メイドとして常に横に置いている。
 先ほどまで揉んでいたこの尻も見事だ。規格外と言えるほどの大きさまで膨らませたそこは彼女が動くたびにふるふると揺れて見るもの全てを誘惑し、その柔らかさを視覚に訴えてくる。・・見ていたらまた触りたくなってきた。
ただ・・その感度もまた陰核並みにまで引き上げてあるので床には彼女が噴出した様々な液体が水溜りを作っている。しかしそれでもなお彼女が膝をつくことはない。改めて自分の調教の腕前に惚れ惚れする。

「そうだ、出発前にちょっとミルクをいただけるかしら?」
「はい、ただ今・・」

 エリザを待たせているがその位は許してくれるだろう、何せ永い付き合いだ。

「んっ・・・」

 エリシアが服の胸元を開け、片方の乳を取り出した。既に雫の滴っているそれをカップに寄せ、彼女のミルクを注ぐ。・・これも調教の成果だ。よい味を出せるよう乳房は入念に育ててある。でも帰ったらもうちょっと大きくしてみようか・・。
そして乳白色の液体で満たされたカップが差し出された。
 
「ありがとう。」

 優しくさわやかな甘みが口を満たす。ミルクといえばホルスタウロスと言われるだろうが、人間のそれもそれはそれで趣があるのだ。これから任務で城を離れ、しばらく飲めなくなるであろうそれをじっくりと味わった。



・・・・・・・・・。



「ふう・・ご馳走様。」

 カップを返す。そろそろ行かなければ・・

「それじゃ・・留守をお願いね?これを渡しておくから、あの子達がやり過ぎるようだったら止めてあげて。」

 そう言って彼女に1本の杖を渡した。
 この杖には自身の魔力が込められている。相手に向けて引き金を引けば失神するほどの快感を与え、瞬時に無力化させることが出来るという代物だ。懲罰用の道具であるとともにこの城の統括者代理の証でもある。・・いずれ彼女が正式な所有者となるであろう品だ。
エリシアが魔物化してサキュバスとなった暁には、彼女を側近として迎えようと決めていた。

 城の管理を彼女に託し、窓を開け放つ。



「じゃあちょっと国を1つ・・消してくるわ。」



 報復の弾丸が今、人間界へ向けて放たれた。
16/11/14 01:55更新 / ラッペル
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■作者メッセージ
 ようやく完結させることができました。途中だいぶ間が開いてしまいましたが応援してくださった読者の皆様には感謝です。

 ・・今後しばらくは短編でいこうと思います。

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