連載小説
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???×ワーシープ
「ん、あむっ、んれるっ、ちゅるっ、ちゅぷちゅぷ……」
 何だろう……凄まじく気持ちいい。
 うん、気持ちいいことは気持ちいいんだ、だいぶ前から。
 今日は冬にしてはえらく晴れていて暖かかったから、散歩でもしようと思って川のあたりに行ったのだが、あまりにもいい陽気で気持ちよかったので、その場で寝っ転がってお昼寝をしたのだった。
 でも、今感じている気持ちよさは気候の気持ちよさとは全然違う。何か、下半身から甘く、全身に広がる気持ちよさだ。
「ん〜……?」
 寝足りない気分だけど、快感の元が気になったから、重たいまぶたをゆっくりと開けてみる。なんか、女性の声が混じっているのも気になるし……
「れるれろれろっ……んちゅっ、ちゅぱちゅぱ……」
 下半身に目を向けると、俺の下腹部あたりに白いもこもこしたものが見えた。
良くみると、そのもこもこには顔が付いている。その人(?)は亀頭をなぞるように舌を這わせたり、キスする感じでくちづけたりと、俺にフェラチオをしてくれていた。
「にゃ、にゃんだってー!?」
 その衝撃の事実に一気に頭が覚醒……しなかった。俺の思考は温かい泥沼に引き込まれたままで、また眠ることを誘ってくる。そのため、ろれつも回っていなかった。
「ん〜? 起きちゃったかなぁ?」
 フェラチオしていた人(?)がその手を止めて俺をのぞき込んできた。
「うぅ……だ、だれ……」
 眠気に逆らって訪ねてみる。
「はいー、ワーシープですぅ……」
 相手は答えた。
 なるほど、ワーシープなのなら今の眠気、快感、女性がまとっている白いもこもこしたもの、全て辻褄が合う。
 ワーシープ……羊系の魔物娘だ。彼女達が纏っている羊毛は眠りの魔力を秘めており、彼女の近くにいるとふわふわとした眠気に襲われる。ワーシープたちはターゲットの男性が眠っている間に性的に襲いかかって虜にする恐ろしい魔物娘だ。
『恐ろしいだなんてとんでもない! むしろご褒美です!』
 でも、何もかもが出来過ぎな気もしてきた。
「夢……かな?」
「夢じゃないですよぉ。ほぉら……んふぅ、んぐっ、んんぅ……あむっ、んむぅ、んっ、んんぅ……」
 ワーシープが俺のペニスを全部飲み込みにかかった。そのまま頭を緩やかに上下させ、くちびるで俺のモノをしごいてくる。
「う……あ……気持ちいい……」
 眠気、快感……それらが心地よく俺をふわふわと甘い世界に誘う。その言葉を嬉しく思ったのか、口唇愛撫はより熱烈なものとなった。舌が口の中で亀頭に絡みついて舐めまわしてくる。
 まどろみのなかで腰に重い、むずむずとした感覚がたまってきた。
「んふっ、さっきよりもっと大きくなってきたぁ……出そう〜? 一杯お口に出してねぇ〜♪」
 フェラチオに更に細かな手コキも加わった。こんなの、我慢できるはずがない。
「あっ、出る……うあっ!」
 腰に溜まっていた快感が爆発し、どくんとペニスが脈打つ。
「んふぅ、んっ、んんぅ……こくん、こくん……」
 まどろみの中でちょっとだけ苦しげな声が聞こえたがそれもすぐ収まり、何かを嚥下する音が聞こえた。続いてワーシープの声が聞こえてくる。
「一杯出しましたねぇ〜、とっても濃くて美味しかったです。次はぁ……」
 ワーシープが立ち上がった気配がした。
「こっちに下さい〜」
 その言葉とともに俺のペニスに、温かくてぬるぬるしているものが当たった。
『もしかして……』
 眠い目をなんとかこじ開けて様子を見てみる。
 はたして、ワーシープが俺に跨って亀頭に秘裂を押しつけ、今まさに入れようとしているところだった。
ずちゅ、にちゅ……
 そのまま、俺のペニスが彼女の膣内に飲み込まれる。
「ああ、すごい! 逞しくて……んぅ、私の奥をごりごりして……ふあああ、気持ちいいですぅ……!」
 ワーシープが甘い嬌声を上げながら感想を言う。
「うあ、ああああ……」
 一方俺は、はじめての女性の膣の感触にただ、間抜けな声しかあげられない。熱くて、ぬるぬるしていて、それでいてきゅきゅっとペニスに吸い付くように何かが絡みついてくる。こんな感覚、ローションオナニーとかでは味わえない。
「気持ちよすぎる……うう、このまま眠りたくない……」
 思わず俺はそう言う。
「う〜ん、時々ワーシープの能力も困ってしまうことがありますねぇ……じゃあ、ちょっと荒療治ですけど、起きてくださいねぇ……」
 ワーシープが俺の身体を抱え起こす。そして俺のくちに柔らかいものを押し当ててきた。さらに、なにかぬめったものを口の中に差し入れられてくる。
 それは彼女のおっとりした口調からは想像もつかないくらいぐちゅぐちゅと俺の口の中を掻き回し、俺の舌に絡みつき、歯列をなぞってくる。
『ああ……俺、キスされているんだ……』
 少しして俺はぼんやりとした頭で考えた。キスってこんなに気持ちよかったんだ。これだけでイクってことはないかもしれないけど、ある意味、オナニーより気持ちいい……
 いや、気持ちいいってだけじゃない。なんか苦しくなってきたぞ!?
 やばい! 酸欠状態だ!!
「ん、んんんぅ!!」
 自分の危機を訴えようと、俺は彼女の腕の中でもがく。
「ん……ぷはっ! 目が覚めましたか?」
「ああ、覚めた……」
 確かに荒療治だが、叩いたりするより効果的だった。冷たい空気を思いっきり吸い込んでいると、頭がはっきりとしてくる。
 そして俺は初めて、目の前の女性をはっきりと見た。
 まんまるでくりくりとしているけど、ちょっと眠気と情欲でとろんとした目が可愛らしいワーシープだ。
「かわいいね」
 思わず俺はつぶやく。
「はうぅ、うれしいですぅ。嬉しいからもっと気持ちよくしますぅ」
 そう言って彼女は腰を動かしてきた。腰を上下に動かしながら、背中からお尻までうねうねと前後に動かす。
 その動きはとてもゆるやかだけど、とても気持ちよかった。激しくないのに、こんなに気持ちいいだなんて……!
 さっきフェラチオで出したばかりのはずなのに、これだけでイッてしまいそうだ。
「イキそう……んっ、ですかぁ? ふああっ、我慢……しないで……くぅう、出していいですよぉ?」
 嬌声でとぎれとぎれになりながら、ワーシープが話しかけてくる。
「私もぉ、あぅ、あっ……さっきしゃぶっているだけぇ……ふぅんっ! もう気持ちよく……んふぁ……なっちゃってて、もうイキそう、イキそうなんですぅ……」
 ワーシープが俺をぎゅっと抱きしめた。顔が俺の横に来てしまったので見えなくなってしまったが、彼女の吐息が俺の耳をくすぐるのがエロくてまた興奮する。
「だから……そのまま、出して……」
 そう言って彼女は俺の耳たぶを甘噛みした。耐えられなかった。
「うあっ、うああああ!」
 腰が跳ね上がる。無意識のうちに俺は亀頭を彼女の子宮口にごりごりと押し付けながら射精した。
「ああっ! 熱い、激しいぃ……! んあぁ、ああああっ!」
 俺の射精が引き金になったのか、彼女もイッたようだ。ぎゅぎゅっと彼女の膣が収縮し、俺の精液を牛の乳のように絞ろうとしてくる。
「イッてるのに、そんなことされたら……くぅう!」
 強すぎる刺激に俺は身体を硬直させる。ワーシープも俺を抱えて離そうとしない。
 二人の身体に絶頂の嵐が吹き荒れていた。
 その嵐が過ぎ去ったころ、俺はワーシープの魔力に関係なく、意識を手放していた。







「あの〜……以前、本屋で働いていましたよねぇ?」
 目が覚めたところで、彼女がおずおずと話しかけてきた。
「えっ!? なんで知っているんですか!?」
「よく行く本屋に、カッコイイ人がいたので、気になっていたんですぅ。でもぉ……」
「でも?」
 俺は尋ね返した。気になっていたのなら声をかけてくれれば良かったのに、と思いながら。
 彼女はちょっとうつむいて答えた。
「でも、ヤンデレが好きだって聞いたから……それで、私はヤンデレじゃないし……包丁持って血まみれとかそんなことできないですぅ……」
「それはヤンデレじゃない」
 俺はキッパリと言った。
 彼女の気を引きたくてとかそんなことナシに言った。彼女が言うのは、間違いなくヤンデレじゃない。
 それはヤンデレ風だ。最近、ヤンデレを勘違いしている輩が多くて困る。
ヤンデレ好きとしては嘆かわしいことだ。
 ああ、確かに俺はヤンデレ好きだ。目の前のワーシープがヤンデレだったらそれはそれは更に歓喜ものだ。
 彼女はそうじゃないようだけど、全然関係ない。
 なぜなら……
「ヤンデレには、愛があることが大大前提だ!」
 その言葉を聞いて、ワーシープの目が輝く。
「はいーっ! まだ全然話したことないですけど、愛はありますぅ!」
「なら、全然OKだ! いや、OKとかそう言うのじゃなくて……その……なんかめちゃくちゃになっちゃったけど、付き合って下さい、よろしくお願いします」
 眠たげな目を一杯開き、にっこりと笑いながら彼女は返事をした。
「はいーっ、ふつつか者ですが、よろしくお願いしますぅ♪」



 こうして俺の、監禁とかはされていないけど、まどろみのように甘い生活が始まったのだった。
15/03/26 23:27更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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■作者メッセージ
こちらも、数年前にとあるヤンデレが好きな絵師さんをモデルに書いてそのモデルにプレゼントしたSSです。そしてこちらもざっと3000字行ってしまったSS……何が掌編小説だ……orz


しっかし、あらためて過去の文章を見てみると、表現のバリエーションがまるで成長してないな……orz

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