連載小説
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うさみちゃん、最初の事件?
名探偵だよ、うさみちゃん!!
 
とある市街地にて、犯罪者を紛糾し警察に通報するのが大好きなことで有名な名探偵、ワーラビットのうさみちゃんという少女がいました。
「は〜い、うさみちゃんだよ♪」
「うさみちゃん、もういいでしょ〜私もう何もしないからぁ〜だから私を監視するようについてくるのやめてよぉ…」
 うさみちゃんのすぐ傍には、近所で様々な悪行をすることで有名な、迷惑犯のグリズリーのくま子ちゃんが今学校へと登校をしています。彼女はうさみちゃんと同級生で、よくうさみちゃんに自身の悪行行為を見つけられます。警察へ通報されることが日常茶飯事で、尚且ついつものことながら大迷惑なので、うさみちゃんはこうして片時も離れずくま子ちゃんを監視することで悪行を防いでいるというわけです。
 「う〜ん、やっぱり退屈ね。事件が無いと…」
「えっ!?何を言っているのようさみちゃん、世の中平和が一番だよ!最近なんてお年寄りの人が誰にも看取られずに孤独にさびしく亡くなっちゃう世の中なんだから…」
 うさみちゃんはわざとくま子ちゃんから視線を逸らし、顎に手をやりなにやら思案顔に耽ります。名探偵であるにもかかわらず、事件が発生することを望み毎日のつまらない日常から日々抜け出そう彼女は努力をしています。
 その努力の成果で彼女は、くま子ちゃんという別名『歩く犯罪者』と出会うことにより、彼女の周囲にいることで身近に事件に遭遇することが頻繁に多くなり、彼女の手から携帯電話が手放せなくなる時が続きました。
そしてくま子ちゃんもまた、うさみちゃんの疑惑の目から逃れようとあれこれ試行錯誤を繰り返し、犯罪者スキルを日々向上させようと努力を怠ることはありませんでした。それは酷い時、一日に数件もの事件を起こしてしまったりと彼女の犯罪者のレベルが格段に上がってきています。
 (さぁ…くま子ちゃん、早く事件を起こしなさい!!)
 うさみちゃんは顔を見られないように逸らし、影で口元を押さえ必死に薄笑いを浮かべるのを堪えました。しかし目だけは妙に狐の様に細く刃物になり、片手に隠し持つ携帯をウズウズとさせ『早く警察へと通報したい』と衝動に駆られるも必死に我慢していました。
 「きゃー!!覗きよぉ〜誰かぁ〜!」
 近くの住宅街の民家で若い女性の悲鳴が上がりました。どうやら覗き魔が出没したようで、彼女の住む民家には、彼女の声を聞き駆けつけて慌てて来た人達(主に男性)が野次馬をつくっています。
 (計 画 通 り ! !)
 さっそくうさみちゃんの目論見通り、くま子ちゃんの姿がほんの数秒の間にうさみちゃんの傍から煙の如く消えていました。

 「やっぱりいた…」
 事件現場に妙な熱気に駆られた野次馬がつくられているなか、その中心に例の如くくま子ちゃんの背中らしき姿が映し出されています。
 「一体何なんださっきの悲鳴は?」
 「最近物騒よねぇ〜、私の隣の所の奥さんが下着を熊っぽい姿の人に盗まれたとか言って騒がしかったもの…」
 「覗きした奴うらやましいよぉ…俺もラミアの茉莉さんの成熟した女の裸体を見たかったのによぉ!!」
 「奇遇だな…俺と趣味が合う人間がいたとは、今晩酒を飲みに行かないか?お前とはいい酒が飲めそうな気がするんだ」
 「あっ、あれ…近所の皆さん?あっ、あれ〜何で皆が居るのかなぁ…いやああぁぁ!!見ないでぇ…こっち見ないでええぇぇぇ!!」
 野次馬の奥から覗きの被害に遭ったラミアの茉莉が、風呂場の窓越しから顔を出し家の前に集まる野次馬の多さに挙動不審にきょろきょろと困惑していた。ラミアの茉莉こと九十九茉莉は、近所でも指に入るくらい有名な魔性の美貌を持つラミアだ。彼女は近所で働く花屋には、毎日客足が滞ることは無く売り上げも鰻昇りで繁盛しているそうだ。(大半は彼女の姿を拝みに来たり、アプローチを仕掛ける男の客が過半数を占める。容姿も良く尚且つ気立てのよいため男でなくても女性客も多く、皆から好かれているのがよく分かる)
野次馬の中には、一目ラミアの茉莉の目に入れても痛くないあの裸体目当てに、野次馬の中に必死に入り込む人間の姿が嫌でも目に入る。
 「おい、どうだ?見えたか、見えたか、見えたかぁ!?」
 「くっ、不覚だ…見えない。俺は茉莉さんのあの素晴らしい『ボン、キュ、ボォ〜ン』の姿が見れれば我が人生一生の悔いなしDA!」
 「 くそぉ〜、俺の股間に漲るこの『ハ○パー兵器』がウズウズしてズボンが窮屈で仕方が無い!あぁ、俺はもうあんな薄っぺらい本でオカズなんかしたくないのに…実物見てぇーよぉー!!」
 「ふっ…性欲を持て余すZE☆」
 うさみちゃんの隣で妙にませた中学生らしき少年達が、野次馬の後ろで肩車をして両手に望遠鏡を装備してまるで戦場の現場に赴く斥候のようだった。
 「前方、野次馬の奥から彼女の姿を確認することができません、隊長指示を!!」
 「くっそおおぉぉ!!蛆蝿のように集るこのゴミ共がぁ、ひと段落したらすべて焼き払ってやる!」
 所謂典型的中○病の中学生を尻目にうさみちゃんは、来ている制服のブラウスの下を恐る恐る覗くと、酸っぱい顔をして意気を消沈させる。
 (くっ…やっぱりないよぉ…悔しいよぉ)
 何故か心が涙で溢れる感じだった。やっぱり男はでかいほうがいいのかと思案してしまい、ショックを隠しきれない。
 「どうした、どうしたぁ〜!?はっ、何だこの人だかりは!?」
 蠢く蟻の行列と化す野次馬に新たな人物が加わった。その人物は男で、髪型は金髪で重力に逆らうかのように奇妙に逆立ち顔は意外と悪くない、しかし格好はどこか個性的である。その長身の姿に個性的な服装が合わさって、ある種のカリスマ性を醸し出す。しかしそのカリスマ性は決して良い方向のものではないと、うさみちゃんは思った。
 「いってええぇぇ…何だこのボールは、どっから現れた?この俺を愚弄するのかぁ?このキ○グの俺に…」
 男は背格好に似合わず、子供の様にすぐ顔を真っ赤にしていきなり自分に当たったボール相手にボルテージを上昇させている。その姿は実に大人げないものだった。
 「ぷっ…おいおいあれ元キ○グじゃないか、転倒王者元キ○グ?いやジ○ック・アホラス…て、うわああぁぁ聞こえているし!!」
 「貴様…自分が何を言っているか分かっているなぁ!?」
 覗き騒ぎで野次馬根性に火がついた人間達がいる中、その後ろでかなり物々しい雰囲気が漂い根性に火がついた人間達は、その雰囲気を敏感に感じ取り今度はいきなり始まった乱闘まがいなトラブルに目が釘付けとなる。
 「俺のターン、ドロー!」
 「俺のターン、ドロオォォ…」
 「貴様何をしている!俺のターンだろうが!?」
 「ふっふふふ…今始まっているのは闇のデ○エル、何でも有りの俺ルールDA!」
 「なっ、ふざけるな!!」
 「メインフエェーイズに入る、俺はお前を生贄に捧げラーの…」
 (よし、今だ)
 何やら後ろで誰かの煩い悲鳴が聞こえてくる、この周辺一帯だけが何故か雲行きが怪しくなり、野次馬達は後ろでガヤガヤと騒ぎ覗き事件なんてそっちのけの状態だった。僅かにできた隙をうさみちゃんは見逃さない。
 「よし、玄関の方まで来たわ!」
11/02/05 23:31更新 / 墓守の末裔
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■作者メッセージ
最初の事件といってもまだ冒頭なのが失敗したところです。

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