物乃怪複鳥草紙 −青鬼乃巻−
「椿と牡丹が嫁いだとさ。」
「ほう、あの碁狂いを射止めた奴がいたか。」
作りかけた薬を棚に置き、話しかけてきた奴の方へと顔を向ける。
「酒蔵の若旦那だそうだ。」
「酒蔵？鳥丸のところか？」
「知ってるのかい？」
「ああ、酒は百薬ともいうからな。奴とは知識を分け合った仲だ。」
今話しているのは青鬼の桔梗で、うちの薬屋の馴染み客だ。
この桔梗、鬼なのに酒に滅法弱い。
こいつと出会ったのは薬用の草や実を採りに山を歩いてた時のことで。
乾燥させて砕いて用いるもの、煎じて煮出すことにより効能があがるもの、それらを探して草木を掻きわけて行くと木に凭れ掛り顔色を悪くしてる奴がいた。
職業柄、そんな状態のものを捨て置くことなど性分が許さないので近づいていくと。
それは物乃怪で、しかもえらく別嬪だ。
だが、酒気をまとっており今にも死にそうな顔をしてるのでは台無しと言わざる得ない。
俺は手持ちの薬草を二日酔いに効くよう配分し煎じてやり、飲ませてやる。
すると気分が優れてきたようでえらく感謝され。
そこから付き合いが始まったのだ。
「それにしても相変わらず臭いねぇ。ここは。」
「薬屋だからしょうがないだろう。で、それだけの世間話でもしにきたのか？」
「いや、嫁いだ祝いに宴があるそうだから誘いに来たんだよ。」
「ふむ、奇遇だな。俺も桔梗を誘おうと思っていたんだ。」
薬箱の上に置いてある書状を手に取り、桔梗へと振ってみせる。
「なんだ、お前さんの所にもきてたのか。」
「知識を分け合った仲といっただろ？」
膝を立てて立ち上がると彼女の肩を軽く叩き、家の出口へと向かう。
刻限的に、そろそろ宴が始まる時間だからな。
「おい、薬はいいのか？」
「あの状態でしばらく寝かせないといけないからな。放置でいいんだよ。」
「そうか、って。待て！紅鳥！」
「はよこんと戸を占めるぞ？」
「お前はいつもそうだ。もうちょっと私に優しくしてくれてもいいだろう。」
「青鬼のお前に優しく？冗談。」
ケラケラと笑いながら手を振り。
家に錠をかけて目的の場所へと歩き始める。
日が傾きかけた道をボロの小袖と虎晒しに腰巻の二人組が仲良く進んでいく。
擦れ違う人々は頭を下げたり、驚いたり、見惚れたりと忙しいもんだ。
「そういえば、お前。いまどこにいるんだっけ？」
「椿と牡丹がいたところから奥へといった場所だ。何も変わらない所だよ。」
「ふぅん・・・。」
「急にそんな事を聞いてどうしたんだい？」
「なんとなくだよ。」
「なんとなくねぇ。」
何気ない会話をしながら畦道を通ったり、土手を歩いたり、大通りを通ったりして目的の場所へと辿りついた。
「おう、鳥丸。きたぞ。」
「紅鳥！来てくれたか！」
「桔梗もよく来たね。隣のは旦那かい？」
「ちょっと薬臭いがいい男じゃないか。」
「だん・・・！？違う！こいつは世話になってる薬屋だ！」
何を思ったのか顔がみるみる真っ赤になっていく桔梗。
青鬼なのに赤鬼の様だ。
こりゃ、面白い。
「そういうことにしておこうか。中じゃ宴がもう始まってるからな。入った入った！」
「料理も酒もたんまり用意してるぞ。」
もう少しこいつの恥じらう顔が見たかったが、強引に屋敷の中へと連れていかれてしまう。
残念。
宴が始まってる場所へと着くと、そこでは大騒ぎが始まっていた。
椿や牡丹と同じ赤鬼や稲荷、女郎蜘蛛に猫又。
提灯お化け、濡れ女子。
様々な物乃怪やとその伴侶。
そして普通の男女もそこにおり。
酒を飲み、料理を食べて楽しく騒いでいる。
「さて、俺達も加わろうか。」
「ああ・・・。」
先ほどの事を引きずっているのか、どこか様子が変だ。
というより、部屋に漂う酒気に当てられてないか？
とりあえず空いている席に座り、運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。
「あら、紅鳥先生。来てらしたんですか？うちの御酌いかが？」
「いただこう。いいね、美人に酌をしてもらえるなんて。」
「口が上手いですわぁ。先生、どうぞ。」
「おっとと、ありがとう。」
盃に満たされる酒を一気に飲み干して空にする。
「いい飲みっぷり。惚れてしまいそう。」
「そうか？いや、参ったな。」
酒の席での定番の様なやりとり、それを堪能しているだけなのだが隣で無粋に怒気を垂れ流してる奴がいた。
「お前ねぇ。どうしたよ？そんな気難しそうな顔をして。」
「し、知るか！」
からかい過ぎたかと思っていると、桔梗は目の前に置かれた徳利を数本鷲掴みにしてその中身を一気に飲み干していく。
あーぁ、そんなに一気に飲むと・・・。
「ぷひゅぅ！あかとりぃ、こりぇ。おいしいのにょう。」
こうなるわな。
酒に弱いのに無理に飲んじゃって。
「大丈夫か？桔梗。」
「だいじょうぶりゃよ？しょれよりみょあかとりぃ！おみゃあさんはげひんりゃ！」
何を言い出すんだこいつは下品ってなんだよ。
下品って。
「わらしとふもりょがありなぎゃら・・・。ほきゃのおなぎょにうちゅちゅをぬかしゅなんて・・・。」
女にだらしないってか？
普通に話してるだけでそう思われるとは・・・。
「そ、そうか。すまん。で、どうすれば許してくれるんだ？」
「どうしゅりゅか？こうしゅりゅにょ！」
桔梗に押し倒され、畳の上に倒れ込む。
こんな場所でまさかと思ったが、こいつの手は俺のいちもつへと伸びていき。
こねまわしてくる。
「まずい！桔梗！ここはまずいって！」
「いいにょいいにょ。ちゅばちゅけるんりゃから。」
そういいつつ、いちもつを解放しようとしてきた桔梗は前触れも無しに倒れ込んできた。
「桔梗？桔梗！」
「きゅーっ・・・。」
あれだけの量を飲んで激しく動こうとしたんだから、まあ当然ちゃあ当然か。
ぐったりとした彼女の身体を支え、休める部屋へと案内してもらう。
そこにはなぜか枕が二つ置いてある座敷に通され、仕方なしにそこへ寝かせてやり具合を見てやる。
「うぅーっ。みずぅ・・・。」
「ほれ、身体を起こしてやるからゆっくりと飲め。」
飲みやすいように椀を近づけてやり、少しずつ水を飲ませていく。
水を胃に収めて、落ち着いたところでトロンっとした目が俺を見ている。
「あかとりぃーっ。」
「なんだ、って。むぐっ！？」
支えていた身体は互いに近くなっていて桔梗が少し顔を上げただけで容易に唇は合わさった。
双方から漂う酒の匂い、彼女の甘い匂いと自分の薬の匂いが鼻をくすぐる。
「すきだよぉ。きづいてたんだろぉ？」
「ああ・・・。」
突然の告白と見透かされていた想い。
こっぱずかしさで顔が赤くなっていく。
「あかいよぉーっ。か・お。」
「う、うるせぃ。お、お前の方こそ呂律回ってないが大丈夫かよ。」
「だいじょうぶりゃよ？だかりゃ・・・。しよっ？」
背中に手を回され、そのまま引き倒される。
後はもう、欲望の赴くままに事は進んだ。
絡まり合い、唾液を交換し合う舌と舌。
気持ちいい部分を探っていくように接吻は続いていき、それだけでは我慢できなくなった俺はこぶりだが形の良い桔梗の乳房に手を添えてゆっくりと揉みしだいていく。
「あっ・・・。んぅ・・・。ああ、いいっ・・・。」
「ちゅぷ、んぅ・・・。ぴちゃ、柔らかいな。」
形を変えていく乳房。
光悦の表情を浮かべながら愛撫を受け入れてくれる姿に興奮を覚え、手を秘所の方へと伸ばしていき擦る様に軽く撫でる。
すると。
「あひん！あっ、しゅごいばしょがひとちゅ・・・。あん！そきょ！だめぇ！」
「ここか？それともこっちか？」
よいといった場所の見当は付いているがじらしながら時に強く、時に弱く。
強弱をつけながら触っていき。
秘肉の周りもゆっくりと、触れるか触れないかの位置で熱を感じるように触れ。
凄いといった場所、淫豆も指で押し付けたり、乱暴に擦ったり、速度を変えながら扱いて愛撫していく。
「きゃう！？あ、あかとりぃ！いいようぅ！きもちいいようぅ！」
「そうか？ならもっともっとしてやるよ。」
「あひぃ！？ああああ！しゅごひ！しゅごひよ！」
「そうかそうか。」
唯嬉しくて、唯感じて欲しくて。
俺は手を休めずに動かし続けていき。
言葉が出なくなるほどの快楽で桔梗を染めていった。
「・・・！・・・！なんきゃなんきゃきゅるの！おおきいの！おおきいのがくりゅ！」
蜜でびしょびしょになった手と秘所を布団。
何か来るといっているので辺りを見回すが何か来るような気配はない。
再び愛撫に集中しようとした時、誤って手が滑り蜜壷の中へと指が潜り込んでいき。
「きゅふぅん！？ああぁぁ・・・。」
股の間から飛沫を上げて、身体を震わせていく。
心配し顔を見るが、その表情はこの世のものとは思えないほど妖艶で淫らなものだった。
「おいおい、派手にぶちまけたが平気か？」
「へ、へいきぃ〜。だけど・・・。」
「だけどどうした？」
「こりぇがほしいよぅ・・・。」
強請る様にいちもつに触り、上目遣いでこちらを見てくる。
俺も我慢の限界で桔梗を感じたいを思っていた。
「ああ、俺もお前が欲しい。」
小袖を脱ぎ、腰巻を剥ぐと艶のある蒼い肌と熱く濡れそぼった紅い肉が目に映り興奮を更に掻き立ててくる。
ゆっくりと覆いかぶさり、先ほど指が沈んだ場所へと肉棒をあてがって膣内へと入れていく。
「ああぁぁ・・・。あついにょが・・・、いっぱいぃ・・・。」
「ぐあぁ！？な、なんだこれ凄いぞ・・・。」
未知の快楽に酔いしれながら、奥へ奥へと悦を求めて腰を落としていき。
鈍い音がしたが、気にせずに目の前の淫肉を貪り始める。
「あっ、はああっ。あっ、あっ、あっ。」
「桔梗！桔梗！桔梗！」
肉棒に纏わりついてくる秘肉、獲物を離さないように締め上げてくる蜜壷が、女遊びの経験のない俺にとっては刺激が強すぎてすぐに射精しそうになってしまう。
「もっと！おくまれ！はげしく！」
「ぐぅ！はぁ、はぁ、はぁ！」
だけれど桔梗が求めてくれているのだから早く射精してしまうなんてもったいない。
腰を振る速度を上げて彼女も満たせるように動いていく。
笠の部分で擦る範囲を微妙にずらしていき、自分には刺激が少なくだけど桔梗には気持ち良くなってもらえるような場所を探して肉棒をずらしていった。
「あっ・・・！いろいろな・・・！ところ！あたる！あたる！」
「はぁ！はぁ！はぁ！」
「あかとりぃ、しゅごひよぉ！ああ！あっ！あっ！」
喜んでくれるのは嬉しいがこちらは余裕が少しもなくなってくる。
長く交わろうと色々な所を擦っていたのが仇となって、もう爆発寸前だ。
「き、桔梗！で、射精る！」
「いいぞ・・・っ。なかにぃ！なかにぜんぶはきだしてぇ！あついのぉ！あついこだねで！わたしをはらませてくれぇ！」
最後の一突きといわんがばかりに、大きく、強く、腰を動かして桔梗の子宮口へ肉棒を叩きつけ。
そこで全ての精を吐きだした。
「ああぁ！あついぃ！やけどしそう！あついのがぁ！あついのがぁ！」
「ぐうあっ！まだ射精るっ！」
「みたされて・・・。ふくろのなか・・・、あかとりのこだねでぇ・・・。いっぱぁあい・・・。うふっ。」
「はあ、はあ、はあ。」
今まで射精したことない量の精を吐き出した感じだ。
息を落ちつけて、彼女を見ると。
酒の周りと行為とで眠気が来たのか幸せそうな顔をして寝息を立てている。
頬を撫でながら、その表情を見ているとこちらも眠くなってきた。
意識が落ちる中で枕を二つ並べて置いていた鳥丸に腹が立ちつつも眠りについていく。
翌朝・・・。
「な、なんだこれは！？」
桔梗の大声で目が覚め、何事かと思っていると股の間から流れている桃色の液体に驚いているようだ。
「そりゃ、血と精液じゃないのか？」
「血と精液って紅鳥！なぜお前がここにいる！？」
「なぜって昨日の事覚えてないのか？」
「昨日・・・？」
そういうと少し考え込み、次第に顔が赤くなっていく。
「あっ、あっ、あっ・・・。」
「昨晩の事思い出したみたいだな。」
「うわああぁぁ！っえぇ？きゃっ！？」
布団から逃げ出そうとする彼女の腕を掴み、強引に引きよせて口を塞いでやる。
「ちゅぶっ。お前がさ、好きと言ってくれたとき嬉しかったんだ。酔ってない口からもう一回聴きたい。俺は桔梗の事が好きだ。お前は・・・？」
「私は・・・。」
「私もお前の事が好きだ！素気ないお前も！意地悪なお前も！薬で助けてくれるお前も全部好きだ！」
きつく抱きつかれ、互いの身体が密着しいい雰囲気になり。
再び口付けしようとすると、障子が不意に開く。
「はい！そこまでだ！」
そこに椿が入ってきた。
「昨晩はお楽しみだった様だが。今からやることがあるからな。お前達が主賓だ！さっさと服を着てこっちへきな！」
「主賓ってなにが？」
「何がって、婚姻の儀をやるんだよ。お前達の。」
『な、なんだってぇ！？』
何も聞かされていない俺達はそのまま流れに流されて婚姻の儀をすまされ夫婦となった。
どうやら周りの連中は好きあってる事が分かっていたらしく、一押しするために宴の席で桔梗に酒を飲むように仕組んだらしのだ。
「なんだがむず痒いな。」
「私もだ。」
嗅ぎ慣れた匂いの中に新しい匂いが加わった。
妻の桔梗の匂い。
これからの日常、何か新しくなるのか。
それとも何も変わらないのか、。
二人の眼で確かめていこう。
「ほう、あの碁狂いを射止めた奴がいたか。」
作りかけた薬を棚に置き、話しかけてきた奴の方へと顔を向ける。
「酒蔵の若旦那だそうだ。」
「酒蔵？鳥丸のところか？」
「知ってるのかい？」
「ああ、酒は百薬ともいうからな。奴とは知識を分け合った仲だ。」
今話しているのは青鬼の桔梗で、うちの薬屋の馴染み客だ。
この桔梗、鬼なのに酒に滅法弱い。
こいつと出会ったのは薬用の草や実を採りに山を歩いてた時のことで。
乾燥させて砕いて用いるもの、煎じて煮出すことにより効能があがるもの、それらを探して草木を掻きわけて行くと木に凭れ掛り顔色を悪くしてる奴がいた。
職業柄、そんな状態のものを捨て置くことなど性分が許さないので近づいていくと。
それは物乃怪で、しかもえらく別嬪だ。
だが、酒気をまとっており今にも死にそうな顔をしてるのでは台無しと言わざる得ない。
俺は手持ちの薬草を二日酔いに効くよう配分し煎じてやり、飲ませてやる。
すると気分が優れてきたようでえらく感謝され。
そこから付き合いが始まったのだ。
「それにしても相変わらず臭いねぇ。ここは。」
「薬屋だからしょうがないだろう。で、それだけの世間話でもしにきたのか？」
「いや、嫁いだ祝いに宴があるそうだから誘いに来たんだよ。」
「ふむ、奇遇だな。俺も桔梗を誘おうと思っていたんだ。」
薬箱の上に置いてある書状を手に取り、桔梗へと振ってみせる。
「なんだ、お前さんの所にもきてたのか。」
「知識を分け合った仲といっただろ？」
膝を立てて立ち上がると彼女の肩を軽く叩き、家の出口へと向かう。
刻限的に、そろそろ宴が始まる時間だからな。
「おい、薬はいいのか？」
「あの状態でしばらく寝かせないといけないからな。放置でいいんだよ。」
「そうか、って。待て！紅鳥！」
「はよこんと戸を占めるぞ？」
「お前はいつもそうだ。もうちょっと私に優しくしてくれてもいいだろう。」
「青鬼のお前に優しく？冗談。」
ケラケラと笑いながら手を振り。
家に錠をかけて目的の場所へと歩き始める。
日が傾きかけた道をボロの小袖と虎晒しに腰巻の二人組が仲良く進んでいく。
擦れ違う人々は頭を下げたり、驚いたり、見惚れたりと忙しいもんだ。
「そういえば、お前。いまどこにいるんだっけ？」
「椿と牡丹がいたところから奥へといった場所だ。何も変わらない所だよ。」
「ふぅん・・・。」
「急にそんな事を聞いてどうしたんだい？」
「なんとなくだよ。」
「なんとなくねぇ。」
何気ない会話をしながら畦道を通ったり、土手を歩いたり、大通りを通ったりして目的の場所へと辿りついた。
「おう、鳥丸。きたぞ。」
「紅鳥！来てくれたか！」
「桔梗もよく来たね。隣のは旦那かい？」
「ちょっと薬臭いがいい男じゃないか。」
「だん・・・！？違う！こいつは世話になってる薬屋だ！」
何を思ったのか顔がみるみる真っ赤になっていく桔梗。
青鬼なのに赤鬼の様だ。
こりゃ、面白い。
「そういうことにしておこうか。中じゃ宴がもう始まってるからな。入った入った！」
「料理も酒もたんまり用意してるぞ。」
もう少しこいつの恥じらう顔が見たかったが、強引に屋敷の中へと連れていかれてしまう。
残念。
宴が始まってる場所へと着くと、そこでは大騒ぎが始まっていた。
椿や牡丹と同じ赤鬼や稲荷、女郎蜘蛛に猫又。
提灯お化け、濡れ女子。
様々な物乃怪やとその伴侶。
そして普通の男女もそこにおり。
酒を飲み、料理を食べて楽しく騒いでいる。
「さて、俺達も加わろうか。」
「ああ・・・。」
先ほどの事を引きずっているのか、どこか様子が変だ。
というより、部屋に漂う酒気に当てられてないか？
とりあえず空いている席に座り、運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。
「あら、紅鳥先生。来てらしたんですか？うちの御酌いかが？」
「いただこう。いいね、美人に酌をしてもらえるなんて。」
「口が上手いですわぁ。先生、どうぞ。」
「おっとと、ありがとう。」
盃に満たされる酒を一気に飲み干して空にする。
「いい飲みっぷり。惚れてしまいそう。」
「そうか？いや、参ったな。」
酒の席での定番の様なやりとり、それを堪能しているだけなのだが隣で無粋に怒気を垂れ流してる奴がいた。
「お前ねぇ。どうしたよ？そんな気難しそうな顔をして。」
「し、知るか！」
からかい過ぎたかと思っていると、桔梗は目の前に置かれた徳利を数本鷲掴みにしてその中身を一気に飲み干していく。
あーぁ、そんなに一気に飲むと・・・。
「ぷひゅぅ！あかとりぃ、こりぇ。おいしいのにょう。」
こうなるわな。
酒に弱いのに無理に飲んじゃって。
「大丈夫か？桔梗。」
「だいじょうぶりゃよ？しょれよりみょあかとりぃ！おみゃあさんはげひんりゃ！」
何を言い出すんだこいつは下品ってなんだよ。
下品って。
「わらしとふもりょがありなぎゃら・・・。ほきゃのおなぎょにうちゅちゅをぬかしゅなんて・・・。」
女にだらしないってか？
普通に話してるだけでそう思われるとは・・・。
「そ、そうか。すまん。で、どうすれば許してくれるんだ？」
「どうしゅりゅか？こうしゅりゅにょ！」
桔梗に押し倒され、畳の上に倒れ込む。
こんな場所でまさかと思ったが、こいつの手は俺のいちもつへと伸びていき。
こねまわしてくる。
「まずい！桔梗！ここはまずいって！」
「いいにょいいにょ。ちゅばちゅけるんりゃから。」
そういいつつ、いちもつを解放しようとしてきた桔梗は前触れも無しに倒れ込んできた。
「桔梗？桔梗！」
「きゅーっ・・・。」
あれだけの量を飲んで激しく動こうとしたんだから、まあ当然ちゃあ当然か。
ぐったりとした彼女の身体を支え、休める部屋へと案内してもらう。
そこにはなぜか枕が二つ置いてある座敷に通され、仕方なしにそこへ寝かせてやり具合を見てやる。
「うぅーっ。みずぅ・・・。」
「ほれ、身体を起こしてやるからゆっくりと飲め。」
飲みやすいように椀を近づけてやり、少しずつ水を飲ませていく。
水を胃に収めて、落ち着いたところでトロンっとした目が俺を見ている。
「あかとりぃーっ。」
「なんだ、って。むぐっ！？」
支えていた身体は互いに近くなっていて桔梗が少し顔を上げただけで容易に唇は合わさった。
双方から漂う酒の匂い、彼女の甘い匂いと自分の薬の匂いが鼻をくすぐる。
「すきだよぉ。きづいてたんだろぉ？」
「ああ・・・。」
突然の告白と見透かされていた想い。
こっぱずかしさで顔が赤くなっていく。
「あかいよぉーっ。か・お。」
「う、うるせぃ。お、お前の方こそ呂律回ってないが大丈夫かよ。」
「だいじょうぶりゃよ？だかりゃ・・・。しよっ？」
背中に手を回され、そのまま引き倒される。
後はもう、欲望の赴くままに事は進んだ。
絡まり合い、唾液を交換し合う舌と舌。
気持ちいい部分を探っていくように接吻は続いていき、それだけでは我慢できなくなった俺はこぶりだが形の良い桔梗の乳房に手を添えてゆっくりと揉みしだいていく。
「あっ・・・。んぅ・・・。ああ、いいっ・・・。」
「ちゅぷ、んぅ・・・。ぴちゃ、柔らかいな。」
形を変えていく乳房。
光悦の表情を浮かべながら愛撫を受け入れてくれる姿に興奮を覚え、手を秘所の方へと伸ばしていき擦る様に軽く撫でる。
すると。
「あひん！あっ、しゅごいばしょがひとちゅ・・・。あん！そきょ！だめぇ！」
「ここか？それともこっちか？」
よいといった場所の見当は付いているがじらしながら時に強く、時に弱く。
強弱をつけながら触っていき。
秘肉の周りもゆっくりと、触れるか触れないかの位置で熱を感じるように触れ。
凄いといった場所、淫豆も指で押し付けたり、乱暴に擦ったり、速度を変えながら扱いて愛撫していく。
「きゃう！？あ、あかとりぃ！いいようぅ！きもちいいようぅ！」
「そうか？ならもっともっとしてやるよ。」
「あひぃ！？ああああ！しゅごひ！しゅごひよ！」
「そうかそうか。」
唯嬉しくて、唯感じて欲しくて。
俺は手を休めずに動かし続けていき。
言葉が出なくなるほどの快楽で桔梗を染めていった。
「・・・！・・・！なんきゃなんきゃきゅるの！おおきいの！おおきいのがくりゅ！」
蜜でびしょびしょになった手と秘所を布団。
何か来るといっているので辺りを見回すが何か来るような気配はない。
再び愛撫に集中しようとした時、誤って手が滑り蜜壷の中へと指が潜り込んでいき。
「きゅふぅん！？ああぁぁ・・・。」
股の間から飛沫を上げて、身体を震わせていく。
心配し顔を見るが、その表情はこの世のものとは思えないほど妖艶で淫らなものだった。
「おいおい、派手にぶちまけたが平気か？」
「へ、へいきぃ〜。だけど・・・。」
「だけどどうした？」
「こりぇがほしいよぅ・・・。」
強請る様にいちもつに触り、上目遣いでこちらを見てくる。
俺も我慢の限界で桔梗を感じたいを思っていた。
「ああ、俺もお前が欲しい。」
小袖を脱ぎ、腰巻を剥ぐと艶のある蒼い肌と熱く濡れそぼった紅い肉が目に映り興奮を更に掻き立ててくる。
ゆっくりと覆いかぶさり、先ほど指が沈んだ場所へと肉棒をあてがって膣内へと入れていく。
「ああぁぁ・・・。あついにょが・・・、いっぱいぃ・・・。」
「ぐあぁ！？な、なんだこれ凄いぞ・・・。」
未知の快楽に酔いしれながら、奥へ奥へと悦を求めて腰を落としていき。
鈍い音がしたが、気にせずに目の前の淫肉を貪り始める。
「あっ、はああっ。あっ、あっ、あっ。」
「桔梗！桔梗！桔梗！」
肉棒に纏わりついてくる秘肉、獲物を離さないように締め上げてくる蜜壷が、女遊びの経験のない俺にとっては刺激が強すぎてすぐに射精しそうになってしまう。
「もっと！おくまれ！はげしく！」
「ぐぅ！はぁ、はぁ、はぁ！」
だけれど桔梗が求めてくれているのだから早く射精してしまうなんてもったいない。
腰を振る速度を上げて彼女も満たせるように動いていく。
笠の部分で擦る範囲を微妙にずらしていき、自分には刺激が少なくだけど桔梗には気持ち良くなってもらえるような場所を探して肉棒をずらしていった。
「あっ・・・！いろいろな・・・！ところ！あたる！あたる！」
「はぁ！はぁ！はぁ！」
「あかとりぃ、しゅごひよぉ！ああ！あっ！あっ！」
喜んでくれるのは嬉しいがこちらは余裕が少しもなくなってくる。
長く交わろうと色々な所を擦っていたのが仇となって、もう爆発寸前だ。
「き、桔梗！で、射精る！」
「いいぞ・・・っ。なかにぃ！なかにぜんぶはきだしてぇ！あついのぉ！あついこだねで！わたしをはらませてくれぇ！」
最後の一突きといわんがばかりに、大きく、強く、腰を動かして桔梗の子宮口へ肉棒を叩きつけ。
そこで全ての精を吐きだした。
「ああぁ！あついぃ！やけどしそう！あついのがぁ！あついのがぁ！」
「ぐうあっ！まだ射精るっ！」
「みたされて・・・。ふくろのなか・・・、あかとりのこだねでぇ・・・。いっぱぁあい・・・。うふっ。」
「はあ、はあ、はあ。」
今まで射精したことない量の精を吐き出した感じだ。
息を落ちつけて、彼女を見ると。
酒の周りと行為とで眠気が来たのか幸せそうな顔をして寝息を立てている。
頬を撫でながら、その表情を見ているとこちらも眠くなってきた。
意識が落ちる中で枕を二つ並べて置いていた鳥丸に腹が立ちつつも眠りについていく。
翌朝・・・。
「な、なんだこれは！？」
桔梗の大声で目が覚め、何事かと思っていると股の間から流れている桃色の液体に驚いているようだ。
「そりゃ、血と精液じゃないのか？」
「血と精液って紅鳥！なぜお前がここにいる！？」
「なぜって昨日の事覚えてないのか？」
「昨日・・・？」
そういうと少し考え込み、次第に顔が赤くなっていく。
「あっ、あっ、あっ・・・。」
「昨晩の事思い出したみたいだな。」
「うわああぁぁ！っえぇ？きゃっ！？」
布団から逃げ出そうとする彼女の腕を掴み、強引に引きよせて口を塞いでやる。
「ちゅぶっ。お前がさ、好きと言ってくれたとき嬉しかったんだ。酔ってない口からもう一回聴きたい。俺は桔梗の事が好きだ。お前は・・・？」
「私は・・・。」
「私もお前の事が好きだ！素気ないお前も！意地悪なお前も！薬で助けてくれるお前も全部好きだ！」
きつく抱きつかれ、互いの身体が密着しいい雰囲気になり。
再び口付けしようとすると、障子が不意に開く。
「はい！そこまでだ！」
そこに椿が入ってきた。
「昨晩はお楽しみだった様だが。今からやることがあるからな。お前達が主賓だ！さっさと服を着てこっちへきな！」
「主賓ってなにが？」
「何がって、婚姻の儀をやるんだよ。お前達の。」
『な、なんだってぇ！？』
何も聞かされていない俺達はそのまま流れに流されて婚姻の儀をすまされ夫婦となった。
どうやら周りの連中は好きあってる事が分かっていたらしく、一押しするために宴の席で桔梗に酒を飲むように仕組んだらしのだ。
「なんだがむず痒いな。」
「私もだ。」
嗅ぎ慣れた匂いの中に新しい匂いが加わった。
妻の桔梗の匂い。
これからの日常、何か新しくなるのか。
それとも何も変わらないのか、。
二人の眼で確かめていこう。
11/09/27 19:20更新 / 朱色の羽