読切小説
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「大好きだよ」
「・・・」

どうしようか。

今冷静になって考えると結構無理やり押し付けられた気がするな。

「それにしてもこのゴーレム・・・人間にしか見えないな」













つい最近まで俺は旅をしていた。

自分探しみたいな感じで、当てもなくただ適当に近隣諸国を回ってたんだが、風の噂で俺の故郷が親魔物派に占領されたと聞いてすぐに故郷に戻った。

だが前とほとんど変わらない故郷に驚きつつ、ついでに久しぶりに家に帰ったんだ。

ドアを開けてさらに驚かされた。

「か・・・母さん?」

「あら、おかえりなさい」

母さんがワーウルフになっていたのだから。



母さんは一か月前に噛まれワーウルフになったらしい。

だが町に魔物なんて見当たらなかった、そんな質問をしてたら母さんが、

「町長さんがね「今はまだ中立でいたいから表では魔物の姿にならないでくれ」って魔法を教えてくれたのよ」

なるほどそりゃ見当たらないわ。

いろいろ考えすぎたようだ・・・少し気分が悪い、気分転換に町を散歩することにした。



表通りを「ここら辺にいる何人かは魔物が化けてるんだろうな」と思いつつ歩いてる時だった。

「ちょっとそこのお兄さん」

見知らぬ少女に呼び止められた。

「なんだい?お嬢ちゃん」

「ちょっとついてきてもらえませんか?」

この時ちゃんと断ればいいものを頭がちゃんと働いたないせいかついて行ってしまった。



路地裏

「さて、こんなとこまで連れてきて何の用だい?」

「あの・・・その・・・えーっと・・・」

「実験に付き合ってください!」

「・・・は?」

話を聞くとゴーレムを作ったはいいがちょっと失敗してしまったそうだ。

だがそのまま捨てるわけにもいかず貰い手を探してたらしい。

「そこまではわかった。それで、なぜ実験?」

そのゴーレムは失敗作だが高性能らしく次に生かしたい為観測したいらしいが相手がいなければせっかくの性能を発揮できないから協力してほしいらしい。

普通はこんなの付き合うわけないのに・・・涙目でこっちを見みてきて仕方なく付き合うことにした。



それでゴーレムの入った箱を昔のままだった俺の部屋に運び込んで開けた。

箱の中でゴーレムが寝てるのだがどう見ても人間の女性が寝てるようにしか見えない。

箱に同梱してあった簡易的な取説を読みつつ腕を見た。

所々それっぽくはあるもののパーツらしいものはなく二の腕あたりにある印に触れながら情報を声で伝えればいいようなので早速試してみる。

「とりあえず起き上がってくれ」

あれ?反応しない・・・取説を読み進めたら最後に注意事項があった。

「性能方面に魔力を使いすぎたので最初は精を補充しないと起きません」

ああ、だから相手が必要ってことか。

で、寝てるこの子をヤれと。

・・・受けてしまったものは仕方ないよな、うん。

俺は寝てるこの子をそっと持ち上げベットに向かった。



ガチャ「おーい、朝だぞー・・・」

「んー?父さん?」

「あー、すまん邪魔した」バタン

「・・・?」

どうしたんだ?俺の部屋には・・・

「・・・あ゛」



「よぉ、起きてきたか」

「いやー、息子が半年ぶりに返って来たと思ったらまさか嫁を連れてくるとはな」

「父さんちょっと待って!これにはわけが!」

「いや言わなくてもいい、わかってる、わかってるから。」

「絶対わかってない!」

・・・とりあえず事情を説明した。




父さんに事情を説明して朝飯を食べて自分の部屋に戻った。

彼女はまだ寝ているようだ。

今のうちにいろいろ設定しておかないとな。

俺は印を触りつつそっとささやいた。



いろいろ設定していたら昼近くにまでかかっていた。

母さんに「かわいいお客さんがきてるわよー」と、呼ばれた。

可愛いお客さん?

思い当たるのは一人しかいない。

おそらく観測についての話だろう。

彼女の事をもう少し聞いてみよう。



「あ!お兄さん!もうしちゃった?」

「まあ・・・な」

「そっか・・・どうだった?」

「・・・言わなきゃダメか?」

「まあ、そっちの方は心配してないから強制はしないけど」

「それより彼女の事もう少し話してもらいたいんだがいいか?」

「んー、なら呼んでもらえる?」

「ああ、わかった」

寝ていた彼女を起こし、連れてきたんだが、

「ちゃんと動いてるなら後は取説通りで、それ以外の質問は一切受けないよ」

何故か理由を聞いたら

「教えちゃったら実験にならないじゃん。」

「あ!一つ言い忘れてた!」

「これから寝るときは一緒に寝てあげてね。」

「たまに様子を見に来るから、それじゃ!」

と言って去って行った。





彼女が来て数日がたった。

母さんは自分の娘のように料理や裁縫を教えたり買い物に連れて行ったりしてる。

父さんはたまにちょっかいはかけるものの基本見守ってくれる。

二人ともなんだかんだでやさしいんだ。

俺はというと、父さんの仕事を継ぐために父さんの仕事場でいろいろ手伝ってる。

父さんには「お前は自由にしていていいんだぞ?」と言われたが、

いくら設定を変えれると言っても少しは彼女に見栄を張りたいし、父さんに楽をさせたいからな。

彼女とは毎日一緒に寝ている。

それと同時に精の補給もちゃんとしている。

取説に設定をいろいろ変えて見てほしいと書いてあったのでする度に多少の設定を変えてる・・・朝になる前に戻すけど。

ただ気になることが二つある。

一つは彼女が前より感情豊かになった気がする事。

もう一つはたまにくる彼女をみに来るあの子の事だ。

彼女をみる度に不気味な笑顔をしているのだが、今日のあの子の笑顔は不気味さが増していた。

いったい何があったのか。

そんな不気味さを感じつつ充実した毎日を送ってた。





あの笑顔の不気味さが増した日から一か月。

彼女をみにあの子が来ていた時だった。

「ついにできた・・・これならあれをああしてこうして・・・フフフ・・・」

なにができたのだろうか、気になって聞いてみたら、

「おめでとう!これでお兄さんもお父さんだね!」

・・・わけがわからない。

できた?おめでとう?お父さん?

「・・・お兄さん?」

「・・・すまん、詳しく説明してくれないか?」

あの子が言うには前に別の魔女が好きな男と添い遂げたゴーレムに「子供が欲しい」と言われたそうで、

彼女はそれができるように作ったのだができるかどうか心配だったらしい。

一か月前からそのきざしはあったのだけどさっきみた時にできたのが確認できたらしい。

「・・・ハァ」

彼女との出会いから今までを振り返ってみた。

旅をしていた時は適当にただフラフラ歩いているだけだった。

だが彼女と一緒にいる今、俺は充実した生活を送っていた。

おそらく彼女を受け取らなければ俺はまた適当な旅に出ていただろう。

この充実した生活は彼女がくれた物だ、そして彼女のために父さんの仕事を継ぐこと。

そこまで考えた俺はある感情に気付いた。

一つは感謝。

彼女のおかげで充実した生活が送れたんだ。

そしてもう一つ。

これからの幸せな生活とともに新たな俺たちの天使を運んできてくれる彼女に伝えるんだ。



「大好きだよ」
11/12/06 03:00更新 / LCND

■作者メッセージ
高性能ゴーレムということだけ決めて書き始めたのが悪かったのか、
途中投げそうになったけどなんとか書ききれました。

・・・実は本文書ききった後にタイトル決めました。

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