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The dream of the Lily
The dream of the lily

先に人物紹介
《野坂 小百合》:20代前半の女子大学生。
《レミル》:中級淫魔。外見は10代。本当はもっと生きているのだが、精神的に幼い為そうは見えない。





チチチチ・・・

・・・ジリリリリッ
(ん・・・朝、か・・・)
リリリリ・・・チン・・・
ごく普通の大学生の小百合は、いつも通りの日常を迎えようとしていた。が・・・
(さーて、今日も一日げん、きに・・・って)
「え、えええええっ!」
一人暮らしであるはずの小百合の部屋。ベッドの上で自分の隣ですやすやと寝息をたてている一人の女性がいた。
(まてまてまて、落ち着け私。なんで隣に女性が・・・あ。)
そう、小百合には心当たりがあった。
それは昨夜の話。
小百合はいつもより帰宅が遅くなっていた。
 (う〜、友達となんかとず〜と喋っていたから遅くなちゃったよ〜。今この辺、遅くになると変質者が出るっていうし・・・)
小百合がそんなことを思いながら小走りで歩いていると・・・
ユラ〜
 暗闇から小百合の前に急に人影が現れた。
 (これってもしかして、例の変質・・・)
 小百合が悲鳴を上げようとした瞬間、
 ドサッ
 (え・・・?)
 その人影は小百合の目の前で倒れこんだ。
 「ちょ、ちょっとアナタ大丈夫?」
 いまだ状況が飲み込めないが、とりあえず心配になった小百合が聞くと、
 「・・・いた」
 「え?」
 「おなか・・・空いた・・・」
 「へ?」
 そういうと倒れた少女はガクッと気絶してしまった。
 「ちょ、ちょっと!ねえ、大丈夫?」
 なんど呼びかけても返事はない。しかし、わずかに体が上下しているので死んではない様子。
 (と、とりあえず家に運ばなきゃ。おなかが空いてるって言ってたし。)
 小百合がその少女を家に運ぼうと近くに寄った、そのとき
 (・・・え?)
 小百合は目を見開いた。なぜなら、本来人には存在しないコウモリのような小さな黒い翼と、先が矢印型になっている黒い尻尾を持っていたのだから。
 パクパク・・・モグモグ・・・
 まるで漫画のような擬音語が聞こえるような食べっぷりでその少女 ―レミル、と食事中の彼女に名前を聞いたところ自分はそういうのだ、と言った― は少し遅い夕食を食べていた。
 「ずいぶんと食べるわね〜。それだけおなかが空いてたの?」
 小百合が聞く。
 「もちろん!だっておなかが空きすぎて倒れちゃう程だったんだから。」
 と、いささか危険なことをアハハ、と笑いながら話す。
 「アハハ、大変だったわね〜。」
 小百合も釣られて笑う。命に係わりかねなかった事をまるで他人事 ―小百合には確かに他人事― を。
 ここで小百合は疑問に思っていたことを聞いた。
 「ねえ。」
 「なに?」
 「アナタ・・・一体何者?」
 「わたし?何者って・・・言っても信じてくれるか分からないけど。わたしは、サキュバス。淫魔とか夢魔とか言われてるよ。」
 「サキュバスって・・・あの、えと・・・お、男の人と・・・あと、えと、その・・ごにょごにょごにょ・・・」
 小百合は自分で言おうとしたことの恥ずかしさに顔を真っ赤にした。
 「あは♪恥ずかしがってる〜。まあ、おねーさんが思っているようなものだね。私たちは。」
 「え、じゃ、じゃああなたも・・・」
 「まあ、いろいろやってきたね。でも、おねーさんが思ってるのとちょっと違ってるものもあるよ。」
 レミルの発したちょっと予想外の言葉に小百合は反応した。
 「違うって・・・何が?」
 その問いにレミルは、
 「わたしたちが糧にするのは何も男だけじゃない。女もオッケーなんだ。と、言うよりも、人間ならば何でもオッケー♪」
 「ふ〜んそうなんだ・・・って。えええ!じゃ、じゃあ私も・・・」
 小百合は若干引きつった顔で聞く。
 「もちろん♪でも、おねーさんはわたしの命の恩人だし、死ぬようなことはしないよ。何より・・・サキュバスだって知っても、おねーさんは逃げ出さなかった。」
 「え?」
 これまた意外な言葉に小百合が不思議に思った。
 「だって、今までのヒト達はわたしのこの姿を見て真っ先に怪訝な顔をして、あるヒトは逃げ出し、あるヒトは襲ってきた。でも、あなたはそれをしなかった。むしろ、わたしを助けてくれた。わたしのほうがびっくりしたんだ。」
 「え、そんなこと・・・ない、よ。わたしもびっくりしたよ。」
 「いいの。いままでのヒト達なんかよりはよっぽどマシ!!」
 彼女は明るく、元気に笑った。
それを見て小百合は、なんだか妹を見ているような感じがした。
 「まあ、それはそれとして・・・アナタ、ご飯こぼしてるわよ。」
 「ああ!もったいない!」
 その言葉にあわてる彼女。
 (ん〜、かわいいな〜。)
 「ごちそうさまでした〜。あ〜おいしかった♪」
 レミルが言う。それは形式的な言葉ではなく、本当に、心の底からそう思っている言葉だった。
 「うん。私もご馳走様。それにしても、本当によく食べたわね〜、レミルちゃん。」
 「だって、おねーさんのお料理ほんとにおいしいんだもの!」
 これまたレミルは本音を言う。
 「ありがとう、レミルちゃん。さて、片付けなきゃ・・・」
 小百合がテーブルの上にある食器を片付けようとして立とうとした瞬間、
 (あ・・・)
 小百合の袖がマグカップの取っ手に引っかかってしまい、テーブルの上から転げ落ちた。
 (・・・!!)
 当然、物が落ちるときは直後に音が鳴るので、小百合は半ば条件反射で目をつぶった。
 (・・・あれ?)
 しかし、その大きな音はいくら待っても鳴ることはなかった。
 「まったく、危なかったね。おねーさん?」
 目を開けるとそこにはニコニコと笑っているレミルと、
 「・・・あ。」
 器用にマグカップを巻いている、レミルの尻尾があった。
 「ふふ〜ん♪どうだ!ブイ!」
 その言葉と同時に、小百合に向けて指をブイの字にした。
 「ありがとう、レミルちゃん。それにしても、そのシッポ便利ね〜。」
 小百合が改めてその尻尾を見る。
 「えへへ、このシッポ、結構役に立つんだよ?あんなことしたにこんなことしたり・・・ウフフ・・・。」
 レミルはいたずらを思いついた子供のような顔をして笑った。
(レ、レミルちゃん・・・)
 その笑顔を見て、改めてサキュバスなんだと感じた小百合であった。
 「さて、食器も片付けたことだし、なにしよっか?」
 小百合が聞くと、
 「う〜ん、デザートが食べたいな♪」
 レミルが答える。
 「デザートか・・・。アイスでいい?」
 「アイスもいいけど・・・わたし、おねーさんが食べたいな♪」
 「そう、私・・・って。えええええええ!!ちょ、ちょっとレミルちゃん?アナタさっき・・・」
 レミルがいった予想外の言葉にあたふたとあわてる小百合に対して、
 「食べないとは言ってないよ〜♪死なせはしないって言ったんだよ〜。」
 という。
 「あう〜。」
 軽く裏切られた気分になった小百合。
 「大丈夫だから、ね?」
 レミルがかわいい顔をして言う。
 これには小百合も、
 「わ、分かったわよ。その・・・ちょっとだけ、だよ?」
 と言うしかなかった。
 「わ〜い♪ありがと〜、おねーさん!」
 小百合は今ベッドの上に座っている。レミルによるとこの場所がいいとのこと。
 「じゃ、はじめますか♪」
 楽しそうな表情でレミルが言う。たいして小百合は、これから起こるであろう事に、不安と羞恥とその他いろいろが混ざった、言いようが無いような表情をしていた。
 「レ、レミルちゃん?」
 「なに〜?」
 「さっきの話でさ、いままでも、こんな様なことしてきたみたいなこと言っていたけど、アナタ今何歳?」
 小百合がどうにかして現在の思いを紛らわそうと半ば思いつきのことを言う。
 「わたし?え〜と、今年で117歳かな?」
 「ひゃく・・・ええ!?」
 「わたしたちはね、人間と違って体の成長がかなり遅いの。だから、こんな姿でも、一応おねーさんよりは先輩なんだよ。」
 適当な言葉の返答がかなりすごかったので、むしろ小百合の心は緊張してしまった。
 「え、じゃあ・・・レミル『さん』って言ったほうがいいのかな?」
 「いいよ〜、とりあえず今までのままで。じゃないとなんかぎこちないでしょ?」
 「確かにそうね・・・。じゃあ今まで通りレミル『ちゃん』で。」
 「うん。それじゃ・・・覚悟はいいよね?」
 いままでうまく脱線して忘れていたこと思い出せられて
 「あ・・・。う、うん。」
 小百合はガチガチになってしまった。そんな小百合を見て、
 「おねーさん、そんなに緊張しないでよ。大丈夫。やさしくするから♪はい、深呼吸!」
 「ス〜、ハ〜、ス〜、ハ〜・・・。ありがとう、少し落ち着いた。・・・で、どうするの?」
 「大丈夫。わたしがきっちりリードするから。おねーさんは安心して♪」
 いよいよ小百合は決心した。
「うん・・・。じゃあ・・・よろしく、ね。」
 「うん。まかされました♪」


 「それじゃおねーさん・・・。」
 (・・・ドキドキ)
 小百合はまだ少し緊張していたが・・・
 「おへそ出して。」
 「へ?おへそ?」
 小百合はレミルの発した意外な言葉に驚いた。
 「うん、おへそ。」
 「なんでおへそなの?」
 「なんでって、おへそは母親の胎内にいる時母親と繋がっているところじゃない?だから、生命力とも捉えられる精気はそこから吸収するのよ。あれ?まさかおねーさん、もっと違うこと想像してた?」
 「そ、そんなことないよ!」
 レミルの意地悪な言葉に慌てる小百合。
 レミルはそんな小百合を見て、
 「ま、おねーさんがしたいって言うならやってあげるけど?」
 またいたずら好きな子供のような顔をする。
 「い、いいよ!そこまでやらなくても・・・。」
 「わかりました。じゃ、はやくおへそ出して♪」
 「はいはい。ちょっと待ってて。」
 小百合は言われた通り服を少し上げ、へそを出した。
 「ねえ、レミルちゃん?どうやって精気を吸うの?」
 「それはね、この尻尾をね・・・」
 とレミルがおもむろに尻尾を持ち上げ
 「こうやって、おへそに当てるの。」
 小百合のへそに、尻尾をグッと押し当てた。
 「ん・・・。あれ、なんともないよ。」
 「だってまだ吸ってないもの。・・・いくよ。」
 「うん。・・・!!」
 レミルが力をこめたその瞬間、尻尾が当たっている部分から、なんともいえない感覚が起こった。それはどちらかといえば不快な部類に入るもので、その感覚は少しずつ体中に広がっていった。
 「れ、レミルちゃん・・・。」
 小百合が少しだるそうな感じで言う。
 「おねーさん、もう少しの辛抱だからね。この方法はあまり気持ちが良くない方法だからな〜。ほんとはもう少し良い方法があるんだけど・・・。クスッ♪それはまた今度ね。」
 「良い方法って・・・。」
 (レミルちゃん・・・ちょっと怖い・・・。)

 レミルが小百合の精気を吸い始めてから2分と少したった。
 「・・・よし。このくらい、かな?」
 そういって尻尾を離すレミル。
「終わったの?」
小百合の問いに
「うん。ご馳走様でした。・・・それにしても、おねーさん、すごくおいしかったよ♪」
「あ、ありがとう。レミルちゃん。でも、『おいしかった』って言われてもあまりうれしくないな〜。」
苦笑する小百合。
 「そんなことないよ〜。精気がおいしいってことは、健康だっていうことの証拠だし、体も丈夫だってことなんだよ?」
 「そんなものかな・・・」
 「そんなものなの!」
 言い切るレミル。
 「はいはい。分かりましたよ。さて、そろそろ寝よっか。あ、まだ歯磨いてないや。洗面台にいかなきゃ・・・あれ?」
 そういって立ち上がろうとした時、小百合はグラッとよろめいた。
 「あぶない!」
 間一髪転ぶところでレミルに支えてもらう。
「あ、ありがとうレミルちゃん。ん・・・体に力が、入らない・・・。」
「そりゃそうでしょ。おねーさんは精気を吸い取られてるんだから。精気がなくなれば体に力が入らないのも当然!」
 「そうか・・・。考えればそうね。」
 「精気は寝れば回復するから。今はゆっくり寝て。」
 レミルは今までに見せなかった、少し心配そうな顔をして小百合を見つめる。
 「わかったわ。今日はもう、寝ま・・・す。」
 精気を吸われたのが堪えたのか、急激な睡魔が小百合を襲い、そのまま寝てしまった。
 「あ〜あ、寝ちゃった・・・。まったく、だらしがないな〜おねーさんは。」
 レミルは自分に支えられたまま寝てしまった小百合をベッドに移し、
 「・・・寝ている顔も可愛いよ、おねーさん・・・。」
 小百合の額に、軽く口付けした・・・。
 そして冒頭に戻る。
 (あ〜、そうだったそうだった。昨日はあのあと頭がボーっとして、そのまま寝ちゃったんだ。)
 「レミルちゃん、ほら起きて。朝だよ。」
 レミルを起こす為体をゆする。
 「ん、ん〜・・・。おはよ〜、おねーさん。」
 「さ、早くベッドから出て。それから顔洗ってきて。そうしたら朝食にしましょう。」
 
 それから数分後。二人は朝食を食べていた。
 「ねえレミルちゃん?」
 「な〜に、おねーさん?」
 「これからどうするの?」
 その質問に、
 「・・・。」
 軽く微笑み続けるレミル。
 「まさか・・・何も考えてないんでしょうね。」
 その言葉にレミルの顔が引きつる。
 「はぁ〜。図星なのね。」
 「うん・・・。」
 落ち込んだ様子でレミルが言う。
 「とりあえず、この町をブラッとして・・・。」
 「ブラッとした後どうするの?」
 「う・・・。それは・・・。」
 「・・・そんなんじゃ、このさき心配ね。いっそ、ここに住んじゃえば?」
 今度は小百合の予想外の言葉にレミルが驚く。
 「いいの!?」
 「ま、まぁアナタのことが心配でね。それに・・・。」
 「それに?」
 「ほら。わ、私の精気っておいしいんでしょ?だったらここに住めばいくらでも吸えるじゃない?」
 小百合は少し恥ずかしそうに言う。
 それに対しレミルは突然のことに戸惑っていたが・・・。
 「あ、ありがと〜!」
 急に小百合に抱きついた!
 「うわ!ちょ、ちょっと危ないよレミルちゃん!」
 「だっておねーさんとず〜と住めるんだもの!うれしくないわけないでしょ♪」
 「あの、喜んでくれるのは嬉しいんだけど、今食事中だから!危ないから!」
 「ぶ〜。」
 頬を膨れさせやや不満そうな顔で渋々戻るレミル。
 「今そんなに慌てなくても、これから毎日出来るでしょ♪」
 小百合の今まででは考えられない言葉に一瞬ボーゼンするレミルだったが・・・
「・・・。う、うん!!これからよろしくね!!」
「こちらこそ!よろしくねレミルちゃん♪」


 「ところでレミルちゃん?」
 「な〜に?おねーさん?」
 「この間言ってた、『もっと良い方法』って何?」
 「ああ、あのこと。なに?おねーさん。やっぱり興味あるんだ?」
 「そ、そりゃあんな言い方で言われたら気になるでしょ!」
 「ふ〜ん。クスッ♪」
 「『クスッ』って・・・。は、早く教えてよ!」
 「わかりました〜。おねーさん、ちょいと耳を拝借・・・。」
 「うん。」
 「あのね・・・。ごにょごにょごにょ・・・。」
 「うん・・・うん・・・え、えぇ〜〜!!」
 「そ、そんなに驚かなくても・・・。あたしサキュバスだよ?」
 「わ、分かってたけどサ・・・。」
 「あ、もしかしておねーさん・・・。クスクスクス・・・♪」
 「な、何よ。そんなに見つめないでよ!『クスクスクス』って笑わないでよ!」
 「おねーさん、あまりそーゆーことに耐性無いんでしょ?」
 「そ、それは・・・。」
 「図星なんだ・・・。大丈夫♪これからあたしがきっちり調教(おしえ)てあげるから♪」
 「ちょ、ちょっとレミルちゃん!?今、『おしえて』の所がものすごく不穏な空気に包まれてたんだけど!?」
 「気のせいだよおねーさん♪」
 「あとさ、なんでじりじりと近づいてきてるのかな?」
 「それはね・・・こうする為だよ〜♪(ジャンプ!!)」
 「きゃ〜!!何するの!?」
 「うふふ・・・。これからず〜〜〜っとおねーさんと一緒だよ〜❤」


Fin



09/10/30 22:20更新 / SIN

■作者メッセージ
初期の作品なのでいろいろとおかしいかも・・・文句があればお気軽に。

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