連載小説
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ヘルハウンドちゃん案件1:特別国家公務員の憂鬱(エロなし)
魔物娘自体は極一般的、魔法も魔物も居るんだよな現代、神が居るような現代社会。
そんな中で問題が少しずつ起こっていた。
1940年代に人類は原子力を手にした、1970年代には月に行った、1980年代我々人類は宇宙競争をした。
科学が進めば進むほど、人類たちは魔への関心を失った。
反比例するように魔物娘が増えなくなった、依然はNYの地下下水道で白い魔物娘が現れた!なんて話もあった。(1930年代だが。)
ナポレオンの頃から魔物娘は先細って行った、理由は幾つかあるが科学が魔物娘を越えたせいもある。
とはいえ我々は立ち返れない、すると生まれたのが魔物娘の保護である。
もはや、公的には魔物娘とは畏敬と畏れは無かった・・・と思っていたか間抜けがァ!魔物娘は滅びんよ!何度でも甦るさ!モン娘人外娘こそが人類の夢なのだから!
昨今群発する自然災害で、無事息を取り戻...し過ぎた、今度は。

そんな訳でいきなり増えた魔物娘と人間の折り合いをつけるために国際機関魔物娘保護機構が出来たとさ。
え?社会での扱い?国連の爪弾き者の寄せ集め?姥捨て山?いやあなんのことやら。
我が保護隊は、1950年代の自衛隊や韓国軍みたいにエネルギッシュ(それしかないとも言われる)で、
キレた(ヤンキー崩れ)人材を揃えていたりします。

さぁ!明日のスタハノフ労働者は君だ!

ー保護機関に関して記述したアンサイクロペディアより抜粋ー

ーお仕事ー

無為に人生を重ねて20余年、恥の多い人生を送って参りました。
駅前で勧誘のオッサンの綺麗言に載せられサインして、御覧の有り様です。
そんな私は朝日と言います。
保護隊は国際機関だ、当然、我々は公務員だ。
だから各国が一杯支援してくれてるよ!まずは僕らの車両、60式装甲車!(自衛隊お流れ)、うーんくそ!。
そして僕らの装備、中国製56式制服とアメリカ製M1ポーチ、迷彩すらない!これもくそ!。
ついでにヘルメット、日本軍の90式...なんで?ここだけ1960年代の自衛隊か?(今でも日本軍装備有るらしいね、自衛隊)。

さぁご覧あれこれが我が保護隊の武器である。
国土保全用最終決戦兵器TAKE☆YARI & サスマタ & M1911拳銃。
最早米軍なんぞ敵で...ふざけんな!一億玉砕しても二千万余る時代じゃボケぇ!

無論此だけではないけど公安委員会と警視庁に届け出してサインして色々な手続きしないと使えないよ。
んんんんんん!!!このお役所仕事ゥ...。

「うわぁ面倒癖ぇ」

思わず口をついて本音が出る。
私は至って真っ当(自分以外がアレ)なので、班長である、班長の月給16万です、手取りじゃないよ?。

「言うなよ...」

そうお流れの機動隊ヘルメット(60年代安保闘争仕様)で顔が見えないこのガリが、班の一人の伊吹さん。
そしてその隣で私物のガスマスクと88式鉄帽で顔が隠れてる竹槍を持っているのがムッツリスケベの利根さん。
そんな私らがやって来たは九州の玖珠駐屯地、お隣の演習場にヘルハウンドちゃんが彷徨いてるのを演習中確認したらしい。
仮に演習の実弾や、煙幕の白燐や赤燐に触れると演習場燃やし尽くされかねないし、演習場の不発弾が吹っ飛ぶかもしれない。
そして魔物娘は保護条約で、殺害出来ないので演習が出来ない。

ここで聡明なる諸氏は自分達でどうにかしろよと思うかも知れない、そうはいかないのだ。
そう、ここにあるのは戦車とミサイルしかない!捕まえられる歩兵が居ねえ!
ちなみに歩兵が居る場合空砲を撃ち鳴らして追っ払います、結局犬ですから騒音被害はクリティカルです。
でも戦車だと何でかこっちに焔出してくるのよあの娘、戦車焼けると高いから仮に死んでも安いし逝って良し!のわれらに出動命令が出るのも道理である。
たまにヘルハウンドちゃんが屈強なお兄さんたちに簀巻きにされて、戦車にリードつけて強引に還したケースが出るけど。

ー現地に到達ー

「装具よし!」
「装備よし!」
「今日もゼロ災で行こう」
「「「ご安全に!」」」

いつものを済ませて案内の人と一緒に怪しい区域に、地図にかなり緻密な足跡追跡や、行動半径の予測、ヘルハウンドのサイズ予想もあった。
国営暴力装置とマタギの依頼で良いところってこう言うところなんだよなあ、草が折れてるとか、蜘蛛の巣を切ってる等の痕跡見つけれるって凄いよね。
案内と、それと通信手と捕獲要員数人も来てくれた。
二人とも何処かワクワクした様子をしている、まあ慣れてる演習場だろうからね。

「居る」

案内の自衛官がハンドサインで前方の草むらを指差した。
しかしおかしい、サイズ予想と違いかなり...小柄なのだ。

「ヤバイ、巣があるぞ、これ」

双眼鏡から見えるヘルハウンドは保育園低学年の様で、ヘルハウンド種にしては小さすぎる。
成体なら2m行くこともしばしばで、こんなところで寝ない、しかも此方が風上だし気付かない位グッスリらしい。

「...巣、行けます?」

絶対無理だろと思ってるらしい案内の人は、表情から漂う"逃げよう"と言うオーラを出しながら言った。
答えは当然No、良くて黒焦げ悪くて番である、精液チューチュードレインとか嫌すぎる。

「ヴェルダンステーキになりたくないなら止めましょう」
「ですよね、どうしましょう、撤退します?」
「ともかくアレを捕まえれるか試しましょう、親が居たら支援お願いしますね」

それを聞くと、全員から「死なない?」と不思議がられた。
ヘルハウンドが7.62mmや5.56mm食らって臨終してくれるなら良いんだけど30mmや20mmAPで漸く一撃狙える位に頑丈な魔物娘を舐めてはいけない。
と言うか当たるか怪しい、ヘルハウンドは素早く動くから人間が戦うには不向き過ぎる。

「三人は親が居たらばらまいて援護して下さい、残りで一気に囲んで閉じます。」

八人で一斉に覆う様に被せ、おねんね中の幼女ヘルハウンドを捕獲した。
魔物娘は人語を介するから、この子を返すから出ていくことを呑ませよう。
駄目ならガスで燻す、働けば自由になる。
無論重い催涙ガスと軽めの導眠ガスだぞ、ホスゲンもマスタードガスでもないよ。

「せい!!」

そして極めて呆気なく、幼女ヘルハウンドは特殊加工網に囚われた。
人類の科学を活かした高性能網、例え大型魔物娘相手でもどうにかして見せらァ。
(注意:この世界の魔物娘は力が弱まっております、公式通りなら熱した飴細工レベルになります。)

「だーれー?」

ぱちくりと起き上がろうとした幼女ヘルハウンドを、網を閉じて御輿のように運ぶ。
幼女ヘルハウンドは網の感触に驚いてキャッキャッ遊んでおり、無抵抗である。
明日予定されていた演習は急遽巣の引っ越し要求に変えて、明後日には帰れる筈だろう。











彼らは気付いていない、末っ子が連れていかれたのを目撃された事に、追跡された事に。
18/10/19 02:54更新 / 拙歇セ洌!
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