連載小説
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ヘルハウンドちゃん案件2:101匹ヘルハウンドちゃん

捕まえた便宜上ロリハウンドは、驚くほど友好的であった。
様子を見るに、親たちも然程警戒していないらしい。
もしやすると元々人家に住んでいた子なのだろうか?と自治体に連絡を取り、周囲の人家に聞き込む。
すると数件の農家からヘルハウンドの一家が猪とアライグマを狩って畑を守るのと引き換えに種と種♂の提供をする取引があった事を話してくれた。
魔物娘はペットでも無いが、国民や人権でもない。
自立し思考し行動するが社会手続きをしないものは人権や国民主権、幸福追求も生存権も認めないと言うのが慣例的対応だ。
前例主義ともいう。

「えへへー」

近くの農家のおばちゃんの手を借りて清拭したヘルハウンドは掩体壕に預けていた。
何故かと言うとここ以外に封じ込めれそうな所がないからだ、万が一にコイツを不発弾処理保管施設や、弾薬庫や、燃料槽に近づけて火を撒き散らしたら確実にBBQだ。
警衛をつけるよう依頼して我々は適当な部屋に雑魚寝することにした。



我々の睡眠は激しく扉を叩かれた事で中断された。
「うるせぇ暴力装置!」と腸煮えたぎる思いで扉を開けて見ると、そんな気持ちが吹っ飛んだ。
扉を叩いた警衛隊員の身体には六体のロリハウンドが抱き付いていた。

「ヘルハウンドが警戒線を越えてます!」
「何のためにソレ持ってんの!玩具かそれ!」

呆れながら64式小銃を指差して言うが弾薬が装填されてない。

「緊急用は五年前からありません!
予備弾薬は公安委員会の書類に師団長、方面隊司令のサインが必要ですぐには」
「あんたら本当に軍隊か!」
「違います!」
「そうだったなくそが!」

これだから文民の軍隊って嫌い!民主主義は書類がないと何もできん!
慌てて装具を着こんで廊下を走る。
野外の格納庫では96MPMSが滑り台にされていたり、87AWSのレーダーにくっついたロリハウンドがくるくると回っている、
これが本当のバター犬か。

「ぐえー」

首根っこをくわえられた正門警衛隊員がずるずると引き摺られている。
すると各所からDAMDAMと空砲射撃が響き、泡食った将校達がバリケードを組んで司令部籠城を行うが窓を破って侵入された。

「窓ガラス高いんだぞ!」

怒るところそこかよ。
一番大きいヘルハウンドを探そうとするが、あちこちでパニックと言うか遊びまくっている。
今も目の前を鬼ごっこ状態の整備隊員が転けて捕まり、両腕を甘噛みされている。
仕方なく掩体に居るロリハウンドを抱き抱え、親が居るか尋ねる。
するとロリハウンドは腕から抜け出してここと言った。

「これ見せ物じゃねぇぞ散れィ」

寄ってくるロリハウンドを退けつつ、親らしい成体のヘルハウンドに言った。

「あんたが群れの親か」
「おうそうだぞ!」

破壊活動防止法違反、器物破損、内乱罪、陰謀の教唆の疑いで拘束したろかなコイツ。
内心そう考えていると、末っ子らしいロリハウンドは親に抱き抱えられていた。

「ほいじゃ帰るわ」
「は!?」
「迷子預かってくれてありがとうな〜」
「えー」

困惑していると、頭をヘルハウンド達が踏みつけて踏み台にしていった。
ヘルハウンドたちは尻尾を振って帰っていった。
そして我々に残されたのは、汚れた装甲服やアンモニアの匂いがする戦車、壊れた小銃数丁、最低限文化的な生活。

「ヤロー舐めやがって!」

文字通りの意味でキレた怒号が響き、斯くして事態は予想より低次元的理由になった。
俗に言うヘルハウンド戦争である。(無論元ネタはエミュー戦争だ、結末もな。)
そんなわけで臨時作戦が決定された。
投入される兵力140名、後方支援50名、催眠ガス弾40発に120mm重迫撃砲が4門、保管されてた試製66式てき弾銃及びカールグスタフロケットランチャー。
大人気ない、全くもって大人気ない、しかも理由が夜半に堂々侵入されてマスコミが事態に気付いて批判されるのを予防するためとか言う。
いやあ、1945年から変わってませんねぇ。

と言うわけで我々はヘルハウンドのハイヴ突入作戦、公称一号作戦に参加することとなった!
次回隣のヘルハウンドさん!しゃもじを手にいざハイヴ!目指せあ号標的!
18/10/27 02:44更新 / 拙歇セ洌!
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