読切小説
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茸神様の救い

「酷い雨だな……、どこかで雨宿りしないと」

「ああ……、しかしどこに行けば」

豪雨の中、歩いている男女2人。

「あそこに村があるわ、そこに行きましょう」

「そうだな、泊めてもらえるか頼みに行こう」

そう言って男女2人は村へ向かうが……

「あれ?誰もいない……」

「もう廃村なのか?」

そこには人の気配が全くなかった。
廃村かと思っていたが……

「いえ……!まだわしが居ますよ」

「!?あ、ごめんなさい!勝手に入ってしまって」

後ろから声が聞こえ、振り向くとそこには1人の爺さんが居た。

「まあ……、もうこの村にはわししかいませんがな。こんな雨です、ぜひ泊まっていきなされ」

「ありがとうございます……!」

そう言って彼らは老人の家に案内される。

「……はい、きのこ鍋じゃ、あったかいうちに食いなさい」

「ご飯まで……!ありがとうございます!」

「うん!美味しい!このきのこ、近くの森で取ってきたんですか?」

「近くに穴場があってのぉ……」

そんな会話をしながら彼らは鍋を囲んで食べていた。

「他の人は居ないんですか?」

「昔に病で大勢亡くなってのぉ、生きてたものも皆街の方にでていきおった」

「そうですか……」

「そんな心配する事はない、十分1人でも生きていけるぞ、たまにあんたらみたいな人も来たりするしの」

「すみません、気使わせてしまって」

その後老人は、布団を敷いてきて

「わしは開いてる家が他にもあるでの、そっちで寝るからあんたらはここで寝れば良い」

「あ、ありがとうございます!」

「じゃあ、また明日の」

そう言いながら老人は家を去っていく。

「さあて、俺たちも寝るかな」

「そうね……」

そして2人も床につくが……

(今日身体洗ってないからか、彼の匂いが気になる……。だめよ、だめよ!人の家でシたら!)

(あいつの匂い……!良かったなぁ……!だ、だめだ!だめだ!)

2人はお互いの匂いに悶々としながら一夜を過ごした……。






そして次の日の朝……

「ちょっとお礼がしたいんです!何か助けができることがありますか?」

2人はせめてもの恩返しとして何かを手伝おうとする。
その言葉を聞いた老人は……

「しかたないのぉ……、なら食べ物の収穫などを手伝っておくれ」

「はい!」

そうして2人は果物や野菜の収穫を手伝っていく。

「これも食べてみなさい」

「ああ!これも甘い!」

「そうじゃろ、そうじゃろ」

そして……

「ちょっと休憩しようかの、お茶を用紙するから待っておれ」

「はい!」

老人はお茶を取りに行く。
その時2人は……

(……ああ、カッコいいなぁ。汗が流れてるのも素敵!……どうしたんだろう!?昨日から魅力的にみえる!?)

(あいつ、こんなに可愛かったか?匂いが鼻に……!?意識するな!意識したら!?)

そんな時だった。

「おーい!おふたりさん!ちょっと手伝っておくれ!」

「「あ、はい!」」

老人の助けを聞き向かったところは大きな倉庫であった。

「すまんのぉ、お茶っ葉を切らしてての、この奥にあるはずなんじゃが探してくれんかの」

「分かりました!」

2人は倉庫の中に入りお茶っ葉を探す。
そんな時!

「うむ……!ありがとうの、おふたりさん!」

「!?きゃああああ!!」

「う、うわぁぁ!?」

突如2人の足元の床が開き、2人は落ちていく。
そしてそこには……

「……いてて、何なの!?ここは……!?」

「爺さん!?これはなんだ!?」

「ああ♡あたらしいなかまだね♡」

「ええ、茸神様。今回の供物です」

キノコの姿をした少女の怪物が居た。

「な、何だ!?お前は!?」

「ば、バケモノ!?」

「だいじょうぶ♡すぐに分かるよ♡」

そう言うとその怪物は頭から胞子を撒き散らし地下空間に充満させる。

「げほっ!?げほっ!?」

「な、何なの!?」

「ほらぁ♡聞こえるでしょ♡見えるでしょ♡みんなが」

闇に眼が慣れてきた2人が咳き込みながらも周りを見ると……

「ああ……♡」

「いいよぉ……♡」

「また出ちゃう……♡」

「ミルクでちゃうよぉ……♡」

「ほらぁ、みんな仲良しでしょ♡」

そこに居たのは少女と同じようなキノコの怪物達が男と交わり合っていた姿だった。

「な、何だこれは……!」

「は、早く逃げないと……!っ!?……え?」

2人は逃げようと必死に足を動かそうとするが……

「ほらぁ、もう足も溶けてきたでしょ♡」

「い、いやぁ!?あ、足がぁぁ!?」

女の足は地面に溶けていた。
まるで根を張るように。

「だ、大丈夫か!?ど、どうしてだよ!?」

男は必死に女の足を地面から剥がそうとするも……

「ああ♡触らないでぇ♡触られたら変な気分になるぅ♡」

「お、お前こそ変な声出すな!?」

触れば触るほど女の身体には快感が走ってくる。
その声に男も意識してしまう。

「……あの人もむかしは騎士だったらしいよ♡、あの人はお医者さん、あの人は……」

怪物は周りの人々を指差ししながら紹介していく。
よく見ると確かに元の仕事の面影がある服装をしているが……

「あん♡気持ちいい♡」

「おれもだよ♡」

ここにいるのは快楽に溺れた怪物達だけである。

「ああ♡やだぁ♡身体触らないでぇ♡」

「♡お、お前こそ♡変なところ触るなよ!?」

それでも必死に男は女を地面から剥がそうとするが、女が快楽に悶えて動くせいでお互いの服も乱れていく……。

「あ!?ああ……♡」

「ま、まて!?しょ、正気に戻れ!」

「おたがい、こかんはしょうじきだけどね♡」

そんな時女が男を押し倒してしまう。
気づいたら男のそれは肥大化し天を目指している。
女のそれも同じように何かを待ち望んでよだれを垂らしている。

「だ、だ「はい♡ってね♡」っ♡ああああああ♡♡♡」

「あ、ああああああああ♡♡」

僅かな理性で必死に抵抗しようとしたが、その前に怪物から無理やり腰を下ろされた女、そして男は嬌声をあげる。

「あ、ああああああ♡♡♡♡びゅるびゅるくるぅぅ♡♡咲いちゃう♡咲いちゃう♡♡」

「ああああああああ♡でる♡出る♡生える♡」

そしてそのままの勢いで射精が行われるとそれを餌にするかのごとく、頭の中から何かが出てきて……

「〜〜〜〜〜〜〜♡♡♡」

それは開き、胞子を蒔いた。
立派なキノコを咲かせて。

2人はもはや気づいてない。
お互いの身体がいつのまにかキノコのそれに成り変わってること。
そしてそのネバネバした身体からの糸をお互いに巻いていくのを。

「もっと♡もっと♡だしてぇ♡」

「ああ♡だすよぉ♡だすよぉ♡」

「ふふ♡きもちよさそう♡あなたはどうなの?」

幸せそうなキノコの怪物に新たになった2人を他所に老人に怪物は語りかける。

「わしの相手は1人だけじゃ、ちゃんと約束は守ってくれるのじゃな、茸神様」

「ええ……♡あともう少し♡もう少し♡仲間が増えれば♡」

「ああ……、ようやくあいつにまた会える。またあいつと……」

「ほんとうににんげんって♡おもしろいわ♡」















それから数年後の事だった。
行方不明者が多数と言われてるとある村に大きな山のようなキノコが生えてきたのは。
それに人々が戸惑う間もなく、それはまるで勢いよく噴火するかのように胞子を撒き散らかした。

人々は必死に逃げようとしたが無駄だった。
胞子を吸った人は皆、咳や謎の熱、快楽で動けなくなりその間に人々は胞子に包まれ動けなくなった。

そして胞子が降り注いだところには、胞子に覆われた人型らしきものが見られるだけのが見られるようになった。

しかしその光景もそれからしばらく過ぎると……

「ああ♡」

「んんああ♡あーああ♡」

胞子の殻が割れたと思ったらそこには裸のキノコを頭に咲かせた人達がいた。
否、それは生者だけではない。
死者の骨にも胞子はつき、仮初の肉体を作り上げたのだ。

「んあ〜♡あ♡ああああ♡」

そんな死者の中の1人である女はは一つの影に近寄る。
それはかつてあの村にいた老人のものだ。
女が近寄ると……。

「あ、ああああああ♡」

それは割れた。
中からは多分その老人の若い頃の姿なのだろう。
そんな少年の姿をした彼を女は抱きしめる。
男も同じように抱きしめる。

「ああ♡あんん♡んああああ♡♡♡」

「〜〜♡♡♡ん〜♡♡♡」

そしてどちらからともなく交わっていく。
とても幸せそうな、何の苦しみもない無邪気な笑顔で。

あたり一面、そんな光景で溢れてる。
それこそが神と崇められた彼女が望んだ一つの救いであった。





「パパ!大丈夫!?あそこが大変なことになってるって!?」

そしてその救いは……

「ああああ♡あー♡ああ♡♡」

「ぱ、パパ!?お、おかしいよ!?あ、ああああ♡」

求めるものがあればどこまでも救うだろう
23/12/13 22:54更新 / デーカルス

■作者メッセージ
村が病で大勢死に、老人の妻も亡くなる→そんな時、たまたまマタンゴの突然変異の茸神様に会い、茸神様の力が高まれば死者も復活できると言われたのでその為に反対する村人たちをみーんなマタンゴに変えてしまい、その後も旅人たちを捧げていた。
最終的には満足でしょう。

尚、最後の方はみんな胞子で意識共用できる+そもそも交わう悦びが全てに勝るという事で殆ど言葉話さないという形にしました。

一応、一部言葉喋るやつもいるとは思いますが殆ど使うことはないでしょう。

尚、ラストシーンはわかりやすく言うと外から調査に来た騎士が胞子に覆われて頭キノコ人間化。
そういう外に家族とかがいる場合はそのまま家に帰って家族をキノコ化させます

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