読切小説
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よく訓練された豚ども
女たちは男たちに跨り、嗜虐的な瞳で腰を振る。
「オラオラ、啼けよ、セックスだぞ。お前たちのような豚がセックスしてもらえることを光栄に思え。ほら、啼けよ、悦べよ。ほら、ホラァ!」
「ぶっ、ぶひぃいー!」
汚ったない嘶きをあげて男たちが果てる。
「一番大きな悲鳴がいい豚だ」
「一番先に妊娠させた豚にはA5ランクの称号をやるぞ!」
女たちは組み敷いた男たちを口々に罵り、彼らの精液を恍惚として下の口で味わう。

「や、やめてくれ……。こんなんじゃすぐにまたイッてしまう……」
「イケ、イッちまえ! とゆーか豚が喋ってんじゃねーよ。豚はぶひぃだろぉ!」
女が股を締めれば、
「イッ、ぶひぃいいーー!」
と、また一つ汚ったない悲鳴があがって男が果てた。

ここは、オークたちの巣だった。
先日彼女たちはとある村を襲った。
男たちはその村からの戦利品だった。
それからは連日連夜の大宴(おおうたげ)。
彼女たちは気に入った男を伴侶にし、彼らをひたすらに犯す。人気の男には数人のオークが群がり、彼の腰だけではなく、頭にも、腕にも、足にも跨って腰を振っていた。
まるで、何人乗って大丈夫か、試しているようでもあった。

彼女たちは猛っていた。
それは伴侶を手に入れられた興奮からだけではない。
一番のお宝は、やっぱりボスであるハイオークが独り占めしていたからだった。

ーー少年(ショタ)勇者。

ハイオークはひときわ高い座で、彼を後ろから羽交い締めにし、その恥宴を眺めていた。彼女の豊満な胸肉は少年に押し付けられ、彼の背中からはみ出している。そのむっちりとした太ももは、彼のまだ細い太ももを絡め取る、肉の拘束となっていた。

村の守り手として雇われていた少年。だが、まだまだ未熟に過ぎた。豊満に熟れた、ハイオークの敵ではなかったのだ。

「くっくっく、いーい眺めだろぉ?」
「や、やめろ……。辱めるくらいなら、いっそ殺せぇ……」
少年は気丈な瞳を彼女に向ける。しかし、目尻に涙を溜めるその視線は、彼女を煽るだけでしかない。

「ああ、可愛いねぇ……」彼女は少年の腋に舌を這わせる。
腋を這い回るヒルのような粘つきに、少年はギュッと目をつぶって耐えていた。
「くっ殺……」
「そんな勿体ないこと出来るもんか。……チュ……レロ……。ああ、まだ毛も生えない腋は美味しいぃ」
「う、うぁあああ……」
少年は耳まで真っ赤になって、彼女から与えられる快楽に耐える。

「くっく、楽しまないと損だよぉ。あんただって、バッキバキになってるじゃないか」
彼女の視線の先には、少年の体に似合わない凶悪なイチモツが、天高くそそり立っていた。それは、伴侶とした男性と交わりながらも、手下のオークたちがチラチラと視線を向けるほどの代物。
もしもここがジパングであれば、そのまま御神体として祀られてもおかしくはなかった。

しかし、ハイオークは少年を弄び、その肌に舌を這わせるだけで、そのご馳走(おちんぽ)にはまだ指一本触れてはいなかった。
彼女の股からはトロトロとツユが零れ、少年の尻をベタベタに濡らすくらいは興奮している。
鼻息荒く、それを自分のナカに招き入れることを想像しては、それだけでイッてしまいそうになる。
それでも、彼女はそれをまだ食べようとはしなかった。

それもそのはずだ。
彼女は恐れていたのだった……。

雌豚堕ちを。

(いやいや、おかしいでしょ……この子のおちんちんの大きさ……。こんなの、一発挿れられるだけで気持ちよくなっちゃうに決まってる。即堕ちアヘ顔ダブルピース間違いなし。ついでに肉便器豚奴隷誕生養豚場はじめましたコースになるのも目に見えている。
この子とは交わりたいけれども……。
あのお母さまの娘である私がそうならないはずがあろうか、いや、なるに決まっている。
みんなの手前そんなことは恥ずかしくってぇ……。みんなを道連れにも出来ないしぃ……)

群れのボスとしての葛藤、そして母の痴態を思い出し、彼女は彼を弄ぶだけで、その先に進むことができなかった。

(ちょっとー、ボスまだあのおちんぽ食べないのー? 雌豚堕ち早よ)
(早よ)
(早よ)
(自分から腰振るの疲れたー、やっぱりオークは四つん這いで突かれてナンボっしょ)
(ポルちゃん、ファイトー)
(ボスー)

ショタ勇者を弄ぶだけの彼女に寄せられる、部下たちの視線には彼女だって気がついている。
オークたちは信じているのだ。ハイオークの自分が、いくら巨根とは言え、ショタちんぽに負けるわけがない、と。
と、ハイオークのポルは勝手に部下たちを信じていた。
部下たちはもうすでにポルの性癖を知っている。彼女の幼馴染のオークが暴露している。それをポルだけが知らない。

このままでは部下たちに示しがつかない、とも思う。
しかし、おちんぽに手を伸ばそうとすると、彼女の脳裏にはあの光景がフラッシュバックしてしまうのだ。
両親の痴態が……。

彼女の母は、オークの群を率いる気風の良い村長(ボス)だった。彼女は母のことを、この上なく尊敬していた。
「おうおう、ポル、まーたオークに泣かされたのか」
「お母さまー」と彼女は母に抱きつく。母に優しく抱きしめてもらうのが、彼女は大好きだった。
「こーら、お前はハイオークなんだから、もっとビシッとしてればいいんだよ。オークなんてな、種族的に、ハイオークには逆らえないんだから」
「でも、そんなことするのは酷いよ……」
「ははは、しゃーないな。ポルはあたしに似て優しいから……」

「えっ、優しい……?」
「あぁん、何か言ったか?」
「いいえ、なんでもありません」
口を挟んでたしなめられる父親の姿に、ポルはクスリと笑う。
そんな風に押さえつけられているようでも、彼らが愛し合っているのはちゃあんとポルは知っているのだ。仲睦まじい両親の姿を見て、自分もこんな夫婦になりたい、と夢見るような、そんな少女だった。

彼女は両親が交わっているところも見たことがある。
母が父をリードして、ねっとり激しく交わるのを、彼女は扉の隙間から覗いていた。両親の方も、彼女が覗いていることを知っていて、まるで見せつけるようにして交わる。それが、魔物(ハイオーク)の情操教育だった。

ーーしかし、彼女はある時知ってしまったのだ。
それが、偽りの光景だったことを。
ーー本当に主導権を持っていたのはどっちだったかを。

ポルは成長し、少女から大人になった。
彼女は母からハイオークの矜持を学び、そろそろ自分の群を持ってもいいくらいだった。
しかし彼女は相変わらず家に留まり、両親とともに暮らしていた。

ある時彼女は狩りに出て、同じグループの仲間が怪我をした。その治療薬を取りに家に戻った時、家の中に両親はいなかった。いつもならこの時間は家にいるはずだが、もしかすると、彼女たちは買い物にでも行ったのかもしれない。
そう思いつつ、薬箱を取り出した彼女の耳に、何やら獣のような声が聞こえた。

(なんだろう……。何か、子犬が鳴くような……)

どうしてだか彼女はその声が気になり、耳を澄ませ、その声の出どころを探ってみようと思った。そんなことーー、よせば良かったのに。
そうして彼女は探し当てたのだ。

(なに……これ……地下室?)

それは、両親の寝室にあった。
床にぽっかりと空いた、まるで奈落に続く穴。
声はそこから漏れていた。
彼女は唾を飲み込み、ハシゴを伝い、その下へと降りて行った。

息の詰まりそうな湿気。
それには紛れもなく、淫らな吐息が混じっていた。情欲の霧。そう称してもいいだろう。まるで肉の胎内へと潜り込んでいくような錯覚を覚えつつ、彼女はたどり着き、明かりの漏れる部屋の前に立っていた。

中からは、紛れもない両親の情事の声。
しかし、それは普段のものとは違っていた。

「ぶひぃいいい! ご主人さまッ、この淫らな雌豚に罰を与えてくださいぃい!」
「フン、罰じゃなくてご褒美だろ。この卑しい駄豚がっ!」
「おほぉおおお! おひりぃ、おひりの中で、精液ぶりゅぶりゅ入ってりゅぅう……。気(ひ)もひ良ィ……」
パンパンと肉のぶつかる音。女の媚びた嬌声。それを罵る男の声。
その声にはいつもの気丈な母の色はない。男に蹂躙され組み敷かれることを悦び、それに媚びる雌豚の声があった。
男の方も、彼女を執拗に苛み、弄んでいるようだった。

ポルはカチカチと歯を鳴らしながら、ソッと覗き込んで見た。

そこには……、涙も鼻水もよだれも垂れ流し、乳房(ちぶさ)を紐で縛り、身体中に白濁とした男の欲望をべっとりこびりつけ、前の穴から精液をこぼす母の姿があった。尻には肉棒が刺さり、その隙間からも、白いものがこぼれ落ちている。
ロウソクに照らされる彼女の後ろには、ケダモノとしか思えない父の姿。
母の顔は情欲でぐちゃぐちゃに爛れ、二人の姿は、まるで肉欲の聖像(イコン)のようだった。

呆然とするポルだったが、彼女はそんな母と目が合ってしまった。
母は弁明するでも恥じるでもなく、ぶりゅっと、さらにケツに注ぎ込まれた精液によって、ポルに向かってアヘ顔ダブルピースを晒したのだった……。

ポルは逃げ出した。
あれが自分の両親の姿だとは信じられなかった。
気風がよく、毅然とした母の姿も、彼女に押されて気弱そうな父の姿もそこにはなかった。そこにいたのは、男の姿をした調教師と、調教師に媚びねだる雌豚だった。

ショックだった。ーー彼らの本当の姿が。
しかし、彼女が本当にショックだったのは、その両親の姿こそが、普段の仲睦まじい姿、母が優位に立っている姿よりも、羨ましいと自分が感じていたことだった。
彼女は急いで自分の部屋に戻ると、彼らの姿を思い出して自慰をした。それは、今まで感じたことがないくらいに、気持ちの良いものだった……。

しばらくして彼女は自分の群を持つために旅に出ることにした。
あの情事を見てしまった後でも、ポルは両親と、以前と変わらない生活をしていた。お互い、何もなかったように振舞っていた。
だが、母親は彼女にポツリと一言だけもらしていた。

「お前も分かるんじゃねぇのかなぁ。なんせ、あんたはあたしの娘だ」

その他にも何かを話していた気はするが、その内容をポルは覚えてはいない。
彼女たちの間には、言葉を交わすよりも強い繋がりがあった。
それはもう、分かりすぎるほどに分かっていたことだ。なにせ、そのシチュじゃなければイケなくなっていたのだから。
しかし、娘はそれを認められずにはいた。

やがてポルは、幼馴染のオークとともに旅に出た。
いくつかのオークの群れも渡り歩いた。
母を見習い、彼女の思い描くボス然としたボスを演じた。身体もそれに従い、ハイオークとしてムッチリと、猛々しく成長した。どんなオークだって、彼女を一目見れば服従し、男は欲情しつつも恐れる。
彼女はいくつも村を襲い、群れのために男を捕まえた。しかし、自分の男には出会えなかった。幼馴染もそうだった。
そうしたことを続けていて、今回、彼女はついに理想の男性を捕まえられたのだ。
だが、踏ん切りがつかなかった。

(欲しい……。欲しいけど……。あんな……。もう、戻れなくなっちゃう)

それは気持ちのいいことに決まっている。
素晴らしいことに決まっている。
しかし雌豚に堕ちることが分かっていて、それを自分から選ぶことには葛藤があった。

彼女は巨根のショタ勇者を羽交い締めにしたまま……。

彼の背中に自分の乳首を押しつけ、彼の乳首を後ろから弄んでいる。ムッチリとした太ももはスベスベと彼の太ももに絡みつき、彼女という雌肉をこれでもかと教え込んでいる。
少年は相変わらず「くっ殺」と言っているが、いずれ自分から、「お姉ちゃん、僕のおちんちんを食べてください」と言い出すに決まっている。
少年と言えども、その雌肉を貪りたいという欲求には抗えないものだ。
彼女はそれほどまでに魅力的で、それでいてーー、本能的に訴えるものがあった。

私の本性は雌豚だ。
あなたに調教されたくてたまらない。

それは彼女の血潮に流れている本能の訴えで、それは熱となって少年を苛んでいるものだった。
彼女の身体は、少年を、自分を調教する調教師へと、調教し始めていた。
ハイオークのポルは、もうすぐやってくるであろう、自分の雌豚堕ちの刻(とき)を明確に予感していた。

もし少年に犯され、雌豚になったのなら、一度家に戻り、母と雌豚の矜持について語り合ってもいいかもしれない。それぞれの夫に調教されながら。
そんなことまで考えてしまう。
それに、彼女の腹の疼きは抑え難くなってくる。

だが、彼女は少年を弄びつつ、素数を数えながら耐える。
素数はそれと1でしか割り切れない孤独な数字だ。誰とも交わることはない。
しかし、その1とはマゾかもしれないし、雌豚かもしれないし、彼女の母親かもしれない。
しかし、少年であることは確かだとは思われる。
なにせ、彼女を雌豚に堕とすのは間違いなく彼なのだから……。

湧き上がってくる情欲を、彼女は不安な円周率を数えて耐える。
どこまでも続いていく円は、循環して終わりがない。覚えている円周率だけではなく、それを力づくの計算で割り出していってもいい。
情欲の炎は冷徹な数字によって弱められる……こともなく、彼女は少年を苛むことによって耐える。
その視線は絶えず彼の肉棒に注がれている。

そうして、まるで敬虔に欲望に耐える修道者のように、その口では少年への罵りを祈りの文句として唱え、彼女は少年を舐め続ける。

そんな彼女の姿を、部下のオークたちは見ていた。

もうどれだけ待ったのだろう。
彼女(ボス)も自分たちも、まだ雌豚に堕ちていない。
ーーそれを楽しみにしているというのに。

オークたちは跨っていた男たちから一人、また一人と降りて立ち上がる。
そうしてポルの周りへと集まってくる。
男たちもすでに彼女たちに調教され、従順になって従っている。
その中にはポルの幼馴染もいる。彼女はポルとともにその少年を犯したかったのだ。

そうして皆々が口々に叫ぶ。そこにはショタ勇者の声も混じっていた。

「早よ! 本番、早よ!」

この巣は、ハイオークの彼女によって、すでによく訓練されていたーー。
18/02/21 14:51更新 / ルピナス

■作者メッセージ
本番なくて終わる(愉悦顔)

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