読切小説
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魔物娘的新婚生活
 むかしむかし…ある図鑑世界にある夫婦がいました。
 奥様は砂漠の日に焼けた様な見事な褐色の肌をしていて、普段は黒い薄布を胸や秘所などの局部に身につけているだけで、その自慢の肌を見せ付けるような格好です。髪は最高級のジパング人形のような艶のある黒で、ストレートに腰近くまで伸ばしていました。奥様としては長い髪は職務の邪魔になり、手入れも維持も大変なのですが、旦那様が長い髪が好きだとぽつりと漏らしてからずっと伸ばし続けている大事な大事な髪なのでした。
 また、普段は天秤を象った見事な金の尺杖を持ち、腰には金の宝剣を靡く奥様は多くのヒトに命令を下し、管理するのが仕事なので、あまりお家に帰ることが出来ません。帰ることが出来ても夜遅い時間帯であったりするのです。エキゾチックな装飾品を身につけ、それらを狙う襲撃者たちと戦う奥様は、会う時間があまり取れないながらも、心から奥様は旦那様を愛していましたし、責任ある役職について誇らしい反面、スキンシップも取る時間が少ない事を悔いていました。
 そして、旦那様もそれはしっかりと理解していました。著名な考古学者であり古代遺跡についての論文を幾つも発表している旦那様は普段から家へと篭りきりです。身嗜みというモノに無頓着な旦那様は髭も剃らず、一心に研究だけを続けるのでした。けれど、それは単純に知識欲だけのものではないのです。奥様が帰ってきた時、「おかえり」と笑って出迎えて上げられるように、旦那様はあまり家から出ようとしないのでした。
 そんな二人がゆっくりと一緒の時間を過ごせるのは、奥様の休日だけです。自然、夫婦の営みは奥様の休日にばかり集中することになるのでした。その営みは激しく、奥様が帰ってきた日…つまり休日の前日から貪りあうように絡み合う二人は今、ベッドの上で重なり合ったまま眠りあっています。

 ―ピクリ…っ

 大の字になった旦那様に身体を預けるようにしっかりと抱きつきながら、眠る奥様の耳が何かに反応したかのように動き、髪の上でひくひくと震えました。同時にふわふわとした毛に包まれた尻尾が起き上がり、ゆっくりと力を取り戻します。旦那様に抱きつくように委ねている四肢もまた艶やかな黒い毛に覆われ、触れるだけで夢中になりそうなほどです。
 そう。奥様は人間ではなく、アヌビスと言う魔物娘なのでした。考古学の研究の為、遺跡に立ち寄った旦那様と敵対したのが二人の馴れ初めです。それから何度も遺跡研究の為、調査をさせて欲しいと頼む旦那様を追い払いながら、その顔を忘れられなくなった奥様は…砂嵐で追い払うことも出来なかった日、ついに想いを成就され、結ばれたのです。今では旦那様は研究を諦め、奥様に手を貸しながら遺跡の中の一室…遺跡の管理者である奥様の家を愛の巣として暮らしていました。

 「ん…っ♪」

 そんな愛の巣の主である奥様が小さく声を上げながらゆっくりと目を開けました。ぴくりぴくりと周囲を警戒するように何度も震える耳とは対照的に、緩慢な動きで状況を把握しようとするその瞳は寝惚けているのか何処か胡乱なものです。焦点さえ定まっていないそれは自分の下で未だ眠る旦那様の姿を捉えるとはっきりとした喜色を浮かべて、笑みのような表情を奥様に浮かばさせました。

 「アナタぁ…♪」

 そう呼ぶ奥様の顔は普段、マミーたちを率いる管理者の姿とは到底思えません。一枚の薄布も魔法の道具も持たず、愛しいオスの姿に心乱され、身も心も全部捧げたメスそのものなのですから。けれど、その表情は同時に何より幸せそうなものでした。当然です。だって、身も心も旦那様に捧げた奥様は傍に旦那様がいるだけで、世界中の誰よりも幸せな気分になれるのですから。

 ―あぁ…こんなに良い匂いさせちゃってぇ…っ♪

 心の中で陶酔したように声を漏らしながら、奥様はすんすんと鼻を鳴らすように匂いをかぎました。部屋中に広がっている発情したオスとメスが出す濃厚なフェロモンが混ざり合ったそれは、勿論、奥様と旦那様から放たれたものです。昨夜の情事の残滓に、沢山子宮に精液を飲ませてくれた感触を反芻しながら、奥様は下腹部にそっと手を置きました。とくとくと今も律動しているそこは、今も尚、膣内で勃起している旦那様の性器を咥え込み、朝の一番搾りを貰おうとしています。

 「あはぁ…♪」

 喜悦の感情を一杯に込めた吐息を漏らしながら、ぐりぐりと首を擦り付けるように奥様は甘えます。まるで目の前のオスが自分自身のものだと主張するかのようにたっぷりフェロモンをつけた後、奥様は満足げに微笑んで、ゆっくりと腰を左右に揺らし始めました。

 ―また、こんなにぃ…大きくしちゃって…っ♪

 勿論、奥様はもう旦那様と結婚してもう何十年ですから、それが男性の生理現象であることなんてとっくの昔に分かっています。結婚して何十年経っても若々しい旦那様が朝に必ず引き起こす朝勃ちなんて見慣れている…と言っても過言ではありません。けれど、そんなの奥様には関係ないのです。旦那様がビキビキに勃起して、辛そうにしているだけで、射精させてあげる理由には十分なのですから。

 ―もう…はち切れそう…♪

 元々、旦那様の性器は少し小柄な奥様にとっては大きなものです。通常地のサイズでさえ、奥様の掌よりも大きなそれは、最長時には奥様の大事な子宮とぶつかって、全部を膣に納めきることが出来ません。そして、朝勃ちにその身を硬くする旦那様のオチンポは、既にその最長時に劣らない大きさにまで膨れ上がっているのです。勿論、旦那様を強く愛し、その身を旦那様の手で―勿論手以外の色んな箇所や時には道具を使って―耕されている奥様がそんなものを膣に入れられて、我慢できるはずもなく、すぐに恍惚とした表情のまま緩やかに腰を上下させ始めました。

 「あっはぁぁ…♪」

 起きたばかりでまだ濡れていない膣は、普段であれば擦り切れて痛みしか感じないものだったのでしょう。けれど、奥様の子宮には、昨夜、お腹が膨れそうになるほど射精されて、その身一杯に溜め込んだ精液があるのです。子宮から漏れ出る本気汁と共に子宮からとろとろと零れ堕ちる精液を潤滑油としている奥様にとって、それは快感でしかありません。しかも、昨日の情事の痕跡をまた情事に使うというとても倒錯的な悦楽を伴った快感なのです。自然、奥様は夢中になってその動きをより複雑なものにしていきました。

 ―こうやって腰を捻るとぉ…っ♪

 ずりゅずりゅと、奥様の粒粒とした突起に満ちた膣を抉るオチンポが最奥を突く瞬間、円を描くように腰を捻ると、奥様の身体にまるで電流のような強い快感が走ります。子宮のお口と、可愛いお豆と言う奥様の中でも最高の性感帯が同時に刺激されるのですから、仕方ありません。自然、奥様は「きゃふぅんっ♪」と可愛いメス犬のような嬌声を上げながら、それをもっと貪ろうと何度も何度も繰り返してしまうのです。

 ―あぁぁっ♪やっぱりこれ…ぇ大好きぃっ♪

 腕と頭を旦那様の胸板に預けたまま、ぐりぐりと腰を振るうのは奥様の大好きなプレイの一つでした。勿論、旦那様と交歓するセックスは、奥様にとって全て最高のものですが、その中でも、こうして強い性感帯を同時に刺激するこれは奥様の中では色んな意味で特別なのです。

 ―こんなにやらしく腰を振るってぇ…予定も全部忘れちゃいそうなくらい気持ち良いっ…♪

 普段は多くのマミーを統率する立場である奥様は、こうして旦那様に御奉仕するのは勿論、大好きです。この世の誰よりも旦那様を愛している奥様ですから、膣で扱きあげて膣奥で射精してもらえるように精一杯尽くす事が嫌いなはずがありません。けれど、その反面、強い快感に自分の使命や、計画などが流され、旦那様に御奉仕する一匹のメス犬に堕ちていくという事に強い倒錯感を覚えるのです。
 そして、勿論、その倒錯感は奥様の悦楽を高める成長剤にしかなりません。はぁはぁと甘い吐息を吐く奥様は高められる悦楽に従って、旦那様の広い胸板に胸を押し付け、乳首と乳首を擦れあわせます。普通であれば御奉仕には使わないであろう乳首まで持ち出して、旦那様に御奉仕しているという感覚は、さらに奥様の興奮を高めました。

 「やぁああ…♪こんなぁっ♪」

 旦那様の両手にすっぽりと納まってしまうサイズの敏感な胸を必死に押し付けながら、奥様は艶やかな尻尾をふりふりと男を誘うように振り始めます。まるで、男を誘うような、その尻尾は敏感な奥様の中でもとても強い性感帯であり、それを捕まれると奥様はどうにも力が抜けてしまうのでした。…そして、その事を誰よりも知っている旦那様は、最初、そこに手を伸ばして尻尾を握るのです。

 「ひゃふぅぅっ♪あ、アナタ…ぁ♪」

 寝ているとずっと思っていた旦那様が起きているのだと知った奥様は尻尾を握られて全身の毛が逆立ちそうな快感が走るのを必死に堪えながら言いました。それに旦那様は目を開けて、悪戯っぽそうにウィンクしながら、応えるのです。

 「やぁ、おはよう。所で僕の上で何をしているのかな?」
 「そ、それはぁぁ♪」

 ぎゅっと尻尾を握られている奥様は力が抜けて身じろぎ一つ出来ません。その様子をじっと見つめる旦那様の目は意地悪そうに輝いているのに、嘘一つさえ見逃しそうもない鋭いものでした。逃げる事も、恍ける事も出来なくなった奥様は観念して、告白を始めます。

 「わ、私はぁぁ…アナタのオチンポが辛そうだからぁ♪しゃ…射精ぃ…しゃせーさせてあげようと思って…っ♪」
 「僕はそれは要らないって何時も言っているよね…?」
 「だけど…っアナタぁぁ♪」

 ―こんな匂いとアナタのモノを目の前にして我慢できるはずが無いのぉ♪

 しかし、その言葉は奥様の口から出る事はありませんでした。その前に旦那様が嗜虐的な感情をその瞳に込めて、言葉を遮ったからです。

 「言い訳も要らないよ。…今日もお仕置きだからね」

 言いながら旦那様は身体を起こし、脱力する奥様を抱きかかえてそのままころんと奥様の身体を特製の大きなベッドに横たえさせます。同時に尻尾を引っ張って、抵抗できない奥様の肢体を、オチンポを軸に180度回転させ…後背位の体位へと変えました。その動きはとても滑らかで、所要時間は数秒もかかっていません。勿論、それは旦那様がこうした体位の変更をするのに手馴れていると言う事の証左です。だって、旦那様は休日の朝になる度に、『毎回』こうして奥様を後背位へとしているのですから。

 ―ま、また今日もお仕置されちゃう…っ♪

 そして勿論、毎日、奥様もこうして『お仕置き』されているのです。その快楽がどれほどのものか知っている奥様は自由にならない肢体をベッドの上で広げながら、期待に膣を震わせました。その震えを男根から味わう旦那様は焦らすように、鈴口で子宮の入り口をくりくりと擦りあげるのです。その度に焦らされる快楽に震える膣は、その壁一杯につけたクリトリスのような独特の弾力を持った粒を旦那様のオチンポにこすり付けて本能を刺激していました。

 「わぁふぅ…♪」

 勿論、それは奥様にとってはとても不満で、不本意なことです。だって、大好きな旦那様にようやく貪って貰えると思ったのに、その動きは焦らしているようなそれなのですから。『何時もの事』で、敏感な膣奥をくすぐる様に触れているとは言え、射精されるまで乱暴に貪られ続ける準備を始めている奥様がそれに我慢できるはずもないのです。自然、尻尾を捕まれたままの腰を必死に旦那様に媚びるように振るいながら甘えたメス犬の鳴き声を上げ、隅々まで愛してもらえるよう体中で懇願していました。

 ―またこんなにやらしく媚びて…っ!

 それに溜まったものでは無いのは旦那様です。とっくの昔に奥様の手でインキュバスと化した旦那様にとって、朝からの交わりは文字通り朝飯前ですから、拒む理由はありません。けれど、こうした『お仕置き』をするのは、奥様がこうやって、尊厳も何もかも投げ捨てて文字通り旦那様専用のメス犬として孕ませられるのを望んでいるという事を、奥様だって否定するであろう事を、旦那様だけは知っているのです。だから、本当はもっと焦らして、プライドも理性も全て投げ捨て、孕ませてください、と奥様が声に出すまで我慢していたいのですが…世の中、そう上手くはいきません。

 ―膣も、絡み付いてきて…我慢できるはずがない…っ!

 後背位の状態で腰を押し付けるだけで、ぷりぷりとした粒が四方八方から旦那様のオチンポを扱きあげ、動いて欲しいと強請るのです。何十年と貪り続けているけれど、未だに飽きる事は無い…それどころか旦那様のツボを的確に刺激し今にも射精への欲求を覚えてしまうほどの膣内に…旦那様の我慢が切れてしまったのは当然のことでしょう。だって、そこは旦那様自身が耕し始め、他の誰の手にも触れられていない場所なのですから。旦那様だけが耕し、貪り、欲望をぶつける事を許されたそこは対旦那様に特化した文字通り旦那様専用の肉壷なのです。

 「わふぅぅぅう♪」

 そしてそんな旦那様の焦燥を知らない奥様は動き始めた旦那様に悦びの声をあげました。旦那様にとってはちょっとだけ、奥様にとっては地獄とも思えるほどの長い間の焦らしプレイを経て、膣奥まで乱暴に突き入れられる動きは、すぐに奥様の理性とか、プライドのようなものを完璧に押し流してしまいます。残るのは旦那様と言う世界で一番大好きなオスに、無理矢理貪られるのに、今にも絶頂してしまいそうな興奮を覚える一匹のメス犬だけなのでした。
 そして、それは旦那様も同じです。普段の理路整然とした顔を何処へやったのか、旦那様にとって最高のメスを貪るその顔は理性や知性と言った輝き一つ見えません。突き入れるたびに上下左右、何処からでも襲い掛かる肉の粒に夢中になって、何度も何度も腰を振るい続けるのです。その姿は奥様はメス犬ならば、発情した猿…と言ったところでしょう。けれど、お互いのそんな姿が気にならない…いえ、寧ろその姿に愛しさを掻き立てられるほど、奥様も旦那様も強く興奮していました。

 「アナタぁっアナタぁぁぁぁっ♪」

 必死に呼ぶ声に、旦那様はついに我慢できなくなって、その尻尾を手放してしまいました。そして、同時に頭を伏せ、腰を必死に上げる奥様の上にがばりと圧し掛かり、その両手を上から押さえ込むように重ねます。旦那様の二周りほど小さい奥様はそれに強い安心感を感じながら、がっちりと押さえ込まれて逃げ場が一つもありません。普通であれば恐怖を感じてもおかしくないくらい強く捕えられた奥様は、恐怖を感じるどころか大好きな旦那様に密着され、強い安心感と快楽に逆に千切れそうなくらい尻尾を振りながら悦ぶのでした。

 「お仕置きなのにまた感じているのかい…?」
 「あはぁぁ♪そうなのぉっ♪わんわんってぇぇメス犬みたいに喘いでっ♪やらしくぐちょぐちょの愛液噴出しているんですうぅっ♪」

 そう叫ぶように嬌声と淫語を漏らす奥様の目の前には二人で購入した大鏡がありました。立場上、お洒落をあまりすることが出来ない奥様が、せめて部屋でだけはお洒落を楽しめるため…という名目で買ったそれは、奥様の蕩けきったメス犬の顔を反射して、奥様自身に見せつけています。舌を突き出して、唾液にシーツを汚し、頬を真っ赤に染めながら悦楽の色を瞳に強く湛えながら、嬌声をあげる姿が、奥様自身に跳ね返っているのです。それに興奮を高め、さらに強い興奮を得ようと淫語を叫ぶのは仕方ないことでしょう。
 そして勿論、その顔は奥様に圧し掛かる旦那様にも鏡に反射して見えているのです。それに支配欲を感じないほど、旦那様は大人しい男ではありません。もっと自分色に染め上げて、もっともっと淫らな言葉を叫ばせて、自分だけのメスに堕ちて欲しい、と言わんばかりに旦那様は耳元で囁きます。

 「何を今更…。君は僕専用のメス犬だろう…?気持ち良いなら、それらしく鳴いたらどうかな?」

 囁かれたその声に奥様はぶるりと全身を震わせました。旦那様のその言葉は奥様にとって魔法の言葉も同然です。何時もその声の言うとおりにした瞬間、奥様は完全にメス犬に堕ちてしまうのですから。しかし、奥様はもうその言葉を拒む理性も持たず、より快楽を貪ろうとするメスの本能のまま口を開き…そして吼えました。

 「わんっわんんんんっ♪」

 ―あぁぁっ♪私…完全にメス犬にぃぃぃっ♪

 言葉を捨てて、ただメス犬として嬌声と鳴き声だけをあげる奥様の姿はとても淫靡で美しい姿でした。勿論、奥様は魔物娘ですから、普段でも美しい女性です。しかし、ただ、悦楽のまま、旦那様専用のメス犬として堕ちた奥様は、それだけオスの本能に直接訴えかけるような美しさを放っていました。そして、旦那様は、当然、大好きな奥様が自分だけのものだと実感できる上に、この世の何よりも淫らな姿が大好きで…そしてとっても興奮するのです。

 「わんっわふぅうううっ♪」
 「気持ち良いんだね?それなら…もっと激しくするから…っ!」

 そして興奮を覚えた分、強く抽送するのが男の本能なのです。勿論、旦那様もその本能には逆らえず、まるで叩きつけるように腰を出し入れし始めました。自然、二人の寝室にはぱちゅんぱちゅんと肉が弾ける音が響き、それがまた二人の興奮を掻き立てます。そして興奮した分、奥様は膣をぎゅうっと締め付け、どろどろの愛液をまた漏らし、旦那様はぴくんぴくんとオチンポを震わせて奥様の気持ちいいところを擦りあげました。

 「ふぁあああっわんっわんんんんんんんっっ♪」

 ぎゅっと締め付けたところに、旦那様のカサが震えながら、尿道の裏を擦り上げたのを奥様が我慢できるはずもありません。激しい興奮を覚えていた奥様はついに愛液を噴出しながら、達してしまいます。体中で荒れ狂う性感を堪える様にぎゅっとシーツを握り締める奥様は、尾の先から頭の耳まで全身快感を噛み締めながら、吼え続けました。
 そして、旦那様はその後ろで襲い掛かるような膣の圧力を味わうように激しく腰を振るい続けています。奥様が絶頂したのを知りつつも、高められた興奮は我慢など許してくれるはずがありません。自然、オスの本能が、より目の前のメスを貪ろうと、種付けして自分のモノだという証を刻み込もうと、腰を抽送させ、快感を与え、引き出しています。

 「やぁああああっわんっわんっっわんっ♪」

 それに抗議する様に吼える奥様の声は、やっぱり言葉ではありませんでした。当然です。だって、もう奥様は全身全て旦那様のメス犬なのですから、言葉を話していいはずがありません。抗議をする声もメス犬の鳴き声でなければいけないのです。そんな鳴き声で分かるはずがないと思われるでしょうか?ところが、長年連れ添った旦那様にはその声が抗議の念から放たれたものだと分かるのです。しかし、それを知っても旦那様は腰の抽送を止めません。
 勿論、そんな状態で奥様が再び襲い来る絶頂を堪えられるはずもないのでした。旦那様に乱暴に膣を抉られる度に、腰が浮き上がりそうになる小さな波が何度も寄ってきて、そして奥様の意識を奪っていきます。それが絶頂感の中で高まりきった時…奥様は再び強いアクメを迎えて全身を震わせるのでした。同時に膣奥からどろりとした粘液が飛び出して、きつい膣の中での抽送を助けるように旦那様のオチンポを包み込むのです。

 「わふっわんっわふうううううっ♪」

 既に奥様は絶頂の中で絶頂を味わう…所謂「イきっぱなし」の状態にまで高められていました。膣は絶頂時の男を悦ばせてようとする締め付けから戻らず、子宮口は何度も何度も鈴口に吸い付いてきています。そして、敏感な口同士が触れ合う度に子宮から熱い、それでいてとろとろとした淫液が漏れ出て、旦那様をさらに気持ち良くさせるのでした。しかし、それだけではありません。鏡に映る絶頂を極め続け、涙さえ流し始めた奥様のアへ顔も、その可愛らしいお口から漏れ出るメスの鳴き声も、奥様の身体から立ち上るミルクのようなメスのフェロモンも、ぴーんっと攣ったように震える尾も全部が全部、興奮を掻き立て、旦那様の我慢を吹き飛ばすのです。

 「くぁぁ…出る…っ!」
 「わんっわんっわんわんわんわんわんんんんんっ♪」

 独身時代であれば既に十回は出していそうな興奮と快感の中、旦那様はついに決壊し、その腰を膣奥へとぶつけた瞬間、絶頂を迎えました。白いマグマが噴火するように奥様の子宮口へと飛び込み、その奥の子宮へと侵入していきます。愛しいメスを自分色に染め上げている最高の快感を旦那様は味わいながら、もっともっとと強請るように吸い付いてくる膣や子宮口の快感に堪えていました。
 そして奥様はようやく味わう射精の快感に体中を今までに無いほど振るわせながらそれを受け止め続けています。子宮の中に愛しいオスの赤ちゃんの種が入り込み、オスの子供を孕めるかもしれないというメスの最高の快感を味わいながら、膣と子宮口はより強い絶頂へと導こうと旦那様のオチンポにご奉仕を始めました。それに嬉しそうに旦那様はその男根を震わせて、小さく呻き声をあげるのです。それが奥様には何より嬉しい報酬の一つなのでした。

 「はぁぁああ…はぁああああ…」
 「わふ……♪ひゃ…あぁ…♪」

 そして旦那様の射精が終わった後、崩れ落ちるように身体を預ける旦那様を受け止めるのもまた、奥様にとっては最高の報酬の一つなのです。愛しい相手が、精も根も尽き果てるかのように身体を脱力させ、信頼の証とも言うかのようにその身を預けるのを嬉しくないはずがありません。自然、旦那様を受け止めながら、奥様は満足そうな吐息を何度も何度も吐いて、未だ尾を引く絶頂感に身を震わせました。

 「…アナタ…ぁ♪」
 「ん…」

 その絶頂感を寄り深く味わうように甘えた声を出して旦那様の方へと向く奥様の唇に、旦那様は沢山キスをしました。旦那様が奥様よりも二周りほど大きいと言っても、その体勢のまま唇を貪れるほどではなく、自然、二人のキスは初心な恋人が好んでするような唇を押し付けあうだけの簡素なものです。けれど、今の奥様は、快感はない…けれど、優しい愛情たっぷりのキスを何より欲していたのでした。

 ―…やっぱり素敵…♪

 二匹の番になったような交わりの後の…初心な恋人のような甘いだけのキス。その落差が奥様が旦那様と同じくらい大好きなのでした。それを旦那様にされるだけで、奥様の胸はきゅんきゅんと甘い痛みを走らせて、また一つ旦那様に夢中になってしまいます。
 そして、それは旦那様も同じでした。さっきまでお互いをケダモノのように貪ったセックスの後、何処か恥じらいを浮かべながら奥様がキスを求めてくるのですから。その度に、奥様の事を「綺麗だ…」と思う旦那様は毎朝、こうして交わるたびに、奥様に惚れ直してしまうのでした。

 「そろそろ朝食を食べないと…」
 「うん…そうだね」

 休日の朝を迎えるたびに、お互いに夢中になり、惚れ直す夫婦はそう言いながらも中々、離れようとしません。僅かな別れさえ惜しむようにどちらからともなく何度も何度もキスをして…結局の所、ある妥協点に落ち着くのです。

 「離れたくない…よね?」
 「えぇ…アナタも…そうなのよね」

 確認するようにお互いの言葉で出してから、二人は小さく頷いて、ベッドから這い出て、のそのそと動き始めました。…けれど、その動きはとても遅々としていて、歩み、というのには程遠いものです。

 「あ…ふぁぁ…♪」
 「はぁ…っ」

 それも当然です。だって、奥様の旦那様専用メスマンコには、旦那様の奥様専用オスチンポが、まだ咥え込まれているのですから。お互いの呼吸を合わせて、ゆっくりと進もうとしてもどうしても足を引きずるようなものにならざるを得ないのです。先頭を行く奥様の括れをしっかりと掴む旦那様が追いつくたびに、子宮にこつりと男根があたって、どろりと愛液が零れ落ちるのでした。無論、その愛液は奥様の内股を伝って床を濡らしベッドと同じ染みを床にも作るのです。

 「はぁぁ…アナタぁぁ…♪」

 我慢出来ないというかのように旦那様の首に手を回しながらも、奥様はずるずると両足を進めます。しかし、一歩二歩と進む度に、追いついてくる旦那様のオチンポと子宮口がぶつかって、崩れ落ちそうな快感を覚えるのです。それを堪える度に、旦那様に抱きつくので、その動きはとても遅々としていました。大ナメクジだって、今の二人に追いつくのは容易だろうと思うほどの動きですが、二人は決してそれを止めようとはしません。寧ろ、快楽に足を止める瞬間にお互いを慈しむように抱き合って、悦んでいる様にさえ見えるのでした。

 ―あぁぁ…歩く度にぃっ♪オチンポがオマンコで擦れてぇぇ♪

 実際、奥様も旦那様もこの状況を楽しんでいるのでしょう。でなければ絶頂後少し経って身体にまだ力が入りづらいとは言え、もっと早く動けるはずなのです。それなのに、二人でまるで示し合わせたようにずるずると動きながら、絡み合う姿はそれだけ長くこの交歓を楽しんでいたい、と言う証左なのでしょう。ケダモノとしての交わりでお互いにある程度余裕が出来た状態なのに、こつこつと子宮口にオチンポが当たる度に下火になった欲情が力を取り戻します。まるで弱火で煮込むように欲情を溜め込む交歓を、二人は次の交わりの為に楽しんでいるのでした。

 「早く行かないと、朝食が食べられないよ」

 しかし、旦那様はつい奥様にそう言ってしまうのです。本当は奥様が必死に前へ前へと進もうとする姿を見ながら、手を繋いで離さない様にぎゅうっとオマンコを締め付けてくる感覚が大好きなのですが、奥様を虐めるのが大好きな旦那様はついそう言ってしまうのでした。無論、普段は旦那様は優しいですし、奥様以外には今までそんな意地悪をしたことがありません。旦那様自身も知らなかった強い支配欲を掘り起こし、奥様を支配する悦楽を覚えさせたのは、他でもない奥様自身なのです。
 けれど、それはお互い様でもありました。普段は貞淑で管理者としての責務もしっかりとこなす優秀な奥様は自分に被支配欲とも言うべき欲望があるとは決して思ってはいなかったのです。マミー化の呪いを自由自在に扱い、盗掘者を何人も撃退してきた奥様は寧ろ自分では支配し、弄ぶ方が好きなのだと信じ込んでいたのでした。けれど、旦那様と出会い、その大きな身体で覆いかぶさられ、逃げ場もない状態で沢山犯される快感を覚えてしまった今、奥様は自分の中に眠るメス犬としての素質を開花させているのです。

 「わふぅ…ご、ごめんなさいぃ…♪」

 旦那様の前以外では決して見せないメス犬の表情を晒しながら、奥様は甘えた声を出しながら必死に足を前に出します。けれど、その度に追いついてくる旦那様がごつんとぶつかって、思わず足を止めるのは止められません。自然、一歩歩く度に歩幅はどんどん小さくなっていき、最終的にはやっぱりさっきと同じようにすり足を続けるような歩みに戻ってしまいました。

 ―あぁ…やっぱり可愛いなぁ…。

 そんな奥様を見る旦那様は、自分の内からふつふつと欲望が湧き上がってくるのが分かりました。だって、自分専用のメス犬が淫らな顔をしながら、必死に御飯を作ろうと前へ前へと進んでいるのです。それも一瞬の別離さえ耐え切れないと―まぁ、それは旦那様も同じなのですが―しっかりとオチンポを咥えこんだまま。最高級のコーヒー豆のような鮮やかな褐色に浮かぶ汗が光に反射し、きらきらと煌めいている上に、髪の先まで手入れされきった奥様自慢の髪も広がるように奥様の身体にかかり、何処かエキゾチックな倒錯感を旦那様に与えてきます。少し意地を張っちゃう事もある奥様の一番素直な尻尾も、奥様自身の興奮を伝えるように、リズミカルに左右に振れていました。奥様の魅力をこれだけ見せ付けられて、興奮しない旦那様ではありません。今すぐ奥様を押し倒して再び、ここで貪りたい、と言う欲望も湧き上がってくるのです。

 ―でも、そうしちゃうと…ねぇ。

 二人の『休日』はまだこれからなのです。まだ寝室からも出られていないような状況でそれをしちゃうと最後まで体力が持ちません。無論、旦那様はインキュバスですから無限ともいえる精力を持っていますが、悲しいかな体力は一般人とは比べ物にないほどありますが無限ではないのです。奥様を自分自身で調理し貪るのが大好きな旦那様にとって―無論、奥様もそれをされるのが一番好きなのですが―、途中の体力切れは出来るだけ回避しなければいけません。だからこそ、旦那様は下火でことこと煮込み続けている欲情を見ないように蓋をして、奥様を手放さないようぎゅっと抱きしめることしか出来ないのでした。

 「あはぁぁ♪」

 そんな旦那様の我慢も勿論、奥様にはお見通しです。顔は見れずとも、旦那様の中で一番素直なオチンポが、我慢が効かずに先走り汁を吐き出しながらさっきからぴくぴくと震え続けているのですから。もう何十年と旦那様のオチンポに耕され続けた奥様の畑はそれを敏感に感じ取って、快感と一緒に奥様に伝えるのです。けれど、奥様はそれを知っても、旦那様に言う事はありません。奥様自身もこの後にあるであろう一方的に貪られ続けるセックスを期待しているから…というのも勿論ありますが、一番の理由は旦那様がそれを望んでいない、と言う事に尽きるのです。無論、ここでメス犬らしく「我慢できないんですぅぅ♪オマンコぉっ!また種付けしてくださいぃぃっ♪」と言えば旦那様は喜んで、それに応えてくれるでしょう。けれど、そうしてしまう事で旦那様の体力が最後まで持たず、落ち込むであろう事は奥様には手に取るように分かりました。長年、旦那様と連れ添った奥様にとっては、旦那様の考えを推察するなんて、文字通り朝飯前なのです。

 ―本当に良い妻と言うのはぁ…あぁっ…愛しい旦那様を立ててあげるモノですし…っ♪

 妻がいる家が最高に居心地の良い場所になれば夫は浮気なんかしない。だからこそ、妻は夫にとっての最高の女である為に、夫の胸中を誰よりも知り、自尊心を満足させ、時に苦言を呈しながら、世界中の誰よりも旦那様を愛し、愛されなければならないのだ―そんな人生哲学を持つ奥様にとって、夫の考えを読むなんて、妻としての初歩スキル、いえ、必須技能に他ならないのです。

 ―あぁぁ…でも…っ♪

 奥様の奥で燃え上がるときを待っている欲情はてらてらと奥様自身を炙り続けているのです。今にもメス犬として貪って頂けるよう口から哀願してしまいそうな旦那様の哀願メス奴隷は、必死にそれを堪えながら一歩二歩を進み、ついには寝室の扉に手が届く距離までやってきました。旦那様に抱きついていた腕を外す瞬間、ちょっと背伸びをして旦那様の首筋にキスを落とした奥様は、そのまま手でドアノブを捻り、リビングへと足を踏み入れました。
 そこは整理整頓が得意な奥様と、基本的には綺麗好きな旦那様が暮らすメインの部屋だけあって、綺麗に片付けられていました。キッチンとは対面式のシンクで区切られていますが広々としている空間は一般的な家庭よりも大分水準が上なのと、壁を埋める様に旦那様の本が立ち並ぶのを除けば、普通と言って差支えがないでしょう。遺跡の真上から差し込む光を魔法で取り込み、遺跡の地下であっても、地上と変わらない明るさを誇る空間は庭こそありませんが、裕福な人間の持つ家とそう大差がありませんでした。

 「さぁ、リビングに着いたよ。キッチンまで後半分くらいだね」
 「え、えぇ…♪」

 旦那様の言葉にそう頷く奥様の愛液が零れ落ちて、また一つ、また一つと床に染みを広げました。長年、一人で生活してきた奥様がいずれ旦那様を迎えるときの為に、と愛情を込めて作り上げ、維持してきた立派なリビングを、ようやく迎えた愛しい旦那様の手にとって零れ落ちる愛液で穢す倒錯的な快感に奥様は身を震わせながら崩れ落ちそうになります。けれど、奥様の身体をしっかりと支えて逃がさない旦那様の手によって、それは出来ません。がくがくと生まれたての子鹿のように内股になった足が震えていますが、それでも崩れ落ちる事を許されないのです。それに奥様は強い安心感と、それだけ強く支配されているという被虐感に体中が痺れそうになるのを感じながら、両手を前へと突き出しながらゆっくりと進み始めました。まるでようやく歩けるようになった赤ん坊が親を求めるように進む姿は、それと同じくらい遅々としていて、だからこそ庇護欲がそそられるものなのです。

 ―あぁ…抱きしめてやりたい…っ!

 そして、そんな奥様の姿に庇護欲がそそられる人物はリビングに一人しかいません。奥様の括れを抱きしめて進む旦那様ただ一人だけなのです。無論、旦那様は赤ん坊と同じくらい無力でひ弱の様に見える―勿論、奥様はアヌビスなので、旦那様よりよっぽど強いのですけれど―姿に抱きしめて甘えさせてあげたい、と思うのは当然のことでしょう。けれど、旦那様はその思いを振り払うように、ようやく四人がけのテーブルまでたどり着いた奥様に向かって、乱暴に腰を進めました。

 「きゃふぅぅっ♪」

 今までこつんこつんと叩くようなオチンポが、自身を叩きつけるように子宮口へと飛び込んできたのです。それを奥様が我慢できるはずがありません。甲高い嬌声をあげながら、体中を駆け巡る浅い絶頂に足をがくがくと震わせて、一歩も前に進めなくなってしまいました。崩れ落ちるのでさえ、ようやくたどり着いたテーブルに手を突いてようやく堪えているという状態なのですから、進めるはずもありません。けれど、奥様とエッチする時だけ意地悪な旦那様はそんな奥様をもっと虐めようと耳元で囁くのです。

 「ほら…足が止まっているよ」
 「あぁあ…ご、ごめんなさいぃ…♪」

 そう謝りながらも奥様の足は進む気配がありません。無論、奥様にはキッチンへと進もうとする意思がありますし、その為に快楽を堪えようとする理性も、少しではありますが残っています。けれど、そんな意思や理性をあっさりと飲み込んでしまうほど、今の旦那様の一突きは強力で、何より凶悪でした。今はもう身じろぎするだけなのに、絶頂感は未だに後を引かずに奥様の身体をじくじくと侵食していくのです。そんな状態で足を進められる訳がありません。
 勿論、奥様をそんな状況にまで追い込んだ旦那様は強い満足感を得ていました。自分より遥かに強いメスが、自分の声に、肉棒に、身を震わせて絶頂を極めながら、必死に旦那様の言うとおりにしようとしているのですから。強い支配欲を持つ旦那様と言えど、その姿に満足するのを禁じえません。

 ―まぁ…この辺りで勘弁してあげるか。

 そう胸中で呟く旦那様も、もう色々と我慢できなくなっていたのかもしれません。快楽に震える奥様の肢体を抱きしめて、下腹部の…旦那様自身が入っている膣の辺りを撫で始めました。それに絶頂感のまま震えている奥様が、さらに身体を跳ね上げるように反応します。

 「さぁ…後ちょっとだから一緒に頑張ろう」

 けれど、その反応も、旦那様の優しい言葉には敵いません。耳元でそんな言葉を囁かれた奥様は、悦楽に蕩けた顔を喜色に塗れさせ、とろんと尻尾を下げたかと思うと激しく左右に振るい始めます。同時に脱力し始めていた身体は絶頂感を振り切って、足を前に進める力が戻り始めました。さっきまで快感に翻弄されていたメス犬とは思えないほど、しっかりと身体に力を込めて立つ奥様ですが…それも当然と言えるでしょう。何時だって、奥様は旦那様の為ならば頑張ることが出来るのです。旦那様の為ならばどんな無茶だって実行できる気がするのです。けれど、そんな旦那様と一緒に頑張るのでしたら、何だって出来るに違いないのですから。

 「じゃあ…右足から行くよ」
 「はいぃ…♪」

 旦那様の声に応えながら、「いっち、にーぃ」と一歩ずつ踏み出していきます。まるで二人三脚のような掛け声を上げながら、けれど、それとは比べ物にならないほど強い絆と愛情と…そしてオチンポで繋がれている二人は、さっきまでの苦難が嘘のようにあっさりとキッチンへとたどり着くことが出来たのでした。
 しかし、奥様にはそれを喜んでいる暇はありません。悦ぶ暇は山ほどありますが…それはさておき。奥様にとってキッチンにたどり着くのが目的ではないのです。ここから二人が食べる御飯を作るまでが目的なのですから気を抜けません。

 ―折角の休日なのだから美味しい料理を作ってあげないと…っ!

 そう気合を入れる奥様とやっぱり繋がりっぱなしの旦那様はシンクの横に立てかけてあるエプロンを手に取りました。皺一つ着かない様に、と昨夜奥様が大事に畳んでいたそれは、旦那様の手で広げられるとその視界一杯に純白を広げます。汚れを弾く魔法の込められた銀糸で編まれ、染み一つない純白は、普通の人であれば心奪われるものなのかもしれませんが、毎日、染み一つない褐色を眺め愛し貪っている旦那様にとって、それは所詮、エプロンなのでした。だからこそ、旦那様はそのエプロンが世界で一番似合う奥様に着せようとエプロンを持った手を奥様の目の前に突き出します。

 「さぁ、手を出して…」
 「えぇ…♪」

 まるで子供の着せ替えのように自分の手ではなく、旦那様の手で着替えさせられる事に、また被虐的な痺れを覚えながら、奥様は言うとおり、エプロンの空白に手を出しました。右手、左手と差し入れて、奥様の肩にしっかりと掛かったのを確認すると、旦那様は仕上げにきゅっと腰でリボンを結んで上げます。エプロンを着せるという一人でも十分出来てしまう事を二人で行う共同作業は、昔の奥様であれば時間や効率の無駄であると一刀両断にしたでしょう。けれど、今の奥様は二人で同じことをしているというだけで私は今、世界で一番、幸せな妻であると心の底から思えるのでした。

 「どう…かな…?」

 そう言いながら奥様は旦那様に肩甲骨からの背筋のラインと、旦那様の手によって熟したお尻を見せ付けるかのように前屈みになりました。その姿勢に、思わず旦那様は「ごくり」と生唾を飲み込んでしまいます。すらりとした細身ですが、肉付きは悪くなく、思わず指を這わせたくなるほどの奥様のラインが艶かしく旦那様を誘うのですから当然です。しかも、世界で最高と旦那様が思う奥様の褐色肌には、奥様ほどではないにせよ美しい純白のラインが幾つも引かれているのです。ひらひらとしたフリルをその身に生やしたそのラインは、奥様の肌をとても映えさせ、旦那様の興奮を掻き立てたのでした。昔であれば裸エプロンどころか、女性にまったく興味を持たず知的欲求のままに考古学者になった旦那様ですが、今の旦那様は、見も心も全部曝け出して、捧げてくれる奥様のそんな姿を見るだけで世界で一番幸せな夫であると心の底から感じるのです。

 「綺麗だよ。世界で一番、僕の奥さんが綺麗だ」

 そう言って旦那様はぎゅっと奥様を抱きしめます。いきなり抱きついてきた旦那様の抱擁にお返しするかのように膣がきゅっと抱きついてきたのを感じながら、旦那様は奥様の首筋で大きく息を吸い込みました。甘く蕩けるようなフェロモンが、旦那様の胸一杯に広がり、それだけでお腹が膨れるような気がします。乳白色に旦那様の思考を染め上げるようなミルク味のフェロモンは、何よりも美味しいものなのですから。

 ―あぁ…一杯…一杯匂いを嗅がれてる…ぅ♪私の発情したメス犬フェロモン、大好きな旦那様に嗅がれちゃってる…っ♪

 匂いまでも独占され、全部曝け出しているという被虐的な快感と、旦那様の甘い抱擁と言葉に、絶頂に導かれそうになりながら、奥様は身悶えしていました。今も子宮でことことと欲情を煮込み続け、旦那様によって開発されきった性感とマゾの欲望を持つ奥様にとって、そんななんでもないスキンシップだけでも軽い絶頂を覚えてしまいそうになるのです。

 ―でも…のんびりしてられない…

 ですが、奥様はここで絶頂なんてして時間を無駄にするわけにはいかないのです。早く旦那様に暖かい手料理を食べさせてあげたいという気持ちもありますし、何より二人の休日は有限なのですから。食事を手早く済ませて、時間を節約しなければ幾らあっても足りないのです。

 ―また遅刻したらマミーたちにも示しがつかないし…。

 離れるのが辛くて、何度も何度もケダモノのように貪りあって、何時の間にか休日が終わっているのに気づかずにずっとメス犬になっている、と言う最近の現状を顧みながら、奥様はぶら下げてあるフライパンを一つ手に取りました。同時にふわふわとした毛で覆われる手でキッチンに刻み込まれているルーンをそっと撫でると、キッチンに小さい炎が灯ります。ルーンを文明の基礎としていた古代王朝の遺跡に暮らす二人にとって、それらは生活するのになくてはならないもので、生活に密着するこんな場面でも広く使われているのでした。

 ―後は…卵と…白パンで良いかな…。

 旦那様にしっかりと抱きしめられているので、奥様の自由はあまり取れません。けれど、料理上手な奥様は、既に手馴れたように料理を進めます。保存のルーンを掛けられたバスケットの中から白パンと卵を取り出して串に刺し、火の熱で炙りながら、片手で油を引いたフライパンの上に卵を割って落しました。同時に塩コショウをぱっと振りかけて、好みの硬さになるのを待つ為に、蓋をします。簡単な朝食ですが、さくさくと出来上がっていく様子に、旦那様は何時もの事ながら驚嘆すると同時に悪戯心がむくむくと湧き上がってくるのでした。

 ―ちょっとくらいなら…良いよな。

 そう自分の中で言い訳しながら、旦那様はゆっくりと腰を引きました。今までずっと奥に差し込まれたままだったオチンポが離れていく感覚に膣と子宮は驚いて逃がさないように締め付けてきます。しかし、ごりごりと膣を削りながら引いていくオチンポを留める事は出来ず、オマンコは悔しそうにぱくぱくと口を開け閉めしていました。そして、勿論、それは奥様もすぐに知る事となります。まるで逃げようとするような腰の動きに驚いて、奥様が旦那様を振り返りました。…そしてその瞬間、旦那様は一気に子宮口まで腰を突き入れたのです。

 「あはぁぁぁっ♪」

 油断していたところに一気に膣奥まで擦り上げられ、奥様は嬌声をあげました。久しぶり―というほどではないのですが、ずっと焦らすような快感に浸っていた奥様にとってはそう思えるのです―に入り口近くから子宮口まで大きくストロークして打ちつけられる動きなのですから、耐え切れるわけがありません。それに抵抗したり逃げようとしようにも両手は串と、フライパンで埋まっていて、しかもぎゅっと抱きしめられていて逃げ場一つないのです。自然、奥様は大好きな旦那様の乱暴なストロークをその身一杯に受け止めるしかなく、煮込まれ続けた欲情が吹き零れそうになるのを感じました。

 「だ、駄目…っ今、料理してる…っあはぁっ♪」

 奥様としてはその欲望に飲み込まれても良かったのですが、残念ながら今は料理中なのです。食材を無駄にしてしまうのは、物資の乏しい砂漠に生きる奥様にとっては許せません。だからこそ、旦那様を押し留めようと声をあげるのですが、旦那様はそれを聞き入れるつもりはありませんでした。それどころかもっと言って欲しいと言わんばかりにストロークを続けます。

 「やぁぁっ♪駄目ぇぇっ♪」

 嬌声とともにそう叫ぶ奥様の手ではふるふると串が震えていました。まるでメス犬としてオスに貪られるという耐え難い欲望に堕ちるのを寸前で必死に堪えている奥様を象徴するようなそれだけが、もはや奥様の理性を繋ぎ止めて言っているとは過言ではありません。小麦粉を練って作られた白パンは温めると柔らかく、芳醇な香りを広げますが、その分、焦げるのだって早いのです。そして一度焦げると食べられたものでは無いので、こうやってしっかりと見据えなければすぐに焦がしてしまうのですから。

 ―あぁ…で、でもぉぉっ♪

 激しく奥を突かれる度に、身体中に走る快感と、何度も教え込まれたメス犬に堕ちる興奮に比べて、それはあまりにも非力過ぎる代物でした。縋るようにぎゅっと手を握り締めますが、まるで効果は無く、どんどんと頭の中がピンク色に染まっていくのを、奥様は自覚するのです。それに呼応するかのように膣奥からどばどばと漏れ出るような愛液は、旦那様のカサに掻きだされ、奥様の下に水溜りになっていますし、震える膝はもう快楽に屈して、旦那様に抱きしめてもらわなければ今にも崩れ落ちていたでしょう。

 ―もう…っ駄目ぇ…っ♪

 ずっと今まで焦らされ続けていた奥様は、すぐに限界を迎えてしまいました。奥様の頭の中でスイッチが完全に切り替わり、メス犬に堕ち、また貪ってもらえる悦楽に浸ろうとした瞬間…旦那様はぴたりと腰を止めてしまったのです。

 ―え…ど、どうして…っ!?

 困惑する奥様の手を旦那様の手が包み込み串とフランパンごと持ち上げました。火で炙られ続けていた白パンと、卵を温めていたフライパンからは良い匂いがして、丁度良い頃合です。焦がしたりする事はないまま火から遠ざけられた白パンと卵は、二人の美味しい朝食になるでしょう。そして、そんな美味しい朝食を作った火も同時に消えて、火事の心配もありません。
 けれど、そんな事は奥様にはどうだって良い事でした。意地悪と、それよりも酷いお預けをされて奥様は頬を膨らませるのです。メス犬であり、マゾ奴隷でもある奥様は、勿論、こうやって意地悪されるのもお預けを喰らうのも嫌いではありません。寧ろその後の快感を思うと、それだけで蕩けそうになってしまうのです。けれど、それでも、やっぱり料理の最中に襲い掛かって、抵抗しようとする奥様が快楽に屈しようとした瞬間に、お預け…となると不機嫌になるのを堪えられません。

 「さぁ、朝食を食べようか」

 そんな奥様の葛藤を知りつつも、旦那様は何事もなかったかのように微笑んでいます。それを声音から察した奥様は頬を膨らませながらも…旦那様に従ってテーブルへと向かうのを止める事は出来ません。だって、どれだけ拗ねても、どれだけ意地悪されても、旦那様は、それ以上に奥様を愛してくれているのです。どれだけ拗ねたくなるような事をされても、どれだけ意地悪な事をされても、それは旦那様なりに奥様を気持ちよくしてあげようとした事であるのは分かっていますし、最後には拗ねたり意地悪した以上の快楽をくれるのですから、奥様に逆らう気持ちなど起こるはずもありませんでした。

 ―あぁ…私、本当にこの人のメス犬になんだ…♪

 完全に身も心も、旦那様に繋がれているのを自覚して、奥様はぶるりと身体中を震わせました。まるで犬が、ご主人様に従うかのようなさっきの思考は、奥様にとってとても興奮を掻き立てられるものなのです。自然、ハァハァと荒い息を吐きながら、甘えるように膣を締め付けてしまうのでした。普通の魔物娘であれば、今すぐ旦那様に襲い掛かってもおかしくないであろうほどの興奮ですが、メス犬として身も心も全部、旦那様に捧げている奥様は必死に我慢しています。
 そして、それは旦那様にも伝わりました。旦那様は奥様ほど正確にその胸中を察する事は出来ないながらも、奥様が自分なりに考えたことが、今にも襲い掛かられそうなほどの興奮に繋がっているのは分かります。そして、奥様はそれを必死に堪え様としている事とその理由もまた、旦那様には察することが出来ました。それがまた、旦那様の支配欲を満たすのと共に胸を強く高鳴らせる愛しさに繋がるのです。

 ―やっぱり僕の奥さんは世界で一番だ。…僕にはもったいないくらい。

 自分の無茶な要求にもしっかりと応えて服従してくれる奥様に、そう心の中でだけ呟いて旦那様はぎゅっと重ねる手に少し力を込めました。まるで愛しさを不器用に伝えようとする旦那様の手に、奥様は拗ねていた機嫌を少しばかり直して、緩やかに尻尾を振り始めます。右へ左へとまるで誘うように振れるそれに奥様が機嫌を直してくれた事を知った旦那様は、人知れず安堵しました。安堵するくらいならば最初からやらなければ良い、と多く人が思うでしょうが、旦那様は奥様と同じくらい我を忘れてケダモノになる事が多々あるのです。その事で奥様と喧嘩をすることは今まで無いですが、理性が吹っ飛んでいる間の行為を後悔というものは旦那様にだってやっぱりあるのでした。

 「…アナタ?」
 「ううん。何でもないよ」

 唐突に足を止めた旦那様を振り返った奥様にそう返事をしながら、旦那様はまた歩みを進めます。こつん、と擦れあった敏感なお口同士に身体を震わせて「あんっ♪」と声をあげながら、結局何も言わずにそのままテーブルへと進むことにしました。旦那様の事に関しては世界で一番聡い奥様にとって、旦那様の後悔も無論察っす事は容易でしたが、それを口に出すのは妻としての越権行為だと思ったのです。

 ―本当に辛いのであれば…きっと言ってくれるだろうし…。

 旦那様だって、学者であるのですから決して馬鹿ではありません。寧ろ理路整然としている旦那様は本来であれば奥様に負けないほど聡明な男性です。その旦那様が、ケダモノとしての自分との折り合いに失敗して本格的に辛いのであれば、きっと相談相手として誰よりも旦那様を理解している奥様を選んでくれる…そんな確信が奥様にはありました。

 ―それに…折り合いに失敗するのであれば、私が間に立ってあげれば良い。

 その仲介役が出来るのもきっと奥様だけなのです。支配欲をむき出しにして奥様を虐めるケダモノと、奥様を慈しみ愛する旦那様の二人から愛情を注がれる奥様だけが、旦那様とケダモノの間に立って、旦那様が、自分の中の凶暴な衝動を受け入れられるようにしてあげられるのです。無論、今のところは決定的な亀裂にはなっていないので、その必要は無いでしょうが、旦那様の為ならどんな苛められ方をしても受け入れて悦ぶ自信と覚悟が奥様にはあるのでした。

 「さぁ…朝食を食べようか。時間もないしね」
 「…えぇ」

 奥様がそんな事を考えている内に、二人はテーブルの椅子の前まで進んでいました。座る前にはまず串とフランパイが邪魔なので、奥様はまずフライパンを鍋敷きの上に、串をそのフライパンの上に置きます。同時に何時の間にか戸棚から皿を取っていた旦那様が奥様の後ろから器用にパンを串から外し、お皿に載せてました。奥様も負けじとテーブルの上に置いてあるバスケットからフォークとナイフを取り出して、フライパンの中にある卵焼きを二等分にして、お皿に移します。夫婦ならではの息の合ったコンビネーションに、奥様は意味も無く、どうだ!と胸を張りたくなるのを堪えながらも、尻尾だけは嬉しそうに左右に揺れ続けていました。

 「じゃあ…座るね」

 旦那様がそう宣言するのに奥様は頷き、身体の力を抜きました。そんな奥様の身体を抱きしめながら、旦那様は奥様の片足を持ち上げます。そのまま自分の肩に掛ける様にゆっくり奥様を開脚させました。無論、奥様の方が小柄なので、地を踏む足は浮き上がり、旦那様の肩とオチンポだけで支えられているような状態です。自分の身体が宙に浮き、自分の力では進むことも戻ることも出来ない感覚に甘い吐息を吐きながら奥様はじっと快感と羞恥に耐えるように目を閉じ続けていました。そんな奥様の膝の裏を旦那様の頭に通すようにして超えさせて脇で締め、浮いた足をしっかりともう一方の手で抱きかかえた体位は、駅弁と俗称で呼ばれるモノです。そう。旦那様は奥様の身体の柔らかさ―無論、これも旦那様の手で開発されたのですが―を最大限利用して、立ちバックから駅弁に体位を変えたのでした。
 けれど、旦那様の目的は駅弁ではありません。さっきの宣言通り、旦那様は椅子へと腰を下ろしていきます。それは普通であれば抜けてしまいそうな角度でしたが、奥様が旦那様に身を委ねて外れないようがっちりと足で旦那様をホールドし、また旦那様もしっかりと奥様を捕まえている今、杞憂でしかありません。二人の腰は一瞬たりとも離れる隙がないまま、椅子へと降り立ち、対面座位の形で一つの椅子に腰掛けました。自然、硬いものに当たって走る衝撃が奥様にまで伝わり、「ひゃんっ…♪」と気の抜けたような息を吐きましたが、それを含めても予定通りに二人は座ることが出来たのです。

 「じゃあ…頂きます」
 「えぇ…頂きます」

 旦那様の好きなジパングと言う地域の風習に従って、二人は向かい合ったまま手を合わせてました。そして、テーブルに向かい合う旦那様が奥様の分のお皿も取って、奥様に手渡しします。

 「ありがとう♪」
 「いえいえ」

 そんなジパングっぽいやり取りにお互いくすり、と笑いながら旦那様も奥様も手に取った白パンを一口大の大きさに千切りました。瞬間、ルーンの火で炙られた白パンの中から湯気が立ちのぼり、二人に芳醇な小麦の香りを伝えます。そして、それを二人は大好きな人に伝えようと、向き合った相手のお口に運ぶのでした。

 「「あーん」」

 揃ってそう言った口に、二人は自分の手に持つパンを入れてあげました。そして、二人で仲良く、それを咀嚼します。まるで、鏡のように御揃いの仕草に二人は笑いながらもう一度、とパンを食べさせあうのです。
 そう。これが二人の休日のお食事方法でした。どんなバカップルでさえ中々しないであろう食べさせあいをするのは勿論、理由があるのです。背面座位で繋がったままでは、旦那様が食べづらいですし、対面座位で食べるのには少々スペースが足りません。それにスペースが足りないからと、折角向き合っているのに、お互いそっぽを向いて、食べるのなんて論外です。やっぱり大好きな相手の顔を見ながら食べたい…とそんな欲求から生まれたのが、この食べさせあいなのでした。今では奥様も旦那様もこれに夢中になり、食べさせあいでなければ味気なく感じる事さえあるのです。

 「ん…美味し…♪」

 旦那様に口に入れてもらったパンを嬉しそうに頬張る奥様の姿を見れば一目瞭然でしょう。破顔して、一口一口味わうようにゆっくりと噛んでいる姿はこれ以上無いほど幸せそうです。そして、そんな奥様の顔を見る旦那様もまた微笑んでいて、沢山の喜色を浮かべていました。対面座位で繋がっているのを除けば、滅多にいない程飛びぬけたバカップルのような食事は二人を笑顔にさせているのは疑いようが無いでしょう。
 けれど、それだけで終わらないのが旦那様であり、奥様なのです。ちょっぴり人よりも支配欲が強い旦那様は勿論、奥様に意地悪したくなりました。それを留めるように一瞬、脳裏にさっきの後悔のことが浮かびましたが、ある種才能とも言えるほど支配欲を誇る旦那様にとって、それは本当に一瞬です。すぐにそれを明後日の方向へと投げ捨てて、腰を左右に振り始めます。椅子の上で密着している状態で左右に触れ合うそれは、無論、奥様の敏感な膣奥と、お豆をぐりぐりと刺激するのでした。

 「んっ…♪…もぉっ♪」

 快楽に嬌声をあげて、拗ねるように言いながらも奥様は旦那様を止める事はありません。寧ろなんでもないような顔をしながら、旦那様とは逆の方向へと腰を振るい始めます。旦那様は右へ行くと奥様は左へ、奥様が右に行くと旦那様は左へ…そんな風にお互いを最大限、愛撫しようとする腰の動きはすぐに奥様を捕まえて、旦那様へのお食事の手を止めてしまいます。

 「どうしたの?」
 「う…ぅんっ♪な、なんでもない…からぁ♪」

 まるで下半身は別の次元の出来事だといわんばかりになんでもないように聞く旦那様にそう応えながら、奥様は快楽に震える手で千切ったパンに卵焼きを載せて、旦那様の口に運びます。それを嬉しそうに頬張りながら、旦那様はさらに強く腰を揺らし、奥様を追い詰めようとするのでした。無論、追い詰められた奥様の膣と擦れあう旦那様も、正直、今にも射精してしまいそうなほど気持ち良いのです。これまで長い間焦らし続けて、旦那様自身も今に精液を漏らしてもおかしくないのですが、けれど、プライドが上回っているのと決定的な快感がどうしても不足していて、旦那様は射精までは至りません。それが、旦那様と奥様の決定的な差となって、余裕のある者とない者に別れさせるのです。

 ―もう…っ♪私だけこんなに余裕がないなんて…♪

 そう身悶えする奥様に、余裕そうにしている旦那様に仕返ししたい気持ちが湧き上がります。メス犬として旦那様に服従するのを何よりの悦びとする奥様にだって、やっぱり妻としてのプライドのようなものがあるのですから。無論、性的なもので反抗するつもりはまったくありませんが、自分だけこんなに追い詰められているのはやっぱり不公平な気がするのでした。

 「はい。あーん」

 しかし、そんな奥様の様子に気づかない旦那様は特に気にしないまま、パンを奥様に差し出します。その様子に奥様はちょっとした悪戯を思いつきました。性的、と言うほどではなくて、けれど、旦那様から確実に余裕を奪えてしまうその方法は、思いついた奥様自身にも名案に思えます。
 そして奥様はその名案を実行に移しました。旦那様のパンを勧められるままに口に含みます。快楽に震える舌と歯で、幾分咀嚼した後、奥様はぎゅっと旦那様に抱きついて、その口に愛情たっぷりのキスを落としました。

 「んんっ」

 勿論、旦那様はそれに凄く驚きました。普段、特に抵抗せず、自分の意地悪を受け入れてくれる奥様が思いもよらない反抗を見せたのですから当然です。けれど、その反抗はあまりにも可愛らしく、そして甘いものでした。どろりとした甘い唾液と共に送り込まれたパンは旦那様の舌の上でころころと転がりながら、奥様の唾液と小麦の匂いを旦那様の口一杯に広げます。しかし、奥様はそれだけでは気が済まないのか、舌を旦那様の口腔へと突き入れて、蹂躙し始めました。その甘い甘い反撃に、旦那様は抵抗しようと言う気が起こらないまま、貪られ続けるのです。

 「…ふふっ…♪」

 そんな風にたっぷり五分ほど交歓を楽しみ、旦那様は二人の唾液でどろどろに溶けたパンを飲み込んだ後、奥様は淫靡な笑みを浮かべながら、ゆっくりと唇を離しました。すると、二人の間で行き来していた唾液が行き場をなくし、とろりと旦那様の身体に落ちていきます。それを何処か陶酔している表情で見つめていた旦那様は、微笑みを浮かべている奥様の声が耳に届いた瞬間、正気に戻って罰を悪そうに目を背けました。無論、旦那様はどうしていきなり奥様はこんな反撃を仕掛けてきたのかもう分かっています。そして、自分が奥様の掌の上で転がされていた事も。けれど、分かっている、と言う事と罰の悪さはまったく別で、つい夢中になって口腔を貪られた恥ずかしさと相まって、旦那様に何処か居心地の悪い感覚を与えるのです。
 そして聡明な奥様は勿論、そんな旦那様の心の動きをしっかりと把握していました。手に持つお皿を一旦、テーブルに置き、子供のように目を逸らす旦那様の頭を慰めるようにそっと腕で抱いて、誘惑するように腰と尻尾をふりふりと左右に振るのです。まるで旦那様の中のオスを呼び覚まそうとするその動きに旦那様は我慢することが出来ず、さっきの気恥ずかしさと相まって、さっきよりも激しく腰を揺すり始めました。

 「あはぁぁっ♪」

 それに歓喜の声をあげるのは勿論、奥様です。思い通り獣欲に煽られ、落ち込むような色を何処かへと置いてきた現金な旦那様を抱きしめながら、旦那様に御奉仕しようときゅっきゅとオマンコを震わせました。愛しいオスが、自分の身体に夢中になり始めている予兆を身体全体で感じ、嬉しそうに淫靡な笑みを浮かべる奥様はやっぱり、こうして旦那様に乱暴なくらいに求められるのが一番好きなのでしょう。さっき旦那様の口を貪っていた時よりも、更に強い喜色をその顔一杯に浮かべていることから、それは誰だって一目で分かります。

 「もうっ…♪そんな激しくしたらぁぁっ御飯食べられない…っ♪」

 嬉しそうに言う奥様の口を塞ぐように、旦那様の唇が襲い掛かりました。さっきの復讐をするかのように、自分勝手に口腔を嘗め回す舌の柔らかさにうっとりしながら、奥様はもっともっと、と求めるように愛らしく舌を突き出します。興奮し、自分で体温調節できなくなったメス犬そのものの表情に旦那様はさらに欲情を掻きたてられ、激しく腰を振るいました。左右に揺らす度、ぷっくりとした奥様のクリトリスが肌を擦る独特の感覚と、膣を押し広げ、子宮口を削るように強く押し付けられる性感に旦那様の我慢もあっさりと吹き飛んでしまいます。朝食よりも目の前の甘いメス犬を思うがままに貪りたいと言う獣欲に抗えない旦那様は手に持つお皿をテーブルの脇に置いて、奥様の身体をぎゅっと抱きしめました。

 「ふぁ…?」

 いきなり左右に揺らすのを止めた旦那様に首をかしげた奥様はずんっと膣奥まで貫かれる衝撃に、一瞬で頭が真っ白になってしまいました。そう。もはや奥様の身体に我慢の効かなくなった旦那様が下から突き上げたのです。左右に擦る感覚とは、また違う子宮の奥で響き続ける衝撃にことことと煮込まれ続けた奥様の欲情の蓋が完全に開いてしまいました。

 ―あああああっ♪ま、またメス犬になっちゃうぅ…っ♪

 既に半分蓋が外れかけていた欲情が子宮から噴出し、奥様の全身に広がります。思考もメス犬に相応しいピンク色に染め上げられた奥様は、旦那様に貪られることしか考えられなくなり、全身で旦那様に甘え始めました。旦那様の背に回された奥様の両手は、胸を押し付けるように強く抱きつき、甘い嬌声と鳴き声を漏らします。ぎゅっと締め上げるオマンコも、より旦那様に貪ってもらえるようにと前後に振るい、より深い挿入と浅く天井を擦る感覚を旦那様に与えるのでした。そして、同時に旦那様に深く挿入して貰える度に、浅く天井を擦り上げてもらえるたびに、奥様はアクメを迎えて、口の端からどろどろとした唾液を漏らすのです。

 「わふぅぅっわんっわんっ♪」
 「くっっ…っ」

 奥様の鳴き声を耳元で聞きながら、そう呻く旦那様は、ようやく味わう力任せの挿入の悦楽に完全に夢中になっていました。思うがままに愛しいメスを支配し、その一番大事な子宮までも自分自身で染め上げる、と言うオスとして最高の悦楽を前にずっと我慢し続けていたのだから当然です。また、旦那様の肉棒で何十何百と耕された奥様はまさに旦那様専用の肉壷として、容赦なく裏筋からカリ、根元から亀頭の先まで舐め上げるような快感を与えるのですから、我慢なんて到底無理な話なのでした。

 「あひゅぅっ…わんんんっ♪」

 そんな風に鳴き続ける奥様は耐え切れない、言うように旦那様の首筋に幾つものキスを落とします。子犬がご主人様に甘えるようなその仕草は、子犬よりも遥かに愛情に満ちていて、そして何より淫らなものでした。吸い付いた場所にまるで、自分の証を刻み込もうとするかのように奥様は激しく舌を這わせるのです。ざらざらとした舌の突起が、敏感な首筋を舐め上げる度に小さく呻き声を上げてしまう旦那様に、奥様はもっと御奉仕して、愛しいオスに貪ってもらおうと必死に激しく吸い上げるのでした。
 そして、そんな風にされて黙っていられる旦那様ではありません。だって、自分が体中の隅々まで支配しているメスが、もっと激しく貪って欲しいと全身で哀願しているのですから。すぐさま旦那様は奥様の太股の裏に両手を回し、奥様の身体を抱き上げたまま、椅子から立ち上がりました。

 「きゃっ…♪」

 いきなり宙に浮かされて小さな悲鳴を上げる奥様は、落とされないように、とより強く旦那様へとしがみ付きます。そして、旦那様はそれをしっかりと確認してから自由になった腰を思う存分突き上げるのでした。

 「んきゅうううっっ♪」

 その衝撃はさっきまでとは比べ物になりませんでした。椅子と言う拘束具があって尚、何度も絶頂へと導かれたそれとは違い、一回一回がまるで全身に広がって共鳴するような衝撃は、収まる前に次の衝撃が襲い掛かって収まる予兆さえないのです。重力さえ味方につけたその抽送は奥様の桃色に蕩けた意識さえ吹き飛ばし、しっかりと旦那様に抱きつきながら、後ろへ大きく反り返るのでした。

 「ふにゃああっ♪わんっわんんんんっ♪」

 さっきまでとはまた一オクターブほど高い鳴き声を上げる奥様のオマンコからはどろどろと愛液が零れ落ちて、早くも床に水溜りのようなものを作り始めます。膣から旦那様の凶悪なカリに惹かれてきた愛液は既に、奥様自身のオマンコには納まらないほどで、どろどろと糸を引いているのでした。旦那様がたたきつけるように奥様に、突き入れるたびに、肉と肉の交わりの響きだけではなく、ぐちょぐちょと粘液が絡み合ういやらしい音をさせるそれはとても淫靡なハーモニーです。さらに、後ろ反った奥様の顔は蕩けきって、ぴくぴくと痙攣しながら、口の端から唾液が零れ落ちていました。愛しいメスが自分の手で完全に悦楽に堕ちている光景と、その証拠でもある淫らな音楽は旦那様の最後の我慢までも吹き飛ばしてしまいます。

 「わふっ…わふううううっっっんん♪」

 蕩けきったメスの表情で、もはや悦楽を貪る事さえも考えられない奥様は、それでも本能的に腰とオマンコを必死に動かしながら旦那様の精液を強請り続けています。既に規則性や秩序なんてまったくなく、貪欲に絡み付いてくる膣と、堕ちきった奥様の顔と音…これだけ揃って我慢できる男なんているはずもないのです。無論、旦那様も同じで、膝をがくがくと震わせて今にも倒れ落ちそうなのでした。けれど、それでも旦那様は大事な大事な奥様を落とさないようにしっかりと抱きとめながら、震える腰で、最後の一突きを放ちました。

 「きゅふううううううううんんっっっ♪」

 今までの中で一番大きく、強い一突きを喰らって、奥様の瞼の裏は真っ白に染め上がりました。同時に、子宮の奥にどくどくと熱い精液が注ぎこまれるのを全身で感じながら痙攣をより強いものにしていきます。失神する寸前まで悦楽を高められている奥様とは対照的に、まだ足りないと、もっと欲しいと貪欲なオマンコは旦那様のオチンポから決して離れず、じゅるじゅると吸い上げ続けているのでした。尿道の奥に残る精液まで全部吸いだされるお掃除フェラのような強い吸引力を感じながら、旦那様もまた思考を真っ白に漂白されます。けれど、吹き飛ばされた意識を超えた本能は、そんな旦那様が奥様を支える腕を、そして奥様が旦那様に抱きつく腕も、一縷たりとも緩めたりはさせませんでした。

 「ひゅ……あ…くぁ……♪」

 長い長い絶頂の後、奥様がそう呻いた瞬間、ついに旦那様が限界を迎えて、どっとその場に倒れこんでしまいます。幸い、すぐ後ろにあった椅子に抱きとめられ、大事には至りませんでしたが、それを幸運と思ったり、椅子にもべっとりと広がったぬるぬるの愛液の感触を気持ち悪いと感じるほどの余裕が奥様にも旦那様にももうありませんでした。ただ、与えられた絶頂の余韻を噛み締め、愛しい相手との一瞬の別離さえも許せないといわんばかりに、強く結びつこうとするだけです。

 「はぁ…はぁ…っ」

 そう荒く息を吐き続ける旦那様は、奥様を抱き上げていた腕意外にはまるで力が入っておらずだらりと肢体を椅子に委ねていました。そして、奥様も同じように腕意外には力が入っておらず、ふさふさの尻尾や四肢が汗や愛液で濡れるのも構わず、旦那様に全身を委ねきっているのです。あまりに激しい交わりと快楽に、汗や愛液塗れになった二人は、快楽の余韻からか、そんなぬるぬるの感触さえも快感に繋がるようで、時折甘い息を漏らしあっていました。

 「ん…っ…♪」

 そして、二人がようやく身体を動かせるようになるには、汗が若干乾くほどの時間が必要でした。気化熱に熱を奪われ、寒さを押し付けられた二人は、自然、温まる為に身を寄せ合い、そっと触れるようにキスを落とします。最中の貪るようなものとは違い、愛情を移しあうようなキスは欲情とはまた違う熱を二人の身体に与えるのでした。そして、別れを惜しみながら、そっと唇を離して濡れた瞳で見詰め合った二人は、ほぼ同時に朝食中だという事に気づくのです。結局、お互いに我慢できなくてしちゃった、と言う少し気まずい沈黙の後、奥様は確認の為、口を開きました。

 「…朝食…どうする?」
 「ううん…もうお腹一杯だから要らないかな」
 「…私も…もう食べられない…かな」

 どろどろと子宮の壁に粘つき、まるで落ちる気配すら見せないほど濃厚な白いミルクをお腹に貰った奥様も、そして、そんな奥様を思うがままに貪ってたっぷり味わった旦那様も、満足感でお腹が一杯です。パンの一欠けらも口に入らないほど、一杯満足した二人は協力して、テーブルの端に置いたお皿をバスケットへとしまいました。それで恐らく夕飯まで柔らかいままでしょう。…もっとも、それと二人が夕食を食べる余裕があるかどうかは別問題なのですけれど。

 「じゃあ…今日の予定を立てようか」

 仕切りなおしの為にそう宣言する旦那様と、立ちバックの状態で繋がる奥様は頷きながら、羽ペンを取りました。そして、テーブルに備え付けられているインク壷にそっとペン先を浸して、目の前の紙を見下ろします。縦10cm、横20cmほどの大きさのそれは、奥様は普段、その日の計画を書き込んでいるものでした。しかし、普段、あっという間に予定を立てて、その紙に書いた通りに実行する奥様は、まるでテーブルに腕を縫い付けられたかのように動きません。

 「どうしたの…?」
 「い、いや…その…」

 旦那様は奥様がどうして動けないのか知りつつも、意地悪そうな笑みを浮かべながらそう言います。また意地悪されているのを察した奥様は、どろりと膣奥からまた熱い粘液を吐き出しながらも、答える事ができません。どれだけ苛められても、どれだけ旦那様色に染め上げられても、アヌビスの本能からか、それを恥ずかしがる奥様の様子で強く支配欲を燃え上がった旦那様は後ろからそっと圧し掛かるように、奥様の耳に口を近づけて囁きます。

 「どうしたの?簡単なことだよね?」
 「そ…それは…そうなんだけど…」
 「何を迷うんだい?ただ…簡単に…お口とお尻とオマンコでどれだけ出して欲しいか決めるだけじゃないか」

 言って、旦那様は奥様の手から羽ペンと紙を取り上げてしまいました。それに「あっ…」と声を上げながら、奥様は抵抗することが出来ません。

 「じゃあ、聞くよ。まずお口を広げさせられたまま、ぐちょぐちょになった咽喉奥まで抵抗できないまま突っ込まれて、咽喉の奥まで射精されるのは何回が良い…?」

 ―奥様は応えません。

 「じゃあ、解されきって、オマンコと同じくらい感じるようになったお尻マンコを使って、直腸に沢山射精されるのは何回が良いのかな?」

 ―奥様はまだ何も言いません。

 「じゃあ、今みたいに後ろからずんずんメス犬みたいに組み敷かれて、子宮に一杯射精されるのは何回が良いか教えてくれる?」

 ―奥様は迷うように目を逸らします。

 ようやく反応した奥様に小さく微笑を浮かべながら、旦那様はより詳しいことを聞こうとさらにぎゅっと圧し掛かりました。圧迫されると感じるほど旦那様が強く近づくのに、また甘い吐息を漏らした奥様の瞳からは、一度は取り戻したはずの理性の輝きがゆっくりと消えていっていました。それもある意味、当然です。奥様にとっては、こうやって旦那様に羞恥責めされるだけでもスイッチが入りそうなのに、繋がったまま上から押しかかられるようにされたら奥様の中のメス犬がどうしても反応してしまうのですから。

 「子宮に射精されるのが良いんだね。じゃあ、何回?一回…?それとも二回?」

 ―奥様は首を左右に振ります。

 「じゃあ、三回?四回かな?」

 ―まだ奥様は首を左右に振り続けます。

 「じゃあ、十回?二十回?」

 ―まだまだ奥様は首を左右に振るのでした。

 「…じゃあ、僕の奥さんは何回、子宮に精液が欲しいのかな?」
 「た…くさん」
 「え…聞こえないよ?」
 
 勿論、耳元で囁いている旦那様にはしっかりと、奥様の声は届いていますし、何より旦那様は奥様の答えなんて分かっているのです。無論、それは旦那様が奥様の事をしっかりと理解している…と言う事もあるのですが、一番大きなのは理由は…奥様の答えは何時も同じなのですから。けれど、それでも旦那様はこうして奥様の口から『それ』を聞くのが好きで好きで仕方ないのです。

 「たくさぁんっ…っ!アナタのオチンポミルクで私の子宮一杯にして孕むまで射精してっ?ご主人様の精液をご主人様専用のメス犬を貪って沢山メス子宮に射精して欲しいんですぅぅっ♪」

 そう叫ぶ奥様の表情は奇妙なものでした。旦那様の精液を膣奥で受ける事を悦ぶ妻の顔と、ご主人様のオスミルクをメス子宮で受け止めたいと強請るメス犬と、それら恥ずかしい台詞を口に出しているという羞恥が全部混ざり合っているのです。何処かアンバランスで、美しい、そして淫らなその表情を旦那様は見ることが出来ませんが、その言葉に旦那様の身体に強い熱が篭るのです。それは勿論、夫として妻を愛しく思う感情と、オスとして極上のメスに貪って欲しいと言わせる興奮、そしてそんな恥ずかしい台詞を言わせているという羞恥からなる熱で…旦那様の理性をあっさり飲み込んで、羽ペンと紙を手放し、がっしりと奥様の括れを掴んで、腰を動かし始めるのでした。

 「うんっ…今度こそ孕もうね…!今度こそ僕の子供産んでね…っ!」

 熱に浮かされたような旦那様の言葉通り、二人にはまだ子供は居なかったのです。何十年とお互いを貪る新婚生活を続けていたのに、ついぞ子宝に恵まれず、ずっと二人きりの新婚生活だったのでした。勿論、お互いに身体的な欠陥があるわけではなく、見ての通りセックスレスと言う訳でもないので単純に運が無かったというだけなのですが、それが二人にとって何より辛いことです。自分たちと同じ頃に結婚した他の魔物娘はどんどんと子供を作り、夫婦として、より仲を深めていっているのに、彼らと同じかそれ以上に交わっている二人にまったく子供が出来る気配が無いのですから当然です。奥様も旦那様も、口には出しませんが、自分の所為で子供が出来ないのでは無いかと思っているのでした。

 「はいっはいいぃっ♪産ませてください…ご主人様のオスミルクで、メス犬マンコ孕ませて、可愛い子犬を一杯産ませてくださいいいっっ♪」

 そう叫ぶ奥様は、旦那様が手放した紙と羽ペンを拾って、紙に「オマンコ:沢山♪」と書き入れます。そして、その紙を激しく貫かれる感覚にぎゅっと握り締めたまま、奥様はメス犬としての鳴き声を上げ続けるのでした。





















 アレから何度も何度も絶頂を迎え、失神するまで膣奥に射精し続けた旦那様はベッドの上に腰掛けていました。そして、旦那様の上には何度も何度も絶頂を向かえ、失神するまで貪られ続けた奥様がしっかりと背面座位の形で乗っているのです。勿論、その奥様の膣には朝から一瞬たりとも離れた事の無い旦那様の男根が突き入れられていて、奥様と旦那様に時折、ぴくりと身体を震わせているのでした。
 さて、そんな旦那様が、今何をしているか…というと、それは読書なのです。日が落ちて、光源が薄れた寝室にはゆらゆらと揺れる燭台がぽつんと枕元に置いてあって何処か幻想的でした。そして、そんな幻想的な光に照らされて、昼のきらきらした光の下で健康的な肌を晒していた奥様とはまた違う奥様の美しさを見つめながら、旦那様は読書に興じている…振りをしていました。無論、てらてらとした蝋燭の炎に照らされて、健康的なうなじから、鎖骨、そしてふわふわした尻尾など、身体全部で、誘惑するような奥様の身体を前にして、読書なんて出来ません。時折ページこそ捲りますが内容は殆ど頭に入って来ないで、奥様を襲い掛かることを我慢することで精一杯でした。
 そして奥様はそんな旦那様の興奮を膣で存分に味わいながら、金の尺杖や、ルーンを刻まれた金の宝剣などを磨いている…振りをしていました。それもまた当然です。朝から一瞬たりとも萎える姿を見せない旦那様のオスを、咥え込みながら、仕事道具とも言える武具の手入れなんて出来るはずもないのですから。奥様もまたいやらしいメス犬となって、旦那様に貪ってもらおうとするのを我慢するのが精一杯で、水を含ませた布で拭いてはいますが、手入れと呼べるレベルのものでは決してありませんでした。

 「んんっ…♪」
 「…大丈夫?」

 そう聞く旦那様は本を進める手を一度置いて、奥様の顔を後ろから窺います。その顔は段々と抑えきれない欲情に赤く染まりつつありますが、奥様は気丈に、頷いて見せるのでした。

 「辛かったら何時だって良いんだよ」

 そんな奥様の様子に気遣うように良いながら、旦那様自身も我慢がもう限界近いのを悟り始めていました。そもそも、失神するまで愛し合った後、流石に体力が尽き掛けていたので、休憩しようとそれぞれ別の事をし始めたのが事の発端なのです。相手がまだ辛いかもしれないと思いやり、欲情を我慢しあう状況は、二人の欲望を否応無しに高め、今にもケダモノのようなセックスを始めそうにさえなっていました。

 「…ううん…っ大丈夫…だから」

 そして無論、そんな我慢をするのは魔物娘にとって、とても辛いことなのです。元々、アヌビスと言う種族は精を主食とする種族などに比べて肉などで栄養補給が出来て、理知的で真面目な性格な個体が多いのですが、それでも魔物娘の根幹に根ざす本能には逆らえません。今、こうして繋がり続けているだけで、今すぐにでもメス犬に堕ちてしまいそうなほどの衝動が奥様を襲い続けているのです。けれど、奥様がそれを堪えようとしている理由は一つしかありません。

 ―この人が少しでも辛くないように…っ私が我慢しないと…ぉ♪

 無論、旦那様は無限とも言われる精力を持つインキュバスですから、交わりが辛くなったりは普通しません。けれど、奥様と旦那様の場合は、旦那様が性的に絶対なご主人様として君臨しているのです。後背位で乱暴に犯されるのが何より大好きな奥様に合わせて何度も何度も犯してくれるのは奥様にとって嬉しい反面、旦那様にだけ体力的に強い負担を掛けるのが心苦しいのでした。だからこそ、奥様は少しでも我慢して旦那様の負担を軽くしようと、今も我慢し続けているのです。

 ―けれど…それももう…っ♪

 薄く視界にピンク色の霞がかっていくような感覚に包まれた奥様はもう自分の我慢が限界近いのを悟りました。ずっと焦らされるような快感を与えられ続け、痺れる程度の浅い絶頂だけを一時間近く味合わされたのですから当然です。けれど、それでも、我慢を続けようと奥様が歯を食いしばった瞬間、不意に闇の帳が下りてきたのでした。

 「…蝋燭、消えちゃったね」
 「えぇ…」

 いきなり真っ暗になった部屋の原因は、蝋燭が文字通り燃え尽きた事です。唯一の光源とも言える蝋燭がなくなり、ピラミッドの上から魔法で運ぶ月や星の光だけが頼りとなりますが、太陽や蝋燭の火に慣れた二人には、それは弱く、暗闇に慣れるのに少し時間を必要としていました。そして、そんな時間の中、旦那様はそっと本を脇に置き、奥様の身体を後ろから抱きしめたのです。

 「ひゃ…っ♪」

 いきなり抱きついてきた旦那様に少し驚いた声を上げながらも、奥様は抵抗せずに自分も金の宝剣と尺杖を床に置き、抱きしめる旦那様の腕にそっと手を重ねたのです。闇の帳は思ったより濃く、すぐ前に居る奥様の背さえぼんやりとさせて、不安になった旦那様が取った行動だったのですが、それは同じように暗闇に包まれ、何処か肌寒く寂しい感覚に支配されていた奥様の心を宥めるように落ち着かせるのでした。
 そして、視覚が頼りにならず、他の四つで相手を知覚しなければいけなくなった所為でしょうか。相手を探ろうと敏感になった二人の鼻にはずっと嗅ぎ続けたある匂いが鮮明に飛び込んでくるのです。それは交わりの匂いでした。愛液と精液の匂いが混じり合い、メスとオスの甘く汗臭いフェロモンを振りかけたそれはついさっき失神するまで激しく交わったそれを二人に連想され、欲情をさらに燃え上がらせようとしています。

 「…良い…かな?」

 その匂いに先に我慢しきれなくなったのは旦那様でした。ぎゅっと抱き寄せる腕に力を込めて、耳元で囁きます。ようやく来たお誘いに全身で喜びを表現する奥様はそっと頷きました。無論、旦那様は暗闇の中、それを見る事はできません。けれど、触れるお腹がくすぐったいほど左右に振られる尻尾を見るだけで拒まれていないと知ることが出来ます。だから、旦那様は奥様の身体を抱き上げて、そのままベッドの中央にそっと押し倒しました。何時も通りお尻を高く上げ、突き出すようなその姿勢に、また膣の隅々まで貪られる感覚を思い出し、奥様はそっと身を震わせます。しかし、旦那様は期待に震える奥様を裏切るように奥様の足をさらにくるりと180度回転させました。

 「あっ…♪」

 自然と柔らかいメス犬のお腹を全部、旦那様に晒し、服従するようなポーズとなって、奥様は頬を赤く染めました。てっきりまたメス犬として犯されつくして失神するくらいまで弄ばれるのだと思い込んでいた奥様は、思いもよらない姿…正常位の形で繋がっているという事実に羞恥に顔を赤くします。その奥様を見る旦那様の脳裏に奥様への愛しさがむくむくと盛り上がっていくのでした。その愛しさのまま、旦那様はそっと奥様の頭に手を置きます。

 「何時も…有難うな」

 何が、とは旦那様は決して言いません。だって、一々詳しく口に出していたらそれこそ日が暮れるほど旦那様は奥様に感謝しているのです。考古学者…何て言う盗掘者と大差ない自分を好いてくれている事、何時も仕事に疲れているというのに家事の殆どは奥様はやってくれているという事、そんな自分を慈しみ立ててくれようとしている事、そしてどんな意地悪だって、最後には許して悦んでくれる事…今日だけでこれだけ思いつくのですから。そして、旦那様はその感謝の念を、全部、奥様に伝えるように優しく頭を撫でてあげるのです。
 その優しく、暖かい愛撫を受ける奥様は目を細めながら、感動と愛しさで胸が一杯になっていくのが分かりました。幸せで…いえ、幸せ過ぎて、目尻から涙が零れそうにさえなるのです。出会った当初、旦那様を盗掘者扱いして酷い言葉や酷いことを沢山したのに、旦那様を学会から引き剥がし名声を得る機会を永遠に失わせたというのに、それなのに自分の仕事からは離れられず、休日以外は旦那様とあまり時間を取れないのに、旦那様に依存し、苛められるのが大好きなはしたないメス犬なのに、旦那様はこんなにも優しい言葉をかけてくれるのです。人知れず自分を責め続けていた奥様の自責の念以上の感謝と愛しさを込めて撫でてくれるのです。ぎゅっと抱きしめていつもの意地悪以上の優しさをくれるのです。それについに我慢できなくなって奥様は細めた目の端からぽろぽろと小さな涙粒を落としてしまうのでした。

 「わ…わっ…っ!」

 それに驚いたのは旦那様です。だって、奥様が泣いたところなんて、今までに一度しか、旦那様のプロポーズの時しかなかったのですから。見慣れない奥様の涙にすっかりパニックになった旦那様はそれを拭ってあげようとしますが、奥様はそれより先にぎゅっと旦那様を抱き寄せてその胸に泣き顔を埋めてしまいました。

 「私…今、とっても幸せ……っ♪幸せだ…っ♪」

 独り言のように何度も呟く奥様の声に、混乱を沈めた旦那様は胸を撫で下ろしながら、その手を奥様の頭から離して、両手でベッドにしっかりと立ちました。奥様が重くないように、と言う配慮に、抱きついている奥様も応えるように、旦那様の腰にほっそりとした足を回して、絡め合わせます。奥様自身が何も言えないにせよ、決して拒まれていないことをその仕草で知った旦那様はゆっくりと腰を動かし始めました。

 「はぁぁぁ…っ♪」

 興奮と愛しさにすっかり怒張した旦那様のオチンポはその緩やかな動きでさえ、しっかりと奥様の膣を引っ張り出すのです。膣のヒダヒダ全部をまるで根こそぎ持っていかれそうな悦楽に奥様は旦那様の舌で甘い息を吐きました。その息に合わせる様に、きゅっきゅと吸い付くオマンコを、旦那様は味わうようにして、今度は確かめるようゆっくりと挿入するのです。

 「くふっ…んっ♪」

 打って変わって膣ヒダ全部を擦り合わせるような快感に、奥様は思わず声を堪えます。自然、堪える為にお腹に力を込めた奥様はより奥へ奥へと導くように膣を脈動させました。その動きに導かれ、こつん、と旦那様のオチンポが奥様の子宮口とキスをした瞬間、奥様はまた息を吐くのです。決してお互いを貪るのではなく、相手を感じさせ、慈しみあうようなその交わりは、今の奥様にとっては正直、物足りないものでした。メス犬として、旦那様に組み敷かれ、沢山恥ずかしい言葉を叫ばされたり、恥ずかしい鳴き声を上げさせられながら、一匹のメスに堕ちる快感とは比べ物にならないのです。けれど、そんな快感とはまるで真逆の安心感や愛しさと言うものが、その差を埋めて、奥様の胸を一杯にするのでした。

 「…気持ち…良い…?」

 そんな奥様の様子に気づいたのでしょう。旦那様は胸の中の奥様を気遣うようにそう声をかけました。無論、奥様がこれを快感と受け取らない訳がない…と旦那様自身も分かっています。それでもそう説いたのは、言外に「これでちゃんと物足りるのか?」と言う意味を込めてなのでした。そして、それをしっかりと理解した奥様は旦那様の胸の中で何度も頷き、嬉しそうに膣を締め付けてくるのです。

 「良かった…」

 安堵を込めた声を吐き出すように良いながら旦那様は抽送を続けます。ゆっくりと引き抜き、ゆっくりと挿入していくそれは旦那様にとっても、本当は物足りません。けれど、獣欲や支配欲に身を任せ、奥様を射精する道具のように扱ったり、意地悪な事をするのとはまた別の満足感を旦那様に与え、じんわりとした暖かさを持つ愛しさをその身体に広げるのです。

 「はぁ…ふぅ……っ♪」

 そして、お互いを愛し合う…と言うかのようなその緩やかなセックスは奥様の身体をじんわりと溶かし始めます。快感とはまた違った熱と心地良さが奥様の身体を侵食し、腕にさえ力が込められなくなっていくのでした。自然、旦那様の背に回す奥様の手は緩やかに力を失っていき、ついに旦那様から離れて、その肢体をシーツへと落としたのです。

 「…綺麗だ」

 そんな奥様の肢体は旦那様の言う通り美しいものでした。暗闇にも目が慣れて、奥様の顔まではっきりと分かるようになった旦那様にとって、星明りの下で見る奥様は、まるで女神様だと思うほどなのです。褐色色の肌が欲情に赤く染まるのを星明りは不器用に照らし、薄暗い中でぼうっと小さく照らしているのでした。そして、その肌の先には弱い星明りの下でもはっきりと分かる艶やかな黒毛があり、ふわふわな四肢を不器用に震えさせているのです。そしてその四肢をもつ女神は目尻から幸せの涙を流し、「はぁはぁ♪」と旦那様との交わりを悦んでくれていました。これが幻想的ではなくて、何が幻想的なのだと、そう思わせるほどのその光景は、一目で旦那様の心を鷲掴みにして離しません。

 「変な事…言わないで…っ」
 「僕の奥さんを綺麗と言って何が悪いんだ?」

 恥ずかしげに濡れた目を背ける奥様の首筋に旦那様はそっとキスを落としました。そして、旦那様はそのまま強く吸い付いて鬱血させマークをつけるのです。奥様が朝食の時にやった愛撫のようなものではなく、奥様が自分自身のものだと主張するようなそれに奥様は身体をぶるりと震わせて、受け入れました。だって、奥様は見も心も旦那様の所有物であるのですから、拒む理由はありません。そして、また旦那様は見も心も奥様の虜ですから、それをしない理由もありませんでした。

 「べ、別に悪くは無いけど…恥ずかしい…」
 「恥ずかしがる方が変なんだよ。だって…」

 言って、旦那様はそっと奥様の髪をそっと一房摘みました。香油でも塗りこまれたのかと思う程、艶やかに光るそれは摘むだけでさらさらとした感触を手の中に残し、性感とは違う気持ちよさを与えるのです。

 「こんなに綺麗で艶やかな髪をしてて…」

 そっと、髪を手放した旦那様は次にふさふさとした柔らかい毛に覆われた奥様の耳に触ります。頭頂部にぴょこん、と飛び出たそれはふわふわとして柔らかく、指で挟むだけでぴくりと小さく震える奥様の性感帯の一つなのでした。

 「こんなに可愛くて感度の良い耳をしてて…」

 次に旦那様は耳を触るのとは別の手で奥様の手を握り締めました。耳と同じふわふわしているそこは、手とは思えないほどの弾力に満ちています。それも当然でしょう。ウルフ種に属するアヌビスの奥様の手は人よりも犬に近く柔らかい肉球をその内に秘めるのですから。

 「こんなにぷにぷにで気持ち良い手をしてて…」

 そして旦那様は髪を撫でていた手を、そっと顔の輪郭を撫でながら、奥様の身体を下ろしていきました。頬を撫でるような仕草にそっと目を閉じた奥様を見ながら、旦那様はその手を奥様の慎ましやかな…けれども、とても感度の良い胸に当てます。そこは巨乳が持つふわふわとした感触ではありませんでしたが、しっかりと旦那様の手を押し返してくれて、触れているだけで夢中になれそうなのでした。

 「こんなに柔らかくてえっちな胸をしてて…」

 最後に旦那様はその手を奥様の括れへと下ろしていきます。すらりとした細身の奥様のそこは本当に細く、撫でているだけでもぴくぴくと膣が反応するほど敏感な部位でもありました。そこを二、三回往復させた旦那様は、そのまま奥様の身体を逆に上っていき、今度こそ、そっと奥様の頬を包み込むように手を当てたのです。

 「…そして、こんなに淫らな身体で僕を受け入れてくれて、感じてくれるんだから」
 「…馬鹿」

 照れ隠しのようにそっと目を逸らす奥様の目には様々な感情が交じり合っていました。嬉しさも恥ずかしさも愛しさも欲情も、全部をミキサーに入れてかき混ぜたようなそれは、まさに今の奥様の感情そのものだったのでしょう。しかし、それも仕方がないのです。自分の全身全てを愛で、綺麗と言ってくれた世界で一番大好きな人の言葉に反応しないわけが無いのです。けれど、その反応は余りにも強く奥様の身体の仲で沸き起こり、奥様自身にも処理できていなかったのでした。しかし、奥様自身がそうでも、奥様の肢体は正直で、とても嬉しそうに膣が締め付けて、旦那様に決して言葉ほど嫌がってはいないということを伝えるのです。

 「そんな事言われたら…我慢できなくなる…ぞ…」
 「しなくていいよ。…だって、僕らは…夫婦だろ?」

 そう甘く応えながら、旦那様はちゅっちゅと奥様の唇に沢山キスをしました。まるで、我慢しなくて言って欲しいと誘うようなその仕草に奥様は、力が抜けてベッドに横たわる手に力を込めて旦那様の手を握り返し、さらに強く足を絡め合わせます。まるで旦那様を逃がさないようにするかのようにしっかりと捕まえた奥様は、何処か安堵しながら、ぽつりと呟くように口を開きました。

 「じゃあ…っ…もっと激しく愛して…膣内で射精して…欲しい…」
 「仰せのままに」

 何時に無く快感に素直な奥様に微笑みながら、旦那様は腰のペースをゆっくりと引き上げ始めました。最初はゆっくりと膣奥を楽しむようものだったのが、少しずつ乱暴に膣を抉りとるようなものへと変わっていきます。後背位とはまた違った形で、ごりごりと膣が擦られる感覚に、奥様は旦那の手をさらに強く握り締めながら、高まる感情のまま口を開きました。

 「好き…っアナタぁ…大好きぃぃっ…♪」

 まるで搾り取るようなその声に旦那様の興奮はさらに一段階跳ね上がりました。休日以外では意地っ張りで頑固な奥様は、性行為の悦びは口にしてくれるようになりましたが、中々、好きとは言ってくれないのです。結婚してもう何十年と立っていますが、未だに両手の数ほどにも言ってくれていなかった奥様の突然の告白に身を焦がされるような興奮を覚えるのは仕方が無いでしょう。そして、その興奮のままさらに激しく奥様を愛そうとしてしまうのも、男としての本能なのでした。

 「ああああっ♪好きぃぃぃっ♪大好きぃぃぃい♪」

 そして、その快感に壊れてしまったかのように奥様が何度もそう告白の言葉を繰り返すのも仕方ない事なのでしょう。だって、奥様はずっとその想いを胸に秘め続けていたのです。色々な要因からちょっと気後れしちゃって、また恥ずかしいのも相まって、中々言えなかった言葉がずっと胸の中で順番待ちしていたのです。そして一度、タガが外れてしまった奥様にそれを止める術はありません。今までずっと溜め込んできた愛しさの1/3でも伝えようと必死に言葉を重ね続けるのです。

 「うん…僕も好きだ…!大好きだよ…っ!」

 そして、旦那様もまた、その声に応えるように想いを吐露し続けます。獣欲や支配欲に身体を飲み込まれている時には決して言えないであろうその言葉がすらすらと出てきて、旦那様の脳も染め上げていきました。
 そして、相手から注がれる愛しいという感情と、自分が伝えようとする愛しいという感情が、二人の間で混じり合い始めます。好きだと、大好きだと、愛しているのだと言っているのが旦那様なのか、それとも奥様なのか、そんな境界さえ曖昧になり、二人はより大きな愛しさを口にしてそれを感じ、伝え合うのでした。そして…それは何よりも大きな興奮剤でもあり、奥様と旦那様をどんどんと高い絶頂へと連れて行く劇薬でもあったのです。

 「はぁ…っはぁぁっ♪好き…好き…好きぃっ♪」

 メス犬となっている時に感じる快楽とはまた違う、けれど、それと同じくらい大きな絶頂が奥様を襲い始めました。まるで何処までも浮き上がっていくようなその感覚は奥様に抵抗するという気持ちさえ起こらず、腰を浮き上がらせるのです。
 そしてそれは旦那様も同じでした。獣欲と支配欲のまま奥様を貪るのとはまた違った暖かい絶頂が、身体全部を甘やかし、溶かしてしまいそうな悦楽の波が、旦那様の目の前まで迫っていて、二つの肉の玉ではどろどろとした精子たちが今にも射精の時を待っているのです。

 「はぁぁはぁぁぁ♪好き…ぃぃ♪」
 「好き…だ……!!!」

 お互い全身の力を振り絞って叫んだ瞬間、奥様の身体にも旦那様の身体にも絶頂が襲い掛かりました。しかし、それは二人が思っていた通り、いつもの絶頂とは少し気色が違います。何時もの様な身体の中で弾け、うねり、暴れ、思考を飛ばそうとするようなものではなく、身体の骨から何から全部溶かして一つに合わさるようなものでした。お互いの境界が無くなり、文字通り一つになっていきそうなじんわりとした甘い快感に包まれ、旦那様と奥様はぎゅっとお互いに抱きついたまま、荒く息をつき続けています。

 「はぁ……はぁぁぁ……♪」
 「はぁ……はぁ……はぁぁ…」

 そんな風に荒い息をつきながら十分ほど経った頃でしょうか。奥様も旦那様もようやく意識がはっきりしてきて、お互いの快感に蕩けた顔を見つめあいます。お互いに絶頂の余韻を引きずる二人は、そのままどちらからともなく唇を合わせて…何度も何度も口付けを交わし続けました。

 「ん……っちゅ…♪」

 愛しさをたっぷり込めた唇を貪るだけのキスは奥様と旦那様の身体に、じんわりとした熱を広げて、まるで癒してくれるようでした。絶頂の余韻こそ引きずっているものの、身動きが取れないわけではない肢体の筋肉を撫でるよう広がるその熱は、二人に理性と…そしてそれ以上の欲情を取り戻させるのです。

 「…物足りない…ね」
 「えぇ…」

 無論、先ほどの絶頂は確かに気持ち良いものでした。お互いの境界すら薄れ、本当に一つになっていきそうな絶頂は心から満足できる代物です。…けれど、それでも、そんな絶頂では奥様も旦那様も身体で満足できないようになってしまっているのでした。旦那様は何処か満たされない支配欲が、奥様にはつい求めてしまう被虐心が、まるで空っぽのように空虚で、満たされないのです。

 「…やっぱり僕は…こういうのじゃ駄目みたい」
 「…私も」

 そうお互いに告白し、微笑みあった二人にはもう迷いはありません。ただ、お互いの欲を満たす為、旦那様は乱暴に奥様の両足を持ち上げそのままベッドに押し付けるように、奥様は足に力を込めてそれを助けます。自然、遮るものが何も無い恥部は旦那様の目に晒され、可愛らしいお尻の穴からぷっくりと膨れた下の唇までが旦那様が見てくれるのを悦ぶかのようにぴくぴくと震えるのでした。俗に言う「まんぐり返し」の姿勢となった二人は、再びただのオスとメス犬に堕ちてお互いを貪りあいます。けれど、それが二人にとって最高の愛し方で、そして愛され方なのでしょう。





 そして、そんな愛し、愛され方をしている奥様と旦那様が途中で止まる事は無く、結局、三日ほどお互いを貪り続けて、奥様がまた仕事に遅刻して、同僚のマミーやスフィンクスにからかわれたのでした。






                                         めでたしめでたし。
12/08/13 12:55更新 / デュラハンの婿

■作者メッセージ
 ※全編ほぼエロシーンなのは私が悪いんじゃなく、某所のエロ魔神さんたちの陰謀です。

 そんな訳でこんばんは。デュラ婿です。
 魔物娘の新婚生活(無論、結ばれてからずっと新婚生活なのですが)は、きっとこんな感じじゃないかなーと思いつつアヌビスたんで筆を取ってみました!
 管理職としてのしっかりものアヌビスたんじゃなく、旦那様大好きでわんわんモード全開のアヌビスたんなので、「こんなのアヌビスたんじゃない!」って人は申し訳ありません(。。;
 しかし、見方を変えれば旦那様に服従しきっているようで、その心を完全に把握し、旦那様自身にも気付かれないくらいその身を支配し、管理している面が強いと思うので、許してくださると幸いです…orz

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