連載小説
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休日中の逢瀬
「…」

私は無言で王宮内のある部屋へと足を進めていた。硬い床の感触を確かめながら一歩一歩進むごとに不安な感情が募っていく。
本来なら王女自ら他者の元へと訪れることはまずない。用があるなら女中にでも連れてこさせればいいだけだ。
だがそんなことをしている暇さえ今は惜しい。それに他人からの報告よりも自分の目で確かめなければ信用できない。

「…ここだな」

普通の騎士達と比べると幾分か飾られた、だが私たち王族や勇者達と比べれば何とも単調なドアの前で私は足を止めた。ここが目的の場所。黒崎ユウタが住み込んでいる一室だ。
私は静かにドアをノックする。すると暫くしてがさごそと物音が聞こえてきた。

「はーい?どちら様ですか?」

一応礼節というものを考慮してか私と話している時と違う通った声が聞こえてくる。それを聞いてひとまず胸をなで下ろした。
いなくなったわけではないらしい。だがそれならどうして私の前に来なかったのか問いたださなければならない。最悪あのリリムにほだされたりしていないだろうか。

「どちら様ですか?」

がちゃりとかかっていた錠が外されドアが開かれる。そこから覗くのは真っ黒な闇色の瞳。ドアの前に立っていた私の姿を捉えるとユウタの目は点になった。

「おいユウタ。どうして今日―」

次の瞬間ドアが何事もなかったかのように閉められる。それどころか極力音をたてないように錠までかけられた。

「…ふふん」

上等だ。一国の王女を目の前にしてなんという不届き千万。これでは自分から首を飛ばしてくださいと言っているようなもの。それをわかっているのだろうか。
わかっているのなら―

「―何をされても文句は言えないな」

私は片手にもっていた模擬剣を握り締めた。
人を斬ることのできないように刃を潰した刀剣であるが力任せに降ればこの程度のドアを破ることなど容易い。
とりあえず猶予は…三秒でいいだろう。

「三」

模擬剣をドアへ向かって突き出すように構える。

「二」

体勢を低くし、呼吸を整え最速の一撃を放てるように集中力を高めていく。

「一」
「待って待って!何する気!?」

寸前のところでドアを開け放って出てくるユウタ。だが既に私は止まる気はなかった。

「零」
「ふぉっ!?」

打ち抜くつもりで突きだした模擬剣を体を後方へと倒すことで避けられる。この程度当たるとは思わなかったが随分と奇妙な避け方をするものだ。

「…何の用なのさ?」

足と手だけで起用に体を支えたブリッジの姿勢のままユウタは気だるそうに聞いてきた。
今更何を聞いているんだとその姿勢のまま体を踏みつけてやろうかとすら思う。だがこの程度、寛容な精神で受け入れなければ王族は勤まらない。

「…ユウタ。お前今日どうして私の護衛に来なかった?」
「え?」
「お前の仕事はなんだ?私は一ヶ月前にお前を何に任命したのか忘れたのか?」

昨日一昨日、それどころかこの一ヶ月は常に私の傍で護衛をしていたこの男。それが今日いきなり姿を見せることなく何があったのか事情もなし。あるならあるで女中やらに口伝してもらえばいいはずなのにだ。
せっかく仕事も少量だったから一日中鍛練場で付き合ってやろうと、この一国の王女と共にいられる至福の時間を与えてやろうという厚意を無下にするとは失礼極まりない。
ブリッジの姿勢から勢いだけで体を起こすとユウタは部屋の奥からある一枚の紙を持って来た。

「これ見てよ」

数字が並んだ一枚の紙。その中で一つだけ目立つように赤で丸つけられた数字。それはちょうど私がユウタを護衛に任命して一ヶ月が経つ、つまり今日だった。
ちょうど一ヶ月。もう一ヶ月も私はこの男と共にいるというわけだ。
だがユウタは不機嫌そうな表情で呆れたように言葉を紡ぐ。

「今日オレは休日だって言ったのはどこの誰?」
「…むぅ」

護衛といっても当然仕事なのだから休みの一日二日は普通にある。というか普通の護衛役なら一週間、長くて二週間に一日はあるのが当然だ。それは休日の時に別の誰かが入れるように順を定められているからでもある。
だが今私の護衛として仕えているのはユウタ一人だけ。ローテーションで代われる相手は当然いない。それゆえ休みがなくなってしまうのは仕方のないことだった。
だが、それ以上にユウタがリリムと出会ってしまってからというもの不安でたまらない。いつの日か私の護衛についていた騎士達のように連れ去られてしまうのじゃないかと気が気じゃなかった。
できることなら目の届く範囲にいてなければ落ち着かない。
傍にいないと耐えられない。
気づけばまた、いなくなってしまうのではないかと危惧してしまう。
…随分と私は臆病になったものだ。

「…ユウタの身が心配なんだ」
「何で護衛対象が護衛の心配をするのさ。とにかく、今日は休日だから自由にさせてもらうから。一応予定もあるし」
「予定とは何をするつもりだ」
「…いちいち人の予定聞かなくてもいいじゃん」
「王たるもの臣下の行動も把握しておくものだ。変にトラブルになったらお前一人で対処できないかもしれないだろう?ただでさえユウタはこの世界のことをまだよくわかっていないのだから」

リリム相手にまるで友人のように接するところとか、どうしようもない常識はずれだ。いくら魅了にかからない素質は素晴らしかろうが魔物に対する最低限の情報すら持ち合わせていないのでは話にならない。
私に指摘されるとはたと気づいたようにこちらを見た。

「…そりゃ、まぁ」
「で、何をするつもりだ?」
「買い物に行くんだよ、夕食とかのさ」
「買い物?何とも女々しいというか、男らしくないな」
「男だって買い物するんだよ」

硬質なものがぶつかり合う音のする袋をベルトにくくりつけ傍にかけてあった上着を羽織る。召還したときにきていたあの宵闇のような色をした服を纏った姿は中々どうして様になっていた。

「ちょっと城下町でいい食材見つけたから買いに行くんだよ。今日はそれだけ」
「食材?そんなもの買わなくても王宮の厨房に行けば一通りそろっているのにか?」
「…たまには和風なものが食べたいんだよ」

そう言った時の表情はどこか陰のある、儚げなものだった。それをみてああと思う。
この男は別世界から呼び寄せた存在。それならばその世界で生活を営んでいたはずだ。家族と過ごし、親しい友人と馴れ合い、もしかしたら恋人もいたかもしれない。そんな中無理矢理つれてきたようなものなのだから故郷を懐かしむこともあるのだろう。

「…」

そう思うとなんともいたたまれない。
何かをせずにはいられない。

「よし、せっかくだから私がついて行ってやる」
「…はい?」
「だから私が共に行ってやるというんだ。ユウタはまだ城下町のことをよく知らないだろう?それならば私が共にいたほうが何かといいに決まってる」
「一国の姫様がたった一人の臣下の為に何やろうとしてんのさ」
「一国の王女が直々し付き添ってやると言っているんだぞ?遠慮なんてするな」
「そんなの遠慮するっていうの」

困ったような表情でユウタはひらひらと手を振った。ついてくるなと言わんばかりの態度に思わずムッと来てしまう。
王女が付き添ってやると言っているのになんたる無礼な態度か。こんな他愛ない会話の中でも数回は首を飛ばす言動があったのを分かっているのだろうか。

「とにかく」

私はひらひらと振られるユウタの手を引っつかむともう片手で模擬剣の鋒を顔面に突きつけた。

「私も共について行くからな。私も準備をしてくるから部屋の前で待っていろ」
「えー…」
「先に行こうとするなよ?その時は不敬罪として…わかるな?」
「…」
「私の命に対する返事は?」
「いや、でも今日は休日だから」
「返事は?」
「……はい」

そう言ってユウタは疲れたようにため息をついた。









数分後、私は私服に着替え終え部屋の中に立っていた。すぐ傍には先ほど迎え入れたユウタが目をぱちくりさせてこちらを見つめている。

「ふふん♪どうした?私の私服姿に見とれているのか?」
「…え?それが私服姿?」
「ああ、そうだ。普段のドレスと違ってまた格別だろう?」
「そんなので国民にバレないの?っていうか…王女様がする格好としてはスカートが短いと思うんだけど」
「何を言うか。普段着ている服のほうがスカートが長くてそう思えるだけだ。あんな気品がどうだこうだという服なんて実際戦闘では邪魔なだけなんだがな」
「…それでいいのかお姫様」

ユウタは呆れたようにそう言って困ったようにこめかみを掻いた。対して私はふふんと鼻を鳴らす。
これぐらいの服装でとやかく言うとはこいつも女中と同じようなタイプだろうが。というか普通至福の女性を前にしたら褒めるのが常識だろうに。
変に洒落た世辞よりかはこういう反応の方が肩肘張らなくていいというのもあるが。

「それでは行こうか」
「行こうかって…どうやってさ?まさか一国のお姫様が王宮内堂々と通って外に行く訳じゃないよね?」
「そんなことすれば警備中の騎士に捕まって面倒だ。そんな面倒なことなどせずとも方法はある」

私は訝しげに見つめるユウタの手を引き寄せ、体勢を崩したところを一気に抱き上げた。膝の裏と背に手をまわす、いわゆるお姫様だっこという奴で。

「…………へ?」
「ふふん♪これでは立場が逆だが魔法の使えんユウタには仕方ないな」
「…………え?」

見た目とは裏腹にずしりとかかる男性の体重。どうやら細身なのは筋肉で引き絞っているらしく鍛えている私でも思わずよろめいてしまうほど重い。
だが、これはこれで男らしく悪いことではない。
抱えきれないほどでもないユウタの体を落とさないようにしっかり掴みながらベランダの窓を開ける。その手すりに足をかけて一言。

「飛ぶぞ?舌を噛むなよ」
「…………ん?」

足に魔力を集中させると私は手すりを足場に飛び出し、王宮の屋根へと向かって一気に跳躍した。










「ふふん♪久しぶりにやったが何とも風が気持ちいいものだな♪」
「…」
「ん?どうしたユウタ。そんな固まって。もしかして私に抱き上げられて緊張しているのか?ふふん♪男だからと言って恥じらうことではないぞ。魔法が使えないお前がやろうものなら体を壊しかねん。そんなつまらんことで私の護衛をできなくするわけにもいかんからな」
「…ひ」
「ん?」
「…久しぶりに死ぬかと思った」
「私の護衛がこの程度で死ねると思うな。死んだら死者の国から引っ張って連れ帰ってきてやる」
「…お手柔らかに」

あの後私は騎士たちの目の届かない王宮の屋根から屋根を飛び越えて城下町の傍に着地した。
真っ青な顔をしたユウタを整えられた石畳の上に降ろす。普段余裕綽々の笑みを浮かべるこの男にしては珍しい表情だ。眺めているだけで思わず笑みが浮かんでくる。

「ふふん♪そんなに空を飛ぶことは怖かったか?」
「こちとらそんな機会人生になかったんで…バンジージャンプだってもう少し優しいだろあれ」
「んん?なんだ?ばんじー…ジャンプ?」
「高いとこから命綱つけて落っこちるっていう遊び。いわゆる度胸試しみたいなもんさ」
「なかなか面白そうなことをするな。今度騎士達の鍛錬に加えてみるか」
「…それはやめたほうがいい」

二度三度呼吸を整えるとベルトにくくりつけた金貨袋を確かめたユウタは微妙にふらつく足取りで歩き始めた。
私を置いて。
一人だけで。

「…おいユウタ」
「ん?何?」
「なぜ一人で行こうとする?」
「え?」
「な・ぜ・お前は私をエスコートしないんだ?」
「は?」

男女がいれば男は女の手を引いてエスコートすることは常識だ。それはこの国の民でも、騎士でも、はたまた王族でも同じ事。さらに今回は私とユウタという王女と従者の関係だ。ユウタが私をエスコートすることは義務であって、至極当然のことである。
だがユウタはあからさまに嫌そうな表情を浮かべた。

「エスコートって…そんな今時するもんじゃないでしょ」
「お前の今時がいつなのかわからないが男が女の手を引くことは常識だろう?」
「王女は臣下を率いるのが当然でしょ。立場逆じゃん。それに今日は休日だから護衛はお休みなんだし」
「…」

こいつ………!ああいえばこういってこう言えばああいうとは!
最初の方はこういうのも面白いかと思っていたが面倒でかなわん!やはり別世界からきた者は国や王族への忠誠心に欠けるというか、忠義がないというか、とにかく一筋縄で行かない存在で手が掛かる。
私はびしっとユウタの眼球寸前に手を突き立てただ一言。

「エスコートしろ!返事ははいだ!それ以外は聞かんっ!わかったな!?」
「………」

疲れた目でこちらを見据え、やはり疲れたようにため息をつく。次いで一言「まったく仕方ないな」と呟くとしゃがみ込んで私の手を取った。そして甲に口づけを落とすと立ち上がって腕を出す。
その様子は平凡な顔をしているわりに随分と自然なものだった。今着ている黒い服も相まってまるで貴族のような姿にも見える。そして向けてくるのは裏に野心も策謀も欲もなにもない純粋な微笑み。少し疲呆れた色が混じっているが、今まで見てきた男どもとは違う表情に思わず胸が高鳴った。

「ふふん♪」

その腕に自分の腕を絡めて一言。

「やればできるではないか」
「オレの師匠がマナーとか礼儀作法とか、こういうことは詳しかったんだよ」
「お前の師匠?」
「そ。空手の…まぁ戦いのことを教えてくれた師匠。実力的にはレジーナと互角だろうね」
「成る程。それならお前の実力も納得がいく。是非とも会ってみたかったものだ」
「……それは絶対にやめて」

それより、とユウタは視線をこちらへと向けた。どこか遠慮がちで恥ずかしそうなそれの先にあるのは絡み合った二本の腕。そこへと押し付けられるのは私の柔らかな体の一部。

「…当たってるんだけど?」
「なんだ?気になるのか?ふふん♪」
「一国の王女がそんなこと楽しげにやるもんじゃないでしょうが」
「腕を絡めれば胸が当たるのは仕方ないだろう?私はプロポーションも完璧な王女だからな♪それに此度のエスコート分の報酬でもあるんだ、受け取っておけ」
「いや、そういうのいいんだけど」
「遠慮するな。仕事をしたらそれ相応の報酬を渡すのも王族の勤めだ。このレジーナ・ヴィルジニテ・ディユシエロの胸の感触を味わえるという幸福をありがたく思え」
「…」
「ふふん♪恥ずかしがっているのか?照れているのか?やはりお前も青少年ということだな♪」
「……師匠と比べたら別にそこまで……」
「なんか言ったか?」
「いいえー」

そんなくだらない、それでも気ままな会話を交わしながら私はユウタに連れられるまま城下町へと入っていくのだった。









「…なんだこれは」

そこはこのディユシエロ王国における店にしては異様な雰囲気を醸し出す店だった。先ほど二人で通ってきた活気あふれる市場にあるわけではなく、人通りの多い道沿いにあるわけでもない、まるで隠れて商売するためのように王宮から遠く離れた場所にそれはあった。
木造で作られた二階建ての建物。黒い瓦に覆われた屋根や木枠に真っ白な紙のようなものを張り付けた横開きのドア。そして大きく出された看板にはファンシーな愛らしい子狸が描かれている。

「まいどおおきに!ゆうたはん」

その看板の下、横開きのドアを開けて出てきたのは茶色い短髪の女性だった。
見慣れない衣服を着たやや細身の女性。顔立ちもこの国ではあまり見られないものだがきらりと光る瞳や薄紅色の唇、それに瑞々しい肌がなんとも艶かしい。だが、どことなくあくどさを感じさせる雰囲気を纏った商人だった。

「…」

なんだか嫌な感じがする。見た目は普通の人間だが裏で何かを隠すような嫌な感じだ。王族として様々な者を見てきたからわかるが、これはあまりいい人間ではない。
例えるならば策謀を得意とする私の妹に近いところがある。流石にあの腹黒さまでは達してはいないだろうが近いことは確かだ。
だがもし例えるならば…はまるで、そう、魔物が姿を変えているような…。

「どうも」

どうやらユウタはこの胡散臭そうな女と知り合いらしく親しげに手を挙げて挨拶をする。女性は両手を揉み合わせ笑みを浮かべた。

「おんやぁ?」

商人らしく客を迎えるものではない、もっと温かみのある、感情を込めた笑み。だが込められた感情は優しいものではなく、目を細め口元を緩め、珍しいものを見て喜ぶいやらしいものだった。

「ゆうたはんも隅ににおけまへんなぁ♪こないな別嬪さんどこで捕まえてきたんやろか?」
「それはまぁ、色々とありまして」
「色々、なぁ♪ほんならとびきりのお薬も用意してまっせ?媚薬に精力剤、一晩どころか一週間は収まらん香に高ぶってしゃあない酒もたぁんと揃えたるで?」
「遠慮しときます」
「そないなことせんといてぇな。うちとゆうたはんの仲やろ?効果はじっくりたっぷり体で確かめてもろてもええんやで?なんなら…うちと確かめあうてみんか♪」

熱っぽい視線を向けて艶かしい仕草をする女性。両手を伸ばして絡め取ろうとするそれは商人と言うよりも娼婦に近いものがあった。だというのに上品さを損なわない計算高い誘惑にも感じられる。
…いや、これはどちらかというと娼婦よりもあれに近いだろう。
忌々しく、禍々しく、憎たらしいあの魔物に。
しかしユウタはするりと避けると何事もなかったかのように会話を再開した。

「そんなことより頼んだ商品はどうなりました?」
「…相変わらずのいけずやな。まぁええわ」

ブツブツ不機嫌そうに呟きながら店の奥へと消える女性。次に現れると台車に様々なものを乗せて帰ってきた。
積まれているのは普段料理の中で目にする人参などといった野菜から細長い木の根のような見たことのないものまである。
そして一番目を引いたのは藁で包まれた巨大な何か。三つも積まれたそれは中身が何かは判断できないが隣のユウタの表情を見る限りメインのものらしい。

「ほら、ゆうたはんに頼まれとった品ぜーんぶ取り寄せたさかい、持ってってや」

そう言って女性は藁の塊の一つを前に転がし、器用に藁をほどいていく。中から現れたのは部屋の明かりで白く輝く数多の粒だった。

「世界が変わっても俵なのはどこも共通か…んん〜!久しぶりのお米はいいなぁ!」

両手ですくい上げ、砂のように落としていく。それを眺める瞳はまるで子供が玩具を目前にしたかのような輝きだった。
手で感触を、鼻で香りを、目で形を、耳で擦れる音を心ゆくまで確かめている。それほどまでにユウタはこれを求めていたのだろう。

「配達用の空間転移護符はさーびすでつけとくわ。これでこないな重いものでも一瞬で自宅に運べるっちゅー便利なもんやで」
「これはありがたい」
「なぁに、こないな店利用してくれるんはゆうたはんくらいやし、お得意様なんやから当然やで。値段のほうもさーびすさせてもらいまっせ。それに―」

ユウタが金貨の入った袋を手渡すと彼女はその中から数枚取り出して返す。にこりと笑った女性は金貨を握りこんだまま店の奥へと消えると二つの皿を持って帰ってきた。見覚えのある野菜や肉を使ったそれはそこまで手の込んでいるようには見えない。彩りも豪華さもないそれは王宮で出されるものと比べるとなんとも素朴なものだった。

「これは?」
「…まさか肉じゃが?」
「そや。ゆうたはん肉じゃが食べたいって言ってたやろ?せやからうちからの些細なさーびすやで」

ユウタと私に手渡された皿と二本の細長い棒。これは確か箸というやつだったか。東方で扱われる食事をする際のナイフやフォークと同じ類のものだったはず。
とするとこの女性、ジパングの国の出なのだろうか。
魔物と人間が共存する国、ジパング。私たち教団側にとっては目の上のコブのような存在だ。存在する魔物も一筋縄ではいかない者が多く、厄介なことこの上ない。
なら、この商人もその可能性があるということだが……。

「なんや?初めて見るものやろか?心配せんでも毒も薬も入ってへんよ」
「…」

今はいいだろう。せっかくこうしてユウタと共に出歩いている時に厄介事に首を突っ込みたくない。ここで見逃しても他の騎士達や勇者もいるし、後々私が来ればいいだけだ。
探るような視線を向けながらも私は料理を口に運ぶ。香る匂いや見た目で判断するに毒らしきものはない。あっても解毒魔法があるので心配する必要もないのだが。

「いただきます」

隣のユウタは当然疑うことなどせずに料理を口へと運ぶ。私も続いて料理を食した。

「…ん」

今まで食したことのない味だが素朴で深いものが口の中に広がった。食欲をそそる薄い塩気と肉の旨味、それから食材の程よい堅さ。見た目は少々寂しいのに中々どうしていけるではないか。

「…う、うまいな」
「そうやろ?これでも料理には自信あるんやで」

私は抱いた感想を素直に述べると得意げに鼻を鳴らす女性。初めて食したゆえ比べる基準はないが認めざるを得ない腕前だ。

「んで、ゆうたはんはどうやろか?好みにあっとるとええんやけど」
「…」
「…ゆうた、はん?」

私の隣に立つ男は彼女の呼びかけに無反応。それどころか女性の方も言葉を止めた。一体何かと思ってそちらへと視線を移す。

「…ユウタ?」

ユウタは視線をどこへもやることなくその場に立っているだけだった。ただ、何かに想いを馳せているのか表情は悲しく、寂しげで陰のある表情だった。
どこか儚げで指先が触れるだけで崩れてしまいそうな、そんな姿。今声をかけようものならヒビが入ってしまうような気がして私も女性も共にそれ以上声をかけることを躊躇ってしまう。
私たちの視線に気づいたのかユウタははっとしこちらを見た。

「あ、うん…すごいおいしいです」
「ふふっ♪そう言ってもらえると作ったかいがあったわぁ♪」

誤魔化すように笑みを浮かべてユウタは賞賛の言葉を贈る。それが嬉しいのか女性は照れたように頬を朱に染めた。

「…」

…面白くない。
さらに面白くないのはユウタが続けた台詞。

「また、食べたいな…いや、毎日でも食べたいくらいですよ」
「ひゅっ♪」

その発言がどれほどの賞賛を込めていたのかは計りかねるがユウタにとっては最高のものだったのだろう。賞賛以外にももう戻ることのできない故郷への想いも込められていたかもしれない。
だがその言葉を受け取る側にとってはあまりにも過激なものだった。

「ゆうたはんたら…そんないきなり大胆やわぁ♪」
「え?」
「な・ん・な・らぁ♪ゆうたはんだけの特別さーびすや、こないな遠くにまで足を運ばんでも、そないな金払わなくともゆうたはんのご希望に添える手段はあるでぇ♪」

妖しく、艶めかしく、それでいて蠱惑的に。まるでどこかの悪魔を見ているかのような既視感を覚える姿で女性は再びユウタに手を伸ばした。
真っ白な肌に繊細な指先。それが誘惑するように頬を撫でながら身を寄せていく。

「お金を払わないって…そりゃなんか悪い気がするんですが」
「そないな気兼ねせんといてぇ♪うちとゆうたはんの仲やないか♪」
「商人と客の仲?」
「つれんこと言わんといてぇな♪なんなら今すぐに懇ろな仲に……♪」

顔と顔が近づきながらそれでも体を引かないユウタ。それをいいことにすり寄っていく女性。肩に手を添え、足を踏み出し、あまりにも自然で流れるような仕草で顔を寄せた。

「…ふん」
「ぐえ…っ」

女性の唇が突き出されるよりも早く私はユウタの首根っこを掴んで隣へと引っ張った。まるで蛙が潰れたようなうなり声を上げて戻ってきたユウタの腕を見せつけるように絡める。

「あ…」
「既にこの男は売約済みだ。色目を使うなら他の男にするんだな」

その言葉に女性はこちらを睨みつけてきた。

「売約済みぃ?そないな冗談が商人相手に罷り通ると思うのやろか?」

ずいっと顔を近づけて女性は威嚇するように見上げてきた。ギラリと瞳には獣の如く敵意剥き出しの光を宿らせている。
対して私は見下すように彼女を見据える。滑らかなで白い肌に整った顔立ち、それに剣呑に細められた目ではあるがなかなかどうして、こうしてみると美人じゃないか。それでも私の美貌には劣るが。

「見栄張っとるだけならやめといたほうがええで?そんな見え見え上っ面だけの関係でうちと張り合えると思たら大間違いや」
「ほう?たかだか商人がいったい何をしてくれるのか見せてもらいたいものだ」
「商人の腕前舐めてもろうてはかなわんわ。売約済みやろが契約済みやろがみなかっさらうぐらい朝飯前やねん」
「ふふん。面白い、やって見ろ」
「後で吠え面かきまへんように」
「…」

そこへ不意打ちをするかのようにユウタの手が私の手を握り直した。そのまま力任せに引っ張られる

「っ!おいユウタ!何をしている!?」
「あ、ゆうたはんっ!」
「すいませんまた来ますのでそれではっ!」

一応男と女。力の差は鍛えていても如実に現れてしまい私は為すがまま店の外へと引きずり出された。それだけでは止まらずにこの女性の視線が届かない裏路地へと入っていく。
右を曲がり、左へ走り、気づけば城下町へ戻る脇道でようやくユウタは足を止めた。振り返ってこちらを向いた瞳には剣呑な雰囲気を感じてしまう。
だがその程度で気圧される私ではない。先ほどの事含めて逆に睨み返してやる。

「…何やってんのさ」
「それはこっちのセリフだ。隣にこれほどの美女がいるのに別の女を口説くとは何事だ」
「口説くって…そんなことしてないじゃん」
「お前は……はぁ…」

素直な賞賛は悪いことではないだろう。そこに故郷への想いを込めるのもいいことだ。
だがそれにしては言動が過ぎている。純粋すぎる故にたちが悪い。これではあの軟派勇者とたいして変わらんではないか。

「とにかく、もうあの店は行くな」
「え…行かなきゃお米買えないんだけど」
「そんなこと女中にでも任せればいいだろうが。お前は一応それなりの待遇でこの国に迎えられているんだ。女中の一人に遣いを頼ませることぐらい遠慮するな」
「自分でできることなんだから自分でやるべきなんだよ、そういことはさ。それより何?レジーナなんか…今日はいつもより機嫌悪い?」

呆れたような視線と声色のユウタに私は視線を外した。そして言葉のままに自分の言動を省みる。
エスコートを求めたり、あの女に張り合ったり、つまらないことでムキになったりと普通の臣下に対して、それも護衛に対しての扱いとしてはあまりにも執着しすぎている。それも、私自身が自覚できるほどに。
どうやら私はあのリリムのせいでいろいろと過敏になってしまったらしい。他人に惑わされるのが気に入らないのか、他の女に取られるのが耐えられないのか、とにかく全てはあのリリムのせいだろう。きっとそうだ。
…いや、それだけではなく私は…焦っているのかもしれない。
とにかく、私はユウタの腕に絡めた自分の手に強く力を込めた。

「…どうしたの?」
「何でもない。それよりもそろそろ昼時だ。昼餉にしようではないか」
「ひるげ?…ああ、昼飯ね。ならどうする?そこらの店で済ますの?あ、でも王族御用達とか無駄に高いところ入らないでよ。さっきの店でそれなりに使っちゃったんだから」
「何を言っているんだ」

しゃりんっと、服の内側に持っていた財布を叩くと硬貨の擦れる音が響いた。中に入っているのは当然全て金貨。

「今日の礼をかねて私が払ってやる。今回は私が言ってついてきたことだしな」
「そんなのいいって」
「年下の小僧がなに意地張っているんだ。他者からの、それも一国の王女直々の厚意を無下にするつもりか?」
「それ以前に男が女に奢らせるわけにはいかないって。女性なら男を立てるもんだよ」

その言葉に私は足を止めてまじまじと隣の男を見た。ユウタは急に立ち止まった私を不思議そうに見つめてくる。
その、吸い込まれそうな黒い瞳で。

「…」
「何?」
「…ふふん♪何でもない」



―女に…女性なら、か…。



なんだかんだ言っても女性扱いをされると嬉しくなってしまう。ユウタにとってはこの程度は当たり前なのだろうがそれでもただ純粋な気持ちでされるのと欲を秘めた男の言動ではわけが違う。女のことを知り尽くすあの軟派勇者なら喜ばす言葉なんていくらでも持ち合わせているだろうがこっちの一言の方がよほどいい。

「ほら、さっさと行くぞ。遅れるな」
「え、あ、ちょっと」

ユウタの手を引っ張り、さりげなく指先を絡めて私は街へと進みだした。







「ふふん♪王宮外での食事というのも新鮮だ。食堂に行けばここと似た料理は出されるが一国の王女がそんな真似できるわけもないからな」
「…」
「どうしたユウタ。注文した料理は来たというのに眺めているだけなのか?早く食べないとせっかくの出来立てが冷めるぞ」
「…多くね?」

目の前の料理を見つめてユウタはげんなりした表情で呟いた。
一応変装はしているものの用心して人目につかない奥のテーブルに向かい合って座る私とユウタ。互いの前にはパスタにサラダにケーキといった様々な料理が並んでいる。
ユウタの前にあるパスタの皿だけが私のと比べて倍の量になっているが。

「強靭な肉体を作るには食事も重要だぞ?栄養を取らないと筋肉もできない上にお前もいつまでたってもひょろひょろなままだ」
「ひょろひょろで悪かったね。こちとら肉がつきにくい体質なんだよ」

そんなことを言いながらも両手を合わせ、先ほど店の中でやったように一礼するとフォークを持って料理を食べ始める。一口分以上のパスタを絡め取ると口へ運び、再びフォークでパスタを絡めていく。意外と食べるペースは早く胃袋の大きさもあるらしい。男らしくていいことだ。
他人の食事風景を眺めるのはあまり品のいいことではないがこういうのもなんだか悪くない。

「ふふん♪ありがたく思えよユウタ。一国の王女が直々に食事に誘ってくれる機会など普通はありえないことなのだからな」
「そりゃどうも」
「うまいか?」
「そりゃまぁ。王宮内の食堂とはまた違った料理だしね」
「さっきの女の料理よりか?」
「なんでその話を出すのさ?」

なんて会話をしながらも私も料理を口へと運ぶ。別段飛び抜けて辛いとか苦いとか、そういうものではない食べやすく整った味に私達は舌鼓を打つ。
だがしばらくして何かがおかしい。ここに入ってくる途中のテーブルについていたカップルの姿と比べるとなんというか…こうであるべきだというものが浮かんできた。

「…違うな」
「え?」
「こんなの違うだろう?」

ユウタは料理を飲み込んで顔を上げた。その口元には食べカスなんてものはついていない。大口で飲み込むくせにどうしてこう器用なんだろうか。これでは微笑ましく世話を焼くこともできないではないか。

「男と女が二人で食事をしているんだぞ?こう…もっとあるだろう?」
「…何が?」
「何がって……お前はそれでも男か?」
「そこでそんなこと言われても…」
「…おい、あれを見ろ」

私は先ほど思い浮かべた、3つほど離れてたところにあるテーブルに座っている男女を指さした。二人は私たちと違って歳の近いカップルであり仲睦まじくお互いのフォークで食べさせあっている。

「…見たよ」
「ああいうのが男女のあり方なのではないか?」
「レジーナっててっきりああいうの見たら「なんとふしだらなことか。全く我が国の民なのに情けない!!」とでも言うのかと思ったんだけどね」
「いくら何でもそこまでするわけないだろうが。間近でされれば鬱陶しくはあるがああいうものに憧れんわけではない」

それは私も根が女ということだろう。煌びやかな服に目を輝かせ、噂話に耳を傾け、黄色い声を騒がしくあげる。そんな市井の乙女と何ら変わらない女の部分がまだ残っているということか。
…そんなもの…とうの昔に捨て去ったと思っていたが。

「…」

思えば私の生活は戦いに、軍務に忙殺される日々だった。
遠征に部隊の訓練に自分の鍛錬に王族としての勤めに、そして戦争に。
この国は今は平和であるがいつ陥落されるかわかったものではない。リリムと私の実力差はないといえあの魅了があるかぎり、この国の大半の者は魔物の前にひれ伏すに違いない。そう考えてしまうと今こうして他愛のない時間を過ごすことがなんと愚かなことだろうと思えてしまう。
だが、こんなことが今まであったわけじゃない。
一国の王女として節度を保ち、みだりに接することはいけない。別国の王子との縁談がなかったわけではないがこれと言って興味を抱かせる者には出会ったことがない。そこにいた男など王族とはいえ私の体かこの国の王位を狙う愚か者共ばかりだ。野望あふれる姿は悪くはなかったが良くもない。
そして気づけばもうこの歳か。いや、そこまで老いているわけではないがそれでも大分過ごしすぎてしまった。

「…」

目の前の男を見つめる。私と比べれば一回りも年下の、小僧と言っても変わりない年齢の男性。平凡な顔立ちで、だけど人を引きつける瞳をしている別世界の人間。
そんな人間と共に過ごすこの時間。もしも王族でなかったら普段の私はこういう時間を過ごすことができたのだろうか。
私は……こんな平々凡々な日常に身を置くことができたのだろうか…。

「…ほら」

そこへ置かれていたデザートの乗った皿を手にしたユウタが小さなスフォークでこちらへ差し出してきた。そこに刺さっているのはチョコレートクリームのたっぷりかけれた一口サイズに切られたケーキ。

「ん?なんだ?」
「なんだじゃないでしょうが。さっきあれだけ望ましいって言ってたくせに」
「して、くれるのか?」
「して欲しかったんじゃないの?それよりさ、恥ずかしいんだからさっさと食べてくれる?」

視線をこちらに向けずにそっぽを向いたユウタとその言葉に私は目を丸くする。

「……ふふん♪なんだかんだでお前はいい男だな♪」
「?それはどうも」

差し出されたケーキを口に含み私は思わず笑みを浮かべた。
まったくこの男は本当にわからない。
タイミングといい、言動といい、この男は本当は全て計算づくでやっているのではないだろうか、そう思ってしまうのも無理ないだろう。先ほどの商人と同類だったりしたらこの上なく厄介だ。
そんな策謀なんてないことを私はよくわかっている。逆にそのほうが質が悪いことも嫌というほど理解している。

―本当に、厄介者だ…この男は♪

口の中に残ったチョコレートクリームは思った以上に甘かった。










「さて、次はどこへ行こうか?食事の次はショッピングとでも洒落込むのか?私はこのまま街並みを眺めて歩いているのもいいと思うがな」
「…」
「どうした?さっきから黙ってばかりで」
「…あのさ」
「ん?何だ?」
「さっきから…また、いろいろ当たってるんだけど」
「ふふん♪男はこういうのが好きなんだろう?」
「間違っちゃいないけど一国のお姫様がやることじゃないでしょ」
「男が細かいことを気にするな。心行くまで堪能しておけ」
「そんなもん?それに、レジーナさっきから変に上機嫌というか…」
「何だ?私が機嫌が良くては悪いか?」
「なら良いことがある?一昨日は上機嫌なレジーナに殺されかけるようなことされたのに」
「あれはつい調子に乗ってしまったんだ、許せ。それにどうせユウタにはあの程度当たるはずもないだろう?」
「王女ならもっと臣下を労わってほしいね」
「臣下ならもっと王女を敬うんだな」

そんな他愛のない会話をしながら私とユウタは街中の石畳の上を歩いていた。勿論腕を絡めて体を寄せながら。
王女と護衛してはあまりにも近すぎる姿。他の臣下に見られたり私が王女だと周りにバレればただ事ではすまないだろう。
だが、それをわかった上でもせっかく繋いだ手を離すことはできそうにない。

「ふふん♪」

やや細いのに逞しい感触。骨が発達しているのか異常なほど堅くそれを引き絞られた筋肉で覆われている。ひょろひょろしているかと思いきやなかなかどうして男らしい体つきをしているじゃないか。
感触を確かめながら同じ歩幅でゆっくり歩いていく。既に日も傾き、燃え上がるような夕焼けの中で二つの影が長く延びていた。
気づけばもう夕方だ。楽しい時間はすぐ過ぎる。時間の流れなどどこにいても、何をしていても同じはずなのに。

「…」

そろそろ城下町を出て王宮へと続く道に出る。この先に行けばまた私は普段通りの生活だ。軍務に忙殺され、戦争ごとに頭を悩ませ、書類とにらめっこの日々だ。
護衛としてユウタは側にいることになるだろう。時にはあの鍛錬場で励むこともなくはない。
だが、この時間が過ぎるのが惜しい。まるで街娘のようなただの女でいられる今が、惜しい。
離したくない。
離せばまた王族として、王女としての自分に戻らなければならない。
そうなれば待っているのは……。

「あれ?」
「…」

目の前から歩いてくる人々の視線を集めてこちらへ近づいてくる一人の女性。まるで自分の街を闊歩するような気軽さで歩く姿は老若男女問わず皆見とれてしまう。その姿を見て私は表情を歪めた。
普段は角や翼があるはずなのにどこにでもいるような人間に見えるのはおそらく幻影魔法やら変身魔法の類を使っているからだろう。そんなことをしていても見破れる者にはわかってしまう。
誰もが目を奪われる人外の美貌。姿形を変えても隠せない魅惑の体質。そして何より、血のように真っ赤な魔性の瞳。
間違いたくても間違えられない魔物の姿。

「ふふっ。こんにちわかしら?ユウタ、レジーナ」

親しい友人への挨拶のようにフィオナは手をあげ微笑んだ。
13/09/22 20:29更新 / ノワール・B・シュヴァルツ
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■作者メッセージ

ということで三話目、デート回前編でした
ちゃっかり王宮外にフラグを立てている彼、いつもどおりですねw
今回は名前は出てきませんでしたがあの商人の方はもちろんあの魔物です。もしかしたらジパング編で出てくるかもしれません
そして最後に出てきたフィオナ、次回は魔界の王女、高校生、王国の王女の三人でのデート後編になります
レジーナ姫は次回大きな一歩を踏み出すというか、しでかす予定です!

ここまで読んでくださってありがとうございます!!
それでは次回もよろしくお願いします!!

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