連載小説
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レッサーサキュバス
静かだなぁ・・・
そういえば、最近立て続けにお客さんが来たからなぁ・・・
この静けさで逆に不安になる

そういえば、前の団体さんはどうなったんだろう
幸せにやってると良いけど


”こんなに静かなのは久しぶりだな
客がいないと見てるだけのこっちはつまらないが、たまにはこういう日も良いなぁ”


お茶でも入れてこようかな

店主茶淹中〜now lording〜

ズズズズ・・・・ふぅ・・・・

明日は店を閉めて外に出ようかな
また新しい情報があるかも知れないし
同業者の所に顔を出すのも良いね

ああ、平和d

バタンッ!!!ドタドタ!!

ど、どうしました?
何か急用ですか!?


”なんだなんだ?
この狭い世界、そんなに急いで何処へ行く?
って、カップルで来店とは珍しいな
しかし、女はフードを深く被っているし、足元がおぼつかない様子
こりゃ、また面白くなりそうだ”

お連れの方がどうしたんですか?
そんなに焦って喋られても分かりませんよ!

落ちついて、お茶でも飲んで

落ちつきました?

で、話とは?
そちらのお連れの方ですか?
恋人なんですね?

道端で突然熱を出して倒れたから運んできたって、ここは病院じゃ・・・
っ!!
お嬢さん、そのフードを取って!!

・・・すみません、失礼します!

バッ!
フラ・・・ドサッ!!!

ちょ、ちょっと、大丈夫ですか!?
・・・!!


”この店主、突然目つきが変った?
一体どうしたんだよ?”


この高熱、いつから!?
昼過ぎに・・・!?

こりゃマズイ!

早く、店の外へ!!!
理由は後で話します!!

・・・・・・

とりあえずは、このままで話しましょうか・・・


”ヤバい、店主が外からカギをかけたみたいでドアがあかない”


まず、貴方の判断は非常に的確でした・・・
そのまま町角で放置していたり、病院へ運んでいたら多大な被害者が出ていたでしょう

彼女はもう手遅れです
現時点では魔物化を止める事は出来ず、元には戻れないでしょう・・・

サキュバスの一歩手前、レッサーサキュバスとなります
元来、レッサーサキュバスはかなりの好色ですが、特に生まれた瞬間は体の精が無いため、本能のままに行動して精を補給しようとします
男性を見かければ所構わず飛び掛かって食事をしようとします

アァァーーーーーー!!!
イ、イヤァァ!アン!!な、何これぇ!?
つ、角が・・・アッ―――――――――!!

聞こえますか?
既に変体は初まってるみたいですね・・・

ああ、見ない方が良いですよ
見たら生身の男なんて一発で魅了されますから

そうですよ
彼女達は男を誘うのに特化した体になるように変化するんですから
いわば、ゴキブリホイホイならぬ、男ホイホイになるんですね

彼女なら大丈夫でしょう
痛みは無いはずですから
この声は変体に伴う快感からでしょう
変体する際、女性の体は風が吹いただけでも快感に喘ぐって言われるほどですから

い、い、イヤァァァーーーー!
あ、アタシ、どうなっちゃうのぉ!!!?
そんな、そん・・・アァァァ――――!!!!!!!!!

心配になるかも知れませんが、絶対に見ないように・・・
どうしましたか!?


”あーあ、この人、ガラス越しに見ちゃったよ”


ダメです、今ドアを開ければレッサーサキュバスが外へ出る恐れがあります
貴方も正気に戻って・・・


正気に戻れっつってんだろうがぁぁ!!!!


”!?”


大丈夫ですか?
悪い夢を見ていただけです

さて、この後ですが・・・

いったん眠らせてから精を直接打ち込むのがいいでしょう
魔女に頼めば直ぐやってくれますから・・・
さて、問題はその後なんですが・・・

ええ、レッサーサキュバスは人間だった頃に特に思いやりの強い方を魔界へ連れ帰ろうとします

・・・


”ちなみに、なんで俺が大丈夫なのかって?
そりゃあお前、踏んでる場数が違うんだよ!
パンピーとは格が違うんだよ
妖精の国はこのレッサーサキュバスの3倍はヤバかったね”


隠しても無駄でしょうからズバリ言いますと、それは貴方ですね
つらいとは思いますが、決断を迫られています
貴方が人間を捨てるか、彼女を捨てるか・・・
ですが、貴方の彼女は既に貴方の知ってる彼女ではなくなっています
外見も、中身も
しかし、もしかしたら、ある程度の自我を残すくらいなら可能でしょう

そうですか
後悔はしませんね?
二度と人間界には戻ってこれませんよ

そうですか

最後に一つ忠告させて下さい
魔界に行った後、彼女から決して離れないでください
これが僕から言える、最大のアドバイスです


ドアを一瞬だけ開けますから、その瞬間に・・・

3,2,1、ガチャッ、バタン!!


”お?なんか入ってきたぞ?”


アン!アン!アン!アン、ア、アァ、キモチヨスギルゥ!!!モットォ、モットォチョウダイ!!!
オイシイ!!イ、イヤァ、ナニコレ!?ファァアアア!!!


”今回は流石に何もないよな
って、部屋に魔法陣が浮かび上がってるな
レッサーサキュバスって男性を一緒に魔界へ連れていくらしいとか言ってたっけか・・・

や ば く ね ?”


アゥゥァアアア、イク、イク、イッチャウノァォオオオオ!!!!トッテモオッキイノガ、アアアアアアアアアアア!!!


(お幸せに〜)


”・・・こ、ここは、何処!?
お、俺は・・・、アレ?俺の名前は!?

そうだ、魔法陣に巻き込まれて魔界のどっかに・・・
って、ミノタウロス!?”

「あぁん?せっかく気持ちよく昼寝してたのに、よくも起こしてくれたなぁ・・・
その落とし前、体できっちり払ってもらうからな!!」

”ヤバい、押されてる、ってか、押し倒される!!”

ドシャァ

「アンタから馬乗りしてきたんだから、ヤッてもいいよなぁ///」

”ええい、顔を赤らめるな
まだ、諦めて・・・スンません、無理です”

「じゃあ、いっただっきまーす!」

”アッ―――――――――――!!”
10/06/07 02:54更新 / poke
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■作者メッセージ
”ただ貪欲に求められたいものですなぁ”

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